(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706873
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】眉用化粧用具
(51)【国際特許分類】
A45D 40/30 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
A45D40/30
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-12873(P2016-12873)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2017-131354(P2017-131354A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2019年1月17日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 KAIグループ新製品展示会 展示を行った日 平成27年11月30日 展示場所 貝印株式会社本社ビル 東京都千代田区岩本町3丁目9番5号 上記展示会で展示すると共に展示会内でチラシにても公開
(73)【特許権者】
【識別番号】398004714
【氏名又は名称】貝印株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098109
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】三宅 辰弥
【審査官】
村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第2643721(CN,Y)
【文献】
特開昭56−127895(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3153780(JP,U)
【文献】
特開2004−236969(JP,A)
【文献】
特開2013−192725(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3161794(JP,U)
【文献】
実開昭52−165783(JP,U)
【文献】
実開昭53−005171(JP,U)
【文献】
韓国公開実用新案第20−2011−0005155(KR,U)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0254608(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄に、眉又はその周囲に宛がう単一の又は別体一対の宛がい部材が取り付けられ、使用時の姿勢において、柄が顔の表面から離れるように形成されており、前記宛がい部材は、柄から横方向に突き出る使用位置と、柄に寄り添うように折り畳まれる折り畳み位置との間で柄に対し回転可能であり、
使用時の姿勢において、宛がい部材の宛がい部が顔と対向する側を内側とし、その反対側を外側として、宛がい部材の回転軸線が、宛がい部の基部の内面に対して所定の角度で傾斜し、宛がい部材が、その回転軸線回りに回転したときに、外側斜め下方向に回転して折り畳み可能であり、
柄に宛がい部材を回転可能に接続する接続部が、柄と宛がい部材にそれぞれ設けられ、使用時の姿勢において、前記接続部を通る回転軸線が、上方に向かうに従って顔から離れる方向に傾斜しており、
宛がい部材の接続部は、宛がい部よりも外側に設けられ、柄は、その接続部からさらに外側に延び、
柄の接続部は、柄の上部に設けられた宛がい部材取付け部であり、宛がい部材の接続部は、使用時の姿勢において宛がい部の基部から外側斜め下方向に延びる取付け板部であり、且つ取付け板部は、前記回転軸線に対し直交するように宛がい部材取付け部に取り付けられていることを特徴とする眉用化粧用具。
【請求項2】
一対の宛がい部材を有し、両宛がい部材の回転軸線は共通しており、両宛がい部材は、それらの取付け板部が重なり合った状態で、柄の宛がい部材取付け部に回転可能に取り付けられている請求項1記載の眉用化粧用具。
【請求項3】
宛がい部材の宛がい部が、宛がう顔の輪郭に沿うように外側に凸の弧状に曲げられている請求項1又は請求項2記載の眉用化粧用具。
【請求項4】
柄に、眉又はその周囲に宛がう一対の宛がい部材が取り付けられ、該宛がい部材は、宛がい部と、柄に宛がい部材を回転可能に接続する取付け板部とから成り、宛がい部は、宛がう顔の輪郭に沿うように外側に凸の弧状に曲げられ、使用時の姿勢において、柄が顔の表面から離れるように形成されており、前記宛がい部材は、柄から横方向に突き出る使用位置と、柄に寄り添うように折り畳まれる折り畳み位置との間で柄に対し回転可能であり、両宛がい部材の回転軸線は共通しており、両宛がい部材は、それらの取付け板部が重なり合った状態で、柄に設けられた宛がい部材取付け部に回転可能に取り付けられていることを特徴とする眉用化粧用具。
【請求項5】
使用時の姿勢において、宛がい部材の宛がい部が顔と対向する側を内側とし、その反対側を外側として、宛がい部材の回転軸線が、宛がい部の基部の内面に対して所定の角度で傾斜し、宛がい部材が、その回転軸線回りに回転したときに、外側斜め下方向に回転して折り畳まれる請求項4記載の眉用化粧用具。
【請求項6】
使用時の姿勢において、取付け板部を通る前記回転軸線が、上方に向かうに従って顔から離れる方向に傾斜している請求項5記載の眉用化粧用具。
【請求項7】
宛がい部材の取付け板部は、宛がい部よりも外側に設けられ、柄は、その取付け板部からさらに外側に延びている請求項6記載の眉用化粧用具。
【請求項8】
柄が、外側に凸の弧状に曲げられている請求項4乃至請求項7のいずれか一項記載の眉用化粧用具。
【請求項9】
宛がい部材は、柄に交換可能に取り付けられている請求項1乃至請求項8のいずれか一項記載の眉用化粧用具。
【請求項10】
柄の宛がい部材取付け部の内面にその内面から垂直に突出する一対の半割り軸が設けられ、これらの半割り軸の端部には、それらの軸に対して直角方向に張り出す頭部が設けられ、宛がい部材の取付け板部に軸孔が形成され、前記半割り軸の頭部で構成される円の直径は、宛がい部材の軸孔の直径よりも大きく形成され、
半割り軸は、半割り軸同士が弾性的に接近可能に形成され、これらの半割り軸が軸孔に回転可能に挿通されることにより、宛がい部材が柄に交換可能に取り付けられている請求項9記載の眉用化粧用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眉墨で眉を描くとき、又はかみそりや鋏などで眉を切り揃えるときに使用する眉用化粧用具に関する。
【背景技術】
【0002】
柄に設けた宛がい部を眉又はその周囲に宛がって、眉を描いたり切り揃えたりする眉用化粧用具は、特許文献1や特許文献2に記載されたものが存在している。そして、これらの眉用化粧用具は、その使用時の姿勢において柄が顔の表面から離れているので、柄を持った手が鼻などに当たることがないという長所を有している。しかし、宛がい部が柄から横方向に突き出ているので、女性がハンドバッグなどに入れて携帯するときや保管するときに、嵩張るという欠点を有している。そこで、このような眉用化粧用具を嵩張らないようにするためには、例えば、宛がい部を折り畳むことができる構成とすればよいのである。
【0003】
宛がい部を折り畳むことができる眉描き具は、特許文献3に記載されており、宛がい部を、柄と平行に並ぶまで折り畳むことができるので、全体的にコンパクトにすることができる。但し、特許文献3の眉描き具は、使用時の姿勢において柄が顔の表面から離れるように形成されていないので、柄を下側に向けて使用するときは柄が顔に接近し、鼻などが邪魔になってしまうのである。この場合、特許文献3では、柄の上下方向を切り替えることにより、柄を上向きにして使用するものである。これにより、柄は額の前に位置するので、鼻に当たることはない。しかし、柄を上向きにすると、柄を持つ手を大きく上に挙げながら作業をするので、作業しづらく手がすぐに疲れてしまうのである。そこで、柄を下向きにしたまま鼻が邪魔にならないように使用するためには、使用時の姿勢において柄が顔の表面から離れるように形成すればよい。特許文献3の眉描き具を、使用時に顔から離れるように形成すればよい。そのように構成すると、宛がい部を折り畳むときに、宛がい部は真下に回転する。これに対して、柄は顔の表面から離れるように成形したから、真下に回転する宛がい部は柄に近づいて行かず、柄と異なる方向を向いて折り畳まれるので、柄に寄り添うように折り畳まれない。したがって、特許文献3に記載された眉描き具を改変して、使用時の姿勢において柄を顔の表面から離れるように形成した場合には、宛がい部をコンパクトに折り畳むことができず、携帯や保管の際に嵩張ってしまうのである。このほかに、柄を下向きにしたまま鼻が邪魔にならないように使用するためには、特許文献3の眉描き具の柄は改変せずに、使用時に、柄を顔の表面に対して傾斜するように持てばよい。しかし、この場合、宛がい部内面も顔に対して傾斜するので、宛がい部内面のほぼ全部が顔から浮いてしまい、正常な使用状態とはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1284460号公報
【特許文献2】意匠登録第1188613号公報
【特許文献3】登録実用新案第3153780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、前記背景技術で説明したように、柄が直線状に形成された従来の折り畳み式眉描き具の構成では、それを、使用時の姿勢において柄が顔の表面から離れるように形成したときに、宛がい部を折り畳んでも全体がコンパクトにならず、携帯や保管の際に嵩張ってしまうという点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための請求項1記載の発明は、柄に、眉又はその周囲に宛がう単一の又は別体一対の宛がい部材が取り付けられ、使用時の姿勢において、柄が顔の表面から離れるように形成されており、前記宛がい部材は、柄から横方向に突き出る使用位置と、柄に寄り添うように折り畳まれる折り畳み位置との間で柄に対し
回転可能であり、使用時の姿勢において、宛がい部材の宛がい部が顔と対向する側を内側とし、その反対側を外側として、宛がい部材の回転軸線が、宛がい部の基部の内面に対して所定の角度で傾斜し、宛がい部材が、その回転軸線回りに回転したときに、外側斜め下方向に回転して折り畳み可能であり、柄に宛がい部材を回転可能に接続する接続部が、柄と宛がい部材にそれぞれ設けられ、使用時の姿勢において、前記接続部を通る回転軸線が、上方に向かうに従って顔から離れる方向に傾斜しており、宛がい部材の接続部は、宛がい部よりも外側に設けられ、柄は、その接続部からさらに外側に延び、柄の接続部は、柄の上部に設けられた宛がい部材取付け部であり、宛がい部材の接続部は、使用時の姿勢において宛がい部の基部から外側斜め下方向に延びる取付け板部であり、且つ取付け板部は、前記回転軸線に対し直交するように宛がい部材取付け部に取り付けられている構成である。
【0007】
請求項2記載の発明は、一対の宛がい部材を有し、両宛がい部材の回転軸線は共通しており、両宛がい部材は、それらの取付け板部が重なり合った状態で、柄の宛がい部材取付け部に回転可能に取り付けられている構成である。また、請求項3記載の発明は、宛がい部材の宛がい部が、宛がう顔の輪郭に沿うように外側に凸の弧状に曲げられている構成である。
【0008】
請求項4記載の発明は、柄に、眉又はその周囲に宛がう
一対の宛がい部材が取り付けられ、
該宛がい部材は、宛がい部と、柄に宛がい部材を回転可能に接続する取付け板部とから成り、宛がい部は、宛がう顔の輪郭に沿うように外側に凸の弧状に曲げられ、使用時の姿勢において、柄が顔の表面から離れるように形成されており、前記宛がい部材は、柄から横方向に突き出る使用位置と、柄に寄り添うように折り畳まれる折り畳み位置との間で柄に対し
回転可能であり、
両宛がい部材の回転軸線は共通しており、両宛がい部材は、それらの取付け板部が重なり合った状態で、柄に設けられた宛がい部材取付け部に回転可能に取り付けられている構成である。
【0009】
請求項5記載の発明は、使用時の姿勢において、宛がい部材の宛がい部が顔と対向する側を内側とし、その反対側を外側として、宛がい部材の回転軸線が、宛がい部の基部の内面に対して所定の角度で傾斜し、宛がい部材が、その回転軸線回りに回転したときに、外側斜め下方向に回転して折り畳まれる構成である。
【0010】
請求項6記載の発明は、使用時の姿勢において、取付け板部を通る前記回転軸線が、上方に向かうに従って顔から離れる方向に傾斜している構成である。また、請求項7記載の発明は、宛がい部材の
取付け板部は、宛がい部よりも外側に設けられ、柄は、その
取付け板部からさらに外側に延びている構成である。また、請求項8記載の発明は、柄が、外側に凸の弧状に曲げられている構成である。
さらに、請求項9記載の発明は、宛がい部材が、柄に交換可能に取り付けられている構成であり、請求項10記載の発明は、柄の宛がい部材取付け部の内面にその内面から垂直に突出する一対の半割り軸が設けられ、これらの半割り軸の端部には、それらの軸に対して直角方向に張り出す頭部が設けられ、宛がい部材の取付け板部に軸孔が形成され、前記半割り軸の頭部で構成される円の直径は、宛がい部材の軸孔の直径よりも大きく形成され、半割り軸は、半割り軸同士が弾性的に接近可能に形成され、これらの半割り軸が軸孔に回転可能に挿通されることにより、宛がい部材が柄に交換可能に取り付けられている構成である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1
及び請求項4記載の発明は、柄を顔の表面から離れるように形成すると共に、宛がい部材を、柄から横方向に突き出る使用位置と、柄に寄り添うように折り畳まれる折り畳み位置との間で柄に対し
回転可能としている。したがって、使用中に柄を持った指が鼻などに当たることなく使用できると共に、使用後は、宛がい部材を柄に寄り添う位置まで折り畳むことにより、全体的にコンパクトにすることができ、携帯や保管に便利である。また、その宛がい部材が回転運動であるので、操作し易いという効果を奏する。
【0012】
また、請求項1及び請求項5記載の発明は、宛がい部材をその回転軸線回りに回転させたときに、その宛がい部が、外側斜め下方向に回転して折り畳まれるように、宛がい部材の回転軸線を、宛がい部の基部の内面に対して所定の角度で傾斜させたものである。回転軸線を宛がい部内面に対して所定の角度で傾斜させる手段によって、宛がい部を、柄に寄り添うように折り畳むことができるので、構成を簡易なものとすることができ、操作も容易となる。
【0013】
また、請求項1及び請求項6記載の発明は、柄に宛がい部材を回転可能に接続する接続部が、柄と宛がい部材にそれぞれ設けられ、使用時の姿勢において、前記接続部を通る回転軸線が、上方に向かうに従って顔から離れる方向に傾斜している。柄と宛がい部材にそれぞれ接続部が設けられているので、柄や宛がい部材の形状に影響されることなく接続部同士を接続することができる。したがって、柄や宛がい部を自由にデザインすることができる。また、宛がい部材の接続部
が、宛がい部よりも外側に設けられ、柄は、その接続部からさらに外側に延びているので、使用時に接続部が顔に当たることがない。
【0014】
また、請求項1記載の発明は、柄の接続部が、柄の上部に設けられた宛がい部材取付け部であり、宛がい部材の接続部が、使用時の姿勢において宛がい部の基部から外側斜め下方向に延びる取付け板部である。したがって、それぞれの接続部を柄又は宛がい部材と一体に成形することができるので、製造が簡易である。また、宛がい部材の接続部が、取付け板部であって板状に形成されているから、宛がい部材の回転にブレを生じさせない。また、取付け板部は、回転軸線に対し直交するように宛がい部材取付け部に取り付けられているので、宛がい部材を回転させたときに、宛がい部材は外側斜め下方向に回転して折り畳まれる。
【0015】
請求項2及び請求項4記載の発明は、一対の宛がい部材を有し、両宛がい部材の回転軸線は共通しており、両宛がい部材は、それらの取付け板部が重なり合った状態で、柄の宛がい部材取付け部に回転可能に取り付けられている。したがって、宛がい部材については、それぞれ接続部が必要となるが、柄については、一つの接続部を設けて一つの回転軸線を設定すれば済むので、その分、構造を簡易にすることができる。
【0016】
請求項3及び請求項4記載の発明は、宛がい部材の宛がい部が、宛がう顔の輪郭に沿うように外側に凸の弧状に曲げられているので、眉を描いたり切り揃えたりする作業を確実に行うことができる。
【0017】
請求項8記載の発明は、柄が、外側に凸の弧状に曲げられている。したがって、宛がい部材を折り畳む際、弧状に曲げられた宛がい部材が、柄に近づいたときに、柄も宛がい部材と同様に凸の弧状に曲げられているので、宛がい部材は、柄に干渉されることなく柄に隣接する位置まで寄り添うように折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は宛がい部材を開いた状態を外側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は宛がい部材を閉じた状態を外側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は宛がい部材を開いた状態の使用時の姿勢における側面図である。
【
図4】
図4は宛がい部材を閉じた状態の側面図である。
【
図5】
図5は宛がい部材を開いた状態を内側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の内側から見た分解斜視図である。
【
図7】
図7は宛がい部材を閉じた状態の内側正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1及び
図6に示すように、本実施例の眉用化粧用具1は、柄2と、一対の宛がい部材3,4とから成る。柄2は、外側に凸の弧状に曲げられた把持部5を有し、その上部に板状の宛がい部材取付け部6が設けられ、さらにその宛がい部材取付け部6の上部から上方に突出する突片7が設けられている。
図6に示すように、宛がい部材取付け部6の内面にその内面から垂直に突出する一対の半円筒状の半割り軸8,8が設けられている。これらの半割り軸8,8が協働して一つの支軸としての作用をなす。また、突片7の内面には一対の係止突起9,9が設けられている。これらの半割り軸8,8の端部には、それらの軸に対して直角方向に張り出す頭部10,10が設けられている。係止突起9,9は、使用状態に開いた宛がい部材3,4を係止するためのものである。
【0020】
図3は、眉用化粧用具1の使用時の姿勢、すなわち顔を真っ直ぐ前に向けたときの眉用化粧用具1の使用時の姿勢における側面図である。図から明らかなように、使用時の姿勢において、突片7は顔の表面と同じように鉛直方向に延びる。そして、宛がい部材取付け部6は、鉛直方向に対し約46度の傾斜角度をもって外側に傾斜しており、両宛がい部11,17よりも外側に設けられている。なお、傾斜角度がこの数値に限定されないことは勿論である。前述したように、把持部5は、外側に凸の弧状に曲げられており、板状の宛がい部材取付け部6との境界から外側に向けて張り出している。その境界において、把持部5の表面に引いた接線と宛がい部材取付け部6の表面とのなす角度は約135度であるが、傾斜角度がこの数値に限定されないことは勿論である。
【0021】
一方の宛がい部材3は、宛がい部11と取付け板部12とから成る。宛がい部11は、板状に形成され、眉形の孔部13が設けられており、その孔部13に沿って眉墨で眉を描くテンプレートである。また、宛がい部11は、顔と対向する宛がい部内面14を有し、使用時にその宛がい部内面14を顔に密接させるために、宛がう顔の輪郭に沿うように外側に凸の弧状に曲げられている。取付け板部12は、宛がい部11の基部15から外側斜め下方向に延びるように一体に設けられている。そして、その傾斜角度は、
図3に示すように、眉用化粧用具1の使用時の姿勢において、宛がい部材取付け部6の傾斜角度と同じであり、鉛直方向に対し約46度の傾斜角度をもって外側に傾斜している。本実施例では、このように、宛がい部11の基部15に対し、取付け板部12が所定の角度をなして設けられている点に大きな特徴がある。この取付け板部12には、軸孔16が形成されている。さらに、
図2に示すように、宛がい部11の基部15の外面に係止凹部24が設けられており、この係止凹部24が、突片7に設けられた係止突起9に凹凸の関係で係止して、使用状態に開いた宛がい部材3を係止する。
【0022】
他方の宛がい部材4も、一方の宛がい部材3と同様に宛がい部17と取付け板部18とから成り、孔部19と、宛がい部内面20と、基部21と、軸孔22と、係止凹部25とを有する。一方の宛がい部材3と他方の宛がい部材4との相違点は、
図6に示されているように、一方の宛がい部材3の基部15と取付け板部12の内面がそれらの境界で角度をもって連続しているのに対し、他方の宛がい部材4の基部21と取付け板部18の内面はそれらの境界で連続しておらず、境界に段差23が設けられている点である。これは、宛がい部材4の取付け板部18が、宛がい部材3の取付け板部12よりも外側になるように重ね合わせて半割り軸8,8に取り付けられるので、それぞれの宛がい部11,17の基部15,21の両内面を面一とするために、段差23を設けたのである。
【0023】
前述したように、宛がい部材3,4は、宛がい部材4の取付け板部18が、宛がい部材3の取付け板部12よりも外側になるように重ね合わせて半割り軸8,8に取り付けられる。半割り軸8,8の頭部10,10で構成される円の直径は、宛がい部材3,4の軸孔16,22の直径よりも大きいので、半割り軸8,8がその弾性で接近するように撓むことにより、半割り軸8,8は軸孔16,22に挿通される。挿通後に、半割り軸8,8は、広がって元の位置に復帰するので、軸孔16,22から抜け出ることがない。両宛がい部材3,4は、半割り軸8,8で構成される回転軸線を中心に、それぞれ回転可能である。
【0024】
図3の、眉用化粧用具1の使用時の姿勢における側面図において、前述したように、宛がい部材取付け部6は、鉛直方向に対し約46度の傾斜角度をもって外側に傾斜している。そして、一対の半円筒状の半割り軸8,8は、宛がい部材取付け部6の内面に対して垂直に突出している。回転軸線は、上方に向かうに従って顔から離れる方向に傾斜しており、その傾斜角度は鉛直方向に対し約44度となる。この角度は、宛がい部材取付け部6の傾斜角度を約46度にしたことによるものである。眉用化粧用具1がこのように構成され、宛がい部材3,4の回転軸線が上方に向かうに従って顔から離れる方向に約44度傾斜しているので、
図3の、宛がい部材3,4が開いている状態から、それらを折り畳むように下方に回転させると、宛がい部材3,4は真下に向かって回転しない。宛がい部材3,4は、その回転軸線回りに外側斜め下方向、すなわち、柄2の内側に向かって回転し、
図2又は
図4に示すように、柄2に寄り添うように折り畳まれる。寄り添うとは、例えば、本実施例の弧状をなす柄2と弧状をなす宛がい部材3,4との関係で言えば、宛がい部材3,4が、柄2と同じ側に凸の弧状をなして柄2のそばへ寄る場合が該当する。
【0025】
図7に示したように、本実施例では、宛がい部材3,4をそれらが柄2の内側で突き当たるまで折り畳むことができる。宛がい部材3,4同士が突き当たるまで、宛がい部材3,4が柄2に干渉されないからである。これにより、最もコンパクトな状態にすることができる。宛がい部材3,4が柄2に干渉されない理由は、外側に凸の弧状をなす宛がい部材3,4に合わせて、柄2の把持部5も外側に凸の弧状をなすように形成したからである。
【0026】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、テンプレートである宛がい部11,17に代えて、宛がい部11,17を眉形に形成し、その宛がい部の縁に沿って眉毛を切ることにより眉を整えるガイドであってもよい。宛がい部11,17が直線状であってもよく、その場合、柄2も直線状に形成される。一対の宛がい部材3,4に代えて、いずれか一方の宛がい部材だけを柄2に取り付けたものであってもよい。宛がい部材3,4の回転軸線を共通とせず、別々の支軸を設けてもよい。また、宛がい部材3,4は、半割り軸8,8に取り付けられ、その頭部10,10で係止されているが、半割り軸8,8同士を弾性的に接近可能とすれば、宛がい部材3,4を交換することができる。これにより、宛がい部11,17の形状の異なる宛がい部材を用意して、好みのものに交換可能とすることもできる。また、宛がい部11,17を透明や半透明にしてもよく、合成樹脂以外の材料で不透明にしてもよい。また、宛がい部材3,4はそれぞれ独立して回転するが、双方を歯車結合させるなどして、一方の回転により他方が連動して回転する構成にしてもよい。また、柄2の把持部5の表面に滑り止めの凹凸を設けてもよく、エラストマー樹脂などを用いた滑り止め加工を施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
単に宛がい部材を折り畳み可能としただけではなく、宛がい部材が柄に寄り添うように折り畳み可能とすることにより、全体をコンパクトに折り畳むことができ、携帯や保管に好適なものとすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 眉用化粧用具、 2 柄、 3 宛がい部材、 4 宛がい部材、 5 把持部、 6 宛がい部材取付け部、 7 突片、 8 半割り軸、 9 係止突起、 10 頭部、 11 宛がい部、 12 取付け板部、 13 孔部、 14 宛がい部内面、 15 宛がい部の基部、 16 軸孔、 17 宛がい部、 18 取付け板部、 19 孔部、 20 宛がい部内面、 21 宛がい部の基部、 22 軸孔、 23 段差、 24 係止凹部、 25 係止凹部