(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706883
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】醸造酒様の飲みごたえが付与された低アルコール飲料
(51)【国際特許分類】
C12G 3/04 20190101AFI20200601BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
C12G3/04
C12G3/06
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-13520(P2015-13520)
(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公開番号】特開2016-136882(P2016-136882A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】307027577
【氏名又は名称】麒麟麦酒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(72)【発明者】
【氏名】松田 莉央子
(72)【発明者】
【氏名】原田 基
(72)【発明者】
【氏名】日下部 真理
(72)【発明者】
【氏名】茶木 香保里
【審査官】
伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0272006(US,A1)
【文献】
特開2001−103959(JP,A)
【文献】
特開2013−188221(JP,A)
【文献】
特開2012−060975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 3/00JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール濃度0.8v/v%以上3.0v/v%未満の炭酸アルコール飲料であって、下記A)、B)およびC)を満たす炭酸アルコール飲料:
A)有機酸としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸および酢酸(特定有機酸)からなる群から選択される1種または2種以上を含有し、飲料中の特定有機酸濃度が1400〜4000ppmであり、クエン酸濃度の総有機酸濃度に対する割合(クエン酸/総有機酸)が0.38以上である;
B)イソアミルアルコールを含有し、飲料中のイソアミルアルコール濃度が5.5〜55.0ppmである;
C)イソ酪酸、カプロン酸および2−フェネチルアルコールを含有し、飲料中のイソ酪酸濃度は0.05〜0.30ppmであり、飲料中のカプロン酸濃度は0.30〜2.00ppmであり、飲料中の2−フェネチルアルコール濃度は1.00〜8.00ppmである。
【請求項2】
炭酸アルコール飲料が非発酵炭酸アルコール飲料である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
A)において、飲料が有機酸として少なくともクエン酸を含有する、請求項1または2に記載の飲料。
【請求項4】
飲料中のクエン酸濃度の特定有機酸濃度に対する割合が30〜100%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項5】
飲料が、酪酸、プロピオン酸およびカプリル酸から選択される1種以上の成分をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項6】
飲料の総有機酸濃度が1400〜6000ppmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項7】
飲料のpHが4.5未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項8】
容器詰め炭酸アルコール飲料である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項9】
醸造酒様の飲みごたえが付与された炭酸アルコール飲料である、請求項1〜8いずれか一項に記載の飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール濃度0.5v/v%以上3.0v/v%未満の低アルコール飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、若年層のビール離れの傾向や健康志向の観点などから、低アルコール飲料が好まれる傾向がみられ、その市場は拡大を続けている。これまでに、非アルコール飲料でのアルコール感や発酵感の付与や、低アルコール飲料でのアルコール感の増強には、酸味、果汁、その他の食品素材などが従来から用いられてきた。
【0003】
これまでにアルコール飲料に飲みごたえを付与あるいは増強する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。しかし、これまで開示された技術はいずれも発酵アルコール飲料に関するものや、アルコール度数が3.0以上のものに関する技術であり、アルコール度数が3.0未満のアルコール度数が極端に低いアルコール飲料において醸造酒様の飲みごたえが付与されたという報告はこれまで存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−124732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、醸造酒様の飲みごたえが付与された低アルコール飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アルコール濃度が
0.8v/v%以上3.0v/v%未満の非発酵飲料について、飲料中の
特定有機酸濃度を1000ppm以上とし;飲料中のイソアミルアルコール濃度を5.5〜55.0ppmとし;飲料中のイソ酪酸濃度を0.05〜0.30ppmとし、飲料中のカプロン酸濃度を0.30〜2.00ppmとし、および/または、飲料中の2−フェチネルアルコール濃度を1.00〜8.00ppmとする場合に、非発酵の低アルコール飲料に対し醸造酒様の飲みごたえを付与できることを見出した。発酵により生じる香気成分を単に非発酵飲料に添加しても、嗜好性の低い発酵臭としてとらえられ、醸造酒様の飲みごたえを付与できないところ、驚くべきことに、クエン酸を含む有機酸の濃度と発酵により生じる各種香気成分の濃度を調整することで非発酵の低アルコール飲料に対し醸造酒様の飲みごたえを付与することができた。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0007】
本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)アルコール濃度0.5v/v%以上3.0v/v%未満の低アルコール飲料であって、下記A)、B)およびC)を満たす低アルコール飲料:
A)有機酸としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸および酢酸(特定有機酸)からなる群から選択される1種または2種以上を含有し、飲料中の特定有機酸濃度 が1000ppm以上である;
B)イソアミルアルコールを含有し、飲料中のイソアミルアルコール濃度が5.5〜55.0ppmである;
C)イソ酪酸、カプロン酸および2−フェネチルアルコールから選択される1種または2種以上の成分を含有し、イソ酪酸を含有する場合には、飲料中のイソ酪酸濃度は0.05〜0.30ppmであり、カプロン酸を含有する場合には、飲料中のカプロン酸濃度は0.30〜2.00ppmであり、2−フェネチルアルコールを含有する場合には飲料中の2−フェネチルアルコール濃度は1.00〜8.00ppmである。
(2)低アルコール飲料が非発酵低アルコール飲料である、上記(1)に記載の飲料。
(3)A)において、飲料が有機酸として少なくともクエン酸を含有する、上記(1)または(2)に記載の飲料。
(4)飲料中のクエン酸濃度の特定有機酸濃度に対する割合が30〜100%である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料。
(5)C)において、飲料がイソ酪酸、カプロン酸および2−フェネチルアルコールを含有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の飲料。
(6)飲料が、酪酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸およびヘキサン酸から選択される1種以上の成分をさらに含有する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の飲料。
(7)飲料の総有機酸濃度が1000〜6000ppmである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の飲料。
(8)飲料のpHが4.5未満である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の飲料。
(9)容器詰め炭酸アルコール飲料である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の飲料。
(10)醸造酒様の飲みごたえが付与されたアルコール飲料である、上記(1)〜(9)いずれかに記載の飲料。
【0008】
本発明のアルコール飲料は、アルコール度数が3.0未満の非発酵低アルコール飲料にも関わらず、醸造酒様の飲みごたえが付与されたものであるため、実際のアルコール摂取以上の満足感・充実感を摂取者に与えることができる。すなわち、本発明のアルコール飲料は、アルコール摂取量の抑制とアルコール摂取による満足感・充実感を両立できるものであり、これまでにない新しい飲料ジャンルを切り拓くものといえる。
【0009】
本発明において「低アルコール飲料」とは、アルコールを含有する飲料を意味し、そのアルコール濃度は0.5v/v%以上3.0v/v%未満であり、好ましくは0.8v/v%以上2.0v/v%未満であり、より好ましくは1.0v/v%以上1.8v/v%未満である。本発明のアルコール飲料に含まれるアルコールは、原料用アルコールやウオッカ、スピリッツ、甲類焼酎など、蒸留工程を経たアルコール(以下、「蒸留アルコール」ということがある)を単独であるいは組み合わせて使用することができる。本発明のアルコール飲料に含まれるアルコールは、前述の蒸留アルコールに加えて、清酒、果実酒、甘味果実酒などの醸造工程を経たアルコール(以下、「醸造アルコール」ということがある)または果実の浸漬酒(以下、「浸漬酒」ということがある)を組み合わせて使用することができる。この場合、醸造アルコールおよび浸漬酒の含有比率はアルコール分の総量(体積)のうち20%以下とすることができる。
【0010】
本発明のアルコール飲料としては、醸造酒様の飲みごたえが付与された、低アルコール飲料である限り特に限定されるものではないが、非発酵の低アルコール飲料について例示をすると、炭酸を含有するチューハイやカクテル類、ビールテイストのリキュール類、炭酸ガス含有の甘味果実酒など他、酒税法にてクエン酸などの有機酸の含有が許される炭酸ガス含有アルコール飲料が挙げられる。ここで、「醸造酒様の飲みごたえ」とは酵母発酵に基づいて醸造酒を製造した場合に得られる醸造酒特有の味わい、ボディ感、もどり香を意味する。
【0011】
本発明のアルコール飲料は好ましくは非発酵低アルコール飲料として提供できる。本発明の非発酵低アルコール飲料は発酵工程を経ることなく、低アルコール濃度であっても醸造酒様の飲みごたえを付与することができる点で有利である。従って、本発明の非発酵低アルコール飲料には、ビールや発泡酒などの発酵麦芽飲料や、原料として麦芽を使用せず発酵させたビールテイスト発酵飲料(例えば、酒税法上、「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される醸造系新ジャンル飲料)は含まれない。
【0012】
本発明ではまた、麦や麦芽を使用せず、低アルコール濃度であっても醸造酒様の飲みごたえを付与することができる。従って、本発明のアルコール飲料は好ましくは原料に麦や麦芽(但し、ビールフレーバーなどの香料は除く)を使用しないアルコール飲料として提供することができる。
【0013】
本発明のアルコール飲料は、前記条件A)、B)およびC)を満たすものである。条件A)によると、本発明のアルコール飲料は有機酸としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸および酢酸(本明細書では、これら6種の有機酸を「特定有機酸」ということがある)からなる群から選択される1種または2種以上を含有する。本発明の効果をよりよく発揮させる観点から、飲料中の特定有機酸濃度は1000ppm以上であり、好ましくは1400ppm以上である。飲料の味のバランスの観点から特定有機酸濃度は6000ppmを上限としてもよく、好ましくは4000ppmが上限である。
【0014】
本発明では特定有機酸は食品上許容される塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩)の形態で本発明のアルコール飲料に配合してもよい。
【0015】
本発明のアルコール飲料は、好ましくは、有機酸として少なくともクエン酸を含有するものである。この場合、飲料中のクエン酸濃度の特定有機酸濃度に対する割合は30〜100%とすることができる。特定有機酸の好ましい組み合わせとしてはクエン酸、酒石酸およびリンゴ酸の組み合わせ、クエン酸、リンゴ酸および乳酸の組み合わせ並びにクエン酸および乳酸の組み合わせが挙げられる。
【0016】
本発明のアルコール飲料は特定有機酸以外の有機酸を含有してもよい。本発明のアルコール飲料に配合できる特定有機酸以外の有機酸としては、例えば、酪酸、イソ酪酸、プロピオン酸、カプリル酸
、グルコン酸、フィチン酸およびフマル酸並びにこれらの食品上許容される塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩)が挙げられる。
【0017】
本発明のアルコール飲料中の総有機酸濃度(特定有機酸を含む)は1000ppm以上とすることができる。また、アルコール飲料としての嗜好性の観点から本発明のアルコール飲料の総有機酸濃度の上限は6000ppmとすることができる。なお、本明細書で「総有機酸濃度」は、特定有機酸に、シュウ酸およびピルビン酸を加えた8種の有機酸の合計濃度をいうものとする。
【0018】
本発明のアルコール飲料中の特定有機酸濃度の総有機酸濃度に対する割合は80〜100%とすることができ、好ましくは、90〜100%である。
【0019】
本発明のアルコール飲料に含まれる有機酸は酸味付与物質やpH調整剤として本発明のアルコール飲料に配合することができるが、本発明のアルコール飲料はリン酸などの無機酸およびそれらの食品上許容される塩を酸味付与物質やpH調整剤としてさらに含有してもよい。ここで「酸味付与物質」とは、食品衛生法上の酸味料に加えて、食品に酸味を付与もしくは増強する効果のある一部の調味料を含む意味で用いられる。
【0020】
条件B)によると本発明のアルコール飲料はイソアミルアルコールを含有する。この場合、飲料中のイソアミルアルコール濃度は5.5〜55.0ppmであり、好ましくは11ppm以上である。飲料の味のバランスや本発明の効果の発揮の観点からイソアミルアルコール濃度は11〜55ppmとすることができる。本発明では単離・精製された上記成分を本発明の飲料に配合してもよいが、イソアミルアルコールは発酵により生じる香気成分として果実酒などに含まれていることから、果実酒やこの成分を含む香料を本発明の飲料に配合することによりイソアミルアルコールの濃度を所定値に調整してもよい。
【0021】
条件C)によると本発明のアルコール飲料はイソ酪酸、カプロン酸および2−フェネチルアルコールから選択される1種または2種以上の成分を含有する。本発明の飲料がイソ酪酸を含有する場合には、飲料中のイソ酪酸濃度は0.05〜0.30ppmであり、好ましくは0.08〜0.26ppmである。カプロン酸を含有する場合には、飲料中のカプロン酸濃度は0.30〜2.00ppmであり、好ましくは0.3〜1.9ppmである。2−フェネチルアルコールを含有する場合には飲料中の2−フェネチルアルコール濃度は1.00〜8.00ppmであり、好ましくは1.5〜7.8ppmである。本発明では単離・精製された上記成分を本発明の飲料に配合してもよいが、上記成分は発酵により生じる香気成分として果実酒などに含まれていることから、果実酒やこれら成分の一部または全部を含む香料を本発明の飲料に配合することにより上記成分の濃度をそれぞれ所定値に調整してもよい。本発明のアルコール飲料は、好ましくは、イソ酪酸、カプロン酸および2−フェネチルアルコールの三種を含有する。
【0022】
有機酸濃度、クエン酸濃度、イソアミルアルコール濃度、イソ酪酸濃度、カプロン酸濃度、2−フェネチルアルコール濃度は、例えば、ガスクロマトグラフィー法により測定することができる。なお、有機酸が塩の形態で配合される場合には、遊離形態の酸を基準に濃度が決定される。
【0023】
本発明のアルコール飲料では甘味料を配合することができ、甘味料の全部または一部として高甘味度甘味料を配合することができる。高甘味度甘味料としては、アセスルファムK、アスパルテーム、スクラロース、ステビア、ラカンカ、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチンおよびレバウディオサイドAからなる群より選択される1種または2種以上が挙げられる。
【0024】
高甘味度甘味料は人が慣れ親しんだショ糖様の甘味とは異なり、特徴的な甘味をもっており、アセスルファムKなどは味に苦味があるため、単独の使用ではアルコールの苦さと相まって、アルコール感の増強になりかねない場合がある。アセスルファムKは、糖類よりも甘味の立ち上がりが速いことが知られている一方、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドなどは、糖類よりも甘味の立ち上がりが遅いことが知られている。後者を単独で使用すると、その味の後引きが、アルコールが持つ味の余韻、後引きと混同され、アルコール感が続いていると誤って感じられるおそれがある。このため、高甘味度甘味料は、複数種を組み合わせて使用するのが好ましい。
【0025】
本発明のアルコール飲料は好ましくは炭酸ガスを含む飲料として提供することができる。ここで、飲料における炭酸ガス圧は約20℃において測定される炭酸ガス圧をいう。本発明のアルコール飲料の炭酸ガス圧は0.1〜0.3MPaとすることができ、好ましくは0.15〜0.3MPaである。炭酸ガス圧は、例えば、国税庁所定の分析法(国税庁所定分析法(訓令))に基づく、ビールのガス圧分析法によって測定できる(例えば、国税庁webページ: http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sonota/070622/01.htm を参照)。また、市販の機械式炭酸ガス圧測定器を用いて測定することもできる。例えば、ガスボリューム測定装置(GVA-500、京都電子工業株式会社製)を用いてもよい。
【0026】
本発明におけるアルコール飲料は、そのpHを4.5未満の範囲とすることができ、好ましくはpH4.0未満の範囲、より好ましくはpH2.3〜4.0の範囲、特に好ましくはpH3.0〜4.0である。本発明においては、pHは有機酸や他の酸味付与物質の使用量により調節することができる。すなわち、使用する有機酸や酸味付与物質の種類や、使用量により飲料のpHを調節することができる。また本発明のアルコール飲料に、果実やその由来成分、果汁などを使用する場合には、それらも利用してpHを調整することができる。なお飲料のpHは市販のpHメーター(例えば、東亜電波工業株式会社製pHメーター)を使用して測定することができる。
【0027】
本発明のアルコール飲料は、必要に応じて、果汁類をさらに含むことができる。このような果汁類としては、果実、果汁、野菜片、野菜汁、ハーブエキスなどが挙げられ、これらは、ストレート果汁、濃縮果汁、透明果汁、ピューレ、果肉等の形態で適宜飲料に配合することができる。
【0028】
本発明のアルコール飲料には、慣用の添加剤成分、例えば、糖類、香料、緩衝剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等を適宜選択して使用することができる。
【0029】
本発明のアルコール飲料は、通常のアルコール飲料の製造手法に従って製造することができる。すなわち、タンク中において原材料を混合し、次いで、香味を整えた水溶液に炭酸ガスを加えて、炭酸ガス含有アルコール飲料(発泡性アルコール飲料)を製造することができる。製造した炭酸ガス含有アルコール飲料はペットボトルや缶などに充填されて容器詰めにされてもよい。但し、これは一例であって、原材料を加える順序や原材料の組み合わせは上記に限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0031】
例1:
アルコール濃度(v/v%)と、総有機酸濃度(ppm)と、クエン酸濃度(ppm)と、イソアミルアルコール濃度(ppm)と、イソ酪酸濃度(ppm)と、カプロン酸濃度(ppm)と、2−フェネチルアルコール濃度(ppm)とがそれぞれ異なる合計11種の非発酵飲料を調製し、それらの醸造酒様の飲みごたえについて官能評価を行った。具体的には、表1の成分組成になるようクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸および酢酸から選択される1種または2種以上の有機酸、香料、原料用アルコールおよび水の全部または一部を混合し、得られた水溶液に炭酸ガス0.16MPa(20℃)を付加することにより官能評価サンプル1〜11のアルコール飲料を作製した。
【0032】
作製したアルコール飲料(官能評価サンプル1〜11)について評価に熟練した6名のパネルにより官能評価を実施し、醸造酒様の飲みごたえを評価した。官能評価は、醸造酒様の飲みごたえがない場合を1点とし、醸造酒様の飲みごたえがある場合を5点とする五段階評価で実施した。醸造酒様の飲みごたえの評価では4以上の評点に有意性があると判断した。結果は表1に記載される通りであった。
【0033】
【表1】
【0034】
官能評価評点平均は6名のパネルの官能評価点数の平均値を示した。官能評価評点平均に対し、1以上3.5未満の場合には×、3.5以上4未満の場合には△、4〜5の場合には○とそれぞれ判定した。
【0035】
官能評価の結果、アルコール濃度が
0.8v/v%以上3.0v/v%未満の非発酵飲料について、飲料中の
特定有機酸濃度が1000ppm以上であり;飲料中のイソアミルアルコール濃度が5.5〜55.0ppmであり;飲料中のイソ酪酸濃度が0.05〜0.30ppmであり、飲料中のカプロン酸濃度が0.30〜2.00ppmであり、および/または、飲料中の2−フェチネルアルコール濃度が1.00〜8.00ppmである場合は、醸造酒様の飲みごたえがあることが明らかとなった(サンプル3〜5および8〜11)。
【0036】
なお、有機酸濃度(ppm)と、クエン酸濃度(ppm)と、イソアミルアルコール濃度(ppm)と、イソ酪酸濃度(ppm)と、カプロン酸濃度(ppm)と、2−フェネチルアルコール濃度(ppm)は、下記のようにして測定を行った。すなわち、有機酸(クエン酸を含む)の濃度はキャピラリー電気泳動システムを用いて測定し、予め作成した検量線から濃度を算出した。イソアミルアルコールの濃度はガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detector)(以下、「GC/FID」という)にて、ヘッドスペースGC/FID法を用い分析し、内部標準法により濃度を算出した。イソ酪酸、カプロン酸および2−フェネチルアルコールの濃度はガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(以下、「GC/MS」という)を用いて測定し、標準添加検量線から濃度を算出した。