(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック手段は、前記オスコネクタに形成された凸部と干渉して抜け止め可能な干渉部を有するとともに、前記係止部が前記凸部より前記オスコネクタの基端部側に形成されたことを特徴とする請求項1記載のロック式接続具。
初期状態においては、前記ロック手段の前記干渉部と前記オスコネクタの前記係止部とが当接してその位置で前記ロック手段が係止されることを特徴とする請求項2記載のロック式接続具。
前記オスコネクタ及びメスコネクタの接続部を覆うカバー部を具備するとともに、当該カバー部に前記付勢手段が取り付けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載のロック式接続具。
【背景技術】
【0002】
血液浄化治療時に患者の血液を体外循環させるための血液回路は、通常、可撓性チューブから成る動脈側血液回路及び静脈側血液回路にて構成されており、当該動脈側血液回路及び静脈側血液回路のそれぞれの基端には、体外循環する血液を浄化するための血液浄化器(ダイアライザ等)が接続されるとともに、それぞれの先端には、患者に穿刺可能な動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針が取り付けられている。
【0003】
動脈側血液回路及び静脈側血液回路の先端には、それぞれシャントコネクタと称されるロック式接続具が形成されており、例えば動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針から延設されたチューブと動脈側血液回路及び静脈側血液回路を構成するチューブの先端とを当該ロック式接続具にて接続し得るようになっている。従来のロック式接続具は、動脈側血液回路及び静脈側血液回路を構成するチューブの先端に接続されたオスコネクタと、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針から延設されたチューブに接続されたメスコネクタとを有し、メスコネクタにオスコネクタを嵌合させて接続するとともに、オスコネクタとメスコネクタとの接続状態をロックするロックリングとを有していた。
【0004】
より具体的には、ロックリング(ロック手段)は、オスコネクタに取り付けられるとともに、内周面にメスコネクタの外周面に形成された雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部が形成されており、当該雌ネジ部を雄ネジ部に螺合させることによりオスコネクタとメスコネクタとの接続状態がロックされるよう構成されていた(例えば特許文献1参照)。これにより、動脈側血液回路及び静脈側血液回路の先端にそれぞれ動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を接続可能とされていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のロック式接続具においては、ロック手段の雌ネジ部とメスコネクタの雄ネジ部との螺合が緩んだ状態で、接続された血液回路が引っ張られる等して過度な荷重が付与されると、オスコネクタとメスコネクタとの接続が外れてしまう可能性があった。また、オスコネクタとメスコネクタとが良好に嵌合されて接続が確実に行われているにも関わらずロック手段の螺合が緩んでしまう可能性もあり、この場合、接続が確実に行われているか否か、医療従事者や患者に対して不安を感じさせてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ロック手段による螺合の緩みを確実に防止することができるロック式接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、基端部に液体を流通させ得るチューブが接続されるとともに、先端部に接続挿入部が形成されたオスコネクタと、前記接続挿入部を挿入させて嵌合可能な嵌合部を有し、当該嵌合部に対する前記接続挿入部の嵌合により前記オスコネクタと接続されて液体を流通可能とされるとともに、外周面に雄ネジ部が形成されたメスコネクタと、前記オスコネクタに取り付けられるとともに、内周面に前記雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部が形成され、当該雌ネジ部を雄ネジ部に螺合させることにより前記オスコネクタとメスコネクタとの接続状態をロックするロック手段とを具備したロック式接続具において、前記ロック手段の雌ネジ部が前記雄ネジ部に螺合した状態で当該螺合が緩む方向と反対方向に前記ロック手段を常時付勢する
とともに、前記ロック手段を前記接続挿入部の先端側に付勢する付勢手段を具備し、
前記付勢手段は、その他端が前記ロック手段に当接しつつ前記オスコネクタの軸部を挿通して構成され、且つ、前記オスコネクタは、前記接続挿入部を外部に臨ませた状態で前記ロック手段を係止可能な係止部が一体形成されるとともに、当該接続挿入部を前記メスコネクタの嵌合部に嵌合させた後、または当該接続挿入部を前記メスコネクタの嵌合部に嵌合させる過程において、前記係止部による前記ロック手段の係止を解除して当該ロック手段によるロックを可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のロック式接続具において、
前記ロック手段は、前記オスコネクタに形成された凸部と干渉して抜け止め可能な干渉部を有するとともに、前記係止部が前記凸部より前記オスコネクタの基端部側に形成されたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のロック式接続具において、初期状態においては、前記ロック手段の前記干渉部と前記オスコネクタの前記係止部とが当接してその位置で前記ロック手段が係止されることを特徴とする。
【0010】
請求項
4記載の発明は、請求項
1〜3の何れか1つに記載のロック式接続具において、前記付勢手段は、コイルバネから成ることを特徴とする。
【0011】
請求項
5記載の発明は、請求項
4記載のロック式接続具において、前記コイルバネに前記オスコネクタの軸部が挿通して組み付けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項
6記載の発明は、請求項1〜
4の何れか1つに記載のロック式接続具において、前記オスコネクタ及びメスコネクタの接続部を覆うカバー部を具備するとともに、当該カバー部に前記付勢手段が取り付けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項
7記載の発明は、請求項
6記載のロック式接続具において、前記カバー部は、前記付勢手段の付勢力を前記ロック手段に伝達するための腕部を有することを特徴とする。
【0014】
請求項
8記載の発明は、請求項1〜
7の何れか1つに記載のロック式接続具を具備したことを特徴とする医療用液体流路である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、ロック手段の雌ネジ部が雄ネジ部に螺合した状態で当該螺合が緩む方向と反対方向にロック手段を常時付勢するための付勢手段を具備したので、ロック手段による螺合の緩みを確実に防止することができる。
【0016】
また、オスコネクタは、接続挿入部を外部に臨ませた状態でロック手段を係止可能な係止部が形成されるとともに、当該接続挿入部をメスコネクタの嵌合部に嵌合させる際、係止部によるロック手段の係止を解除して当該ロック手段によるロックを可能としたので、接続挿入部の嵌合部に対する嵌合をより円滑且つ確実に行わせることができ、オスコネクタとメスコネクタとの接続時の作業性をより向上させることができる。
【0017】
請求項
4の発明によれば、付勢手段は、コイルバネから成るので、簡易な構成のロック式接続具を実現することができる。
【0018】
請求項
5の発明によれば、付勢手段として用いるコイルバネに、オスコネクタの軸部が挿通されているので、ロック手段による螺合の緩みを確実に防止しつつオスコネクタ及びメスコネクタの接続部が付勢手段によって大型化してしまうのを抑制でき、ロック式接続具のコンパクト化を図ることができる。
【0019】
請求項
6の発明によれば、オスコネクタ及びメスコネクタの接続部を覆うカバー部を具備するとともに、当該カバー部に付勢手段が取り付けられたので、ロック手段による螺合の緩みを確実に防止しつつオスコネクタ及びメスコネクタの接続部をカバー部にて保護することができる。
【0020】
請求項
7の発明によれば、カバー部は、付勢手段の付勢力をロック手段に伝達するための腕部を有するので、カバー部に対する付勢手段の配設位置を任意に設定することができるとともに、より確実にロック手段による螺合の緩みを防止することができる。
【0021】
請求項
8の発明によれば、ロック手段による螺合の緩みを確実に防止することができる医療用液体流路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るロック式接続具が適用される血液回路を示す模式図
【
図2】本発明の第1実施形態に係るロック式接続具(接続前)を示す斜視図
【
図3】同ロック式接続具におけるオスコネクタを示す図であって(a)側面図(b)断面図
【
図4】同ロック式接続具におけるメスコネクタを示す図であって(a)側面図(b)断面図
【
図5】同ロック式接続具(接続後であってロック前の状態)を示す(a)側面図(b)断面図
【
図6】同ロック式接続具(接続後であってロック後の状態)を示す(a)側面図(b)断面図
【
図7】本発明の第2実施形態に係るロック式接続具(接続前)を示す斜視図
【
図8】同ロック式接続具におけるオスコネクタを示す図であって(a)側面図(b)断面図
【
図9】同ロック式接続具(接続後であってロック前の状態)を示す斜視図
【
図10】同ロック式接続具(接続後であってロック前の状態)であって(a)側面図(b)断面図
【
図11】同ロック式接続具(接続後であってロック後の状態)を示す斜視図
【
図12】同ロック式接続具(接続後であってロック後の状態)であって(a)側面図(b)断面図
【
図13】本発明の第3実施形態に係るロック式接続具を示す斜視図
【
図14】同ロック式接続具におけるオスコネクタ及びメスコネクタ(接続前の状態)を示す側面図
【
図15】同ロック式接続具を示す(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図
【
図17】同ロック式接続具におけるカバー部を示す斜視図
【
図18】同カバー部を示す(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るロック式接続具は、例えば
図1に示すような動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2を有した血液回路に適用される。かかる血液回路は、人工透析治療のため患者の血液を体外循環させ、その途中において血液浄化等を行わせるもので、同図に示すように、先端に動脈側穿刺針aが接続された動脈側血液回路1と、先端に静脈側穿刺針bが接続された静脈側血液回路2とから主に構成されている。
【0024】
これら動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2のそれぞれの基端は、血液浄化器としてのダイアライザ3に接続されており、その内部に血液を流通させ得る血液流路が形成されている。また、ダイアライザ3には、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2がそれぞれ接続されており、透析液を流通させ得る流通路が形成されている。そして、体外循環する血液が血液流路を通過し、透析液が透析液流路を通過する際、血液中の不要物(老廃物)が透析液側に透析除去され得るようになっている。
【0025】
動脈側血液回路1の途中には、当該動脈側血液回路1の流路を構成するチューブをしごきつつ駆動するしごき型の血液ポンプ4が配設されているとともに、静脈側血液回路2の途中には、除泡のためのエアトラップチャンバ5が接続されており、体外循環させる過程において生じた血液中のエアを取り除いて当該血液を患者の体内に戻し得るよう構成されている。なお、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2の途中には、図示しないT字管やゴムボタン等が接続されて、透析治療をしつつ血液採取や薬剤投与等が行えるようになっている。
【0026】
動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2は、それぞれ可撓性チューブから成るものであり、患者の血液やプライミング液等を流通させ得る「医療用液体流路」を構成している。また、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2の先端は、それぞれロック式接続具8、9を介して動脈側穿刺針aから延設したチューブ6及び静脈側穿刺針bから延設したチューブ7とそれぞれ接続されている。これにより、動脈側穿刺針aから採取した患者の血液は、チューブ6及び動脈側血液回路1を流通し、ダイアライザ3にて血液浄化が施された後、静脈側血液回路2及びチューブ7を流通し、静脈側穿刺針bを介して患者に戻されることとなる。
【0027】
本発明の第1実施形態に係るロック式接続具(8、9)は、チューブ(6、7)と動脈側血液回路1又は静脈側血液回路2とを接続してそれぞれの流路を連通させ得るもので、
図2〜6に示すように、オスコネクタ10と、メスコネクタ14と、ロック手段12と、付勢手段としてのコイルバネ13とから主に構成されている。なお、説明の重複を避けるため、動脈側血液回路1とチューブ6とを接続するロック式接続具8について以下に詳細に説明するが、静脈側血液回路2とチューブ7とを接続するロック式接続具9についても同様の構成である。
【0028】
オスコネクタ10は、
図2、3に示すように、基端部10aに液体を流通させ得るチューブ(本実施形態においては動脈側血液回路1を構成する可撓性チューブ)が接続されるとともに、先端部に接続挿入部11が形成された樹脂(硬質樹脂)製部品から成るものである。このオスコネクタ10には、軸方向に亘って内部に貫通孔が形成されており、かかる貫通孔が液体を流通させ得る流路を構成している。接続挿入部11は、オスコネクタ10の先端側に一体的に成形された部位から成り、先端に向かって縮径したテーパ面を有して成る。
【0029】
また、基端部10aと接続挿入部11との間には、オスコネクタ10の軸方向に亘って所定寸法の長さで形成された軸部10bが形成されているとともに、軸部10bと接続挿入部11との間には、ロック手段12を抜け止めするための凸部10cが形成されている。なお、基端部10a、軸部10b、凸部10c及び接続挿入部11は、一体の樹脂製部品から成り、全体でオスコネクタ10を構成している。
【0030】
メスコネクタ14は、
図2、4に示すように、オスコネクタ10の接続挿入部11を挿入させて嵌合可能な嵌合部14cを有し、当該嵌合部14cに対する接続挿入部11の嵌合によりオスコネクタ10と接続され、液体を流通可能とされるとともに、外周面に雄ネジ部14bが形成された樹脂(硬質樹脂)製部品から成るものである。このメスコネクタ14には、軸方向に亘って内部に貫通孔が形成されており、かかる貫通孔が液体を流通させ得る流路を構成している。なお、図中符号14aは、チューブ6と接続した接続部を示している。
【0031】
ロック手段12は、
図2、3に示すように、略円筒状の樹脂(硬質樹脂)製部品から成り、オスコネクタ10の軸方向に対して摺動自在に取り付けられるとともに、オスコネクタ10に形成された凸部10cと干渉可能な干渉部12bが形成されており、かかる干渉部12bに凸部10cが干渉することによってロック手段12の抜け止めが図られている。また、ロック手段12は、内周面にメスコネクタ14の雄ネジ部14bと螺合可能な雌ネジ部12aが形成され、当該雌ネジ部12aを雄ネジ部14bに螺合(ロック手段12を回転して雄ネジ部14bと雌ネジ部12aとを螺合)させることによりオスコネクタ10とメスコネクタ14との接続状態をロックし得るものとされている。
【0032】
すなわち、メスコネクタ14の嵌合部14cにオスコネクタ10の接続挿入部11を挿入して嵌合(
図5参照)させた後、ロック手段12をオスコネクタ10の先端側(凸部10c側)に移動させつつロック手段12を回転させて雄ネジ部12aを雌ネジ部14bに螺合(
図6参照)させることにより、オスコネクタ10とメスコネクタ14との接続を確実に行わせる(嵌合部14cに対する接続挿入部11の嵌合を精度よく行わせる)とともに、当該オスコネクタ10とメスコネクタ14との接続状態がロックされるのである。
【0033】
コイルバネ13(付勢手段)は、ロック手段12の雌ネジ部12aが雄ネジ部14bに螺合した状態で当該螺合が緩む方向と反対方向にロック手段12を常時付勢するためのもので、一端がオスコネクタ10の基端部10a、他端がロック手段12にそれぞれ当接して圧縮された状態でオスコネクタ10の軸部10bに挿通されて取り付けられたコイル状のスプリングから成る。
【0034】
しかして、
図6に示すように、コイルバネ13の付勢力によってロック手段12を図中左側に押し付け、雌ネジ部12aの雄ネジ部14bに対する螺合が緩む方向(同図中、右方向)とは反対方向(同図中、左方向)に力を常時付与することにより、当該雌ネジ部12aが雄ネジ部14bに対して緩んでしまうのを防止できるのである。本実施形態によれば、ロック手段12の雌ネジ部12aが雄ネジ部14bに螺合した状態で当該螺合が緩む方向と反対方向にロック手段12を常時付勢するための付勢手段13を具備したので、ロック手段12による螺合の緩みを確実に防止することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る付勢手段は、オスコネクタ10の軸部10bを挿通させて取り付けられたコイルバネ13から成るので、ロック手段12による螺合の緩みを確実に防止しつつオスコネクタ10及びメスコネクタ14の接続部が付勢手段によって大型化してしまうのを抑制でき、ロック式接続具のコンパクト化を図ることができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係るロック式接続具について説明する。
本実施形態に係るロック式接続具は、第1実施形態と同様、血液回路(
図1参照)に適用され、チューブ(6、7)と動脈側血液回路1又は静脈側血液回路2とを接続してそれぞれの流路を連通させ得るもので、
図7〜12に示すように、オスコネクタ10と、メスコネクタ14と、ロック手段12と、付勢手段としてのコイルバネ13とから主に構成されている。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様、説明の重複を避けるため、動脈側血液回路1とチューブ6とを接続するロック式接続具8について以下に詳細に説明するが、静脈側血液回路2とチューブ7とを接続するロック式接続具9についても同様の構成である。
【0037】
ここで、本実施形態に係るオスコネクタ10は、
図8、10に示すように、接続挿入部11を外部に臨ませた状態でロック手段12を係止可能な係止部10dが形成されるとともに、当該接続挿入部11をメスコネクタ14の嵌合部14cに嵌合させる際、係止部10dによるロック手段12の係止を解除して当該ロック手段12によるロックを可能としている。
【0038】
すなわち、オスコネクタ10の軸部10bにおける所定位置には、
図8に示すように、周方向に突出した部位から成る係止部10dが一体形成されており、初期状態(組み付け工場から出荷される状態)においては、ロック手段12の干渉部12bと係止部10dとが当接してその位置でロック手段12が係止されており、接続挿入部11を外部に臨ませた状態が保持されている。そして、
図9、10に示すように、接続挿入部11をメスコネクタ14の嵌合部14cに嵌合させた後、ロック手段12に対してオスコネクタ10の先端側(接続挿入部11側)に力を付与すると、干渉部12bが係止部10dを乗り越えて係止が解除されることとなる。
【0039】
しかして、係止部10dによる干渉部12bに対する係止が解かれた後、第1の実施形態と同様、ロック手段12を回転させつつ軸部10bに沿って移動させ、雄ネジ部14bと雌ネジ部12aとを螺合させることにより、
図11、12に示すように、オスコネクタ10とメスコネクタ14との接続状態をロックすることができる。なお、本実施形態においては、接続挿入部11をメスコネクタ14の嵌合部14cに嵌合させた後、干渉部12bと係止部10dとの係止を解除しているが、接続挿入部11をメスコネクタ14の嵌合部14cに嵌合させる過程において、干渉部12bと係止部10dとの係止を解除するようにしてもよい。
【0040】
本実施形態によれば、オスコネクタ10は、接続挿入部11を外部に臨ませた状態でロック手段12を係止可能な係止部10dが形成されるとともに、当該接続挿入部11をメスコネクタ14の嵌合部14cに嵌合させる際、係止部10dによるロック手段12の係止を解除して当該ロック手段12によるロックを可能としたので、接続挿入部11の嵌合部14cに対する嵌合をより円滑且つ確実に行わせることができ、オスコネクタ10とメスコネクタ14との接続時の作業性をより向上させることができる。
【0041】
次に、本発明の第3実施形態に係るロック式接続具について説明する。
本実施形態に係るロック式接続具は、第1、2実施形態と同様、血液回路(
図1参照)に適用され、チューブ(6、7)と動脈側血液回路1又は静脈側血液回路2とを接続してそれぞれの流路を連通させ得るもので、
図13〜19に示すように、オスコネクタ10と、メスコネクタ14と、ロック手段12と、カバー部15と、付勢手段としてのコイルバネ16とから主に構成されている。
【0042】
本実施形態においては、オスコネクタ10及びメスコネクタ14は、
図14に示すように、第1、2実施形態の如きコイルバネ13が取り付けられておらず、代わりに、コイルバネ16がカバー部15内に取り付けられている。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。また、第1、2実施形態と同様、説明の重複を避けるため、動脈側血液回路1とチューブ6とを接続するロック式接続具8について以下に詳細に説明するが、静脈側血液回路2とチューブ7とを接続するロック式接続具9についても同様の構成である。
【0043】
カバー部15は、オスコネクタ10及びメスコネクタ14の接続部を覆う樹脂成形品から成り、オスコネクタ10及びメスコネクタ14の接続部を挿通させることにより、当該接続部を覆って保護可能とされている。すなわち、本実施形態に係るカバー部15は、
図17〜19に示すように、正面側、背面側及び上方が開放して形成されており、その開放部からロック手段12にて接続状態がロックされたオスコネクタ10及びメスコネクタ14の接続部を挿通することにより、当該接続部を覆って外部から不用意に触れてしまうのを防止することが可能とされているのである。
【0044】
このカバー部15は、コイルバネ16(付勢手段)が取り付けられているとともに、コイルバネ16の付勢力をロック手段12に伝達するための腕部17、18を有している。より具体的には、腕部17は、
図19に示すように、カバー部15における所定位置に一体形成(固定)して形成されるとともに、腕部18は、基端がコイルバネ16の一端部と共に変位可能な可動部19に一体形成されており、コイルバネ16の変位(圧縮及び収縮)に伴って移動可能とされている。
【0045】
一方、第1、2の実施形態の如く、メスコネクタ14の嵌合部14cにオスコネクタ10の接続挿入部11を挿入して嵌合させた後、ロック手段12をオスコネクタ10の先端側(凸部10c側)に移動させつつロック手段12を回転させて雄ネジ部12aを雌ネジ部14bに螺合させ、オスコネクタ10とメスコネクタ14とを接続させておく。そして、当該接続部をカバー部15に挿通して組み付けるとともに、その組み付け時において、
図16に示すように、腕部17をロック手段12に当接させ、腕部18を基端部10aに当接させる。
【0046】
これにより、コイルバネ16の付勢力は、腕部17、18を介してロック手段12に伝達されるので、当該コイルバネ16の付勢力によってロック手段12を図中左側に押し付け、雌ネジ部12aの雄ネジ部14bに対する螺合が緩む方向(同図中、右方向)とは反対方向(同図中、左方向)に力を常時付与することにより、当該雌ネジ部12aが雄ネジ部14bに対して緩んでしまうのを防止できる。
【0047】
本実施形態によれば、オスコネクタ10及びメスコネクタ14の接続部を覆うカバー部15を具備するとともに、当該カバー部15にコイルバネ16(付勢手段)が取り付けられたので、ロック手段12による螺合の緩みを確実に防止しつつオスコネクタ10及びメスコネクタ14の接続部をカバー部15にて保護することができる。また、本実施形態に係るカバー部15は、コイルバネ16(付勢手段)の付勢力をロック手段12に伝達するための腕部(17、18)を有するので、カバー部15に対するコイルバネ16の配設位置を任意に設定することができるとともに、より確実にロック手段12による螺合の緩みを防止することができる。
【0048】
上記第1〜3実施形態によれば、何れもロック手段12の雌ネジ部12aが雄ネジ部14bに螺合した状態で当該螺合が緩む方向と反対方向にロック手段12を常時付勢するための付勢手段(コイルバネ13、16)を具備したので、ロック手段12による螺合の緩みを確実に防止することができる。また、上記第1〜3実施形態においては、
図1に示す血液回路とは異なる他の医療用液体流路に適用することができ、ロック手段12による螺合の緩みを確実に防止することができる医療用液体流路を提供することができる。
【0049】
また、上記第1、2実施形態によれば、付勢手段として用いるコイルバネ13にオスコネクタ10の軸部10bが挿通された構成を採用することにより、ロック式接続具のオスコネクタ10とメスコネクタ14との接続状態をロックする際の操作手順を、ロックリングを備える従来のロック式接続具の操作手順と同一とすることができる。このため、医療従事者が操作手順を誤りロックを忘れてしまうという人為的ミスによる医療事故の発生を未然に防止することができる。
【0050】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えばロック手段12の雌ネジ部12aが雄ネジ部14bに螺合した状態で当該螺合が緩む方向と反対方向にロック手段12を常時付勢するための付勢手段であれば、本実施形態の如きコイルバネ(13、16)に代えて、他の汎用的付勢手段(トーションバネ等の他の形態のバネ、或いはゴム材や樹脂等)としてもよい。また、本実施形態においては、上記の如く血液回路の先端に穿刺針を接続させるためのシャントコネクタと称されるロック式接続具に適用されているが、液体又は気体の流路を接続するための他の形態のロック式接続具(医療用に限定されない)に適用するようにしてもよい。