【実施例】
【0036】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0037】
1.被覆肥料の作製
図1に示す製造装置を用いて、次の方法により粒状尿素の表面に被覆層を形成した。製造装置内では、熱風が流動層1の下部から上部に向けて流れ集塵機6を通過し、コンデンサー7でガスを冷却し、溶媒を凝縮回収する。コンデンサー7を通過したガスはブロワー8からヒーター12を通過して加熱され熱風として再度流動層1へ導かれるように循環している。このようなクローズドシステムを採用することで溶媒を外部に排出することはない。
【0038】
粒子3として粒状尿素(粒子径2.0〜4.0mm、平均粒径3.0mm)15kgを流動層1の側面に設置されている投入口から投入し、流動層1下部より導入される熱風および流動層1底部に設置される攪拌浴で流動状態にした。この際、粒子温度が60±2℃になるように、熱風流量及び熱風温度を調節した。熱風流量はブロワー9と流動層1の間に設置した流量計で測定しながら調節し、熱風温度は粒子温度や排気温度(流動層1上部温度)を測定しながら調節した。
【0039】
他方、溶解槽9に被覆層の組成としてポリエチレン(低密度ポリエチレン、密度0.923g/cm
3(JIS K 6760)、メルトフローレート(MFR)0.3g/10min.(JIS K 6760))50重量部、コーンスターチ5重量部、タルク(平均粒径10μm)45重量部、ステアリン酸鉄0.01重量部の各成分とテトラクロロエチレン1900重量部を投入し、100±2℃で30分間混合撹拌することによって樹脂を溶解し、濃度5重量%の均一な噴霧液5を調製した。被覆が終了するまで溶解槽9は常時攪拌した。
【0040】
噴霧液5を流動層1の上部に設置されているスプレーノズル2に流速約110kg/hで輸送し、流動中の粒状尿素に噴霧し吹き付けた。吹き付けられた噴霧液に含まれるテトラクロロエチレンはコンデンサー7により凝縮・回収されてタンク11で貯蔵され、溶解槽9へ導かれる。
【0041】
前述の被覆操作は流動中の粒状尿素の温度が60℃に達した時点から開始し、被覆量が最終の被覆肥料に対して12重量%となるまで行った。その後、粒子温度を60±2℃に維持することに留意して熱風の温度調節をしながら10分間熱風のみを吹き付けて乾燥を実施した。乾燥が終了した時点で被覆された粒状尿素を流動層1の最下部にある抜き出し口13より排出し、脱溶媒処理を経て溶出速度をコントロールする被覆層を有する被覆肥料(被覆尿素)を得た。
【0042】
被覆層の形成条件
粒状尿素:15kg
被覆中の粒子温度:60℃
溶解温度:100〜110℃
噴霧液温度:80〜100℃
熱風温度:130〜140℃
スプレー流速:108kg/h
2.被覆層表面の浮上防止処理
(実施例1)
予め粉砕機(商品名ミルサーIFM−800DG、岩谷産業社製)にて、塩化カリウムを30秒間粉砕、篩分して微粉末を得た。「1.被覆肥料の作製」で得られた被覆尿素100重量部を製造後速やかに回転ドラム式転動装置(直径90mm)に入れ、続いて25μm未満で篩い分けた塩化カリウム微粉末を0.3重量部添加した。60rpmで10分間転動し被覆尿素の表面に付着させることによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例1)を得た。なお、塩化カリウムの25℃の水に対する溶解度は36重量%である。
【0043】
(実施例2)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm以上、150μm以下で篩い分けた塩化カリウム微粉末を用い、その添加量を0.1重量部に替える以外は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例2)を得た。
【0044】
(実施例3)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm以上、150μm以下で篩い分けた塩化カリウム微粉末を用い、その添加量を0.5重量部に替える以外は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例3)を得た。
【0045】
(実施例4)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm以上、150μm以下で篩い分けた塩化カリウム微粉末を用い、その添加量を1.0重量部に替える以外は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例4)を得た。
【0046】
(実施例5)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、150μmより大で篩い分けた塩化カリウム微粉末を用い、その添加量を0.3重量部に替える以外は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例5)を得た。
【0047】
(実施例6)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、塩化カリウムを硫酸カリウムに替え、それ以外の条件は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例6)を得た。なお、硫酸カリウムの25℃の水に対する溶解度は12重量%である。
【0048】
(実施例7)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm未満で篩い分けた塩化カリウム微粉末を、25μm以上、150μm以下で篩い分けた硫酸カリウム微粉末に替え、それ以外の条件は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例7)を得た。
【0049】
(実施例8)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm未満で篩い分けた塩化カリウム微粉末を、25μm以上、150μm以下で篩い分けた硫酸カリウム微粉末に替え、その添加量を0.05重量部に替え、それ以外の条件は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例8)を得た。
【0050】
(実施例9)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm未満で篩い分けた塩化カリウム微粉末を、25μm以上、150μm以下で篩い分けた硫酸カリウム微粉末に替え、その添加量を1重量部に替え、さらにコーンスターチ(粒子径2〜30μm、平均粒径15μm)を0.1重量部混合して使用し、それ以外の条件は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例9)を得た。
【0051】
(実施例10)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm未満で篩い分けた塩化カリウム微粉末を、150μmより大で篩い分けた硫酸カリウム微粉末に替え、その添加量を0.3重量部に替え、それ以外の条件は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例10)を得た。
【0052】
(実施例11)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm未満で篩い分けた塩化カリウム微粉末を、25μm以上、150μm以下で篩い分けた炭酸ナトリウム微粉末に替え、それ以外の条件は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例11)を得た。なお、炭酸ナトリウムの25℃の水に対する溶解度は31重量%である。
【0053】
(実施例12)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、25μm未満で篩い分けた塩化カリウム微粉末を、25μm以上、150μm以下で篩い分けた塩化ナトリウム微粉末に替え、それ以外の条件は実施例1に準じて処理することによって、本発明品の被覆粒状肥料(実施例12)を得た。なお、塩化ナトリウムの25℃の水に対する溶解度は36重量%である。
【0054】
(比較例1)
浮上防止処理を行っていない被覆肥料、すなわち「1.被覆肥料の作製」で得られた被覆尿素そのものを対照品の被覆粒状肥料(比較例1)とした。
【0055】
(比較例2)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、塩化カリウム(粒径25μm未満)をカオリン(関東化学社製、平均粒径1μm)に変更する以外は、実施例1に準じて対照品の被覆粒状肥料(比較例2)を得た。
【0056】
(比較例3)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、塩化カリウム(粒径25μm未満)をシリカフューム(巴工業社製、平均粒径1μm)に変更する以外は、実施例1に準じて対照品の被覆粒状肥料(比較例3)を得た。
【0057】
(比較例4)
「2.被覆層表面の浮上防止処理」において、塩化カリウム(粒径25μm未満)をベントナイト(関東化学社製、粒径50μm未満)に変更する以外は、実施例1に準じて対照品の被覆粒状肥料(比較例4)を得た。
【0058】
3.水溶性無機粉体の保持量の定量
上記実施例の各サンプルについて、下記方法により、水溶性無機粉体の保持量の定量を行なった。なお、定量結果から、「保持量」は上述した実施例の浮上防止処理における「添加量」とほぼ一致した。
【0059】
ビーカーにサンプル5gと純水100mlを入れ、10分間の超音波処理を行なった。処理後の水溶液について、イオンクロマトグラフィー(東ソー社製、IC2001)で水溶性無機粉体の濃度を測定した。一方、ブランクとして、水溶性無機粉体を用いた浮上防止処理を行っていない被覆肥料について同様の操作を行い、水溶性無機粉体の濃度を測定した。サンプルの測定濃度からブランクの測定濃度を差し引いた値から、サンプルが保持していた水溶性無機粉体の重量に換算し、被覆肥料100重量部に対する割合を求めた。
【0060】
4.評価方法
上記実施例および比較例の被覆粒状肥料について、製造後半年以上経過後のサンプルを用いて、下記評価を行なった。
【0061】
(a)固結率の測定
17.5cm×17.5cmのポリエチレン製の袋にサンプル500gを入れヒートシールした。40℃、30kgの重りで荷重をかけて2日間保存した。重りを静かに取り除き、サンプルに衝撃を与えないように静かに袋の外側を切った。ハケを使用して、サンプルの固結部分を取り出し、重量を測定して固結率(%)を求めた。固結率の値より固結評価を◎○×の3段階で判定した。固結評価が◎または○すなわち固結率が35%未満であれば合格とする。
【0062】
固結率(%)=(固結部分の重量/全重量)×100
固結評価
固結率 0〜10% :◎
固結率 10〜35%:○
固結率 35%以上 :×
(b)発塵量の測定
蓋付きのポリプロピレン製容器(幅200mm、奥行き150mm、高さ210mm)の蓋の中央に上記サンプルを投入するための穴(直径40mm)を開け、空気抜き用の穴(直径15mm)をその横に開けた。そしてポリプロピレン製容器に蓋をして、蓋の中央の穴からロート(脚下径35mm)を用いてサンプル1kgを容器内に投入し、容器内の粉塵量を目視にて◎○×の3段階で判定した。発塵評価が◎または○であれば合格とする。
発塵評価
目視でほとんどなし〜タバコの煙程度:◎
目視で煙がもうもうとたつ程度:○
目視で煙がひどくもうもうとたつ程度:×
(c)浮上率の測定
風乾した2mmパスの黒ボク土100gにサンプル50粒を混合した後、16cm×20cmのバットに広げ、300mlの水を注いだ。バットを軽く振動させて、水面に浮上している粒数の割合を浮上率として求め、浮上性を◎○×の3段階で判定した。浮上評価が◎または○、すなわち浮上率が30%未満であれば合格とする。
浮上率(%)=(浮上粒数/全粒数)×100
浮上評価
浮上率 0〜20% :◎
浮上率 20〜30%:○
浮上率 30%以上 :×
(d)総合判定
固結、発塵、浮上の評価が全て◎であるものを◎、1つでも○があれば○、1つでも×があれば×と判定した。◎または○評価であれば合格とする。結果を表1に示す。判定の結果、水溶性無機粉体で被覆層の表面処理を行った被覆粒状肥料(実施例)はすべて、◎または○の判定であった。これに対して、水溶性無機粉体で被覆層の表面処理を行っていない被覆粒状肥料(比較例)はすべて×の判定であった。
【0063】
この結果から、被覆層の表面に水溶性無機粉体を保持させることによって、長期保管後も施用時に粒状肥料の水面への浮上防止効果を有するとともに、固結防止効果と発塵防止効果も併せ持つ被覆粒状肥料が得られることが明らかである。また、水溶性無機粉体としては、様々なアルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機酸塩またはハロゲン化物の組み合わせが利用できることが分かる。さらに、粒子径及び付着量を至適範囲に調整すれば、浮上防止効果、固結防止効果および発塵防止効果を高い水準(◎評価)で同時に満たすことができることも分かる。
【0064】
【表1】