特許第6706904号(P6706904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許67069043次元ディスプレイ装置のための補正係数決定方法及びその方法を用いた3次元ディスプレイ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706904
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】3次元ディスプレイ装置のための補正係数決定方法及びその方法を用いた3次元ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/133 20180101AFI20200601BHJP
   H04N 13/305 20180101ALI20200601BHJP
   H04N 13/31 20180101ALI20200601BHJP
【FI】
   H04N13/133
   H04N13/305
   H04N13/31
【請求項の数】21
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-229078(P2015-229078)
(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公開番号】特開2016-100902(P2016-100902A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2018年11月20日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0164755
(32)【優先日】2014年11月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】黄 孝 錫
(72)【発明者】
【氏名】朴 柱 容
(72)【発明者】
【氏名】張 現 盛
(72)【発明者】
【氏名】南 東 ▲きょん▼
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−65441(JP,A)
【文献】 特開2012−47882(JP,A)
【文献】 特開2012−60625(JP,A)
【文献】 特開2013−190713(JP,A)
【文献】 特開2012−256988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00−13/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元ディスプレイ装置のための補正係数決定方法において、
パネルに第1パターンの映像が印加される場合、前記パネル及び光学レイヤを介して出力される第2パターンの映像を取得するステップと、
前記第1パターン及び前記第2パターンに基づいて、前記3次元ディスプレイ装置のための補正係数を決定するステップであって、
前記第2パターンの映像をフーリエ変換するステップと、
前記フーリエ変換された映像で強度の最も高いピクセルを連結する第1線の傾きを算出し、前記第1線の傾きに基づいて前記第2パターンに含まれた第2線の傾きを算出することにより、前記第2パターンの傾きに対応する係数を測定するステップと、
前記フーリエ変換された映像で強度の最も高いピクセル間の高さ差を算出し、前記算出された高さ差及び前記フーリエ変換された映像の高さに基づいて前記第2パターンに含まれた線の間の間隔を算出することにより、前記第2パターンの周期に対応する係数を測定するステップと、を含むステップと、
を含む、補正係数決定方法。
【請求項2】
前記第1パターンは、
前記パネル内に連続的に配置されたサブピクセルを用いてディスプレイされる、又は
同じ明るさの連続する線が予め決定した間隔に配置されるパターンであり、
前記第2パターンは、複数の点を含む線が一定の間隔に配置されるパターンである、
請求項1に記載の補正係数決定方法。
【請求項3】
前記補正係数を決定するステップは、前記第1パターンの周期に対応する係数、前記第2パターンの傾きに対応する係数、及び前記第2パターンの周期に対応する係数に基づいて、前記補正係数を算出するステップを含む、請求項1に記載の補正係数決定方法。
【請求項4】
前記第1パターンの周期に対応する係数は、前記第1パターンに含まれた線の間の間隔を含み、
前記第2パターンの傾きに対応する係数は、前記第2パターンに含まれた線の傾きを含み、
前記第2パターンの周期に対応する係数は、前記第2パターンに含まれた線の間の間隔を含む、
請求項3に記載の補正係数決定方法。
【請求項5】
前記補正係数を決定するステップは、前記パネルのサブピクセル構造に基づいて前記第1パターンの周期に対応する係数を取得するステップを含む、請求項1に記載の補正係数決定方法。
【請求項6】
前記パネルのサブピクセル構造は、前記パネル内の前記第1パターンに用いられる色のサブピクセル間の間隔を含む、請求項5に記載の補正係数決定方法。
【請求項7】
前記フーリエ変換された映像の原点を中心に水平方向に最も近い点を検出するステップと、
前記原点と前記検出された点を連結する第3線の傾きを算出するステップと、
をさらに含み、
前記第2線の傾きは前記第3線の傾きに基づいて補正される、請求項に記載の補正係数決定方法。
【請求項8】
3次元ディスプレイ装置のための補正係数決定方法において、
パネルに第1パターンの映像が印加される場合、前記パネル及び光学レイヤを介して出力される第2パターンの映像を取得するステップと、
前記第1パターン及び前記第2パターンに基づいて、前記3次元ディスプレイ装置のための補正係数を決定するステップであって、
下記の数式(1)及び数式(2)に基づいて、前記光学レイヤと前記パネルとの間の回転角度及び前記光学レイヤのピッチを算出するステップ
【数5】
を含み、
前記gは前記第1パターンの周期に対応する係数であり、前記αは前記第2パターンの傾きに対応する係数であり、前記cは前記第2パターンの周期に対応する係数であり、
前記nは、前記第1パターンの一周期に対応する前記光学レイヤの元素数であり、前記θは前記光学レイヤと前記パネルとの間の回転角度であり、前記pは前記光学レイヤのピッチである、補正係数決定方法。
【請求項9】
前記光学レイヤと前記パネルとの間の回転角度及び前記光学レイヤのピッチを算出するステップは、
前記nが正の整数であり、前記θが予め一定の範囲以内の角度を有する(n、θ)候補を算出するステップと、
初期パラメータに基づいて前記(n、θ)候補のいずれか1つの(n、θ)候補を選択するステップと、
前記選択された(n、θ)候補に対応するpを算出するステップと、
を含む、請求項に記載の補正係数決定方法。
【請求項10】
前記パネルのサブピクセル構造がRGBストライプ構造である場合、
前記第1パターンは、レッド、グリーン、又は、ブルーのいずれか1つの色を有し、前記パネル内の同じ色のサブピクセルが連続的に配置された方向を有するストライプパターンである、請求項1乃至のいずれか一項に記載の補正係数決定方法。
【請求項11】
前記補正係数は、
前記光学レイヤのサイズに関する係数と、
前記光学レイヤのポーズに関する係数と、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の補正係数決定方法。
【請求項12】
前記光学レイヤのサイズに関する係数は前記光学レイヤのピッチを含み、
前記光学レイヤのポーズに関する係数は、前記光学レイヤと前記パネルとの間の回転角度を含む、
請求項11に記載の補正係数決定方法。
【請求項13】
前記光学レイヤは、レンズアレイ、パララックスバリア、又は、指向性バックライトユニットのうち少なくとも1つを含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の補正係数決定方法。
【請求項14】
前記第2パターンの映像は単一映像である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の補正係数決定方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み出し可能な記録媒体。
【請求項16】
3次元映像を表示する装置において、
前記装置のための補正係数に基づいて、パネルに含まれたサブピクセルのマッピング情報を補正する補正部と、
前記補正されたマッピング情報に基づいて、3次元映像のためのレンダリングを行うレンダリング部と、
を含み、
前記補正係数は、
前記パネルに第1パターンの映像が印加される場合、前記パネル及び光学レイヤの結合によって出力される第2パターンの映像をフーリエ変換し、
前記フーリエ変換された映像で強度の最も高いピクセルを連結する第1線の傾きを算出し、前記第1線の傾きに基づいて前記第2パターンに含まれた第2線の傾きを算出することにより、前記第2パターンの傾きに対応する係数を測定し、
前記フーリエ変換された映像で強度の最も高いピクセル間の高さ差を算出し、前記算出された高さ差及び前記フーリエ変換された映像の高さに基づいて前記第2パターンに含まれた線の間の間隔を算出することにより、前記第2パターンの周期に対応する係数を測定する、ことにより決定される、
装置。
【請求項17】
前記第1パターンは、
前記パネル内に連続的に配置されたサブピクセルを用いてディスプレイされる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1パターンの周期に対応する係数は、前記第1パターンに含まれた線の間の間隔を含み、
前記第2パターンの傾きに対応する係数は、前記第2パターンに含まれた線の傾きを含み、
前記第2パターンの周期に対応する係数は、前記第2パターンに含まれた線の間の間隔を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記第1パターンの周期に対応する係数は、前記パネルのサブピクセル構造に基づいて取得される、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記パネルのサブピクセル構造は、前記パネル内の前記第1パターンに用いられる色のサブピクセル間の間隔を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
3次元映像を表示する装置において、
前記装置のための補正係数に基づいて、パネルに含まれたサブピクセルのマッピング情報を補正する補正部と、
前記補正されたマッピング情報に基づいて、3次元映像のためのレンダリングを行うレンダリング部と、
を含み、
前記補正係数は、
前記パネルに第1パターンの映像が印加される場合、前記パネル及び光学レイヤの結合によって出力される第2パターンの映像に基づいて決定され、
下記の数(1)及び下記の数(2)に基づいて、前記光学レイヤと前記パネルとの間の回転角度及び前記光学レイヤのピッチが算出され、
【数6】
前記gは前記第1パターンの周期に対応する係数であり、前記αは前記第2パターンの傾きに対応する係数であり、前記cは前記第2パターンの周期に対応する係数であり、
前記nは前記第1パターンの一周期に対応する前記光学レイヤの元素数であり、前記θは前記光学レイヤと前記パネルとの間の回転角度であり、前記pは前記光学レイヤのピッチである、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、3次元ディスプレイ装置のための補正係数決定方法及びその方法を用いた3次元ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体映像を認知するための要因のうち最も支配的な要因はユーザの両目に見える映像の差である。ユーザの両目に互いに異なる映像を見せるための方法として、偏光を用いた分割、時分割、原色(primary color)の波長を相異にした波長分割などを所望する映像をフィルタリングするメガネ方式と、パララックスバリア(parallax barrier)、レンチキュラレンズ(lenticular lens)、又は指向性バックライトユニット(directional BLU)などの3次元変換装置を用いて各映像を特定空間でのみ見ることができるようにした裸眼方式がある。
【0003】
裸眼方式の場合、メガネ着用の不便を減らし得る長所がある。しかし、3次元ディスプレイ装置の生産過程又は3次元変換装置の設置過程などで設計値と異なる誤差が発生する場合、クロストークにより映像の品質が低下する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、サイズ誤差とポーズ誤差が発生する場合において、現在のサイズとポーズに適するようパネルのサブピクセルを補正する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面によると、3次元ディスプレイ装置のための補正係数決定方法において、パネルに第1パターンの映像が印加される場合、前記パネル及び光学レイヤを介して出力される第2パターンの映像を取得するステップと、前記第1パターン及び前記第2パターンに基づいて、前記3次元ディスプレイ装置のための補正係数を決定するステップと、を含む、補正係数決定方法が提供される。
【0006】
一側面によると、3次元映像を表示する装置において、前記装置のための補正係数に基づいて、パネルに含まれたサブピクセルのマッピング情報を補正する補正部と、前記補正されたマッピング情報に基づいて、3次元映像のためのレンダリングを行うレンダリング部と、を含み、前記補正係数は、前記パネルに第1パターンの映像が印加される場合、前記パネル及び光学レイヤの結合によって出力される第2パターンの映像に基づいて決定される、装置が提供される。
【0007】
一側面によると、第1パターンを有する第1映像及び第2パターンを有する第2映像に基づいて、3次元ディスプレイ装置のための補正係数を決定する決定部であって、前記第2映像は、前記第1映像が前記3次元ディスプレイ装置のパネル及び光学レイヤを用いてディスプレイされるバージョンである、決定部と、それぞれのサブピクセルの光の進行方向を指示する前記補正係数に基づいて前記パネルのサブピクセルを補正する補正部と、を含む、装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によると、サイズ誤差とポーズ誤差が発生する場合であっても、現在のサイズとポーズに適するようパネルのサブピクセルを補正する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る3次元ディスプレイ装置のための補正係数決定装置を説明する図である。
図2】一実施形態に係る第1パターンの映像と第2パターンの映像との間の関係を説明する図である。
図3】一実施形態に係る第1パターンの映像を表示する方法を説明する図である。
図4】一実施形態に係る第2パターンの映像が生成される原理を説明する図である。
図5A】一実施形態に係る第2パターンの映像に含まれた線の傾きが決定される原理を説明する図である。
図5B】一実施形態に係る第2パターンの映像に含まれた線の傾きが決定される原理を説明する図である。
図5C】一実施形態に係る第2パターンの映像に含まれた線の傾きが決定される原理を説明する図である。
図6】一実施形態に係る第2パターンの映像に含まれた線の間隔が決定される原理を説明する図である。
図7】第2パターンの映像と3次元ディスプレイ装置のための補正係数の間の幾何学的関係を説明する図である。
図8】第2パターンの映像と3次元ディスプレイ装置のための補正係数の間の幾何学的関係を説明する図である。
図9】第2パターンの映像と3次元ディスプレイ装置のための補正係数の間の幾何学的関係を説明する図である。
図10A】一実施形態に係る様々な解に対応する場合を説明する図である。
図10B】一実施形態に係る様々な解に対応する場合を説明する図である。
図11A】一実施形態に係る候補解を導き出す方法を説明する図である。
図11B】一実施形態に係る候補解を導き出す方法を説明する図である。
図12】一実施形態に係る第2パターンの映像をフーリエ変換して第2パターンの傾きに対応する係数、及び第2パターンの周期に対応する係数を測定する方式を説明する図である。
図13】実施形態に係る補正係数決定装置を含むディスプレイ装置を説明する図である。
図14】実施形態に係る補正係数決定装置を含むディスプレイ装置を説明する図である。
図15】一実施形態に係る補正係数に基づいた補正動作を行う3次元ディスプレイ装置を説明する図である。
図16】一実施形態に係る補正係数決定方法を示した動作フローチャートである。
図17A】第1パターンの映像が応用される実施形態を説明する図である。
図17B】第1パターンの映像が応用される実施形態を説明する図である。
図18】一実施形態に係る第2パターンの映像を正規化する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を添付する図面を参照しながら詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。下記で説明する実施形態は、様々なディスプレイ装置に適用され得る。例えば、実施形態は、テレビ、デジタル看板、タブレットコンピュータ、スマートフォンなどに取付けられたディスプレイ装置に適用され得る。
【0011】
図1は、一実施形態に係る3次元ディスプレイ装置のための補正係数決定装置を説明する図である。図1を参照すると、一実施形態に係る補正係数決定装置110は、3次元ディスプレイ装置120のための補正係数(calibration parameter)を決定する。3次元ディスプレイ装置120は、3次元映像を表示する装置であって、例えば、裸眼3次元ディスプレイ装置を含んでもよい。
【0012】
裸眼3次元ディスプレイ装置は、ユーザがメガネなどの付加的な装置を着用することなく3次元映像を視聴可能にする装置である。裸眼3次元ディスプレイ装置は、裸眼立体(Autostereoscopic)ディスプレイ装置、マルチビューディスプレイ装置などとして称する。
【0013】
2次元ディスプレイ装置に含まれたピクセルそれぞれから出力される光は全ての方向に伝播される一方、裸眼3次元ディスプレイ装置に含まれたピクセルそれぞれから出力される光は、光学レイヤを介して制限された方向にのみ出力される。そのため、ユーザの両目に入射される映像が変わってユーザは立体感を感じることができる。このように、光学レイヤは3次元変換装置に用いることができる。
【0014】
裸眼3次元ディスプレイ装置は、パネルの前面又は後面に光学レイヤが取付けられた形態に実現することができる。光学レイヤは、パネルを通過する光の進行方向を制御する。パネルは、LCDパネル、LEDパネル、OLEDパネルなどで構成され、光学レイヤは、レンズアレイ、パララックスバリア、指向性バックライトユニットなどで構成され得る。例えば、パネルのピクセルは全ての方向に光を出力する。光学レイヤがレンズアレイで構成される場合、光がレンズアレイによって屈折されて特定方向にのみ出力され得る。又は、光学レイヤがパララックスバリアで構成される場合、パララックスバリアによって特定方向の光のみが通過して残り方向の光は遮断され得る。
【0015】
メガネ式3次元ディスプレイ装置の場合、ユーザが着用したメガネで時間差、光の偏光、カラーフィルタなどを用いて左側映像と右側映像がフィルタリングされるため、時間又は空間により分割されたステレオ映像が全ての方向に表示される。一方、裸眼3次元ディスプレイ装置の場合、裸眼3次元ディスプレイ装置で光が出力される時点で光の方向が決定される。そのため、実際の光の方向と設計された方向との間に誤差が発生する場合、クロストークが発生することがある。クロストークが発生すると、ユーザは鮮明ではない映像を見たり、誤差が激しい場合はめまいなどを誘発し得るゆがんだ映像を見ることになる。
【0016】
実際の光の方向と設計された方向との間に誤差が発生する原因は、大きく2種類が挙げられる。第1に、光学レイヤのサイズ誤差によって実際の光の方向と設計された方向との間に誤差が発生する。光学レイヤのサイズ誤差は、製造された光学レイヤのサイズが設計値と異なることを意味する。サイズの代表的な例として、光学レイヤのピッチを用いることができる。裸眼3次元ディスプレイ装置はサブピクセル単位を扱い、そのサイズはミリメートル以下の単位である。さらに、マイクロメートル以下のサイズ誤差によっても3次元映像が相異になる。このようなサイズ誤差は、光学レイヤを加工するステップで発生し得る。
【0017】
第2に、光学レイヤのポーズ誤差により実際の光の方向と設計された方向との間に誤差が発生する。光学レイヤのポーズ誤差は、パネルに取付けられた光学レイヤのポーズが設計値と異なることを意味する。ここで、光学レイヤのポーズは、光学レイヤがパネルに取付けられた高さ及び角度などを含んでもよい。ポーズの代表的な例として、光学レイヤとパネルとの間の回転角度を用いてもよい。裸眼3次元ディスプレイ装置を設計するとき、パネルに含まれたピクセルの配列及び光学レイヤのポーズが考慮されるものの、実際に光学レイヤをパネルに取付ける時にポーズ誤差が発生することがある。ポーズ誤差による小さい角度変化によって3次元映像が大きく変わり得る。
【0018】
実施形態は、サイズ誤差とポーズ誤差が発生する場合にも現在のサイズとポーズに適するようにパネルのピクセル配列を補正することで、クロストークの発生を防止できる。例えば、実施形態はパネルに含まれたサブピクセルのマッピング情報を補正し、補正されたマッピング情報により3次元映像のレンダリングを行うことができる。
【0019】
このような補正のために、サイズ誤差とポーズ誤差を正確に推定することが要求される。実施形態は、予め決定した第1パターンの映像121を3次元ディスプレイ装置120のパネル122に表示し、ユーザの位置で再生する第2パターンの映像130をキャプチャーし、キャプチャーされた第2パターンの映像130を用いて3次元ディスプレイ装置120の補正係数を決定する技術を提供する。
【0020】
以下で詳細に説明するが、実施形態は、3次元ディスプレイ装置120の補正係数を決定するために単一映像のみを用いることができる。また、実施形態は、第2パターンの映像130をキャプチャーするためのイメージセンサの正確なビュー・ポイント、ポーズ、位置などを要求することなく、第2パターンの映像130をキャプチャーするために一般的なイメージセンサ、カメラなどを用いることができる。
【0021】
補正係数決定装置110は、取得部111及び決定部112を含む。取得部111は、パネル122に第1パターンの映像121が印加される場合、パネル122及び光学レイヤ123を介して出力される第2パターンの映像130を取得する。取得部111及び決定部112のそれぞれは、ソフトウェア、ハードウェア、又は、その組合せで実現し得る。
【0022】
図2を参照すると、第1パターンの映像121は、明るさ値が同一であり、連続する線が一定の間隔に配置されたパターンを含む。例えば、第1パターンはストライプパターンであってもよい。第1パターンの映像121は、光学レイヤ123を通過しながら第2パターンの映像130と共に再生できる。第2パターンの映像130は、光学レイヤ123の中心点(レンズの中心軸、スリットなど)を通過する光線イメージであり得る。第2パターンの映像130は、複数の点を含む線が一定の間隔に配置されたパターンを含み得る。例えば、第2パターンの映像130は、1つの主方向を有する反復的な線を含んでもよい。
【0023】
第2パターンの映像130に含まれた線それぞれの傾きは、第1パターンの映像121に含まれた線それぞれの傾きとは異なる。例えば、第1パターンの映像121に含まれた線は垂直線であり、第2パターンの映像130に含まれた線は傾いた線である。また、第2パターンの映像130に含まれた線の間の間隔は、第1パターンの映像121に含まれた線の間の間隔とは異なる。以下で詳細に説明するが、決定部112は、第2パターンの映像130に含まれた線のうち隣接する2つの線131、132を分析することで、3次元ディスプレイ装置120のための補正係数を決定することができる。例えば、決定部112は、線131と線132の傾き、及び線131と線132の間の間隔を用いて光学レイヤ123のポーズとピッチを決定することができる。
【0024】
第1パターンの映像121は、パネル122内に連続的に配置されたサブピクセルを用いてディスプレイされる。図3を参照すると、3次元ディスプレイ装置のパネルに含まれたピクセル300それぞれは複数のサブピクセルで構成される。例えば、ピクセル310は、赤色に対応するRサブピクセル311、緑色に対応するGサブピクセル312、及び青色に対応するBサブピクセル313から構成されてもよい。ピクセル310のサブピクセルはストライプ構造で配列され得る。
【0025】
第1パターンの映像121に含まれた線は、一定の間隔で同一の列に位置するサブピクセルをONさせることで表示する。同一の列に位置するサブピクセルは同一の色であり得る。同一の列のサブピクセルがONされる間隔又は周期を調整することによって第1パターンの映像121に含まれた線の間の間隔又は周期が調整され得る。以下、説明の便宜のために3次元ディスプレイ装置のパネルに含まれたピクセルは、ストライプ構造のRGBサブピクセルで構成される実施形態を説明するが、パネルのサブピクセル構造は様々に変形され得る。
【0026】
図4は、一実施形態に係る第2パターンの映像が生成される原理を説明する図である。図4を参照すると、パネル122に含まれたサブピクセルと光学レイヤ123によって出力される光は制限された方向にのみ進行される。
【0027】
一例として、光学レイヤ123はレンズアレイ420で構成されてもよい。レンズアレイ420は、レンチキュラレンズであってもよい。サブピクセル411及びサブピクセル412から出力される光は、レンズアレイ420によって屈折され、サブピクセル411及び412からレンズの中心に向かう方向にのみ進行される。
【0028】
又は、光学レイヤ123は、パララックスバリア430で構成されてもよい。サブピクセル411及びサブピクセル412から出力される光はパララックスバリア430によって遮断され、パララックスバリア430のスリットを通過する方向にのみ進行される。
【0029】
パネル122がLCDパネルである場合、レンズアレイ420が取付けられた面と反対面にバックライトユニットが取付けられる。この場合、サブピクセル411及びサブピクセル412から出力される光は、バックライトユニットで発生してサブピクセル411及びサブピクセル412を通過した光である。パネル122がLEDパネル又はOLEDパネルである場合、サブピクセル411及びサブピクセル412は自ら光を発生させ得る。
【0030】
他の例として、光学レイヤ123は、指向性バックライトユニット440で構成されてもよい。指向性バックライトユニット440は、パネル122の下面に取付けられる。この場合、パネル122はLEDパネルであってもよい。一般的なバックライトユニットは全ての方向に進行される光を発生させることと異なって、指向性バックライトユニット440は、制限された方向にのみ進行される光を発生させ得る。指向性バックライトユニット440で発生した光は、サブピクセル411及びサブピクセル412を通過して進行される。
【0031】
サブピクセルが光学レイヤ上いずれかの点を通過して出力されるか、あるいは光学レイヤ上ある点で発生した光がサブピクセルを通過して出力されるかを説明することにおいて、レンズアレイ420の焦点位置、パララックスバリア430のスリット位置、及び指向性バックライトユニット440の光源位置は同一の役割を果たす。例えば、第2パターンの映像130に含まれた点の位置はレンズアレイ420の焦点位置、パララックスバリア430のスリット位置、又は、指向性バックライトユニット440の光源位置であり得る。したがって、レンズアレイ420、パララックスバリア430、及び指向性バックライトユニット440のピッチが同一であれば、同一の第2パターンの映像130がキャプチャーされる。以下、説明の便宜のためにレンズアレイ420を用いる場合を説明するが、実施形態はパララックスバリア430、又は、指向性バックライトユニット440を用いる場合にも同一に適用され得る。
【0032】
図5Aないし図5Cは、一実施形態に係る第2パターンの映像に含まれた線の傾きが決定される原理を説明する図である。図5を参照すると、第2パターンの映像に含まれた線の傾き又は主方向は、第1パターンの映像に含まれた線の間の間隔及び光学レイヤの水平ピッチ間の関係によって決定され得る。光学レイヤの水平ピッチは、光学レイヤのピッチの水平成分である。
【0033】
第1ケース510、第2ケース520、及び第3ケース530は、それぞれ3次元ディスプレイ装置を任意の視点から見た平面図である。以下、説明の便宜のために第1ケース510、第2ケース520、及び第3ケース530で3次元ディスプレイ装置を見た視点をそれぞれ第1視点、第2視点、及び第3視点と称する。
【0034】
第1ケース510を参照すると、線515と線516は、パネルにディスプレイされる第1パターンの映像に含まれた線である。線515と線516を用いて出力された光は、光学レイヤによって第1視点に全て達することができない場合がある。代わりに、線515とレンズ513の中心軸が接する点511を用いて出力された光、及び線516とレンズ514の中心軸が接する点512を用いて出力された光のみが第1視点に到達し得る。点511、点512のような点が集まって第2パターンの映像が形成され得る。
【0035】
第1パターンの映像に含まれた線の間の間隔と光学レイヤの水平ピッチが同一である場合、第2パターンの映像に含まれた線の傾きは0である。光学レイヤの水平ピッチは光学レイヤのピッチの水平成分として、例えば、レンズ513の中心軸とレンズ514の中心軸が水平方向に離隔した間隔であり得る。第1ケース510で線515と線516との間の間隔は、レンズ513の中心軸とレンズ514の中心軸が水平方向に離隔した間隔と同一であるため、点511と点512が形成する線の傾きは0である。
【0036】
第2ケース520を参照すると、線525とレンズ523の中心軸が接する点521を介して出力された光、及び線526とレンズ524の中心軸が接する点522を用いて出力された光が第2視点に到達し得る。第1パターンの映像に含まれた線の間の間隔よりも光学レイヤの水平ピッチが大きい場合、第2パターンの映像に含まれた線の傾きは0よりも大きい。第2ケース520で線525と線526との間の間隔よりもレンズ523の中心軸とレンズ524の中心軸が水平方向に離隔した間隔が大きいため、点521と点522が形成する線の傾きは0よりも大きい。
【0037】
第3ケース530を参照すると、線535とレンズ533の中心軸が接する点531を用いて出力された光、及び線536とレンズ534の中心軸が接する点532を用いて出力された光が第3視点に到達し得る。第1パターンの映像に含まれた線の間の間隔よりも光学レイヤの水平ピッチが小さい場合、第2パターンの映像に含まれた線の傾きは0よりも小さい。第3ケース530で線535と線536との間の間隔よりもレンズ533の中心軸とレンズ534の中心軸が水平方向に離隔した間隔が小さいため、点531と点532が形成する線の傾きは0よりも小さい。
【0038】
前述したケースはレンズアレイが左側に傾いたケースに当該し、もし、レンズアレイが右側に傾いた場合、第2パターンの映像に含まれた線の傾きは反対となる。
【0039】
このように、第2パターンの映像に含まれた線の傾きは、第1パターンの映像に含まれた線の間の間隔及び光学レイヤの水平ピッチの間の関係によって決定されるため、第2パターンの映像に含まれた線の傾きを把握すれば、逆に、第1パターンの映像に含まれた線の間の間隔及び光学レイヤの水平ピッチの間の関係を推定することができる。
【0040】
図6は、一実施形態に係る第2パターンの映像に含まれた線の間隔が決定される原理を説明する図である。図6を参照すると、第2パターンの映像に含まれた隣接する線の間には少なくとも1つのレンズが存在し得る。第2パターンの映像に含まれた線の間隔は、光学レイヤの垂直ピッチによって決定され得る。光学レイヤの垂直ピッチは光学レイヤのピッチの垂直成分である。図6は、3次元ディスプレイ装置を任意の視点で見た平面図であり、以下説明の便宜のために当該の視点を第4視点であると称する。
【0041】
線610は、パネルにディスプレイされる第1パターンの映像に含まれた線である。図5を参照して上述したように、光学レイヤ620によって線610を介して出力された光が全て第4視点に到達する代わりに、線630を構成する複数の点などを用いて出力された光のみが第4視点に到達し得る。この場合、光学レイヤの垂直ピッチは線630が垂直方向に離隔した間隔である。
【0042】
このように、第2パターンの映像に含まれた線の間隔は光学レイヤの垂直ピッチによって決定されるため、第2パターンの映像に含まれた線の間隔を把握すれば、逆に、光学レイヤの垂直ピッチを推定することができる。
【0043】
図7図9は、第2パターンの映像と3次元ディスプレイ装置のための補正係数の間の幾何学的関係を説明する図である。図7を参照すると、第2パターンの映像は、線631と線632を構成する複数の点などを含む。図1に示す決定部112は、第2パターンの映像から第2パターンの傾きに対応する係数αを測定し得る。例えば、第2パターンの傾きに対応する係数αは線632の傾きであってもよい。また、決定部112は、第2パターンの映像から第2パターンの周期に対応する係数cを測定し得る。例えば、第2パターンの周期に対応する係数cは線631と線632が垂直方向に離隔した間隔に対応する。
【0044】
線611と線612は、第1パターンの映像に含まれた線である。決定部112は、3次元ディスプレイ装置のパネルに関する情報を予め把握していることができる。例えば、決定部112は、パネルのサブピクセル構造、パネルの解像度、パネルの大きさなどを把握できる。パネルのサブピクセル構造は、パネル内第1パターンに用いられる色のサブピクセル間の間隔を含む。決定部112は、パネルに関する情報に基づいて第1パターンの周期に対応する係数gを取得できる。例えば、第1パターンの周期に対応する係数gは、線611と線612との間の間隔であり得る。
【0045】
第1パターンの映像はパネルにディスプレイされ、第2パターンの映像は任意の視点でキャプチャーされるため、パネルにディスプレイされる線の間の実際の間隔と第2パターンの映像の上に仮想的に示された線611、612の間の間隔は互いに異なる。決定部112は、パネルの大きさと第2パターンの映像の大きさの比率を考慮して線611と線612との間の間隔を取得することができる。
【0046】
決定部112は、第1パターン及び第2パターンに基づいて3次元ディスプレイ装置のための補正係数を決定する。例えば、決定部112は、第2パターンの傾きに対応する係数α、第2パターンの周期に対応する係数c、及び第1パターンの周期に対応する係数gに基づいて、3次元ディスプレイ装置のための補正係数を決定する。3次元ディスプレイ装置のための補正係数は、光学レイヤのサイズに関する係数p及び光学レイヤのポーズに関する係数θを含む。
【0047】
光学レイヤのサイズに関する係数pは、光学レイヤのピッチであってもよい。光学レイヤのピッチは光学レイヤに含まれた元素の間の間隔として、例えば、第1レンズの中心軸621と第2レンズの中心軸622との間の最短間隔である。光学レイヤのポーズに関する係数θは光学レイヤの回転角度である。光学レイヤの回転角度はパネルを基準にして光学レイヤが回転した角度であって、例えば、第3レンズの中心軸623とパネルに表示される線612との間の角度である。
【0048】
図8を参照すると、第1レンズの中心軸621と第2レンズの中心軸622が水平方向に離隔した間隔(以下、「水平間隔)という)はp/cosθである。p/cosθは光学レイヤの水平ピッチである。第1レンズの中心軸621と第2レンズの中心軸622との間の水平間隔は、第2レンズの中心軸622と第3レンズの中心軸623との間の水平間隔と同一である。したがって、第1レンズの中心軸621と第3レンズの中心軸623との間の水平間隔は2・p/cosθである。
【0049】
直角三角形810を参照すると、底辺の長さは2・p/cosθ−gであり、高さはg・tanαであり、一鋭角の大きさはθである。直角三角形810の2つの辺の長さとある鋭角の大きさに基づいて数式(1)が導き出される。
【0050】
【数1】
数式(1)は数式(2)のように整理され得る。
【0051】
【数2】
ここで、gは第1パターンの周期に対応する係数であり、αは第2パターンの傾きに対応する係数である。θは光学レイヤとパネルとの間の回転角度であり、pは光学レイヤのピッチである。nは第1パターンの一周期に対応する光学レイヤの元素数として、例えば、第2パターンの映像に含まれた隣接線の間に存在するレンズの数であってもよい。
【0052】
図9を参照すると、第1レンズの中心軸621と第2レンズの中心軸622が垂直方向に離隔した間隔(以下、「垂直間隔」という)はp/sinθである。直角三角形910を参照すると、底辺の長さはpであり、高さはsinθであり、一鋭角の大きさはθである。直角三角形910の2つの辺の長さと一鋭角の大きさに基づいて数式(3)が導き出される。
【0053】
【数3】
ここで、cは第2パターンの周期に対応する係数であり、pは光学レイヤのピッチであり、θは光学レイヤとパネルとの間の回転角度である。図1に示す決定部112は、数式(2)及び数式(3)に基づいて、光学レイヤのピッチp及び光学レイヤとパネルとの間の回転角度θを決定する。
【0054】
説明の便宜のために、図7図9は、nが2である場合を仮定して説明したが、nにより光学レイヤのピッチp及び光学レイヤとパネルの間の回転角度θが様々に変更され得る。一例として、図10A及び図10Bを参照すると、第1パターンと第2パターンが与えられた状況で、nが1である場合1010、数式(2)及び数式(3)を満足する光学レイヤのピッチp及び光学レイヤとパネルの間の回転角度θが算出される。他の例として、第1パターンと第2パターンが与えられた状況で、nが3である場合1020、数式(2)及び数式(3)を満足する光学レイヤのピッチp及び光学レイヤとパネルの間の回転角度θが算出される。
【0055】
数式(2)及び数式(3)において、未知数はn、p、θとして合わせて3個である。未知数の個数が方程式の個数よりも多いため、数式(2)及び数式(3)を満足する複数の解が存在する。例えば、第1パターンの一周期に対応する光学レイヤの元素数n、及び光学レイヤの回転角度θの間の関係は、図11A及び図11Bに示すグラフのように表現され得る。
【0056】
第1パターンの一周期に対応する光学レイヤの元素数nは1以上の正の整数であり、光学レイヤの回転角度θは−90゜以上+90゜以下であるため、図11A及び図11Bに示すグラフから候補解が抽出され得る。例えば、nは1、2、3、又は、4である場合にθはそれぞれ23.2735゜、11.9920゜、8.0214゜、又は、6.0218゜である。θを把握すれば、数式(3)によりpが算出されることができる。
【0057】
もし、3次元ディスプレイ装置の初期パラメータが知られた場合、初期パラメータを用いて候補解のうち最適の解が選択される。初期パラメータは、3次元ディスプレイ装置の設計値であり得る。例えば、3次元ディスプレイ装置の光学レイヤのピッチが0.5mmと設計された場合、候補解のうちピッチpが設計値0.5mmと最も近似なn=2である候補解が最終的に選択される。又は、3次元ディスプレイ装置の光学レイヤの回転角度が12゜と設計された場合、候補解のうち回転角度θが設計値12゜と最も近似なn=2である候補解が最終的に選択される。実施形態は、光学レイヤの回転角度と光学レイヤのピッチを同時に決定する技術を提供することができる。
【0058】
図12は、一実施形態に係る第2パターンの映像をフーリエ変換して第2パターンの傾きに対応する係数、及び第2パターンの周期に対応する係数を測定する方式を説明する図である。実施形態は、ノイズに強く、キャプチャーされた映像の傾きに関係なく係数を測定する技術を提供することができる。
【0059】
第2パターンの映像に含まれたパターンはノイズを含んだり、不規則的であることがある。そのため、第2パターンの映像で直接第2パターンの傾き及び/又は第2パターンの間隔を測定する場合に誤差が発生し得る。実施形態は、第2パターンの映像をフーリエ変換して周波数ドメインで第2パターンの傾きに対応する係数及び第2パターンの周期に対応する係数を正確に測定する技術を提供することができる。
【0060】
図12を参照すると、映像1200は、第2パターンの映像をフーリエ変換した結果である。第2パターンの映像と異なって映像1200にはパターンの傾きと周期が明確に表示され、第2パターンの映像にノイズが含まれても映像1200には同一の傾き及び周期が表示され得る。
【0061】
図1に示す決定部112は、映像1200を用いて第2パターンの傾きに対応する係数及び第2パターンの周期に対応する係数を測定し得る。線1210は、映像1200の中心から水平方向に近い点を連結する線である。線1210は、第2パターンの映像で垂直方向の周波数成分を示し、第2パターンの映像自体の傾きを示す。決定部112は、線1210を用いて残りの傾きを補正することができる。線1220は、映像1200内の最も輝度又は明度のような強度(intensity)が高い点などを連結する線である。線1220の傾きは第2パターンの傾きと直交する。
【0062】
決定部112は、数式(4)を用いて第2パターンの傾きに対応する係数を測定し得る。
【0063】
【数4】
【0064】
ここで、αは第2パターンの傾きに対応する係数であり、bは映像1200のx軸と線1220がなす角度であり、aは映像1200のx軸と線1210がなす角度である。
【0065】
高さ1230は、映像1200で最も強度が高い点間の高さ差である。又は、高さ1230は、映像1200の最も強度が高い点のうち映像1200の原点と最も近い点の高さである。決定部112は、映像1200の全体高さを高さ1230に分類し、第2パターンの映像内の同一の傾き又は主方向を有する線が含まれた個数を算出することができる。
【0066】
決定部112は、3次元ディスプレイ装置に表示される第1パターンの映像の高さを算出された個数に割ることで、第2パターンの周期に対応する係数を算出することができる。この場合、決定部112は、パネルにディスプレイされる第1パターンの線の間の実際の間隔として、第1パターンの周期に対応する係数を算出することができる。
【0067】
又は、決定部112は、キャプチャーされた第2パターンの映像の高さを算出された個数で割ることで、第2パターンの周期に対応する係数を算出することができる。この場合、決定部112は、パネルの大きさと第2パターンの映像の大きさの比率を考慮し、パネルにディスプレイされる第1パターンの線の間の実際の間隔を調整することで、第1パターンの周期に対応する係数を算出することができる。
【0068】
図1に示す決定部112は、前述した過程を繰り返し行うことにより3次元ディスプレイ装置のための補正係数をさらに正確に決定することができる。例えば、決定部112は反復遂行の結果、導き出された補正係数の統計を用いて最終の補正係数を決定することができる。又は、決定部112は、補正係数のうち標準分布から離れた補正係数を排除して最終の補正係数を決定することができる。決定部112は、反復遂行の結果、導き出された補正係数を用いて最終補正係数を決定することで、単一反復の結果に含むことのできるエラーにより最終の補正係数が不正確になる程度を最小化できる。
【0069】
図11A及び図11Bにおいて、前述したように、決定部112は候補解のいずれか1つを選択しなければならない。決定部112は、前述した過程を繰り返すことによって候補解のセットを複数取得できる。決定部112は、候補解のセットに共通に含まれた候補解を最終的に選択することができる。
【0070】
決定部112は、同一の第1パターンの映像に対応して繰り返しキャプチャーした第2パターンの映像を用いて補正係数の正確度を向上させ得る。又は、第1パターンの映像を変化させながらキャプチャーされた第2パターンの映像を用いて補正係数の正確度を向上させることができる。
【0071】
第1パターンの映像を変化させる方式は様々に応用できる。例えば、パターンの周期は固定し、Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセルを順次利用することによって第1パターンの映像を変化させ得る。又は、パターンの周期(例えば、パターン内線の間の間隔)を変化させることで第1パターンの映像を変化させ得る。
【0072】
図13及び図14は、実施形態に係る補正係数決定装置を含むディスプレイ装置を説明する図である。図13を参照すると、一実施形態に係るディスプレイ装置1300は、ディスプレイ1310、光学レイヤ1320、取得部1330、及び決定部1340を含む。ディスプレイ1310は図1に示すパネル122に対応し、光学レイヤ1320は図1に示す光学レイヤ123に対応し、取得部1330は図1に示す取得部111に対応し、決定部1340は図1に示す決定部112に対応する。図13には、光がディスプレイ1310で光学レイヤ1320を経て出力されるものと表示されているが、光学レイヤ1320が指向性バックライトユニットの場合などディスプレイ1310の後面に取付けられた場合、光が光学レイヤ1320でディスプレイ1310を経て出力されるように変形され得る。
【0073】
出力された第2パターンの映像はカメラ1350によってキャプチャーされ、取得部1330はキャプチャーされた映像を受信する。取得部1330は、有線接続、無線接続、ネットワーク通信などの様々な方式を用いてキャプチャーされた映像を受信し得る。図13に含まれた各モジュールには、図1図12を参照して前述した事項がそのまま適用され得るため、より詳細な説明は省略する。
【0074】
図14を参照すると、一実施形態に係るディスプレイ装置1400は、ディスプレイ1410、光学レイヤ1420、カメラ1430、及び決定部1440を含む。ディスプレイ1410は図1に示すパネル122に対応し、光学レイヤ1420は図1に示す光学レイヤ123に対応し、決定部1440は図1に示す決定部112に対応する。図面に図示していないが、光学レイヤ1420はディスプレイ1410の後面に取付けられてもよい。
【0075】
カメラ1430は、鏡1450に反射した第2パターンの映像をキャプチャーする。この場合、決定部1440は、キャプチャーされた映像が鏡1450から反射することによって左右が反転することを考慮し、ディスプレイ装置1400のための補正係数を決定することができる。
【0076】
図15は、一実施形態に係る補正係数に基づいた補正動作を行う3次元ディスプレイ装置を説明する図である。図15を参照すると、一実施形態に係る3次元ディスプレイ装置1500は、補正部1510及びレンダリング部1520を含む。補正部1510は、3次元ディスプレイ装置1500のための補正係数に基づいてパネルに含まれたサブピクセルのマッピング情報を補正する。補正係数は、図1図14を参照して前述した方式により決定されるため、補正係数に関するより詳細な説明は省略する。
【0077】
マッピング情報は、サブピクセルから発生したりサブピクセルを用いて出力される光の進行方向を示すことができる。例えば、マッピング情報は、任意の視点に3次元映像をレンダリングするために必要なサブピクセルと当該の視点をマッピングした情報である。又は、マッピング情報は、3次元映像のレンダリングのためにパネルのサブピクセルと光学レイヤの元素をマッピングした情報である。
【0078】
マッピング情報は、マトリックス状に生成されてもよい。マトリックスの元素はパネルのサブピクセルに対応する。マトリックスの元素は、少なくとも1つのインデックスを含む。インデックスの値は、特定位置(例えば、視聴位置)を基準として分けられる視点の位置を指示したり、光の方向を示す角度を指示したり、特定視点を指示す。
【0079】
最初のマッピング情報は、3次元ディスプレイ装置1500の初期パラメータ又は設計値により決定され得る。例えば、初期パラメータ又は設計値に該当するピッチ及び角度から最初のマッピング情報が生成され得る。補正部1510は、補正係数に基づいて最初のマッピング情報を補正し得る。
【0080】
又は、補正部1510は最初のマッピング情報を補正する代わりに、補正係数に該当するピッチ及び角度から新しいマッピング情報を生成することができる。この場合、最初のマッピング情報は生成されないことがある。新しいマッピング情報は、サブピクセルから発生したり、サブピクセルによって出力される光の進行方向を正確に示すことができる。
【0081】
レンダリング部1520は、補正されたマッピング情報に基づいて3次元映像のためのレンダリングを行う。例えば、レンダリング部1520は、補正されたマッピング情報に基づいてパネルに表示される映像を決定することで、3次元映像にクロストークが発生することを防止できる。
【0082】
図16は、一実施形態に係る補正係数決定方法を示した動作フローチャートである。図16を参照すると、一実施形態に係る補正係数決定方法は、パネルに第1パターンの映像が印加される場合、パネル及び光学レイヤを介して出力される第2パターンの映像を取得するステップS1610、及び第1パターン及び第2パターンに基づいて3次元ディスプレイ装置のための補正係数を決定するステップS1620を含む。ステップS1610は図1に示す取得部111の動作に対応し、ステップS1620は図1に示す決定部112の動作に対応する。図16に示された各ステップは、図1図12を参照して前述した事項がそのまま適用され得るため、より詳細な説明は省略する。
【0083】
図17A及び図17Bは、第1パターンの映像が応用される実施形態を説明する図である。図17A及び図17Bを参照すると、第1パターンの映像1つに2以上のパターンが含まれている。一例として、図17Aを参照すると、映像1710は、周期が異なる2つのパターン1711、1712を含む。周期が異なる2つのパターン1711、1712は、映像1710内で空間的に分離している。他の例として、図17Bを参照すると、映像1720は色が異なる2つのパターン1721、1722を含む。色が異なる2つのパターン1721、1722の周期は互いに異なってもよく、互いに同一であってもよい。
【0084】
第1パターンの映像1つに複数のパターンが含まれる場合、図1に示す決定部112は、複数のパターンそれぞれに対して補正係数を決定する。決定部112は、決定された複数の補正係数を用いて最終補正係数を決定することができる。
【0085】
図18A及び図18Bは、一実施形態に係る第2パターンの映像を正規化する方法を説明する図である。図18Aを参照すると、任意の視点でキャプチャーされた映像1810は、第2パターンの映像を歪んだ形態を含む。図12を参照して前述したフーリエ変換を利用すると、歪んだ形態の第2パターンの映像をそのまま用いても補正係数を決定するために用いられる係数(例えば、フーリエ変換された映像内の点の間の間隔、基準軸に対する傾きなど)が格納され得る。
【0086】
図1に示す決定部112は、図18Bに示す歪んだ形態の第2パターンの映像を長方形態の正規化映像1820に変換し得る。正規化映像1820は、歪んだ形態の第2パターンの映像に比べて幾何学的な変化及び/又は光度変化に強い特性を有する。例えば、決定部112は、キャプチャーされた映像1810で歪んだ形態の第2パターンの映像の4個のエッジを検出することができる。決定部112は、検出された4個のエッジを用いて歪んだ形態の第2パターンの映像を正規化映像1820に変換する。正規化映像1820は、パネルに表示される第1パターンの映像と同一の大きさに変換することができる。決定部112は、正規化映像1820を用いて補正係数を決定することができる。
【0087】
実施形態は、サイズを知っている2次元パターンをパネルにディスプレイし、光学レイヤのような3次元変換装置を経て任意の視点に集まる映像をキャプチャーした後キャプチャーされた映像を分析することで、3次元ディスプレイ装置のための補正係数を決定することができる。実施形態は、補正係数決定のために校正方式を用いる。校正方式は、知っている値xと変換関数f(x)によって取得されたyを比較することで、f(x)のパラメータを決定する方式である。
【0088】
実施形態によると、パネルにディスプレイされるパターンがxであり、3次元変換装置がf(x)であり、キャプチャーされた映像がyである。実施形態は、yを分析することによってf(x)のパラメータ、すなわち、3次元ディスプレイ装置の補正係数を決定することができる。
【0089】
実施形態は、3次元ディスプレイ装置の自動補正技術を提供することができる。実施形態によると、3次元ディスプレイ装置を量産するとき、個別の3次元ディスプレイ装置ごとに補正係数が決定され得る。また、3次元変換装置の設置状態が変わるとき、補正係数が再び決定されることができる。
【0090】
以上で説明された実施形態は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組合で実現してもよい。例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、または、命令を実行して応答できる異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータまたは特殊目的のコンピュータを用いて実現されてもよい。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及び前記オペレーティングシステム上で行われる1つ以上のソフトウェアアプリケーションを行ってもよい。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理及び生成してもよい。理解の便宜のために、処理装置は1つ使用されるものと説明される場合もあるが、当該の技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素及び/又は複数類型の処理要素を含んでいることが分かる。例えば、処理装置は、複数のプロセッサまたは1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含んでもよい。また、並列プロセッサのような、他の処理構成も可能である。
【0091】
ソフトウェアはコンピュータプログラム、コード、命令、またはこのうちの1つ以上の組合せを含んでもよく、希望の通りに動作するよう処理装置を構成したり独立的または結合的に処理装置を命令してもよい。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令またはデータを提供するためどのような類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体または装置、送信される信号波に永久的または一時的に具体化できる。ソフトウェアは、ネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散し、分散された方法で格納されたり実行されてもよい。ソフトウェア及びデータは1つ以上のコンピュータで読み出し可能な記録媒体に格納されてもよい。
【0092】
実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータで読取可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などのうち1つまたはその組合せを含んでもよい。媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり、使用可能なものであってもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、光ディスクのような光磁気媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれてもよい。プログラム命令の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタープリタなどを用いてコンピュータによって実行できる高級言語コードが含まれる。前記したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして動作するように構成されてもよく、その逆も同様である。
【0093】
上述したように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能である。
【0094】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
【符号の説明】
【0095】
110 補正係数決定装置
111 取得部
112 決定部
120 3次元ディスプレイ装置
121 第1パターンの映像
122 パネル
123 光学レイヤ
130 第2パターンの映像
311、312、313、411、412、 サブピクセル
420 レンズアレイ
430 パララックスバリア
440 指向性バックライトユニット
1300、1400 ディスプレイ装置
131、132 線
1310、1410 ディスプレイ
1320、1420 光学レイヤ
1330 取得部
1340、1440 決定部
1350、1430 カメラ
1450 鏡
1500 3次元ディスプレイ装置
1510 補正部
1520 レンダリング部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
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図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
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図14
図15
図16
図17A
図17B
図18