特許第6706938号(P6706938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706938
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20200601BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-55477(P2016-55477)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-169430(P2017-169430A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和 哲郎
【審査官】 遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−135097(JP,A)
【文献】 特開2004−155233(JP,A)
【文献】 特開2014−128058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
H02P 6/00−6/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレスDCモータのロータ位置を検出する複数のホールセンサからの出力に基づく複数の位置検出信号のうちいずれかの異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部により異常が検出された場合、正常な相の前記位置検出信号の隣り合うエッジ間における時間を測定する測定部と、
前記正常な相の前記位置検出信号によって前記正常な相の駆動信号のレベル切替えタイミングを決定するとともに、当該レベル切替えタイミングから前記測定部による最新の時間測定結果に基づいて決定される所定の電気角に相当する時間だけ遅延させたタイミングを前記異常が検出された相において正常に出力されるべき駆動信号のレベル切替えタイミングとして決定し、前記ブラシレスDCモータを駆動す駆動制御部と、
を備えることを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項2】
正常の前記位置検出信号間での隣り合うエッジ間の時間を測定する第2の測定部を更に備え、
前記駆動制御部は、前記第2の測定部による時間測定結果に基づき、前記異常が検出された相において正常に出力されるべき前記駆動信号のレベル切替えタイミングを決定することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
駆動停止している前記ブラシレスDCモータに通電を行うことで前記ブラシレスDCモータを起動する強制転流の際に、前記異常検出部は異常を検出することを特徴とする請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記測定部による最新の時間測定結果に基づいて前記駆動信号のデューティを制御することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
ブラシレスDCモータのロータ位置を検出する複数のホールセンサからの出力に基づく複数の位置検出信号のうちいずれかの異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部により異常が検出された場合、正常の前記位置検出信号の隣り合うエッジ間における時間を測定する測定部と、
前記測定部による最新の時間測定結果に基づいて前記ブラシレスDCモータを駆動する駆動信号を制御する駆動制御部と、
を備えるとともに、
前記異常検出部は、3相の前記ブラシレスDCモータのロータ位置を検出する3つの前記ホールセンサからの出力に基づく3つの相の前記位置検出信号のうち1つの異常を検出し、
前記駆動制御部は、前記測定部による一方の正常な第1の相の前記位置検出信号のエッジ間の測定時間に基づき前記第1の相の前記駆動信号を制御し、
前記駆動制御部は、前記測定部による他方の正常な第2の相の前記位置検出信号のエッジ間の測定時間に基づき前記第2の相および異常な相の前記駆動信号を制御する、ことを特徴とすモータ駆動装置。
【請求項6】
前記駆動制御部は、前記第1の相の前記位置検出信号と前記第2の相の前記位置検出信号との間の隣り合うエッジ間の時間測定結果に基づき、異常な相の前記駆動信号のレベル切替えタイミングを決定することを特徴とする請求項に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記異常検出部は、3相の前記ブラシレスDCモータのロータ位置を検出する3つの前記ホールセンサからの出力に基づく3つの相の前記位置検出信号のうち2つの異常を検出し、
前記駆動制御部は、前記測定部による正常な相の前記位置検出信号のエッジ間の測定時間に基づき前記異常が検出された2つの相においてそれぞれ正常に出力されるべき駆動信号のレベル切替えタイミングをそれぞれ決定し3相の前記駆動信号を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
ブラシレスDCモータと、
前記ブラシレスDCモータを駆動制御する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のモータ駆動装置と、
を備えることを特徴とする車載用電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な電子機器の動力源としてブラシレスDCモータが用いられる。ブラシレスDCモータには、複数の磁極の永久磁石を有するロータ(回転子)と、各々にコイルが巻かれた複数スロットのステータが備えられる。
【0003】
更にブラシレスDCモータには、ステータに対するロータの位置を検知するために、各ステータに対応するように配置された複数のホールセンサが備えられることが多い。ホールセンサとしては、例えばホール素子またはホールICが用いられる。ブラシレスDCモータを制御する際は、ホールセンサに基づく位置検出信号に応じた駆動電圧がモータ駆動装置によってモータに印加されて、コイルに電流が流れることによりモータの回転が制御される。
【0004】
しかしながら、従来、複数のホールセンサのうち1つでも異常状態となり、異常となったホールセンサに対応する位置検出信号が異常となった場合、モータの回転が制御不能となっていた。
【0005】
そこで、例えば特許文献1には、ホールセンサに異常が生じた場合でも、モータを回転駆動させることのできるモータ駆動装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−201346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、ホールセンサに異常が生じた場合に、モータの回転数制御をどのように行うかが具体的に開示されていない。
【0008】
上記状況に鑑み、本発明は、ホールセンサに異常が生じた場合でも、ブラシレスDCモータの回転数制御を精度良く行うことのできるモータ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るモータ駆動装置は、ブラシレスDCモータのロータ位置を検出する複数のホールセンサからの出力に基づく複数の位置検出信号のうちいずれかの異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部により異常が検出された場合、正常の前記位置検出信号の隣り合うエッジ間における時間を測定する測定部と、
前記測定部による最新の時間測定結果に基づいて前記ブラシレスDCモータを駆動する駆動信号を制御する駆動制御部と、を備える構成としている(第1の構成)。
【0010】
また、上記第1の構成において、正常の前記位置検出信号間での隣り合うエッジ間の時間を測定する第2の測定部を更に備え、
前記駆動制御部は、前記第2の測定部による時間測定結果に基づき、異常の前記位置検出信号に対応する前記駆動信号のレベル切替えタイミングを決定することとしてもよい(第2の構成)。
【0011】
また、上記第1の構成において、前記駆動制御部は、前記測定部による時間測定結果に基づき、異常の前記位置検出信号に対応する前記駆動信号のレベル切替えタイミングを決定することとしてもよい(第3の構成)。
【0012】
また、上記第1〜第3のいずれかの構成において、駆動停止している前記ブラシレスDCモータに通電を行うことで前記ブラシレスDCモータを起動する強制転流の際に、前記異常検出部は異常を検出することとしてもよい(第4の構成)。
【0013】
また、上記第1〜第4のいずれかの構成において、前記駆動制御部は、前記測定部による最新の時間測定結果に基づいて前記駆動信号のデューティを制御することとしてもよい(第5の構成)。
【0014】
また、上記第1の構成において、前記異常検出部は、3相の前記ブラシレスDCモータのロータ位置を検出する3つの前記ホールセンサからの出力に基づく3つの相の前記位置検出信号のうち1つの異常を検出し、
前記駆動制御部は、前記測定部による一方の正常な第1の相の前記位置検出信号のエッジ間の測定時間に基づき前記第1の相の前記駆動信号を制御し、
前記駆動制御部は、前記測定部による他方の正常な第2の相の前記位置検出信号のエッジ間の測定時間に基づき前記第2の相および異常な相の前記駆動信号を制御することとしてもよい(第6の構成)。
【0015】
また、上記第6の構成において、前記駆動制御部は、前記第1の相の前記位置検出信号と前記第2の相の前記位置検出信号との間の隣り合うエッジ間の時間測定結果に基づき、異常な相の前記駆動信号のレベル切替えタイミングを決定することとしてもよい(第7の構成)。
【0016】
また、上記第1の構成において、前記異常検出部は、3相の前記ブラシレスDCモータのロータ位置を検出する3つの前記ホールセンサからの出力に基づく3つの相の前記位置検出信号のうち2つの異常を検出し、
前記駆動制御部は、前記測定部による正常な相の前記位置検出信号のエッジ間の測定時間に基づき3相の前記駆動信号を制御することとしてもよい(第8の構成)。
【0017】
また、上記第8の構成において、前記駆動制御部は、前記測定部による正常な相の前記位置検出信号のエッジ間の測定時間に基づき、異常な2つの相の前記駆動信号のレベル切替えタイミングを決定することとしてもよい(第9の構成)。
【0018】
また、本発明の別態様に係る車載用電子機器は、ブラシレスDCモータと、前記ブラシレスDCモータを駆動制御する上記第1〜第9のいずれかの構成としたモータ駆動装置と、を備えることとしている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ホールセンサに異常が生じた場合でも、ブラシレスDCモータの回転数制御を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図である。
図2】ブラシレスDCモータの内部構造を示す模式図である。
図3】ドライバ駆動信号、通電信号、および位置検出信号の挙動を示すタイミングチャートである(全ての相の位置検出信号が正常の場合)。
図4】ホール信号および位置検出信号の挙動を示すタイミングチャートである。
図5】ドライバ駆動信号、通電信号、および位置検出信号の挙動を示すタイミングチャートである(U相の位置検出信号が異常の場合)。
図6】ドライバ駆動信号、通電信号、および位置検出信号の挙動を示すタイミングチャートである(U相およびV相の位置検出信号が異常の場合)。
図7】ブラシレスDCモータの起動時の動作に関するフローチャートである。
図8】電子機器を搭載した車両の一構成例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
<全体構成>
図1は、3相ブラシレスDCモータを備えた電子機器の一構成例を示すブロック図である。本構成例の電子機器Xは、半導体装置1と、ドライバ2と、3相ブラシレスDCモータ3(以下ではモータ3と略称する)と、を備えている。ホール素子31U〜31Wは、モータ3に含まれる。
【0023】
半導体装置1は、モータ3の駆動制御を行うモータ駆動装置(いわゆるモータドライバIC)であり、位置検出信号生成部11と、ロジック部12と、プリドライバ13と、チャージポンプ14と、インタフェース15と、を有する。なお、ロジック部12は、機能部として、本発明に係る測定部、駆動制御部、および異常検出部を備えている。
【0024】
位置検出信号生成部11は、モータ3のロータ位置に応じた位置検出信号(HU、HV、HW)を生成する回路ブロックであり、モータ3の各相(U相、V相、W相)毎に一つずつ設けられたヒステリシス付きのホールコンパレータ11U、11V、11Wを含む。ホールコンパレータ11U、11V、11Wは、各相のホール素子31U、31V、31Wから各々入力される正負極性のホール信号(HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−)を各々差動増幅することにより、上記の位置検出信号(HU、HV、HW)を生成する。
【0025】
ロジック部12は、その基本的な動作として、位置検出信号(HU、HV、HW)に応じた切替タイミングで転流を行うように各相のプリドライバ駆動信号(uh/ul、vh/vl、wh/wl)を生成してモータ3の180°通電制御を行う。また、ロジック部12は、各相のプリドライバ駆動信号をPWM[pulse width modulation]制御する。
【0026】
プリドライバ13は、ロジック部12から入力される各相のプリドライバ駆動信号(uh/ul、vh/vl、wh/wl)に所定の信号処理(レベルシフト処理や波形整形処理など)を施すことにより、各相のドライバ駆動信号(UH/UL、VH/VL、WH/WL)を生成し、これを外付けのドライバ2に出力する。
【0027】
チャージポンプ14は、電源電圧VCCから昇圧電圧VG(プリドライバ電源電圧)を生成し、これをプリドライバ13に出力する。
【0028】
なお、半導体装置1には、上記構成要素のほか、内部基準電圧生成部、スタンバイ制御部、進角制御部、ソフトスタート制御部、基準クロック発振器、キャリア周波数発振器、各種保護部(過電圧保護部、過電流保護部、温度保護部、ロック保護部など)が集積化されているが、ここでは詳細な説明を割愛する。
【0029】
ドライバ2は、各相のドライバ駆動信号(UH/UL、VH/VL、WH/WL)に応じて、各相の通電信号(U、V、W)を生成するパワー出力段であり、パワートランジスタ21〜26(MOSFET[metal oxide semiconductor field effect transistor]またはIGBT[insulated gate bipolar transistor]など)を含む。上側パワートランジスタ21、23、25のドレインは、いずれも、電源電圧VCCの印加端に接続されている。上側パワートランジスタ21、23、25のソース及びバックゲートと、下側パワートランジスタ22、24、26のドレインは、それぞれモータ3の各相端子に接続されている。下側パワートランジスタ22、24、26のソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。なお、本構成例では、全てのパワートランジスタ21〜26としてNチャネル型を用いているが、上側パワートランジスタ21、23、25としてはPチャネル型を用いることも可能である。この場合には、半導体装置1のチャージポンプ14を省略することができる。
【0030】
モータ3は、図2で示すように、4極の永久磁石を有するロータ32と、各々にコイルが巻き回された3スロットのステータ33U、33V、33Wを含む構造とされている。なお、極数とスロット数との組み合わせは、4極3スロットに限定されるものではなく、他の組み合わせ(2極3スロットや4極6スロットなど)を採用することも可能である。
【0031】
また、モータ3には、各相のホール素子31U、31V、31Wが更に備えられる。図2で示すように、ホール素子31U、31V、31Wは、各相のステータ33U、33V、33Wに対して電気角で同位相となる位置に各々設けられ、ロータ32の磁界を検出してアナログ電圧信号(ホール信号)を生成する。なお、ホール素子31U、31V、31Wに代えて矩形波信号を生成するホールICを用いても構わない。この場合、半導体装置1のホールコンパレータ11U、11V、11Wを省略することもできる。ただし、ホール素子とホールICいずれの外部接続にも対応するためには、半導体装置1にホールコンパレータ11U、11V、11Wを設けておくことが望ましい。
【0032】
なお、ロジック部12は、インタフェース15を介して、マイコン4との通信を行うことができる。
【0033】
<180通電制御>
図3は、180°通電時におけるドライバ駆動信号(UH/UL、VH/VL、WH/WL)、通電信号(U、V、W)および位置検出信号(HU、HV、HW)の挙動を示すタイミングチャートである。また、図4は、180°通電時におけるホール信号(HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−)と位置検出信号(HU、HV、HW)の挙動を示すタイミングチャートである。
【0034】
電気角0°〜60°(フェイズ(1))では、ドライバ駆動信号UH、VL、WHがハイレベルとされ、ドライバ駆動信号UL、VH、WLがローレベルとされるので、パワートランジスタ21、24、25がオンとなり、パワートランジスタ22、23、26がオフとなる。その結果、通電信号U、Wがハイレベルとなり、通電信号Vがローレベルとなるので、モータ3にはU相とW相からV相端子に向けて駆動電流が流れる。このとき、位置検出信号HU、HWはハイレベルとなり、位置検出信号HVはローレベルとなる。
【0035】
電気角60°〜120°(フェイズ(2))では、ドライバ駆動信号UH、VL、WLがハイレベルとされ、ドライバ駆動信号UL、VH、WHがローレベルとされるので、パワートランジスタ21、24、26がオンとなり、パワートランジスタ22、23、25がオフとなる。その結果、通電信号Uがハイレベルとなり、通電信号V、Wがローレベルとなるので、モータ3にはU相からV相とW相に向けて駆動電流が流れる。このとき、位置検出信号HUはハイレベルとなり、位置検出信号HV、HWはローレベルとなる。
【0036】
電気角120°〜180°(フェイズ(3))では、ドライバ駆動信号UH、VH、WLがハイレベルとされ、ドライバ駆動信号UL、VL、WHがローレベルとされるので、パワートランジスタ21、23、26がオンとなり、パワートランジスタ22、24、25がオフとなる。その結果、通電信号U、Vがハイレベルとなり、通電信号Wがローレベルとなるので、モータ3にはU相とV相からW相に向けて駆動電流が流れる。このとき、位置検出信号HU、HVはハイレベルとなり、位置検出信号HWはローレベルとなる。
【0037】
電気角180°〜240°(フェイズ(4))では、ドライバ駆動信号UL、VH、WLがハイレベルとされ、ドライバ駆動信号UH、VL、WHがローレベルとされるので、パワートランジスタ22、23、26がオンとなり、パワートランジスタ21、24、25がオフとなる。その結果、通電信号Vがハイレベルとなり、通電信号U、Wがローレベルとなるので、モータ3にはV相からU相とW相に向けて駆動電流が流れる。このとき、位置検出信号HVはハイレベルとなり、位置検出信号HU、HWはローレベルとなる。
【0038】
電気角240°〜300°(フェイズ(5))では、ドライバ駆動信号UL、VH、WHがハイレベルとされ、ドライバ駆動信号UH、VL、WLがローレベルとされるので、パワートランジスタ22、23、25がオンとなり、パワートランジスタ21、24、26がオフとなる。その結果、通電信号V、Wがハイレベルとなり、通電信号Uがローレベルとなるので、モータ3にはV相とW相からU相に向けて駆動電流が流れる。このとき、位置検出信号HV、HWはハイレベルとなり、位置検出信号HUはローレベルとなる。
【0039】
電気角300°〜360°(フェイズ(6))では、ドライバ駆動信号UL、VL、WHがハイレベルとされ、ドライバ駆動信号UH、VH、WLがローレベルとされるので、パワートランジスタ22、24、25がオンとなり、パワートランジスタ21、23、26がオフとなる。その結果、通電信号Wがハイレベルとなり、通電信号U、Vがローレベルとなるので、モータ3にはW相からU相とV相に向けて駆動電流が流れる。このとき、位置検出信号HWはハイレベルとなり、位置検出信号HU、HVはローレベルとなる。
【0040】
このように、180°通電方式では、互いに120°ずつ位相をずらしながら、通電信号(U、V、W)の論理レベルが180°毎に切り替えられる。なお、図3では、図示を簡単とすべく、上側ドライバ駆動信号UH、VH、WHと下側ドライバ駆動信号UL、VL、WLが互いの論理反転信号として描写されているが、実際には、貫通電流の防止を目的として、上側ドライバ駆動信号UH、VH、WHがローレベルとなってから下側ドライバ駆動信号UL、VL、WLがハイレベルとなるように、ないしは、下側ドライバ駆動信号UL、VL、WLがローレベルとなってから上側ドライバ駆動信号UH、VH、WHがハイレベルとなるように、所定のデッドタイム(上下パワートランジスタの同時オフ時間)が設けられてもよい。
【0041】
<回転数制御>
上述した図3および図4は、全てのホール素子31U、31V、31Wが正常状態であり、全ての位置検出信号HU、HV、HWが正常である場合に相当する。このような状態でのモータ3の回転数制御について以下説明する。
【0042】
ロジック部12は、フェイズ(1)の期間において、位置検出信号HUの立上りエッジから位置検出信号HWの立下りエッジまでの時間を測定する。そして、ロジック部12は、フェイズ(2)において、上記フェイズ(1)で測定された時間に基づき、ドライバ駆動信号(UH/UL、VH/VL、WH/WL)のうちハイレベルとされる信号のデューティを調整する。即ち、フェイズ(2)であれば、図3でハイレベルとされるドライバ駆動信号UH、VL、WLのデューティを調整する。フェイズ(1)で測定された時間は、電気角が60°進むのに必要な時間であるので、測定時間よりモータ3の回転数(回転速度)が検出できる。従って、検出された回転数を目標回転数と一致させるべく、ドライバ駆動信号のデューティを調整することができる。具体的には、例えば検出された回転数が目標回転数に達していなければ、デューティは大きくなるよう調整する。
【0043】
ロジック部12は、フェイズ(2)の期間において、位置検出信号HWの立下りエッジから位置検出信号HVの立上りエッジまでの時間を測定する。そして、ロジック部12は、フェイズ(3)において、上記フェイズ(2)で測定された時間に基づき、ドライバ駆動信号(UH/UL、VH/VL、WH/WL)のうちハイレベルとされる信号のデューティを調整する。即ち、フェイズ(3)であれば、図3でハイレベルとされるドライバ駆動信号UH、VH、WLのデューティを調整する。
【0044】
以降、フェイズ(3)〜フェイズ(6)についても同様に、当該フェイズの期間で位置検出信号(HU、HV、HW)のエッジ間の時間測定を行い、測定された時間に基づき、その次のフェイズにおけるドライバ駆動信号のデューティを調整することを繰り返す。
【0045】
このような制御により、全てのホール素子31U、31V、31Wが正常状態である場合のモータ3の回転数制御を行うことができる。
【0046】
<1つのホール素子が異常である場合の回転数制御>
本実施形態では、ホール素子31U、31V、31Wのうち幾つかが故障などで異常状態となって、それに対応する位置検出信号(HU、HV、HW)が異常となった場合でもモータ3の回転数制御を行うことができる構成としている。以下、これについて説明する。
【0047】
ここでは、ホール素子31U、31V、31Wのうち1つが異常状態となった場合の回転数制御について説明する。図5は、一例としてホール素子のうちホール素子31Uが異常状態となった場合のタイミングチャートを示す。図5に示すように、ここではホール素子31Uに対応する位置検出信号HUにパルスが生じず、ローレベルで不変となる異常状態となっている。
【0048】
ロジック部12は、図5に示す期間(11)において、位置検出信号HWの立下りエッジから立上りエッジまでの時間を測定する。ロジック部12は、位置検出信号HWの立上りエッジを検出すると、ドライバ駆動信号WHをハイレベルに、ドライバ駆動信号WLをローレベルに切替えて出力開始させる(期間(15)の開始)。このとき、ロジック部12は、上記期間(11)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号WHのデューティを調整する。フェイズ(11)で測定された時間は、電気角が180°進むのに必要な時間であるので、測定時間よりモータ3の回転数(回転速度)が検出できる。従って、検出された回転数を目標回転数と一致させるべく、ドライバ駆動信号のデューティを調整することができる。なお、デューティの調整は、図5でハイレベルで示されるドライバ駆動信号について行う。
【0049】
ロジック部12は、期間(11)の途中で開始される期間(12)において、位置検出信号HVの立上りから位置検出信号HVの立下りまでの時間を測定する。ロジック部12は、位置検出信号HVの立下りエッジを検出すると、ドライバ駆動信号VHをローレベルに、ドライバ駆動信号VLをハイレベルに切替えて出力開始させる(期間(16)の開始)。このとき、ロジック部12は、上記期間(12)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号VLのデューティを調整する。
【0050】
ロジック部12は、期間(16)の開始タイミングから電気角60°に相当する時間だけ遅延させたタイミングでドライバ駆動信号UHをハイレベルに、ドライバ駆動信号ULをローレベルに切替えて出力開始させる(期間(17)の開始)。上記遅延させる時間は、期間(15)の開始タイミングから期間(16)の開始タイミングまでの時間をロジック部12により測定されることで決定される。これにより、位置検出信号HUが異常であった場合でも、ドライバ信号UH、ULのレベル切替タイミングを決定することができる。このとき、ロジック部12は、上記期間(12)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号UHのデューティを調整する。
【0051】
ロジック部12は、期間(12)の途中で開始される期間(13)において、位置検出信号HWの立上りから位置検出信号HWの立下りまでの時間を測定する。ロジック部12は、位置検出信号HWの立下りエッジを検出すると、ドライバ駆動信号WHをローレベルに、ドライバ駆動信号WLをハイレベルに切替えて出力開始させる(期間(18)の開始)。このとき、ロジック部12は、上記期間(13)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号WLのデューティを調整する。
【0052】
ロジック部12は、期間(13)の途中で開始される期間(14)において、位置検出信号HVの立下りから位置検出信号HVの立上りまでの時間を測定する。ロジック部12は、位置検出信号HVの立上りエッジを検出すると、ドライバ駆動信号VHをハイレベルに、ドライバ駆動信号VLをローレベルに切替えて出力開始させる(期間(19)の開始)。このとき、ロジック部12は、上記期間(14)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号VHのデューティを調整する。
【0053】
ロジック部12は、期間(19)の開始タイミングから電気角60°に相当する時間だけ遅延させたタイミングでドライバ駆動信号UHをローレベルに、ドライバ駆動信号ULをハイレベルに切替えて出力開始させる(期間(20)の開始)。上記遅延させる時間は、期間(18)の開始タイミングから期間(19)の開始タイミングまでの時間をロジック部12により測定されることで決定される。これにより、位置検出信号HUが異常であった場合でも、ドライバ信号UH、ULのレベル切替タイミングを決定することができる。このとき、ロジック部12は、上記期間(14)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号ULのデューティを調整する。
【0054】
このような制御により、ホール素子31U、31V、31Wのうち1つが故障等により異常状態となった場合でも、モータ3の回転数制御を行うことができる。
【0055】
<2つのホール素子が異常である場合の回転数制御>
また、本実施形態では、ホール素子31U、31V、31Wのうち2つが故障等により異常状態となり、対応する2つの位置検出信号が異常となった場合でも、モータ3の回転数制御を行うことができ、以下これについて説明する。
【0056】
図6は、一例としてホール素子のうちホール素子31U、31Vが異常状態となった場合のタイミングチャートを示す。図6に示すように、ここではホール素子31U、31Vに対応する位置検出信号HU、HVにパルスが生じず、ローレベルまたはハイレベルで不変となる異常状態となっている。
【0057】
ロジック部12は、図6に示す期間(21)において、位置検出信号HWの立下りエッジから立上りエッジまでの時間を測定する。ロジック部12は、位置検出信号HWの立上りエッジを検出すると、ドライバ駆動信号WHをハイレベルに、ドライバ駆動信号WLをローレベルに切替えて出力開始させる(期間(23)の開始)。このとき、ロジック部12は、上記期間(21)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号WHのデューティを調整する。フェイズ(21)で測定された時間は、電気角が180°進むのに必要な時間であるので、測定時間よりモータ3の回転数(回転速度)が検出できる。従って、検出された回転数を目標回転数と一致させるべく、ドライバ駆動信号のデューティを調整することができる。なお、デューティの調整は、図6でハイレベルで示されるドライバ駆動信号について行う。
【0058】
ロジック部12は、期間(23)の開始タイミングから電気角60°に相当する時間だけ遅延させたタイミングでドライバ駆動信号VHをローレベルに、ドライバ駆動信号VLをハイレベルに切替えて出力開始させる(期間(24)の開始)。上記遅延させる時間は、上記期間(21)で測定された時間が電気角180°に相当するので、上記測定時間の3分の1として決定される。これにより、位置検出信号HVが異常であった場合でも、ドライバ信号VH、VLのレベル切替タイミングを決定することができる。このとき、ロジック部12は、上記期間(21)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号VLのデューティを調整する。
【0059】
ロジック部12は、期間(23)の開始タイミングから電気角120°に相当する時間だけ遅延させたタイミングでドライバ駆動信号UHをハイレベルに、ドライバ駆動信号ULをローレベルに切替えて出力開始させる(期間(25)の開始)。上記遅延させる時間は、上記期間(21)で測定された時間が電気角180°に相当するので、上記測定時間の3分の2として決定される。これにより、位置検出信号HUが異常であった場合でも、ドライバ信号UH、ULのレベル切替タイミングを決定することができる。このとき、ロジック部12は、上記期間(21)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号UHのデューティを調整する。
【0060】
ロジック部12は、期間(22)において、位置検出信号HWの立上りエッジから立下りエッジまでの時間を測定する。ロジック部12は、位置検出信号HWの立下りエッジを検出すると、ドライバ駆動信号WHをローレベルに、ドライバ駆動信号WLをハイレベルに切替えて出力開始させる(期間(26)の開始)。このとき、ロジック部12は、上記期間(22)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号WLのデューティを調整する。
【0061】
ロジック部12は、期間(26)の開始タイミングから電気角60°に相当する時間だけ遅延させたタイミングでドライバ駆動信号VHをハイレベルに、ドライバ駆動信号VLをローレベルに切替えて出力開始させる(期間(27)の開始)。上記遅延させる時間は、上記期間(22)で測定された時間が電気角180°に相当するので、上記測定時間の3分の1として決定される。これにより、位置検出信号HVが異常であった場合でも、ドライバ信号VH、VLのレベル切替タイミングを決定することができる。このとき、ロジック部12は、上記期間(22)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号VHのデューティを調整する。
【0062】
ロジック部12は、期間(26)の開始タイミングから電気角120°に相当する時間だけ遅延させたタイミングでドライバ駆動信号UHをローレベルに、ドライバ駆動信号ULをハイレベルに切替えて出力開始させる(期間(28)の開始)。上記遅延させる時間は、上記期間(22)で測定された時間が電気角180°に相当するので、上記測定時間の3分の2として決定される。これにより、位置検出信号HUが異常であった場合でも、ドライバ信号UH、ULのレベル切替タイミングを決定することができる。このとき、ロジック部12は、上記期間(22)で測定された時間(最新の時間測定結果)に基づき、ドライバ駆動信号ULのデューティを調整する。
【0063】
このような制御により、ホール素子31U、31V、31Wのうち2つが故障等により異常状態となった場合でも、モータ3の回転数制御を行うことができる。
【0064】
<モータ起動時の制御>
図7は、本実施形態に係る半導体装置1(モータ駆動装置)によるモータ3起動時の制御について示すフローチャートである。
【0065】
モータ3のロータ32が停止している状態にて図7のフローチャートが開始される。まず、ステップS1で、ロジック部12は、所定の強制転流周波数に応じた切替タイミングで、ドライバ駆動信号(UH/UL、VH/VL、WH/WL)の通電パターンを順次切り替えることにより、モータ3の強制転流を行うことを開始する。ここでは、例えば、120°通電方式によって通電を行う。本方式では、各相の通電信号(U、V、W)は、電源電圧VCC、接地電位、およびオープンの3つの状態をとるように切替えられ、電源電圧VCCおよび接地電位の状態はそれぞれ電気角120°に相当する期間だけ維持される。
【0066】
そして、ステップS2において、ロジック部12は、位置検出信号(HU、HV、HW)が正常であるか否かを確認する。もし、いずれの位置検出信号にもパルスが生じており、いずれの位置検出信号も正常であることを検出すると(即ち全てのホール素子(31U、31V、31W)が正常状態)、ステップS3に進む。ステップS3で、ロジック部12は、先述した全てのホール素子(31U、31V、31W)が正常状態である場合に行う回転数制御を実行する通常駆動モードへ移行する。
【0067】
一方、もし、位置検出信号(HU、HV、HW)のうちいずれか1つが異常であることが検出された場合(即ちホール素子(31U、31V、31W)のうち1つが異常)、ステップS4に進む。ステップS4で、ロジック部12は、先述したホール素子(31U、31V、31W)のうち1つが異常状態である場合に行う回転数制御を実行する第1非常駆動モードへ移行する。
【0068】
また、もし、位置検出信号(HU、HV、HW)のうちいずれか2つが異常であることが検出された場合(即ちホール素子(31U、31V、31W)のうち2つが異常)、ステップS5に進む。ステップS5で、ロジック部12は、先述したホール素子(31U、31V、31W)のうち2つが異常状態である場合に行う回転数制御を実行する第2非常駆動モードへ移行する。
【0069】
また、もし、全ての位置検出信号(HU、HV、HW)が異常であることが検出された場合は(即ち全てのホール素子(31U、31V、31W)が異常)、ステップS6に進む。ステップS6で、ロジック部12は、全てのドライバ駆動信号(UH/UL、VH/VL、WH/WL)をローレベルとし、全てのトランジスタ21〜26をオフとして、モータ3の駆動を停止させる。
【0070】
このとき、ロジック部12は、インタフェース15を介して、全ての位置検出信号(HU、HV、HW)が異常であることを示す論理レベル(例えばハイレベル)としたフラグ信号をマイコン4に送信する。これにより、全てのホール素子に異常が生じていることをマイコン4へ報知することができる。なお、マイコン4は、電子機器Xが車載用である場合は、例えば車両に搭載される種々のシステムを統合的に制御する装置であるECU(Electronic Control Unit)に含めることができる。
【0071】
<車両への適用>
図8は、種々の電子機器を搭載した車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Yは、バッテリBTから電源電圧の供給を受けて動作する種々の電子機器X11〜X18を搭載している。なお、図8における電子機器X11〜X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
【0072】
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、および、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0073】
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0074】
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0075】
電子機器X14は、車両Yの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0076】
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0077】
電子機器X16は、エアーコンディショナ、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、および、電動シートなど、標準装備品またはメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Yに組み込まれている電子機器である。
【0078】
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、および、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Yに装着される電子機器である。
【0079】
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
【0080】
上記した電子機器X11〜X18のうち、ブラシレスDCモータを備える電子機器については、適宜、先に説明した電子機器Xの構成、およびモータ制御手法を採用することができる。例えば、ブラシレスDCモータがエアーコンディショナ(電子機器X16)に備えられるものであった場合、本実施形態のモータの回転数制御を行うことにより、ホール素子に異常が生じた場合でもモータの駆動を止めずに回転数制御を行うことができ、モータの停止によって車両のウィンドウがくもるなどの不具合を抑制できる。
【0081】
また、特に自動車の電気/電子に関する機能安全についての国際規格であるISO26262などが策定されている昨今の状況では、本実施形態のようなホール素子に異常が生じた場合でもモータの回転数制御を行うことができる技術は安全性の面で重要である。
【0082】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、モータ駆動装置の用途については、車載用以外にも、様々な用途(例えば白物家電用)が考えられる。また、180°通電方式以外にも、150°通電方式などが考えられる。
【0083】
このように、上記の実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、モータ駆動装置全般に適用することが可能な技術であり、例えば、車載用3相ブラシレスDCモータドライバICに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 半導体装置(モータ駆動装置)
2 ドライバ
3 ブラシレスDCモータ
4 マイコン
11 位置検出信号生成部
11U、11V、11W ホールコンパレータ
12 ロジック部
13 プリドライバ
14 チャージポンプ
21〜26 パワートランジスタ
31U、31V、31W ホール素子
32 ロータ
33U、33V、33W ステータ
X、X11〜X18 電子機器
Y 車両
BT バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8