(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態である男性用失禁パッド(以下、単に「失禁パッド」ともいう)1は、
図1及び
図2に示すように、肌当接面2、非肌当接面3及びその間に配置された吸収体4を有している。
肌当接面2は、失禁パッド1の両面のうち、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面3は、失禁パッド1の両面のうち、着用時に肌側とは反対側(通常、衣類側)に向けられる面である。本実施形態においては、肌当接面2は、液透過性の表面シート21から形成され、非肌当接面3は、撥水性不織布31から形成されている。
【0010】
本実施形態の失禁パッド1の周縁部には、表面シート21と撥水性不織布31とが接合された平面視において環状の周縁シール部5が形成されている。周縁シール部5における表面シート21と撥水性不織布31との接合方法には、接着剤による接合、ヒートシール、高周波シール、超音波シール、熱シール、又はこれらの2以上の組み合わせ等が用いられる。
表面シート21としては、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種の液透過性シートを用いることができる。例えば、各種の製法による不織布や開孔を有する樹脂フィルム等を用いることができる。表面シート21を構成する液透過性シートとしては、肌触りや柔軟性の観点からエアスルー不織布を用いることが好ましい。
【0011】
本実施形態における吸収体4は、
図2に示すように、吸収性コア41、及び該吸収性コア41を被覆するコアラップシート42,43を備えており、吸収体4と同じく、吸収性コア41も、肌当接面2と非肌当接面3との間に配置されている。吸収性コア41は、例えばパルプ繊維等の吸液性繊維の積繊体や、吸液性繊維と高吸収性ポリマーとの混合積繊体から構成することができる。吸液性繊維としては、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース等のセルロール系の親水性繊維、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂からなる繊維を親水化油剤により親水化した親水化繊維、又はこれらの繊維の2種以上の組み合わせ等を用いることもできる。コアラップシート43は、吸収性コア41の非肌当接面側の面のほぼ全域を被覆している。コアラップシート42は、吸収性コア41の肌当接面側の面のほぼ全域を被覆していると共に、吸収性コア41の両側部において非肌対向面側に折り返されている。
【0012】
表面シート21と吸収体4との間、吸収体4と撥水性不織布31との間は、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工されたホットメルト接着剤等の接着剤により互いに接合されていてもよい。また、失禁パッド1の非肌当接面3に、衣類等に固定するための粘着剤を設けても良いが、撥水性不織布31が、失禁パッド1の非肌当接面3を形成している場合、その粘着剤は、撥水剤6が塗工された範囲となるべく重ならないように設けることが好ましい。
【0013】
本実施形態における吸収性コア41は、肌当接面2側と非肌当接面3側とが異なる2枚のコアラップシート42,43により被覆されているが、吸収性コア41は、1枚のコアラップシートでその全体が包まれていても良い。吸収性コア41を被覆するコアラップシートとしては、例えば、ティッシュペーパーや透水性の不織布が用いられる。また、吸収性コア41は、コアラップシートを介さずに、直接表面シート21及び撥水性不織布31のどちらか一方又は両方に接していても良い。
【0014】
本実施形態の失禁パッド1における撥水性不織布31は、
図3に示すように、吸収性コア41側の第1表面32、非肌当接面3側の第2表面33及びそれら両表面に挟まれた内部34を有している。吸収性コア41側の第1表面32とは、撥水性不織布31の両面のうちの、吸収性コア41側に向けられる面であり、非肌当接面3側の第2表面33とは、撥水性不織布31の両面のうちの、非肌当接面3を形成する面又は該非肌当接面3側に向けられる面である。
【0015】
第1実施形態の失禁パッド1の撥水性不織布31においては、
図3に示すように、第1表面32及び第2表面33のうちの第2表面33側に、スプレー塗工により撥水剤6が塗工されており、第2表面33の親水度が第1表面32の親水度より低くなっている。
【0016】
第1実施形態の失禁パッド1における撥水性不織布31は、
図3に示すように、第1表面32及び第2表面33のうちの一方である第2表面33の親水度が他方である第1表面32の親水度より低いことにより、撥水剤6の使用量を抑制して適度な通気性を確保することができる上に、耐水圧が高いものとなっている。このような撥水性不織布31が、吸収性コア41よりも非肌当接面側に配されていることにより、第1実施形態の失禁パッド1は、排尿量が5g程度の男性の軽失禁に対して十分な漏れ防止性を示し、また、吸液後にもムレ難い。
【0017】
また、本実施形態の失禁パッド1においては、その厚み方向における吸収性コア41より非肌当接面3側には樹脂フィルムからなる防漏シートが配されていない。そのため、樹脂フィルムにより防漏性を確保する従来の失禁パッドに比して、吸収性コア41から非当接面に向かって空気が抜けやすく、ムレ防止性に優れている。
本実施形態の失禁パッド1は、着用時に着用者の前後方向に一致する第1方向X及び平面状態において第1方向Xと直交する第2方向Yを有している。
【0018】
図4は、本発明の第2実施形態の失禁パッドの要部を示す
図3相当図である。第2実施形態の失禁パッドにおいても、第1実施形態と同様に、吸収性コア41よりも非肌当接面3側に撥水性不織布31が配されているが、その撥水性不織布31においては、
図4に示すように、第1表面32及び第2表面33のうちの第1表面32側に、スプレー塗工により撥水剤6が塗工されており、第1表面32の親水度が第2表面33の親水度より低くなっている。
【0019】
なお、第2及び第3実施形態の失禁パッドについては、第1実施形態と異なる点について主として説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、上述した第1実施形態に関する説明が適宜適用される。
【0020】
第1及び第2実施形態に用いた撥水性不織布31は、合成繊維を主体として構成された不織布基材の片面に、スプレー塗工により撥水剤6を付着させたものである。
不織布基材とする不織布としては、各種公知の製法による不織布を特に制限なく用いることができ、例えば、カード法又はエアレイド法により得た繊維ウエブにエアスルー法で繊維同士の熱融着点を形成したエアスルー不織布、カード法又はエアレイド法により得た繊維ウエブにヒートロール法で繊維同士の熱融着点を形成したヒートロール不織布、スパンボンド法により得られたスパンボンド不織布、メルトブローン法により得られたメルトブローン不織布、スパンボンド法とメルトブローン法とを組み合わせた製法で得られる、スパンボンド不織布(S)及びメルトブローン不織布(M)の積層不織布(SM,SMS,SMMS等)、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、エアレイド不織布、レジンボンド不織布が挙げられる。
これらのなかでも、厚み及び剛性を抑制しつつ高い耐水圧を実現できることから、スパンボンド不織布(S)及びメルトブローン不織布(M)の積層不織布が好ましく、同様の観点から、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布及びスパンボンド不織布がこの順に積層された構成を有する積層不織布が、より好ましい。
【0021】
撥水性不織布31の不織布基材とする不織布は、撥水剤6の塗布前から撥水性を示す不織布であることが好ましく、合成繊維、特に疎水性繊維を主体として構成された不織布であることが好ましい。そのような不織布の構成繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6,ナイロン6,6等のポリアミドなどの合成樹脂からなる合成繊維が挙げられる。合成繊維としては、複数種類の合成樹脂からなる芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維も好適に用いることもできる。
【0022】
撥水性不織布31に親水度の勾配を形成するために用いる撥水剤としては、(1)シリコーンオイル、(2)フッ素系撥水剤等を用いることができ、これらの中でも少量で高い効果を得られる観点からフッ素系撥水剤が好ましい。撥水剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記(1)のシリコーンオイルの例としては、KF−99(信越化学工業株式会社製)、H−Siloxane(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)等が挙げられる。
前記(2)のフッ素系撥水剤の例としては、TG−5502(ダイキン工業株式会社製)、AsahiGuard E−SERIES(旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
また、耐水性の向上や親水度勾配の作り易さの観点から、撥水剤の塗布量は、好ましくは1g/m
2以上、より好ましくは2g/m
2以上であり、また好ましくは6g/m
2以下、より好ましくは5g/m
2以下であり、また好ましくは1g/m
2以上6g/m
2以下、より好ましくは2g/m
2以上5g/m
2以下である。
また、厚みの抑制と、耐水性の向上や親水度勾配の作り易さの観点から、撥水性不織布31は、撥水剤の坪量を除いた不織布自体の坪量が、好ましくは8g/m
2以上、より好ましくは12g/m
2以上であり、また好ましくは40g/m
2以下、より好ましくは36g/m
2以下である。また好ましくは8g/m
2以上40g/m
2以下、より好ましくは12g/m
2以上36g/m
2以下である。
【0024】
第1実施形態における撥水性不織布31は、
図3に示すように、第2表面33側に撥水剤6が塗工されており、第2表面33の親水度が第1表面32の親水度より低いが、第2表面33の親水度が、第1表面32の親水度及び内部34の親水度のいずれよりも低いことが、撥水剤の使用量を抑制、通気性の確保及び耐水圧の向上の観点から更に好ましい。第2実施形態における撥水性不織布31は、
図4に示すように、第1表面32側に撥水剤6が塗工されており、第1表面32の親水度が第2表面33の親水度より低いが、第1表面32の親水度が、第2表面33の親水度及び内部34の親水度のいずれよりも低いことが、撥水剤の使用量を抑制、通気性の確保及び耐水圧の向上の観点から更に好ましい。
【0025】
撥水性不織布の第1表面32、第2表面33及び内部34の相互の親水度の高低は、下記方法によって、それぞれの部位から採取した繊維について、下記方法により接触角を計測し、対比すべき部位から得た繊維の接触角の大小を比較することにより判定する。即ち、繊維の接触角が大きい部位の親水度が、繊維の接触角が小さい部位の親水度より低いと判定する。
【0026】
〔製品からの不織布の採取方法〕
製品の非肌面側にドライヤー等で温風を当てながら、不織布を丁寧に剥がす。
〔各部位からの繊維の採取方法〕
第1表面:第1表面の最表層を、拡大鏡を使いながら、最表層に存在する繊維をマイクロ剪刀等の刃先の細いハサミを用いて、全長1mm以上となるように繊維を採取する。
第2表面:第2表面の最表層を、拡大鏡を使いながら、最表層に存在する繊維をマイクロ剪刀等の刃先の細いハサミを用いて、全長1mm以上となるように繊維を採取する。
内部:カミソリ刃等の薄い刃を、不織布試料を表面に対し垂直に押し当てて裁断し、裁断面内の繊維をマイクロ剪刀等の刃先の細いハサミを用いて、全長1mm以上となるように繊維を採取する。
【0027】
〔繊維の接触角の計測〕
繊維に対する水の接触角は次の方法で測定される。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角測定には、蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー株式会社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、前記採取方法にて採取された繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に、画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。測定数は1箇所/1本とし、5本の算術平均値を採用する。
【0028】
なお、撥水性不織布31は、第1表面32及び第2表面33のうち親水度が低い方の繊維の接触角が、好ましくは105°以上、より好ましくは110°以上であり、また好ましくは140°以下、より好ましくは130以下であり、また好ましくは105°以上140°以下、より好ましくは110°以上130°以下である。
また、撥水性不織布31は、第1表面32及び第2表面33のうち親水度が高い方の繊維の接触角が、好ましくは85°以上、より好ましくは90°以上であり、また好ましくは110°以下、より好ましくは105°以下であり、また好ましくは85°以上110°以下、より好ましくは90°以上105°以下である。
また、撥水性不織布31は、第1表面32及び第2表面33のうち親水度が低い方の繊維の接触角と、第1表面32及び第2表面33のうち親水度が高い方の繊維の接触角との差が、好ましくは15°以上、より好ましくは20°以上であり、また好ましくは55°以下、より好ましくは50°以下であり、また好ましくは15°以上55°以下、より好ましくは20°以上50°以下である。
【0029】
図5は、本発明の第3実施形態の失禁パッドの要部を示す
図3相当図である。第3実施形態の失禁パッドにおいても、第1実施形態と同様に、吸収性コア41よりも非肌当接面3側に撥水性不織布31が配されているが、その撥水性不織布31においては、
図5に示すように、第1表面32及び第2表面33のそれぞれにスプレー塗工により撥水剤6が塗工されており、第1表面32の親水度及び第2表面33の親水度が、いずれもが内部34の親水度よりも低くなっている。
【0030】
なお、第1表面32及び第2表面33それぞれの親水度が内部34の親水度より低い撥水性不織布31における第1表面32及び第2表面33は、第1表面32の親水度が第2表面33の親水度より低くても良いし、第2表面33の親水度が第1表面32の親水度より低くても良いし、第1表面32と第2表面33とで親水度が同じであっても良いが、第2表面33の親水度が第1表面32の親水度より低いことが、耐水圧向上の点から好ましい。
【0031】
図6は、本発明の第4実施形態の失禁パッドの要部を示す
図3相当図である。第4実施形態の失禁パッドにおいては、吸収性コア41の非肌当接面側の面を被覆するコアラップシート43が配されておらず、厚み方向に親水度の勾配を有する撥水性不織布31が直接吸収性コア41と接している。第4実施形態における撥水性不織布31は、第1実施形態に用いた撥水性不織布31と同様の構成を有する撥水性不織布31であり、第1表面32及び第2表面33のうちの第2表面33側にスプレー塗工により撥水剤6が塗工されており、第2表面33の親水度が第1表面32の親水度より低くなっており、より詳細には、第2表面33の親水度が、第1表面32及び内部34の親水度よりも低くなっている。第1実施形態に用いた撥水性不織布31と同様の構成を有する撥水性不織布31に代えて、第2実施形態や第3実施形態に用いた撥水性不織布31と同様の構成を有するものを用いても良い。
【0032】
第4実施形態の失禁パッドにおいては、
図6に示すように、親水度に勾配を有するコアラップシート43の非肌当接面3側に、最外層不織布35が配されている。最外層不織布35は撥水剤6を塗工していないものであっても良い。表面シート21と最外層不織布35とは、吸収体4の周縁部より外方において互いに接合されており、それによって失禁パッドの外周部に周縁シール部5(
図1参照)が形成されている。最外層不織布35としては、各種公知の不織布を用いることができる。着用者に対する触り心地の観点から、エアスルー不織布が好ましい。
第4実施形態の失禁パッドについて特に説明しない点は、上述した第1実施形態の失禁パッドと同様であり、第1実施形態に関する説明が適宜適用される。
【0033】
以上、本発明の男性用失禁パッドについて好ましい複数の実施形態を説明したが、本発明は上述した各実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、男性用失禁パッドの平面視形状は、
図1に示すような小判状の他、楕円状、角部を丸めた四角形状、角部を丸めた三角形状、長手方向の中央部が括れた矩形や楕円状等の任意の形状とすることができる。
図7及び
図8に、角部を丸めた三角形状の男性用失禁パッドの一例を示した。
図7及び
図8に示す男性用失禁パッド1Aにおいては、非肌当接面3を形成するシートが、厚み方向に親水度の勾配を有する撥水性不織布31からなり、その撥水性不織布31としては、第1〜第3実施形態で用いた撥水性不織布のうちのいずれを採用することもできる。また、
図7及び
図8に示す男性用失禁パッド1Aにおいては、吸収性コア41に、該吸収性コア41を貫通する貫通孔45が形成されている。吸収性コア41を貫通する貫通孔45又は吸収性コア41を含む吸収体4の全体を貫通する貫通孔45が形成されていると、ムレ防止性が向上するため好ましい。
【0034】
また、吸収性コア41は、高吸収性ポリマーが一枚又は二層の繊維シートに保持された構成の吸収性シートや該吸収性シートの積層体からなるもの等を用いることもできる。
また、不織布基材に対する撥水剤の塗布方法としては、スプレー塗工に代えて、他の方法を用いても良く、例えば、撥
水剤を塗工する方法としてリバースロール法、グラビア法、グラビアオフセット法等を用いて塗工することもできる。特に前記スプレー法、リバースロール法、グラビア法、グラビアオフセット法は、SMS不織布のみならず、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布等の不織布基材に使用することができる。
さらに、繊維の撥水化の方法として、繊維製造工程で撥水剤を内添する方法によって、各繊維層の撥水性をコントロールすることができる。例えばメルトブローン繊維を成形する工程において撥
水剤を内添し、メルトブローンの繊維にスパンボンド繊維を第1表面32及び第2表面33に積層することによって成形された第1表面スパンボンド/メルトブローン/第2表面スパンボンドを製造することができる。
第一表面スパンボンド繊維または第二表面のスパンボンド繊維を成形する工程において、どちらか一方に撥水剤を内添することで、親水度の異なる第1表面スパンボンド/メルトブローン/第2表面スパンボンドまたは第1表面スパンボンド/スパンボンド/第2表面スパンボンドを製造することができる。SMSまたはSSSに変えて、SSMS、SSMMS等の積層不織布であってもよい。
撥水化の度合いを変更するための方法として、前記撥
水剤を繊維に外添加する方法と内添する方法を組み合わせてもよい。
【0035】
また、非肌当接面を形成する撥水性不織布31やコアラップシート43を構成する撥水性不織布31は、それぞれの全域に撥水剤6が塗工されていても良いが、一部
のみに撥水剤が塗工されていても良い。例えば、吸収性コア41と重なる範囲のみに撥水剤6を配したり、第1方向Xにおける液排泄部が対向配置される部位のみに撥水剤を配することもできる。
本発明の男性用失禁パッドは、消臭材を含んでもよい。前記消臭剤の例としては、活性炭、シリカ、二酸化ケイ素(シリカゲル)、ケイ酸カルシウム等の無機多孔質物質や、銀担持ゼオライト、銀担持カンクリナイト等の金属担持多孔質等が挙げられる。これらの消臭剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。消臭剤を配する部位は、例えば吸収体(吸収性コア、コアラップシート等)が挙げられるが、吸収体に限られずに任意の部位に配することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例を用いて更に説明するが、本発明は、かかる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0037】
〔実施例1〕
坪量15g/m
2のSMS不織布の第1表面側に、シリコーン系撥水剤をスプレー塗工し撥水性不織布を得た。撥水剤の塗工量は2.2g/m
2とした。
〔実施例2〕
坪量15g/m
2のSMS不織布の第2表面側に、シリコーン系撥水剤をスプレー塗工し撥水性不織布を得た。撥水剤の塗工量は2.2g/m
2とした。
〔実施例3〕
撥水剤の塗工量を4.4g/m
2に代えた以外は実施例1と同様にして撥水性不織布を得た。
〔実施例4〕
撥水剤の塗工量を4.4g/m
2に代えた以外は実施例2と同様にして撥水性不織布を得た。
〔実施例5〕
坪量15g/m
2のSMS不織布の両面に、シリコーン系撥水剤をスプレー塗工した。撥水剤の塗工量は、各面につき2.2g/m
2とした。
【0038】
〔評価〕
実施例1〜5で得られた撥水性不織布について、各部の繊維の折曲角を測定し、また下記方法により耐水圧を測定した。また、比較例1として、実施例1で用いた坪量15g/m
2のSMS不織布の1枚についての耐水圧を測定した。
それらの結果を表1に示した。
〔耐水圧の測定方法〕
TEXTEST社製の耐水圧試験機「FX3000−4H」を用い、加圧速度100mmAq/minの条件で行った。耐水圧は、第1表面側から第2表面側に向かって水圧を加えて測定した。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例1〜5と比較例1の結果の対比から、第1表面及び第2表面のうちの一方の親水度を他方の親水度より低くするか(実施例1〜4)、第1表面及び第2表面それぞれの親水度を内部の親水度より低くすること(実施例5)により、不織布の厚みや柔軟性を大きく変化させることなく、耐水圧を効果的に向上させることが判る。
また、実施例1と実施例2の結果及び実施例3と実施例4の結果の対比から、第1表面の親水度が第2表面の親水度より低いよりも、第2表面の親水度が第1表面の親水度より低い方が、耐水圧及びこれによる防漏性をより効果的に向上させることができることが判る。