(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るボルト締結構造の構成図を示し、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のA−A断面図、
図2は、第1実施形態のざぐり部を示す平面図である。また、参考例として、
図3には従来のボルト締結構造を示している。
【0014】
図1(a)に示すように、本発明の実施形態に係るボルト締結構造100をターボ機械に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、
図1(a)では、ケーシングCに軸支される回転軸や内部に設けられる羽根車などの構造については図示を省略している。
【0015】
ケーシングCは、上ケーシング101と下ケーシング102とを備え、上ケーシング101と下ケーシング102とがボルト締結部103によって締結されている。なお、ケーシングCは、圧力容器としても機能するものである。
【0016】
上ケーシング101は、略半円筒形状であり、その縁に上フランジ104が外方向に突出して形成されている。また、下ケーシング102は、略半円筒形状であり、その縁に下フランジ105が外方に突出して形成されている。また、下ケーシング102には、下方に向けて突出する入口ノズルN1と出口ノズルN2が形成されている。上フランジ104と下フランジ105とをボルト締結部103で締結することにより、ケーシングC内部の高圧ガスを封止している。なお、
図1(a)では、入口ノズルN1と出口ノズルN2が下向きに配置した場合を例に挙げて説明するが、入口ノズルN1と出口ノズルN2とが上向きとなる配置であってもよい。
【0017】
図1(b)に示すように、上ケーシング101の内壁面101aは、上方に向かって上フランジ104から離れる方向に湾曲している。下ケーシング102の内壁面102aは、下方に向かって下フランジ105から離れる方向に湾曲している。また、上フランジ104と下フランジ105とが締結されたときに、内壁面101aと内壁面102aとが一続きの湾曲した面になるように構成されている。なお、ケーシングC(
図1(a)参照)の形状は、内圧Pが負荷されるものであれば、本実施形態の形状に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0018】
ボルト締結構造100は、上フランジ104、下フランジ105、スタッド106(ボルト)、上ナット107、下ナット108、ボルト穴109およびざぐり部110を備えて構成されている。なお、スタッド106、上ナット107、下ナット108によってボルト締結部103が構成されている。
【0019】
上フランジ104は、上ケーシング101の縁部101bから外側(水平方向)に突出して形成されている。また、上フランジ104は、断面視略矩形状であり、水平方向に延在する上面104aと、上面104aと平行に延在する下面104bと、上下方向(鉛直方向)に延在する側面104cと、を有している。
【0020】
下フランジ105は、下ケーシング102の縁部102bから外側(水平方向)に突出して形成されている。また、下フランジ105は、断面視略矩形状であり、水平方向に延在して下面104bと対向する上面105aと、上面105aと平行に延在する下面105bと、上下方向(鉛直方向)に延在する側面105cと、を有している。
【0021】
上フランジ104の下面104bと、下フランジ105の上面105aとは、互いに上下において重なり、上フランジ104の側面104cと下フランジ105の側面105cとが面一となるように構成されている。
【0022】
また、下フランジ105は、ざぐり部110が形成されている。ざぐり部110は、上面105aが凹状に形成されたものであり、上フランジ104の下面104bから離間するように形成されている。また、上フランジ104の下面104bと下フランジ105の上面105aとは、ざぐり部110を除いて全体が面接触している。
【0023】
ざぐり部110は、上フランジ104の下面104bと下フランジ105の上面105aとの合わせ面Sにおける下フランジ105に、ボルト穴109の中心であるボルト穴中心111に対してケーシングC(
図1参照)の内外方向において非対称に形成されている。上フランジ104と下フランジ105との合わせ面Sにおけるボルト穴内縁109a(ボルト穴の内縁)から上フランジ104と下フランジ105との合わせ面Sの内縁(上下フランジ内縁)113までが上フランジ104の下面104bと下フランジ105の上面105aとが全面接触している。また、ボルト穴109の外縁であるボルト穴外縁109bから上フランジ104と下フランジ105との合わせ面Sの外縁(上下フランジ外縁)115までが一部において面接触している。なお、ボルト穴外縁109b(ボルト穴の外縁)とは、ボルト穴中心111を挟んでボルト穴内縁109aとは180度反対側の位置である。
【0024】
ボルト穴109は、上フランジ104と下フランジ105の合わせ面S上に形成されている。すなわち、ボルト穴109は、上フランジ104と下フランジ105を上下方向(合わせ面Sに直交する方向)に直線状に貫通するように形成されている。また、ボルト穴109の内径(直径)D1は、スタッド106の直径(外径)D2よりも若干大きく形成され、上フランジ104の上面104aから下フランジ105の下面105bまで同一の直径D1を有して形成されている。
【0025】
ボルト穴109に挿通されるスタッド106は、上フランジ104と下フランジ105を重ねたときの厚みよりも軸方向Gに長く形成された棒状のものであり、軸方向Gの両端部に雄ねじ106a,106bが形成されている。また、スタッド106は、ボルト穴109に挿通されたときに、雄ねじ106aの一部が上フランジ104の上面104aから突出し、雄ねじ106bの一部が下フランジ105の下面105bから突出している。なお、スタッド106は、雄ねじ106aと雄ねじ106bとの軸方向の間が、雄ねじが形成されていない円柱状に形成されている。
【0026】
スタッド106がボルト穴109に挿通された状態で、上ナット107が雄ねじ106aに螺合されるとともに、下ナット108が雄ねじ106bに螺合されることで、上フランジ104が上面104aに密着し、下フランジ105が下面105bに密着した状態で締結される。
【0027】
図2に示すように、ざぐり部110は、ボルト穴109よりも大径であり、ボルト穴109の中心であるボルト穴中心111に対して、同心円状ではなく、内側と外側(内外方向)で非対称な位置となるように形成されている。また、ざぐり部110は、ボルト穴109の軸方向G(
図1(b)参照)からの平面視において円状に形成されている。また、ざぐり部110は、ボルト穴中心111に対してざぐり部110の中心が外側に偏心し、かつ、ボルト穴内縁109aとざぐり部110の内縁とが点Tにおいて一致するように構成されている。つまり、ざぐり部110は、ボルト穴内縁109aよりも内方には形成されていない。なお、ボルト穴109の内縁であるボルト穴内縁109aとは、合わせ面S(
図1(b)参照)上における下ケーシング102の内壁面102a(上ケーシング101の内壁面101a)に最も近い位置である。ざぐり部110の内縁とは、合わせ面S(
図1(b)参照)における下ケーシング102の内壁面102aに最も近い位置である。つまり、ボルト穴内縁109aとざぐり部110の内縁とは、点Tにおいて接している。
【0028】
また、ざぐり部110の直径をW3としたときに、隣り合うボルト穴109,109のボルト穴中心111,111間の距離L1が、ざぐり部110の直径W3よりも長くなるように構成されている。これにより、隣り合うざぐり部110,110間に、上フランジ104(
図1(b)参照)と下フランジ105とが範囲W4で合わさる合わせ面が形成されている。
【0029】
また、ボルト穴内縁109aから上下フランジ内縁113(合わせ面Sの内縁)までの距離(範囲)をW1とし、ざぐり部110の外縁114から上下フランジ外縁115(合わせ面Sの外縁)までの距離(範囲)をW2としたときに、範囲W1が範囲W2よりも大きくなるように形成されている。なお、上下フランジ内縁113、ボルト穴内縁109a(点T)、ボルト穴外縁109b、ざぐり部110の外縁114および上下フランジ外縁115は、すべてが直線上に位置し、この直線が下ケーシング102の内壁面102aまたは下フランジ105の側面105cに対して直交するように構成されている。なお、上下フランジ内縁113とは、合わせ面S(
図1(b)参照)上において、ボルト穴内縁109a、ボルト穴中心111およびボルト穴外縁109bを通る直線の延長線と下ケーシング102の内壁面102a(上ケーシング101の内壁面101a)とが交差する位置である。また、上下フランジ外縁115とは、合わせ面S(
図1(b)参照)上において、ボルト穴内縁109a、ボルト穴中心111およびボルト穴外縁109bを通る直線の延長線と下フランジ105の側面105c(上フランジ104の側面104c)とが交差する位置である。また、隣り合うボルト穴109およびざぐり部110についても同様な位置に配置されている。
【0030】
このように、範囲W1,W2,W4など、範囲W3(ざぐり部110が形成されている領域)を除く範囲すべてにおいて、上フランジ104(
図1(b)参照)と下フランジ105とが面接触するように構成されている。
【0031】
第1実施形態では、ボルト穴109に対して図示左右非対称(内外非対称)な円形のざぐり部110を加工するだけで、範囲W1を範囲W2よりも大きくでき、内圧P(
図1(b)参照)が負荷されるW1側の締結力を向上させることができる。また、ざぐり部110は、全てのボルト穴109に対して設けてもよいし、上下フランジ内縁113の口開きが発生し易い場所、つまり符号E4,E5(
図1(b)参照)で示す最も端に位置するボルト締結部103A(103)のみにおいて(
図1(a)参照)、ボルト穴109にざぐり部110を設けてもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、ボルト穴109に円形のざぐり部110を形成した場合を例に挙げて説明したが、ボルト穴109に楕円形状のざぐり部を設けてもよく、四角形状や多角形状のざぐり部を設けてもよい。楕円形状のざぐり部の場合や四角形状のざぐり部の場合も、円形のざぐり部と同様に、ボルト穴109に対してざぐり部が内外方向において非対称に形成され、ボルト穴内縁109aとざぐり部の内縁とが点接触している。
【0033】
図1(b)に戻って、ざぐり部110は、本実施形態では、ざぐり加工が施されていないボルト穴109の内縁であるボルト穴内縁109aから上フランジ104と下フランジ105との合わせ面Sの内縁である上下フランジ内縁113までの範囲W1と、ざぐり部110の外縁114から上フランジ104と下フランジ105との合わせ面Sの外縁である上下フランジ外縁115までの範囲W2の領域で上フランジ104と下フランジ105とが全面接触し、かつ、範囲W1が範囲W2よりも大きくなるように構成されている。なお、ボルト穴内縁109aとは、最も内側の位置(最もケーシングC内の空間Qに近い位置)を意味している。また、さぐり部110の外縁114とは、最も外側の位置(最もケーシングCの外側に近い位置)を意味している。
【0034】
このように、上フランジ104と下フランジ105とがボルト締結部103の内側において接触する範囲W1を、ボルト締結部103の外側において接触する範囲W2よりも大きく(広く)している。これにより、ボルト締結部103のボルト軸力Fにより発生する上フランジ104と下フランジ105との間に発生する圧縮場120が範囲W1側に流れ易くなる。すなわち、内圧Pが負荷されるケーシングC側(内側、空間Q側)の締結力を向上させることができるので、内圧Pによる上フランジ104と下フランジ105との合わせ面Sの上下フランジ内縁113における口開き(上フランジ104と下フランジ105とが離れる現象)が抑制され、ケーシングCの気密性を向上させることが可能になる。なお、圧縮場120とは、破線で示すように、上ナット107で締め付けられて上フランジ104が圧縮によって変形する円錐状に広がる範囲である。また、
図1(b)では、上フランジ104側の圧縮場120のみを示して説明したが、下フランジ105の側についても前記と同様に圧縮場が作用して、前記説明と同様に口開きを抑える力が作用する。
【0035】
ところで、圧縮場120が範囲W1側に流れ易くなることで、範囲W2側の締結力は低下するが、ケーシングCの気密性には影響しない。つまり、内圧Pが負荷されると、上下フランジ内縁113に口開きが発生する方向にモーメントM,M(
図1(b)参照)が生じる。しかし、ざぐり部110の外縁114から上下フランジ外縁115までの範囲W2を面接触させていることにより、範囲W2の面接触させる構造がモーメントM,Mに対する抵抗となり、上下フランジ内縁113の口開きを抑制することができる。
【0036】
また、範囲W1を全面で接触させることにより、接触面に過度に高い面圧が発生することがなく、へたりなどによる面圧低下も生じ難くなる。また、ざぐり部110は、範囲W1,W2が形成されるように、ボルト穴中心111に対して内外方向において非対称(図示左右非対称)に1箇所のみ形成されている。なお、1箇所とは、1回の加工操作でざぐり部110を形成できることを意味している。すなわち、特許文献1で示したように、ボルト穴より内側に内側凸条、ボルト穴より外側に外側凸条が形成されている場合には、内側凸条の内側と、外側凸条の外側と、内側凸条と外側凸条との間の3箇所(3回の加工操作)にざぐり部を形成する必要がある。しかし、本実施形態では、ボルト穴109の周囲にざぐり部110が1箇所設けられているだけである。このように、ざぐり部110を1箇所にすることで、ケーシングCの気密性を簡便に向上させつつ、加工コストを低減できる。
【0037】
ところで、
図3において参考例として示す従来のボルト締結構造200は、上フランジ204、下フランジ205、スタッド206、上ナット207、下ナット208および上下フランジ内のボルト穴209で構成されている。
図1(b)のボルト締結構造100と、
図3のボルト締結構造200の差異は、ボルト締結構造100では、ボルト穴中心111に対して内外方向において非対称な位置にざぐり部110が設けられ、ボルト締結構造200では、ざぐり部が設けられていない点である。
【0038】
従来のボルト締結構造200では、上フランジ204と下フランジ205の合わせ面S10にはざぐり部が無く、上フランジ204と下フランジ205が、合わせ面S10の内縁である上下フランジ内縁213から合わせ面S10の外縁である上下フランジ外縁215までの全体において面接触している。このように上下フランジ内縁213から上下フランジ外縁215までの全体で面接触していることにより、接触面に発生する面圧は、接触面積が広くなることによって、ボルト締結構造100のざぐり部110を設けた場合と比較して低くなるので、ケーシング内から負荷される内圧Pによって上下フランジ内縁213に口開きが発生し易くなる。また、ボルト穴209の内縁212から上下フランジ内縁213までの範囲W1が、ボルト穴209の外縁214から上下フランジ外縁215までの範囲W2よりも小さい(狭い)場合、ボルト軸力Fにより上下フランジ内に発生する圧縮場230(破線参照)がW2側に流れ易くなることで、W1側の締結力が低下し、上下フランジ内縁213が口開きし易くなる。なお、図示していないが、ボルト穴209の中心であるボルト穴中心211に対して、内外方向において対称にざぐり部を設ける従来例も提案されているが、このような構造では、ざぐり部を形成することで上フランジと下フランジの接触面積が減少することで上フランジと下フランジの合わせ面の接触面圧が全体的に増加するものの、前記した
図3の従来例と同様に面接触する範囲W1が面接触する範囲W2よりも小さい場合、ボルト締結構造100と比較して、上下フランジ内縁213が口開きし易くなる。
【0039】
そこで、本実施形態におけるボルト締結構造100では、従来のボルト締結構造200の課題を解決し、ボルト穴内縁109aから上下フランジ内縁113までが上フランジ104と下フランジ105とが全面接触し、ボルト穴外縁109bから上下フランジ外縁115までが上フランジ104と下フランジ105とが一部で面接触し、全面接触している範囲W1が、一部で面接触している範囲W2よりも大きくしたことで(
図1(b)参照)、ケーシングCの気密性を簡便に向上させることができるようにしたものである。
【0040】
すなわち、内圧Pが負荷されるケーシングCの内側における上フランジ104と下フランジ105の接触範囲W1を、その反対側(ケーシングCの外側)の接触範囲W2よりも大きくすることによって、ボルト穴109の内外に発生する締結力のバランスが変化し、気密性に影響する内圧Pが負荷される側の締結力を効果的に向上させることができる。また、内圧Pが負荷されるケーシングCの内側(ボルト穴内縁109aから上下フランジ内縁113まで)における上フランジ104と下フランジ105とを全面接触させることにより、接触面に過度に高い面圧が発生することがなく、へたりなどによる面圧低下も生じにくい。さらに、内圧Pが負荷された際、上下フランジ内縁113に口開きが発生する方向にモーメントMが作用するが、ボルト穴外縁109bから上下フランジ外縁115までの間を一部面接触させていることにより、その面接触がモーメントMに対する抵抗となり、上下フランジ内縁113の口開きを抑制することができる。
【0041】
また、ボルト締結構造100では、一部で面接触する範囲W2として、ざぐり部110の外縁114から上下フランジ外縁115までの範囲にしている。これにより、上下フランジ内縁113に口開きさせるモーメントM(
図1(b)参照)が作用したときの抵抗となる面接触の位置を、合わせ面Sの最も外縁側(上下フランジ外縁115を含む側)に形成することで、前記した抵抗をより小さい力で受けることが可能になり、へたりなどによる抵抗力の低下を抑制することができる。
【0042】
また、ボルト締結構造100では、ざぐり部110が上フランジ104と下フランジ105の合わせ面S上に円状に形成されている。これにより、ざぐり部110を形成することが容易になり、ざぐり部110の加工コストを低減できる。
【0043】
また、ボルト締結構造100では、上フランジ104と下フランジ105とがいわゆる両ナットボルト(スタッド106、上ナット107、下ナット108)を介して締結されている。これにより、上フランジ104と下フランジ105の上下両側から前記した圧縮場120を発生させることができるので、いわゆる植え込みボルトのような片側のみから締結されるものと比較して、ボルト締結部103における締結力を向上させることができ、ケーシングCの気密性を簡便により向上させることができる。
【0044】
また、ボルト締結構造100では、ボルト締結構造100を圧縮機、ポンプ、蒸気タービンなどボルト締結部103を有する各種機械(ターボ機械)に汎用的に適用することができる。このように本実施形態のボルト締結構造100をターボ機械に適用することにより、ターボ機械の高圧化や大径化が可能となる。
【0045】
また、第1実施形態では、ボルト締結構造100において、いわゆる「両ナットボルト」を適用した例を示しているが、植込みボルトや通しボルトなど各種ボルトを適用できる。また、第1実施形態では、ざぐり部110を下フランジ105側に設けた場合を例に挙げて説明したが、ざぐり部110を上フランジ104側に設けてもよく、また、ざぐり部110を上フランジ104と下フランジ105の双方に設けてもよい。
【0046】
また、ざぐり部110を形成することによって上フランジ104と下フランジ105との間に形成される空間Q1(
図1(b)参照)と、ボルト穴109とスタッド106との間の隙間Q2(
図1(b)参照)にそれぞれシリコンゴムなどのシール材を充填してもよい。これにより、上フランジ104と下フランジ105との間における気密性を向上でき、仮に口開きが発生したとしても、シール材によって高圧ガスの漏れを防止できる。
【0047】
図4は、第1実施形態のざぐり部の変形例を示す平面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する(その他の変形例も同様)。
図4に示すように、ボルト締結構造400では、下フランジ105にざぐり部410を形成した構造である。このざぐり部410は、ボルト穴109の中心であるボルト穴中心111に対して、同心円状ではなく、内外方向において非対称となるように形成されている。
【0048】
また、ボルト穴内縁109aから上下フランジ内縁113までの距離(範囲)をW1とし、ざぐり部410の外縁114から上下フランジ外縁115までの距離(範囲)をW2としたときに、範囲W1が範囲W2よりも大きくなるように構成されている。
【0049】
また、ざぐり部410は、ボルト穴109の軸方向G(
図1(b)参照)からの平面視において略円形状を呈している。また、ざぐり部410は、ボルト穴中心111に対してざぐり部410の中心が外側に偏心し、かつ、ボルト穴内縁109aとざぐり部110の内縁とが点Tにおいて一致するように構成されている。
【0050】
また、ざぐり部410の直径をW3としたときに、隣り合うボルト穴109,109の中心111,111間の距離L2が、ざぐり部410の直径W3よりも短く形成されている。これにより、隣り合うざぐり部410同士が一部において重なり合うようになっている。なお、
図4では、隣り合う2つのざぐり部410を図示しているが、上フランジ104および下フランジ105に沿って配置されるボルト締結部103(
図1(a)参照)のすべてまたは一部においてボルト穴109にざぐり部410が形成されていてもよく、並び方向の端部E4,E5(
図1(a)参照)に位置するボルト締結部103A,103A(
図1(a)参照)のみのボルト穴109にざぐり部410が形成されていてもよい。
【0051】
また、範囲W1,W2など、範囲W3を除く領域のすべてにおいて、上フランジ104(
図1(b)参照)と下フランジ105とが面接触している。
【0052】
このように、ボルト締結構造400では、ボルト穴内縁109aから上下フランジ内縁113までが上フランジ104と下フランジ105とが全面接触し、ボルト穴外縁109bから上下フランジ外縁115までが上フランジ104と下フランジ105とが一部で面接触し、全面接触している範囲W1が、一部で面接触している範囲W2よりも大きく形成されている。これにより、ケーシングCの気密性を簡便に向上させることができる。
【0053】
また、ボルト締結構造400では、隣り合うボルト締結部103におけるざぐり部410が一部において重なるように構成されている。これにより、上フランジ104と下フランジ105とが接触する面積を
図2の場合と比べて減らすことができ、上フランジ104と下フランジ105とが接触する際の面圧を、
図2に示すざぐり部110を設けたボルト締結構造100の場合よりも高めることができる。
【0054】
また、ボルト締結構造400では、一部で面接触する範囲として、ざぐり部410の外縁114から上下フランジ外縁115までにすることで、上下フランジ内縁113に口開きさせる際の抵抗力をより小さい力で受けることが可能になり、へたりなどによる抵抗力の低下を抑制することができる。
【0055】
また、ボルト締結構造400では、ざぐり部410が上フランジ104(
図1(b)参照)と下フランジ105の合わせ面S(
図1(b)参照)上に円状に形成されている。これにより、ざぐり部410を形成することが容易になり、ざぐり部410の加工コストを低減できる。
【0056】
なお、
図4に示す変形例の場合においても、ざぐり部410を下フランジ105に設ける構成に限定されず、ざぐり部410を上フランジ104に設けてもよく、またはざぐり部410を上フランジ104と下フランジ105の双方に設けてもよい(
図5の変形例についても同様)。
【0057】
図5は、第1実施形態のざぐり部の他の変形例を示す平面図である。
図5に示すように、ボルト締結構造500は、下フランジ105にざぐり部510を形成した構造である。このざぐり部510は、ボルト締結部103の並び方向に沿って等幅(範囲W3)で形成され、ボルト穴109の軸方向G(
図1(b)参照)に直交する方向に沿って連続して形成されている。また、ざぐり部510は、下フランジ105の直線部分E1(
図1(a)参照)において直線状に形成され、下フランジ105の曲線部分E2,E2(
図1(a)参照)においては曲線状に形成されている。
【0058】
すなわち、範囲W3以外の、ボルト穴内縁109aから上下フランジ内縁113までの範囲W1と、ざぐり部510の外縁114から上下フランジ外縁115までの範囲W2とで上フランジ104(
図1(b)参照)と下フランジ105とが面接触するように構成されている。
【0059】
また、ボルト穴内縁109aから上下フランジ内縁113までの距離(範囲)をW1とし、ざぐり部510の外縁114から上下フランジ外縁115までの距離(範囲)をW2としたときに、範囲W1が範囲W2よりも大きくなるように構成されている。
【0060】
このようにボルト締結構造500では、ボルト穴内縁109aから上下フランジ内縁113までが上フランジ104と下フランジ105とが全面接触し、ボルト穴外縁109bから上下フランジ外縁115までが上フランジ104と下フランジ105とが一部で面接触し、全面接触している範囲W1が、一部で面接触している範囲W2よりも大きく形成されている。これにより、ケーシングCの気密性を簡便に向上させることができる。
【0061】
また、ボルト締結構造500では、一部で面接触する範囲として、ざぐり部510の外縁114から上下フランジ外縁115までにすることで、上下フランジ内縁113に口開きさせる際の抵抗力をより小さい力で受けることが可能になり、へたりなどによる抵抗力の低下を抑制することができる。
【0062】
また、ボルト締結構造500では、ざぐり部510が上フランジ104と下フランジ105との合わせ面S上に、軸方向G(スタッド106(ボルト)の軸方向)に対して直交する方向に溝状に形成されている。これにより、上フランジ104と下フランジ105とが接触する面積を
図2や
図4の場合と比べてさらに減らすことができ、上フランジ104と下フランジ105とが接触する際の面圧を、
図2、
図4に示すざぐり部110,410を設けたボルト締結構造100,400の場合よりも高めることができる。
【0063】
このようなざぐり部510を形成することにより、複数のボルト穴109の周囲に個別にざぐり部110,410を設ける場合と比べて、ざぐり部510の加工が容易になり、加工コストを低減できる。また、ざぐり部510を設けることにより、上フランジ104と下フランジ105とが接触する面積を
図2や
図4の場合と比べて減らすことができ、上フランジ104と下フランジ105とが接触する際の面圧を、
図2、
図4に示すざぐり部110,410を設けたボルト締結構造100,400よりも高めることができる。
【0064】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係るボルト締結構造の構成図である。ボルト締結構造600のうち、既に説明した
図1のボルト締結構造100と同一の構成、機能を有する部分に関しては、説明を省略する。また、
図6では明視性を考慮して断面図を意味する斜線(ハッチング)も省略している。ボルト締結構造600とボルト締結構造100との差異は、ボルト締結構造600では、圧縮場620の影響範囲を考慮して、ナット外縁607から上下フランジ外縁115までの距離を規定している。
【0065】
図6に示すように、ボルト締結構造600では、ボルト軸力Fにより、上フランジ104と下フランジ105の内部には、圧縮場620が発生する。この圧縮場620は、上ナット107の外縁であるナット外縁607から、上フランジ104と下フランジ105の合わせ面Sに向かって広がり、圧縮場620の境界ライン621(破線)が円錐状となるように傾斜している。この圧縮場620が作用している合わせ面Sの範囲W5の領域において接触面圧が発生する。なお、ナット外縁607とは、上ナット107と上フランジ104の上面104aとが接する上面104aにおける最も側面104cに近い位置(上面104aにおける最も外側の位置)である。また、圧縮場620の面積が大きいほど、内圧Pによる口開き方向のモーメントM(
図1(b)参照)に対する抵抗が大きくなるため、ケーシングCの気密性は向上する。また、圧縮場620の境界ライン621の鉛直方向(上下方向)に対する傾斜角度α(例えば、30度)は、各部の寸法により近似的に導出され、ナット外縁607から境界ライン端部(境界ライン下端部)622までの合わせ面Sに平行な距離(水平距離)W6は、上フランジ104の厚さLのおよそ1/2倍となる。
【0066】
そこで、ボルト締結構造600では、ナット外縁607から上フランジ104と下フランジ105の合わせ面Sの外縁である上下フランジ外縁115までの合わせ面Sに平行な距離(範囲)W7を上フランジ104の厚さLの1/2倍以上としている。これにより、圧縮場620の面積を拡大させることができ、ケーシングCの気密性を向上させることができる。なお、
図6に示す第2実施形態では、範囲W7が範囲W6よりも大きい場合を例に挙げて説明したが、範囲W7と範囲W6とが同じであってもよい。
【0067】
以上説明したようにボルト締結構造100,400,500,600をケーシングCに適用することにより、ケーシングCの気密性を簡便に向上させることができる。また、気密性を向上させることで、締結に必要なボルト(例えばスタッド106、上ナット107、下ナット108)の本数を低減することも可能となり、ボルト締結部103の材料(ボルト、ナットなど)、製作、作業コストなどの削減にも繋がる。
【0068】
また、前記した実施形態によれば、圧縮機、ポンプ、蒸気タービンなど、ボルト締結構造100,400,500,600を有する各種ターボ機械に汎用的に適用することができる。また、ターボ機械だけではなく、圧力容器やケーシング(圧力が負荷されないものを含む)に適用することもできる。