特許第6706986号(P6706986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6706986多軸骨固定装置、それとともに使用する器具、および、多軸骨固定装置のシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706986
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】多軸骨固定装置、それとともに使用する器具、および、多軸骨固定装置のシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20200601BHJP
   A61B 17/76 20060101ALI20200601BHJP
   A61B 17/88 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   A61B17/70
   A61B17/76
   A61B17/88
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-142328(P2016-142328)
(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公開番号】特開2017-23741(P2017-23741A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2019年2月28日
(31)【優先権主張番号】15178383.4
(32)【優先日】2015年7月24日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/196,739
(32)【優先日】2015年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ベルトホルト・ダネッカー
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−078576(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0149887(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0276098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定装置であって、
ロッド(6)を骨固定要素(1)に連結するための受け部(5、5’)を備え、前記受け部は、第1の端部(9a)および第2の端部(9b)を有するロッド受け部分(9)、中心軸(C)およびロッドを受けるための凹部(12)を備え、前記凹部は前記第1の端部から前記第2の端部に伸びて2つの自由脚部(12a、12b)を規定し、前記ロッド受け部分はさらに器具(50、50’)と係合するための第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)を備え、
前記受け部は前記第2の端部において骨固定要素のヘッド(3)と順応するヘッド受け部分(18)をさらに備え、前記ヘッド受け部分は自由端部(18b)を有しヘッドを挿入して締め付けるために可撓性があり、
前記骨固定装置は前記ヘッド受け部分周辺に配置されるよう設計される係止リング(8、8’)をさらに備え、前記係止リングは前記器具との係合のための第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)を備え、前記係止リングが前記ヘッド受け部分周辺にあるとき、前記係止リングが挿入されたヘッドを係止するために受け部のヘッド受け部分に力を行使する係止位置を前記係止リングは担い、
前記係止リングは、前記ロッド受け部分(9)の前記第1の端部(9a)に向かった前記係止位置から、挿入されたヘッドが旋回してもよい非係止位置に移動可能で、
前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)および前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)は前記器具によって係合されるよう設計され、前記係止リングおよび前記受け部が中心軸(C)に沿って、前記非係止位置から前記係止位置へ、およびその逆の前記係止位置から前記非係止位置へ互いに移動可能であるよう、前記器具を介した前記係止リングおよび前記受け部への力の伝達に適している、骨固定装置。
【請求項2】
前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)および前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)が前記ロッド受け部分(9)および前記係止リング(8、8’)の外側周方向表面にそれぞれ配置される、請求項1に記載の骨固定装置。
【請求項3】
前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)が前記ロッド受け部分の前記第1の端部(9a)から少し離れて配置される、請求項1または2に記載の骨固定装置。
【請求項4】
前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)が前記ヘッド受け部分(18)の下側端部(18b)に向かって面する前記係止リング(8、8’)の第1の端部から少し離れて配置される、請求項1から3のいずれかに記載の骨固定装置。
【請求項5】
前記係止リング(8、8’)が、前記係止リング(8、8’)が前記ロッド受け部分(9)周辺にあるとき、前記ロッド受け部分においてロッドのための前記凹部(12)と列をなすロッド支持表面(86)を備え、前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)および前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)が前記受け部の前記中心軸および前記凹部(12)の横手方向軸を含む平面に関して非対称に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の骨固定装置。
【請求項6】
前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)および前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)が前記中心軸(C)の周りで回転する前記器具(50、50’)を通じて前記器具と係合可能であるよう配置される、請求項5に記載の骨固定装置。
【請求項7】
前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)がそれぞれの前記脚部上に少なくとも1つの周方向に延びるリブ(14a、14b)および/または外周の1つの区分上に延びる少なくとも1つの周方向に延びる溝(140a、140b)を備える、請求項1から6のいずれかに記載の骨固定装置。
【請求項8】
前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)が少なくとも2つの周方向に延びるリブ(88a、88b)上あるいは外周の1つの区分上に延びる少なくとも2つの周方向に延びる溝(880a、880b)を備える、請求項1から7のいずれかに記載の骨固定装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の骨固定装置とともに用いる器具であって、
前記係止リングにおいて前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)を係合するための第3の係合構造(55a,55b、550a、550b)を有する外側チューブ(51)と、
少なくとも部分的に前記外側チューブ内に提供される内側チューブ(61)とを備え、前記内側チューブは、前記ロッド受け部分(9)上において前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)と協働する第4の係合構造(65a、65b、650a、650b)を有し、
前記外側チューブ(51)の前記第3の係合構造(55a、55b、550a、550b)が前記係止リングにおいて前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)を係合し、前記内側チューブ(61)の前記第4の係合構造(65a、65b、650a、650b)が前記ロッド受け部分(9)において前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)を係合するとき、前記受け部に対して前記係止リング(8、8’)を動かすために前記外側チューブ(51)に対して前記内側チューブ(61)が移動可能な、器具。
【請求項10】
前記内側チューブ(61)および前記外側チューブ(51)がそれぞれ正面端部(51a、61a)から後方端部の方向に延び、挿入されたロッド(6)がその内部を通過する凹部(53)を備える、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記凹部(53)が実質的に逆U形状を有し、前記内側チューブおよび前記外側チューブのそれぞれの正面端部において2つの自由脚部(54a、54b)を形成する、請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記脚部(54a、54b)の周方向の幅が正面端部(51a)に向かって減少する、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記第3および第4の係合構造が前記第2および第1の係合構造の形状とそれぞれ実質的に補足的である、請求項9から12のいずれかに記載の器具。
【請求項14】
前記内側チューブ(61)が前記外側チューブ(51)に関して回転固定されている、請求項9から13のいずれかに記載の器具。
【請求項15】
請求項1から8のいずれかに記載の多軸骨固定装置および請求項9から13のいずれかに記載の器具のシステムであって、前記第1の係合構造(14a、14b、140a、140b)および前記第2の係合構造(88a、88b、880a、880b)が記第3の係合構造(55a、55b、550a、550b)および前記第4の係合構造(65a、65b、650a、650b)によって同時に係合されたとき、前記係止リング(8、8’)および前記受け部(5、5’)が前記内側チューブに対して前記外側チューブを移動することにより互いに移動可能なように多軸骨固定装置に係合されるよう前記器具(50、50’)が適合された、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドを骨固定要素に結合させるための受け部およびヘッドをヘッド受け部分に係止する係止リングを含む多軸骨固定装置に関し、受け部はロッドを受けるための受け部分および骨固定要素のヘッドを固定するヘッド受け部分を有する。受け部および係止リングはある器具を用いて非係止位置から係止位置に、またはその逆に互いに移動可能に設計される。本発明はさらにそのような多軸骨固定装置とともに用いる器具に関する。
【背景技術】
【0002】
US2011/0276098A1はロッドを受ける溝を備えた受け部および骨固定要素のヘッドを固定するために可撓性のあるヘッド受け部を有するロッドを骨固定要素に結合させるための受け部含む多軸骨固定装置を説明する。係止リングはヘッド受け部分周辺に位置するよう設計される。係止リングはヘッドの挿入を促進するためにヘッド受け部分が伸長可能な第1の部分およびヘッドが受け部への第1の角度位置において調整可能に保持されるよう係止リングがヘッド受け部分を圧縮する第2の部分を担ってもよい。さらに、係止リングはヘッドが受け部において係止される第3の部分を担ってもよい。ヘッドを係止するために、ロッドをロッド受け部でも係止する係止要素が使用される。
【0003】
US2013/0085336A1はヘッド受け部分周辺に配置されるよう設計されたヘッドおよび係止リングの導入および固定のためのロッド受け部分およびヘッド受け部分を備えた受け部を含む多軸骨固定装置を説明する。係止リングは、係止リングが係止位置から外に移動される、すなわち係止機構を解放する手助けとなる部品とともに咬み合う咬合構造を含む。これにより手術あるいは他の施術において骨固定要素に関して受け部の角度位置の改訂あるいはさらに位置付けまたは再位置づけの実行を可能とする。
【0004】
脊椎手術中にはしばしば脊椎ロッドおよび多軸骨固定を用いて複数の区分が是正および/または安定化されなければならない。そのような手続の最中には、多軸骨固定要素の受け部に対する骨固定要素およびロッドの反復した位置調整が必要となるかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2011/0276098A1
【特許文献2】US2013/0085336A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、手術中に改善された操作性をもたらす外側係止リングを有するタイプの多軸骨固定装置の提供とそのような骨固定要素とともに用いるために適合された器具の提供である。
【0007】
この目的は請求項1に記載の多軸骨固定装置、請求項9に記載の器具および請求項15に記載の多軸骨固定装置および器具を備えるシステムにより解決される。さらなる発展は従属する請求項に記載される。
【0008】
多軸骨固定装置および器具に関して装置の内側チューブに対して装置の外側チューブを移動することにより、係止リングを受け部に対してヘッドが受け部に対して旋回可能な非係止位置からヘッドが係止される係止位置にあるいはその逆に移動させることが可能である。器具はロッドおよび係止要素が既にロッド受け部のロッド受け部分に挿入されているがまだ固定されていない時に使用できる。こうして、受け部における骨固定要素の一時的な係止は器具を用いてもたらされる。とりわけ、係止要素は一時的な係止には必要でない。結果として、多軸骨固定装置はロッドが既に挿入されている間、数回にわたって骨固定装置に対して受け部の角度位置を調整あるいは再調整することができる。
【0009】
さらに、骨固定要素のヘッドはロッドと独立して受け部に対して係止されても解放されてもよい。同様にロッドもまたヘッドと独立して受け部に対して係止されても解放されてもよい。それゆえ、器具との組み合わせによる多軸骨固定装置の機能は内側圧縮部およびヘッドおよびロッドが独立して係止される2部係止要素を備える多軸骨固定装置と類似する。
【0010】
器具の補助を受けて達成される係止リングの係止位置において、骨固定装置および器具を挿入されたロッドに向かって引き、これにより椎骨の位置を正すためにロッドに向かって椎骨を引くことは可能である。
【0011】
係止リングはまた骨固定要素のヘッドをヘッド受け部分に挿入することが可能な挿入位置を担ってもよい。装置は骨に既に挿入された骨固定要素のヘッド上の挿入位置に受け部および係止リングを位置するために用いられてもよい。
【0012】
多軸骨固定装置およびそれに適合された器具のシステムが提供される。さらに、ロッドを固定する係止要素を引き締めるために器具内部で移動部品をガイドしてもよい。
【0013】
多軸骨固定装置および器具により角度位置および/またはロッド位置の様々な調整および再調整が組織、血液あるいは神経などの周辺素材に損傷を与えうる大きな力を用いることなく、手術中に可能となる。ロッドおよび受け部の改訂または2回目の調整がこうしてより調節された方法で実行される。
【0014】
加えて、本発明の実施形態による多軸骨固定装置により、実際の臨床要件に応じて望みどおりに受け部との様々な固定要素の組み合わせを可能とするモジュラーシステムが提供される。これにより多軸ねじを用いる全体的なコストを低減し、在庫を削減し、外科医にインプラントのより広いあるいはより汎用的な選択をもたらす。
【0015】
本発明のさらなる特徴や利点は図を伴った実施形態の説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】多軸骨固定装置の第1の実施形態の展開斜視図である。
図2】組みたてられた状態の図1の多軸骨固定装置の斜視図である。
図3】約90°回転させた図2の多軸骨固定装置の斜視図である。
図4】挿入され受け部の中心を延びる軸に垂直な平面でとられた図1から3の多軸骨固定装置の拡大断面図である。
図5図1から4に描かれた多軸骨固定装置とともに使用するよう適合された器具の正面斜視図である。
図6a図1から4の多軸固定装置に図5の器具が接続されるステップの斜視図である。
図6b図1から4の多軸固定装置に図5の器具が接続されるステップの斜視図である。
図6c図1から4の多軸骨固定装置に図5の器具が接続されるステップの斜視図である。
図7a】受け部の中心を通過し挿入されたロッドの軸に対して約45°の角度を含む平面でとられた、器具を使用するために受け部に対して係止リングを作動させるステップの断面図である。
図7b】受け部の中心を通過し挿入されたロッドの軸に対して約45°の角度を含む平面でとられた、器具を使用するために受け部に対して係止リングを作動させるステップの断面図である。
図7c】受け部の中心を通過し挿入されたロッドの軸に対して約45°の角度を含む平面でとられた、器具を使用するために受け部に対して係止リングを作動させるステップの断面図である。
図8】受け部の中心を通過し挿入されたロッドの軸に対して約45°の角度を含む平面でとられた、器具内を延びる部品を用いてロッド凹部においてロッドを係止するステップの断面図である。
図9】器具の第2の実施形態の正面部分を示す図である。
図10】受け部の中心を通過し挿入されたロッドの軸に対して約45°の角度を含む平面でとられた、図9に示された器具が付着された多軸骨固定装置の第2の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図4に示されるように、本発明の実施形態による骨固定装置は、シャンク2を有しねじ山部を備えたたとえば骨ねじの形態の骨固定要素1、外側表面部が球形状のヘッド3を含む。ヘッド3はドライバーまたは部品と咬合する凹部4を有する。骨固定装置はまた骨固定要素1に接続されるロッド6を受ける受け部を含む。さらに、受け部5においてロッド6を固定するためにたとえば内側ねじまたは設定ねじの形態の固定要素7が提供されてもよい。加えて、骨固定装置は受け部5においてヘッド3を係止するための係止リング8を含む。
【0018】
受け部5は外側形状が実質的に筒状でもよいロッド受け部分9を有する。ロッド受け部分9は第1の端部9aと対向する第2の端部9b、第1の端部9aと第2の端部9bを通過する中心軸Cを有する。第1の端部9aは以下で説明される器具の当接部としてもよい。同軸の第1の穴10はたとえば図4に示されるように、第2の端部9bにおいて提供される。第1の穴10の直径は骨固定要素1のヘッド3の直径よりも小さい。ロッド受け部分9はさらに第1の端部9aから第2の端部9bまでの距離延びる同軸の第2の穴11を含む。第2の穴11の直径は第1の穴10の直径よりも大きい。第1の端部9aから少し離れて中心軸に対して鋭角の方向にあるいは言い換えれば溝の下方に延びるより低い壁9c’を有する周方向の溝9cが提供される。ほぼ同じ軸位置において、V形状の断面を有してもよい内部溝9dが提供される。溝9cのより低い壁9c’および内部溝9dの軸位置において受け部分9の壁厚は断絶エリアを提供するために低減される。
【0019】
実質的にU形状の凹部12が第1の端部9aから受け部分9内の第2の端部9bに伸び凹部12の幅はロッド6の直径よりもわずかに大きく、それによりロッド6は凹部12に位置してその中をガイドされてもよい。凹部12によって、2つの自由脚部12a、12bが形成され、その上に内部ねじ山13が提供されてもよい。内部ねじ山13はたとえば計量ねじ山、平坦なねじ山、負の角度のねじ山、鋸歯ねじ山あるいは任意の他のねじ山で形成されてもよい。好ましくは、内側ねじ7がねじ込まれた際に脚部12a、12bの傾きを防止または低減するために平坦なねじ山または負の角度のねじ山が用いられる。外側溝9c上の脚部12a、12bの部分は壊れてもよい延びるタブを形成する。凹部12の深さはロッド6が凹部12内に位置し係止要素7が脚部間にねじ込まれた際そのようなので、延びたタブが壊れた際に係止要素7が受け部から実質的に突き出さない。
【0020】
ロッド受け部分の外側表面には器具と係合する係合構造が提供され、係合構造は複数の周方向のリブ14a、14bを備える。示された実施形態では、それぞれの脚12a、12b、2つのリブ14a、14bがそれぞれ提供される。リブは溝9cとロッド受け部分9の第2の端部9bの間に位置する。それぞれの複数のリブ14a、14bはたとえば4分の1円のようなロッド受け部分の外周の1つの区分上を延びる。そのような配置のため、それぞれのリブの一方の端部はロッド受け凹部12に位置し、それぞれのリブのもう一方の端部はそれぞれの脚部12a、12bのほぼ中間に位置する。それゆえ、周方向においてそれぞれの脚部12a、12b上にリブが存在しないリブなし表面部15a、15bがある。さらに、リブ14a、14bは中心軸Cおよびロッド受け凹部12の横手方向軸Lを含む平面に対して非対称に配置される。より具体的には、リブ14a、14bの位置は脚部12aのリブ14aが受け部5の一方の側面上のロッド受け凹部12に延び、リブ14bが受け部5のもう一方の側面上のロッド受け凹部12に延びるよう、中心軸Cとの関係で計測され、中心軸に対して回転されて180°反対側に設定される。これにより、器具をまずリブなし部分15a、15b上に位置し、以下に説明されるように器具を回転させてリブ14a、14bと係合することができる。リブは実質的に長方形の断面を有してもよく、傾いた端部を有してもよい。リブの数は2つに限定されず、1または2よりも多いリブが提供されてもよいことが理解されるべきである。またリブの形状は異なってもよい。
【0021】
図1に特にみられるように、ロッド受け部分9に第2の端部9bから凹部12に延びるカットアウト16が提供される。カットアウト16は凹部12によって形成されたチャネルの一方の端部上に提供される。
【0022】
内ねじ形態の係止要素7は脚部12a、12b上に提供する内部ねじ山13と対応するねじ山を有する。
【0023】
ロッド受け部分9の外側表面上の、脚部12a、12bの領域において、溝17は円周方向に提供され係止リング8の部分との係合に役立ってもよい。溝17は係止リング8が下方に移動し第2の端部9bから離れた際、溝17から係止リング8が係合されなくなるよう非対称でもよい。
【0024】
第2の端部9bの側において、受け部5はさらに骨固定要素1のヘッド3のための順応スペースを提供するヘッド受け部分18を含む。ヘッド受け部分18はロッド受け部分9の最大外側直径よりも小さい最大外側直径を有する。内側空洞部門19はヘッド3の形状に適合された形状を有する。示された実施形態では、内側空洞部門19球形のヘッド3と順応するために球形状である。さらに、空洞部門19はヘッド3の最大直径を含む領域を覆うために側面から骨固定要素1のヘッド3を取り囲むよう設計される。自由端部18bに開かれたヘッド受け部分18に複数のスリット21が提供される。スリット21はヘッド受け部分18が圧縮されて締め最終的に挿入されたヘッド3を空洞内側部門19に摩擦の方法により係止するようヘッド受け部分18を可撓状態にする。スリット21の数および大きさはヘッド受け部分18の望ましい可撓性による。ヘッド受け部分18の可撓性はそのようなため、骨固定要素1のヘッド3がヘッド受け部分18を拡張して挿入でき、ヘッド受け部分18を圧縮して固定される。
【0025】
特に図1および4に示されるように、ヘッド受け部分18の外側表面は自由端部18bに向かってたとえば外側にカーブしたり円錐状に広がるなど外側直径を大きくしていく第1の部門22を有する。第1の部門22に隣接して、第1の部門22に関して凹み係止リング8と係合する部分として役立つ円周形の溝23があってもよい。溝23は係止リング8を自由端部18bに向かう方向(あるいはロッド受け部分の第1の端部9aから離れる方向)に移動する際、係止リング8および溝23の係合が解けるような形状でもよい。これはたとえば、自由端部18bに向かって傾いて溝23がより低い壁を有することにより実現される。溝23に隣接して実質的に筒状の外側表面を有するヘッド受け部分18の第3の部分がある。第3の部分24は係止リング8の固定機能を増すために係止リング8の部分と協働するよう設計されてもよい。
【0026】
係止リング8は実質的に筒状で上側および下側端部を有する部分を含む。取り付けられた状態で、上側端部はロッド受け部分9の第2の端部9bに向かって面し、下側端部はヘッド受け部分18の自由端部18bの方向に向けられる。内側壁において係止リング8のほぼ中心領域に、ヘッド受け部分18の第1の外側表面部分22と協働してヘッド受け部分18を圧縮する第1の部分81が提供される。第1の部分81は係止リング8の中心に向かう方向の屈曲を有して先細、直線あるいはカーブしてもよい。下側端部においては、その内側直径が係止リング8の他の部分の内側直径よりも小さい内向きに突出した縁部82があってもよい。内側に突出した縁部82は骨固定装置が係止状態の時、ヘッド受け部分18の溝23を係合し、最終的にヘッド受け部分18の筒状部分24を係合する。
【0027】
係止リングはまた、スリット84によってそれぞれ分けられた上側に延びる壁部分83aを含む。上側に延びる壁部分83aは係止リング8の内側円周ショルダー部85の外側円周に配置され、係止リング8の外側部分を可撓状態とする。壁部分83aの次の自由端部において、壁部分83aはロッド受け部分9の外側表面上に提供された溝17を係合するよう設計される。
【0028】
互いに正反対に位置する突出部86もまた係止リング8に形成される。突出部86がそのような高さであるため、係止リング8がそのショルダー部85がロッド受け部分9の第2の端部9bと当接する位置にある時、突出部86はカットアウト16を通じて延び、実質的にU形状の凹部12の底部上に突出する。突出部86の自由端部表面はロッド支持表面を形成する。係止リング8は突出部86が凹部12の位置に位置するよう受け部5のヘッド受け部分18の周辺に配置される。この手段により、突出部86はロッド6がまだ挿入されていない時、係止リング8が受け部5に対して回転するのを防止する。
【0029】
係止リング8はさらにその外側表面に以下でより詳細に説明される器具を係合するための係合構造を含む。係合構造は係止リング8の外側表面上の可撓壁部分83aおよび下側端部の間に配置される複数のリブ88a、88bを含む。リブ88a、88bは係止リング8の外側表面のほぼ4分の1円または4分の1円より小さい部分上に延びる。示された実施形態では、リブは正反対に配置された2つのリブのペア88a、88bを含む。それぞれのリブのペア88a、88bは係止リング8のそれぞれの側面上に周方向に延びる2つの軸方向に離間されたリブを含む。周方向におけるリブの位置は、係止リング8がヘッド受け部分18およびカットアウト16内に延びる突起部86周辺に取り付けられた時、ロッド受け部分のリブ14a、14bの位置に対応する。言い換えれば、リブ14aの1つのグループは1つの突起部86と隣接する円周位置から周方向に離れて延び、リブ14bの対向するグループは対向する突起部86から周方向に離れて延びる。この手段により、リブなし表面25a,25bは係止リング8が取り付けられた状態でリブなし表面15a、15bと列をなすリブ88a、88bの間に形成される。リブ88a、88bは実質的に長方形の断面と周方向に傾いた部分を有してもよい。しかしながら、リブの形状は異なってもよいことに注意されるべきである。またリブの数は単一のリブでも2つよりも多いリブであってもよい。
【0030】
ヘッド受け部18は可撓性なので、係止リング8はヘッド受け部分18の自由端部18bに取り付けられてもよい。
【0031】
本発明の実施形態では、係止リング8は受け部5に対して3つの主要なポジションを担ってもよい。第1のポジション(示されていない)では、係止リング8の内側に突出した端部82はヘッド受け部分18の溝23を係合するかそれに隣接して位置する。このポジションでは、骨固定要素1のヘッド3はヘッド受け部分18の自由端部18bから内部空洞部門19に挿入されてもよい。ショルダー85がロッド受け部分9の第2の端部9bに対して当接されるので係止リング8はロッド受け部分9の第1の端部9aに向かってさらに上方に移動されるのが防止される。
【0032】
第2のポジションでは、可撓性壁部門83aがロッド受け部分9の溝17内でその自由端部と咬合するまで、係止リング8はヘッド受け部分18の自由端部18に向かって移動する。このポジションでは、ヘッド3はまだ係止されていないが、内部空洞空間19からの除去が防止されてもよい。ヘッド3は、力たとえば人為的に適用された力が摩擦力を克服するために適用された時、骨固定要素1がまだ受け部5に対して旋回可能であるようこの状態で摩擦で締められてもよい。
【0033】
第3のポジションでは、係止リング8はさらにヘッド3が最終的に係止されるよう、ヘッド受け部分18の自由端部18bに向かって(あるいは受け部分9の第1の端部9aから離れて)動かされる。このポジションでは、ヘッド受け部分18はヘッド3が受け部5に対する角度位置において動かされ、固定されることのないよう、係止リング8によって圧縮される。可撓性の壁部門の上側端部および溝17の間には穴がある。
【0034】
受け部5、係止リング8、係止要素7および骨固定要素1はたとえばチタニウムまたはステンレス鋼のような生体適合性のある素材、たとえばニチノール、マグネシウムあるいはマグネシウム合金などのNiTi合金のような生体適合性のある合金あるいはたとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリーLー乳酸のような生体適合性あるプラスチック素材から作られる。部分は同一または異なる素材で作られる。
【0035】
次に図5に移ると、図1から図4による多軸骨固定装置とともに使用するよう適合された器具が示される。器具50は外側チューブ51および内側チューブ61を含み、外側チューブ51および内側チューブ61はチューブの長手方向軸に沿って互いに軸方向に移動可能である。好ましくは、外側チューブ51および内側チューブ61は、外側チューブ51が回転したら内側チューブ61も回転するあるいはその逆となるよう、逆方向回転が保障される。好ましくは外側チューブ51に対する内側チューブの軸位置は固定される。外側チューブ51および内側チューブ61の互いに対する移動は、たとえばレバー(示されていない)により、たとえばトグルレバーのタイプのレバーで実行され、第1レバーアームの第1の端部が外側チューブに接続され、第2レバーアームの第1の端部が内側チューブに接続され、レバーアームの第2の端部が手動で活性化される。これはしかしながら、ただの例にすぎず、任意の他のチューブを互いに移動および係止する機構が実行されてもよい。
【0036】
外側チューブ51および内側チューブ61はそれぞれ前面部52、62を備える。外側チューブ51の前面部52の外側表面は外側チューブの自由端部51aに向かって少し先細でもよい。少なくとも内側チューブ61の前面部62は外側チューブ51の前面部52でガイドされてもよい。内側チューブ61の自由端部61aは外側チューブの内側壁上で周方向に延びるショルダー52aに当接してもよい。さらに、外側チューブ51の全面部52および内側チューブ61の全面部62を通じて外側チューブ51の自由端部51aから延びる凹部53が形成される。凹部53は器具50が受け部5および係止リング8上に位置するよう少なくともリブなし表面領域15a、15bにおける受け部5の外側直径およびリブなし表面領域25a、25bにおける係止リング8の外側と同じ大きさの周方向の幅を有する。軸方向の凹部の長さがそのようなので、器具の前面部と合致する。こうして、挿入されたロッド6もまた凹部53を通じて延びる。内側チューブ61の自由端部61aから一定の距離において、たとえば環状のショルダーが形成され、ロッド受け部5のロッド受け部分9の第1の端部9aの当接に役立つ。凹部53によって2つの脚部54a、54bが器具上に形成される。凹部53の形状がそのようなので脚部54a、54bの幅は自由端部51aに向かって減少してもよい。これは手術中にその場で受け部5を探し、その場で受け部5および係止リング8上に器具を位置することを促進する。
【0037】
自由端部51aから一定の距離において、外側チューブ51は脚部54a、54bの内側壁内に周方向に延びる溝55a、55bをそれぞれ備える。溝の数および形状は係止リングのリブ88a、88bの数および形状に対応する。示された実施形態では、2つの溝が軸方向に離間された2つの側面上にそれぞれ提供される。溝55a、55bは係止リングのリブ88a、88bを係合するよう設計される。同様に、周方向に延びる溝65aが自由端部61aから離れて内側チューブ61の内側壁内に提供される。溝65a、65bはロッド受け部分9においてリブ14a、14bと協働するよう設計される。内側チューブ61が器具の係合位置にある時、外側チューブ51の溝55から内側チューブ61の溝65aまでの距離は係止リングがプレ係止位置にあるとき、係止リング上のリブ88aからロッド受け部分上のリブ14までの距離と対応する。
【0038】
器具50全体あるいはその部分は多軸骨固定装置のために上記したものと同じ素材で作られてもよい。
【0039】
器具の操作は図6aから図7cを参照に説明される。まず、図6aから図6cは受け部5の上に器具50を位置させるステップを示す。図6aでは、骨固定要素1は既に骨に挿入されている。係止リングは可撓性壁部83aがロッド受け部分の溝17の上側壁に当接されるプレ係止位置にある。ロッド6および係止要素7はロッド6がロッド軸に沿って可動でさらに上下に移動するためのスペースがあるよう、挿入されるが係止要素は締め付けない。器具50の前面部は脚部54a、54bがロッド受け部分のリブなし表面部分15a、15bおよび係止リング8のリブなし表面部分25a、25bと列をなす。その後、図6bに描かれるように器具50は受け部分の第1の端部9aが内側チューブ61の内側ショルダー63に当接するまで受け部上に位置するよう下方に移動される。この位置において、係止リングの溝55a、55bは係止リング8のリブ88a、88bと同じ軸位置上にある。同時に、内側チューブ61の内側溝65a、65bロッド受け部分9のリブ14a、14bと同じ軸位置にある。図6cに示されるように、器具50が回転した時、外側チューブ51の溝55a、55bは係止リング8のリブ88a、88bで係合され、同時に、内側チューブ61の内側溝65a、65bは受け部分9のリブ14a、14bによって係合される。
【0040】
リブおよび溝の形態の係合構造の協働は係止リングを受け部に対して軸方向に動かす力が器具内を伝達されるよう外側チューブ51が係止リング8に、内側チューブ61が受け部5にそれぞれぴったり接続される。
【0041】
図7aから図7cはヘッド3を係止しヘッドの係止を解除する器具50の使用を図示する。図7aでは、係止リング8は可撓性壁部分83aがロッド受け部分上の外側溝17の上側壁に当接することを意味するプレ係止位置にある。ヘッド3はヘッド受け部分18内で旋回可能であるが、下側開口部20から引き抜くことはできない。受け部5は受け部5が内側チューブ61に対して移動しないよう内側チューブ61でぴったり保持される。係止リング8は外側チューブ51によって係合される。
【0042】
図にさらに見られるように、ショルダー63上の内側チューブ61の内側直径がそのようなので係止要素が内側チューブ61に挿入され受け部5のロッド受け部分に挿入されることができる。
【0043】
次のステップでは、図7bに描かれたように、外側チューブ51はヘッド受け部分を圧縮しヘッド3を係止するよう係止リング8の内側縁部82がヘッド受け部分18の下側部分に対して圧するまで内側チューブ61に対して下方に移動される。ロッドはロッド位置調整のためにまだ移動可能である。図7bに見られるように係止リングの係止位置において、器具はまた関連する椎骨の位置を正すために挿入されたロッドに向かって骨固定装置を引っ張るためにも使用される。
【0044】
次に、さらなる調整を実行するために、図7cに描かれたようにヘッドの係止が開放される。ショルダー52aが内側チューブの自由端部61aと当接するまで外側チューブが引き上げ可能である。これにより、係止リング8は図7aに描かれたのと同じく係止位置からプレ係止位置に上方に移動される。
【0045】
ヘッドの係止および係止されたヘッドの解放の可能性によりロッドおよび係止要素が既に挿入された間に手術過程を簡素化する非常に様々な調整ステップが実行可能である。
【0046】
最後に、ヘッド3の正しい角度位置およびロッド6に対する受け部5の正しい位置が一度発見されれば、係止要素7は内側チューブ61内に挿入され、係止要素7を係合するドライブツール70で締め付けられる。係止要素7を締め付けると、ロッド6を下方に移動させて代わりに係止リング8のロッド支持表面86を圧し、係止リング8を下に移動させる。それによりヘッド3は係止され、同時にロッド6は係止要素7により係止される。器具50は、溝がリブとの係合を解き、脚部54a、54bがリブなし表面15a、15b、25a、25bと列をなすよう、逆に回転して取り外すことができる。この位置では、器具50は引き抜くことができる。延びたタブはプロセスの最後には壊れてもよい。
【0047】
手術時に、ロッドを通じて複数の骨固定装置が接続される。調整、再調整などのステップを促進するいくつかの骨固定装置のためのいくつかの器具を同時に使用できるかもしれない。
【0048】
さらなる実施形態が図9および図10に示される。骨固定要素および器具のこの実施形態と以前の実施形態との違いは器具および骨固定装置の接合構造のみである。他のすべての部品は同じで以前の実施形態と同じ参照番号で示される。そのため説明は繰り返さない。受け部5’受け部分9内にそれぞれの脚部12a、12bの内壁内の単一の溝140a、140bを有する。周方向に延びる溝140a、140bは外側溝9cから一定の距離の場所に位置する。器具50’は内側チューブ61の内側壁において関連する周方向の突起650a、650bを有する。内側突起650a、650bは受け部5’において溝140a、140bを係合できるような位置にある。
【0049】
同様に、単一の溝880a、880bが係止リング8’の外側表面に提供される。対応する周方向のリブ550a、550bが外側チューブ51の内側表面に提供される。リブ550a、550bは係止リングにおいて溝880a、880bを係合するよう設計される。それゆえ、第1の実施形態と比べて、溝は受け部に提供され、突起またはリブは器具に提供される。その機能は第1の実施形態と同じである。
【0050】
さらなる修正が期待される。たとえば、受け部上および/または係止リング上にリブと溝の組み合わせが提供されてもよく、器具は相手構造すなわち受け部において構造を係合するよう設計された溝とリブに組み合わせを有してもよい。係合要素の形状および数は変化してもよい。リブおよび溝は周方向すなわち平面上に延びてもよいが螺旋形状に延びてもよい。それゆえ、器具上および受け部上の係合構造および係止リングはねじ山によっても実現可能である。他の係合構造は力を伝達し骨固定装置に対する器具の回転および/または摺動によって活用されるピッタリ合った接続を提供して期待されてもよい。係合構造はまた受け部分の1方のみの側面および係止リングの1方の側面のみに提供されてもよい。
【0051】
本発明の他の実施形態による骨固定装置が修正された形態で提供される。たとえば、骨固定要素のヘッドは例えば筒形状など任意の他の形状を有してもよく、1つの凹部周辺で受け部に関してねじ要素が完全に回転できるようモノ骨ねじが提供される。ヘッドはまた内側空洞部分がその形状に適合するような円錐形状あるいは他の形状でもよい。さらなる修正においては、ヘッド受け部分の可撓性は素材の特性に基づいてあるいは活用されてもよく、たとえばプラスチック素材が使用されてもよく、スリットはすべてあるいは部分的に省略されてもよい。
【0052】
ロッドのための支持表面を形成する係止リングにおける突起はまた円形状、V形状あるいは平坦な様々な他の形状を有する。突起は省略されてもよい。
【0053】
ヘッド受け部分は1つの方向に挿入されたヘッドのより大きな角度を許容するために傾いた開口端部を有したり他の非対称形であってもよい。
【0054】
ヘッド受け部分の外側表面および係止リングの内側表面係止リングが下方に移動した際、より大きな力の手段で係止リングによりヘッド受け部分が圧縮されるよう様々な他の形状でもよい。係止リングはまた様々な他のデザインでもよい。たとえば、係止リングは可撓性壁部分なしで形成されてもよい。
【0055】
延びたタブは省略されてもよい。係止要素として他の種類の係止要素、たとえば他の有利な構造を有するねじ山のない係止要素が使用されてもよい。あらゆる種類の骨要素たとえば爪やかかりによる骨固定などが使用されてもよい。
【0056】
既に挿入された骨固定装置と接続して用いる器具が示されてきたが、骨に挿入された骨固定要素上に取り付けられた係止リングによって受け部の現場位置づけのために器具が用いられることも期待される。このケースでは、係止リングはその挿入位置にあり、器具は係止リングが挿入位置にあるときに骨固定装置を係合するよう設計される。これはたとえば、ねじ山の形態の係合構造によって実現され、チューブ部分もまた互いに回転可能に設計される。
【符号の説明】
【0057】
1 骨固定装置、5,5’ 受け部、6 ロッド、8,8’ 係止リング、9 ロッド受け部分、9a 第1の端部、9b 第2の端部、12 凹部、12a,12b 自由脚部、14a,14b,140a,140b リブ(第1の係合構造)、18 ヘッド受け部分、18a 自由端部、88a,88b,880a,880b リブ(第2の係合構造)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10