(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変換ステップでは、さらに、前記第1補正データを構成する前記第3色補正データを周波数成分に分解し、前記第3色補正データに対して、当該周波数成分に分解された第3色補正データから、前記第2周波数よりも低い第3周波数以上の高周波成分を除去することで前記第2補正データの前記第3色補正データを生成することで、前記変換を行う
請求項1に記載の表示装置の補正方法。
前記補正ステップでは、前記第2補正データを構成する、前記第1色補正データと前記第2色補正データとを、周波数成分から空間成分へと逆変換し、当該逆変換された前記第2補正データを用いて、前記補正を行う
請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置の補正方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、表示装置およびその補正方法の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0016】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0017】
(実施の形態1)
[1.1 表示装置の構成]
図1は、実施の形態1に係る表示装置1の構成を示すブロック図である。同図における表示装置1は、制御部10と、データ線駆動回路20と、走査線駆動回路30と、表示部40とを備える。制御部10はメモリ11を有する。なお、メモリ11は、表示装置1内であって制御部10の外部に配置されていてもよい。
【0018】
制御部10は、メモリ11、データ線駆動回路20および走査線駆動回路30の制御を行う。メモリ11には、例えば、表示装置1の製造工程の完了時において、処理後の補正データ(後述する第2補正データ)が保存される。
【0019】
制御部10は、表示動作時には、メモリ11に書き込まれた第2補正データを読み出し、外部から入力された映像信号(輝度信号)を、第2補正データに基づいて補正して、データ線駆動回路20へと出力する。
【0020】
また、制御部10は、例えば、製造工程において処理前の補正データ(後述する第1補正データ)を生成する場合には、例えば、外部の情報処理装置と通信することにより、当該情報処理装置の指示に従ってデータ線駆動回路20および走査線駆動回路30を駆動する。
【0021】
また、制御部10は、例えば、製造工程において処理前の補正データ(第1補正データ)を変換処理し、処理後の補正データ(第2補正データ)を生成し、当該処理後の補正データをメモリ11に格納する。
【0022】
表示部40は、マトリクス状に配置された複数の画素を備え、外部から表示装置1へ入力された映像信号(輝度信号)に基づいて画像を表示する。
【0023】
各画素は、光の3原色に対応する3色のそれぞれを発色する3つのサブ画素400から構成される。ここでは、各画素が、赤色を発色する赤色サブ画素と、緑色を発色する緑色サブ画素と、青色を発色する青色サブ画素とから構成されるとして説明する。
【0024】
図2は、実施の形態1に係るサブ画素400の回路構成の一例および周辺回路との接続を示す図である。同図におけるサブ画素400は、走査線412と、データ線411と、電源線421と、選択トランジスタ403と、駆動トランジスタ402と、有機EL素子401と、保持容量素子404と、共通電極422とを備える。また、周辺回路は、データ線駆動回路20と、走査線駆動回路30とを備える。
【0025】
走査線駆動回路30は、走査線412に接続されており、サブ画素400の選択トランジスタ403の導通および非導通を制御する。
【0026】
データ線駆動回路20は、データ線411に接続されており、第2補正データを用いて補正された輝度信号であるデータ電圧を出力して、駆動トランジスタ402に流れる信号電流を決定する機能を有する。
【0027】
選択トランジスタ403は、ゲート端子が走査線412に接続されており、データ線411のデータ電圧を駆動トランジスタ402のゲート端子に供給するタイミングを制御する。
【0028】
駆動トランジスタ402は、ゲート端子が選択トランジスタ403を介してデータ線411に接続され、ソース端子が有機EL素子401のアノード端子に接続され、ドレイン端子が電源線421に接続されている。これにより、駆動トランジスタ402は、ゲート端子に供給されたデータ電圧を、当該データ電圧に対応した信号電流に変換し、変換された信号電流を有機EL素子401に供給する。
【0029】
有機EL素子401は、発光素子として機能し、有機EL素子401のカソード端子は、共通電極422に接続されている。
【0030】
ここで、赤色サブ画素に含まれる有機EL素子401上には、赤色カラーフィルタが形成され、緑色サブ画素に含まれる有機EL素子401上には、緑色カラーフィルタが形成され、青色サブ画素に含まれる有機EL素子401上には、青色カラーフィルタが形成されている。
【0031】
保持容量素子404は、電源線421と駆動トランジスタ402のゲート端子との間に接続されている。保持容量素子404は、例えば、選択トランジスタ403がオフ状態となった後も、直前のゲート電圧を維持し、継続して駆動トランジスタ402から有機EL素子401へ駆動電流を供給させることが可能である。
【0032】
なお、
図1および
図2には記載されていないが、電源線421は電源に接続されている。また、共通電極422も電源に接続されている。
【0033】
データ線駆動回路20から供給されたデータ電圧は、選択トランジスタ403を介して駆動トランジスタ402のゲート端子へと印加される。駆動トランジスタ402は、そのデータ電圧に応じた電流を、ソース−ドレイン端子間に流す。この電流が、有機EL素子401へと流れることにより、その電流に応じた発光輝度で、有機EL素子401が発光する。
【0034】
なお、
図2に示されたサブ画素400の回路構成において、各回路素子を接続する経路の間に別の回路素子および配線などが挿入されていてもよい。
【0035】
[1.2 制御部の構成]
図3は、実施の形態1に係る表示装置1が備える制御部10の構成を示すブロック図である。同図に示された制御部10は、メモリ11と、変換部12と、補正部13とを備える。
【0036】
変換部12は、処理前の補正データ(第1補正データ)を、その第1補正データよりもデータ量が削除された第2補正データへと変換する。
【0037】
補正部13は、上記第2補正データを用いて、輝度信号を補正する。輝度信号とは、画素の有する発光素子を発光させるために、当該画素に印加される電気信号である。より具体的には、本実施の形態では、輝度信号とは、サブ画素400が有する有機EL素子401を発光させるために、データ線駆動回路20から駆動トランジスタ402のゲートに印加されるデータ電圧のことである。
【0038】
ここで、処理前の補正データ(第1補正データ)について説明する。第1補正データとは、例えば、外部から表示装置1に送信される映像信号に基づいて表示部40の各サブ画素400が発光する際の輝度ムラを低減させるためのデータである。より具体的には、補正データは、例えば、サブ画素400に対応させてゲイン補正値およびオフセット補正値という2つの補正パラメータで構成されている。なお、上記補正データは、サブ画素400に対応していなくてもよく、複数の隣接サブ画素の集合体であるサブ画素グループごとに対応していてもよい。
【0039】
図4は、従来の表示装置が備える制御部500の構成を示すブロック図である。同図に示された従来の制御部500は、メモリ512と、輝度信号補正部531とを備える。従来の表示装置では、制御部500は、第1補正データを予めメモリ512に保存する。また、制御部500は、映像信号を変換してサブ画素ごとの輝度信号(補正前輝度信号)を生成する。輝度信号補正部531は、メモリ512から第1補正データを読み出し、上記補正前輝度信号に対して、第1補正データのゲイン補正値を乗算(または除算)し、第1補正データのオフセット補正値を加算(または減算)することで、補正前輝度信号を補正する。制御部500は、このようにして得られた補正後の輝度信号を、所定のタイミングでデータ線駆動回路へと出力する。これにより、表示部における輝度ムラが低減される。
【0040】
上記従来の表示装置では、表示部の解像度を上げていくにつれ、メモリ512に格納すべき補正データ量は膨大化し、また、輝度信号などのデータ転送レートは上昇して圧迫化されるという課題が発生する。特に、小型高精細化が要求されるタブレット端末では、大容量のメモリを確保することが困難であり、コストアップにも繋がる。
【0041】
これに対して、本実施の形態に係る表示装置1では、上述した第1補正データ(処理前の補正データ)により輝度信号が補正されるのではなく、処理前の補正データ(第1補正データ)を軽量処理することで取得された処理後の補正データ(第2補正データ)により輝度信号が補正される。以下、本実施の形態に係る表示装置1において、第1補正データから第2補正データを生成するための構成について説明する。
【0042】
変換部12は、周波数変換部121と、周波数成分抽出部122とを備える。
【0043】
周波数変換部121は、空間成分で表された第1補正データを周波数成分に分解する。ここでは、第1補正データは、赤色サブ画素の輝度を補正するための赤色補正データと、緑色サブ画素の輝度を補正するための緑色補正データと、青色サブ画素の輝度を補正するための青色補正データとから構成される。このため、周波数変換部121は、第1補正データの赤色補正データと緑色補正データと青色補正データとのそれぞれを周波数成分に分解する。
【0044】
第1補正データのデータ成分を空間成分から周波数成分へと変換する手法としては、例えば、フーリエ変換が用いられ、特に、離散コサイン変換が用いられる。離散コサイン変換を用いることにより、後続の周波数成分抽出部122にて、効率よく特定の周波数成分のみをカットすることが可能となる。
【0045】
周波数成分抽出部122は、周波数変換部121で周波数成分に変換された補正データのうち、所定の高周波成分を削除する。ここで、周波数成分抽出部122は、赤色補正データと緑色補正データと青色補正データとのそれぞれについて、視感度のより低い色の方が、カットする高周波成分の量がより多くなるように高周波成分を除去する。このような高周波成分の除去法は、人間にとって、視感度が比較的低い色の輝度変化は比較的認知されにくく、視感度が比較的高い色の輝度変化は比較的認識されやすいという特質に基づいて行われている。一般に、青色の方が赤色よりも視感度が低く、赤色の方が緑色よりも視感度が低い。このため、周波数成分抽出部122は、青色補正データの高周波成分のカットオフ周波数の方が赤色補正データのカットオフ周波数よりも低くなり、赤色補正データの高周波成分のカットオフ周波数の方が緑色補正データのカットオフ周波数よりも低くなるように、高周波成分の除去を行う。周波数成分抽出部122により、補正データが有する周波数成分のうち高周波成分のみが削除されることで、1サブ画素〜数サブ画素単位での輝度の揺らぎを補正する補正データ成分を省略することが可能となる。この場合には、周波数成分抽出部122が低域通過フィルタ(高域カットフィルタ)の機能を有することで、高周波成分のみが削除された第2補正データを生成することが可能となる。
【0046】
メモリ11は、変換部12により第1補正データが変換されて生成された第2補正データを保存する。第2補正データは、第1補正データの所定の高周波成分が削除されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。表示部40の解像度が上がるにつれ、変換部12により軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。記録媒体として過度な大容量および長寿命を必要としないという観点から、メモリ11としては、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを適用することが可能である。
【0047】
補正部13は、空間成分逆変換部132と、輝度信号補正部131とを備える。
【0048】
空間成分逆変換部132は、例えば、DRAMなどの揮発性の第1メモリと演算回路とで構成される。空間成分逆変換部132は、メモリ11から第2補正パラメータを読み出して第1メモリに一時保存する。そして、演算回路は、周波数成分で表された第2補正データを空間成分へと逆変換する。
【0049】
輝度信号補正部131は、空間成分逆変換部132により空間成分で表された第2補正データを用いて、サブ画素400に対応した輝度信号を補正する。以下、輝度信号補正部131における輝度信号の補正処理の一例を示す。
【0050】
輝度信号補正部131は、空間成分で表された第2補正パラメータ(ゲイン補正値、オフセット補正値)のうち、補正前輝度信号に対応するデータ電圧にゲイン補正値を乗算(または除算)し、当該乗算値にオフセット補正値を加算(または減算)して、データ線駆動回路20に出力する。これにより、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量を低減することが可能となる。
【0051】
なお、本実施の形態に係る表示装置1において、変換部12は、補正データを周波数変換して所定の高周波成分を削除する、エンコード処理部に相当し、補正部13は、補正データを空間成分に逆変換する(戻す)、デコード処理部に相当する。変換部12および補正部13は、集積回路であるIC、LSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。また、集積回路化の手法は、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。また、変換部12および補正部13は、上記エンコード処理およびデコード処理を実行させるプログラムとして実現したり、当該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体およびインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0052】
図5は、実施の形態1に係る表示装置1と従来の表示装置との補正処理およびその結果を比較する図である。同図の左側に示された表示画像は、表示部全体を同一輝度で発光させようとした場合であって補正無しの輝度信号で表示部を表示した場合の画像の一例である。これに対して、
図5の右上部に示された表示画像は、本実施の形態に係る表示装置1の制御部10により処理された補正後の輝度信号で表示部を表示した場合の画像である。また、
図5の右下部に示された表示画像は、従来の表示装置の制御部500により処理された補正後の輝度信号で表示部を表示した場合の画像である。
【0053】
本実施の形態の制御部10および従来の制御部500により補正された輝度信号により表示された表示画像は、いずれも、補正無しの輝度信号による表示画像と比較して、輝度ムラが大幅に低減されていることが判る。ただし、本実施の形態の制御部10による表示画像と従来の制御部500による表示画像とは、補正データの(図中、表示画素の長辺および短辺に沿って示されている)周波数成分が異なっている。つまり、本実施の形態の制御部10により処理された第2補正データの方が、従来の制御部500で用いられる第1補正データよりも高周波成分が除去されている分だけデータ容量が小さい。よって、本実施の形態に係る表示装置1によれば、表示部の画素数が増加しても、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量を低減することが可能となる。
【0054】
[1.3 表示装置の補正方法]
次に、本実施の形態に係る表示装置1の補正方法について説明する。
【0055】
図6は、実施の形態1に係る表示装置1の補正方法を説明する動作フローチャートである。
図6には、表示装置1の有する制御部10が、第2補正データにより輝度信号を補正するまでの工程が示されている。以下、
図6に従って、補正工程を説明していく。
【0056】
まず、制御部10は、有機EL素子401を所定の輝度で発光させるための輝度信号を補正するための第1補正データ(処理前の補正データ)を予め取得する(S10:取得ステップ)。第1補正データ(処理前の補正データ)は、既に説明したように、例えば、サブ画素400に対応したゲイン補正値およびオフセット補正値という2つの補正パラメータで構成されている。
【0057】
ここで、第1補正パラメータの取得方法について、例示する。
【0058】
図7は、第1補正データを取得するための測定システムのブロック図である。同図に示された測定システムは、情報処理装置2と、撮像装置3と、表示部40と、制御部10とを備える。
【0059】
情報処理装置2は、演算部201と、記憶部202と、通信部203とを備え、第1補正パラメータを生成するまでの工程を制御する機能を有する。情報処理装置2としては、例えば、パーソナルコンピュータが適用される。
【0060】
撮像装置3は、通信部203からの制御信号により、表示部40を撮像し、撮像された画像データを通信部203へ出力する。撮像装置3としては、例えば、CCDカメラや輝度計が適用される。
【0061】
情報処理装置2は、表示装置1の制御部10および撮像装置3へ通信部203を介して制御信号を出力し、制御部10および撮像装置3から測定データを取得して当該測定データを記憶部202に格納し、格納された測定データをもとに演算部201で演算して各種特性値やパラメータを算出する。なお、制御部10は、表示装置1に内蔵されない制御回路を使用してもよい。
【0062】
具体的には、情報処理装置2は、測定サブ画素へ与える電圧値の制御を行う。制御部10は、上記電圧値を測定サブ画素に印加し、当該測定サブ画素を発光させる。撮像装置3は、発光した測定サブ画素の輝度値を測定する。情報処理装置2は、電圧値と測定輝度値とを受信する。情報処理装置2は、測定サブ画素へ与える電圧値を変化させて、同様の制御を行い、異なる電圧値と当該電圧値に対する測定輝度値とを受信する。情報処理装置2がこれを繰り返すことにより、演算部201は、測定サブ画素ごとの電圧−輝度特性を算出し、当該電圧−輝度特性と基準となる電圧−輝度特性とを比較して、測定サブ画素ごとの補正パラメータ(ゲイン補正値およびオフセット補正値)を算出する。
【0063】
制御部10は、演算部201で算出された上記補正パラメータを第1補正データとして、通信部203を介して受信する。
【0064】
以上の工程により、制御部10は、輝度信号を補正するための第1補正データを予め取得する。
【0065】
次に、制御部10は、空間成分で構成された第1補正データを周波数成分に分解する(S20)。
【0066】
次に、制御部10は、第1補正データを、所定の高周波成分が削除された第2補正データへと変換する(S30)。ここで、制御部10は、青色補正データの高周波成分のカットオフ周波数の方が赤色補正データのカットオフ周波数よりも低くなり、赤色補正データの高周波成分のカットオフ周波数の方が緑色補正データのカットオフ周波数よりも低くなるように、高周波成分の除去を行うことで、第1補正データを第2補正データへと変換する。ステップS20およびS30は、制御部10の変換部12が行う変換ステップである。
【0067】
次に、制御部10は、第2補正データを、表示装置1が有するメモリ11に予め保存する(S40:保存ステップ)。
【0068】
次に、制御部10は、メモリ11から第2補正データを読み出し、周波数成分から空間成分へと逆変換する(S50)。
【0069】
次に、制御部10は、空間成分で構成された第2補正データを用いて、輝度信号を補正する(S60:補正ステップ)。
【0070】
以上の本実施の形態に係る表示装置1の補正方法によれば、第1補正データ(処理前の補正データ)により輝度信号が補正されるのではなく、所定の高周波成分が削除された第2補正データにより輝度信号が補正される。また、メモリ11には、第1補正データが変換されて生成された第2補正データが保存される。第2補正データは、第1補正データの所定の高周波成分が削除されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。これにより、表示部40の解像度が上がるにつれ、軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。よって、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量を低減することが可能となる。
【0071】
なお、ステップS20において、制御部10は、空間成分で構成された第1補正データを離散コサイン変換することにより、高周波成分を削除してもよい。これによれば、後続のステップS30において、効率よく特定の周波数成分のみをカットすることが可能となる。
【0072】
(実施の形態2)
実施の形態1では、第1補正データを取得し、当該第1補正データから第2補正データを生成し、当該第2補正データで輝度信号を補正するまでの表示装置1の補正方法について説明した。これに対して、本実施の形態では、上記第1補正データから第2補正データを生成し、当該第2補正データを表示装置1のメモリ11に格納するまでの表示装置1の製造方法について説明する。つまり、本実施の形態に係る表示装置1の製造方法は、実施の形態1に係る表示装置1の補正方法が、輝度信号を第2補正データで補正するまでの工程を含むのに対して、第2補正データをメモリ11に格納するまでの工程を含む点が異なる。以下、実施の形態1に係る表示装置1およびその補正方法と同じ構成については説明を省略し、異なる点を中心に説明をする。
【0073】
[2.1 製造工程における情報処理装置の構成]
図8は、製造工程において第2補正データを取得する情報処理装置2Aの構成を示すブロック図である。同図に示された情報処理装置2Aは、表示装置1の製造工程において使用されるものであり、変換部12Aを備える。
【0074】
変換部12Aは、周波数変換部121Aと、周波数成分抽出部122Aとを備え、処理前の補正データ(第1補正データ)を周波数成分に分解し、周波数成分に分解された第1補正データを、所定の高周波成分が削除された第2補正データへと変換する。
【0075】
周波数変換部121Aは、空間成分で表された第1補正データを周波数成分に分解する。
【0076】
周波数成分抽出部122Aは、周波数変換部121Aで周波数成分に変換された補正データのうち、所定の高周波成分を削除する。ここで、周波数成分抽出部122Aは、赤色補正データと緑色補正データと青色補正データとのそれぞれについて、視感度のより低い色の方が、カットする高周波成分の量がより多くなるように高周波成分を除去する。このような高周波成分の除去法は、人間にとって、視感度が比較的低い色の輝度変化は比較的認知されにくく、視感度が比較的高い色の輝度変化は比較的認識されやすいという特質に基づいて行われている。一般に、青色の方が赤色よりも視感度が低く、赤色の方が緑色よりも視感度が低い。このため、周波数成分抽出部122Aは、青色補正データの高周波成分のカットオフ周波数の方が赤色補正データのカットオフ周波数よりも低くなり、赤色補正データの高周波成分のカットオフ周波数の方が緑色補正データのカットオフ周波数よりも低くなるように、高周波成分の除去を行う。周波数成分抽出部122Aにより、補正データが有する周波数成分のうち高周波成分のみが削除されることで、1サブ画素〜数サブ画素単位での輝度の揺らぎを補正する補正データ成分を省略することが可能となる。この場合には、周波数成分抽出部122Aが低域通過フィルタ(高域カットフィルタ)の機能を有することで、高周波成分のみが削除された第2補正データを生成することが可能となる。
【0077】
なお、第1補正データは、実施の形態1の
図7に示された情報処理装置2により取得されてもよい。このとき、実施の形態1に係る情報処理装置2と、本実施の形態に係る情報処理装置2Aとが、同じ装置であって双方の機能を兼ね備えていてもよい。つまり、本実施の形態に係る情報処理装置2Aは、変換部12Aのほか、演算部201と、記憶部202と、通信部203とを備えていてもよい。また、第1補正データは、予め情報処理装置2Aに与えられていてもよい。
【0078】
[2.2 表示装置の製造方法]
図9は、実施の形態2に係る表示装置1の製造方法を説明する動作フローチャートである。
図9には、表示装置1の有する表示パネルを形成する工程から、第2補正データをメモリに格納する工程までが示されている。以下、
図9に従って、製造工程を説明していく。
【0079】
まず、表示装置1を構成する表示パネルを形成する(S100:表示パネル形成ステップ)。以下、表示パネルの形成工程を例示する。例えば、TFTなどの回路素子を含む基板上に、絶縁性の有機材料からなる平坦化膜を形成し、その後、当該平坦化膜上に陽極を形成する。次に、陽極上に、例えば、正孔注入層を形成する。次に、正孔注入層の上に、発光層を形成する。次に、発光層の上に、電子注入層を形成する。続いて、電子注入層が形成された基板上に、陰極を形成する。これらの工程により、発光素子としての機能をもつ有機EL素子が形成される。さらに、陰極の上に、薄膜封止層を形成する。次に、薄膜封止層の表面に、封止用樹脂層を塗布する。その後、塗布された封止用樹脂層上に、カラーフィルタを形成する。次に、カラーフィルタの上に、接着層及び透明基板を配置する。なお、薄膜封止層、封止用樹脂層、接着層及び透明基板は、保護層に相当する。最後に、透明基板を上面側から下方に加圧しつつ熱またはエネルギー線を付加して封止用樹脂層を硬化し、透明基板、接着層及びカラーフィルタと薄膜封止層とを接着する。上記形成工程により、表示パネルが形成される。
【0080】
次に、情報処理装置2Aは、有機EL素子401を所定の輝度で発光させるための輝度信号を補正するための第1補正データ(処理前の補正データ)を予め取得する(S110:取得ステップ)。第1補正データ(処理前の補正データ)は、既に説明したように、例えば、サブ画素400に対応したゲイン補正値およびオフセット補正値という2つの補正パラメータで構成されている。第1補正パラメータの取得方法については、実施の形態1の
図7で説明した情報処理装置2により取得されてもよいし、また、例えば、同一バッチで製造された表示パネルの第1補正パラメータを流用してもよい。
【0081】
次に、情報処理装置2Aは、空間成分で構成された第1補正データを周波数成分に分解する(S120)。
【0082】
次に、情報処理装置2Aは、第1補正データを、所定の高周波成分が削除された第2補正データへと変換する(S130)。ここで、情報処理装置2Aは、青色補正データの高周波成分のカットオフ周波数の方が赤色補正データのカットオフ周波数よりも低くなり、赤色補正データの高周波成分のカットオフ周波数の方が緑色補正データのカットオフ周波数よりも低くなるように、高周波成分の除去を行うことで、第1補正データを第2補正データへと変換する。ステップS120およびS130は、情報処理装置2Aの変換部12Aが行う変換ステップである。
【0083】
次に、情報処理装置2Aは、第2補正データを、表示装置1が有するメモリ11に保存する(S140:保存ステップ)。
【0084】
以上の本実施の形態に係る表示装置1の製造方法によれば、第1補正データ(処理前の補正データ)がメモリ11に保存されるのではなく、所定の高周波成分が削除された第2補正データがメモリ11に保存される。第2補正データは、第1補正データの所定の高周波成分が削除されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。これにより、表示部40の解像度が上がるにつれ、軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。よって、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量を低減することが可能となる。
【0085】
なお、ステップS120において、情報処理装置2Aは、空間成分で構成された第1補正データを離散コサイン変換することにより、高周波成分を削除してもよい。これによれば、後続のステップS130において、効率よく特定の周波数成分のみをカットすることが可能となる。
【0086】
また、情報処理装置2Aは、表示装置1を構成する制御部10が内蔵していてもよく、製造工程において、制御部10が第2補正データを取得しメモリ11に格納してもよい。
【0087】
(実施の形態3)
実施の形態1では、第1補正データを取得し、当該第1補正データから第2補正データを生成し、当該第2補正データで輝度信号を補正するまでの表示装置1の補正方法について説明した。これに対して、本実施の形態では、上記第2補正データを読み出し、当該第2補正データにより輝度信号を補正し、当該補正された輝度信号により画素表示させるまでの表示装置1の表示方法について説明する。つまり、本実施の形態に係る表示装置1の製造方法は、実施の形態2に係る表示装置1の製造方法が、第2補正データをメモリ11に格納するまでの工程を含むのに対して、格納された第2補正データを読み出す工程から画素表示する工程までを含む点が異なる。以下、実施の形態1に係る表示装置1およびその補正方法と同じ構成については説明を省略し、異なる点を中心に説明をする。
【0088】
[3.1 制御部の構成]
図10は、第2補正データを用いて表示装置1を表示する制御部10の構成を示すブロック図である。同図に示された制御部10は、メモリ11と、補正部13とを備える。
【0089】
補正部13は、上記第2補正データを用いて、輝度信号を補正する。輝度信号とは、画素の有する発光素子を発光させるために、当該画素に印加される電気信号である。より具体的には、本実施の形態では、輝度信号とは、サブ画素400が有する有機EL素子401を発光させるために、データ線駆動回路20から駆動トランジスタ402のゲートに印加されるデータ電圧のことである。
【0090】
ここで、本実施の形態に係る表示方法では、上述した第1補正データ(処理前の補正データ)により輝度信号が補正されるのではなく、処理前の補正データ(第1補正データ)を軽量処理することで取得された処理後の補正データ(第2補正データ)により輝度信号が補正される。第2補正データは、第1補正データの所定の高周波成分が削除されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。
【0091】
これにより、表示部40の解像度が上がるにつれ、第1補正データよりも軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。記録媒体として過度な大容量および長寿命を必要としないという観点から、メモリ11としては、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを適用することが可能である。
【0092】
補正部13は、空間成分逆変換部132と、輝度信号補正部131とを備える。
【0093】
空間成分逆変換部132は、例えば、DRAMなどの揮発性の第1メモリと演算回路とで構成される。空間成分逆変換部132は、メモリ11から第2補正パラメータを読み出して第1メモリに一時保存する。そして、演算回路は、周波数成分で表された第2補正データを空間成分へと逆変換する。
【0094】
輝度信号補正部131は、空間成分逆変換部132により空間成分で表された第2補正データを用いて、サブ画素400に対応した輝度信号を補正する。以下、輝度信号補正部131における輝度信号の補正処理の一例を示す。
【0095】
輝度信号補正部131は、空間成分で表された第2補正パラメータ(ゲイン補正値、オフセット補正値)のうち、補正前輝度信号に対応するデータ電圧にゲイン補正値を乗算(または除算)し、当該乗算値にオフセット補正値を加算(または減算)して、データ線駆動回路20に出力する。これにより、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量を低減することが可能となる。
【0096】
[3.2 表示装置の表示方法]
図11は、実施の形態3に係る表示装置1の表示方法を説明する動作フローチャートである。
図11には、表示装置1の有する制御部10が、第2補正データを読み出す工程から輝度信号を補正して画素表示する工程までが示されている。以下、
図11に従って、補正工程を説明していく。
【0097】
まず、制御部10は、メモリ11から第2補正データを読み出し、周波数成分から空間成分へと逆変換する(S250)。
【0098】
次に、制御部10は、空間成分で構成された第2補正データを用いて、輝度信号を補正する(S260:補正ステップ)。
【0099】
最後に、制御部10は、上記補正ステップで補正された輝度信号を各サブ画素400に供給し、当該輝度信号に応じて有機EL素子401を発光させることにより表示装置1を表示する(S270:表示ステップ)。
【0100】
以上の本実施の形態に係る表示装置1の表示方法によれば、第1補正データ(処理前の補正データ)により輝度信号が補正されるのではなく、所定の高周波成分が削除された第2補正データにより輝度信号が補正される。また、メモリ11には、第1補正データが変換されて生成された第2補正データが保存されている。第2補正データは、第1補正データの所定の高周波成分が削除されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。これにより、表示部40の解像度が上がるにつれ、軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。よって、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量を低減することが可能となる。
【0101】
(実施の形態4)
実施の形態1では、第1補正データを周波数成分に分解し、周波数成分に分解された第1補正データに対して、所定の高周波成分を削除することで第2補正データに変換する構成の表示装置1について説明した。これに対して、本実施の形態では、第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分の誤差成分を、当該サブ画素の周辺サブ画素へ伝搬させて、第1補正データを構成する各画素の補正データ成分を再構成し、再構成された第1補正データの補正データ成分をビット削減して第2データに変換する構成の表示装置について説明する。
【0102】
この表示装置は、実施の形態1における表示装置1から、その機能の一部が変更されて構成される。従って、ここでは、その変更点を中心に説明する。
【0103】
[4.1 表示装置の構成]
図12は、実施の形態4に係る表示装置5の構成を示すブロック図である。
【0104】
同図に示されるように、表示装置5は、実施の形態1における表示装置1から、制御部10が制御部10Bとなるように変更されている。
【0105】
制御部10Bは、メモリ11、データ線駆動回路20および走査線駆動回路30の制御を行う。
【0106】
また、制御部10Bは、表示動作時には、メモリ11に書き込まれた第2補正データを読み出し、外部から入力された映像信号(輝度信号)を、第2補正データに基づいて補正して、データ線駆動回路20へと出力する。
【0107】
また、制御部10Bは、例えば、製造工程において処理前の補正データ(後述する第1補正データ)を生成する場合には、例えば、外部の情報処理装置と通信することにより、当該情報処理装置の指示に従ってデータ線駆動回路20および走査線駆動回路30を駆動する。
【0108】
また、制御部10Bは、例えば、製造工程において処理前の補正データ(第1補正データ)を変換処理し、処理後の補正データ(第2補正データ)を生成し、当該処理後の補正データをメモリ11に格納する。
【0109】
[4.2 制御部の構成]
図13は、実施の形態4に係る表示装置5が備える制御部10Bの構成を示すブロック図である。
【0110】
同図に示されるように、制御部10Bは、実施の形態1における制御部10から、変換部12が変換部12Bとなり、補正部13が補正部13Bとなるように変更されている。
【0111】
変換部12Bは、処理前の補正データ(第1補正データ)を、その第1補正データよりもデータ量が削除された第2補正データへと変換する。
【0112】
補正部13Bは、上記第2補正データを用いて、輝度信号を補正する。輝度信号とは、画素の有する発光素子を発光させるために、当該画素に印加される電気信号である。より具体的には、本実施の形態では、輝度信号とは、サブ画素400が有する有機EL素子401を発光させるために、データ線駆動回路20から駆動トランジスタ402のゲートに印加されるデータ電圧のことである。
【0113】
変換部12Bは、閾値決定部1121と、ビット削減部1122とを備える。
【0114】
閾値決定部1121は、第1補正データを構成する複数の補正データ成分の分布に基づいて、後続するビット削減部1122でビット削減する際に使用される閾値を決定する。ここでは、第1補正データは、赤色サブ画素の輝度を補正するための赤色補正データと、緑色サブ画素の輝度を補正するための緑色補正データと、青色サブ画素の輝度を補正するための青色補正データとから構成される。このため、閾値決定部1121は、第1補正データの赤色補正データと緑色補正データと青色補正データとのそれぞれについて閾値を決定する。
【0115】
ビット削減部1122は、閾値決定部1121で決定された閾値に基づいて、第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分を量子化し、その際の誤差成分を、当該各サブ画素の周辺サブ画素へ伝搬させて第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分を再構成し、当該再構成された第1補正データの補正データ成分をビット削減して第2補正データを生成する。より具体的には、ビット削減部1122は、上記閾値に基づいて、第1補正データについて、(1)各第1サブ画素(赤色サブ画素と緑色サブ画素と青色サブ画素とうちのいずれか1つ)に対応した補正データ成分の誤差成分を、その第1サブ画素の周辺第1サブ画素へ伝搬させて再構築し、当該再構築された各第1サブ画素の補正データ成分を第1ビット数削減し、(2)各第2サブ画素(赤色サブ画素と緑色サブ画素と青色サブ画素とから第1サブ画素を除いたもののうちのいずれか1つ)に対応した補正データ成分の誤差成分を、その第2サブ画素の周辺第2サブ画素へ伝搬させて再構築し、当該再構築された各第2サブ画素の補正データ成分を、第1ビット数より多い第2ビット数削減する。また、ビット削減部1122は、上記閾値に基づいて、さらに、第1補正データについて、各第3サブ画素(赤色サブ画素と緑色サブ画素と青色サブ画素とのうち、第1サブ画素と第2サブ画素とのいずれでもないもの)に対応した補正データ成分の誤差成分を、その第3サブ画素の周辺第3サブ画素へ伝搬させて再構築し、当該再構築された各第3サブ画素の補正データ成分を第2ビット数より多い第3ビット数削減するとしてもよい。
【0116】
ここで、ビット削減部1122は、赤色補正データと緑色補正データと青色補正データとのそれぞれについて、視感度のより低い色の方が、ビット削減量が多くなるように、ビット削減を行う。このようなビット削減法は、人間にとって、視感度が比較的低い色の輝度変化は比較的認知されにくく、視感度が比較的高い色の輝度変化は比較的認識されやすいという特質に基づいて行われている。一般に、青色の方が赤色よりも視感度が低く、赤色の方が緑色よりも視感度が低い。このため、ビット削減部1122は、青色補正データの削減ビット数の方が、赤色補正データの削減ビット数よりも多くなり、赤色補正データの削減ビット数の方が、緑色補正データの削減ビット数よりも多くなるように、ビット数の削減を行う。すなわち、ビット削減部1122は、第1サブ画素を緑色サブ画素とし、第2サブ画素を赤色サブ画素とし、第3サブ画素を緑色サブ画素として、ビット数の削減を行う。
【0117】
第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分の誤差成分を、当該各サブ画素の周辺サブ画素へ伝搬させて第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分を再構成する量子化手法としては、例えば、誤差拡散法が用いられる。その他、上記手法として、ランダムディザ法およびパタンディザ法などに代表されるディザ法などが適用される。ビット削減部1122における処理として誤差拡散法を用いることにより、輝度信号の補正精度を確保することが可能となる。
【0118】
補正部13Bは、実施の形態1における補正部13から、空間成分逆変換部132がデータ展開部1132となるように変更されている。
【0119】
データ展開部1132は、例えば、DRAMなどの揮発性の第1メモリと演算回路とで構成される。データ展開部1132は、メモリ11から第2補正データを読み出して第1メモリに一時保存する。ここで、第1メモリ内(または外部)に設けられた、SRAMに例示される第2メモリには、閾値決定部1121で決定された閾値データおよび第1補正データが量子化された離散値の少なくとも一方が保存されている。演算回路は、第1メモリに確保された第2補正データを、第2メモリに保存された閾値データおよび上記離散値の少なくとも一方を用いて、メモリ11に保存された第2補正データのビット数よりも大きいビット数を有する補正データ(離散値)へと展開してもよい。つまり、補正部13Bは、第2補正データを、上記閾値データおよび上記離散値の少なくとも一方を用いて、第2補正データよりも高ビットのデータへと展開し、第1補正データに対してビット圧縮された補正データを用いて輝度信号を補正する。なお、本実施の形態に係る制御部10Bでは、データ展開部1132は、必須の構成要素ではない。
【0120】
ただし、ビット削減部1122における第1補正データのビット削減率が高いほど、第2補正データの補正精度は低下するため、当該ビット削減率が高い場合には、データ展開部1132が設けられることが好ましい。
【0121】
ここで、変換部12の具体的処理について、
図14を用いて詳細に説明する。
【0122】
図14は、実施の形態4に係る表示装置5と従来の表示装置(実施の形態1の
図4等参照)との補正処理およびその結果を比較する図である。同図の左側に示された表示画像は、表示部全体を同一輝度で発光させようとした場合であって補正無しの輝度信号で表示部を表示した場合の画像の一例である。これに対して、
図14の右上部に示された表示画像は、本実施の形態に係る表示装置5の制御部10Bにより処理された補正後の輝度信号で表示部を表示した場合の画像である。また、
図14の右下部に示された表示画像は、従来の表示装置の制御部500により処理された補正後の輝度信号で表示部を表示した場合の画像である。
【0123】
また、
図14における、本実施の形態に係る表示装置5による表示画像は、変換部12Bが誤差拡散処理およびビット削減処理により生成した第2補正データを用いて補正されたものである。
図14に記載された第1補正データは、例えば、画素ごとのゲイン補正値(補正データ成分)がマトリクス状に表されている。本実施の形態に係る表示装置5では、この第1補正データを誤差拡散させる。以下、
図14に示された誤差拡散中の補正データを用いて説明する。なお、説明の便宜上、
図14には、誤差拡散中の補正データは、4×4の補正データ成分で構成されたものとして表されており、補正データ成分を(行、列)で表している。例えば、左上の補正データ成分を(1、1)と表し、右下の補正データ成分を(4、4)と表す。
【0124】
また、
図14における、第1補正データと誤差拡散中の補正データと第2補正データと第2補正データ(展開後)とについての具体例を、
図15に示す。
【0125】
変換部12Bは、第1補正データについて、第1サブ画素(緑色サブ画素)の輝度を補正するための第1色補正データ(緑色補正データ)と、第2サブ画素(赤色サブ画素)の輝度を補正するための第2色補正データ(赤色補正データ)と、第3サブ画素(青色サブ画素)の輝度を補正するための第3色補正データ(青色補正データ)とのそれぞれに対して、閾値を利用する誤差拡散法を適用して、第1〜第3色補正データのそれぞれのビット数を削減する。
【0126】
ここでは、
図14に示されるように、誤差拡散中の補正データにおいて、青色補正データの各補正データ成分が4値(2ビットで区別可能)となり、赤色補正データの各補正データ成分が8値(3ビットで区別可能)となり、緑色補正データの各補正データ成分が16値(4ビットで区分可能)となるように、誤差拡散を行う。
【0127】
すなわち、閾値決定部1121は、青色補正データの各補正データ成分が2ビットで区別され得る4値となり、赤色補正データの各補正データ成分が3ビットで区別され得る8値となり、緑色補正データの各補正データ成分が4ビットで区別され得る16値となるように、第1補正データの各色補正データに対して、閾値、切下値、および切上値を決定する。ここで、切下値および切上値のそれぞれは、第1補正データ(の補正データ成分)が量子化された離散値である。そして、ビット削減部1122は、第1補正データの各色補正データに対して、閾値決定部1121によって決定された、閾値、切下値、および切上値を利用して誤差拡散を行い、誤差拡散中の補正データおよび第2補正データを生成する。ここで、ビット削減部1122の生成する第2補正データは、青色補正データについては2ビット、赤色補正データについては3ビット、緑色補正データについては4ビットからなる。そして、ビット削減部1122は、生成した第2補正データを、メモリ11に記憶させる。
【0128】
以上のように、ビット削減部1122は、誤差拡散処理を適用することにより、閾値決定部1121で決定された閾値に基づいて、第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分(1、1)〜(4、4)を量子化し、その際の誤差成分を当該各サブ画素の周辺サブ画素へ伝搬させて第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分を再構成し、当該再構成された第1補正データの補正データ成分をビット削減して第2補正データを生成する。
【0129】
上記例では、ビット削減部1122は、第1補正データに対して、青色補正データに対して2ビットとなるようにビット削減し、赤色補正データに対して3ビットとなるようにビット削減し、緑色補正データに対して4ビットとなるようにビット削減することで第2補正データを生成している。
【0130】
次に、データ展開部1132は、第2補正データを読み出して第1メモリに一時保存し、当該第2補正データを、閾値を用いて、第2補正データのビット数よりも大きいビット数を有する補正データ(離散値)へと展開する。すなわち、データ展開部1132は、第2補正データに対して、閾値決定部1121によって決定された閾値、切下値、および切上値を適用して展開し、第2補正データ(展開後)すなわち、誤差拡散中の補正データを生成(再現)する。
【0131】
一例として、第2補正データが3ビットであって、閾値が0.910、0.944、0.978、1.012、1.045、1.079、および1.113であり、第1補正データが量子化された離散値が、0.893(“0”)、0.927(“1”)、0.961(“2”)、0.995(“3”)、1.028(“4”)、1.062(“5”)、1.096(“6”)、1.130(“7”)である場合を例として、具体的に説明する。この場合、データ展開部1132は、“0”〜“7”へ量子化された第2補正データの各補正データ成分を読み出して第1メモリに一時保存し、当該第2補正データの各補正データ成分を、上記7つの閾値のみを用いて、第2補正データのビット数よりも大きいビット数(4ビット以上)を有する補正データ成分(離散値)へと展開することが可能である。例えば、第2補正データの補正データ成分(1、1)が“2”の場合、展開された補正データ成分(1、1)は、閾値0.944と閾値0.978との間の離散値と判断され、0.961(“2”)が算出される。また、第2補正データの補正データ成分(1、2)が“0”の場合、展開された補正データ成分(1、2)は、閾値0.910よりも小さい離散値をとり、0.910−(0.944−0.910)/2(0.910から閾値間隔の半分を減算する)により、0.893(“0”)が算出される。
【0132】
また、データ展開部1132は、“0”〜“7”へ量子化された第2補正データの各補正データ成分を読み出して第1メモリに一時保存し、当該第2補正データの各補正データ成分を、上記7つの離散値のみを用いて、第2補正データのビット数よりも大きいビット数(4ビット以上)を有する補正データ成分(離散値)へと展開することが可能である。例えば、第2補正データの補正データ成分(1、1)が“1”の場合、展開された補正データ成分(1、1)は、2番目に大きい0.927(“1”)と算出される。また、第2補正データの補正データ成分(1、2)が“5”の場合、展開された補正データ成分(1、2)は、6番目に大きい1.062(“5”)と算出される。
【0133】
また、データ展開部1132は、“0”〜“7”へ量子化された第2補正データの各補正データ成分を読み出して第1メモリに一時保存し、当該第2補正データの各補正データ成分を、上記7つの離散値のうちの最大値および最小値のみを用いて、第2補正データのビット数よりも大きいビット数(4ビット以上)を有する補正データ(離散値)へと展開することが可能である。例えば、上記最大値および上記最小値と第2補正データのビット数(3ビット)とを用いて、上記7つの離散値を算出することが可能である。これにより、例えば、第2補正データの補正データ成分(1、1)が“1”の場合、展開された補正データ成分(1、1)は、2番目に大きい0.927(“1”)と算出される。また、第2補正データの補正データ成分(1、2)が“5”の場合、展開された補正データ成分(1、2)は、6番目に大きい1.062(“5”)と算出される。なお、上記最大値および上記最小値と第2補正データのビット数(3ビット)とを用いて、上記7つの離散値を算出する場合、7つの離散値を均等割で算出するほか、重み付けを施した配列やランダム配列などとすることも可能となる。
【0134】
図14より、本実施の形態の制御部10Bおよび従来の制御部500により補正された輝度信号により表示された表示画像は、いずれも、補正無しの輝度信号による表示画像と比較して、輝度ムラが大幅に低減されていることが判る。ただし、本実施の形態の制御部10による表示画像と従来の制御部500による表示画像とは、補正データのビット数が異なっている。つまり、本実施の形態の制御部10Bによりビット削減された第2補正データの方が、従来の制御部500で用いられる第1補正データよりもデータ容量が小さい。よって、本実施の形態に係る表示装置5によれば、表示部の画素数が増加しても、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量および転送レートを低減することが可能となる。
【0135】
なお、本実施の形態に係る表示装置5において、変換部12Bおよび補正部13Bは、集積回路であるIC、LSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。また、集積回路化の手法は、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。また、変換部12Bおよび補正部13Bは、上記エンコード処理およびデコード処理を実行させるプログラムとして実現したり、当該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体およびインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0136】
[4.3 表示装置の補正方法]
次に、本実施の形態に係る表示装置5の補正方法について説明する。
【0137】
図16は、実施の形態4に係る表示装置5の補正方法を説明する動作フローチャートである。
【0138】
以下、
図16に従って、補正工程を説明していく。
【0139】
同図に示されるように、表示装置5の補正方法は、実施の形態1における表示装置1の補正方法(
図6参照)から、ステップS10の処理がステップS10Bの処理となり、ステップS20の処理がステップS20Bの処理となり、ステップS30の処理がステップS30Bの処理となり、ステップS40の処理がステップS40Bの処理となり、ステップS50の処理がステップS50Bの処理となり、ステップS60の処理がステップS60Bの処理となるように変更されている。
【0140】
ここで、ステップS10Bの処理とステップS40Bの処理とステップS60Bの処理とは、それぞれ、実施の形態1におけるステップS10の処理とステップS40の処理とステップS60の処理とから、表示装置1を表示装置5に読み替え、制御部10を制御部10Bと読み替えた場合の処理と同様の処理となっている。従って、ここでは、ステップS20Bの処理とステップS30Bの処理とステップS50Bの処理とを中心に説明する。
【0141】
ステップS10の処理が終了すると、制御部10Bは、第1補正データについて各画素に対応した補正データ成分を量子化し、その際の誤差成分を当該各画素の周辺画素へ伝搬させて再構成する(S20B)。
【0142】
次に、制御部10Bは、再構成された各画素の補正データ成分をビット削減することにより第2補正データへと変換する(S30B)。ステップS20BおよびS30Bは、制御部10Bの変換部12Bが行う変換ステップである。
【0143】
次に、制御部10Bは、第2補正データを、表示装置5が有するメモリ11に予め保存する(S40B:保存ステップ)。
【0144】
次に、制御部10Bは、メモリ11から第2補正データを読み出し、ステップS30Bでビット削減の基準値とした閾値を用いて、第2補正データのビット数よりも大きいビット数を有する補正データへと展開する(S50B)。
【0145】
なお、ステップS50Bにおける上記展開処理は、必須の工程ではない。ただし、ステップS30Bにおける第1補正データのビット削減率が高いほど、第2補正データの補正精度は低下するため、当該ビット削減率が高い場合には、上記展開処理を行うことが好ましい。
【0146】
次に、制御部10Bは、上記第2補正データを用いて、輝度信号を補正する(S60B:補正ステップ)。
【0147】
以上の本実施の形態に係る表示装置5の補正方法によれば、第1補正データ(処理前の補正データ)により輝度信号が補正されるのではなく、上記ステップS20BおよびS30Bでの処理がなされた第2補正データにより輝度信号が補正される。また、メモリ11には、第1補正データが変換されて生成された第2補正データが保存される。第2補正データは、第1補正データがビット削減されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。これにより、表示部40の解像度が上がるにつれ、軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。よって、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量および転送レートを低減することが可能となる。
【0148】
なお、ステップS20Bにおいて、第1補正データについて各画素に対応した補正データ成分を当該各画素の周辺画素へ伝搬させて再構成する手法として、誤差拡散法を用いてもよい。誤差拡散法を用いることにより、輝度信号の補正精度を確保することが可能となる。なお、誤差拡散法のほか、例えば、ランダムディザ法およびパタンディザ法などに代表されるディザ法などを適用してもよい。
【0149】
また、第1補正データについて各画素に対応した補正データ成分の誤差成分を当該各画素の周辺画素へ伝搬させて再構成する際に、第1補正データを構成する補正データ成分の分布状態により決定された閾値に基づいて、補正データ成分を量子化し、その際の誤差成分により補正データ成分を再構成してもよい。
【0150】
また、ステップS30Bにおいて、第1補正データについて各画素に対応した補正データ成分の誤差成分を当該各画素の周辺画素へ伝搬させて再構成された各画素の補正データ成分を、2値化処理によりビット削減してもよい。この場合には、第2補正データを最軽量化することが可能となる。
【0151】
(実施の形態5)
実施の形態4では、第1補正データを取得し、当該第1補正データから第2補正データを生成し、当該第2補正データで輝度信号を補正するまでの表示装置5の補正方法について説明した。これに対して、本実施の形態では、上記第1補正データから第2補正データを生成し、当該第2補正データを表示装置5のメモリ11に格納するまでの表示装置5の製造方法について説明する。つまり、本実施の形態に係る表示装置5の製造方法は、実施の形態4に係る表示装置5の補正方法が、輝度信号を第2補正データで補正するまでの工程を含むのに対して、第2補正データをメモリ11に格納するまでの工程を含む点が異なる。以下、実施の形態4に係る表示装置5およびその補正方法と同じ構成については説明を省略し、異なる点を中心に説明をする。
【0152】
[5.1 製造工程における情報処理装置の構成]
図17は、製造工程において第2補正データを取得する情報処理装置2Cの構成を示すブロック図である。同図に示された情報処理装置2Cは、表示装置5の製造工程において使用されるものであり、変換部12Cを備える。
【0153】
変換部12Cは、閾値決定部1121Cと、ビット削減部1122Cとを備え、処理前の補正データ(第1補正データ)を、その第1補正データよりもデータ量が削除された第2補正データへと変換する。
【0154】
閾値決定部1121Cは、第1補正データを構成する複数の補正データ成分の分布に基づいて、後続するビット削減部1122Cでビット削減する際に使用される閾値を決定する。ここでは、第1補正データは、赤色サブ画素の輝度を補正するための赤色補正データと、緑色サブ画素の輝度を補正するための緑色補正データと、青色サブ画素の輝度を補正するための青色補正データとから構成される。このため、閾値決定部1121Cは、第1補正データの赤色補正データと緑色補正データと青色補正データとのそれぞれについて閾値を決定する。
【0155】
ビット削減部1122Cは、閾値決定部1121Cで決定された閾値に基づいて、第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分を量子化し、その際の誤差成分を、当該各サブ画素の周辺サブ画素へ伝搬させて第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分を再構成し、当該再構成された第1補正データの補正データ成分をビット削減して第2補正データを生成する。より具体的には、ビット削減部1122Cは、上記閾値に基づいて、第1補正データについて、(1)各第1サブ画素(赤色サブ画素と緑色サブ画素と青色サブ画素とうちのいずれか1つ)に対応した補正データ成分の誤差成分を、その第1サブ画素の周辺第1サブ画素へ伝搬させて再構築し、当該再構築された各第1サブ画素の補正データ成分を第1ビット数削減し、(2)各第2サブ画素(赤色サブ画素と緑色サブ画素と青色サブ画素とから第1サブ画素を除いたもののうちのいずれか1つ)に対応した補正データ成分の誤差成分を、その第2サブ画素の周辺第2サブ画素へ伝搬させて再構築し、当該再構築された各第2サブ画素の補正データ成分を、第1ビット数より多い第2ビット数削減する。また、ビット削減部1122Cは、上記閾値に基づいて、さらに、第1補正データについて、各第3サブ画素(赤色サブ画素と緑色サブ画素と青色サブ画素とのうち、第1サブ画素と第2サブ画素とのいずれでもないもの)に対応した補正データ成分の誤差成分を、その第3サブ画素の周辺第3サブ画素へ伝搬させて再構築し、当該再構築された各第3サブ画素の補正データ成分を第2ビット数より多い第3ビット数削減するとしてもよい。
【0156】
ここで、ビット削減部1122Cは、赤色補正データと緑色補正データと青色補正データとのそれぞれについて、視感度のより低い色の方が、ビット削減量が多くなるように、ビット削減を行う。このようなビット削減法は、人間にとって、視感度が比較的低い色の輝度変化は比較的認知されにくく、視感度が比較的高い色の輝度変化は比較的認識されやすいという特質に基づいて行われている。一般に、青色の方が赤色よりも視感度が低く、赤色の方が緑色よりも視感度が低い。このため、ビット削減部1122Cは、青色補正データの削減ビット数の方が、赤色補正データの削減ビット数よりも多くなり、赤色補正データの削減ビット数の方が、緑色補正データの削減ビット数よりも多くなるように、ビット数の削減を行う。すなわち、ビット削減部1122Cは、第1サブ画素を緑色サブ画素とし、第2サブ画素を赤色サブ画素とし、第3サブ画素を緑色サブ画素として、ビット数の削減を行う。
【0157】
第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分の誤差成分を、当該各サブ画素の周辺サブ画素へ伝搬させて第1補正データを構成する各サブ画素の補正データ成分を再構成する量子化手法としては、例えば、誤差拡散法が用いられる。その他、上記手法として、ランダムディザ法およびパタンディザ法などに代表されるディザ法などが適用される。ビット削減部1122Cにおける処理として誤差拡散法を用いることにより、輝度信号の補正精度を確保することが可能となる。
【0158】
なお、第1補正データは、実施の形態1の
図7に示された情報処理装置2により取得されてもよい。このとき、実施の形態1に係る情報処理装置2と、本実施の形態に係る情報処理装置2Aとが、同じ装置であって双方の機能を兼ね備えていてもよい。つまり、本実施の形態に係る情報処理装置2Cは、変換部12Cのほか、演算部201と、記憶部202と、通信部203とを備えていてもよい。また、第1補正データは、予め情報処理装置2Cに与えられていてもよい。
【0159】
[5.2 表示装置の製造方法]
図18は、実施の形態4に係る表示装置5の製造方法を説明する動作フローチャートである。
図18には、表示装置1の有する表示パネルを形成する工程から、第2補正データをメモリに格納する工程までが示されている。以下、
図18に従って、製造工程を説明していく。
【0160】
同図に示されるように、表示装置5の製造方法は、実施の形態1における表示装置1の製造方法(
図9参照)から、ステップS100の処理がステップS100Bの処理となり、ステップS110の処理がステップS110Bの処理となり、ステップS120の処理がステップS120Bの処理となり、ステップS130の処理がステップS130Bの処理となり、ステップS140の処理がステップS140Bの処理となるように変更されている。
【0161】
ここで、ステップS100Bの処理とステップS110Bの処理とステップS140Bの処理とは、それぞれ、実施の形態1におけるステップS100の処理とステップS110の処理とステップS140の処理とから、表示装置1を表示装置5に読み替え、情報処理装置2Aを情報処理装置2Cに読み替えた場合と同様の処理となっている。従って、ここでは、ステップS120Bの処理とステップS130Bの処理とを中心に説明する。
【0162】
ステップS110Bの処理が終了すると、情報処理装置2Cは、第1補正データについて各画素に対応した補正データ成分を量子化し、その際の誤差成分を当該各画素の周辺画素へ伝搬させて再構成する(S120B)。
【0163】
次に、情報処理装置2Cは、再構成された各画素の補正データ成分をビット削減することにより第2補正データへと変換する(S130B)。ステップS120BおよびS130Bは、情報処理装置2Cの変換部12Cが行う変換ステップである。
【0164】
次に、情報処理装置2Cは、第2補正データを、表示装置5が有するメモリ11に予め保存する(S140B:保存ステップ)。
【0165】
以上の本実施の形態に係る表示装置5の補正方法によれば、第1補正データ(処理前の補正データ)がメモリ11に保存されるのではなく、上記ステップS120BおよびS130Bでの処理がなされた第2補正データがメモリ11に保存される。第2補正データは、第1補正データがビット削減されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。これにより、表示部40の解像度が上がるにつれ、軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。よって、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量および転送レートを低減することが可能となる。
【0166】
なお、ステップS120Bにおいて、第1補正データについて各画素に対応した補正データ成分を当該各画素の周辺画素へ伝搬させて再構成する手法として、誤差拡散法を用いてもよい。誤差拡散法を用いることにより、輝度信号の補正精度を確保することが可能となる。なお、誤差拡散法のほか、例えば、ランダムディザ法およびパタンディザ法などに代表されるディザ法などを適用してもよい。
【0167】
また、第1補正データについて各画素に対応した補正データ成分の誤差成分を当該各画素の周辺画素へ伝搬させて再構成する際に、第1補正データを構成する補正データ成分の分布状態により決定された閾値に基づいて、補正データ成分を量子化し、その際の誤差成分により補正データ成分を再構成してもよい。
【0168】
また、情報処理装置2Cは、表示装置5を構成する制御部10Bが内蔵していてもよく、製造工程において、制御部10Bが第2補正データを取得しメモリ11に格納してもよい。
【0169】
(実施の形態6)
実施の形態4では、第1補正データを取得し、当該第1補正データから第2補正データを生成し、当該第2補正データで輝度信号を補正するまでの表示装置5の補正方法について説明した。これに対して、本実施の形態では、上記第2補正データを読み出し、当該第2補正データにより輝度信号を補正し、当該補正された輝度信号により画素表示させるまでの表示装置5の表示方法について説明する。つまり、本実施の形態に係る表示装置5の補正方法は、実施の形態5に係る表示装置5の製造方法が、第2補正データをメモリ11に格納するまでの工程を含むのに対して、格納された第2補正データを読み出す工程から画素表示する工程までを含む点が異なる。以下、実施の形態4に係る表示装置5およびその補正方法と同じ構成については説明を省略し、異なる点を中心に説明をする。
【0170】
[6.1 制御部の構成]
図19は、第2補正データを用いて表示装置5を表示する制御部10Bの構成を示すブロック図である。同図に示された制御部10Bは、メモリ11と、補正部13Bとを備える。
【0171】
補正部13Bは、上記第2補正データを用いて、輝度信号を補正する。輝度信号とは、画素の有する発光素子を発光させるために、当該画素に印加される電気信号である。より具体的には、本実施の形態では、輝度信号とは、サブ画素400が有する有機EL素子401を発光させるために、データ線駆動回路20から駆動トランジスタ402のゲートに印加されるデータ電圧のことである。
【0172】
ここで、本実施の形態に係る表示方法では、上述した第1補正データ(処理前の補正データ)により輝度信号が補正されるのではなく、処理前の補正データ(第1補正データ)を軽量処理することで取得された処理後の補正データ(第2補正データ)により輝度信号が補正される。第2補正データは、第1補正データがビット削減されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。
【0173】
これにより、表示部40の解像度が上がるにつれ、第1補正データよりも軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。記録媒体として過度な大容量および長寿命を必要としないという観点から、メモリ11としては、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを適用することが可能である。
【0174】
補正部13Bは、データ展開部1132と、輝度信号補正部131とを備える。
【0175】
データ展開部1132は、例えば、DRAMなどの揮発性の第1メモリと演算回路とで構成される。データ展開部1132は、メモリ11から第2補正データを読み出して第1メモリに一時保存する。ここで、第1メモリ内(または外部)に設けられた、SRAMに例示される第2メモリには、閾値決定部1121で決定された閾値データおよび第1補正データが量子化された離散値の少なくとも一方が保存されている。演算回路は、第1メモリに確保された第2補正データを、第2メモリに保存された閾値データおよび上記離散値の少なくとも一方を用いて、メモリ11に保存された第2補正データのビット数よりも大きいビット数を有する補正データ(離散値)へと展開してもよい。つまり、補正部13Bは、第2補正データを、上記閾値データおよび上記離散値の少なくとも一方を用いて、第2補正データよりも高ビットのデータへと展開し、第1補正データに対してビット圧縮された補正データを用いて輝度信号を補正する。なお、本実施の形態に係る制御部10Bでは、データ展開部1132は、必須の構成要素ではない。
【0176】
ただし、第1補正データのビット削減率が高いほど、第2補正データの補正精度は低下するため、当該ビット削減率が高い場合には、データ展開部1132が設けられることが好ましい。
【0177】
輝度信号補正部131は、データ展開部1132で展開された第2補正データを用いて、サブ画素400に対応した輝度信号を補正する。以下、輝度信号補正部131における輝度信号の補正処理の一例を示す。
【0178】
輝度信号補正部131は、第2補正データ(ゲイン補正値、オフセット補正値)のうち、補正前輝度信号に対応するデータ電圧にゲイン補正値を乗算(または除算)し、当該乗算値にオフセット補正値を加算(または減算)して、データ線駆動回路20に出力する。これにより、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量および転送レートを低減することが可能となる。
【0179】
[6.2 表示装置の表示方法]
図20は、実施の形態6に係る表示装置5の表示方法を説明する動作フローチャートである。
図20には、表示装置5の有する制御部10Bが、第2補正データを読み出す工程から輝度信号を補正して画素表示する工程までが示されている。以下、
図20に従って、補正工程を説明していく。
【0180】
まず、制御部10Bは、メモリ11から第2補正データを読み出し、ビット削減の基準値とした閾値および第1補正データが量子化された離散値の少なくとも一方を用いて、第2補正データのビット数よりも大きいビット数を有する補正データへと展開する(S250B)。
【0181】
なお、ステップS250Bにおける上記展開処理は、必須の工程ではない。ただし、第1補正データのビット削減率が高いほど、第2補正データの補正精度は低下するため、当該ビット削減率が高い場合には、上記展開処理を行うことが好ましい。
【0182】
次に、制御部10Bは、上記第2補正データを用いて、輝度信号を補正する(S260B:補正ステップ)。
【0183】
最後に、制御部10Bは、上記補正ステップで補正された輝度信号を各サブ画素400に供給し、当該輝度信号に応じて有機EL素子401を発光させることにより表示装置5を表示する(S270B:表示ステップ)。
【0184】
以上の本実施の形態に係る表示装置5の表示方法によれば、第1補正データ(処理前の補正データ)により輝度信号が補正されるのではなく、ビット削減された第2補正データにより輝度信号が補正される。また、メモリ11には、第1補正データが変換されて生成された第2補正データが保存されている。第2補正データは、第1補正データがビット削減されたものであるため、第1補正データに比べて容量が小さい。これにより、表示部40の解像度が上がるにつれ、軽量化された第2補正データを格納するメモリ11の容量低減化の効果が顕著となる。よって、輝度補正の精度を確保しつつ補正データ容量および転送レートを低減することが可能となる。
【0185】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態1〜6について述べてきたが、上記実施の形態に係る表示装置、表示装置の補正方法、表示装置の製造方法、および表示装置の表示方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。上述した実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0186】
例えば、実施の形態1〜6に係る表示装置、表示装置の補正方法、表示装置の製造方法、および表示装置の表示方法は、
図21に示されたようなタブレット端末に適用される。本発明に係る表示装置、表示装置の補正方法、表示装置の製造方法、および表示装置の表示方法により、輝度ムラが抑制されたディスプレイを備えた低コストの小型高精細なタブレット端末が実現される。
【0187】
なお、上記実施の形態では、外部映像信号に基づいて生成された輝度信号により、表示部40に画像が表示される場合を例示したが、これに限られない。画素を発光させるための輝度信号は、外部映像信号により生成されるだけでなく、静止画または動画を表示するための各種信号により生成される。
【0188】
また、第1補正データは、表示装置の製造時に生成されることに限定されない。また、第2補正データは、表示装置の製造時にメモリ11に保存されることに限定されない。表示装置の製造後であって、表示動作中または非表示動作中であっても、第1補正データを更新し、当該更新された第1補正データに基づいて第2補正データが更新保存されてもよい。
【0189】
また、各画素が有する発光素子は、有機EL素子に限られず、電流駆動型または電圧駆動型の無機材料からなる発光素子であってもよい。
【0190】
また、各画素は、光の3原色に対応する赤色と緑色と青色とのそれぞれを発色する赤色サブ画素と緑色サブ画素と青色サブ画素とから構成される場合を例示したが、各サブ画素の発色の組み合わせは、多様な色を生成し得る色の組み合わせであれば、赤色と緑色と青色との組み合わせである場合に限られない。例えば、各画素が、イエローとマゼンダとシアンとの色の組み合わせにおけるそれぞれの色を発色するイエローサブ画素とマゼンダサブ画素とシアンサブ画素とから構成されていてもよい。
【0191】
さらには、各画素は、多様な色を生成し得る4色の以上の色の組み合わせにおけるそれぞれの色を発色する4種以上のサブ画素から構成されていてもよい。例えば、各画素が、赤色と緑色と青色と黄色とのそれぞれを発色する赤色サブ画素と緑色サブ画素と青色サブ画素と黄色サブ画素とから構成されていてもよい。