【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は請求項1に規定する内容によって達成される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は従属請求項に規定する内容である。
【0016】
本発明は、さらに、請求項1に基づく機械加工ツール、または従属請求項の1つを含む機械加工ツールおよびツールデバイスを含む機械加工システムまたは機械加工ツールシステムに関する。
【0017】
本発明に基づけば、機械加工ツールはツール受容デバイスを備え、ツール受容デバイスによって、出力シャフトおよびツール回転軸が実質的に一致するような方法で、ツールデバイスが機械加工ツール上に装着可能である。用語「出力シャフト」および用語「ツール回転軸」は、それぞれ、機械加工ツールの幾何学的な回転軸およびツールデバイスの幾何学的な回転軸を意味する。
【0018】
本発明のツールはツール受容デバイスを備え、機械加工ツール上において出力シャフトおよびツール回転軸が実質的に一致するような方法で、ツール受容デバイスがツールデバイスを保持するように構成されている。
【0019】
ツール受容デバイスを機械加工ツールに固く連結することができる。しかし、ツール受容デバイスは出力シャフト、出力スピンドル、等に取り外し可能に装着可能でもある。
【0020】
ツール保持デバイスはトルク伝達領域および保持デバイスを有する。トルク伝達領域は機械加工ツールの駆動トルクをツールデバイスへ伝達するために設けられる。他方、トルク伝達領域は、また、ツールデバイスから機械加工ツールへのトルク伝達、特にツール運動の制動の結果である制動運動量の伝達のために設けられる。
【0021】
ツール受容デバイスはさらに保持デバイスを備え、保持デバイスは操作中にツールを保持するために設けられる。ツール受容デバイスおよびツールデバイス間の機械加工の結果である力のみならず、空転状態で発生する力の両方を確実に受容可能となる方法で設計されるべきである。特に、機械加工ツールに向かうツールデバイスから引き出される力のみならず、ツールデバイスによって機械加工ツールの方向に機械加工ツール上に引き出される力の両方のそれぞれが、確実に受容されるような方法で保持デバイスが設計されることが好ましい。後の段落で詳細を記載するように、ツールデバイスのツール受容デバイスからの意図しない脱落を防ぎ、のみならず、他方で、ツールデバイスの簡易な変更もまた可能であるような方法で保持デバイスが設計されることが好ましい。
【0022】
トルク伝達領域および保持デバイスは、共通デバイスとして、あるいは共通部品として設計することも可能である。
【0023】
トルク伝達領域は、ツール回転軸とは空間的に離れ、各々が複数の表面点を有する少なくとも2つの出力エリア領域を備える。(以降の段落において時には「出力エリア」と記載する)用語「出力エリア」は、直接的にまたは間接的に、ツールデバイス上に出力トルクを伝達するために、少なくとも部分的にツールデバイスと接触するエリアに関連する。用語「表面点」は、ここでは出力エリアの上側の点を意味し、これは幾何学的に理解すべきである。
【0024】
用語は接平面がエリアの上に載置される幾何学的な点を特徴付けるように使用される。接点に垂直な表面上のベクトルは空間内のこの点の表面の方向を示し、例えば3次元座標、他の参照平面、または参照表面で定義される。
【0025】
表面上の全ての点は同時に表面点であるため、表面は無限の数の表面点を有する。しかしながら、一方向に湾曲した表面、または多方向に湾曲した表面を記述するために、限定された数の表面点を用いることは実用的な意味で十分である。用語「一方向に湾曲した」は、円筒形状表面、例えば各点が一方向に曲がっている円筒形状表面として理解すべきである。用語「多方向に湾曲した」は少なくとも1つの点で複数の方向に湾曲した表面、例えば球体表面として理解すべきである。
【0026】
平らな表面は唯一の接平面を有し、それ自体の表面と一致する。平らな表面を特徴付けるためには、このため、単一の表面点で十分であり、これは平らな表面のどの点にも当てはまる。
【0027】
表面点は幾何学的な点であり、表面上で視覚可能であるわけではない。
【0028】
これらの表面点に対する接平面において、特別な幾何学的条件を適用する。幾何学的には一般に、接平面は表面点の法線ベクトルに垂直に形成される平面であり、表面点で表面と接する。用語「法線ベクトル」はこの表面点において表面に正確に垂直な方向を持つ。
【0029】
この表面点上の接平面は二方向に傾斜する。一方で、接平面は出力シャフトを含む軸平面に対して傾斜する。さらに、これらの接平面は出力シャフトに対して垂直な方向に延伸する径平面に対して傾斜する。
【0030】
このように、これらの出力表面の配置は、振動機械用の既知のツール受容デバイスと比較して異なる。
【0031】
既知のツールデバイス、例えばドイツ出願10 2011 005 818 A1およびドイツ出願296 05 728 U1に示されている例では、機械加工ツールのツール受容デバイスへの接続エリア内のツールは実質的に平面設計である。このことは、ツールは出力シャフトに垂直である平面内のこのエリア内で延伸することを意味する。そのような機械加工ツールにおいては、出力エリアは径平面に垂直に、出力シャフトの平面に平行に配置される。
【0032】
好ましい実施形態では、出力エリアが実質的に平坦であることを既に注記した。これは、全ての表面点の法線ベクトルが互いに平行に揃えられ、このため、出力エリアは全体として1つの接平面を有することを意味する。しかしながら、本発明の範囲内において、出力エリアは一方向また二方向に湾曲していることもまた可能である。この場合には、法線ベクトルはもはや互いに平行ではない。
【0033】
本発明は以下の考察に基づく。
【0034】
トルクが適用されるツールの領域のみならずツール受容デバイスの両方は、振動動作に起因する交互の曲げストレスにさらされる。これらは、一般的にツール受容デバイスおよびツールを製造する材料が金属材料である場合に特に問題である。金属は結晶構造を有する。局部的過負荷が金属部品の領域で発生すれば、これはこの点で部品に作用するストレスが部品にとって許容範囲であるストレス以上であり、次いで、マイクロクラックが金属の微細構造の個々の粒子間に発生することを意味する。これらのマイクロクラックは2つの点で部品の強度に影響する。一方で、マイクロクラックが発生した領域では部品内で張力が伝達されない。これは、この領域内のストレスがクラック形成によって増加し、力伝達の点で有効領域が減少することを意味する。
【0035】
他方、機械加工技術分野において一般に「ノッチ・エフェクト」と呼ばれる現象が発生する。この名称は、特に鋭角形状であるノッチ(切欠き)領域内に局部的な応力の集中が発生し、ノッチ周辺の領域内で材料が剪断応力を受けることに由来する。この剪断応力はそのような幾何学形状に影響を受けない状態の部品領域内での剪断応力よりも強い。
【0036】
これらの増加した応力はクラック形成を進行させ、結果として部品の破損に至る。
【0037】
このプロセスは、例えばPalmgren および Minerの論文内に記載され、損傷の蓄積(damage accumulation)と呼ばれる。
【0038】
振動負荷、特に交互曲げストレスを許容する材料または部品の特性は、通常、部品のS−N曲線と呼ばれる曲線で表される。S−N曲線は繰り返し負荷、負荷を変化させるヴェーラー疲労試験において、特に部品が(材料に依存するが)2百万回から6百万回の負荷変化において損傷無しである場合に、多くの場合において、スチール部品は永久的に許容可能であるとする。機械加工技術分野では材料または部品の疲労強度と呼ばれる。
【0039】
振動駆動ツールは、上述したように、例えば毎分20,000の周波数でスイングする。これは、操作固定部品の設計において、毎分20,000負荷サイクルまたは毎時1.
2百万回サイクルを意味する。
【0040】
2百万回負荷サイクルストレス試験の低い疲労限度は、このように機械加工ツールまたはツールの2時間以上の操作となる。
【0041】
本発明の設計においては、トルク負荷が増加してもツール受容デバイスおよびツールが耐えられる程度のトルク増加である。これは第1に出力エリアを回転軸に対して距離を置いて配置することで実現される。理由は、ツールによって受容される力はトルクと距離の比によって決定され、Fr=M/r(M:測定されるトルク(単位Nm)、F:点rで測定される力(単位N)、r:出力軸からの作用点の距離(単位m))に従うからである。
【0042】
力の作用点が外側に広がれば、すなわち、出力シャフトまたはツール回転軸から離れれば、トルクは減少する。
【0043】
出力エリアの傾斜は力の作用点が全体として増加する結果となり、それによって局部的負荷は減少し、ツール受容デバイスおよびツールの残りの領域内における力の導入は、適切に設計することで、改善される。
【0044】
振動するマシンにおいて一般的に使用される鋸ツールおよび切断ツールのようなツールデバイスの部分は、例えば、円周方向に配置された操作領域を有する。ツールの操作領域はこのようにツール回転軸に垂直な平面内で本質的に延伸する。
【0045】
既存技術では、そのようなツールにおいて接続領域もまた平面であることが一般的である。次に、例えばピン、駆動星形配置、等によって、駆動運動はツール平面に垂直な方向の力として開始される。ツール平面内において、ツールは特に硬く、力の導入は相対的に小さな領域上においてのみ行なわれる。この領域ではより高い局所的ストレスとなり、ツールの操作安定性を減少させる。
【0046】
本発明によれば、そのようなツールにおいて、力の伝達は最初に傾斜エリアから平面エリア内に適用される。このため、対応する設計によって、力の伝達エリアが増加し、それによって局所的負荷が減少する。
【0047】
この点において、ピーク負荷を減少させることが本質であることに留意すべきである。何故なら、前述のマイクロクラックに至るストレス集中によってツールの疲労あるいは破損が発生し、さらには進行するからである。ピークストレス集中の減少はツールおよびツール受容デバイスの耐用年数の著しい増加を実現できる。
【0048】
好ましい実施形態によれば、表面点上の全ての法線ベクトルが出力シャフトを通過して延伸する直線上を通過する、少なくとも1つの出力エリア領域が存在する。そのため、そのような出力エリア領域は表面の全ての点が出力シャフトの方向を向く。しかし、出力エリア領域は出力シャフトに対して「ねじれ」ている。
【0049】
既に説明したように、出力エリアは実質的に平面に設計されることが好ましい。これは、出力エリアは接平面と実質的に同一である平面領域を有し、この平面領域は端部、単一の湾曲表面または複数の湾曲表面、等によって制限されても良い。端部または湾曲エリアのそれぞれによって、出力エリアはツール受容デバイスの他の領域内、特にトルク伝達領域内を通過することができる。
【0050】
平面出力エリアの利点は、適切な公差および弾性等の材質特性が与えられて適切に設計されるなら、一方でツール受容デバイスおよびツールデバイス間の両方を隙間無しで機械
加工ツールのツール受容デバイスの上に確実に固定することが可能となることである。機械加工ツールのツール受容デバイスおよびツールデバイス間の表面接触が可能となり、それによって、力伝達領域が増加する。
【0051】
さらなる好ましい実施形態によれば、出力エリアは少なくとも部位内において湾曲している。湾曲は両方向のみならず一方向で設計されても良く、湾曲は固定半径または可変半径を有する凸部または凹部の両方で設計されても良い。
【0052】
湾曲エリアは、また、その形状によっておよび材料の弾性によって設計することが可能であり、弾性に応じて、湾曲は変化する。特に、湾曲はある負荷で実質的に消える。このことは、実質的に平坦な出力エリアが提供されることを意味する。より好ましくは、機械加工ツールのこれらの出力エリア、およびツールデバイスの等価なエリアは相互にしっかり適合する。
【0053】
好ましい実施形態では、機械加工ツール、特にツール受容デバイスはトルク伝達領域内において少なくとも第1の上部境界平面および少なくとも第2の下部境界平面を備える。この場合には、これらの境界平面は前記出力シャフトに実質的に垂直に配置される。さらに、好ましくはこれらの2つの境界平面は空間的に離れている。これらの出力表面エリアの各々はこれらの第1の上部境界平面の1つと、これらの第2の下部境界平面の1つとの間に、好ましくは出力表面エリアが境界領域を切断するのではなく、それぞれの境界平面と接触するような方法で、配置される。特に、これらの境界領域の間に少なくとも1つの出力エリア領域を配置することによって、非常に大きな出力エリア領域を実現することが可能となり、出力エリア領域上のストレスは相応して小さくなる。好ましくは、出力エリア領域の第1グループ、しかし、少なくとも1つの出力エリア領域は1つの前記第1の上部境界平面および1つの前記第2の下部境界平面との間に配置され、より好ましくは出力エリア領域の第2グループはさらに第1の上部境界平面およびさらに第2の下部境界平面の間に配置される。特に、複数の出力エリア領域のグループ分け、および境界平面の配置によって、トルク伝達領域の簡易な製造と、第2に、ツールデバイス上への駆動力の特に一様な作用の実現との両方が可能となる。
【0054】
好ましい実施形態では、複数の出力表面領域が単一の第1の上部境界平面および単一の第2の下部境界平面の間で延伸する。より好ましくは、これらの出力表面領域の全ては単一の第1の上部境界平面および単一の第2の下部境界平面の間で延伸する。特に、1つの第1の上部境界平面および1つの第2の境界平面の間のこれらの出力表面領域の延伸によって、小空間スペースしか要求されないトルク伝達エリアを実現することが可能となる。さらには、少ない材料使用要求を実現することができる。特に、出力表面エリアのこのようなタイプでの設計によって、駆動力が特に一様に、これによってツールデバイスに穏やかな方法で伝達されることを実現するという利点となる。特に、トルク伝達領域は軽減され長い耐用年数が実現される。
【0055】
好ましい実施形態では、トルク伝達領域は複数の出力表面領域を備える。好ましくは、前記複数の出力表面領域は「出力シャフトの周囲に回転的対称的に」配置される。
【0056】
本出願での「出力シャフトの周囲に回転的対称的に」は複数の出力表面領域が幾何学的にそれ自身を出力シャフトの周囲の円周上に少なくとも0度より大きく360度より小さい角度で、またはいかなる角度によっても、特に、これらの角度の1つが360度/n(nは1より大きな自然数)である全ての角度で配置されることを意味する。
【0057】
特に、出力表面領域の回転的対称的配置によって、それぞれ、トルク伝達領域上での付加的なストレスを減少させることが可能になり、駆動領域に一様にストレスを加えること
が可能になり、これによって特に耐用年数の増加を実現する。
【0058】
好ましい実施形態では、これらの出力表面領域の少なくとも2つは対称平面に対称的に配置される。好ましくは、この対称平面はこれらの軸平面の1つと一致する。好ましくは、出力表面領域の2つ以上、好ましくは4つが対称平面に対称的に配置される。特にこの対称平面内に出力シャフトが配置される。より好ましくは、これらの出力表面エリアは実質的に近接して配置される。本発明における「近接して配置」は、特に、出力表面領域が遷移領域によって接続されているような配置として理解することができる。好ましくは、そのような遷移領域は湾曲した表面領域によって、または、表面領域を延伸する少なくとも部分的に平坦な領域によって形成されても良い。より好ましくは、そのような遷移領域は少なくとも1つの、好ましくはこれらの出力表面領域の両方における接線方向で近接する。特に、出力表面領域の対称的および近接配置によって、トルク伝達領域の高安定性を実現することが可能となる。このため、ツールデバイスへの良好な力伝達を実現することが可能となる。
【0059】
好ましい実施形態では、機械加工ツールのトルク伝達領域は側壁を有する。好ましくは、前記側壁は出力シャフトから空間的に離れて延伸している。より好ましくは、この側壁は第1の上部境界平面および第2の下部境界平面の間で延伸している。好ましくは、側壁は出力シャフト方向で変化する側壁の厚さを有する。特に好ましくは、機械加工ツールの方向で実質的に線形に増加する側壁の厚さを有する。好ましくは、この側壁は出力表面領域を備える。特に、側壁を有するトルク伝達領域の設計はトルク伝達領域の領域内に実質的に中空の円錐形凹部を生じさせる。しかし、この中空円錐形凹部は円形断面を有さないが、出力シャフト平面に直交する方向内で出力シャフトに対して側壁は可変で空間的に離れた断面を有する。特に、トルク伝達領域の説明したタイプの実施形態によって、特に安定したトルク伝達領域が実現できため、ツールデバイス内への良好な運動量の導入を実現することが可能となる。
【0060】
好ましい実施形態では、この側壁は出力シャフトの周囲で閉じて本質的に径方向に延伸する。他の実施形態では、側壁は出力シャフトへの延伸部内に凹部または断面を有する。特に、閉じた円周形の側壁によって、特に安定したトルク伝達領域を実現することが可能となる。断面を有する側壁、または凹部を有する側壁によって、特に低い慣性モーメントを有するトルク伝達領域を実現することが可能となる。
【0061】
好ましい実施形態では、これらの接平面上の1つの法線ベクトルは出力シャフトから径方向に離れた方向に向いている。用語「法線」および「法線ベクトル」はこれらの説明の中で相互に変換可能で使用されことに留意すべきである。好ましくは、径方向の複数の、好ましくは全ての接平面の法線ベクトルは出力シャフトから離れる径方向を向く。特に、この接平面の方向づけによって、トルク伝達領域は従来のシャフトハブ接続と異なるシャフト部材を提供する。トルク伝達領域のこの構成は、特に簡易な製造の可能性を提供し、機械加工ツールの駆動力が特に一様な方法でツール集合体上を伝達することを可能とする。
【0062】
他の好ましい実施形態では、これらの接平面上の1つの法線ベクトルは出力シャフトの径方向に向く。好ましくは、複数の接平面の、好ましくは全ての接平面の法線ベクトルは出力シャフトの方向の径方向に向く。特に、この接平面の向きによって、トルク伝達領域は既存のシャフトハブ接続と異なるハブ部を提供する。換言すれば、トルク伝達領域は、特に、少なくとも部分的に凹部を備える。トルク伝達領域のそのような構成は、特に内部表面(ハブ部)を通して、機械加工ツールからツールデバイスへ力を伝達する。特に、そのような表面は汚染およびダメージから十分に保護される。
【0063】
好ましい実施形態では、角度αはこれらの接平面の1つと出力シャフトに垂直である径平面との間の角度となる。角度αはある範囲で選択される、好ましくは90度より小さく、特に、80度より小さい、最も好ましくは75度より小さいことが好ましい。さらに好ましくは、角度αは0度より大きい、特に45度より大きい、最も好ましくは60度より大きい。より好ましくは角度αは62.5度から72.5度の範囲である。好ましくは、角度αはトルク伝達領域、および/または、ツールデバイス、および/または、発生する力にとって好ましい部品特性(特に、幾何学的、壁厚み、弾性係数、張力、等)に依存して上記範囲内である。特に、前述のような前記範囲の角度αの選択によって、安定したトルク伝達領域が実現可能であり、他方また、ツールデバイス内への駆動力の一様な導入が実現可能となる。「ジャミング」の危険性が低減するため、通常、角度αは70度未満に選択することが好ましい。ここで用語「ジャミング」とは、ツールデバイスが、特に付加的な力無しで、機械加工ツールから計画通りには取り外しができないことと解釈すべきである。「ジャミング」と類似の効果は機械加工分野では特に自己ロッキングとして既知である。前記範囲(α≧70度)から選択された角度αの利点としては、特に低い空間要求となる。より小さい角度α(α<70度)の利点としては、ツールデバイスのジャミング傾向はより小さい角度α(α<70度)であるトルク伝達領域では低減される。相対的に小空間スペースが実現され、ツールデバイスの不慮のジャミングが避けられ減少させられる角度αの特に好ましい範囲として、60度(+/−5度)が示される。
【0064】
好ましい実施形態では、角度βはこれらの接平面と出力シャフトが位置している軸平面との間の角度となる。好ましくは、角度βはある範囲で選択される。好ましくは角度βは90度より小さい、特に70度より小さい。65度より小さいことが最も好ましい。さらに好ましくは、角度βは0度より大きい、好ましくは15度より大きい。30度より大きいことが最も好ましい。さらに好ましくは、角度βは実質的に30度、45度または60度である。より好ましくは、角度βは前述の3つの角度値の1つから僅かにずれる。好ましくは僅かにずれる値は+/−7.5度、特に+/−5度、最も好ましくは+/−2.5度と理解すべきである。特に、前記範囲からの角度βの前述の選択は、特に安定したトルク伝達領域が実現可能であり、このようにして、機械加工ツールからツールデバイスへの一様なトルク導入を実現することが可能となる。伝達可能なトルクは特に角度βの減少によって増加する。好ましくは、高い伝達トルクを必要とする構成では、角度βは0度<β<30度の範囲で選択される。特に、角度βが増加すれば空間スペースが減少する。好ましくは、小空間スペースしか要求されない構成では、角度βは60度<β<90度の範囲で選択される。大きなトルクが特に伝達可能であり、かつ小空間スペースが必要である場合における特に好ましい実施形態においては、角度βは実質的に60度となる。
【0065】
好ましい実施形態によれば、トルク伝達領域は偶数の出力エリア領域を有する。好ましくはトルク伝達領域は4個以上の出力エリア領域を有し、特に8個以上の出力エリア領域を有する。16個以上の出力エリア領域であることが最も好ましい。さらに好ましくは、トルク伝達領域は64個以下の出力エリア領域を有し、特に、48個以下の出力エリア領域を有し、32個以下の出力エリア領域であることが最も好ましい。更に好ましくは、トルク伝達領域は奇数の出力エリア領域を有し、好ましくは偶数の出力エリア領域である。好ましくは、出力エリア域の数はトルク伝達領域のサイズの関数である。より好ましくは、大きなトルク伝達領域は、また、本願で規定する以上の数の出力エリア領域数を有しても良い。ここで、大きなトルク伝達領域は、特に、実質的に50mm以上の直径を有するトルク伝達領域として理解すべきである。特に好ましくは、トルク伝達領域は実質的に30mmの直径を有する。一方で特に振動駆動を有し、他方で小空間スペースを有し、駆動力が確実に伝達可能である、機械加工ツールにおいてそのような直径は見出される。特に偶数の出力エリア領域によって、機械加工ツールデバイスの駆動力はツールデバイス上のペア内に伝達することが可能となる。ツールデバイス上に駆動力のペアを導入することで、特に恒久性があり改良された伝達領域を実現できることが見出される。
【0066】
好ましい実施形態では、出力エリア領域は実質的に星形形状に配置される。好ましくは、出力エリア領域は実質的に出力シャフトの周囲に星形形状で配置される。さらに好ましくは、出力エリア領域によって、三次元実体または三次元凹部が少なくとも部位内で定義される。出力シャフトに垂直な平面によってカットすることで、出力エリア領域は星形形状多角形の基本領域を実質的に有する。
【0067】
本発明においては、用語「多角形」は数学的に鈍角または鋭角の角を有する形状から想定される形状としてのみ理解すべきではなく、角が丸みを帯びる形状としても理解すべきである。
【0068】
好ましくは、前記星形形状多角形は回転方向に対称である。より好ましくは、これらの星形形状出力エリア領域は既存のハブ接続の歯状シャフトと類似であり、このシャフトは出力エリア領域の2重傾斜に起因して円錐基本形状を有する。特に、出力エリア領域の星形形状配置によって、小さい空間に複数の出力エリア領域を配置することが可能となり、機械加工ツールからツールデバイスへ高い駆動力を確実に伝達することが可能となる。
【0069】
好ましい実施形態では、機械加工ツールは
キーイングデバイスまたは
キーイング要素を有する。好ましくはそのような
キーイングデバイスは断面エリアを備え、好ましくは、断面エリアは出力シャフトに実質的に直交して配置されている平面内に配置される。好ましくは、この
キーイングデバイスは実質的にこの断面エリアに直交する、このため、特に出力シャフトに平行となる軸延長を有する。特に、この軸延長およびその整列によって、ツールデバイスの
キーイングデバイスがこの機械加工ツールの
キーイングデバイスと特に良く協働することを実現可能である。このようにして、ツールデバイスを特に機械加工ツール上で確実に受容することが実現できる。
【0070】
好ましい実施形態では、これらの
キーイングデバイスの1つは出力シャフト、このため特にこのツール回転軸の廻りに、回転的対称的に配置される。好ましくは、複数の
キーイングデバイスが出力シャフトの廻りに回転的対称的に配置される。好ましくは前記
キーイングデバイスは出力シャフトの廻りに所定の増加角度で増加する。更に好ましくは、等間隔ピッチで円形に配置される。好ましくは、角度増加は1度、2.5度、10度、15度、22.5度、30度または45度の大きさである。さらに好ましくは、そのような角度増加の整数倍である。より好ましくは、これらの
キーイングデバイスは等間隔の角度増加で相互配置される。より好ましくは、これらの
キーイングデバイスは360度の完全な円の周囲を等角度間隔で相互配置される。好ましくは180度の2倍、120度の3倍、90度の4倍、72度の5倍、60度の6倍、45度の8倍、40度の9倍、30度の12倍、22.5度の16倍、等である。特に、この
キーイングデバイスの分布によって、出力シャフトの廻りの現在の角度増加に基づいてツールデバイスを相互配置し、再び安全に受け、それによって、ツールデバイスの確実な受容、およびツールデバイスの素早い取り付けを提供する。
【0071】
好ましい実施形態では、
キーイングデバイス、特に少なくとも1つの
キーイングデバイスの断面エリアは特定の幾何学的形状のグループから選択される。ここでこのグループは好ましくは以下である。
− 複数の角部、好ましくは、3、4、5、6、7、8、9、10または10以上の角部を有する多角形、
− 円、
− 楕円形、
− スプライン、
− 複数の直線を有し、円弧で接続された基本形、
− これらの形状の組合せ。
【0072】
特に、機械加工ツールの
キーイングデバイスは、好ましくはこれと完全に協働するようにツール手段上の
キーイングデバイスと同一の反対形状(凸部凹部原理)を有する。
【0073】
好ましい実施形態では、保持デバイスは機械加工ツール上にツールデバイスを確実に固定することを可能にする保持デバイスのグループから選択される。好ましくは、保持デバイスは、保持デバイスがツールデバイスおよび機械加工ツール間の形状適合接続、または、直接的あるいは間接的な圧力ばめ接続を可能とするように、確実な固定を提供する。そのような保持デバイスのグループは以下の少なくとも1つのデバイス、または、以下のデバイスの2つ以上の組合せを備える。
− ネジデバイス、
− つなぎばりデバイス(tie beam)、
− フックデバイス、
− クリップデバイス、
− ラチェットデバイス(つめ車デバイス)、
− バヨネット密着デバイス、
− ロッキングプロジェクション(locking projections)を有するデバイス、および
− ボール部およびブロック部、および、特に球状キャップ凹部、等を有するデバイス。
【0074】
好ましくは、ネジデバイスは1つ以上のネジ部、より好ましくは、少なくともオス部材とメス部材を備えると理解すべきである。好ましくは、つなぎばり(tie beam)デバイスは、長軸に沿って保持力が適用され、保持力がツールデバイス上に作用するデバイスであると理解すべきである。好ましくは、つなぎばりデバイスは少なくとも1つの締付け領域を有し、保持力がつなぎばりデバイス、伝達領域および保持エリアに適用することが可能である。好ましくは、つなぎばりデバイスはこの保持エリアで直接的、間接的にツールデバイスに作用する。より好ましくは、締付け領域の保持力はこの伝達領域によってこの保持エリアへ伝達される。
【0075】
より好ましくは、フックデバイスは回転する、旋回する、滑ることが可能なデバイスであると理解すべきである。このデバイスはツールデバイス上に保持力の作用を伝達するための作用表面を有する。
【0076】
より好ましくは、クリップデバイスは、好ましくはばね力の作用に反して移動することが可能なデバイスであると理解すべきである。好ましくは、クリップデバイスは第1のテンション操作状態、および、第2の非テンション状態または部分的な非テンション操作状態を含む。好ましくは、ツールデバイスが機械加工ツールに装着されていない時に、クリップデバイスはこの非テンション状態またはこのテンション状態である。さらに好ましくは、ツールデバイスが機械加工ツール内に収容されている時に、クリップデバイスはこの非テンション状態または部分的に非テンション状態であり、好ましくは直接的にまたは間接的にツールデバイスおよび機械加工ツール間の圧力ばめ接続を提供する。
【0077】
さらに好ましくは、ラチェットデバイスは、少なくとも1つまたは好ましくは複数のラチェット部材による圧力ばめ接続によって、少なくとも機械加工ツールと反対方向へのツールデバイスの動作を防ぐデバイスであると理解すべきである。そのようなラチェット部材は動作可能に取り付けられている。
【0078】
さらに好ましくは、バヨネット密着デバイスは、少なくとも1つの形状適合要素を備え
、好ましくは複数の形状適合要素を備える。好ましくは、そのような形状適合要素は対向する表面と協働する。好ましくはポジティブなロッキング要素が間接的に直接的にツールデバイス上に配置され、それぞれの場合に、他の部位(対応する表面、形状適合要素)は機械加工ツール上に配置される。さらに好ましくは、ロッキングプロジェクション(locking projection)を有するデバイスは直接的にまたは間接的にツールデバイスおよび機械加工ツール間の形状適合接続を形成するデバイスである。
【0079】
より好ましくは、ボール部およびブロッキング部を有するデバイスは少なくとも1つの球状エリアまたは少なくとも1つのボール部およびブロッキング部を備えるデバイスであると理解すべきである。ブロッキング部内でこの球状エリアまたはこのボールと係合可能である。好ましくは、少なくとも1つのブロッキング部は球状エリアまたはボールと係合するための角柱エリア、円筒形状エリア、球状キャップエリアを備える。この相互作用によって、ツールデバイスおよび機械加工ツール間の形状適合接続が直接的または間接的に形成される。
【0080】
機械加工ツールシステムまたは機械加工システムのそれぞれは、本発明に基づく機械加工ツールを備え、この機械加工ツールと共に使用するための少なくとも1つのツールデバイスを備える。この場合、保持デバイスはツールデバイス上で作用する力の伝達のための作用エリアを少なくとも備える。この反対エリアは好ましくは機械加工ツールに対向する保持デバイスの側面上に配置される。さらに好ましくは、保持デバイスは保持デバイス境界表面を備える。この保持デバイス境界表面は機械加工ツール側から離れて対向する保持デバイスの側面に配置される。好ましくは、保持デバイスの操作エリアは保持力をツールデバイスに伝達するように構成されている。好ましくは、保持デバイス境界表面は実質的に操作エリアの反対側に配置される。
【0081】
ツールデバイスはツール装着領域およびツール回転軸を備える。この場合、このツール装着領域は少なくとも1つの側壁を有する。このツール装着領域は第1の直交平面および第2の直交平面間の軸方向に延伸し、少なくとも1つのツール装着領域の延伸部品はツール回転軸と対向している。この場合、そのような直交平面は特にツール回転軸と直交するよう配置される。より好ましくは、この側壁はツール回転軸に対し空間的に径方向に離れていて、このツール回転軸の方向の軸方向延伸部を有する。より好ましくは、この側壁は径方向に閉じて延伸している、または、好ましくは中断されている、またはツール回転軸の周囲に側壁の凹部を有している。
【0082】
ツールデバイスは、この保持デバイスによって、機械加工ツールに収容される。力の作用は、特に、機械加工ツール上のツールデバイスを保持する保持力効果によって、保持デバイスの操作エリアのエリア内に引き出される。この力の作用、特に保持力作用はツール回転軸の方向の少なくとも1つの成分を有し、好ましくはこの保持力の成分は実質的にそれ(ツール回転軸)と平行である。
【0083】
好ましい実施形態では、ツール集合体が機械加工ツールに受容されているときに、保持デバイス境界表面および保持デバイスの操作表面はツール接続領域の第1の直交表面および第2の直交表面の間に配置される。さらに好ましくは、保持デバイス境界表面および保持デバイスの操作表面は、ツールデバイスが機械加工ツールに受容されているときに、ツール駆動エリア領域の軸延長領域内の軸方向内に配置される。好ましくは、ツール接続領域は環状形状、好ましくは円錐形状を形成する。さらに好ましくは、ツールデバイスが機械加工ツールに受容されているときに、1つ、好ましくは全ての保持デバイスの操作エリアはこの形状の内側の径方向におよび軸方向に配置される。特にそのようなツールデバイスおよび機械加工ツールの構成によって、保持デバイスはツールデバイス上で軸方向に突き出さないため、機械加工ツールの特に安全な操作が可能となる。
【0084】
好ましい実施形態では、ツールデバイスの側壁はツール駆動エリア領域を有する。好ましくは、これらの駆動エリア領域はこのツール回転軸との第1の径方向距離および第2の径方向距離の間の少なくとも部分的な径距離内で延伸する。さらに好ましくは、これらのエリアの1つはトルク伝達用に、または、機械加工ツールからツールデバイスへの駆動力の伝達用に構成されている。さらに好ましくは、機械加工ツールのトルク伝達エリアはこのツール駆動エリア領域への少なくとも部分的、幾何学的な延伸接合部を有する。特に、このツール駆動エリア領域の径方向への延伸は形状適合駆動力伝達を可能とする。そのため、機械加工ツールからツールデバイスへの駆動力伝達の特に安全な形状を提供する。
【0085】
好ましい実施形態では、ツールデバイスの側壁はツール駆動エリア領域を備える。好ましくは、側壁は、少なくとも部位内において、トルク伝達領域のこの出力エリア領域への延伸接合部を有する。さらに好ましくは、これらの1つ、より好ましくは、これらの幾つか、最も好ましくは、これらのツール駆動エリア領域の全ては、少なくとも部分的に点接触の形で、好ましくは、線接触の形で、そして特に好ましくは面接触の形で、この出力エリア領域と接触する。特に、点接触によって、機械加工ツールとの関係でツールデバイスの特に簡易な配置が可能となる。特に面接触によって、点接触と対比すると大きな駆動力の伝達を得ることが可能となる。特にエリア表面によって、線接触との対比で大きな駆動力の伝達を得ることが可能となる。特に線接触または点接触によって、出力エリア領域またはツール駆動エリア領域の弾性変形が得られ、そのため、複数の駆動、出力表面領域が接触され、より大きな駆動力が得られる。
【0086】
以下の図面は本発明の各種の特徴および実施形態を示す。これらは概念図であり、本発明の個々の特徴の組合せおよび図示しない実施形態もまた可能である。