【実施例】
【0100】
試験法
サイズ排除クロマトグラフィーによる分子量
サイズ排除クロマトグラフィーシステム、Alliance2695(商標)(Waters Corporation,Milford,MA)は、Waters414(商標)示差屈折率検出器、多角度光散乱光度計DAWN Heleos II(Wyatt Technologies,Santa Barbara,CA)、およびViscoStar(商標)示差毛管粘度計検出器(Wyatt)を備えた。データ収集およびデータ処理のソフトウェアはWyatt社のAstra−version 5.4であった。使用されたカラムは、2つあり;1つは排除限界2×10
7および理論段数8,000/30cmを有するShodex GPC HFIP−806M(商標)スチレン−ジビニルベンゼンカラム;もう1つは排除限界2×10
5および理論段数10,000/30cmを有するShodex GPC HFIP−804M(商標)スチレン−ジビニルベンゼンカラムであった。
【0101】
穏やかに撹拌しながら50℃にて4時間混合することによって、0.01Mトリフルオロ酢酸ナトリウムを含有する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)に試験片を溶解し、続いて0.45μmPTFEフィルターを通して濾過した。溶液の濃度は約2mg/mLであった。
【0102】
流量0.5ml/分で、35℃で設定されたクロマトグラフでデータを取った。注入容積は100μlであった。実施時間は80分であった。上述の3つすべての検出器からのデータを組み込んで、データ処理を行った。光散乱検出器で8つの散乱角を用いた。カラム較正のための標準は、データ処理に含まれなかった。
【0103】
固有粘度による分子量
Viscotek(登録商標)Forced Flow Viscometer Model Y−501Cで検定標準としてT−3、Selar(登録商標)X250、Sorona(登録商標)64を使用して、Goodyear R−103B Equivalent IV法を用いて、固有粘度(IV)を決定した。塩化メチレン/トリフルオロ酢酸が溶媒担体であった。
【0104】
熱分析
ASTM D3418−08に準拠して行われる示差走査熱量測定(DSC)によって、ガラス転移温度(T
g)および融点(T
m)を決定した。
【0105】
1H−NMR分光法
5mm PFG
13C−
31P/{
1H,
19F}AutoXプローブを備えた500MHz Agilent DD2 NMR分光計を使用して、ポリマーの特徴付けを行った。1Hデータ収集の一般的な実験パラメーターは:25℃の試料、8スキャン、リサイクル遅延30秒、スペクトル幅12886Hzおよび収集時間2.5秒であった。1Hデータの一般的な処理パラメーターは:64Kポイントまでのゼロフィリングおよびフーリエ変換スペクトル前の0.3Hzの指数関数的倍増であった。テトラクロロエタン(tce−d2)を溶媒として使用した。
【0106】
広角X線散乱(WAXS)
CuK−α線(波長=1.5418)を生成するCurved Graphite Monochromatorを備えたPANalytical X’Pert MPD回折計でポリマーの特徴付けを行った。測定条件:発散スリット0.5度、散乱防止スリット(anti−scatter slit)0.5度および受信スリット0.3mm、および発生器設定45kV,40mA。反射配置においてデータを収集する。回析スキャン範囲は、2θ 4〜40度であり、ステップサイズ0.05度である。測定中、カウント時間5秒/工程で2秒/回転で試料を回転させる。WAXSによって回折パターンが形成され、それから結晶性が測定され、結晶化度(CI)として表される。CIは、XRDパターンにおける結晶質ピーク領域と非晶質領域の総面積に対する結晶質ピークの総面積のパーセンテージとして定義される。CIは、0(非晶質)〜100(完全な結晶質)の範囲であり得る。かかる手順によって計算される結晶化度によって結晶性の絶対値は得られないが、結晶性に比例する値が得られることに留意されたい。製造された状態のままの試料、または再結晶化された試料のいずれかから、周囲温度にてポリマーを試験した。
【0107】
材料
以下の実施例に使用される、1,3−プロパンジオール(BioPDO(商標))、および厚さ10ミルKapton(登録商標)ポリイミドフィルムが、DuPont Company(Wilmington,DE)から入手され、別段の指定がない限り、入手した状態のままで使用された。チタン(IV)イソプロポキシド(TPT)、チタン(IV)イソブトキシド(TBT)、トリメチルトリメリテート(TMTM)、およびポリ(テトラヒドロフラン)akaポリ(テトラメチレングリコール)aka PTMEG aka Terathane(登録商標)(1000D、または1400D)が、Aldric社から入手され、入手した状態のままで使用された。2,5−フランジメチルエステル(FDME)がAstaTech Inc.(Bristol,PA)から入手され、入手した状態のままで使用された。Irganox(登録商標)1019、およびIrganox(登録商標)1098が入手され、入手した状態のままで使用された。Plasthall(登録商標)809、ポリエチレングリコール(MW400g/モル)ビス(2−エチルヘキサノエート)が、HallStar(Chicago,IL)から入手され、入手した状態のままで使用された。Licomont(登録商標)NaV 101、モンタン酸ナトリウムは、Clariant(Charlotte,NC)から入手された。
【0108】
FDMEおよびBioPDO(商標)からのポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)(PTF)の製造
以下に示すポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)(PTF)のいくつかのバッチを実験室規模および大規模でも合成した。表1に、異なるバッチから得られるPTFの特性をまとめる。
【化4】
【0109】
対照A:FDMEおよびBioPDO(商標)からのPTFの製造(PTF−A)
ポリマー理論収量133gを得るために:Bio−PDO(93g,1.22モル)、FDME(125g,0.678モル)、およびIrganox−1010(0.26g)を予め乾燥させた500mL三つ口丸底フラスコに装入した。オーバーヘッドスターラーおよび蒸留凝縮器を取り付けた。50回転数/分(rpm)の速度で反応物を撹拌し、窒素(N
2)パージ雰囲気下に反応物を維持し、凝縮器を23℃で維持した。100トルまで排気し、N
2ガスで再び充填することによって、内容物を3回脱ガスした。最初の排気後に、Tyzor(登録商標)TPT触媒[78mgまたは82μL]を添加した。160℃に設定された、予熱された金属浴内にフラスコを沈め、20分間平衡化して、固体を溶融した。温度を180℃に上げ、60分間維持し、その後、温度を210℃に上げ、さらに60分間維持して、エステル交換およびメタノールの蒸留を完了した。窒素パージを閉じ、真空傾斜を開始し、約60分後に、真空が50〜60ミリトルの値に達した。温度を230℃に上げ、50〜180rpmで撹拌しながら、反応を真空下で3時間維持した。一定間隔をあけて、撹拌速度を180rpmに調節し、次いで撹拌機を止めた。撹拌機を再始動し、始動して約5秒後の適用されたトルクを測定した。真空を止める前に、オーバーヘッド撹拌機を停止し、反応容器の底から持ち上げ、システムをN
2ガスでパージした。ケトル反応器を離し、生成物をデカントし、窒素パージ下にて冷却した。収量約120g。
1H−NMR(TCE−d)δ:7.05(s,2H),4.40(m,4H),2.15(m,2H).
M
n(SEC)約19500D,PDI1.8.
【0110】
製造した状態のままのポリマーの0にて、115℃で6時間再結晶化されたポリマー試料19にて、WAXSからの結晶化度を測定した。
【0111】
対照B:FDMEおよびBioPDO(商標)からのPTFの製造(PTF−B)
ポリマー理論収量106gを得るために:オーバーヘッドスターラーおよび蒸留凝縮器を備えた、予め乾燥させた500mL三つ口丸底フラスコに、2,5−フランジメチルエステル(100g,0.54モル)およびBioPDO(商標)(74.4g,0.98モル)を装入した。23℃であったフラスコに、窒素パージを適用し、50rpmにて撹拌を開始してスラリーが形成した。撹拌しながら、フラスコを合計3サイクルの間、100トルまで排気し、次いでN
2ガスで再加圧した。最初の排気および再加圧後、DuPont社から市販のTyzor(登録商標)チタン(IV)イソプロポキシド63mgを添加した。
【0112】
排気および再加圧の3サイクル後、160℃に設定された、予熱された液体金属浴内にフラスコを沈めた。液体金属浴内にそれを置いた後20分間、フラスコの内容物を撹拌し、固体成分の溶融が起こり、その後、撹拌速度を180rpmまで上げ、液体金属浴設定ポイントを180℃に上げた。約20分後、浴はその温度に到達した。次いで、フラスコを180rpmで撹拌しながら、さらに120分間180℃に維持し、反応で形成されたメタノールの大部分を蒸留除去した。180℃での維持期間に続いて、窒素パージを停止し、撹拌を続けながら10秒毎に約−10トル刻みで真空を徐々に適用した。約60分後に、真空が50〜60ミリトルに達した。撹拌速度を50rpmに下げ、液体金属浴設定ポイントを230℃に上げた。約20分後、浴はその温度に達し、その条件を約3時間維持した。
【0113】
一定間隔をあけて、撹拌速度を180rpmに下げ、次いで撹拌機を停止した。撹拌機を再始動し、再始動して約5秒後の適用されたトルクを測定した。オーバーヘッドスターラーを反応容器の底から持ち上げ、次いで真空を止め、システムをN
2ガスでパージした。このように形成されたポリマー生成物を周囲温度に冷却し、ハンマーでグラスを注意深く割った後に生成物を回収した。収量約95g。
1H−NMR(TCE−d)δ:7.05(s,2H),4.40(m,4H),2.15(m,2H).
M
n(SEC)約10300D,PDI約2.0.IV約0.57dL/g.
【0114】
対照C:FDMEおよびBioPDO(商標)からのPTF(PTF−C)の大規模合成工程1:bioPDO(商標)およびFDMEの重縮合によるPTFプレポリマーの製造
撹拌棒、撹拌機および凝縮塔を備えた100ポンドのステンレス鋼撹拌反応器に、2,5−フランジメチルエステル(27000g)、1,3−プロパンジオール(20094g)、チタン(IV)ブトキシド(40.8g)を装入した。窒素パージを適用し、51rpmにて撹拌を開始してスラリーが形成された。撹拌しながら、反応器を弱い窒素パージにかけて、不活性雰囲気を維持した。オートクレーブを設定ポイント243℃に加熱し、メタノールの発生が、バッチ温度約158℃にて開始した。メタノールの蒸留は265分間続き、その間、バッチ温度は158℃から244℃へと上昇した。メタノールの蒸留が完了した後、真空傾斜を開始し、120分間に圧力が760トルから1トルへと下げられた。1トルの時には、混合物は真空下に置かれ、165分間撹拌され、撹拌速度の定期的な減少に加えて、最低圧力0.56トルに達し、その後に窒素を使用して、容器を760トルへと加圧した。
【0115】
形成されたポリマーは、容器の底の出口バルブを通して、急冷水浴内へと溶融物をポンプ注入することによって回収された。エアジェットを備えたペレタイザーに、このように形成されたストランドを通し、ポリマーを乾燥させて水分を含まないようにし、ポリマーストランドを切断してペレットを形成した。収量は約24710gであった。IV約0.63dL/g。
【0116】
9回を超える回数、この製造を繰り返した。
【0117】
工程2:工程1から得られた残余PTFポリマーの処理
工程1に記載の10通りの製造のそれぞれの結果として、一般に、ペレットへと変換されないか、またはペレットサイズの基準から外れる、残余PTFポリマー約3kgが生じた。この残余ポリマーは、ペレット、未切断ストランド、ペレット化プロセスおよび反応器からのポリマー溶融物の除去中に回収された固形ポリマーを含む。工程1の10通りの製造のそれぞれで回収された残余ポリマーを合わせ、より使用可能な形状の生成物へとさらにアップグレードした。固体部分を液体窒素で凍結し、ハンマーで小片へと破砕した。次いで、残余ポリマー全体をハンマーミルで凍結粉砕して、粉末とポリマー粒子の混合物を製造した。次いで、バレル温度230℃および質量処理量30ポンド/時で操作される30mm二軸スクリュー押出機(Coperion社製ZSK30 Coperion)を使用して、粉砕された残余ポリマーを溶融加工した。単口ダイを通して急冷水浴へと、ポリマー溶融物を押出し成形した。エアジェットを備えたペレタイザーに、このように形成されたストランドを通し、ポリマーを乾燥させて水分を含まないようにし、ポリマーストランドを切断してペレットを形成した。加工された残余ポリマーの収量は、ペレット約27100gであった。IV約0.63dL/g。
【0118】
SEC分析から、ポリエステルはM
n(SEC)13,120DaおよびPDI2.2を有することが分かった。
【0119】
【表1】
【0120】
実施例1:BioPDO(商標)、FDME、およびPTMEG(フラン−PTMEG)から製造されるコポリエステルからの合成および熱的性質
bioPDO、FDMEおよびPTMEGから、フラン−PTMEGソフトセグメントとPTFを含む、様々な量のフラン−PTMEGソフトセグメント有するコポリエステルを製造した。
【化5】
【0121】
実施例1.1 フラン−PTMEGソフトセグメント50重量%およびPTFハードセグメント50重量%を含むコポリエステル(フラン−PTMEG−1.1)の製造
ポリマー理論収量150gを得るために:BioPDO(59.8g,0.78モル)、FDME(72.5g,0.393モル)、PTMEG(77.3g,55.2ミリモル)、TMTM(115mg,0.45ミリモル)、Irganox(登録商標)1019(225mg)、およびIrganox(登録商標)1098(225mg)を、予め乾燥させた500mL三つ口丸底フラスコに装入した。オーバーヘッドスターラーおよび蒸留凝縮器を取り付けた。50回転数/分(rpm)の速度で反応物を撹拌し、窒素(N
2)パージ雰囲気下に反応物を維持し、凝縮器を23℃で維持した。100トルまで排気し、N
2ガスで再び充填することによって、内容物を3回脱ガスした。最初の排気後に、TBT触媒[0.3gまたは0.31mL]を添加した。160℃に設定された、予熱された金属浴内にフラスコを沈め、20分間平衡化して、固体を溶融した。温度を180℃に上げ、60分間維持し、その後、温度を210℃に上げ、さらに60分間維持して、エステル交換およびメタノールの蒸留を完了した。窒素パージを閉じ、真空傾斜を開始し、約60分後に、真空が50〜60ミリトルの値に達した。温度を230℃に上げ、50〜180rpmで撹拌しながら、反応を真空下で3時間維持した。一定間隔をあけて、撹拌速度を180rpmに調節し、次いで撹拌機を止めた。撹拌機を再始動し、始動して約5秒後の適用されたトルクを測定した。真空を止める前に、オーバーヘッド撹拌機を停止し、反応容器の底から持ち上げ、システムをN
2ガスでパージした。ケトル反応器を離し、生成物をデカントし、窒素パージ下にて冷却した。収量約126g。
1H−NMR(TCE−d)δ:7.05(s,2H),4.40(m,4H),3.35(m,4H),2.15(m,2H).
M
n(SEC)約12000D,PDI2.4.
【0122】
1H−NMR(TCE−d)分析から、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量(約3.35ppm)をPTFハードセグメント含有量(約7.15ppm)と比較することによって、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量は約54重量%(約56モル%)であると推定された。
【0123】
実施例1.2 フラン−PTMEGソフトセグメント25重量%およびPTFハードセグメント75重量%を含むコポリエステル(フラン−PTMEG−1.2)の製造
これらの量:BioPDO(商標)(87.2g,1.14モル)、FDME(105.6g,0.573モル)、PTMEG(37.6g,37.6ミリモル)、TMTM(162mg,0.63ミリモル)、Irganox(登録商標)1019(225mg)、およびIrganox(登録商標)1098(225mg)を使用したことを除いては、実施例1.1に記載の手順を用いて、コポリエステルを製造した。収量約106g。
1H−NMR(TCE−d)δ:7.05(s,2H),4.40(m,4H),3.35(m,4H),2.15(m,2H).
M
n(SEC)約15700D,PDI2.0.
【0124】
1H−NMR(TCE−d)分析から、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量(約3.35ppm)をPTFハードセグメント含有量(約7.15ppm)を比較することによって、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量は約26重量%(約28モル%)であると推定された。
【0125】
実施例1.3 フラン−PTMEGソフトセグメント5重量%およびPTFハードセグメント95重量%を含むコポリエステル(フラン−PTMEG−1.3)の製造
これらの量:BioPDO(商標)(110.6g,1.454モル)、FDME(133.8g,0.727モル)、PTMEG(7.51g,7.51ミリモル)、TMTM(162mg,0.63ミリモル)、Irganox(登録商標)1019(225mg)、およびIrganox(登録商標)1098(225mg)を使用したことを除いては、実施例1.1に記載の手順を用いて、コポリエステルを製造した。収量約110g。
1H−NMR(TCE−d)δ:7.05(s,2H),4.40(m,4H),3.35(m,4H),2.15(m,2H).
M
n(SEC)約20600D,PDI2.1.
【0126】
1H−NMR(TCE−d)分析から、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量(約3.35ppm)をPTFハードセグメント含有量(約7.15ppm)と比較することによって、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量は5.5重量%(約6.1モル%)であると推定された。
【0127】
実施例1.4 フラン−PTMEGソフトセグメント2.5重量%およびPTFハードセグメント97.5重量%を含むコポリエステル(フラン−PTMEG−1.4)の製造
これらの量:BioPDO(商標)(110.6g,1.454モル)、FDME(133.8g,0.727モル)、PTMEG(3.75g,3.75ミリモル)、TMTM(162mg,0.63ミリモル)、Irganox(登録商標)1019(225mg)、およびIrganox(登録商標)1098(225mg)を使用したことを除いては、実施例1.1に記載の手順を用いて、コポリエステルを製造した。収量約83g。
1H−NMR(TCE−d)δ:7.05(s,2H),4.40(m,4H),3.35(m,4H),2.15(m,2H).
M
n(SEC)約18800D,PDI2.2.
【0128】
1H−NMR(TCE−d)分析から、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量(約3.35ppm)をPTFハードセグメント含有量(約7.15ppm)と比較することによって、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量は2.4重量%(約2.7モル%)であると推定された。
【0129】
実施例1.5 フラン−PTMEGソフトセグメント1重量%およびPTFハードセグメント99重量%を含むコポリエステル(フラン−PTMEG−1.5)の製造
これらの量:BioPDO(商標)(110.6g,1.454モル)、FDME(133.8g,0.727モル)、PTMEG(1.5g,1.5ミリモル)、TMTM(162mg,0.63ミリモル)、Irganox(登録商標)1019(225mg)、およびIrganox(登録商標)1098(225mg)を使用したことを除いては、実施例1.1に記載の手順を用いて、コポリエステルを製造した。収量約82g。
1H−NMR(TCE−d)δ:7.05(s,2H),4.40(m,4H),3.35(m,4H),2.15(m,2H).
M
n(SEC)約18000D,PDI2.1.
【0130】
1H−NMR(TCE−d)分析から、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量(約3.35ppm)をPTFハードセグメント含有量(約7.15ppm)と比較することによって、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量は0.9重量%(約1.0モル%)であると推定された。
【0131】
WAXSからの結晶化度は、生成された状態のままのポリマーの0にて、かつ115℃で6時間再結晶化されたポリマー試料の31にて測定された。
【0132】
実施例1.6 フラン−PTMEGソフトセグメント0.5重量%およびPTFハードセグメント99.5重量%を含むコポリエステル(フラン−PTMEG−1.6)の製造
これらの量:BioPDO(商標)(110.6g,1.454モル)、FDME(133.8g,0.727モル)、PTMEG(0.6g,0.6ミリモル)を使用したことを除いては、実施例1.1に記載の手順を用いて、コポリエステルを製造した。収量約90g。
1H−NMR(TCE−d)δ:7.05(s,2H),4.40(m,4H),3.35(m,4H),2.15(m,2H).
M
n(SEC)約10000D,PDI2.08.
【0133】
1H−NMR(TCE−d)分析から、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量(約3.35ppm)をPTFハードセグメント含有量(約7.15ppm)と比較することによって、フラン−PTMEGソフトセグメント含有量は0.5重量%(約0.5モル%)であると推定された。
【0134】
熱的性質
実施例1.1〜1.6および対照Aの概要を以下の表2に示す。加熱速度10℃/分を用いて、加熱−冷却−加熱スキャン(−100〜200℃、200〜−100℃、−100〜200℃)からの第2加熱について、すべての転移を記録した。対照A、PTFと比較して、ガラスから再結晶化する(第2加熱スキャン)、フラン−PTMEGソフトセグメントを含むコポリエステルの能力の意外かつ顕著な差がある。
【0135】
【表2】
【0136】
10℃/分での加熱−冷却−加熱スキャン(−100〜200℃,200〜−100℃,−100〜200℃)。Tg
1,Tg
2:ガラス転移温度、T
cc:ガラスからの再結晶化、T
m:融解転移、ΔH
m:PTFハードセグメント含有率で正規化された融解エンタルピー。
【0137】
表2から、融解エンタルピーの劇的な増加、約175℃で1J/g未満から約38J/gへのΔH
mによって示されるように、フラン−PTMEGソフトセグメント1重量%(実施例1.6)など少量のフラン−PAEGソフトセグメントを含むコポリエステルに対して、ソフトセグメントを含有しないPTF(対照A)から継続中の結晶化度の増加があることが実証されている。
【0138】
実施例2:フラン−PTMEGソフトセグメント1重量%を含むコポリエステルからのフィルム(フィルム−フラン−PTMEG−1.5)の製造
上記で開示される実施例1.5から得られたフラン−PTMEGソフトセグメント1重量%を含むコポリエステル(フラン−PTMEG−1.5)は、加熱Pasadenaプレス(モデル番号:P−1250,Pasadena company)を使用して、厚さ0.15〜0.20ミリメートルのフィルムへとプレスされた。それぞれの試料で2枚のフィルムを作製した。基本手順に従って、厚さ0.25ミリメートルのKapton(登録商標)ポリイミドフィルムから製造される切断成形品から、正方形ポリマーフィルムを製造した。ポリマー試料およびKapton(登録商標)フィルムを、ガラス繊維強化Teflon(登録商標)の2枚のシートの間に置き、Pasadenaプレス内に置いた。それぞれの試料を275℃で8分間、圧力0にて予熱した。それを圧力5000psigに7分間さらした。指定の時間の後、プレートをプレスから取り出し、フィルムを氷浴内で急冷した。製造されたフィルムをTeflon(登録商標)シートから離し、DSCを用いてその熱的性質を測定した。以下の表3に、製造されたその2枚のコポリエステルフィルム、フィルム−フラン−PTMEG−1.5のDSCスキャン(第2加熱)からの結果をまとめる。
【0139】
対照:PTFフィルム(フィルム−PTF−A)の製造
実施例2に記載の手順と同様な手順を用いて、対照AのPTFポリマー(フィルム−PTF−A)から2枚のフィルムを製造した。表3に、その製造された2枚のPTFフィルムのDSCスキャン(第2加熱)からの結果をまとめる。
【0140】
【表3】
【0141】
10℃/分での加熱−冷却−加熱スキャン(−100〜200℃,200〜−100℃,−100〜200℃)。Tg
2:ガラス転移温度、T
cc:ガラスからの再結晶化、T
m:融解転移、ΔH
m:PTFハードセグメント含有率で正規化された融解エンタルピー。
【0142】
表3に示される結果から、加熱速度10℃/分で、PTFから形成されるフィルム(ΔH
m=0.2J/g)と比較して、かなり大きな再結晶化エンタルピー(50J/g)および融解エンタルピー(44J/g)によっても示されるように、フラン−PTMEGソフトセグメントを含むコポリエステル(実施例1.5)から形成されたフィルムの、ガラスから容易に結晶化する能力がはっきりと実証されている。
【0143】
実施例3:PTFおよび核剤を含む組成物の製造
対照BのPTFポリマーをサイズ1インチの片に切断し、それを液体窒素中に5〜10分間入れ、続いて6mmスクリーンを備えたWileyミルに装入した。それぞれの試料を約1000rpmにて粉砕し、最大寸法約1/8インチを特徴とする粗い粒子が形成された。このように形成された粒子を真空下で乾燥させ、周囲温度に温めた。
【0144】
このように製造された粒子を一晩、120℃にて真空オーブン内でわずかな窒素パージ下にて乾燥させた。モンタン酸ナトリウムを一晩真空下で乾燥させた。PTFとモンタン酸ナトリウム(1重量%)とのブレンドをDSMミクロ配合機で製造した。DSMシステムは、PC制御された15立方センチメートル(cc)、共回転、かみ合い(セルフワイピング)、2先端、円錐二軸スクリュー機であり、再循環ループ、排出バルブ、窒素パージシステム、および3つの異なる加熱域を有する。3つすべての加熱域に温度210℃を用いた。ポリマー溶融温度は、197〜198℃の範囲であった。窒素下にて、PTFおよび添加剤を装入し、速度100rpmにて、総混合時間5分の間、撹拌した。混合時間後、排出バルブを開け、周囲温度の水道水で急冷した後、押出しされた幅1/4インチのストランドを回収した。ストランドを真空下で乾燥させ、その結果生じた熱転移の概要を以下の表4に示す。
【0145】
【表4】
【0146】
10℃/分での加熱−冷却−加熱スキャン(−100〜200℃,200〜−100℃,−100〜200℃)。
*冷却速度1℃/分を用いて、PTFとモンタン酸ナトリウムのこのブレンドによって、溶融物からの再結晶化も実証された(T
cm)。測定されたT
cmは128℃であった。
【0147】
表4に示す結果から、ガラスおよび溶融物の両方からPTFを結晶化する、モンタン酸ナトリウムの意外な能力が実証されている。これは、ポリ(エチレンフランジカルボキシレート)(PEF)の結晶化抑制剤としてのモンタン酸ナトリウム0.5〜10重量%の使用に関する米国特許第7,906,572号明細書を考慮すると、意外かつ驚くべき結果である。それと対照的に、表4から、ポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)(PTF)に添加した場合に、モンタン酸ナトリウムは、PTFの核剤(結晶化プロモーター)として作用することが分かる。
【0148】
実施例4:PTFおよび核剤を含む組成物の製造
PTFおよび核剤を含む組成物を以下の実施例4.1に記載のように調製した。
【0149】
実施例4.1:PTFとモンタン酸ナトリウム1重量%を含む組成物の製造
対照Cで製造されるPTFポリマーを表5に示す成分と混合した。わずかに窒素を抜き取ることによって加減された水銀約25インチの真空下(約5インチまたは2.5psiの圧力読み取り値)にて、個々のガラス広口瓶内で真空オーブンで120℃にて一晩、予め計量した量のPTFポリマーペレットを乾燥させた。使用するまで、デシケーター内でDrierite(登録商標)上に広口瓶のカバーを保管した。乾燥ポリマーの広口瓶をオーブンから迅速に取り出し、Drierite(登録商標)乾燥剤が入っているフリクショントップ(friction−top)金属缶に保管した。
【0150】
タイプ6の混合ヘッドおよび一対の二重反転ステンレスローラーブレードを備えたBrabender PlastiCorder(登録商標)Model PL2000ミキサー(C.W.Brabender(登録商標)Instruments,Inc.,South Hackensack,NJ07606)を温度200℃に予熱した。モーターのオーバートルクおよび停止を防ぐのに十分に遅い速度で、混合ヘッドの頂上に位置するラムを通じて送達される窒素ブランケット下にて、ミキサーにPTF50.0gを添加した。ラムを通じて送達される窒素ブランケット下にて、予め計量された量のモンタン酸ナトリウム(0.5g)を添加し、材料を200℃にて75rpmで10分間混合し、実施例4.1のPTF組成物を得た。
【0151】
混合時間の最後に、ローラーブレードの回転を逆回転することによって、溶融PTF組成物を混合ヘッドの上部開口部から押出し、回転が停止するとすぐに取り出した。Brabender PlastiCorder(登録商標)ミキサーから除去すると、まだ溶融状態である間にできる限り平らに材料をプレスした。この部分を分析試験にかけた。混合ヘッドが分解されるとすぐに、溶融材料の他の部分を回収した。この部分は分析しなかった。迅速に除去することができなかったポリマーの残りは廃棄した。
【0152】
PTFの少量部分をDSCによって分析し、その結果を表5にまとめる。表5において報告されるすべての転移は、加熱および冷却速度10℃/分を用いて、加熱−冷却−加熱スキャン(−80〜230℃,230〜−80℃,−80〜230℃)からの第1冷却スキャンおよび第2加熱スキャンについて報告された。
【0153】
実施例4.2:PTFおよびモンタン酸ナトリウム2.4重量%を含む組成物の製造
異なる量のモンタン酸ナトリウム(1.25g)を対照CのPTF(50.0g)に添加したことを除いては、実施例4.1に記載の手順と同様な手順を用いて、PTFと核剤(モンタン酸ナトリウム)を含む組成物を製造した。表5に、その組成物とDSC分析からの結果をまとめる。
【0154】
実施例5:PTFおよび可塑剤を含む組成物の製造
モンタン酸ナトリウムの代わりに、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(5.0g)を対照CのPTF(45.0g)に添加したことを除いては、実施例4.1および4.2に記載の手順と同様な手順を用いて、PTFと可塑剤を含む組成物を製造した。表5に、その組成物とDSC分析からの結果をまとめる。
【0155】
実施例6:PTF、核剤、および可塑剤を含む組成物の製造
モンタン酸ナトリウム(1.25g)に加えて、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(2.5g)を対照CのPTF(47.5g)に添加したことを除いては、実施例4.1および4.2に記載の手順と同様な手順を用いて、PTF、核剤(モンタン酸ナトリウム)および可塑剤(ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)を含む組成物を製造した。表5に、その組成物とDSC分析からの結果をまとめる。
【0156】
対照D:核剤または可塑剤を含まない処理されたPTF
PTF(50.0g)のみを使用し、添加剤(モンタン酸ナトリウムまたはポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)を添加しないことを除いては、実施例4.1および4.2に記載の手順と同様な手順を用いて、処理されたPTF、対照Dを製造した。表5に、DSC分析からの結果をまとめる。
【0157】
【表5】
【0158】
10℃/分での加熱−冷却−加熱スキャン(−80〜230℃,230〜−80℃,−80〜230℃)。Tg:ガラス転移温度、T
cc:ガラスからの再結晶化、T
m:融解転移、ΔH
m:PTFハードセグメント含有量で正規化された融解エンタルピー。
【0159】
表5から、処理されたPTF(対照D)は結晶化するのは難しいが、実施例4.1〜6と同様にPTFに核剤または可塑剤を添加することによって、ガラス転移温度を超える温度に加熱した場合に、第2加熱で意外かつ顕著な、結晶化する能力を示す組成物が得られることが分かる。この結晶化は、冷結晶化温度(T
cc)にて起こり、冷結晶化の大きさは、冷結晶化の熱(ΔH
cc)によって得られる。この結晶化によって、材料に結晶性が付与され、その物理的性質が向上する。結晶性の増加は、約165℃でのこれらの材料の融解エンタルピー(ΔH
m)の増加によって示される。融点が近付くにつれて、融解エンタルピーが高い材料ほど、結晶性が高くなる。実施例は、ΔH
ccによって測定される、冷結晶化中に生じる結晶化の程度の望ましい増加、およびΔH
mによって測定される融点での、もしくは融点付近での結晶化度の望ましい増加を示す。実施例4.1および4.2から分かるように、結晶化度は、核剤の量を1重量%から2.4重量%に増加することによって高めることができる。上記で開示されるように、モンタン酸ナトリウムが、ポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)の核剤(結晶化プロモーター)として作用している、上記の表5に示す作用と逆である、ポリ(エチレンフランジカルボキシレート)に対して結晶化抑制剤としてモンタン酸ナトリウム0.5〜10重量%の使用を教示している米国特許第7,906,572号明細書を考慮すると、これらの結果は、意外かつ驚くべき結果である。
【0160】
さらに実施例5および6から、PTFおよび可塑剤を含む組成物は結晶性を示すが、かかる組成物の結晶性は、実施例6と同様に核剤を添加することによってさらに高めることができることが分かる。添加剤の総量が、実施例5(10重量%)と比較して実施例6では少なく(7.3重量%)、実施例6は実施例5と比較して高いΔH
ccおよびΔH
mを有し、それによって、PTF中の核剤および可塑剤の存在の相乗効果が示されることにさらに留意されたい。
【0161】
実施例7:フラン−PTMEGソフトセグメント13.4重量%およびPTFハードセグメント86.6重量%を含むコポリエステルの製造
7A、7B、および7Cと示される3つのバッチで、フラン−PTMEGソフトセグメント13.4重量%およびPTFハードセグメント86.6重量%を含むコポリエステルを製造した。凝縮器およびオーバーヘッド高トルク撹拌機(Eurostar Power Control IKA−WERKE)を備えた300mLケトルフラスコに、表6に示す量のBioPDO(商標)、PTMEG(1000D)、およびFDMEを装入した。フラスコおよび内容物を排気し、窒素で充填した。表4に示す量のTyzor(登録商標)TPT触媒を添加し、フラスコを再び排気し、窒素で3回充填した。内容物を撹拌した。160℃に設定された予熱されたスズ−ビスマス金属にフラスコを沈め、5〜15分間平衡化して、固体を溶融した。
【0162】
温度を180℃に上げ、80〜85分間維持し、その後温度を210℃に上げ、さらに100〜135分間維持して、エステル交換およびメタノールの蒸留を完了した。反応時間の165〜185分後に、真空傾斜を開始した。さらに30〜40分後に、真空が、30トルのバルブに達した。この時点で、温度を235℃に上げ、反応継続中、その温度で維持した。真空傾斜が開始してから約45〜95後に真空が150ミリトルの値に達し、さらに10〜30分で100ミリトルに達した。最高温度235℃で約215〜220分を有する合計425〜445分後に、真空および加熱を停止した。それぞれのバッチの回収コポリエステルの収率が表6に記録される。
【0163】
ポリマーを直径約1インチの小片に破砕し、液体窒素中で冷却し、Wiley Millで粉砕した。回収されたポリマーは表6に記録される。各粉砕バッチから、分析用に1.5g取り出した。溶媒中で溶解することによって、3つのバッチの等量を混合し、SECによって分析した。SEC分析から、混合物がM
n(SEC)6900DおよびPDI2.4を有することが示された。
【0164】
バッチ7A、7B、および7Cの粉砕片を共に合わせ、混転して混合し、全重量355.0gを得た。3つのバッチのこの混合物は実施例7のコポリエステルと呼ばれ、PTF、核剤および/または可塑剤を有するコポリエステルの組成物の調製に使用された。
【0165】
【表6】
【0166】
実施例8:実施例7のコポリエステルと可塑剤を含む組成物の製造
実施例4にPTFポリマーの乾燥について記述されるように、実施例7のコポリエステルの一部をガラス広口瓶内で一晩乾燥させた。実施例4に記載の手順と同様の手順を用いて、実施例7のコポリエステルの溶融物(47.5g)にポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(2.5g)を添加することによって組成物を製造した。
【0167】
少量部分の組成物をDSCによって分析し、その結果を表7にまとめる。報告されるすべての転移は、加熱および冷却速度10℃/分を用いた、加熱−冷却−加熱スキャン(−80〜230℃,230〜−80℃,−80〜230℃)からの第1冷却スキャンおよび第2加熱スキャンで記録された。
【0168】
実施例9:実施例7のコポリエステル、核剤および可塑剤を含む組成物の製造
実施例4および8に記載の手順と同様な手順を用いて、実施例7のコポリエステル(47.5g)を含む溶融物に、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(2.50g)に加えてモンタン酸ナトリウム(1.25g)を添加することによって組成物を製造した。実施例8に記載の手順を用いて、少量部分の組成物をDSCによって分析し、その結果を表7にまとめる。
【0169】
実施例10:実施例7のコポリエステルおよび対照CのPTFを含む組成物の製造
実施例4〜6においてPTFポリマーの乾燥について記述されるように、実施例7のコポリエステルの一部と対照Cで製造されたPTFポリマーの一部を別々に、ガラス広口瓶内で一晩乾燥させた。実施例4に記載の手順と同様な手順を用いて、予熱ミキサーに最初にPTFをゆっくりと添加し、次いでコポリエステルを添加することによって、対照CのPTF20.0gおよび実施例7のコポリエステル30.0gを含む組成物を製造した。実施例8に記載の手順を用いて、少量部分の組成物をDSCによって分析し、その結果を表7にまとめる。
【0170】
実施例11:実施例7のコポリエステル、PTFおよび核剤を含む組成物の製造
実施例4および8に記載の手順と同様な手順を用いて、対照CのPTF(20.0g)および実施例7のコポリエステル(30.0g)を含む溶融物に、モンタン酸ナトリウム(1.25g)を添加することによって組成物を製造した。実施例8に記載の手順を用いて、少量部分の組成物をDSCによって分析し、その結果を表7にまとめる。
【0171】
実施例12:実施例7のコポリエステル、PTFおよび可塑剤を含む組成物の製造
実施例4および8に記載の手順と同様な手順を用いて、対照CのPTF(19.5g)および実施例7のコポリエステル(27.5g)を含む溶融物に、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(3.0g)を添加することによって組成物を製造した。実施例8に記載の手順を用いて、少量部分の組成物をDSCによって分析し、その結果を表7にまとめる。
【0172】
実施例13:実施例7のコポリエステル、PTF、核剤および可塑剤を含む組成物の製造
実施例4および8に記載の手順と同様な手順を用いて、対照CのPTF(19.5g)および実施例7のコポリエステル(27.5g)を含む溶融物に、モンタン酸ナトリウム(1.25g)、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(3.00g)を逐次添加することによって組成物を製造した。実施例8に記載の手順を用いて、少量部分の組成物をDSCによって分析し、その結果を表7にまとめる。
【0173】
【表7】
【0174】
10℃/分での加熱−冷却−加熱スキャン(−80〜230℃,230〜−80℃,−80〜230℃)。Tg:ガラス転移温度、T
cc:ガラスからの再結晶化、T
m:融解転移、ΔH
m:PTFハードセグメント含有量で正規化された融解エンタルピー。
【0175】
表7にまとめられた実施例8〜13から、フラン−PTMEGソフトセグメントを含むコポリエステルの組成物は、ガラス転移温度を超える温度に加熱した場合に、第2加熱スキャンで結晶化する能力を示すことが分かる。
【0176】
さらに、実施例9は、冷却スキャン中に溶融物から結晶化する能力を示すことによって、より意外かつ顕著な結果を示す。これは、射出成形中のポリマーに特に価値ある特性である。溶融物からのこの結晶化は、結晶化温度(T
cm)で起こり、結晶化の大きさは結晶化熱(ΔH
cm)によって示される。ΔH
cm(36J/g)によって測定される、溶融物から結晶化する間に達成される結晶化度は、ΔH
m(43J/g)によって測定される、融点または融点付近で測定される結晶化度とほぼ同じ大きさであることはさらに注目すべきである。したがって、核剤および可塑剤とブレンドした場合に、フラン−PTMEGソフトセグメントとPTFハードセグメントを含むコポリエステルは、溶融物から冷却された際に、その最大結晶化度に達することができる。
この結果から、ガラスおよび溶融物の両方からPTFを結晶化する、モンタン酸ナトリウムの能力が実証されている。
【0177】
以上、本発明を要約すると下記のとおりである。
1.a)ポリトリメチレン−2,5−フランジカルボキシレート(PTF)90〜99.9重量%;
b)核剤としての中和カルボン酸塩またはリン酸三ナトリウム0.1〜10重量%;
を含む組成物であって、
前記量が前記組成物の全重量に対するものである、組成物。
2.シート、フィルムまたは成形品の形をとる、上記1に記載の組成物を含む物品。
3.a)ポリ(トリメチレン−2,5−フランジカルボキシレート)80〜99重量%;
b)次式:
A−O−[CHX−(CH
2)
k−O]
j−B
(式中、kは、1〜3の整数であり、
jは、4〜25の整数であり、
AおよびBはそれぞれ独立して、アルキル基、アシル基、またはアロイル基から選択さ
れ、それぞれの基が炭素原子1〜10個を含有し、
Xは、H、CH
3またはC
2H
5である)の可塑剤1〜20重量%;
を含む組成物であって、
前記量が前記組成物の全重量に対するものである、組成物。
4.核剤として中和カルボン酸塩またはリン酸三ナトリウムを0.1〜10重量%さらに含む組成物であって、前記量が前記組成物の全重量に対するものである、上記3に記載の組成物。
5.シート、フィルムまたは成形品の形をとる、上記3に記載の組成物を含む物品。
6.a)i.少なくとも1つのポリ(アルキレンエーテル)グリコール(PAEG)およびフラン2,5−ジカルボン酸またはその機能的等価物から誘導されるフラン−PAEGソフトセグメントであって、前記ポリ(アルキレンエーテル)グリコールが、未置換およびメチル置換C2〜C10脂肪族反復単位を含む、フラン−PAEGソフトセグメントと、
ii.1,3プロパンジオールおよびフラン2,5−ジカルボン酸またはその機能的等価物から誘導されるポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)ハードセグメントと、
を含むコポリエステル5〜99重量%;
b)以下の:
i.ポリ(トリメチレン−2,5−フランジカルボキシレート)20〜99重量%、
ii.核剤としての中和カルボン酸塩またはリン酸三ナトリウム0.1〜10重量%、
iii.次式:
A−O−[CHX−(CH
2)
k−O]
j−B
(式中、kは、1〜3の整数であり、
jは、4〜25の整数であり、
AおよびBはそれぞれ独立して、アルキル基、アシル基、またはアロイル基から選択され、それぞれの基が炭素原子1〜10個を含有し、
Xは、H、CH
3またはC
2H
5である)を有する可塑剤0.1〜20重量%、
のうちの1つまたは複数;
を含む組成物であって、重量%で示される前記量が、前記組成物の全重量に対するものである、組成物。
7.前記コポリエステルが、フラン−PAEGソフトセグメント1.5〜45重量%を含む、上記6に記載の組成物。
8.前記ポリ(アルキレンエーテル)グリコールが、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(ポリテトラヒドロフラン)、ポリ(ペンタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘプタメチレンエーテル)グリコール、およびポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される、上記6に記載の組成物。
9.前記コポリエステルが、2,5フランジカルボン酸、1,3プロパンジオールおよびポリトリメチレンエーテルグリコール(PTMEG)から誘導され、前記コポリエステルが、一般構造:
【化6】
(式中、n=50〜99.5重量%であり;r=0.5〜50重量%であり;かつm=rに対して45〜97重量%である)
を有する、上記6に記載の組成物。
10.シート、フィルムまたは成形品の形をとる、上記6に記載の組成物を含む物品。
11.少なくとも200℃の温度で溶融混合することによって、ポリ(アルキレンエーテル)グリコール(PAEG)をポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)とブレンドし、かつ反応させることを含む、ポリ(トリメチレン−2,5−フランジカルボキシレート)(PTF)ベースのポリマーにおける結晶化率を高める方法であって、その結果得られる前記PTFベースのポリマーが、フラン−PTMEGソフトセグメントとPTFハードセグメントを含むコポリエステルである、方法。
12.ポリ(トリメチレン−2,5−フランジカルボキシレート)(PTF)ベースのポリマーにおける結晶化率を高める方法であって、以下の:
a)PTFとポリ(アルキレンエーテル)グリコール(PAEG)とのコポリエステルであって、フラン−PAEGソフトセグメントとPTFハードセグメントを含むコポリエステル;
b)中和カルボン酸塩またはリン酸三ナトリウム;
c)次式:
A−O−[CHX−(CH
2)
k−O]
j−B
(式中、kは、1〜3の整数であり、
jは、4〜25の整数であり、
AおよびBはそれぞれ独立して、それぞれの基が炭素原子1〜10個を含有する、アルキル基、アシル基、またはアロイル基であり、
Xは、H、CH
3またはC
2H
5である)
の可塑剤;
のうちの1つまたは複数を前記PTFベースのポリマーに添加することを含む、方法。