【文献】
HOSKINS R. A. et al.,Database GenBank [online], Accession No.FI342570,<http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nucgss/FI342570>,2009年 1月15日,CH322-41D21.yCHORI-322 Drosophila melanogaster genomic clone CH322-41D21, genomic survey sequence
【文献】
HOSKINS R. A. et al.,Database GenBank [online], Accession No.FI463486,<http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nucgss/FI463486>,2009年 1月15日,CH322-41D21.yCHORI-322 Drosophila melanogaster genomic clone CH322-41D21, genomic survey sequence
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
前述の一般的な記述および以下の詳細な説明はともに、例示的で説明的であるだけであり、本教示の範囲を限定するように意図されていないことが理解されるべきである。本願では、単数形の使用は、別段に特に明言されていない限り、複数形を含む。また、「含む(comprise)」、「含有する」、および「含む(include)」、またはこれらの語根の修飾、例えば、それだけに限らないが、「含む(comprises)」、「含有した」、および「含む(including)」の使用は、限定的であるように意図されていない。「または」の使用は、別段に明言されていない限り、「および/または」を意味する。用語「および/または」は、前後の用語が、一緒に、または別個に採用され得ることを意味する。限定としてではなく、例示の目的で、「Xおよび/またはY」は、「X」もしくは「Y」、または「XおよびY」を意味し得る。
【0016】
値の範囲が本明細書に提供されているときはいつでも、その範囲は、別段に特に明言されていない限り、開始値および終了値、ならびにその間の任意の値または値の範囲を含むことを意味する。例えば、「0.2〜0.5」は、0.2、0.3、0.4、0.5;その間の範囲、例えば、0.2〜0.3、0.3〜0.4、0.2〜0.4など;その間の増分、例えば、0.25、0.35、0.225、0.335、0.49など;0.26〜0.39などのその間の増分範囲などを意味する。
【0017】
本明細書に使用される節の表題は、編成の目的のみであり、記載される主題を限定するものとして決して解釈されるべきでない。それだけに限らないが、特許、特許出願、記事、書籍、論文、およびインターネットウェブページを含めた、本願で引用されるすべての文献および同様の資料は、このような文献および同様の資料の形式にかかわらず、任意の目的に関してこれらの全体が参照により明白に組み込まれている。組み込まれた文献および同様の資料の1つまたは複数が、ある用語を、本願におけるその用語の定義と矛盾する様式で定義または使用する場合には、本願が支配する。本教示を、様々な実施形態と併せて記載するが、本教示がこのような実施形態に限定されることは意図されていない。反対に、本教示は、当業者が理解することになる様々な代替案、改変、および均等物を包含する。
【0018】
本開示の様々な実施形態により、核酸検査(NAT)アッセイで使用するための組成物、およびキット、ならびにこれらを使用する方法が記載されている。したがって、いくつかの実施形態は、NATアッセイ、例えば、増幅アッセイで使用するための核酸配列を提供する。任意の核酸配列について、逆相補鎖を容易に得ることができ、1つの核酸配列の開示は、その配列の逆相補鎖も開示することを、当業者は理解するであろう。本明細書に開示の核酸配列の部分配列を容易に得ることができることを、当業者は理解するであろう。
【0019】
本明細書に提供される核酸は、様々な形態であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、核酸は、溶液、例えば、緩衝液中に溶解されている(単独で、または様々な他の核酸と組み合わせて)。いくつかの実施形態では、核酸は、塩として、単独で、または他の単離核酸と組み合わせて提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、再構成され得る凍結乾燥形態で提供される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示の単離核酸は、単独の凍結乾燥ペレットで、または他の単離核酸を含む凍結乾燥ペレットで提供することができる。いくつかの実施形態では、核酸は、固体物質、例えば、ビーズ、膜などに付けられて提供される。いくつかの実施形態では、核酸は、宿主細胞、例えば、プラスミドを担持する細胞系統、または安定に組み込まれた配列を担持する細胞系統内で提供される。
【0020】
対照配列
本明細書に開示のいくつかの実施形態は、NATアッセイ用の対照核酸配列を提供する。いくつかの実施形態では、対照配列は、検査試料と並行してプロセシングされる外部対照または標準物質として使用することができる。いくつかの実施形態では、対照配列は、内部対照として使用することができ、プロセシングの前に検査試料と組み合わされる。
【0021】
用語「核酸」は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含有する)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含有する)、およびプリン塩基またはピリミジン塩基のN−またはC−グリコシドであるポリヌクレオチドの任意の他のタイプ、ならびに非ヌクレオチド骨格を含有する他のポリマー、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸(PNA))、およびポリモルホリノ(NEUGENE(商標)ポリマーとしてAnti−Virals,Inc.、Corvallis、Oreg.から市販されている)、ならびに他の合成配列特異的核酸ポリマーを包含し、ただし、ポリマーは、DNAおよびRNA中に見つかるものなどの塩基対合および塩基スタッキングを可能にする構成で核酸塩基を含有することを、当業者は理解するであろう。
【0022】
用語ヌクレオチドならびにポリヌクレオチドは、例えば、3’−デオキシ−2’,5’−DNA、オリゴデオキシリボヌクレオチドN3’→P5’ホスホラミデート、2’−O−アルキル置換RNA、二本鎖DNAおよび一本鎖DNA、ならびに二本鎖RNAおよび一本鎖RNA、DNA:RNAハイブリッド、ならびにPNAとDNAまたはRNAとの間のハイブリッドを含む。この用語は、公知のタイプの修飾、例えば、当技術分野で公知である標識、メチル化、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1つまたは複数の類似体との置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電連結(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホラミデート、カルバメートなど)、負に帯電した連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、および正に帯電した連結(例えば、アミノアルキルホスホラミデート、アミノアルキルホスホトリエステル)を有するもの、例えば、タンパク質(ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシンなどを含む)などのペンダント部分を含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結を有するもの(例えば、アルファアノマー核酸など)など、およびポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの無修飾形態も含む。
【0023】
本明細書において、用語「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」は、公知のプリン塩基およびピリミジン塩基だけでなく、修飾された他の複素環塩基も含有する部分を含むことになることが理解されるであろう。このような修飾としては、メチル化されたプリンもしくはピリミジン、アシル化されたプリンもしくはピリミジン、または他の複素環がある。修飾されたヌクレオシドまたはヌクレオチドは、糖部分上の修飾も含むことになり、例えば、水酸基の1つまたは複数は、ハロゲン、脂肪族基で置き換えられており、またはエーテル、アミンなどとして官能化されている。ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドへの他の修飾は、それぞれの相補的なピリミジンまたはプリン、例えば、イソグアニン、イソシステインなどへの水素結合を形成するプリン塩基もしくはピリミジン塩基上の官能基の再配置、付加、置換、またはさもなければ変更を伴う。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドおよび/またはプローブは、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つの修飾ヌクレオチドを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の核酸は、1つまたは複数のユニバーサル塩基を含む。本明細書において、用語「ユニバーサル塩基」は、A、T、C、およびGから選択される1つを超えるヌクレオチドにハイブリダイズし得るヌクレオチド類似体を指す。いくつかの実施形態では、ユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、3−ニトロピロール、4−ニトロインドール、6−ニトロインドール、5−ニトロインドールからなる群から選択することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の対照核酸配列は、核酸増幅反応の鋳型である標的対照配列(「TCS」)である。本明細書に開示のTCSの部分配列を、本明細書に開示のTCSの全体を増幅することができるように、本明細書でさらに詳細に論じられるPCRまたは他の増幅法によって増幅することができることを、当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、TCSは、マルチプレックスアッセイの対照として提供され、このアッセイでは、既知量のTCS、および定量化される少なくとも1つの標的核酸がそれぞれ、同じ反応混合物中で増幅される。いくつかの実施形態では、既知量のTCSは、第1の反応混合物中で増幅され、一方、定量化される標的核酸は、第2の反応混合物中で増幅される。
【0026】
いくつかの実施形態では、TCSは、配列番号1の配列、またはそのバリアントからなり、それから本質的になり、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、TCSは、ベクター、例えば、プラスミド内に提供される。したがって、いくつかの実施形態は、プラスミド内に配列番号1からなり、それから本質的になり、またはそれを含むポリヌクレオチド配列、例えば、配列番号8からなり、それから本質的になり、またはそれを含む配列を提供する。TCSがプラスミドで提供される実施形態では、プラスミドは、直線化されている場合があり、または代わりに、プラスミドは、非直線化されている場合がある(例えば、スーパーコイル形態またはほどかれた環状形態で)。いくつかの実施形態では、鋳型配列は、配列番号9、10、11、12、もしくは13の配列、またはこれらのバリアントのうちの少なくとも1つを含むポリヌクレオチドを含む。本明細書に開示の配列の「バリアント」を以下で論じる。
【0027】
いくつかの実施形態では、TCSは、Drosophila属、例えば、Drosophila melanogaster、Drosophila simulans、Drosophila sechellia、Drosophila yakuba、Drosophila erecta、Drosophila ficusphila、Drosophila eugracilis、Drosophila biarmipes、Drosophila takahashii、Drosophila elegans、Drosophila rhopaloa、Drosophila kikkawai、Drosophila ananassae、Drosophila bipectinata、Drosophila pseudoobscura、Drosophila persimilis、またはDrosophila willistoniの生物のゲノムDNA、またはゲノム断片、またはこれらの修飾に由来する単離ポリヌクレオチドを含む。好ましくは、TCS配列は、配列番号1または配列番号14を含み、それからなり、またはそれから本質的になる。例えば、配列番号14は一般に、Drosophila melanogasterのゲノム中に見つかる配列(GenBank:AC246436;ヌクレオチド35779〜35978)に対応し、配列番号1は、配列番号14への修飾を含み、すなわち、配列番号14の93位の「C残基」は、配列番号1の同じ位置で「T」に変更されていた。この修飾は、配列番号8のプラスミド内にも見つかり、
図2で菱形の記号で注記されている。
【0028】
オリゴヌクレオチド
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド、例えば、プライマーおよび/またはプローブが提供される。本明細書において、用語「プライマー」および「プローブ」は、それだけに限らないが、オリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、本明細書に開示のオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、長さが8から45ヌクレオチドの間であり得る。例えば、プライマーおよび/またはプローブは、長さが少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、またはそれ以上のヌクレオチドであり得る。プライマーおよび/またはプローブは、例えば、固体支持体に結合したもの、液体、および凍結乾燥したものを含めた、任意の適当な形態で提供され得る。本明細書に開示のプライマー配列およびプローブ配列は、5’もしくは3’末端、または両方で追加のヌクレオチドを含有するように修飾することができる。しかし、増幅プライマー(必ずしもプローブではない)の3’末端への追加の塩基は、一般に、鋳型配列と相補的であることを、当業者は理解するであろう。本明細書に開示のプライマー配列およびプローブ配列は、5’末端または3’末端でヌクレオチドを除去するように修飾することもできる。増幅のために機能するために、プライマーまたはプローブは、本明細書に開示される最小限の長さおよびアニーリング温度のものとなることを、当業者は理解するであろう。
【0029】
オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、融解温度(T
m)未満の温度であるアニーリング温度でこれらの標的に結合することができる。本明細書において、「T
m」および「融解温度」は、二本鎖ポリヌクレオチド分子の集団の50%が解離して一本鎖になる温度を指す互換性の用語である。ポリヌクレオチドのT
mを計算するための式は、当技術分野で周知である。例えば、T
mは、以下の式、すなわち、T
m=69.3+0.41×(G+C)%−6−50/Lによって計算することができ、式中、Lは、ヌクレオチド中のプローブの長さである。ハイブリッドポリヌクレオチドのT
mも、1Mの塩中のハイブリダイゼーションアッセイから採用され、PCRプライマーのT
mを計算するのに一般に使用される式、すなわち、[(A+Tの数)×2℃+(G+Cの数)×4℃]を使用して推定することができる。例えば、C.R.Newtonら、PCR、2版、Springer−Verlag(New York:1997)、24頁を参照。T
mを計算するために構造特性および配列特性を考慮に入れる他のより洗練された計算が当技術分野で存在する。オリゴヌクレオチドの融解温度は、オリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブと結合配列との間の相補性、および塩条件に依存し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブは、50mMのKCl、10mMのTris−HCl緩衝液中で約90℃未満、例えば、列挙される値の任意の2つの間の範囲を含めた、約89℃、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39℃、またはそれ未満のT
mを有する。以下でさらに詳細に論じるように、いくつかの実施形態では、本明細書に開示のプライマーは、例えば、順方向プライマーおよび逆方向プライマーを含む増幅プライマー対として提供される。好ましくは、順方向プライマーおよび逆方向プライマーは、10℃超異ならない、例えば、10℃未満、9℃未満、8℃未満、7℃未満、6℃未満、5℃未満、4℃未満、3℃未満、2℃未満、または1℃未満異なるT
mを有する。
【0030】
プライマー配列およびプローブ配列は、オリゴヌクレオチド配列内にヌクレオチド置換(標的配列と比べて)を有することによって修飾することができ、ただし、オリゴヌクレオチドは、標的核酸配列に特異的にハイブリダイズするのに十分な相補性を含有する。このようにして、少なくとも1、2、3、4、または最大約5個のヌクレオチドが置換され得る。本明細書において、用語「相補的」は、2つのポリヌクレオチド鎖の領域間、または同じポリヌクレオチド鎖の2つの領域間の配列相補性を指す。2つの領域が逆平行様式で配置されるとき、第1の領域の少なくとも1つのヌクレオチドが第2の領域の塩基と塩基対合することができる場合、ポリヌクレオチドの第1の領域は、同じまたは異なるポリヌクレオチドの第2の領域と相補的である。したがって、2つの相補的なポリヌクレオチドがすべてのヌクレオチド位置で塩基対形成することは要求されない。「完全に相補的」は、第2のポリヌクレオチドと100%、または「完全に」相補的である第1のポリヌクレオチドを指し、したがって、すべてのヌクレオチド位置で塩基対を形成する。「部分的に相補的」はまた、100%相補的でなく(例えば、90%、または80%、または70%相補的)、1つまたは複数のヌクレオチド位置でミスマッチしたヌクレオチドを含有する第1のポリヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ユニバーサル塩基を含む。
【0031】
本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的な(部分的に相補的を含む)ポリヌクレオチド鎖の対形成を参照して使用される。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、ポリヌクレオチド鎖同士間の会合の強度)は、ポリヌクレオチド同士間の相補性の程度や、塩の濃度、形成されるハイブリッドの融解温度、他のコンポーネントの存在(例えば、ポリエチレングリコールの存在または非存在)、ハイブリダイジング鎖のモル濃度、およびポリヌクレオチド鎖のG:C含量などの条件によって影響される、関与する条件のストリンジェンシーを含めた、当技術部分野で周知の多くの要因によってインパクトを受ける。いくつかの実施形態では、プライマーは、セット内の1つのプライマーのT
mがセット内の他のプライマーのT
mの2℃以内であるように設計される。核酸のハイブリダイゼーションへの広範なガイドは、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes、I部、2章(Elsevier、New York);およびAusubelら編、(1995)Current Protocols in Molecular Biology、2章(Greene Publishing and Wiley−Interscience、New York)に見つかる。Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York)を参照。本明細書でさらに論じるように、用語「特異的なハイブリダイゼーション」または「特異的にハイブリダイズする」は、核酸増幅に一般に使用される条件下で、無関係な配列に対してではなく、標的配列、例えば、試料中の定量化される配列、陽性対照標的核酸配列などに対するポリヌクレオチド、例えば、オリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブなどのハイブリダイゼーションを指す。
【0032】
いくつかの実施形態では、プライマーおよび/またはプローブは、オリゴヌクレオチド配列の全長にわたって標的核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む。このような配列は、互いに対して「完全に相補的」と呼ぶことができる。オリゴヌクレオチドが本明細書の核酸配列に対して「実質的に相補的」と呼ばれる場合、2つの配列は、完全に相補的であり得、またはこれらは、ハイブリダイゼーションの際にミスマッチを形成するが、以下に論じるストリンジェントな条件または標準的なPCR条件下でハイブリダイズする能力を保持する場合がある。本明細書において、用語「実質的に相補的」は、2つの核酸、例えば、オリゴヌクレオチドの相補性領域と標的配列との間の相補性を指す。相補性は、完全である必要はなく、2つの核酸間に任意の数の塩基対ミスマッチが存在し得る。しかし、ミスマッチの数が多すぎてハイブリダイゼーションが最低のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でさえまったく起こり得ない場合、配列は、実質的に相補的な配列でない。2つの配列が本明細書で「実質的に相補的」と呼ばれる場合、それは、配列が選択された反応条件下でハイブリダイズするのに互いに十分に相補的であることを意味する。特異性を実現するのに十分な核酸相補性とハイブリダイゼーションのストリンジェンシーとの関係は、当技術分野で周知であり、配列同一性、融解温度、およびハイブリダイゼーション条件を参照して以下でさらに記載されている。したがって、実質的に相補的な配列を、本明細書に開示の検出法のいずれにおいても使用することができる。このようなプローブは、例えば、完全に相補的であり得、またはハイブリダイゼーション条件が、例えば、標的配列と非標的配列との間の識別を可能にするのに十分である限り、1つから多くのミスマッチを含有し得る。したがって、実質的に相補的な配列は、参照配列と比較して、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75、70、もしくはそれ未満、または間の任意の数値のパーセント同一性の範囲である配列を指すことができる。例えば、本明細書に開示のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする標的配列と比較して、1、2、3、4、5、またはそれ以上のミスマッチおよび/または縮重塩基を含有することができ、ただし、オリゴヌクレオチドは、例えば、標準的な核酸増幅条件下で標的配列に特異的にハイブリダイズすることができる。
【0033】
本明細書に記載のプライマーは、それだけに限らないが、適切な配列のクローニングおよび消化、ならびに直接化学合成を含めた、当技術分野で公知の技法を使用して調製することができる。本明細書に記載のプライマーを作製するのに使用され得る化学合成法としては、それだけに限らないが、Narangら(1979)Methods in Enzymology、68:90によって記載されたホスホトリエステル法、Brownら(1979)Methods in Enzymology、68:109によって開示されたホスホジエステル法、Beaucageら(1981)Tetrahedron Letters、22:1859によって開示されたジエチルホスホラミデート法、および米国特許第4,458,066号に記載された固体支持体法がある。本明細書に記載の合成オリゴヌクレオチドプライマーを調製するための自動オリゴヌクレオチドシンセサイザーの使用も、本明細書で企図されている。さらに、必要に応じて、プライマーは、当技術分野で公知であり、以下に記載される技法を使用して標識することができる。
【0034】
好ましくは、本明細書に開示のオリゴヌクレオチドは、標的配列または標的ポリヌクレオチド、例えば、TCSと完全または実質的に相補的である。本明細書において、用語「標的ポリヌクレオチド」および「標的核酸」は、その存在が反応内で判定されるポリヌクレオチド、例えば、内部対照配列、および/または測定される試料の配列を指す。
【0035】
したがって、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6の1つの配列、またはそのバリアントを含み、それから本質的になり、またはそれからなるプライマーが本明細書で提供されている。
【0036】
プライマーセット
いくつかの実施形態では、増幅プライマーのセットが提供される。増幅プライマーのセットは、1つまたは複数の、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、またはそれ以上のプライマー対を含み得る。本明細書において、用語「プライマー対」は、標的核酸、例えば、定量的PCR内部対照配列の反対の鎖に個々にハイブリダイズする2つのプライマーを指すことができ、ここで、各プライマーは、例えば、PCRにおいて、その3’末端で伸長されて標的増幅産物を形成することができる。プライマー対は、順方向プライマーおよび逆方向プライマーを含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物および方法は、標的対照配列にハイブリダイズし、これを増幅する増幅プライマーの少なくとも1つのセットを含むプライマー対を含む。配列番号3の配列を含み、それから本質的になり、またはそれからなる第1のオリゴヌクレオチド、および配列番号4の配列を含み、それから本質的になり、またはそれからなる第2のオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示の実施形態に関連して有用な、例示的なプライマー対(以下、「プライマー対5」)である。配列番号5の配列を含み、それから本質的になり、またはそれからなる第1のオリゴヌクレオチド、および配列番号6の配列を含み、それから本質的になり、またはそれからなる第2のオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示の実施形態に関連して有用な、別の例示的なプライマー対(以下、「プライマー対1」)である。プライマー対1およびプライマー対2の特徴を表1に記載する。
【0039】
いくつかの実施形態では、プライマー対は、配列番号3もしくは配列番号5の配列、または配列番号3もしくは配列番号5のバリアントを含む第1のプライマー、および配列番号4もしくは配列番号6の配列、または配列番号4もしくは配列番号6のバリアントを含む第2のプライマーを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、プライマー対は、標的対照配列(TCS)のアンプリコン、例えば、配列番号1の配列、配列番号8の配列、またはこれらのバリアントを含む鋳型を増幅するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、プライマー対1またはプライマー対5は、配列番号1または配列番号8の配列(例えば、鋳型対照配列)を増幅するのに使用される。いくつかの実施形態では、したがってプライマー対5は、配列番号9に示したアンプリコンを生成する。いくつかの実施形態では、プライマー対1またはプライマー対5は、配列番号1のバリアント、例えば、配列番号10、11、12、または13の配列を含む鋳型を増幅する。いくつかの実施形態では、プライマー対1またはプライマー対5は、DrosophilaゲノムDNA、またはゲノム断片を含む鋳型を増幅する。
【0041】
プローブ
いくつかの実施形態では、配列特異的プローブが提供される。プローブには、それだけに限らないが、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、TCSなどの標的配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、配列特異的プローブは、本明細書に開示の順方向プライマーおよび逆方向プライマーの結合部位が隣接したヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズし、それと完全または実質的に相補的である。いくつかの実施形態では、配列特異的プローブは、配列番号3、4、5、または6の少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25のヌクレオチドを含み、その結果、配列特異的プローブは、本明細書に開示の増幅プライマーの結合部位と重複する。
【0042】
増幅産物を検出するための検出可能部分の様々なタイプが記載されている。検出可能部分の1つのクラスは、二本鎖核酸に非特異的に結合するインターカレート剤である。インターカレート剤は、非結合であるとき相対的に低い蛍光、および二本鎖核酸に結合すると相対的に高い蛍光を有する。したがって、インターカレート剤は、核酸増幅反応の間の二本鎖核酸の蓄積を監視するのに使用することができる。このような非特異的な色素の例としては、インターカレート剤、例えば、SYBRGreen I(Molecular Probe)、ヨウ化プロピジウム、臭化エチジウムなどがある。検出可能部分の他のタイプは、配列特異的核酸プローブの誘導体を使用する。例えば、鋳型核酸にハイブリダイズすると、蛍光の検出可能な変化が生じるように1種または複数の色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ。非特異的色素がいくつかの用途にとって望ましい場合があるが、配列特異的プローブは、増幅のより正確な測定をもたらし得る。配列特異的プローブの一構成は、フルオロフォアに繋ぎ止められたプローブの一端、およびクエンチャーに繋ぎ止められたプローブの他端を含み得る。プローブがハイブリダイズしていないとき、これは、ステムループ構成を維持することができ、ここでフルオロフォアは、クエンチャーによってクエンチされ、したがってフルオロフォアが蛍光を発するのが妨げられる。プローブが鋳型核酸配列にハイブリダイズしているとき、これは、直線化され、フルオロフォアをクエンチャーから遠ざけ、したがってフルオロフォアが蛍光を発することが可能になる。配列特異的プローブの別の構成は、FRET対の第1のフルオロフォアに繋ぎ止められた第1のプローブ、およびFRET対の第2のフルオロフォアに繋ぎ止められた第2のプローブを含み得る。第1のプローブおよび第2のプローブは、第1のプローブおよび第2のプローブが同じアンプリコンにハイブリダイズされているとき、FRETによるエネルギー移動を可能にするのに十分近接した範囲内にあるアンプリコンの配列にハイブリダイズするように配置することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、配列特異的プローブは、フルオロフォアにコンジュゲートされた本明細書に開示のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プローブは、2種以上のフルオロフォアにコンジュゲートされている。フルオロフォアの例としては、キサンテン色素、例えば、フルオレセインおよびローダミン色素、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、2−[(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2−7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]安息香酸エチルエステル一塩酸塩(R6G)(約500〜560nmの範囲の波長で応答放射線(response radiation)を発する)、1,1,3,3,3’,3’−ヘキサメチルインドジカルボシアニンヨージド(HIDC)(約600〜660nmの範囲の波長で応答放射線を発する)、6−カルボキシフルオレセイン(略語FAMおよびFによって一般に公知)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOEまたはJ)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRAまたはT)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROXまたはR)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5またはG5)、6−カルボキシローダミン−6G(R6G6またはG6)、およびローダミン110など;シアニン色素、例えば、Cy3、Cy5、およびCy7色素;クマリン、例えば、ウンベリフェロン;ベンズイミド色素、例えば、Hoechst33258;フェナントリジン色素、例えば、テキサスレッド;エチジウム色素;アクリジン色素;カルバゾール色素;フェノキサジン色素;ポルフィリン色素;ポリメチン色素、例えば、Cy3(約540〜580nmの範囲の波長で応答放射線を発する)、Cy5(約640〜680nmの範囲の波長で応答放射線を発する)などのシアニン色素など;BODIPY色素、ならびにキノリン色素がある。対象とする特定のフルオロフォアとしては、ピレン、クマリン、ジエチルアミノクマリン、FAM、フルオレセインクロロトリアジニル、フルオレセイン、R110、エオシン、JOE、R6G、HIDC、テトラメチルローダミン、TAMRA、リッサミン、ROX、ナフトフルオレセイン、テキサスレッド、ナフトフルオレセイン、Cy3、およびCy5などがある。
【0044】
いくつかの実施形態では、プローブは、クエンチャーにコンジュゲートされている。クエンチャーは、電磁放射線を吸収し、それを熱として散逸することができ、したがって暗いままである。例示的なクエンチャーとしては、ダブシル、NFQ、例えば、BHQ−1またはBHQ−2(Biosearch)、IOWA BLACK FQ(IDT)、およびIOWA BLACK RQ(IDT)などがある。いくつかの実施形態では、クエンチャーは、フルオロフォアが発する電磁放射線を吸収するようにフルオロフォアと対を形成するように選択される。本明細書に開示の組成物および方法で有用なフルオロフォア/クエンチャー対は、当技術分野で周知であり、ワールドワイドウェブサイトmolecular−beacons.org/download/marras,mmb06%28335%293.pdfで入手可能なS.Marras、「Selection of Fluorophore and Quencher Pairs for Fluorescent Nucleic Acid Hybridization Probes」に見つけることができ、例えば、記載されている場合がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、プローブの第1の末端に付着されており、クエンチャーは、プローブの第2の末端に付着されている。付着は、共有結合を含み得、任意選択により、プローブとフルオロフォアまたはクエンチャーとの間に位置した少なくとも1つのリンカー分子を含み得る。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、プローブの5’末端に付着されており、クエンチャーは、プローブの3’末端に付着されている。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、プローブの3’末端に付着されており、クエンチャーは、プローブの5’末端に付着されている。定量的核酸増幅で使用することができるプローブの例としては、分子ビーコン、SCORPIONS(商標)プローブ(Sigma)、およびTAQMAN(商標)プローブ(Life Technologies)がある。
【0046】
本明細書に開示のいくつかの実施形態は、配列番号1もしくは配列番号8の鋳型対照配列、もしくは鋳型対照配列のアンプリコン、またはその部分配列に特異的にハイブリダイズするプローブを提供する。したがって、本明細書に開示のいくつかの実施形態は、プライマー対1またはプライマー対5の1つによる配列番号1または配列番号8を含む鋳型の増幅からのアンプリコンにハイブリダイズするプローブを提供する。いくつかの実施形態では、プローブは、配列番号8、9、10、11、12、または13の少なくとも1つのアンプリコンにハイブリダイズすることによって、配列番号1のバリアントまたはその部分配列の増幅を測定する。したがって、いくつかの実施形態では、配列番号2もしくは16の配列、またはそのバリアントを含み、それから本質的になり、またはそれからなるオリゴヌクレオチドプローブが提供される。いくつかの実施形態では、プローブは、本明細書に記載のフルオロフォアおよび/またはクエンチャーを含む。好適な実施形態では、プローブは、フルオロフォア6−カルボキシ−X−ローダミン(「ROX」または「R」)がプローブの5’末端に付着しており、クエンチャーIOWA BLACK Black−hole Quencher(登録商標)2(IDT)(「BHQ」)がプローブの3’末端に付着している配列番号2を含むことができる(例えば、5’−(ROX)−TGA TGC CTC TTC ACA TTG CTC CAC CTT TCC T−BHQ−2−3’)。
【0047】
いくつかの実施形態では、2種以上のプローブが提供される。いくつかの実施形態では、第1のプローブが提供され、第2のプローブが提供される。第1のプローブは、第1のFRETフルオロフォアに付着することができる。第2のプローブは、第2のFRETフルオロフォアに付着することができる。第1のプローブおよび第2のプローブはそれぞれ、定量化されるアンプリコンの配列にハイブリダイズするように配置することができる。いくつかの実施形態では、第1のプローブは、アンプリコンの第1の部分配列にハイブリダイズするように配置され、第2のプローブは、アンプリコンの第2の部分配列にハイブリダイズするように配置される。いくつかの実施形態では、第1の部分配列は、第2の部分配列の5’に位置され、第1の部分配列の3’末端と第2の部分配列の5’末端との間の塩基の数は、約10塩基以下、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、または0塩基である。いくつかの実施形態では、第1のプローブおよび第2のプローブはそれぞれ、配列番号1の部分配列、またはそのバリアントである配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、第1のプローブは、配列番号2の配列、または配列番号2のバリアントもしくは部分配列を含み、第2のプローブは、本明細書に記載した通りである。
【0048】
ベクター
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される核酸配列(例えば、TCS)は、ベクター、例えば、プラスミドまたはウイルス内に存在する。ベクターは、当技術分野で周知であり、当業者は、多くのベクターを、核酸配列をもたらすのに使用することができることを理解するであろう。さらに、ベクターの多くのバリアントが存在し、追加のベクターを当業者によって生成することができる。ベクターを、部位特異的突然変異誘発によって、ランダム突然変異誘発によって、または1つまたは複数のクローニングステップによって修飾して、ベクターの少なくとも1つの核酸配列、例えば、複数のクローニング部位、抗生物質耐性遺伝子、起始部もしくは複製、またはベクターを担持する細胞の可視化を促進するマーカー、例えば、ベータガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、もしくは緑色蛍光タンパク質などをコードする遺伝子を付加、除去、および/または置換することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ベクターは、核酸増幅鋳型配列を含有する。核酸増幅鋳型配列は、例えば、第1のベクターから核酸増幅鋳型配列を取り出すための制限消化、および第2のベクター内に核酸増幅鋳型配列を挿入するためのライゲーションによって、または核酸増幅鋳型配列の核酸増幅、例えば、PCR増幅、および第2のベクター内への核酸増幅鋳型配列のライゲーションによって異なるベクターに移動させることができる。
【0050】
例として、pUC119に由来するプラスミドを配列番号7に示す。いくつかの実施形態では、内部対照鋳型配列(例えば、TCS)を含有しないプラスミド、例えば、配列番号7のプラスミドを、NATアッセイにおける陰性対照として使用することができる。配列番号1のPCR鋳型配列を含有するpUC119由来プラスミドの配列は、配列番号8に提供されている。
図1は、配列番号8の配列を含むプラスミドのマップを例示する。
【0051】
バリアント
列挙した核酸配列のバリアントは、当技術分野で公知の技法を使用して、例えば、ランダム突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、または所望のバリアントの化学合成によって生成することができることを、当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、列挙した配列のバリアントが提供され、ここで、各バリアントは、少なくとも1つのヌクレオチドが参照配列と異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、バリアント核酸は、参照配列と少なくとも約70%、例えば、列挙される値の任意の2つの間の範囲を含めた、少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.3%、99.5%、99.7%、99.8%、99.9%、または99.99%のnt−nt同一性を有する実質的に相補的な配列を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、バリアントは、参照配列と実質的に等価な、または同様の機能を有する。例えば、プライマーおよび/またはプローブ結合部位を有する参照配列について、プライマーおよび/またはプローブ結合側の外側の核酸中の多くのバリアントは、プライマー結合、および後続の増幅、またはプローブハイブリダイゼーションに影響しない。
【0053】
いくつかの実施形態では、参照鋳型のバリアントは、参照鋳型と同じプライマーによって増幅される。いくつかの実施形態では、参照プローブハイブリダイゼーション部位のバリアントは、参照配列と同じプローブにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、TCSのバリアントは、同じプライマーによって増幅され、TCSと同じプライマーによってハイブリダイズされる。いくつかの実施形態では、TCSのバリアントが提供され、1種または複数の対応するバリアントプライマーがバリアントTCSにアニールされるように提供される。いくつかの実施形態では、プローブ結合部位のバリアントが提供され、1種または複数の対応するバリアントプローブがバリアントプローブ結合部位にハイブリダイズされるように提供される。いくつかの実施形態では、定量的核酸増幅内部対照配列のバリアントが提供され、対応するバリアントプライマーおよび/またはプローブがバリアント内部対照配列にアニールされるように提供される。
【0054】
いくつかの実施形態では、バリアントは、プライマーおよび/またはプローブハイブリダイゼーション部位中に部分的なミスマッチをもたらすが、依然としてプライマーまたはプローブの結合を可能にする。バリアントは、プローブおよび/またはプライマー中にあり得る。代わりに、バリアントは、プローブおよび/またはプライマーが結合する配列中にあり得る。いくつかの実施形態では、プライマーまたはプローブのバリアントは、5核酸以下、例えば、5、4、3、2、または1ヌクレオチドのミスマッチをもたらす。いくつかの実施形態では、ミスマッチが存在する場合でも、ミスマッチがプライマーの3’末端の最初の2つのヌクレオチド内にない限り、プライマーは、結合部位にアニールし、PCR増幅のために機能することができる。いくつかの実施形態では、ミスマッチが存在する場合でも、ミスマッチの位置にかかわらず、プローブは、標的配列にハイブリダイズすることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、バリアントPCRプライマーまたはプローブは、本明細書に記載のアニーリング温度で標的配列に結合し、したがって、核酸配列の増幅および/または検出に機能的である。
【0056】
いくつかの実施形態では、配列番号1と少なくとも約85%、例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有するバリアントが提供される。配列番号1は、Drosophila melanogasterの単離配列を表す。配列番号3および配列番号4のプライマーが配列番号1を増幅するのに使用されるとき、配列番号9の配列が生成される。いくつかの実施形態では、配列番号3または配列番号5の配列を含む順方向プライマー、および配列番号4または配列番号6の配列を含む逆方向プライマーを含むプライマー対が、Drosophila melanogasterのゲノムDNAを増幅するのに使用される。このゲノムDNA中にリピートが存在するために、配列番号8、9、10、もしくは11、またはその部分配列を含む配列が、本明細書に記載のプライマー対によって生成され得る。いくつかの実施形態では、配列は、配列番号1の配列の2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、またはそれ以上のヌクレオチドバリアントを含むが、この配列は、配列番号3もしくは配列番号5の配列を含むプライマーの1つ、および配列番号4もしくは配列番号6の配列を含むプライマーの1つを含むプライマー対によって増幅することができ、かつ/または配列番号2のプローブによってハイブリダイズすることができる。
【0057】
方法
例えば、NATアッセイパフォーマンスの効率を監視するために、本明細書に開示の組成物を使用する方法が本明細書に提供されている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、検査試料の調製、およびプロセシングの効率を監視するのに使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、検査試料と組合せ、核酸抽出および/またはプロセシング(例えば、増幅および/または検出)を監視するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、検査試料と組み合わされないが、核酸抽出および/またはプロセシング(例えば、増幅および/または検出)を監視するために並行してプロセシングされる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のプライマーおよび核酸鋳型は、様々な分析物の増幅の対照としてさらに機能を果たしながら、抽出効率、または様々な自動もしくはマニュアルプロセスの試料プロセシングシステムの他のパフォーマンス測定基準を判定するためのロバストで再現可能な方法をもたらす。例えば、本明細書に開示の組成物は、それだけに限らないが、NATアッセイにおいて試料を自動的に調製およびプロセシングする(例えば、核酸抽出および調製、ならびに増幅および検出を自動的に実施する)デバイスを含めた、NATアッセイを自動的に実行するデバイスとともに有利には使用することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、抽出パフォーマンス対照が提供される。核酸は、当技術分野で公知の様々な技法を使用して、生物検体または臨床検体、例えば、組織試料、体液、または細胞培養試料、および食品試料、土壌試料などを含めた様々なタイプの検体から抽出することができる。核酸抽出は、生体試料、例えば、タンパク質、脂質、膜、小器官、炭水化物、および無機分子中の他の物質から核酸を分離することを含み得る。核酸抽出は、手作業で、または様々な自動システムの1つによって実施することができる。本明細書で提供される方法は、核酸抽出の効率を監視するのに、例えば、抽出法、デバイス、および/もしくは試薬をバリデートし、抽出プロセスが実施される際の陽性対照を提供し、かつ/または自動プロセシングデバイスの1種または複数のコンポーネントの保守点検を実施するのに有用となり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、既知量の核酸鋳型、例えば、標的対照配列(TCS)が、生体試料、例えば、配列番号1、8、9、10、11、12、13、これらのバリアント、またはその逆相補鎖に添加される。いくつかの実施形態では、既知量の核酸鋳型が、核酸抽出プロトコールの任意のステップを実施する前に検査試料に添加される。いくつかの実施形態では、既知量の核酸鋳型が、核酸抽出プロトコールにおける少なくとも1つのステップが実施された後に添加される。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、核酸増幅法で使用することができる。いくつかの実施形態では、核酸増幅は、例えば、試料中に存在する核酸の相対量または絶対量を測定するための定量的核酸増幅を含み得る。いくつかの実施形態では、核酸は、例えば、核酸配列が試料中に存在するか、存在しないかを判定するための定性的核酸増幅を含み得る。いくつかの実施形態では、核酸増幅は、例えば、核酸配列が試料中に存在するか否かを判定し、存在する場合、試料中に存在する核酸配列の相対量または絶対量を測定するための定量的および定性的核酸増幅を含み得る。核酸増幅の方法として、それだけに限らないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、例えば、多置換増幅(MDA)、ループ媒介性等温増幅(LAMP)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、免疫増幅、および転写媒介増幅(TMA)を含めた様々な転写ベース増幅手順、核酸配列ベース増幅(NASBA)、自己持続配列複製(3SR)、およびローリングサークル増幅を挙げることができる。例えば、Mullis、「Process for Amplifying, Detecting,and/or Cloning Nucleic Acid Sequences」、米国特許第4,683,195号;Walker、「Strand Displacement Amplification」、米国特許第5,455,166号;Deanら、「Multiple displacement amplification」、米国特許第6,977,148号;Notomiら、「Process for Synthesizing Nucleic Acid」、米国特許第6,410,278号;Landegrenら、米国特許第4,988,617号、「Method of detecting a nucleotide change in nucleic acids」;Birkenmeyer、「Amplification of Target Nucleic Acids Using Gap Filling Ligase Chain Reaction」、米国特許第5,427,930号;Cashman、「Blocked−Polymerase Polynucleotide Immunoassay Method and Kit」、米国特許第5,849,478号;Kacianら、「Nucleic Acid Sequence Amplification Methods」、米国特許第5,399,491号;Malekら、「Enhanced Nucleic Acid Amplification Process」、米国特許第5,130,238号;Lizardiら、BioTechnology、6:1197(1988);Lizardiら、米国特許第5,854,033号、「Rolling circle replication reporter systems」を参照。いくつかの実施形態では、列挙した核酸増幅法の2つ以上が、例えば、順次、実施される。
【0061】
いくつかの実施形態では、検量線を生成するために、一連の個々の増幅反応が、既知量の核酸鋳型、例えば、本明細書に開示の鋳型対照配列(TCS)を用いて実施される。検量線に基づいて、別個の増幅反応における標的鋳型の量を決定することができる。いくつかの実施形態では、既知量の内部対照鋳型(例えば、配列番号1、8、9、10、11、12、もしくは13、またはそのバリアントなどの鋳型対照配列)が、増幅される標的核酸を含有しても、含有していなくてもよい試料と組み合わされ、鋳型対照配列および標的核酸(存在する場合)の両方が多重反応で増幅される。いくつかの実施形態では、各反応が既知の量の鋳型対照配列(例えば、配列番号1、8、9、10、11、12、または13)を有する一連の核酸増幅反応、検出閾値が内部対照鋳型の各量について決定され、それによって検量線が生成される。いくつかの実施形態では、対照鋳型の各量の複数の複製、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の複製が実施される。次いで、内部対照配列の検量線を使用して、試料中の標的反応物の量を判定することができる。核酸定量化の多重および標準曲線方法は、McMillanら(米国特許第6,783,934号)によって詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、標的アンプリコンが検出閾値に到達するまで実施される増幅サイクルの数が計算される(「Cq」)。いくつかの実施形態では、本方法は、増幅反応中にプローブを提供するステップを含む。例えば、いくつかの実施形態では、非配列特異的プローブが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、増幅反応中に配列特異的プローブ、例えば、配列番号2、またはそのバリアントを含み、それからなり、またはそれから本質的になるプローブを提供するステップを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、本方法は、生成されるアンプリコンの量を検出するステップを含む。検出は、連続的に、または定期的に実施することができる。例えば、検出は、各N番目のサイクルまたはその画分の最後に実施することができ、ここで、Nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20などの1つである。いくつかの実施形態では、検出は、蛍光、例えば、プローブに繋ぎ止められたフルオロフォアの発光波長、またはプローブに繋ぎ止められたフルオロフォアの発光波長を含む波長範囲における電磁放射線の強度を測定することを含み得る。いくつかの実施形態では、検出は、FRETを検出することを含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、定量的核酸増幅の効率が測定される。これは、定量的核酸増幅反応の効率を測定する、例えば、低コピー数の核酸に対する反応の感度を判定し、または定量的核酸増幅のためのプロトコール、試薬、および/もしくはデバイスを最適化もしくはバリデートするのに有用となり得る。いくつかの実施形態では、既知量の核酸鋳型が定量的核酸反応に添加される。いくつかの実施形態では、鋳型は、内部対照鋳型である。いくつかの実施形態では、核酸鋳型のアンプリコンを増幅するように構成されたプライマー対が、反応に添加される。プライマー対の順方向プライマーおよび逆方向プライマーを、鋳型にハイブリダイズし、伸長し、こうしてアンプリコンを生成することができる。生成されるアンプリコンの量は、増幅反応中の1つまたは複数の時点で監視することができ、または本明細書に開示の方法を使用して連続的に監視することができる。いくつかの実施形態では、閾値サイクルCqは、相対蛍光単位(RFU)のレベル、例えば、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1700、2000、2500、または3000RFUとして規定することができる。本明細書の実施例2では、Cqは、500RFUとして規定されている。いくつかの実施形態では、検量線は、Cq対鋳型の出発量、またはその対数変換として表される。いくつかの実施形態では、検量線は、相対蛍光単位対鋳型の出発量、またはその対数変換として表される。
【0064】
いくつかの実施形態では、既知量の核酸鋳型が、本明細書に記載の定量的核酸増幅反応、例えば、定量的PCRによって定量化される。いくつかの実施形態では、例えば、RNAが抽出される実施形態では、RNAが定量化ステップの前に逆転写されてDNAにされる。いくつかの実施形態では、既知量の核酸鋳型が、抽出手順が完了した後に定量化される。いくつかの実施形態では、例えば、抽出プロセスという後続ステップの効率を判定するために、既知量の核酸鋳型が、抽出プロセスにおける中間ステップ後に定量化される。
【0065】
本明細書に開示の組成物は、本明細書に開示されるように、様々なタイプの核酸増幅反応において使用することができることを、当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で使用することができる。臨床微生物学に適用される、標準的なPCR条件を含めたPCR技術の総説については、Dordrecht;Boston:Kluwer Academic、(2000)が出版したDNA Methods in Clinical Microbiology、Singleton P.、Methods in Molecular Biology、67:Humana Press、Totowa(1997)におけるMolecular Cloning to Genetic Engineering、White,B.A.編、および 「PCR Methods and Applications」、1991年〜1995年(Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照。「PCR条件」の非限定例としては、本明細書で引用した参考文献に開示された条件、例えば、72℃のアニーリング温度を用いた50mMのKCl、10mMのTris−HCl(pH9.0)、0.1%のTriton X−100、2.5mMのMgCl
2、または59℃のアニーリング温度を用いた4mMのMgCl
2、100mMのTris、pH8.3、10mMのKCl、5mMの(NH
4)
2SO
4、0.15mgのBSA、4%のトレハロース、または55℃のアニーリング温度を用いた50mMのKCl、10mMのTris−HCl(pH9.0)、0.1%のTriton X−100、2.5mMのMgCl
2などがある。
【0066】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリメラーゼが提供される。ポリメラーゼは、定量的PCRに使用することができる。それだけに限らないが、FASTSTART(商標)Taq DNAポリメラーゼ(Roche)、KlenTaq 1(AB peptides Inc.)、HOTGOLDSTAR(商標)DNAポリメラーゼ(Eurogentec)、KAPATAQ(商標)HotStart DNAポリメラーゼ、またはKAPA2G(商標)Fast HotStart DNAポリメラーゼ(Kapa Biosystemss)、およびPHUSION(商標)Hot Start(Finnzymes)を含めた様々な核酸ポリメラーゼが使用のために利用可能である。
【0067】
いくつかの実施形態では、単一のプライマー、例えば、配列番号3、4、5、6、またはそのバリアントが増幅に使用される。
【0068】
温度サイクリング
温度サイクリング条件は、使用されるサーマルサイクラー、および増幅のパフォーマンスを改変し得る他の変数に応じて、異なるステップのそれぞれについて時間および温度が多様となり得る。いくつかの実施形態では、2−ステッププロトコールが実施され、その中でこのプロトコールは、プライマーおよびプローブのアニーリングならびに伸長ステップの両方に最適な一般的な温度でアニーリングステップとエロンゲーションステップを組み合わせる。いくつかの実施形態では、3−ステッププロトコールが実施され、その中で、変性ステップ、アニーリングステップ、およびエロンゲーションステップが実施される。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、リアルタイム増幅反応用デバイス、例えば、BD MAX(登録商標)(Becton Dickinson and Co.、Franklin Lakes、NJ)、VIPER(登録商標)(Becton Dickinson and Co.、Franklin Lakes、NJ)、VIPER LT(登録商標)(Becton Dickinson and Co.、Franklin Lakes、NJ)、SMARTCYLCER(登録商標)(Cepheid、Sunnyvale、CA)、ABI PRISM7700(登録商標)(Applied Biosystems、Foster City、CA)、ROTOR−GENE(商標)(Corbett Research、Sydney、オーストラリア)、LIGHTCYCLER(登録商標)(Roche Diagnostics Corp、Indianapolis、IN)、ICYCLER(登録商標)(BioRad Laboratories、Hercules、CA)、IMX4000(登録商標)(Stratagene、La Jolla、CA)、CFX96(商標)Real−Time PCR System(Bio−Rad Laboratories Inc)などとともに使用することができる。
【0070】
等温増幅
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、核酸の等温増幅を含む方法において使用することができる。等温増幅条件は、変数、例えば、使用される方法、酵素、鋳型、および1種または複数のプライマーなどに応じて時間および温度が多様となり得る。等温条件下で実施され得る増幅法の例としては、それだけに限らないが、LAMP、SDAなどのいくつかのバージョンがある。
【0071】
等温増幅は、任意選択の変性ステップ、その後の、核酸が増幅される等温インキュベーションを含み得る。いくつかの実施形態では、等温インキュベーションは、最初の変性ステップを伴わないで実施される。いくつかの実施形態では、等温インキュベーションは、少なくとも約25℃、例えば、列挙される値の任意の間の範囲を含めた、約25℃、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、または75℃で実施される。いくつかの実施形態では、等温インキュベーションは、約37℃で実施される。いくつかの実施形態では、等温インキュベーションは、約64℃で実施される。いくつかの実施形態では、等温インキュベーションは、180分以下、例えば、列挙される値の任意の2つの間の範囲を含めた、約180、165、150、135、120、105、90、75、60、45、30、または15分にわたって実施される。
【0072】
in situハイブリダイゼーション
いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションの方法が提供される。in situハイブリダイゼーションは、本明細書に記載の試料、またはその切片に対して実施することができる。いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、例えば、細胞内、細胞の集団の中、組織もしくは臓器内、および/または生物全体内の核酸標的配列の局在化を特定するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、in situハイブリダイゼーションは、試料中の標的核酸のコピー数を定量化するのに使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプローブを、in situハイブリダイゼーションで使用することができる。いくつかの実施形態では、プローブは、配列番号2、またはそのバリアントおよび/もしくは部分配列から実質的になるオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、プローブは、配列番号3〜6のうちの1つ、またはそのバリアントおよび/もしくは部分配列を含み、またはそれから実質的になるオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0073】
マスターミックス
いくつかの実施形態では、マスターミックスが提供される。マスターミックスは、NATアッセイにおける試薬の相対濃度に比例する相対濃度で提供されるアッセイ用の少なくとも2種の試薬を含み得る。したがって、単一量のマスターミックスを反応に添加して、2種以上の試薬の適切な相対濃度をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、マスターミックスは、ポリメラーゼ、緩衝液、塩、例えば、マグネシウム、ヌクレオチド三リン酸、プライマー対、および水のうちの少なくとも2つを含み得る。いくつかの実施形態では、マスターミックスは、反応で使用されることになるより高い濃度で提供される場合がある。いくつかの実施形態では、マスターミックスは、凍結乾燥形態で提供され、反応で使用されることになるより高い濃度で再構成される。いくつかの実施形態では、マスターミックスは、反応濃度の少なくとも約2倍、例えば、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、40倍、50倍、100倍、200倍、250倍、または500倍の濃度の試薬を含む。
【0074】
キット
いくつかの実施形態では、キットが提供される。いくつかの実施形態では、キットは、プライマー対、1つのプローブ、鋳型ポリヌクレオチド、例えば、定量的NAT内部対照鋳型配列、ポリメラーゼ、緩衝液、1種または複数のヌクレオチド(例えば、dNTPミックス)、指示書、または包装のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、キットの少なくとも1種の試薬は、マスターミックス中で提供される。
【0075】
いくつかの実施形態では、内部対照鋳型、内部対照鋳型を増幅するための少なくとも1種のプライマー対、およびプライマー対のアンプリコンにハイブリダイズした少なくとも1種のプローブが、標的ポリヌクレオチドの少なくとも1種のプライマー対および少なくとも1種のプローブとともに提供される。
【0076】
いくつかの実施形態では、キットの内部対照配列は、配列番号1、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、または配列番号13のうちの少なくとも1つを含むポリヌクレオチド鋳型を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の少なくとも1種のプライマー、例えば、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6のうちの1つを含むオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の少なくとも1種のプライマー対、例えば、プライマー対1、および/またはプライマー対5を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の少なくとも1種のプローブ、例えば、配列番号2または16を含むオリゴヌクレオチドプローブを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、キットは、逆転写酵素;RNAse、例えば、RNAase H;またはRNAポリメラーゼ、例えば、T7 RNAポリメラーゼなどのうちの少なくとも1つを含む。
【実施例1】
【0080】
感度、ロバスト性、および再現性を伴った定量的PCR
対照/標準配列としての本明細書に開示の組成物の感度、ロバスト性、および再現性を評価するために、一連のポリメラーゼ連鎖反応増幅反応を実施した。
【0081】
各反応は、既知数のコピーの鋳型プラスミド、配列番号2(もしくは
図4Dに示したアッセイの場合では配列番号16)の配列を有するTAQMAN(商標)(Life Technologies)プローブ、およびプライマー対1またはプライマー対5のうちの1つを含んでいた。
図3A、
図3B、
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dに表したアッセイでは、鋳型は、配列番号8の配列を有するプラスミドであった。
図5に表したアッセイでは、鋳型は、配列番号15の配列を有する直線化プラスミドであった。反応は、5コピーの鋳型、50コピーの鋳型、および500コピーの鋳型で実施し、4回の複製を実施した。リアルタイムPCRは、CFX96(商標)Real−Time PCR System(Bio−Rad Laboratories Inc,)を使用して、光学96ウェル反応プレート内で実施した。温度サイクリングプロファイルは、95℃、15分(1サイクル);95℃、15秒、60℃、1分(50サイクル)であった。PCR反応条件は、Tris pH8.0(70mM)、NaOH 5.0mM、逆方向プライマー0.60μM、順方向プライマー0.60μM、Dros.MAXプローブ(0.40μM)(注:本明細書に記載の4つの異なるプローブロットを使用した)、MgCl
2(3.5mM)、dATP(0.05mM)、dCTP(0.05mM)、dGTP(0.05mM)、dTTP(0.05mM)、HGSポリメラーゼ(2.7ユニット)であった。各量の鋳型について、各サイクルの最後における産物の量を相対蛍光単位で測定し、産物の閾値レベルを検出するのに必要であったサイクルの数(Cq)(蛍光プローブのハイブリダイゼーションで測定した場合の)を判定した。Cqの閾値レベルは、500RFUに設定した。
【0082】
図3A、
図3B、
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dは、これらのアッセイの結果を例示する。わずか5コピーのプラスミドを有する反応についてでさえ、高度に再現可能な結果が得られた。
図3Aに示したように、複製のそれぞれのCqに対する鋳型のコピー数をプロットする検量線のR
2値は、0.993であった。
【0083】
PCR反応1回当たり200、50、25、および5コピーのプラスミドでの定量的PCR反応に関して、
図4A、
図4C、および
図4Dに示した増幅曲線は、プライマー対5について高い感度および再現性を実証し、
図4Bは、プライマー対1について高い感度および再現性を実証する。
図4A、
図4B、および
図4Cは、各アッセイが、異なるプローブロット(
図4A=ロット1;
図4B=ロット2、
図4C=ロット3)からの、配列番号2の配列(すなわち、プローブの5’末端で単一の「T」)を有するプローブを使用した結果を表し、一方、
図4Dは、配列番号16の配列(すなわち、プローブの5’末端で「TT」ダブレット)を有するプローブを使用するアッセイからの結果を表す。
図4Dの結果は、このシステムは、バリアントプローブが使用される場合でさえ(プローブの5’末端上のTは、配列番号16の等価な鎖上の「C」に対応するので、配列番号16のプローブは、配列番号8の鋳型のプローブ結合配列を完全には補完しないことに留意されたい)、高い感度および再現性を有することを実証する。
図4Bに示したように、検出閾値および増幅率は、5コピーの鋳型(参照番号1)、50コピーの鋳型(参照番号2)、および500コピーの鋳型(参照番号3)を有する反応について、再現可能で感度が良かった。
【実施例2】
【0084】
定量的増幅反応
細胞試料を収集する。RNAを細胞試料から単離する。単離した試料RNAを逆転写し、こうして試料cDNAを生成する。ポリメラーゼ、緩衝液、マグネシウム、およびヌクレオチド三リン酸を含む凍結乾燥したマスターミックスを、希釈剤を添加することによって2倍の濃度に再構成する。等分のマスターミックス、ならびに2倍濃度の試料cDNA(または陰性対照もしくは陽性対照);ウイルスRNAマーカーを増幅するためのプライマー、増幅されたウイルスマーカーの量を測定するためのSCORPION(商標)プローブ、および内部対照核酸を含む液体を、薄壁のプラスチックアッセイチューブ内で組み合わせる。
【0085】
内部対照は、PCR試薬の完全性を監視し、PCR阻害剤の存在を検出するために各アッセイ試験管内に存在する。2種の外部対照も実施する。すべての試薬を含有するが鋳型DNAをまったく含有しない1つの陰性対照、および標的遺伝子を含有することが分かっている試料である1つの陽性対照を、試料としてプロセシングするが、対照として機能を果たすように実行する。すべての対照は、同じ増幅反応内で同じ試薬を使用して同時に実施する。内部対照は、配列番号8の核酸配列を有するプラスミドを含む鋳型を使用して実施する。内部対照は、配列番号3の配列を有する第1のオリゴヌクレオチドプライマー、および配列番号4の配列を有する第2のオリゴヌクレオチドプライマーを含むプライマー対を含む。プライマー対は、配列番号6の部分配列を増幅し、配列番号7の配列を有するポリヌクレオチド産物を生成する。内部対照は、配列番号2の配列のSCORPION(商標)プローブを含む。
【0086】
反応混合物は、鋳型核酸、それぞれ約0.4μMの濃度のオリゴヌクレオチドプライマー、約0.35μMのプローブ、酵素に適切な緩衝液、塩(この場合、MgCl
2)、およびもちろん、約0.06U/反応の最低濃度でのポリメラーゼ酵素の古典的な組合せである。FastStart Taq DNAポリメラーゼ酵素をポリメラーゼとして使用する。それぞれ(dTTP、dATP、dGTP、およびdCTP)について約0.15mMの濃度のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)、ならびに約0.15mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)も、反応混合物に添加する。BSAは、任意選択であり、PCR阻害剤の存在下でさえ反応を実施するのに役立ち得る。
【0087】
プライマー伸長、および標的DNAの増幅を可能にするサイクリング条件は、変性ステップ、アニーリングステップ、および重合ステップを含む。第1のステップは、95℃で15分の初期変性ステップである。この後に、95℃で1秒間の短い変性ステップ、60℃で9秒間のアニーリングステップ、および72℃で10秒間のエロンゲーションステップが続く。このサイクルを45回繰り返す。酵素がすべての一本鎖DNAを伸長するのを完了することを保証するために、最後に72℃で10分の最終エロンゲーションステップもある。
【0088】
増幅の各サイクルの後、内部対照ポリヌクレオチド産物の量を、内部対照SCORPION(商標)プローブのフルオロフォアによって放出される蛍光強度の強度(相対蛍光単位での)によって測定する。