【文献】
Journal of Nanomaterials (Web), 2013, Vol.2013 No.6, p.1-12(ARTICLE ID 148578)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至3の何れか1項に記載のナノ構造体において、前記分岐高分子骨格が、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、超分岐ポリオール、および超分岐トリアジンからなる群から独立して選択されることを特徴とする、ナノ構造体。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明の第1の主要な態様は、以上に記載のように定義され測定される流体力学的直径D
hが約数ナノメートル前後のサイズ範囲内、たとえば、8〜100nmまたは8〜50nmまたは8〜20nmである球状構造体(これ以降ではナノ構造体と呼ぶ)を扱う。
【0067】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜100nmである。
【0068】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜50nmである。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmである。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態では、限定されるものではないが、静脈内イメージング剤および/または放射線療法剤として使用するための組成物での使用が例として挙げられ、ナノ構造体の平均流体力学的直径は、8〜100nmまたは8〜50nmまたは8〜20nmである。
【0071】
前記ナノ構造体は、複数の前記ナノ構造体として一般に調製および/または使用される。
【0072】
本発明に係るナノ構造体を含む組成物は、常に複数の前記ナノ構造体を含有するであろう。また、それらは、統計的尺度、たとえば、限定されるものではないが、平均直径、分子量、単分散性指数、密度、濃度、またはサイズの尺度、たとえば、分子量に対する公称カットオフ値を有するある特定の校正フィルターを通り抜けるパーセントなどにより特徴付け可能である。
【0073】
本発明に係るナノ構造体の有用なサイズ範囲は、ヒトなどの生物の腎臓の生理機能により以下の制限を受ける。8nm超の流体力学的直径を有するコンパクト構造体は、腎臓を介する排泄を無視しうるため、たとえば静脈内注射による投与後、長期にわたり血流中を循環しうる(Venturoli and Rippe,American Journal of Physiology,2005,288)。長期循環性は本発明の第4の態様に有利である。本発明に係るナノ構造体の本発明に有用なサイズの上限は、本発明の第5の態様で以下に記載されるように、生物の体内で血流から腫瘍組織中に浸透する必要性により設定される。腫瘍組織にペイロードを送達するための種々のマイクロ構築物およびナノ構築物に関する膨大な文献が存在するが、組織中の耐拡散性が高く、直径100nm超のエンティティーではかなり高く、本発明の第5の態様に有用なものとするには、腫瘍に局所送達される用量が少なすぎるため、この目的では小さいエンティティーを使用することがより有利であることを本発明の発明者らは見いだした。
【0074】
本発明の主目的は、腫瘍に放射性同位体を選択的に送達するためにEPR効果に依拠するが、ある特定の障害が克服されれば、本発明に係るナノ構造体の特異的標的化を利用することが企図されうる。現在のナノ担体の特異的腫瘍標的化は、たとえば、腫瘍特異的標的の発現が比較的少なくかつ不均一であるうえに非腫瘍原性細胞上の標的タンパク質の発現に起因して全身毒性のリスクがあることが理由で問題があるが、この分野は急速に発展しつつある。したがって、将来的には、本発明に係るナノ構造体中への特異的腫瘍標的化基の導入により健常組織への悪影響が低減されて抗腫瘍治療活性およびイメージング有効性の両方が向上しうると考えられる。かかる考えられる腫瘍標的化基としては、限定されるものではないが、ペプチド、ペプトイド、タンパク質、抗体、DNA断片、RNA断片、およびPNA断片が挙げられる。
【0075】
本発明に係るナノ構造体は、中心部と中心部に結合されてそれを取り囲む周辺部とを有する。中心部および周辺部は前記ナノ構造体の全体を構成する。中心部の一般的形状は球状であるが、中心部と周辺部との間の境界は入り組んでいてもよい。中心部の直径(D
c)および周辺部の厚さ(T
p)は、以上に記載の全直径へのそれらの相対寄与率に基づいて計算可能である。
【0076】
実際には、ナノ構造体を生体不活性にするために、中心部を取り囲む周辺部の厚さを1ナノメートル以上とする。また、周辺部が中心部のすべての面上に存在するため、これは全直径に2倍寄与するであろう。したがって、
D
h=D
c+2T
p (式1)
T
p=(D
h−D
c)/2 (式2)
である。
【0077】
D
h、D
c、およびT
pがどのように測定されるかは
図2に示される。
【0078】
本発明は8〜100nmの全流体力学的直径を有するナノ構造体を扱うため、中心部の好適な計算サイズは6〜90nmまたは6〜45nmまたは6〜15nmであり、かつ周辺部の厚さ(T
p)の好適な範囲は式2に従う。
【0079】
いくつかの実施形態では、前記流体力学的直径D
hは8〜20nmであり、中心部の計算直径D
cは6〜15nmであり、かつ周辺部の厚さは1〜2.5nmである。
【0080】
本発明の第5の態様に有用なものとするために、周辺部は生体系との相互作用から保護するように中心部をカバーしなければならない。この被覆を得るために用いられる技術的解決策に依存して、この必要条件はさまざまな方法で定量的に説明されうる。
【0081】
前記周辺部が、前記中心部の表面から外側に延在する線状ポリマー、たとえばA−(O−CH
2CH
2)
mOR
9基(式中、A、m、およびR
9は以下に定義される通りである)を含む場合、0.1〜3μmol/m
2または0.5〜2μmol/m
2の表面密度が好適である。これとの関連で参照される表面積は、前記中心部と前記周辺部との間の境界の面積である。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記周辺部は、0.5〜2μmol/m
2の表面密度で前記中心部に共有結合されたA−(O−CH
2CH
2)
mOR
9を含む。
【0083】
前記周辺部が分岐ポリマー残基を含む場合、表面密度の範囲は同一であるが各個別の分岐ポリマーの分岐枝の数で除算されたものが適用されるため、たとえば、それぞれ1ヶ所で分岐するポリマー(これ以降では2分岐ポリマーと呼ぶ)が表面に共有結合された周辺部の場合、0.05〜1.5μmol/m
2または0.25〜1.0μmol/m
2の表面密度が好適である。同様に、n分岐ポリマーが表面に共有結合された周辺部の場合、0.1/n〜3/nμmol/m
2または0.5/n〜2.0/nμmol/m
2の表面密度が好適である。
【0084】
前記周辺部が架橋ポリマーを含む場合、前記周辺部の表面密度を以上のように定めるのは適切ではなく、前記周辺部が中心部をカバーすることかつ前記周辺部の厚さが1nm未満の場所が存在しないことが要件となる。
【0085】
周辺部の表面密度は一般に直接測定可能ではなく、他のパラメーターから計算しなければならない。多くの場合、全流体力学的直径ならびに中心部の計算サイズおよび中心部の密度または周辺部の密度および組成に関するデータから当業者に周知の方法に従って計算しなければならない。
【0086】
前記中心部は、複数のキレート化基を含むかまたはそれらで修飾された架橋および/または分岐高分子骨格を含む。前記高分子骨格は、単一のモノマーのホモポリマーまたは2種以上の異なるモノマーのコポリマーでありうる。本質的にすべての分子エンティティーが同一ですべて分子的に明確に規定された構造を有するデンドリマーもしくはアルボロールなどのカスケードポリマーまたはタンパク質などの高分子とは対照的に、本発明はランダムポリマーを含む中心部を扱う。この方法の利点は、明確に規定された分子エンティティーを有する前記中心部の場合、6nmの所望の最小サイズを達成可能であるが、そうするために非常にコストがかかりかつ厄介であることにある。例としてはデンドリマーPAMAM−G7が挙げられであろう。これは、供給業者によれば、8.1nmの流体力学的直径を有し、研究サンプル100mg当たり約$7850のコストがかかる。本発明に係るランダムポリマーの典型的な材料コストは、これの1%未満である。市販品として入手可能と思われる最大のデンドリマーはPAMAM−G10であり、13.5nmの流体力学的直径を有すると明記されており、本発明に係るナノ構造体の前記中心部の所望のサイズ範囲6〜90nmの下側部分に達するにすぎない。
【0087】
本発明に係る高分子骨格は、高分子化学に関する書籍(たとえば、Fried,“Polymer Science and Technology”Prentice Hall 1995)の何れにも見いだされる多数の周知のモノマーから構築可能である。いくつかの例は、限定されるものではないが、ポリアルケン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン(シリコーン)、ポリオルガノシラン、ポリアミン、たとえばポリエチレンイミン、または炭水化物、特に高分岐構造体または架橋構造体である。
【0088】
いくつかの実施形態では、前記高分子骨格はポリエチレンから誘導される。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記高分子骨格はポリスチレンから誘導される。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記高分子骨格はポリアクリル酸から誘導される。
【0091】
前記中心部の重合度(モノマー残基の平均数)は、当技術分野で公知のようにプロセスパラメーターを操作することにより所望のサイズの生成物が得られるように調整される。重合度によりサイズを記述することは流体力学的直径により記述するよりも有用性は低いが、構造体を概念化する別の方法である。範囲は限定としてではなく参照として含まれる。たとえば、1g/mlに近い密度を有するポリマーの場合、典型的な重合度はモノマー数100〜2000000の範囲内である。
【0092】
重合前にモノマーを混合することによりまたはポリマーを互いにグラフトすることにより任意の化学的適合性モノマーの組合せで2、3、または数種の前記ポリマー骨格を混合することが考えられる。
【0093】
ネットワーク構造を有する高分子骨格を達成する確立された方法は、重合プロセスに二官能性または多官能性モノマーの部分を組み込んで架橋を導入するものである。本発明で用いられる高架橋度および/または高分岐度の利点は、前記中心部を剛性にして種々の塩濃度の媒体中で膨張しにくくすることである。膨張は、組織中への材料の拡散能に影響を及ぼすおそれがあると共に、多くの場合、たとえば、キレート化基がポリマー中にランダムに分布する場合、前記多荷電カチオンへの材料のキレート化能の望ましくない低下をもたらすおそれもある。典型的な架橋剤として列挙されるのは、限定されるものではないが、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、エピクロロヒドリン、ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、および1,4−ブタンジオールジビニルエーテルである。
【0094】
本発明に係る前記中心部の前記ポリマーの架橋度または分岐度は、ランダムポリマーでは著しく高く、たとえば、平均で1モノマー当たり1超の架橋、すなわち、>100%架橋もしくは分岐、または50%架橋もしくは分岐、または30%架橋である。300〜400%程度に高度なものであってもまたは600%未満であるがそれに近いものであっても、本発明に係るいくつかの高分子骨格で企図されうる。前記中心部を生成するために使用されるモノマーとして架橋能または分岐能を有するモノマーを使用したとしても、実際にはその能力のすべてが発揮されるとは限らないであろうから、架橋能または分岐能を有する残基のいくつかは前記中心部の構造中に残るであろうことは、当業者には明らかである。ポリマーの文献には、多くの場合、架橋度が実際に達成された架橋であるかまたはその能力であるかが明記されていない。本開示では、架橋能の場合には「%添加架橋剤」および実際の測定値の場合には「%達成架橋」を明確に明記することにより、本発明者らが何れの場合を参照しているが明記されている。
【0095】
いくつかの実施形態では、前記中心部は、600%の添加架橋剤に対応する架橋能を有する6個の基がモノマー中に存在しかつ200%〜500%の達成架橋に対応してそれらの基のうちの2〜5個が実際に架橋を形成するホモポリマーを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、添加架橋剤パーセントは30%〜100%である。
【0097】
いくつかの実施形態では、達成架橋度は30%〜100%である。
【0098】
いくつかの実施形態では、達成分岐度は30%〜100%である。
【0099】
いくつかの実施形態では、達成架橋度は200%〜400%である。
【0100】
いくつかの実施形態では、添加架橋剤パーセントは500%〜600%である。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態に有利でありうる特に1つの骨格は、トリアルコキシオルガノシランR
12−Si(OR
13)
3(式中、R
12はHまたは有機残基であり、かつR
13は独立して低級アルキルまたはアリールである)の縮合重合により形成される。かかる骨格は、高い極性、したがって水との相溶性を有し、架橋度は、生成時にプロセスパラメーターにより制御可能である。2個以上のトリアルコキシシリル基が存在するモノマーを使用すると有利でありうる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態では、モノマー中に2個のアルコキシシラン基が存在する。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態では、前記アルコキシシランは1〜10個の炭素原子または3〜9個の炭素原子により分離される。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、前記アルコキシシランは7個の炭素原子により分離される。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態では、2個のホスホネート基が基R
12の一部である。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2個のシランは7個の炭素原子により分離され、かつ2個のホスホネート基が基R
12の一部である。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、前記シランは、一般構造:
{(R
1)(R
2)PO}
2−(C){(CH
2)
nSi(OR
14)(OR
15)(OR
16)}{(CH
2)
nSi(OR
17)(OR
18)(OR
19)}
(式中、
R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、およびR
19は、低級アルキルおよびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
n=1〜5である)
を有する。
【0108】
いくつかの実施形態では、前記モノマー残基は、構造(R
3O)(R
4O)(R
5O)Si−(CH
2)
nC(P=O(OR
1)(OR
2))
2−(CH
2)
n−Si(OR
6)(OR
7)(OR
8)(式中、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、およびR
8は、負電荷、H、低級アルキル、および高分子骨格への結合からなる群から独立して選択され、かつn=1〜5である)を有するモノマー残基を含み、および
前記モノマー残基は、−O−Si結合(式中、ケイ素原子は以上の構造中のケイ素原子である)により前記高分子骨格に組み込まれる。
【0109】
重合に対する以上のモノマー中のトリアルコキシシランの反応性は、R
14〜19基のアイデンティティーによって異なる。本発明者らは、これが生成時の分子サイズの制御の決定的因子であることを見いだすと共に、メチルおよびエチル、特に後者が本発明に係る構造体の生成に好適であることを見いだしたが、任意の他の低級アルキル基、アリール、シリルアミド、アシル、フッ化シリル、または塩化シリルを使用することが考えられる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態では、前記モノマー中のR
14〜19はエチル基である。
【0111】
Si−O−Si結合を介してトリアルコキシシランを互いに結合しうる多種多様な方法が存在する。ダイマー構造エレメント、さらには線状エレメント、分岐エレメント、および環状エレメントが公知である(Fessenden and Fessenden,“Trends in Organosilicon Biological Research;Advances in Organometallic Chemistry,1980,18)。また、種々のサイズのケイ素−酸素ケージ構造が文献から周知であり(Hanssen,Eur.J.Inorg.Chem,2004,675)、また、残留アルコキシ基または遊離シラノール基もさまざまな程度で存在しうる。なんら限定的に解釈されるものではないが、かかる構造体中に存在しうるいくつかの構造エレメントは、
(式中、Rは任意の有機残基である)
である。
【0112】
分岐構造は、モノマー中に2ヶ所以上の反応性位置を有することにより形成可能である(Peleshanko and Tsukruk,Prog.Polym.Sci.2008,33)。
【0113】
いくつかの実施形態では、前記高分子骨格は分岐モノマー残基を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、前記高分子骨格は、2つ以上の他のモノマーに末端結合するモノマー残基を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、前記高分子骨格は、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、超分岐ポリオール、および超分岐トリアジンからなる群から選択される分岐ポリマー骨格を含む。
【0116】
分岐ランダムポリマーの周知の例は、アジリジンの重合により形成されたポリエチレンイミンである。ポリエチレンイミンは、第1級、第2級、および第3級アミノ基の混合物を含有し、以下のスキームに示されるように分岐ランダム構造を有する。描かれた厳密な構造は、本発明をなんら限定するものではなく単なる典型例と解釈すべきである。本発明にきわめて重要なビスホスホネートなどのキレート化基は、以下で詳述されるように第1級および/または第2級アミノ基に結合しうる。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態では、前記高分子骨格はポリエチレンイミンである。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態では、前記高分子骨格は40〜60%の分岐度を有するポリエチレンイミンである。
【0119】
典型的なポリエチレンイミン構造フラグメントを以下に示す。ここで、鎖線結合は高分子ネットワークが継続することを表す。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態に有利でありうる構造体の例は、限定されるものではないが、−COOR
1、−P=O(OR
1)(OR
2)、および−S(=O)
2OR
1(式中、R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択される)からなる群から独立して選択されるキレート化基で修飾されたポリエチレンイミンをベースとする分岐高分子骨格が前記中心部に含まれるものである。カルボキシレート形でキレート化基を導入するのに有用な方法は、以下のスキーム1に示されるようにアミド結合を介してDOTAキレート化剤を導入するものである。
【0121】
ポリエチレンイミンをベースとするナノ構造体の生体不活性特性をさらに最適化するために、カルボキシレートなどのいくつかの負荷電基を導入して生理的pHで全ナノ構造体を中性にすることが可能である。これを行う確立された方法は、無水コハク酸で処理することによりカルボキシレートを導入するものである(Wen et al.J.Appl.Polym.Sci.2013,3807)。
【0122】
以下でさらに詳述される前記周辺部は、前記中心部の外側部分に共有結合された複数のポリエチレングリコール残基を含む。結合は、当業者に周知のように多くの形態をとりうる。この主題の背景に関しては、たとえば、Hermanson,2
nd ed.,Bioconjugate Techniques,Greg T.Elsevier 2008を参照されたい。前記ポリエチレングリコール残基を前記中心部に結合するいくつかの具体的方法は以下の通りである。
(式中、Rは、前記周辺部への結合に好適な窒素原子を有する前記中心部であり、n=6〜100、m=1〜10、Q=OまたはNHであり、かつ前記周辺部と前記中心部との間の共有結合はボールド体で記されている。R
1はHまたは低級アルキルである。)
【0123】
分岐構造と架橋構造との任意の混合物もまた本発明で考慮される用途に有用である。限定されるものではないが、その例はグルタルアルデヒドの付加により架橋された超分岐ポリエチレンイミンである。
【0124】
前記キレート化基のうちの少なくとも4個は、1個以上の多荷電カチオンのキレート化を可能にするように配置されて各ナノ構造体中に存在する。4個以上のキレート化基は、多荷電カチオンのキレート化に有利な事前組織化共有結合単位をすでに形成して、任意選択で間にスペーサー基を有して1つ以上の共有結合により高分子骨格に結合しうるか(
図4参照)、または前記キレート化基は、前記中心部全体にランダムに分布して、前記多荷電カチオンのキレート化を可能にするように配置される確率に依拠しうる(
図3参照)。確率に依拠する場合、キレート化能を有するキレート化基のクラスターを形成する適正な確率が得られるように大過剰のキレート化基を中心部に組み込むことが必要である。
【0125】
キレート化基、たとえばビスホスホネート構造R
3R
4C(P=O(OR
1)(OR
2))
2(式中、R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択される)を高分子骨格中に組み込んで多荷電カチオンに結合させると前記カチオンに強く結合することを本発明者らは発見した。
【0126】
ホスホネート基は、完全にそのエステル形で存在し、完全もしくは部分加水分解を受けてその酸形になり、その後、周囲媒体のpH値に応じて一部もしくは全部がある程度イオン化されうるか、またはそれらの任意の混合物でありうる。前記ホスホネート基を含むナノ構造体は、中性または塩基性pHで最もよく前記多価カチオンに結合する。このことから、金属イオンの結合に重要な役割を果たすのは、少なくとも部分的にまたはいくらかまたはさらには完全に加水分解されたホスホネートのアニオン形であることが示唆される。ホスホン酸エステルまたはホスホン酸だけでなくホスホン酸アミドもまた、材料の一部として企図しうるかまたは出発材料として使用しうる。
【0127】
キレート化基の数は、前記中心部のモノマー残基の数により決定され、ちょうど4個から多数に至るまでの範囲内でありうる。前記中心部が種々のサイズを有する場合、どれほど多くのモノマー、ひいてはどれほど多くのキレート化基を前記中心部に実際に充填しうるかを例として表1に示すが、これらに限定されるものではない。簡潔にするために、モノマーフラグメントの典型的な分子量を200g/molとして選択し、仮想の材料の密度を1g/mlに設定したが、これらに限定されるものではない。
【0128】
事前組織化基を前記ポリマーネットワークに結合する場合、膨大な数の公知のキレート化基から選択可能であり、最もよく知られているはEDTA、DTPA、およびDOTAであるが、たとえば、Wadas et al.,Chem.Rev.2010,110の
図2および3には、本発明に有用と思われる多数の事前組織化キレート化剤が示されている。その多くは当業者に自明な方法で前記高分子骨格に共有結合可能である。キレート化に有利な共有結合単位の具体例は、限定されるものではないが、周知のキレート化剤DOTAであり、これは以下に示されるようにアミド結合を介してポリマーネットワークに共有結合可能である。ここで、Rは前記中心部である。
【0129】
いくつかの実施形態では、キレート化に有利な前記共有結合単位として、アミド結合を介してポリマーネットワークに結合されたDOTAが使用される。
【0130】
前記キレート化基が中心部にランダム分布する場合、カルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、またはスルホネートのような酸性基が有用である。
【0131】
いくつかの実施形態では、前記キレート化基は、−COOR
1、−P=O(OR
1)(OR
2)、および−S(=O)
2OR
1(式中、R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択される)からなる群から独立して選択される。
【0132】
いくつかの実施形態では、前記キレート化基は、
>C(P=O(OR
1)(OR
2))
2
(式中、
R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
>Cは、前記中心部の前記架橋または分岐高分子骨格に結合されるかまたは前記中心部の前記架橋、分岐、または分岐高分子骨格の一部を形成する炭素原子を表す)
として互いに独立して組み込まれるジェミナルビスホスホネート基を含む。
【0133】
ポリアクリレート骨格に前記キレート化基を組み込む場合、短いリンカーを介して前記キレート化基をアミド窒素に結合することが考えられる。かかる材料の構造フラグメントの典型的な例は、限定されるものではないが、以下の構造である。ここで、R
1およびR
2は本明細書で先に定義した通りであり、nは1〜5であり、かつ鎖線結合はフラグメントがポリマーに属することを表す。また、ビスホスホネートを炭素骨格に直接結合することも考えられる。
【0134】
ポリスチレンまたはポリビニルピリジンのようなポリ芳香族物質をベースとする骨格も想定可能である。その場合、ビスホスホネートなどのキレート化基は芳香族系に結合される。また、ポリビニルピロリジノンのようなポリアミドも考えられる。
【0135】
いくつかの実施形態では、前記キレート化基は、複数のホスホネート基−P=O(OR
1)(OR
2)(式中、R
1およびR
2は、負電荷、H、アルキル、またはアリールから独立して選択される)を含む。R
1またはR
2の少なくとも1つがHである場合、得られるホスホン酸はpH依存的にイオン化される。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、独立して、負電荷、H、またはメチルである。
【0137】
いくつかの実施形態では、前記ホホネート基は、1,1−ビスホスホネートとも呼ばれるジェミナルビスホスホネートとしてペアワイズに組み込まれる。
【0138】
ビスホスホネート基を分離する炭素原子、すなわち介在炭素原子には高分子骨格への1つ以上の結合が存在する。特に興味深いのは、タイプ(R
20R
21C(P=O(OR
1)(OR
2))
2(式中、R
1およびR
2は、Hまたはアルキルまたはアリールから独立して選択され、かつR
20およびR
21の少なくとも1つは、材料の高分子骨格に結合可能な基である)の構造である。R
20およびR
21の1つのみがかかる基である場合、残りの基は、H、OH、OR
22(式中、R
22は低級アルキルである)、または低級アルキルから選択される。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態では、R
20は−(CH
2)
nCO−(式中、カルボニル基は高分子骨格への結合を形成する)であり、かつR
21はHまたはOHであり、かつn=1〜5である。これらの実施形態のいくつかでは、n=1である。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態では、R
20およびR
21は、独立して、−(CH
2)
n−SiO
3(式中、n=1〜5であり、かつシランは後で本明細書に詳述されるようにSi−O−Si結合の形成により高分子骨格の一部である)である。
【0141】
本発明のいくつかの実施形態では、R
20およびR
21は両方とも、−(CH
2)
n−SiO
3(式中、n=3であり、かつシランは以上のように前記高分子骨格の一部である)である。
【0142】
また、本明細書に記載の化合物の成分または出発材料としてホスホン酸エステルまたはホスホン酸の代わりにホスホン酸のアミド、塩化物、またはフッ化物を使用することも考えられる。ホスホネートは、その遊離形でもしくはエステルとしてもしくはアミドとして存在しうるか、またはそれらの任意の混合物でありうる。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態では、ホスホネートは、遊離ホスホネートと前記ホスホネートのメチルエステルとの混合物である。
【0144】
ポリエチレン骨格に前記キレート化基を組み込む場合、前記キレート化基を炭化水素ネットワークに直接結合するかまたは第1級もしくは第2級アミン窒素などのヘテロ原子の初期導入を介して短いリンカーにより結合することが考えられる。キレート化基がジェミナルビスホホネートである場合のかかる材料の構造フラグメントの典型的な例は、限定されるものではないが、以下の構造である。ここで、R
1およびR
2は本明細書で先に定義した通りであり、nは1〜5であり、かつRは前記ポリエチレンイミンの高分子骨格である。
【0145】
周辺部の目的は、全ナノ構造体に生体不活性であるという特性を付与すること、すなわち、哺乳動物、たとえばヒトなどの生物と相互作用しないようにすることである。ナノ構造体は、前記生物に導入されたときに材料の一部の損失を回避すべく実質的になんら分解されないことが望ましい。
【0146】
前記ナノ構造体の前記周辺部は、合成高分子材料および炭水化物材料からなる群から選択される高分子材料を含み、前記高分子材料は親水性かつ生体不活性であり、前記高分子材料はさらに電気的中性または双性イオン性であり、かつ前記高分子材料は前記中心部に共有結合される。前記周辺部は、線状、分岐、または架橋ポリマーを含みうる(
図5〜7を参照されたい)。
【0147】
いくつかの実施形態では、前記周辺部は、A−(O−CH
2CH
2)
nOR
9からなる群から独立して選択される高分子材料を含み、式中、n=2〜100であり、かつR
9はHまたは低級アルキルであり、かつAは前記高分子骨格に結合されるかまたは組み込まれた基であり、かつ前記基は、
−OSi(R
10)
2(CH
2)
m−(式中、R
10はHまたはC
1〜C
8炭化水素からなる群から選択され、かつm=2〜5である)、
−OSi(OR
11)
2(CH
2)
m−(式中、R
11は高分子骨格への共有結合、H、およびC
1〜C
8炭化水素からなる群から独立して選択され、かつm=2〜5である)、
−NR
11−C=O−(CH
2)
m−(式中、R
11は以上の通りであり、かつm=2〜5である)、
−O−C=O−(CH
2)
m−(式中、m=2〜5である)、
−NR
11−(CH
2)
m−(式中、R
11は以上の通りであり、かつm=2〜5である)、
−(CH
2)
m(式中、m=2〜5である)、
−O−(CH
2)
m−(式中、m=2〜5である)、および
−SX
2−(CH
2)
m−(式中、Xは独立して無またはOであり、かつm=2〜5である)
からなる群から選択される。
【0148】
いくつかの実施形態では、周辺部は、共有結合、線形、中性、合成、生体不活性、親水性のポリマーを含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、周辺部は、ポリエチレングリコールの共有結合誘導体を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、周辺部は、メチル末端ポリエチレングリコールの共有結合誘導体を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、周辺部は、ポリエチレングリコールの共有結合分岐誘導体を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、周辺部は、ポリエチレングリコールの共有結合分岐誘導体、たとえば、
(式中、Rは前記中心部であり、かつmは独立して3〜100である)
を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、前記周辺部は双性イオン性である。すなわち、全体で電気的中性になるように1:1の比で複数の正電荷および負電荷を含有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、前記周辺部は架橋ポリアクリルアミドを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、前記周辺部はデキストランを含む。
【0156】
本発明の第2の主要な態様は、前記ナノ構造体を生産するプロセスである。かかるプロセスの概略図は
図8に示される。その最広義の意味では、それは、最初に最終的には前記ナノ構造体の前記中心部を構成することになる球状ナノサイズポリマーエンティティーを形成または取得するステップ(
図8の001)と、順不同で続いて、前記モノマーがすでにキレート化基または前記キレート化基の前駆体を有するときは最初のステップ(
図8の003)に含まれていてもよい、複数のキレート化基を導入するステップ(
図8の002)と順不同で続いて、最初のステップの生成物を前記周辺部の前駆体に接触させるステップ(
図8の004)とを含む。任意選択で、3つのステップは、化学的に異なるが、同一の反応槽内で同時に行いうる。プロセスの1つ以上の例では、限外濾過またはなんらかの他のサイズ選択方法によるサイズ選択ステップまたは精製ステップが組み込まれる(
図8の005)。ステップ(
図8の004)は、ときにはステップ(
図8の002)の前に行いうる。良品質の生成物を得るためにプロセスで使用される反応槽からの空気を排除することが一般に有益である。プロセス装置への窒素ガスの充填は空気を排除する有用な方法である。
【0157】
複数のキレート化基、たとえばビスホスホネートを含むナノサイズポリマーグロビュールは、既存のポリマーグロビュール(
図8の重合ステップ001により得られたもの)にグラフトすることにより(
図8の002)またはビスホスホネートなどのキレート化基を含むモノマー混合物を重合することにより(
図8の003)得られる。何れの高分子骨格が望ましいかに依存して、多種多様な重合開始剤を企図可能である。スチレンおよびアクリレートのような不飽和モノマーの場合、種々のラジカル開始剤、たとえば、ベンゾイルペルオキシドもしくはアゾビスイソブチロニトリルまたはそれらの水溶性アナログが好ましい。本発明の好ましい一実施形態のトリアルコキシシラン系モノマーの場合、重合を行うために自発的な加水分解および縮合を用いるかまたは酸もしくは塩基の触媒作用を用いることが可能である。
【0158】
多くの場合、ステップ003では溶媒が望ましく、当業者であれば多種多様な溶媒を想定可能であるが、毒性溶媒を避けることが望ましいことから、水および低級アルコール、たとえば、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、または1,3−プロパンジオールが好ましい。多くの場合、溶媒の混合物を用いて生成物の収率および品質を最適化することが望ましい。
【0159】
プロセスのいくつかの実施形態では、低級アルコール中の5〜25%の水の混合物がステップ003で使用される。
【0160】
プロセスのいくつかの実施形態では、エタノール中、1−もしくは2−プロパノール中、または1,2−もしくは1,3−プロパンジオール中、またはエチレングリコール中の5〜25%の水の混合物がステップ003で使用される。
【0161】
本発明のいくつかの実施形態では、室温よりも高い温度、たとえば、40〜130℃または80〜120℃または100〜120℃の温度をステップ003で用いることが有利であることが見いだされた。低級アルコールを使用する場合、所望の反応温度を達成するために密閉耐圧容器を用いて作業することが必要である。
【0162】
ステップ003の継続時間は、高分子骨格および開始モードに依存して、数秒間〜数日間の範囲内でありうる。本発明の好ましい一実施形態では、トリアルコキシシランの場合、6時間〜48時間または12〜36時間または約24時間をステップ003で用いると有利であることが判明した。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ003の条件は、105〜115℃の温度および20〜30時間の継続時間である。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ003の条件は、105〜115℃の温度および30〜60時間の継続時間である。
【0165】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ003の条件は、最初に90〜100℃の温度で40〜50時間、次いで105〜115℃でさらに20〜30時間である。
【0166】
工程003のモノマー濃度は、何れの高分子骨格が望ましいかに依存して、モル濃度条件〜溶媒フリー条件の範囲内でありうる。しかしながら、本発明の好ましい一実施形態では、トリアルコキシシランの場合、10mM〜500mMまたは20〜100mM、特に40〜80mMのモノマー濃度で作業すると有利であることが判明した。
【0167】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ003の条件は、最初に90〜100℃の温度で20〜50時間、続いて105〜125℃で20〜30時間、および40〜60mMのモノマー濃度である。
【0168】
高分子骨格へのビスホスホネート試薬のグラフト化を含むステップ002では、条件がいくらか異なる。特に、温度および濃度の要件はより緩やかである。液体水に適合可能な温度、たとえば室温で任意選択で共溶媒を混合して水中のポリエチレンイミンの溶液から始めて、反応性エステル中間体を形成可能な化合物、たとえばN−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム塩の存在下、カップリング剤、たとえばN−(ジメチルアミノプロピル)−N’’−エチルカルボジイミドの存在下、室温などの温度で、1〜48時間、たとえば20〜24時間にわたり、前記ポリエチレンイミンと反応可能なビスホスホネート、たとえば3,3−ビス(ジメトキシホスホリル)プロパン酸に接触させると、高分子骨格にグラフトされたビスホスホネートを有する材料が生成されることを本発明者らは見いだした。
【0169】
サイズ選択ステップ(005)は、望ましくないほど大きいまたは小さいエンティティーを除去するためにナノ構造体の溶液に対して行われる。出発材料および反応混合物からの溶媒残留物もまた、この段階で除去される。限外濾過は、特にタンジェンシャルフロー濾過または透析濾過と一般に記される形態で使用される場合、好ましい精製方法である。やや大きい細孔のフィルターに溶液を通すことにより望ましくないほど大きいナノ構造体および/または凝集体を除去することが好ましい(ステップ005a)。かかるフィルターの好ましい公称カットオフ値は、0.2μm、1000kDa、または300kDaである。ステップ005bでは、所望の材料がより小さい細孔サイズのフィルター上に捕集される。ステップ005bでの好ましい細孔サイズは、300kDa、100kDa、50kDa、30kDa、または10kDaに公称カットオフ値を有するが、ただし、300kDaフィルターがステップ005bで使用される場合、ステップ005aで使用されるフィルターはより大きい細孔を有していなければならない。
【0170】
出発材料が狭いサイズ分布を有する場合、サイズ選択ステップ(004)は必要ではないことがありうる。
【0171】
本発明のいくつかの実施形態では、プロセスステップ002または003から得られた溶液は、最初に500kDaフィルターに通され(ステップ004a)、続いて100kDaフィルター上に捕集される(ステップ004b)。
【0172】
本発明のいくつかの実施形態では、プロセスステップ002または003から得られた溶液は、最初に300kDaフィルターに通され(ステップ004a)、続いて100kDaフィルター上に捕集される(ステップ004b)。
【0173】
ステップ001、002、または003からの未反応モノマーまたは溶媒残留物をさらに除去するために、ステップ004bの後、数回にわけて水を用いて材料を洗浄することが有利である。
【0174】
それほど拡張性はないが、スピンフィルターまたは透析などの他の限外濾過方法も使用可能である。
【0175】
所望のサイズ範囲の粒子はまた、サイズ排除クロマトグラフィー(ゲル濾過とも呼ばれる)により選択しうる。
【0176】
任意選択で、前記ナノ構造体はステップ007で精製しうる。ステップ007は、いくつかのサブステップ007a、007bなど、順不同のサブステップ007xを有しうる。
【0177】
精製ステップ007xの好ましい一方法は、前記周辺部の未反応前駆体を除去するための少量のシリカによる処理である。
【0178】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ007xは、フィルター上に材料を捕集するさらに他の透析濾過を含む。
【0179】
痕跡量の内毒素(死滅細菌の残留物)などの親油性不純物を除去する後続の精製ステップ007xもまた追加しうる。
【0180】
プロセスのいくつかの実施形態では、ステップ006の生成物は活性炭で処理される。
【0181】
プロセスのいくつかの実施形態では、ステップ006の生成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはPVDFフィルターに通される。
【0182】
プロセスのいくつかの実施形態では、ステップ006の生成物は固定化ポリミキシンBで処理される。
【0183】
いくつかの実施形態では、球状ナノ構造体は、
1)構造
{(R
1)(R
2)PO}
2−(C){(CH
2)
nSi(OR
14)(OR
15)(OR
16)}{(CH
2)
nSi(OR
17)(OR
18)(OR
19)}
(式中、
R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、およびR
19は、低級アルキルおよびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
n=1〜5である)
で示されるジシランの加水分解重合により中心部を形成するステップと、
2)前記中心部への前記周辺部の共有結合を促進する条件下で前記中心部を周辺部の前駆体に接触させるステップと
を含む、プロセスにより生産しうる。
【0184】
本発明の第3の主要な態様では、前記ナノ構造体は放射性核種をキレート化する。
【0185】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体(本発明の第1の態様に係るもの)の流体力学的直径は8〜100nmであり、かつ前記ナノ構造体はイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0186】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜100nmであり、かつ前記ナノ構造体はイメージングのための放射性核種をキレート化する。
【0187】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜100nmであり、かつ前記ナノ構造体は放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0188】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜50nmであり、かつ前記ナノ構造体はイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0189】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜50nmであり、かつ前記ナノ構造体はイメージングのための放射性核種をキレート化する。
【0190】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜50nmであり、かつ前記ナノ構造体は放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0191】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体はPETイメージングのための放射性核種をキレート化する。
【0192】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体はガリウム−68(
68Ga)などのPETイメージングのための放射性核種をキレート化する。
【0193】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体はSPECTイメージングのための放射性核種をキレート化する。
【0194】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体はトリカチオン形(
99mTc
3+)のテクネチウム−99mなどのSPECTイメージングのための放射性核種をキレート化する。
【0195】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体は放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0196】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体はイットリウム−90(
90Y)をキレート化する。
【0197】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体はガリウム−68(
68Ga)などのPETイメージングのための放射性核種およびイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0198】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体はテクネチウム−99m(
99mTc
3+)などのSPECTイメージングのための放射性核種およびイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0199】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の流体力学的直径は8〜20nmであり、かつ前記ナノ構造体はルテチウム−177(
177Lu)などのイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0200】
いくつかの実施形態では、本発明の第1の態様に係る前記ナノ構造体の中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格は、イメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種をキレート化する、ポリアルケン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン(シリコーン)、ポリオルガノシラン、ポリアミン、たとえばポリエチレンイミン、または炭水化物から誘導される。
【0201】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格は、イメージングのための放射性核種をキレート化する、ポリアルケン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン(シリコーン)、ポリオルガノシラン、ポリアミン、たとえばポリエチレンイミン、または炭水化物から誘導される。
【0202】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格は、放射線療法のための放射性核種をキレート化する、ポリアルケン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン(シリコーン)、ポリオルガノシラン、ポリアミン、たとえばポリエチレンイミン、または炭水化物から誘導される。
【0203】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格はポリオルガノシランであり、かつ前記ナノ構造体はガリウム−68(
68Ga)などのPETイメージングのための放射性核種をキレート化する。
【0204】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格はポリオルガノシランであり、かつ前記ナノ構造体はテクネチウム−99m(
99mTc
3+)などのSPECTイメージングのための放射性核種をキレート化する。
【0205】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格はポリオルガノシランであり、かつ前記ナノ構造体はイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種をキレート化する。
【0206】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格は、ガリウム−68(
68Ga)などのPETイメージングのための放射性核種およびイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種をキレート化するポリオルガノシランである。
【0207】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格は、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)などのSPECTイメージングのための放射性核種およびイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種をキレート化するポリオルガノシランである。
【0208】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は高分子骨格を含み、前記高分子骨格は、ルテチウム−177(
177Lu)などのイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種をキレート化するポリオルガノシランである。
【0209】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、イメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種をキレート化する分岐ポリマー骨格を含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、イメージングのための放射性核種をキレート化する分岐ポリマー骨格を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、放射線療法のための放射性核種をキレート化する分岐ポリマーを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、ガリウム−68(
68Ga)などのPETイメージングのためのキレート化放射性核種を含むポリエチレンイミンを含む分岐ポリマー骨格を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)などSPECTイメージングのためのキレート化放射性核種を含むポリエチレンイミンを含む分岐ポリマー骨格を含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、イットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のためのキレート化放射性核種を含むポリエチレンイミンを含む分岐ポリマー骨格を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、ガリウム−68(
68Ga)などのPETイメージングのためのキレート化放射性核種およびイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のためのキレート化放射性核種を含むポリエチレンイミンを含む分岐ポリマー骨格を含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)などSPECTイメージングのためのキレート化放射性核種およびイットリウム−90(90Y)などの放射線療法のための放射性核種を含むポリエチレンイミンを含む分岐ポリマー骨格を含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の前記中心部は、ルテチウム−177(
177Lu)などイメージングおよび/または放射線療法のためのキレート化放射性核種を含むポリエチレンイミンを含む分岐ポリマー骨格を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、前記中心部は、イメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種をキレート化し、前記周辺部は、A−(O−CH
2CH
2)
mOR
9(式中、m=2〜100であり、かつR
9はHまたは低級アルキルであり、かつAは前記高分子骨格に結合されるかまたは組み込まれた基であり、かつ前記基は、
−OSi(R
10)
2(CH
2)
o−(式中、R
10はHまたはC
1〜C
8炭化水素からなる群から選択され、かつo=2〜5である)、
−OSi(OR
11)
2(CH
2)
o−(式中、R
11は高分子骨格への共有結合、H、およびC
1〜C
8炭化水素からなる群から独立して選択され、かつo=2〜5である)、
−NR
10−C=O−(CH
2)
m−(式中、R
10は以上の通りであり、かつm=2〜5である)、
−O−C=O−(CH
2)
m−(式中、m=2〜5である)、
−NR
10−(CH
2)m−(式中、R
10は以上の通りであり、かつm=2〜5である)、
−(CH
2)
m−(式中、m=2〜5である)、
−O−(CH
2)
m−(式中、m=2〜5である)、かつ
−SX
2−(CH
2)
m−(式中、Xは独立して無またはOであり、かつm=2〜5である)
からなる群から選択される)からなる群から独立して選択される高分子材料を含む。
【0219】
複数の前記ナノ構造体を含むいくつかの実施形態では、各前記ナノ構造体にキレート化された放射性核種の平均数は0.1〜20000/ナノ構造体であり、前記放射性核種はイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種である。
【0220】
複数の前記ナノ構造体を含むいくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の平均分子量は50000〜300000000Daであり、前記ナノ構造体はイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種をキレート化し、ただし、前記ナノ構造体の平均流体力学的直径は8〜100nmである。
【0221】
本発明の第4の態様では、放射性核種を含むナノ構造体を含む組成物を得る方法が提供され、その際、本発明の第1の態様に係る複数のナノ構造体を少なくとも1種の放射性核種に接触させる。
【0222】
本発明の第5の主要な態様では、イメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含む複数の前記ナノ構造体を含む組成物が、診断手順および/または放射線療法手順のためのイメージング剤および/または放射線療法剤として使用される。イメージングおよび/または療法のための放射性核種を含む複数の前記ナノ構造体を含む組成物は、診断、放射線療法の遂行、さらには放射線療法に対する反応のモニタリングのための使用可能である。
【0223】
本明細書に記載のイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含む前記組成物は、漏出性微小血管系を特徴とする任意の疾患、障害、および/または病態、たとえば、癌または炎症病態の治療および/または診断を企図可能である。
【0224】
本発明に係るイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含むナノ構造体の組成物は、限定されるものではないが、ヒトおよび/または他の霊長動物、哺乳動物(ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、および/またはイヌなどの商業関連の哺乳動物を含む)、および/またはトリを含む種において、疾患、障害、および/または病態の治療、軽減、改善、緩和、発症遅延、進行阻害、重症度低減、組合せ療法の副作用の低減、および/または1つ以上の症状もしくは特徴の出現の低減のために使用しうる。
【0225】
本発明のこの態様はまた、本発明に係るイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含む組成物を癌に罹患している被験体に投与する方法に関する。かかる方法は、所望の結果(すなわち、癌の治療、軽減、改善、緩和、発症遅延、進行阻害、重症度低減、組合せ療法の副作用の低減、および/または1つ以上の症状もしくは特徴の出現の低減)を達成するのに必要な量および時間でイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含む治療上有効量の本発明に係るナノ構造体を被験体に投与することを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、イメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含む前記ナノ構造体の前記組成物は、軟組織腫瘍の診断および/または治療のために使用しうる。
【0227】
いくつかの実施形態では、イメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含む前記ナノ構造体の前記組成物は、転移疾患の診断および/または治療のために使用しうる。
【0228】
いくつかの実施形態では、イメージングのための放射性核種を含む前記ナノ構造体の組成物の投与は疾患の診断のために使用され、その後、放射線療法のための放射性核種を含む前記ナノ構造体の前記組成物の投与は軟組織腫瘍の治療のために使用される。
【0229】
本発明に係るナノ構造体をin−vivoで使用するには、当業者に周知の最も適正な規範に従って薬理学的に許容可能な方法により組成物として製剤化することが必要である。本発明によれば、ナノ構造体を含む組成物は、漏出性微小血管系を含む組織へのナノ構造体の送達が確保されるように必要とする被験体に投与しうる。かかる投与によりナノ構造体は血液またはリンパ液の循環に確実に入りうる。したがって、好ましい投与形態は、非経口、具体的には静脈内注射であるが、経口、経真皮、経粘膜、腹腔内、頭蓋内、眼内、硬膜外、髄腔内、鼻腔内、局所、経直腸、経腟、経肺などの他の投与経路が企図される。
【0230】
非経口投与は液状製剤を必要とすることが多い。水は、本発明に係るナノ構造体を溶液中に取り込む好ましい溶媒であるが、溶液中での安定性を改善するために1種以上の共溶媒または添加剤を0.1〜10%添加しうる。許容可能な共溶媒は、エタノールもしくはグリセロールのようなアルコール、ポリエチレングリコールもしくはポリビニルアルコールのような生体適合性ポリマー、ジメチルスルホキシド、またはN−メチルピロリジノンである。マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、または他の糖もしくは糖アルコールのような1種以上の浸透圧調整剤を添加することが有利でありうる。製剤は体液と等浸透圧であることが望ましい。好ましくは、静脈内使用の溶液は、270〜2000mOsmまたは280〜1000mOsmまたは280〜500mOsmまたは特に280〜300mOsmのオスモル濃度を有する。前記添加剤の多くはまた、凍結保護剤の機能を発揮してフリーズドライ後の再構成の効率を向上させうる。また、電解質を添加して注射溶液の生理学的作用を低減することが有利でありうる。好ましい電解質は、ナトリウム、カルシウム、および/またはマグネシウムの非毒性塩の組合せであろう。注射可能な溶液のpHを調整することが好ましく、注射に好適な任意の緩衝剤を企図可能であるが、好ましいのはTris−HClである。
【0231】
経直腸投与可能な製剤または経直腸投与される製剤は、生物学的流体と本質的に等浸透圧、典型的には290mOsmでありうる。浸透ポテンシャルは、塩化ナトリウムまたはマンニトールなどの低分子浸透圧調整剤を添加することにより調整される。製剤は、対象の結腸の部分を満たすのに十分な体積であり、フリーフロー液体でありうるか、または取扱いの改善のために高分子量ポリエチレングリコール(PEG)のような粘度調整添加剤を有しうる。大量の液体を必要とすることなく大きい体積を達成するために泡または起泡性の調製物として製剤化しうる。
【0232】
いくつかの実施形態では、組成物は非経口注射に供すべく製剤化される。
【0233】
いくつかの実施形態では、組成物は静脈内注射に供すべく製剤化される。
【0234】
いくつかの実施形態では、組成物は停留浣腸のように液体形態で直腸投与に供すべく製剤化される。
【0235】
ナノ構造体またはその成分、たとえば放射性核種の厳密な投与量は治療される患者を考慮して医師が決定しうることは、分かるであろう。一般に、投与量および投与は、有効量の本発明のコンジュゲートを治療されている患者に提供するように調整される。本明細書で用いられる場合、「有効量」とは所望の生物学的反応を引き起こすのに必要な量を意味する。当業者であれば分かるであろうが、有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される放射性核種、標的組織、投与経路などの因子に依存してさまざまでありうる。考慮しうる追加の因子としては、疾患状態の重症度、治療される患者の年齢、体重、および性別、食事、投与時間、および投与頻度、放射性核種の組合せ、ならびに放射線療法に対する耐性/反応が挙げられる。
【0236】
任意の組成物に対して、治療上有効用量は、計算により、細胞培養アッセイで、または動物モデル、一般に、マウス、ウサギ、イヌ、もしくはブタで、初期に推定可能である。動物モデルはまた、望ましい濃度範囲および投与経路を達成するためにも使用される。次いで、かかる情報は、ヒトにおいて有用な投与用量および投与経路を決定するために使用可能である。組成物の治療有効性および毒性、たとえば、ED50およびLD50は、細胞培養または実験動物で標準的な薬学的手順により決定可能である。毒性作用と治療効果との用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表現可能である。
【0237】
任意のイメージング目的に対して任意の放射性核種を企図可能であるが、本発明では、診断イメージング用途に特に適した好適な半減期で好適なタイプの放射線を放射する基準を満たす放射性核種が好ましい。診断用途の理想的な放射性同位体は、比較的短い半減期を有するものならびにPETおよび/またはSPECTなどのイメージング技術により検出される高透過性放射線を有するものである。放射性核種の半減期は、患者において標的組織中への蓄積を可能にすると同時に非標的器官を介するクリアランスを可能にするものでなければならない。イメージングは、放射線療法に使用されるナノ構造体の診断のイメージング、その治療効果のモニタリング、またはその位置および用量のモニタリングを含む。ナノ構造体でイメージングを行うための放射性同位体の取込みは、被験体においてナノ構造体のvivo追跡および線量測定を可能にするという利点を有する。たとえば、ナノ構造体の生体内分布および/または排除を研究しうる。ナノ構造体の生体内分布または排除の理解を深めることにより患者の治療を変更しうる。たとえば、より多いまたはより少ないナノ構造体を被験体の治療に使用する必要がありうる。腫瘍中へのナノ構造体の蓄積が非常に良好な場合、前記放射性核種を含むより少量の前記ナノ構造体が必要とされうる。特定の患者において蓄積が不十分な場合、より多くのナノ構造体が必要とされうるか、または担当医はまったく異なる治療に頼りうる。
【0238】
いくつかの実施形態では、イメージングのための放射性核種を含むナノ構造体の組成物は、被験体のイメージングに使用される。
【0239】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のイメージングのための放射性核種は、3価カチオン形(
99mTc
3+)のテクネチウム−99mを含み、被験体のイメージングに使用される。
【0240】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のイメージングのための放射性核種は、PETイメージングのための放射性核種を含み、被験体のイメージングに使用される。
【0241】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のイメージングのための放射性核種は、ガリウム−68(
68Ga)を含み、被験体のイメージングに使用される。
【0242】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のイメージングのための放射性核種は、SPECTイメージングのための放射性核種を含み、被験体のイメージングに使用される。
【0243】
いくつかの実施形態では、使用されるイメージング技術は陽電子放射断層撮影(PET)である。
【0244】
いくつかの実施形態では、使用されるイメージング技術は単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)である。
【0245】
任意の放射性核種を放射線療法に使用可能であるが、本発明では、放射線療法用途に特に適した好適な半減期で好適なタイプの放射線を放射する基準を満たす放射性核種が好ましい。治療用途の理想的な放射性核種は、β放射体およびα放射体などの低透過性放射線を有するものである。放射性医薬品の形態の放射性同位体が標的部位に達した場合、放射エネルギーは標的部位にのみ堆積され、近傍の正常組織は最低限で照射される。異なる放射性同位体からの放射粒子のエネルギーおよび組織内のそれらの範囲、さらにはそれらの半減期はさまざまであろう。また、最も適切な放射性同位体は、用途、疾患、および疾患組織のアクセス性に依存して異なるであろう。
【0246】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中の放射線療法のための放射性核種は、放射線療法のための放射性核種を含み、被験体を治療するために使用される。
【0247】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中の放射線療法のための放射性核種は、イットリウム−90(
90Y)を含み、被験体を治療するために使用される。
【0248】
診断イメージングおよび治療を組み合わせた目的のために多くの放射性核種を想定可能であるが、しかしながら、好適な半減期を有する好適なタイプの放射線を放射する基準を満たす放射性核種は、本発明に係る診断イメージングおよび治療を組み合わせた用途に特に適している。診断イメージングおよび治療の用途の理想的な放射性核種は、β放射体およびα放射体などの低透過性放射線を有するものと、PETおよび/またはSPECTなどのイメージング技術により検出される高透過性放射線を有する放射性核種との組合せである。高透過性放射線および低透過性放射線の両方を放射する放射性核種もまた企図されうる。1種もしくは複数種の放射性核種の半減期は、患者において標的組織中への蓄積を可能にすると同時に非標的器官を介するクリアランスを可能にするものでなければならない。
【0249】
いくつかの実施形態では、イメージングおよび/または療法のための放射性核種を含むナノ構造体の組成物は、被験体のイメージングおよび/または療法のために使用される。
【0250】
いくつかの実施形態では、前記放射性核種の非放射性同位体、さらにはイメージングおよび/または療法のための放射性核種を含むナノ構造体の組成物は、被験体のイメージングおよび/または療法のために使用される。
【0251】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種は、PETイメージングおよび放射線療法のための放射性核種を含み、イメージングおよび/または放射線療法のために使用される。
【0252】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のPETイメージングおよび放射線療法のための放射性核種は、ガリウム−68(
68Ga)およびイットリウム−90(
90Y)を含み、イメージングおよび/または放射線療法のために使用される。
【0253】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種は、SPECTイメージングおよび放射線療法のための放射性核種を含み、イメージングおよび/または放射線療法のために使用される。
【0254】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種は、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)およびイットリウム−90(
90Y)を含み、イメージングおよび/または放射線療法のために使用される。
【0255】
いくつかの実施形態では、前記ナノ構造体の組成物中のイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種は、ルテチウム−177(
177Lu)を含み、イメージングおよび/または放射線療法のために使用される。
【0256】
本発明の第6の態様によれば、複数の前記ナノ構造体はキットで提供される。キットは、典型的には、本発明に係る粒子の使用説明書を含む。使用説明書は、たとえば、本発明に係るナノ構造体の生産および必要とされる被験体への本発明に係る構造体の投与などに関するプロトコルを含むことができ、かつ/またはその条件を記述することができる。キットは、一般に、個々の成分および試薬の一部または全部が分離されて含まれうるように1つ以上の槽または容器を含むであろう。キットはまた、商業販売のために比較的厳重に密閉して個々の容器を取り囲む手段、たとえば、プラスチックボックスを含みうる。バーコードなどの識別子は、キット内もしくはキット上にまたはキットに組み込まれた槽もしくは容器の1つ以上に存在しうる。識別子は、品質管理または在庫管理の目的でキットをユニークに識別可能である。
【0257】
本発明の第6の主要な態様のいくつかの実施形態では、本発明は、
− a.複数のナノ構造体と、
− b.1種以上のpH調整剤を含む6〜7.5のpHおよび500〜2000mOsm/kgのオスモル濃度を有する水性緩衝液と、
− c.カチオン形の放射性核種を含有する組成物と
を含むキットに関する。
【0258】
前記キットのいくつかの実施形態では、前記キットは放射性核種を含むナノ構造体を調製するためのものであり、前記放射性核種はキットとは独立して提供される。したがって、前記キットは、
− a.複数のナノ構造体と、
− b.1種以上のpH調整剤を含む6〜7.5のpHおよび500〜2000mOsm/kgのオスモル濃度を有する水性緩衝液と
を含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、放射性核種を含有する組成物は、特定の放射性核種の特性に依存して貯蔵状態であるかまたは製造業者から配達される。
【0260】
放射性核種がたとえば陽電子放射体
64Cuである場合、前記放射性核種は、(凍結乾燥)塩または水性溶液の形態で使用直前にサイクロトロン施設から治療または診断の現場に直接配達される。放射性核種含有ナノ構造体の投与前、キットのパーツa、b、およびcを混合し、および好ましくはキットに付属する簡易検査手順を用いて結合効率を検査する。投与後、患者はPETまたはSPECTスキャンを受けうる。最適可視化は投与の1〜24時間後に達成されうる。
【0261】
本明細書に記載の開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットは放射線療法のための放射性核種を含む。
【0262】
開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットオブパーツはイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種を含む。
【0263】
本発明のいくつかの実施形態では、キットはイメージングのための放射性核種を含む。
【0264】
開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットはテクネチウム−99m(
99mTc
3+)などのイメージングのための放射性核種を含む。
【0265】
開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットはPETイメージングのための放射性核種を含む。
【0266】
開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットはガリウム−68(
68Ga)などのPETイメージングのための放射性核種を含む。
【0267】
開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットはSPECTイメージングのための放射性核種を含む。
【0268】
開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットはテクネチウム−99m(
99mTc
3+)などのSPECTイメージングのための放射性核種を含む。
【0269】
以上に記載の開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットは、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)などのイメージングのための放射性核種およびイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種を含む。
【0270】
以上に記載の開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットは、PETイメージングのための放射性核種および放射線療法のための放射性核種を含む。
【0271】
以上に記載の開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットは、ガリウム−68(
68Ga)などのPETイメージングのための放射性核種およびイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種を含む。
【0272】
以上に記載の開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットは、SPECTイメージングのための放射性核種および放射線療法のための放射性核種を含む。
【0273】
以上に記載の開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットは、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)などのSPECTイメージングのための放射性核種およびイットリウム−90(
90Y)などの放射線療法のための放射性核種を含む。
【0274】
以上に記載の開示されたキットのいくつかの実施形態では、キットは、ルテチウム−177(
177Lu)などのイメージングおよび放射線療法のための放射性核種を含む。
【実施例】
【0275】
実施例1a:
中心部Xaを生成するための1,1−ビス(トリエトキシシリルプロピル)−1,1−ビス(ジメチルホスホナト)メタン(化合物1)の重合
化合物1(640.8mg、1mmol、欧州特許出願公開第2572736A1号明細書の実施例1に記載されるように合成した)を三口丸底フラスコ内で20mlの水性80%エチレングリコールに溶解させた。反応フラスコに真空を適用した後で窒素ガスを充填することにより反応混合物を脱ガスした。この手順を3回繰り返した。その後、反応混合物を114℃で24時間撹拌した。透明溶液を室温に冷却した後、0.45μm滅菌フィルター(Pall Corporation)に通して濾過した。
実施例1a1.GPC保持時間:14.16分
・0.5mg/mlのアルブミン(ニワトリ卵白由来)溶液で得られたサイズ:DLS=7.0nm&GPCピーク保持時間=12.52分。
・GPC保持時間−Superose12 10/300GL、100mM NH
4CO3、pH=7.4、流量1ml/分。
【0276】
実施例1b:中心部Xbを生成するための化合物1の低速重合
20mlの中心部Xaを三口丸底フラスコ内で32mlのMilliQ水と混合した。反応フラスコに真空を適用した後で窒素ガスを充填することにより反応混合物を脱ガスした。この手順を3回繰り返した。その後、反応混合物を114℃で24時間撹拌した。化合物1(5.126g、8mol)を128mlのエチレングリコールに溶解させ、シリンジポンプを用いて100mMリンの最終濃度まで反応フラスコに注入した。ポンプ注入設定は200μl/分、選択シリンジサイズは50、および使用注入シリンジは50mlであった。1時間当たり15分間のみ溶液を注入するようにタイマーをポンプに接続した。反応混合物を122℃の設定温度で49時間撹拌加熱した。反応フラスコ内の実際の温度は、100℃(0mlの化合物1溶液の添加時)、103℃(50mlの化合物1溶液の添加後)、106℃(100mlの化合物1溶液の添加後)、112℃(すべての化合物1溶液の添加後)であった。透明溶液を室温に冷却した後、速度5.0でWatson Marlowポンプを用いてWhatmanガラスマイクロファイバーフィルター(直径50mm、Sigma−Aldrich)に通して濾過した。
実施例1b1.GPC保持時間:14.02分
【0277】
実施例1c:中心部Xcを生成するための1,1−ビス(トリエトキシシリルプロピル)−1,1−ビス(ジメチルホスホナト)メタン(化合物1)の重合
化合物1(48.36g、75mmol、欧州特許出願公開第2572736A1号明細書の実施例1に記載されるように合成した)を800mlのエチレングリコールに溶解させ、次いで、油循環用の温度コントローラー(Huber ministat240)を備えたジャケット付き2L反応器内で200mlのMilliQ水で希釈した。反応フラスコに真空を適用した後で窒素ガスを充填することにより反応混合物を脱ガスした。この手順を3回繰り返した。反応混合物を120℃で33時間撹拌加熱した。透明溶液を室温に冷却した後、MilliQ水で2Lに希釈した。1M Trizma塩基でpHを7.4に調整し、溶液を0.2μm殺菌迅速フローフィルター(Nalgene)に通して濾過した。
実施例1c1.GPC保持時間:10.28分
DLS流体力学的直径:15.3nm
・0.5mg/mlのアルブミン(ニワトリ卵白由来)溶液で得られたサイズ:DLS=7.0nm&GPCピーク保持時間=12.52分。
GPC保持時間−Superose12 10/300GL、50mM NH
4CO
3、pH=7.4、流量1ml/分。
【0278】
実施例2:中心部Xへのポリ(エチレンオキシド)−シランの周辺部の付加。
一般的手順:水性80%エチレングリコール中の中心部X(20ml、100mM P)を三口丸底フラスコ内に配置し、3回の真空−窒素サイクルにより溶液を脱ガスした。その後、溶液を114℃に撹拌加熱した。次いで、個々の実施例2a〜eで以下に明記される周辺部のトリアルコキシシラン−PEG前駆体の溶液をシリンジポンプにより添加した。ポンプ注入設定は150μl/分、選択シリンジサイズは50、および使用注入シリンジは5mlであった。反応混合物を114℃で6時間撹拌加熱した。
【0279】
実施例2a:周辺部は2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、6〜9EG単位から誘導される。
1016μlの100%エチレングリコール中の2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン(90%、6〜9EG単位、508μl、1mmol、656mM)からなる溶液を46.4mMの最終濃度までシリンジポンプにより反応混合物に注入した。
実施例2a1.GPC保持時間(生成物):14.27分
【0280】
実施例2b:周辺部はメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン;90%9〜12EG単位から誘導される。
1232μlの100%エチレングリコール中のメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン(90%9〜12EG単位、616μl、1mmol、541mM)の溶液を45.8mMの最終濃度までシリンジポンプにより反応混合物に注入した。
実施例2b1.GPC保持時間(生成物):14.37分
実施例2b2.GPC保持時間(生成物):14.65分
【0281】
2c.予言的実施例:周辺部はメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン;16EG単位から誘導される。
26mlのエチレングリコールおよび1,4ジオキサン(11:15)の混合物に溶解されたメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン;16EG単位(1mmol、38mM)の溶液を21.7mMの最終濃度までシリンジポンプにより反応混合物に注入する。この場合、反応混合物を114℃で24時間撹拌加熱する。
【0282】
実施例2d:周辺部はメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン;44EG単位から誘導される。
26mlのエチレングリコールおよび1,4ジオキサン(11:15)の混合物に溶解されたメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン;44EG単位(2.133g、1mmol、38mM)の溶液を21.7mMの最終濃度までシリンジポンプにより反応混合物に注入した。この場合、反応混合物を114℃で24時間撹拌加熱した。
GPC保持時間(生成物):13.05分
【0283】
実施例2e:周辺部はメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリエトキシシラン、44EG単位から誘導される。
26mlのエチレングリコール:1,4ジオキサン(11:15)の混合物に溶解されたメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリエトキシシラン、44EG単位(2.175g、1mmol、38mM)の溶液を21.7mMの最終濃度までシリンジポンプにより反応混合物に注入した。ポンプ注入設定は150μl/分、選択シリンジサイズは50、および使用注入シリンジは50mlであった。この場合、反応混合物を114℃で24時間撹拌加熱した。
GPC保持時間(生成物):13.16分
【0284】
2f.予言的実施例:周辺部はメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン;44EG単位と2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン;6〜9EG単位との組合せから誘導される。
水性80%エチレングリコール中の中心部X(20ml、100mM P)を三口丸底フラスコ内に配置し、反応フラスコに真空を適用した後で窒素ガスを充填することにより溶液を脱ガスする。この手順を3回繰り返す。その後、溶液を114℃の温度に撹拌加熱する。次いで、26mlのエチレングリコール:1,4ジオキサン(11:15)の混合物に溶解されたメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン;44EG単位(2.133g、1mmol、38mM)の溶液を21.7mMの最終濃度までシリンジポンプにより反応混合物に注入する。ポンプ注入設定は150μl/分にすべきであり、選択シリンジサイズは50および使用注入シリンジは50mlである。反応混合物を114℃で24時間撹拌加熱する。次いで、508μlの100%エチレングリコール中の2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン(90%6〜9EG単位、254μl、0.5mmol、656mM)の溶液を10.7mMの最終濃度までシリンジポンプにより反応混合物に注入する。ポンプ注入設定は150μl/分にすべきであり、選択シリンジサイズは50および使用注入シリンジは5mlである。反応混合物を114℃で6時間撹拌加熱する。
【0285】
実施例3:ナノ構造体に付着するが共有結合されない周辺部モノマーを除去するためのナノ構造体のシリカゲル処理。
実施例2bからのナノ構造体を三口丸底フラスコ内に配置し、真空−窒素のサイクルを3回行うことにより溶液を脱ガスした。その後、溶液を114℃の温度に撹拌加熱した。窒素ガス流量を増加させてわずかな外圧を生成し、250mgのシリカゲル(細孔サイズ60Å、粒子サイズ40〜63μm、Sigma Aldrich)を三口丸底フラスコに添加した。反応混合物を114℃で1時間撹拌加熱した。透明溶液を室温に冷却した後、0.45μm滅菌フィルター(Pall Corporation)に通して濾過した。
実験1:0.37mmol化合物1。1.79mmol PEG9〜12。ICPによる予想Si/P比3.39。ICPによる最終Si/P比1.71、添加PEGの70%が除去されたことを示唆する。336mol%PEG除去。142%mol PEG残留。
実験2:1.12mmol化合物1。1.79mmol PEG9〜12。ICPによる予想Si/P比1.80。ICPによる最終Si/P比1.45、添加PEGの44%が除去されたことを示唆する。70mol%PEG除去。90mol%PEG残留。
【0286】
実施例4:実施例2に従って合成されたナノ構造体の限外濾過
実施例2からのナノ構造体の溶液をMilliQ H
2O(20ml)で希釈した。1M Tris塩基を用いてpHをpH2からpH7.0〜7.5に調整した。溶液を300kDaスピンフィルター(Vivaspin(登録商標)20、Sartorius)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離した。捕集透過物を50kDaスピンフィルター(Miilipore)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離して、ナノ構造体を結合しなかった遊離PEG−シランモノマーおよび小さい架橋PEG−シランオリゴマーを除去した。MilliQ水の添加および捕集保持物の濾過を繰返し行った。各添加後の遠心分離時間は、それぞれ、15分、10分、5分、5分、および5分であった。
実験1:1.12mmol化合物1。1.80mmol PEG9〜12。ICPによる予想Si/P比1.806。ICPによる最終Si/P比1.646、添加PEGの20%が除去されたことを示唆する。32mol%PEG除去。129%mol PEG残留。洗浄後の収率(ICPによる):P:20.7%。
GPC保持時間(生成物):12.82分
実験2:1.12mmol化合物1。1.80mmol PEG9〜12。ICPによる予想Si/P比1.806。ICPによる最終Si/P比1.634、添加PEGの21%が除去されたことを示唆する。34mol%PEG除去。127%mol PEG残留。洗浄後の収率(ICPによる):P:27.5%。
GPC保持時間(生成物):13.20分
【0287】
実施例4b.ナノ構造体を含有する溶液の限外濾過および透析濾過
実施例1cに従って合成された1Lのナノ構造体を5LのMilliQ水で希釈した。ナノ構造体を含有する溶液を300kDa Centramate Tシリーズカセット(Pall)に通してタンジェンシャルフロー濾過により濾過し、100kDa Centramate Tシリーズカセット(Pall)上で捕集した。
4b1:75mmol化合物1。濾過後の収率(ICPによる):P:29%。
GPC保持時間(生成物):10.32分
DLS流体力学的直径:12.7nm
【0288】
実施例5:ナノ構造体のイットリウム−89担持および限外濾過による精製。
塩化イットリウム六水和物(521.8mg、1.72mmol)を172mMの濃度になるように10mlのMilliQ水に溶解させた。実施例4に従って限外濾過した10mlのナノ構造体の溶液を撹拌し、600μlの172mM塩化イットリウム六水和物溶液を撹拌下で100μlのアリコートに添加した。溶液を室温で24時間混合した。その後、溶液を300kDaスピンフィルター(Vivaspin(登録商標)20、Sartorius)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離した。捕集透過物を100kDaスピンフィルター(Millipore)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離して遊離イットリウムイオンを除去した。MilliQ水を添加し、3500rpmおよび25℃で捕集保持物の濾過を5分間行った。捕集保持物の最終体積は約5mlである。
1.12mmol化合物1。1.80mmol PEG9〜12。0.114mmol Y。洗浄後の収率(ICP)P:46.9% Y:45.9%。実施例4および5の洗浄後の全収率P:12.9%。
Y添加後のGPCピーク。GPC保持時間:10.58分(生成物)、18.54分(塩)
限外濾過後のGPCピーク。GPC保持時間:10.76分(生成物)。18.54分のピーク高さの低減から遊離イットリウムイオンの99%が除去されたことが示唆される。
【0289】
実施例6:塩化カルシウムの存在下でのナノ構造体のイットリウム−89担持および限外濾過による精製。
塩化イットリウム六水和物(521.8mg、1.72mmol)を172mMの濃度になるように10mlのMilliQ水に溶解させた。塩化カルシウム(190.9mg、1.72mmol)を172mMの濃度になるように10mlのMilliQ水に溶解させた。116μlの172mM塩化カルシウム溶液(19.7μmol Ca)を実施例4に従って限外濾過した10mlのナノ構造体の溶液に添加し、混合物を56℃に撹拌加熱した。175μlの172mM塩化イットリウム六水和物溶液(30.1μmol)を撹拌下で添加した。溶液を56℃で1時間混合した。透明溶液を室温に冷却した後、300kDaスピンフィルター(Vivaspin(登録商標)20、Sartorius)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離した。捕集透過物を100kDaスピンフィルター(Millipore)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離して遊離イットリウムイオンを除去した。MilliQ水を添加し、3500rpmおよび25℃で捕集保持物の濾過を5分間行った。捕集保持物の最終体積は約5mlである。
限外濾過後の収率(添加出発材料と比較)(ICPによる):P:5.8%。Si:6.2%。Y:23.9%。
Y添加後のGPCピーク。GPC保持時間:11.00分(生成物)、18.68分(塩)
限外濾過後のGPCピーク。GPC保持時間:10.98分(生成物)、18.57分(塩)。18.57分のピーク高さの低減から遊離イットリウムイオンの96%が除去されたことが示唆される。
【0290】
実施例7:ナノ構造体X中に担持された他の金属イオン。
実施例7a:ナノ構造体X中に担持されたルテチウム。
実施例2aのナノ構造体の溶液(18ml、1.22mmol P)を18mlのMilliQ水で希釈した。塩化ルテチウム六水和物(669.8mg、1.72mmol)を172mMの濃度になるように10mlの水性40%エチレングリコールに溶解させた。塩化ルテチウム溶液(568μl、97.7μmol)をナノ構造体Xbに添加し、室温で24時間撹拌した。pH=1.93。1M Tris塩基を用いてpHを7.31に調整した。透明溶液を300kDaスピンフィルター(Vivaspin(登録商標)20、Sartorius)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離した。捕集透過物を100kDaスピンフィルター(Millipore)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離して遊離ルテチウムイオンを除去した。MilliQ水の添加および捕集保持物の濾過を繰返し行った。各添加後の遠心分離時間は、それぞれ、5分、5分、3分、3分、および3分であった。捕集保持物の最終体積は約6mlであった。
組成(ICP、モル比):P/Lu=7.04、P/Si=1.53、Si/Lu=10.79。
収率(%):P=17.1、Lu=29.6。
GPC保持時間:11.42分(生成物)、18.69分(塩)。
【0291】
実施例7b:ナノ構造体X中に担持されたウラン。
実施例2bのナノ構造体の水溶液(72ml、5.53mmol P)を72mlのMilliQ水で希釈した(pH=2.32)。6mlのこの溶液を2wt%の酢酸ウラニル(21.8μmol)と共に室温で18時間撹拌した。溶液を6mlのMilliQ水で希釈した。透明溶液を300kDaスピンフィルター(Vivaspin(登録商標)20、Sartorius)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離した。捕集透過物を50kDaスピンフィルター(Millipore)に移し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離して遊離ウランイオンを除去した。MilliQ水の添加および捕集保持物の濾過を繰返し行った。各添加後の遠心分離時間は、それぞれ、15分、10分、5分、5分、および5分であった。捕集保持物の最終体積は7mlであった。
GPC保持時間:13.11分(生成物)
【0292】
実施例7c:ナノ構造体X中に担持されたバリウム。
1M Tris塩基を用いて実施例2aのナノ構造体Xaの溶液(20ml、2mmol P)を5.15にpH調整した。溶液を反応フラスコ内に配置し、反応フラスコに真空を適用した後で窒素ガスを充填することにより脱ガスした。この手順を3回繰り返した。硝酸バリウム(38.4mg、146.9μmol)を173mMの濃度になるように0.847mlの水性40%エチレングリコールに溶解させた。硝酸バリウム溶液(847μl、146.9μmol)をナノ構造体Xaに添加し、室温で112時間撹拌した。その後、溶液を100℃に加熱し、エチレングリコール:99.5%エタノール(4mol:5mol)の1831μlの混合物中の架橋剤テトラエチルオルトシリケートの溶液(669μl、3.0mmol)にシリンジポンプにより注入した。2時間当たり15分間のみ溶液を注入するようにタイマーをポンプに接続した。ポンプ注入設定は150μl/分、選択シリンジサイズは100、および使用注入シリンジは2mlであった。反応混合物を100℃で48時間、続いて114℃で24時間撹拌加熱した。室温に冷却した後、透明溶液を25mlのMilliQ水で希釈した。pH=3.44。1M Tris塩基を用いてpHを7.06に調整した。溶液を100kDaスピンフィルター(Millipore)に移し、3500rpmおよび25℃で60分間遠心分離した。捕集透過物を10kDaスピンフィルター(Millipore)に移動し、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離して遊離バリウムイオンを除去した。MilliQ水の添加および捕集保持物の濾過を繰返し行った。各添加後の遠心分離時間は、それぞれ、30分、30分、15分、15分、および15分であった。捕集保持物の最終体積は17mlであった。
組成(ICP、モル比):Si/P=1.42、P/Ba=10.67、Si/Ba=15.12。
GPC保持時間:14.26分(生成物)
【0293】
実施例7d:中心部Xc中に担持されたガリウム。
実施例1cのナノ構造体の溶液(5ml、0.324mmol P)を64.74mM PになるようにMilliQ水で希釈した。ガリウム標準(1000mg/L、Fluka)を3.2mMの濃度になるようにMilliQ水に溶解させた。ガリウム溶液(920μl、13.2μmol)を中心部Xcに添加し、室温で1時間撹拌した。1M Tris塩基を用いてpHを7.4に調整した。透明溶液を10kDaスピンフィルター(Vivaspin(登録商標)20、Sartorius)に移し、3500rpmおよび25℃で15分間遠心分離した。MilliQ水を保持物に添加し、捕集保持物の濾過を行った。後の遠心分離時間は15分であった。捕集保持物の最終体積は約3mlであった。
組成(ICP、モル比):P/Ga=27.47、P/Si=0.926、Si/Ga=29.67
収率(%):P=100%(Ga=80%)。
GPC保持時間:10.23分(生成物)、19.17分(塩)。
【0294】
実施例8a:イットリウム−89含有ナノ構造体の安定性測定
イットリウム含有ナノ構造体を1mMイットリウムの濃度になるようにMilliQ水で希釈した。150μlのナノ構造体溶液を150μlの1mM EDTA 50mM Tris−HCl pH7.5と混合し、室温で1時間放置した。100μlの混合物を取り出してXXX−preというラベルを付けた。残りの200μlの溶液を0.5ml Amicon 10kDaスピンフィルターに入れて、13.4krpmで10分間遠心分離した。100μlの透過物を取り出してXXX−postというラベルを付けた。サンプル中のイットリウム濃度xxx−preおよびxxx−postをICP−AESにより決定した。以下の式を用いてイットリウム安定性を計算した。ここで、計算安定性は、EDTA処理後にナノ構造体中に残留するイットリウムの%を意味する。
Xb−2aのナノ構造体。イットリウム安定性94.6%。
Xcのナノ構造体。イットリウム安定性98.85±0.75%。
【0295】
実施例8b:ガリウム含有ナノ構造体の安定性測定
安定性測定の手順は実施例8aの場合と同じであった。Xcのナノ構造体。ガリウム安定性91.9±2.8%。
【0296】
実施例9:実施例1、2、4、5、7のナノ構造体の特徴付け。
【0297】
実施例10:粘度
実施例2bの周辺部を有するナノ構造体Xbの溶液に10P/Yの担持量で5.9mMイットリウムを担持した。毛管粘度計で粘度を測定した。イットリウム担持ナノ構造体の測定粘度は1.603±0.070mPa・sであった。
【0298】
実施例11:裸のナノ構造体を形成する化合物1の架橋および加熱によるPEG−シラン周辺部の化学修飾を裏付ける証拠。
実施例11a:FTIRは加熱による化合物1の化学修飾の指標となる。
80%水性エチレングリコール中の化合物1を実施例1aのときと同じように114℃で20時間加熱し、いくつかの時間点でフーリエ変換赤外分光法により分析した。898cm
−1(C−C炭化水素骨格振動)のピークが等しいピーク高さを与えるようにFTIRピークを規格化した。シロキサン基の関連ピーク波数は、1101cm
−1(Si−OEt)、1070cm
−1(Si−OEt)、954cm
−1(Si−OEt)、および835cm
−1(Si−OH)であった。これらのすべてのピークでピーク強度の減少が経時的に観測されたことから、エトキシシラン基の数およびヒドロキシルシラン基の数が減少することが示唆され、このことは架橋ポリマーネットワークを形成する化合物1の架橋と一致する。架橋終了後、25〜35%の未反応エトキシシラン基、さらには少量のヒドロキシシランが残留する。これは390〜450%の架橋度に対応する。
図9を参照されたい。
【0299】
ホスホネート基の関連ピーク波数は、1246cm
−1(R−P=O(OCH
3)
2 P−O振動)、1023cm
−1(P−OMe)、1013cm
−1(P−OH)、791cm
−1(P−OMe)、および757cm
−1(P−OMe)であった。これらのすべてのピークでピーク強度の減少が経時的に観測されたことから、メトキシホスホネート基の数が減少することが示唆される。1013cm
−1のピークはシランピークとオーバーラップしたため、ヒドロキシホスホネート基の存在は示唆されたが、定量できなかった。架橋終了後、10〜50%の未反応メトキシホスホネート基が残留する。
図10を参照されたい。
【0300】
実施例11b:FTIRは加熱によるPEG−シランモノマーの化学修飾の指標となる。
PEG−シランモノマー2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン;90%6〜9EG単位(PEG6〜9)およびメトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン;90%9〜12EG単位(PEG9〜12)のFTIRスペクトルと、114℃で7時間加熱した水性80%エチレングリコール中のPEG−シランモノマーのFTIRスペクトルとを比較した。これらの物質は、波数1093cm
−1(Si−O−Si)、1083cm
−1(Si−O−CH
3)、1040cm
−1(Si−O−Si)、および848cm
−1(Si−OH)のピークが化学的に異なることが、FTIRスペクトルから示された。PEG−シランモノマーを加熱した場合、1093cm
−1および1040cm
−1にピークが現れたことから、開鎖シロキサンSi−O−Si基の存在が示唆される。加熱PEG−シランモノマーで848cm
−1のピークの出現はSi−OH基の存在を示唆し、一方、加熱後の1083cm
−1のピークの消失はPEG−シランモノマーのSi−OCH
3メトキシシラン基の損失を示唆する。こうしたSi−OCH
3メトキシシラン基の消失およびSi−O−Si基の出現は、PEG−シランから中心部への共有結合の形成で予想されるものである。
図11および
図12を参照されたい。
【0301】
実施例12:ウランが担持されたナノ構造体XのTEMイメージング
ナノ構造体をMilliQ水で30倍希釈し、グロー放電に付されたカーボン400メッシュ銅グリッド上に3μlのサンプルを適用した。サンプルをUAR−EMSでネガティブ染色した。続いて、グリッドを超純水で洗浄し、100keV加速電圧で動作するFEI Tecnai10電子顕微鏡を用いてイメージングを行った。2k×2k Veleta CCDカメラ(Olympus Soft Imaging System)を用いて画像を取得した。8nm超の直径を有するいくつかの球状ナノ構造体が観測された。ナノ構造体は中心部(暗色コア)と周辺部(白色環)とを含有する。
図13を参照されたい。
【0302】
実施例13:in vivo:マウスモデルでの薬動学的試験。
ナノ構造体Xの溶液を20μmol Y/kgまたは20μmol Lu/kgおよび10ml/kgでマウスに5秒間静脈内投与
*した(n=2/試験アイテム)。投与後、動物を血液サンプル採取に付した。実験終了時、腎臓および肝臓を捕集した。イットリウムまたはルテチウムおよびケイ素の含有率に関してICP−AESにより注入ナノ構造体溶液、血漿サンプル、および消化組織サンプルを分析した。
【0303】
周辺部が欠如しているナノ構造体を含有する陰性対照例は、長い血中循環時間を得るために周辺部が重要であることを示す。
【0304】
ナノ構造体Xのごく一部は腎臓に分布する。
【0305】
実施例14:ラットモデルでの排泄試験
ラットへの静脈内注射後のナノ構造体Xの溶液の排泄パターンを調べた。ナノ構造体溶液を10μmol Y/kgおよび3.3ml/kgで20秒間静脈内投与した。次いで、ラットを個別の代謝ケージに24時間(N=3)または72時間(N=3)入れた。2匹の動物を対照動物として使用し、投与しなかった。試験全体にわたり24時間ごとに尿および糞便を捕集した。尿および糞便のサンプル採取の終了後、膀胱に残留する尿ならびに結腸および腸に残留する糞便を捕集した。イットリウム、ケイ素、およびリンの含有率に関してICP−AESにより注入ナノ構造体溶液を分析した。イットリウムおよびケイ素の含有率に関してICP−AESにより尿および糞便のサンプルを分析した。
【0306】
ナノ構造体Xは主に糞便を介して排出され、尿を介する排泄は最小限に抑えられた。
【0307】
15.予言的実施例。アクチニウム−225(
225Ac)、銅−62(
62Cu)、銅−64(
64Cu)、銅−67(
67Cu)、ガリウム−67(
67Ga)、ガリウム−68(
68Ga)、ホルミウム−166(
66Ho)、インジウム−111(
111In)、鉛−212(
212Pb)、ルテチウム−177(
177Lu)、ラジウム−223(
223Ra)、レニウム−186(
186Re)、レニウム−188(
188Re)、ルビジウム−82(
82Rb)、サマリウム−153(
153Sm)、ストロンチウム−89(
89Sr)、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)、タリウム−201(
201Ti)、トリウム−227(
227Th)、イットリウム−86(
86Y)、イットリウム−90(
90Y)、またはジルコニウム−89(
89Zr)によるナノ構造体の放射性種担持。
実施例2bの周辺部を有する20mlの空のナノ構造体Xb(出発材料2mmol P)を調製し、実施例5に従って300kDa〜50kDaで限外濾過し、および1M Tris塩基を用いて7.0〜7.5にpH調整する。ナノ構造体溶液を20mM Pに希釈する。4mlのMilliQ水に143.8ngのイットリウム−90を溶解させることにより水中の0.4μMカチオンイットリウム−90溶液を調製する。283.2ngのルテチウム−177(または0.4μMのカチオンアクチニウム−225(
225Ac)、銅−62(
62Cu)、銅−64(
64Cu)、銅−67(
67Cu)、ガリウム−67(
67Ga)、ガリウム−68(
68Ga)、ホルミウム−166(
166Ho)、インジウム−111(
111In)、鉛−212(
212Pb)、ラジウム−223(
223Ra)、レニウム−186(
186Re)、レニウム−188(
188Re)、ルビジウム−82(
82Rb)、サマリウム−153(
153Sm)、ストロンチウム−89(
89Sr)、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)、タリウム−201(
201Tl)、トリウム−227(
227Th)、イットリウム−86(
86Y)、またはジルコニウム−89(
89Zr))を4mlのMilliQ水に溶解させることにより、水中の0.4μMカチオンルテチウム−177溶液を調製する。
【0308】
磁気撹拌子を用いてそれぞれ室温または50℃で4mlの空のナノ構造体(20mM P)と4mlの放射性核種溶液(0.4μM)とを1時間混合することにより、ナノ構造体+放射性核種の混合溶液1および2を調製する。したがって、混合溶液は10mM Pおよび0.2μM放射性核種(50000P/放射性核種)を含有するであろう。
【0309】
次のように各溶液を濾過する。すなわち、1時間後、3500rpmおよび25℃で30分間遠心分離される300kDaスピンフィルター(Vivaspin(登録商標)20、Sartorius)によりナノ構造体を濾過する。透過物を10kDaスピンフィルター(Millipore)に移し、3500および25℃で30分間遠心分離する。MilliQ水の添加および捕集保持物の濾過を繰返し行う。各添加後の遠心分離時間は、それぞれ、10分、10分、および10分である。残留保持物をMilliQ水で4mlに希釈する。
【0310】
16.予言的実施例。アクチニウム−225(
225Ac)、銅−62(
62Cu)、銅−64(
64Cu)、銅−67(
67Cu)、ガリウム−67(
67Ga)、ガリウム−68(
68Ga)、ホルミウム−166(
166Ho)、インジウム−111(
111In)、鉛−212(
212Pb)、ルテチウム−177(
177Lu)、ラジウム−223(
223Ra)、レニウム−186(
186Re)、レニウム−188(
188Re)、ルビジウム−82(
82Rb)、サマリウム−153(
153Sm)、ストロンチウム−89(
89Sr)、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)、タリウム−201(
201Tl)、トリウム−227(
227Th)、イットリウム−86(
86Y)、イットリウム−90(
90Y)、またはジルコニウム−89(
89Zr)を含有するナノ構造体の安定性の測定。
実施例15の各ナノ構造体X/放射性核種の溶液に対して、250μl溶液を250μl MilliQ水またはラット血漿と混合し、室温で6時間または24時間インキュベートする(4サンプル/実施例15の溶液)。インキュベーション後、各サンプルに対して100μlの混合物を取り出してxxx−preというラベルを付ける。200μlの溶液を0.5ml Amicon 10kDaスピンフィルターに入れて、13.4krpmで10分間遠心分離する。100μlの透過物を取り出してxxx−postというラベルを付ける。xxx−preおよびxxx−postでα線、β線、またはγ線を測定する。以下の式を用いて放射性核種安定性(濾過後にナノ構造体中に残留する放射性核種の%)を計算する。
【0311】
17.予言的実施例。90Y担持ナノ構造体を用いた固形腫瘍の治療
非密封放射線源を用いた治療の規格を満たしかつ国内規制に基づいてライセンスが付与された施設で、放射性核種を用いた療法を行う。調製および投与の手順に従事する者は、放射性核種を使用するための所要の資格を有して適切な認可を受けていなければならない。放射性核種の調製および投与に使用される使い捨て可能な装置はすべて、放射性廃棄物として処分しなければならず、残った放射性核種は、認可された放射性崩壊物受取り機関に戻さなければならない。
【0312】
放射性種担持ナノ構造体の調製:ナノ構造体を調製する者は、プラスチック手袋、使い捨て可能な防水性ガウン、および目の保護具を着用しなければならない。準備の手順は、少なくとも1cmの厚さのパースペックスシールドまたは鉛担持パースペックスシールドを用いて掴持ツールの鉗子およびトングにより行われる。ナノ構造体は、単回用量の
90Y担持ナノ構造体を生成するために必要とされる非放射性成分、さらには配合緩衝溶液をボトル中および空の反応バイアル中に含有するキットとして供給される。放射性成分である担体フリーの医薬グレードの
90Yは、製造業者からの注文により個別に入手される。担体フリーの
90Yは、キットに付属する詳細な使用説明書に従って、提供された空の反応バイアル中でナノ構造体および緩衝液に添加される。調製のすべての段階で滅菌技術が使用される。担持後、ナノ構造体は2〜8℃で貯蔵され、8時間以内に投与される。
【0313】
投与:放射性種担持ナノ構造体の投与前、投与に供される溶液の活性を測定する。
90Y担持ナノ構造体は、三方バルブラインを介して直接にまたはシールドされた遠隔注入システムを用いて静脈内注入として投与される。ラインフィルターが使用される。注入後、放射性医薬剤の全用量を確実に投与するために、少なくとも10mlの塩化ナトリウム(0.9%)溶液を用いてラインをフラッシュする。注入が終了し、適正な時間(20〜30分間)にわたり副作用の観察が行われた後、患者は解放される。注入された放射性核種の半減期は短いため、周囲への有意なリスクを伴わず、患者は投与直後に解放可能である。
【0314】
18.予言的実施例。
99mTc
3+担持ナノ構造体を用いた固形腫瘍の診断イメージング
γイメージングのためのキットとして供給された
99mTc
3+担持ナノ構造体の調製および投与は、放射線療法のための
90Y担持ナノ構造体の調製および投与と同じように殺菌状態で行われる。しかしながら、γ放射放射性核種を取り扱う場合、ある特定の対策および規制が患者および作業者の安全ガイドラインに適合化される。調製された
99mTc
3+担持ナノ構造体は、静脈カテーテル注入として注入され、続いて、正常生理食塩水を用いてフラッシュされる。イメージングは注入の1〜12時間後に行われる。
【0315】
実施例19:in−vivo実験、腫瘍へのYの局在化。
あらかじめ不死化腫瘍細胞系PC−3が接種されたマウス(N=3)に実施例Xb−2bのナノ構造体を10μmol Y/kg
*、および2.5ml/kgで静脈内投与した。腫瘍は約直径7mmであった。24時間後、動物を屠殺し、腫瘍を捕集した。イットリウム、ケイ素、およびリンの含有率に関してICP−AESにより注入試験アイテムを分析した。イットリウムおよびケイ素の含有率に関してICP−AESにより消化腫瘍サンプルを分析した。Yの注射された用量のうちの0.8%の一部分は、24時間後の腫瘍に見いだされた。
【0316】
*溶液を中性(pH7.4)になるように配合し、電解質平衡させ(1.4eq.CaCl
2添加/eq.Y)、かつ血液と等浸透圧にした(マンニトール添加)。
【0317】
20.予言的実施例。キレート化基としてDOTAおよび周辺部としてポリ(エチレングリコール)を有するポリエチレイミン系分岐中心部を備えたナノ構造体の調製。
m−PEG−COOH(平均Mw5000g/mol、約100モノマー単位、100mg、20μmol)を水(2ml)に溶解させ、その後、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム塩(Mw217g/mol、10mg、46μmol)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(Mw192g/mol、10mg、52mol)を添加した。反応混合物を2日間撹拌状態にする。次いで、この溶液にポリエチレンイミンを添加する(水中50重量%、Mw300000、pH7で測定された流体力学的直径34nm、一ナノ構造体では3631nm
2の「表面積」に対応するため、1PEG/nm
2の被覆にするには5nmol(=1.5mg)のPEIが必要とされる)。反応混合物を2日間撹拌状態にする。DOTA−モノ−NHS−トリス(t−Buエステル)HPF
6塩(Macrocyclics,USA、Mw815、0.8mg、1μmol)を添加し、混合物をさらに2日間撹拌する。材料のζ電位を測定し、必要に応じてζ電位がゼロに近くになるまで少量の無水コハク酸を添加する。
【0318】
実施例21:実施例2aのナノ構造体への放射性
90Yの結合。
イットリウム−90を150μLの水性溶液として送達した。また、許容レベルの放射能を達成するために、この溶液を水中400mLの0.4μMイットリウム−89で希釈した。この希釈液は実験アウトカムを妨害していないと考えられた。この溶液のうちの4mLの溶液を実施例2bのナノ構造体の4mLの溶液と20mMリンの濃度で混合した。これを2回行い、一方の混合物は続いて室温(r.t.)で1時間撹拌し(溶液1)、他方は50℃で1時間撹拌した(溶液2)。両方の溶液でβ線が観測された。このために、100μLのアリコートを採取して20mLに希釈し、信頼性のある測定を行うのに適切なレベルの放射線を得た。結果は表6に示される。
【0319】
15mL10kDaスピンフィルターを用いて両方の溶液を濾過した。実用上の制約から、溶液を1000gで1時間濾過し、透過物を除去し、保持物を15mLに希釈した。また、もう1回濾過を行った。この濾過もまた1000gで行い、20分後に終了と判断した。この最後の洗浄および濾過ステップは3回繰り返した。濾過後、残留溶液を4mLに希釈し、100μLのアリコートを再度採取して20mLに希釈し、β線を測定した。測定された活性は表7に示される。
【0320】
溶液は表6の2倍の濃度であるため、活性を比較するために2で除算した。溶液1の測定は表6の128分後に行ったため、イットリウム−90の速い減衰を考慮して、数値を2.59×10
5cpmに補正しなければならない。これは元の溶液の81.2%である。溶液2の測定は最初の表1の88分後に行ったため、この場合の補正活性は3.04×10
5cpmである。これは元の溶液の91.3%である。ブランクも測定したが55.1cpmであったため、無視しうると判断した。
【0321】
翌日、250μLの溶液1または2を250μLの水またはヒト血漿に添加することにより8つの混合物を作製した。次いで、これらの混合物を6時間または24時間インキュベートし、表8に示されるようにラベルを付けた。
【0322】
インキュベーション後、100μLを取り出して20mLに希釈し、濾過前測定のためのサンプルを得た。300μLの混合物を0.5mL Amicon 10kDaスピンフィルターに通して濾過した。また、100μLの濾液を採取して20mLに希釈し、濾過後にサンプルを得た。すべてのサンプルの測定を行った。結果は表9に示される。次いで、各溶液の放射性同位体の安定性を計算可能であり、それも与えられている。
【0323】
表9に示されるように、濾過後および濾過前のサンプル間の差は著しく大きい。計算された放射性同位体安定性は、ほとんどすべての場合で100%に近い。濾過前および濾過後のサンプルは互いに1時間以内で測定したため、崩壊の調整は行わなかった。溶液2aの場合のみ、濾過後にサンプルでいくらか有意な活性が測定されたが、この異常についての説明はなく、測定誤差と思われる。しかしながら、この例外でさえも99.6%の放射性同位体安定性を与える。
【0324】
放射性同位体イットリウム−90は、Perkin Elmerから0.05M HCl中の塩化イットリウム(III)として入手した。比放射能は500Ci/mgであった。冷塩化イットリウム(III)はSigma Aldrichから購入した。β線はBeckman LS 6500液体シンチレーションカウンターを用いて定量した。サンプルは20分間処理し、2回の実験の平均値が与えられる。
【0325】
具体的な実施形態
1.中心部が6〜90nmの計算直径(D
c)を有しかつ周辺部がD
h=D
c+2T
pまたはT
p=(D
h−D
c)/2となるように推定厚さ(T
p)を有する中心部と周辺部とを含む、8〜100nmの流体力学的直径(D
h)を有する球状ナノ構造体であって、
前記中心部が、
(i)モノマー残基を含む架橋高分子骨格であって、モノマー残基の少なくとも30個数%が架橋して、それにより架橋高分子骨格を形成する、架橋高分子骨格、および/または
(ii)モノマー残基を含む分岐高分子骨格であって、分岐点の数がモノマー残基の数の少なくとも30%である、分岐高分子骨格
を含み、
前記中心部がキレート化基を含み、キレート化基の少なくとも4個が少なくとも1個の多荷電カチオンのキレート化を可能にし、前記キレート化基が−COOR
1、−P=O(OR
1)(OR
2)、および−S(=O)
2OR
1(式中、R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択される)からなる群から独立して選択され、
前記周辺部が、中心部に共有結合された合成ポリマー材料を含み、合成ポリマー材料が、親水性かつ生体不活性かつ電気的中性または双性イオン性である、球状ナノ構造体。
【0326】
2.実施形態1に記載の球状ナノ構造体であって、
(i)架橋高分子骨格がモノマー残基を含み、モノマー残基の少なくとも50個数%が架橋して、それにより架橋高分子骨格を形成し、および/または
(ii)分岐高分子骨格がモノマー残基を含み、分岐点の数がモノマー残基の数の少なくとも50%である、球状ナノ構造体。
【0327】
3.実施形態1または2に記載の球状ナノ構造体であって、R
1およびR
2が独立して負電荷、H、またはメチルである、球状ナノ構造体。
【0328】
4.実施形態1〜3の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、8〜50nmの流体力学的直径を有する、球状ナノ構造体。
【0329】
5.実施形態1〜4の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、8〜20nmの流体力学的直径を有する、球状ナノ構造体。
【0330】
6.実施形態1〜5の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、流体力学的直径D
hが8〜20nmであり、中心部の推定直径D
cが6〜15nmであり、かつ周辺部の厚さが1〜2.5nmである、球状ナノ構造体。
【0331】
7.実施形態1〜6の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、前記キレート化基がジェミナルビスホスホネート基を含む、球状ナノ構造体。
【0332】
8.実施形態1〜7の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、前記キレート化基が、
>C(P=O(OR
1)(OR
2))
2
(式中、
R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
>Cは、前記架橋または分岐高分子骨格に結合されるかまたはその一部を形成する炭素原子を表す)
として互いに独立して組み込まれるジェミナルビスホスホネート基を含む、球状ナノ構造体。
【0333】
9.実施形態1〜7の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、前記キレート化基が、複数のホスホネート基
−P=O(OR
1)(OR
2)
(式中、R
1およびR
2は、負電荷、H、アルキル、またはアリールから独立して選択され、ただし、R
1またはR
2の少なくとも1つがHである場合、得られるホスホン酸はpH依存的にイオン化される)
を含む、球状ナノ構造体。
【0334】
10.実施形態1〜9の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、ホスホネートを含み、ホスホネートが遊離ホスホネートと前記ホスホネートのメチルエステルとの混合物である、球状ナノ構造体。
【0335】
11.実施形態1〜10の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、架橋ポリマー骨格がポリエチレンから誘導される、球状ナノ構造体。
【0336】
12.実施形態1〜10の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、架橋ポリマー骨格がポリスチレンから誘導される、球状ナノ構造体。
【0337】
13.実施形態1〜10の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、架橋ポリマー骨格がポリアクリル酸から誘導される、球状ナノ構造体。
【0338】
14.実施形態1〜10の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、架橋ポリマー骨格が炭化水素ネットワークから誘導される、球状ナノ構造体。
【0339】
15.実施形態14に記載の球状ナノ構造体であって、炭化水素ネットワークが架橋ポリエチレンを含む、球状ナノ構造体。
【0340】
16.実施形態14に記載の球状ナノ構造体であって、炭化水素ネットワークが架橋ポリスチレンを含む、球状ナノ構造体。
【0341】
17.実施形態1〜16の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、前記中心部がホモポリマーを含み、600%の架橋剤の添加に対応してモノマー中に架橋能を有する6個の基が存在し、かつ200〜500%の架橋が達成されることに対応してそのうちの2〜5個が実際に架橋を形成する、球状ナノ構造体。
【0342】
18.実施形態1〜16の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、添加される架橋剤のパーセントが30〜100%である、球状ナノ構造体。
【0343】
19.実施形態1〜16または17の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、達成される架橋度が30〜100%である、球状ナノ構造体。
【0344】
20.実施形態1〜16の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、達成される分岐度が30〜100%である、球状ナノ構造体。
【0345】
21.実施形態1〜16の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、達成される架橋度が200〜400%である、球状ナノ構造体。
【0346】
22.実施形態1〜16の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、添加される架橋剤の%が500〜600%である、球状ナノ構造体。
【0347】
22.実施形態1〜21の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、高分子骨格がトリアルコキシオルガノシランR
12−Si(OR
13)
3(式中、R
12はHまたは有機残基であり、かつR
13は独立して低級アルキルまたはアリールである)の縮合重合により形成されたものである、球状ナノ構造体。
【0348】
23.実施形態22に記載の球状ナノ構造体であって、モノマー中に2個のアルコキシシラン基が存在する、球状ナノ構造体。
【0349】
24.実施形態23に記載の球状ナノ構造体であって、前記アルコキシシランが1〜10個の炭素原子により分離されている、球状ナノ構造体。
【0350】
25.実施形態23または24に記載の球状ナノ構造体であって、前記アルコキシシランが3〜9個の炭素原子により分離されている、球状ナノ構造体。
【0351】
26.実施形態23〜25の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、前記アルコキシシランが7個の炭素原子によりが分離されている、球状ナノ構造体。
【0352】
27.実施形態23〜26の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、2個のホスホネート基がR
12基の一部である、球状ナノ構造体。
【0353】
28.実施形態23〜27の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、前記2つのアルコキシシランが7個の炭素原子により分離されており、かつ2個のホスホネート基はR
12基の一部である、球状ナノ構造体。
【0354】
29.実施形態23〜28の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、高分子骨格を形成するモノマーが一般構造:
{(R
1)(R
2)PO}
2−(C){(CH
2)
nSi(OR
14)(OR
15)(OR
16)}{(CH
2)
nSi(OR
17)(OR
18)(OR
19)}
(式中、
R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、およびR
19は、低級アルキルおよびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
n=1〜5である)
を有する、球状ナノ構造体。
【0355】
30.実施形態1〜29の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、前記モノマー残基が、構造(R
3O)(R
4O)(R
5O)Si−(CH
2)
nC(P=O(OR
1)(OR
2))
2−(CH
2)
n−Si(OR
6)(OR
7)(OR
8)(式中、R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、かつR
3、R
4、R
5、R
6、R
7、およびR
8は、負電荷、H、低級アルキル、および高分子ネットワークへの結合からなる群から独立して選択され、かつn=1〜5であり、その結果として、高分子骨格は−O−Si結合により形成されたものであり、ケイ素原子は以上の構造中のケイ素原子である)を有するモノマー残基を含む、球状ナノ構造体。
【0356】
31.実施形態30に記載の球状ナノ構造体であって、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、およびR
8がすべてエチル基である、球状ナノ構造体。
【0357】
32.実施形態29〜31の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、n=3である、球状ナノ構造体。
【0358】
33.実施形態1〜32の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、分岐高分子骨格を形成するモノマー残基が、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、超分岐ポリオール、および超分岐トリアジンからなる群から独立して選択される、球状ナノ構造体。
【0359】
34.実施形態33に記載の球状ナノ構造体であって、分岐高分子骨格を形成するモノマー残基がポリエチレンイミンである、球状ナノ構造体。
【0360】
35.実施形態35に記載の球状ナノ構造体であって、ポリエチレンイミンが40〜60%の分岐度を有する、球状ナノ構造体。
【0361】
36.実施形態34または35に記載の球状ナノ構造体であって、ポリエチレンイミンが、−COOR
1、−P=O(OR
1)(OR
2)、および−S(=O)
2OR
1(式中、R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択される)からなる群から独立して選択されるキレート化基で修飾される、球状ナノ構造体。
【0362】
37.実施形態34〜36に記載の球状ナノ構造体であって、カルボキシレートなどの負荷電基の数が生理的pHで全ナノ構造体を中性にするように導入可能である、球状ナノ構造体。
【0363】
38.実施形態1〜37の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、前記周辺部が電気的中性の合成ポリマー材料を含む、球状ナノ構造体。
【0364】
39.実施形態1〜38の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、前記周辺部が、A−(O−CH
2CH
2)
mOR
9(式中、m=2〜100であり、かつR
9はHまたは低級アルキルであり、かつA、m、およびR
9は、前記高分子骨格に結合される基であり、Aは、
−OSiR
10(CH
2)
o−(式中、R
10はHまたはC
1〜C
8炭化水素からなる群から選択され、かつo=2〜5である)、
−OSi(OR
11)
2(CH
2)
o−(式中、R
11は高分子骨格への共有結合、H、およびC
1〜C
8炭化水素からなる群から独立して選択され、かつo=2〜5である)、
−NR
10−C=O−(CH
2)
n−(式中、R
10は以上の通りであり、かつn=1〜5である)、
−O−C=O−(CH
2)
n−(式中、n=2〜5である)、
−NR
10−(CH
2)
o−(式中、R
10は以上の通りであり、かつo=2〜5である)、
−(CH
2)
o−(式中、o=2〜5である)、
−O−(CH
2)
o−(式中、o=2〜5である)、および
−SX
2−(CH
2)
n−(式中、Xは独立して無またはOであり、かつn=1〜5である)
からなる群から選択される)からなる群から選択される合成高分子材料を含む、球状ナノ構造体。
【0365】
40.実施形態39に記載の球状ナノ構造体であって、前記中心部と前記周辺部との間の境界の1nm
2当たり0.5〜2個の結合されたA−(O−CH
2CH
2)
nOR
9基が存在する、球状ナノ構造体。
【0366】
41.実施形態39または40に記載の球状ナノ構造体であって、前記中心部と前記周辺部との間の境界の1m
2当たり0.5〜2μmolの結合された前記A−(O−CH
2CH
2)
nOR
9基が存在する、球状ナノ構造体。
【0367】
42.実施形態39〜41の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、A−(O−CH
2CH
2)
nOR
9が中心部に共有結合される、球状ナノ構造体。
【0368】
43.実施形態1〜37の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、前記周辺部が双性イオン性合成ポリマー材料を含む、球状ナノ構造体。
【0369】
45.実施形態1〜43の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、キレート化基が、アミド結合を介して高分子骨格に結合されたDOTAを含む、球状ナノ構造体。
【0370】
46.実施形態1〜22および30の何れかに記載の球状ナノ構造体であって、前記モノマー残基が、構造(R
20)(R
21)C(P=O(OR
1)(OR
2))
2
(式中、
R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、
R
20は、−(CH
2)
nCO−(ここで、カルボニル基が高分子骨格への結合を形成する)であり、
R
21は、HまたはOHであり、かつ
n=1〜5である)
を有するモノマー残基を含む、球状ナノ構造体。
【0371】
47.実施形態46に記載の球状ナノ構造体であって、n=1である、球状ナノ構造体。
【0372】
48.実施形態46または47に記載の球状ナノ構造体であって、R
20およびR
21が独立して−(CH
2)
n−SiO
3(式中、n=1〜5である)であり、かつシランがSi−O−Si結合の形成により前記高分子骨格の一部である、球状ナノ構造体。
【0373】
49.実施形態48に記載の球状ナノ構造体であって、R
20およびR
21が独立して−(CH
2)
n−SiO
3(式中、n=3である)である、球状ナノ構造体。
【0374】
50.実施形態1〜49の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、前記周辺部が、共有結合された線形、中性、合成、生体不活性、親水性のポリマーを含む、球状ナノ構造体。
【0375】
51.実施形態1〜50の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、周辺部がポリエチレングリコールの共有結合誘導体を含む、球状ナノ構造体。
【0376】
52.実施形態51に記載の球状ナノ構造体であって、周辺部がメチル末端ポリエチレングリコールの共有結合誘導体を含む、球状ナノ構造体。
【0377】
53.実施形態51または52に記載の球状ナノ構造体であって、周辺部がポリエチレングリコールの共有結合分岐誘導体を含む、球状ナノ構造体。
【0378】
54.実施形態53に記載の球状ナノ構造体であって、ポリエチレングリコールの共有結合分岐誘導体が、
(式中、Rは前記中心部であり、かつmは独立して3〜100である)
である、球状ナノ構造体。
【0379】
55.実施形態1〜49の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、周辺部が架橋ポリアクリルアミドを含む、球状ナノ構造体。
【0380】
56.実施形態1〜49の何れか1つに記載の球状ナノ構造体であって、周辺部がデキストランを含む、球状ナノ構造体。
【0381】
57.実施形態1〜56の何れか1つに記載の球状ナノ構造体を含む組成物であって、前記ナノ構造体の数平均分子量が50000〜300000000Daであり、かつ平均流体力学的直径が8nm超である、組成物。
【0382】
58.実施形態57に記載の組成物であって、平均分子量が50000〜50000000Daである、組成物。
【0383】
59.実施形態57または58に記載の組成物であって、前記ナノ構造体の平均流体力学的直径が8〜100nmである、組成物。
【0384】
60.実施形態57〜59の何れか1つに記載の組成物であって、前記ナノ構造体の平均流体力学的直径が8〜50nmである、組成物。
【0385】
61.実施形態57〜60の何れか1つに記載の組成物であって、前記ナノ構造体の平均流体力学的直径が8〜20nmである、組成物。
【0386】
62.実施形態57〜61の何れか1つに記載の組成物であって、ナノ構造体の10個数%以下が8nm未満である、組成物。
【0387】
63.実施形態57〜62の何れか1つに記載の組成物であって、ナノ構造体の1個数%以下が8nm未満である、組成物。
【0388】
64.実施形態57〜63の何れか1つに記載の組成物であって、ナノ構造体の0.1個数%以下が8nm未満である、組成物。
【0389】
65.実施形態57〜64の何れか1つに記載の組成物であって、前記哺乳動物に前記組成物が静脈内投与された後、24時間以内にナノ構造体の10重量%以下が哺乳動物の尿中に排出される、組成物。
【0390】
66.実施形態57〜65の何れか1つに記載の組成物であって、前記哺乳動物に前記組成物が静脈内投与された後、24時間以内にナノ構造体の1重量%以下が哺乳動物の尿中に排出される、組成物。
【0391】
67.実施形態57〜66の何れか1つに記載の組成物であって、前記哺乳動物に前記組成物が静脈内投与された後、24時間以内にナノ構造体の0.1重量%以下が哺乳動物の尿中に排出される、組成物。
【0392】
68.実施形態57〜67の何れか1つに記載の組成物であって、前記哺乳動物がマウス、ラット、またはヒトである、組成物。
【0393】
69.実施形態57〜68の何れか1つに記載の組成物であって、前記組成物が、ナノ構造体の他に薬学的に許容可能な担体および/またはアジュバントを含む医薬組成物である、組成物。
【0394】
70.実施形態57〜69の何れか1つに記載の組成物であって、前記ナノ構造体にキレート化された少なくとも1種の放射性核種をさらに含む、組成物。
【0395】
71.実施形態70に記載の組成物であって、中心部が各放射性核種に利用可能な少なくとも4個のキレート化基を含むことを条件として平均数比(結合放射性核種):ナノ構造体が0.1〜20000/ナノ構造体である、組成物。
【0396】
72.実施形態70または71に記載の組成物であって、前記放射性核種がイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含む、組成物。
【0397】
73.実施形態72に記載の組成物であって、イメージングおよび/または放射線療法のための前記放射性核種が、アクチニウム−225(
225Ac)、銅−62(
62Cu)、銅−64(
64Cu)、銅−67(
67Cu)、ガリウム−67(
67Ga)、ガリウム−68(
68Ga)、ホルミウム−166(
166Ho)、インジウム−111(
111In)、鉛−212(
212Pb)、ルテチウム−177(
177Lu)、ラジウム−223(
223Ra)、レニウム−186(
186Re)、レニウム−188(
188Re)、ルビジウム−82(
82Rb)、サマリウム−153(
153Sm)、ストロンチウム−89(
89Sr)、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)、タリウム−201(
201Tl)、トリウム−227(
227Th)、イットリウム−86(
86Y)、イットリウム−90(
90Y)、およびジルコニウム−89(
89Zr)からなる群から選択される、組成物。
【0398】
74.実施形態72または73に記載の組成物であって、前記放射性核種がイメージングのための放射性核種を含む、組成物。
【0399】
75.実施形態74に記載の組成物であって、前記放射性核種がPETイメージングのための放射性核種を含む、組成物。
【0400】
76.実施形態75に記載の組成物であって、PETイメージングのための前記放射性核種がガリウム−68(
68Ga)である、組成物。
【0401】
77.実施形態74に記載の組成物であって、前記放射性核種がSPECTイメージングのための放射性核種を含む、組成物。
【0402】
78.実施形態77に記載の組成物であって、SPECTイメージングのための前記放射性核種がトリカチオン形(
99mTc
3+)のテクネチウム−99mである、組成物。
【0403】
79.実施形態72〜78の何れか1つに記載の組成物であって、前記放射性核種が放射線療法のための放射性核種を含む、組成物。
【0404】
80.実施形態79に記載の組成物であって、放射線療法のための前記放射性核種がイットリウム−90(
90Y)である、組成物。
【0405】
81.実施形態72または73に記載の組成物であって、イメージングおよび/または放射線療法のための前記放射性核種がルテチウム−177(
177Lu)である、組成物。
【0406】
82.実施形態70〜81の何れか1つに記載の組成物であって、請求項69に従属する場合、医薬組成物が非経口注射に供すべく製剤化される、組成物。
【0407】
83.実施形態70〜81の何れか1つに記載の組成物であって、請求項69に従属する場合、医薬組成物が静脈内注射に供すべく製剤化される、組成物。
【0408】
84.実施形態70〜81の何れか1つに記載の組成物であって、請求項69に従属する場合、医薬組成物が直腸投与に供すべく製剤化される、組成物。
【0409】
85.実施形態70〜84の何れか1つに記載の組成物であって、軟組織腫瘍を診断および/または治療する方法に使用するための組成物。
【0410】
86.実施形態70〜84の何れか1つに記載の組成物であって、転移疾患を治療および/または診断する方法に使用するための組成物。
【0411】
87.軟組織腫瘍の診断および/または治療に供すべく医薬組成物を生産するための、実施形態70〜84の何れか1つに記載の組成物の使用。
【0412】
88.転移疾患の診断および/または治療に供すべく医薬組成物を生産するための、実施形態70〜84の何れか1つに記載の組成物の使用。
【0413】
89.軟組織腫瘍の診断および/または治療に供すべく医薬組成物を生産するための、実施形態1〜56の何れか1つに記載の球状ナノ構造体と放射性核種との使用。
【0414】
90.転移疾患の診断および/または治療に供すべく医薬組成物を生産するための、実施形態1〜56の何れか1つに記載の組成物と放射性核種との使用。
【0415】
91.実施形態88または90に記載の使用であって、前記放射性核種がイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種を含む、使用。
【0416】
92.実施形態89〜91の何れか1つに記載の使用であって、前記放射性核種が、アクチニウム−225(
225Ac)、銅−62(
62Cu)、銅−64(
64Cu)、銅−67(
67Cu)、ガリウム−67(
67Ga)、ガリウム−68(
68Ga)、ホルミウム−166(
166Ho)、インジウム−111(
111In)、鉛−212(
212Pb)、ルテチウム−177(
177Lu)、ラジウム−223(
223Ra)、レニウム−186(
186Re)、レニウム−188(
188Re)、ルビジウム−82(
82Rb)、サマリウム−153(
153Sm)、ストロンチウム−89(
89Sr)、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)、タリウム−201(
201Tl)、トリウム−227(
227Th)、イットリウム−86(
86Y)、イットリウム−90(
90Y)、およびジルコニウム−89(
89Zr)からなる群から選択される、使用。
【0417】
93.腫瘍および/または転移疾患の治療を、そのような治療を必要とする患者において行う方法であって、実施形態1〜56の何れか1つに記載の治療上有効量の球状ナノ構造体と放射性核種とを患者に投与することを含む、方法。
【0418】
94.実施形態93に記載の方法であって、前記放射性核種がイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種である、方法。
【0419】
95.実施形態94に記載の方法であって、前記放射性核種が、アクチニウム−225(
225Ac)、銅−62(
62Cu)、銅−64(
64Cu)、銅−67(
67Cu)、ガリウム−67(
67Ga)、ガリウム−68(
68Ga)、ホルミウム−166(
166Ho)、インジウム−111(
111In)、鉛−212(
212Pb)、ルテチウム−177(
177Lu)、ラジウム−223(
223Ra)、レニウム−186(
186Re)、レニウム−188(
188Re)、ルビジウム−82(
82Rb)、サマリウム−153(
153Sm)、ストロンチウム−89(
89Sr)、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)、タリウム−201(
201Tl)、トリウム−227(
227Th)、イットリウム−86(
86Y)、イットリウム−90(
90Y)、およびジルコニウム−89(
89Zr)からなる群から選択される、方法。
【0420】
96.腫瘍の治療を、そのような治療を必要とする患者において行う方法であって、実施形態70〜84の何れか1つに記載の治療上有効量の組成物を投与することを含む、方法。
【0421】
97.実施形態93〜96の何れか1つに記載の方法であって、前記腫瘍が軟組織腫瘍である、方法。
【0422】
98.実施形態1〜56の何れか1つに記載の診断上有効量の球状ナノ構造体と放射性核種とを患者に投与することを含む、被験体において腫瘍の存在を診断する方法。
【0423】
990.実施形態98に記載の方法であって、前記放射性核種がイメージングおよび/または放射線療法のための放射性核種である、方法。
【0424】
100.実施形態99に記載の方法であって、前記放射性核種が、アクチニウム−225(
225Ac)、銅−62(
62Cu)、銅−64(
64Cu)、銅−67(
67Cu)、ガリウム−67(
67Ga)、ガリウム−68(
68Ga)、ホルミウム−166(
166Ho)、インジウム−111(
111In)、鉛−212(
212Pb)、ルテチウム−177(
177Lu)、ラジウム−223(
223Ra)、レニウム−186(
186Re)、レニウム−188(
188Re)、ルビジウム−82(
82Rb)、サマリウム−153(
153Sm)、ストロンチウム−89(
89Sr)、テクネチウム−99m(
99mTc
3+)、タリウム−201(
201Tl)、トリウム−227(
227Th)、イットリウム−86(
86Y)、イットリウム−90(
90Y)、およびジルコニウム−89(
89Zr)からなる群から選択される、方法。
【0425】
101.実施形態70〜84の何れか1つに記載の診断上有効量の組成物を投与することを含む、被験体において腫瘍の存在を診断する方法。
【0426】
102.実施形態98〜101の何れか1つに記載の方法であって、前記腫瘍が軟組織腫瘍である、方法。
【0427】
103.請求項1〜56の何れか1項に記載のナノ構造体と少なくとも1種の放射性核種とを接触させることを含む、実施形態70〜86の何れか1つに記載の組成物を得る方法。
【0428】
104.6〜7.5のpHおよび500〜2000mOsm/kgのオスモル濃度を有する水性緩衝液に溶解された請求項1〜56の何れか1項に記載の複数のナノ構造体を含む、実施形態57〜69の何れか1つに記載の組成物を調製するためのキット。
【0429】
105.6〜7.5のpHおよび500〜2000mOsm/kgのオスモル濃度を有する水性緩衝液に溶解された請求項1〜56に記載の複数のナノ構造体と放射性核種とを含む、実施形態70〜86の何れか1つに記載の組成物を調製するためのキット。
【0430】
106.実施形態105に記載のキットであって、放射性核種が溶液中でカチオン形で存在する、キット。
【0431】
107.実施形態104〜106の何れか1つに記載のキットであって、水性緩衝液がpH調整剤を含む、キット。
【0432】
108.実施形態107に記載のキットであって、pH調整剤が、酢酸塩、重炭酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、およびプロピオン酸塩からなる群から選択される、キット。
【0433】
109.実施形態104〜108の何れか1つに記載のキットであって、浸透圧調整剤をさらに含む、キット。
【0434】
110.実施形態109に記載のキットであって、浸透圧調整剤が、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、およびグリセロールからなる群から選択される、キット。
【0435】
111.以下のステップ:
1)構造
{(R
1)(R
2)PO}
2−(C){(CH
2)
nSi(OR
14)(OR
15)(OR
16)}{(CH
2)
nSi(OR
17)(OR
18)(OR
19)}
(式中、
R
1およびR
2は、負電荷、H、低級アルキル、およびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、およびR
19は、低級アルキルおよびアリールからなる群から独立して選択され、かつ
n=1〜5である)
で示されるジシランの加水分解重合により中心部を形成するステップと、
2)前記中心部への前記周辺部の共有結合を促進する条件下で前記中心部を周辺部の前駆体に接触させるステップと
を含む、プロセスにより生産される、球状ナノ構造体。