特許第6707096号(P6707096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707096
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】非燃焼型吸引物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20200601BHJP
   A24B 13/00 20060101ALI20200601BHJP
   A24B 15/28 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A24B13/00
   A24B15/28
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-567899(P2017-567899)
(86)(22)【出願日】2016年2月18日
(86)【国際出願番号】JP2016054747
(87)【国際公開番号】WO2017141406
(87)【国際公開日】20170824
【審査請求日】2018年4月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】一坪 宏和
(72)【発明者】
【氏名】七崎 裕介
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05692525(US,A)
【文献】 特許第5510968(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A24B 13/00
A24B 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.51g/cm3以下の密度を有するたばこ充填材を、当該物品に含まれる全たばこ充填材中に含み、前記たばこ充填材は、前記全たばこ充填材を構成する個々の単位である、非燃焼型吸引物品。
【請求項2】
前記たばこ充填材は、炭酸塩または炭酸水素塩が加えられたたばこ充填材である請求項1に記載の非燃焼型吸引物品。
【請求項3】
前記たばこ充填材は0.42g/cm3以下の密度を有する請求項1または2に記載の非燃焼型吸引物品。
【請求項4】
前記たばこ充填材はたばこ刻の成形体である請求項1〜3の何れか1項に記載の非燃焼型吸引物品。
【請求項5】
前記たばこ充填材は1.0mm以下の等表面積球相当径を有する請求項1〜4の何れか1項に記載の非燃焼型吸引物品。
【請求項6】
前記たばこ充填材は0.75mm以下の等表面積球相当径を有する請求項1〜5の何れか1項に記載の非燃焼型吸引物品。
【請求項7】
前記たばこ充填材を、当該物品に含まれる全たばこ充填材に対して1質量%以上の量で含む請求項1〜6の何れか1項に記載の非燃焼型吸引物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼型吸引物品に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレットなどの燃焼型喫煙物品は、たばこ刻やたばこ刻の成形体(以下、両者をまとめてたばこ充填材ともいう)を燃焼させて、香喫味を楽しむものである。
【0003】
このような燃焼型喫煙物品に加えて、たばこ充填材を燃焼させることなく香味を味わう非燃焼型吸引物品が知られている。たとえば特許文献1では、たばこ刻、炭酸塩及び香料を含むたばこ粒をたばこ充填材として使用し、炭酸塩の作用により香味成分にふくらみ感を出し、たばこ香味成分を含む空気の吸引感を向上させている。また、特許文献2では、熱源を燃焼させてその熱によりたばこ充填材を燃焼させることなく加熱し、たばこ香味成分を含むエアロゾルを発生させて、たばこ香味成分を吸引する。
【0004】
このような非燃焼型吸引物品では、たばこ充填材を燃焼させないため、たばこ充填材に含有されるたばこ香味成分が放出されにくいという問題がある。所望量のたばこ香味成分を放出させるためには、たばこ充填材の充填量を増加させればよいが、これは、コストの上昇につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/095659号
【特許文献2】国際公開第2006/073065号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非燃焼型吸引物品における上記問題を解決するため、本発明は、たばこ充填材の充填量を増加させることなく、たばこ香味成分をたばこ充填材から効率的に放出することのできる非燃焼型吸引物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、個々のたばこ充填材の密度を小さくすることにより、非燃焼型吸引物品においてたばこ香味成分をたばこ充填材から効率的に放出することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明によれば、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ充填材を含む非燃焼型吸引物品が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、たばこ香味成分をたばこ充填材から効率的に放出することのできる非燃焼型吸引物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】たばこ充填材の体積を説明するための図。
図2】たばこ充填材から放出されるたばこ香味成分の捕集の仕方を説明するための図。
図3】たばこ刻の成形体の密度とたばこ香味成分の量(相対値)との関係を示すグラフ。
図4】低密度のたばこ刻の成形体を用いた場合のパフ回数とたばこ香味成分の量(相対値)との関係を示すグラフ。
図5】通常のたばこ刻を用いた場合のパフ回数とたばこ香味成分の量(相対値)との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を説明するが、以下の説明は、本発明を詳説することを目的とし、本発明を限定することを意図しない。
【0012】
本明細書において「たばこ充填材」は、非燃焼型吸引物品に含まれる全たばこ充填材を構成する個々の単位を指す。非燃焼型吸引物品に含まれる全たばこ充填材は、「全たばこ充填材」と呼ぶ。
【0013】
上述のとおり、非燃焼型吸引物品は、燃焼型喫煙物品と比べて、たばこ香味成分が放出されにくいという問題がある。この問題について、本発明者らは、たばこ充填材の表面近傍に存在するたばこ香味成分は、大気中に放出されやすいが、たばこ充填材の内部に存在するたばこ香味成分は、表面近傍に移動することができず大気中に放出されないことが原因であると考えた。この考えに基づいて、本発明者らは、たばこ充填材の内部に留まっているたばこ香味成分を、たばこ充填材の表面近傍に効率良く移動させ、より多くのたばこ香味成分を大気中に放出させることに取り組んだ。鋭意検討した結果、本発明者らは、個々のたばこ充填材の密度を小さくすることにより、非燃焼型吸引物品においてたばこ香味成分の放出効率を劇的に増大させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
具体的には、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ充填材を含む。
【0015】
本発明において「たばこ充填材」は、たばこ刻またはたばこ刻の成形体の何れであってもよい。たばこ刻の成形体は、たばこ刻を含むたばこ原料を所定の形に成形したものである。たばこ刻の成形体は、たばこ刻に加えて、葉屑や刻み屑などの原料工場や製造工場で生じるたばこ屑を含んでいてもよい。たばこ刻の成形体は、吸引物品に適したサイズで成形されてもよいし、大きなサイズの成形体を成形した後に、吸引物品に適したサイズに切断されてもよい。たばこ刻の成形体は、任意の形態であり、たとえば、円柱、四角柱であり、好ましくは六面体、より好ましくは直方体、更に好ましくは正四角柱である。たばこ刻の成形体は、成形体としての形状を維持するために、たとえば、プルランおよびヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種類のバインダーを含んでいてもよい。バインダーは、バインダーとしての効果を発揮し、かつ、たばこ香味成分の放出性を低下させないような含有量で含有させることができ、通常、たばこ刻の成形体の総質量に対して0.5〜15質量%の量で含有させることができる。あるいは、たばこ刻の成形体がバインダーを使用しなくても成形体の形状を維持できる場合には、バインダーを含んでいなくてもよい。バインダーが、たばこ刻の成形体からたばこ香味成分の放出を阻害する場合には、バインダーを含まないことが望ましい。たばこ刻の成形体は、水分量を調整するために、保湿剤を含んでいてもよい。保湿剤としては多価アルコールを用いることができ、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどがあげられる。これらの多価アルコールは、1種類もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。保湿剤を含有させる場合、通常、たばこ刻の成形体の総質量に対して5〜15質量%の量で含有させることができる。また、たばこ刻の成形体は、追加的に香味材を含んでいてもよく、香味材は固体または液体を用いることができる。香味材の例として、メントール、スペアミント、ペパーミント、ココア、キャロブ、コリアンダー、リコリス、オレンジピールローズピップ、カモミールフラワー、レモンバーベナ、糖類(フルクトースやスクロースなど)などが挙げられる。上記香味材は、通常、たばこ刻の成形体の総質量に対して0.5〜45質量%の量で含有させることができる。
【0016】
本発明において、たばこ充填材は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度、好ましくは、0.50g/cm3以下のたばこ粒子密度、より好ましくは0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度を有する。たばこ充填材のたばこ粒子密度の下限は、たとえば0.05g/cm3とすることができ、好ましくは0.20g/cm3とすることができる。
【0017】
ここで「たばこ粒子密度」は、個々のたばこ充填材の密度を指す。「たばこ粒子密度」は、以下のとおり算出することができる。まず、顕微鏡を用いて個々のたばこ充填材の大きさを測定して体積を算出する。また、電子天秤でたばこ充填材の質量を測定する。得られた体積および質量からたばこ充填材の密度を算出し、得られた値を「たばこ粒子密度」とする。本明細書において「たばこ粒子密度」は、単に密度ともいう。ここで、たばこ充填材の体積は、図1に示されるとおり、たばこ充填材1の表面に凹部がある場合、凹部にたばこ充填材が存在すると仮定し、仮定されたたばこ充填材の外周により囲まれた空間2の大きさをいう。図1において、符号3は、たばこ充填材の内部に存在する閉じられた細孔を示す。言い換えると、たばこ充填材の体積は、たばこ充填材を取り囲み、凹面を有していない閉曲面(平面および凸面によって形成される閉曲面)によって規定される空間のうち最小の空間の大きさをいう。そのため、たばこ充填材の体積は、たばこ充填材自体の体積(たばこ充填材の表面の凸部の体積を含む)、たばこ充填材の内部に存在する閉じられた細孔の体積、およびたばこ充填材の表面の凹部の体積を含む。たばこ充填材の体積は、たとえば、光学顕微鏡(Keyence社VH-8000、VH-Z75)を用いて個々のたばこ充填材の大きさを測定することにより算出することができる。
【0018】
上記で規定される低密度のたばこ充填材は、公知の方法に従って調製することができる。たとえば、上記で規定される低密度のたばこ刻は、当該技術分野で公知の膨化処理により調製することができる。また、上記で規定される低密度のたばこ刻の成形体は、当該技術分野で公知の膨化処理により、または圧縮成形時の圧縮力が小さい圧縮成形処理により調製することができる。圧縮成形時の圧縮力を小さくすることにより得られたたばこ刻の成形体は、膨化処理により得られたたばこ刻の成形体と比べて、調製中にたばこ香味成分が失われる可能性が低いため、タバコ充填材として好ましい。他の方法として、たばこ刻の成形体は、紛体工業の技術分野で公知の転動流動造粒処理、撹拌混合造粒処理、押出成形処理などにより調製することが出来る。
【0019】
本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ充填材を、当該物品に含まれる全たばこ充填材に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、100質量%以下の割合で含む。0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ充填材の配合割合が高いほど、本発明の効果も、より顕著になる。
【0020】
本発明において「非燃焼型吸引物品」は、たばこ充填材を燃焼させることなく吸気によりたばこ香味成分を吸引する物品である。「非燃焼型吸引物品」は、たばこ充填材を加熱しないでたばこ香味成分を吸引する非加熱型吸引物品であってもよい(たとえば、国際公開第2010/095659号を参照)。あるいは、「非燃焼型吸引物品」は、たばこ充填材を燃焼しない程度に加熱して、たばこ香味成分を吸引する加熱型吸引物品であってもよい。たばこ充填材の加熱は、たばこ充填材の上流部に設置した熱源によって加熱された空気もしくはエアロゾルをたばこ充填材に流通させることにより行ってもよいし(たとえば、国際公開第2006/073065号を参照)、吸引物品とは別体型の加熱デバイスで吸引物品の外側からたばこ充填材を温めることにより行ってもよい(たとえば、国際公開第2010/110226号を参照)。
【0021】
本発明に従って、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ充填材を、非燃焼型吸引物品に適用すると、たばこ香味成分の放出効率を大きく増大させることができる。より具体的には、本発明によれば、吸引初期時(たとえば1〜5パフ)にたばこ充填材から放出されるたばこ香味成分の量を増大させることができることに加えて、吸引回数を重ねた際(たとえば6〜50パフ)も継続してたばこ香味成分を放出し続けることができる。この効果は、たばこ充填材の内部の空隙率が高まることで、たばこ充填材の密度が下がり、これにより、通常の密度のたばこ充填材であれば放出されない部分にあるたばこ香味成分が、吸引初期時に放出されたことに起因すると考えられる。また、この効果は、たばこ充填材の内部の空隙率が高まることで、たばこ充填材の密度が下がり、これにより、たばこ充填材の内部に存在するたばこ香味成分が、たばこ充填材の表面に移動しやすくなり、吸引回数を重ねた際も、たばこ充填材の表面に移動し続けることができたことに起因すると考えられる。
【0022】
上記で規定される低密度のたばこ充填材として、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ充填材を使用することができる。炭酸塩または炭酸水素塩としては、たとえば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類を使用することができる。炭酸塩または炭酸水素塩は、たばこ充填材100質量部に対して5〜22質量部で添加することができる。炭酸塩または炭酸水素塩は、たばこ充填材の調製中に添加されてもよいし、たばこ充填材の調製後に添加されてもよい。炭酸塩または炭酸水素塩をたばこ充填材に加えることにより、非燃焼型喫煙物品が、より好ましい香味を使用者に提供することが期待される。
【0023】
本明細書において、たばこ充填材の大きさは、たばこ充填材の等表面積球相当径(以下、粒径ともいう)で表すことができる。等表面積球相当径とは、1個のたばこ充填材の表面積と同じ表面積を有する球の直径を指す。本発明において、たばこ充填材は、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有する。等表面積球相当径の下限は、たとえば0.036mm、好ましくは0.10mmとすることができる。
【0024】
本発明の非燃焼型吸引物品に含まれる全たばこ充填材の50%粒径(D50)は、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.75mm以下である。
【0025】
たばこ充填材の大きさを、上述のとおり所定のサイズ以下にして、非燃焼型吸引物品に含まれる全たばこ充填材の個数を増加させると、非燃焼型吸引物品に含まれる全たばこ充填材の総表面積を大きくすることができ、これにより、非燃焼型吸引物品のたばこ香味成分の放出量を増大させることができる。
【0026】
一方、たばこ充填材の大きさは、非燃焼型吸引物品の製造し易さの観点(例えば、たばこ充填材の流動性、充填方法、充填カラムの実用的通気抵抗など)から、たばこ充填材の最長の長さで表すこともできる。たばこ充填材の最長の長さは、一般的には0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上である。たばこ充填材の最長の長さは、非燃焼型吸引物品の携帯性を考慮すると、本実験で使用したたばこ充填材サイズ(21mm)以下であることが望ましい。上記大きさ(最長の長さ)は、篩でふるった径(篩径)でもよく、顕微鏡などで観察される大きさでもよい。
【0027】
本明細書において、「たばこ充填材の表面積」は、たばこ充填材の表面に凹部が存在する場合、凹部にたばこ充填材が存在すると仮定し、仮定されたたばこ充填材の表面積(以下、単に表面積という)を指す。言い換えると、たばこ充填材の表面積は、たばこ充填材を取り囲み、凹面を有していない閉曲面(平面および凸面によって形成される閉曲面)のうち最小の面積をいう。これは前述した等表面積球相当径から球の表面積の公式を用いて算出できる表面積と等しい。
【0028】
たばこ充填材の大きさを測定する方法として、光学顕微鏡(keyence製VH-8000、VH-Z75)などを用い、形状を確認したうえで、顕微鏡画像からたばこ充填材の大きさを計測し、表面積を算出することが望ましい。より望ましくは、Keyence社VR-3000シリーズなどの3次元測定が可能な顕微鏡を用いると、たばこ充填材の表面積をより正確に測定することができる。簡易的には、Retsch technology社製 CAMSIZERを用いて、たばこ充填材の大きさを測定することができる。CAMSIZERは、物体をCCDカメラで撮影し画像処理を行うことで大きさ(粒径)を測定する装置である。簡易的には、ふるいを用いて大きさの選別をすることで、たばこ充填材の大きさを測定することができる。
【0029】
一辺が0.5mmの立方体の形状を有するたばこ充填材は、本明細書の定義に従うと、体積0.125mm3、表面積1.5mm2、等表面積球相当径0.66mmである。また、一辺が0.5mm、0.5mm、0.75mmの正四角柱の形状を有するたばこ充填材は、本明細書の定義に従うと、体積0.1875mm3、表面積2.0mm2、等表面積球相当径0.71mmである。
【0030】
好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ充填材を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.50g/cm3以下のたばこ粒子密度を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ充填材を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ充填材を含む。
【0031】
別の好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ刻の成形体を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.50g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ刻の成形体を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ刻の成形体を含む。
【0032】
別の好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ刻の成形体を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.50g/cm3以下のたばこ粒子密度を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ刻の成形体を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ刻の成形体を含む。
【0033】
別の好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有するたばこ充填材を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.50g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有するたばこ充填材を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有するたばこ充填材を含む。
【0034】
別の好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ充填材を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.50g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ充填材を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ充填材を含む。
【0035】
別の好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有するたばこ刻の成形体を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.50g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有するたばこ刻の成形体を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有するたばこ刻の成形体を含む。
【0036】
別の好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ刻の成形体を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.50g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ刻の成形体を含む。更に好ましい態様によれば、本発明の非燃焼型吸引物品は、0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度および1.0mm以下、好ましくは0.75mm以下の等表面積球相当径を有し、炭酸塩または炭酸水素塩を加えたたばこ刻の成形体を含む。
【実施例】
【0037】
例1:
(1)たばこ刻の成形体の調製
バーレー種のたばこ刻をミルで粉砕後、目開き0.5mmの篩でふるい、0.5mm未満のサイズを有するたばこ紛体を用意した。
【0038】
たばこ紛体、水、炭酸カリウムを、それぞれ10g、0.94g、2.2gで混合し、得られた混合物を円筒容器に入れて一晩(12時間)回転混合し、均一化した。
【0039】
前述の均一化された混合物150mgを空の金属円筒(内径21mm)に入れて、金属円筒の上部からピストンで圧縮して成形することで、たばこ刻の成形体を得た。成形時の圧縮力は、1MPa、2MPa、4MPa、6MPa、または8MPaとした。たばこ刻の成形体の「たばこ粒子密度」は、圧縮成形により得られたたばこ刻の成形体の高さ、直径、質量を測定し、体積と質量から算出した。
【0040】
1MPaで圧縮成形を行った場合、得られた成形体(サンプルNo.1)は、1.67mmの高さ、21.0mmの直径、150mgの質量、578mm3の体積、803mm2の表面積、0.259mg/mm3のたばこ粒子密度を有していた。2MPaの圧縮力で圧縮成形を行った場合、得られた成形体(サンプルNo.2)は、1.03mmの高さ、21.0mmの直径、150mgの質量、357mm3の体積、761mm2の表面積、0.420mg/mm3のたばこ粒子密度を有していた。4MPaの圧縮力で圧縮成形を行った場合、得られた成形体(サンプルNo.3)は、0.86mmの高さ、21.0mmの直径、150mgの質量、298mm3の体積、749mm2の表面積、0.504mg/mm3のたばこ粒子密度を有していた。6MPaの圧縮力で圧縮成形を行った場合、得られた成形体(サンプルNo.4)は、0.84mmの高さ、21.0mmの直径、150mgの質量、291mm3の体積、748mm2の表面積、0.516mg/mm3のたばこ粒子密度を有していた。8MPaの圧縮力で圧縮成形を行った場合、得られた成形体(サンプルNo.5)は、0.67mmの高さ、21.0mmの直径、150mgの質量、232mm3の体積、737mm2の表面積、0.646mg/mm3のたばこ粒子密度を有していた。
【0041】
サンプルNo.1〜No.5の等表面積球相当径は、成形体の密度が低いサンプル順に、16.0mm、15.6mm、15.4mm、15.4mm、15.3mmであった。
【0042】
(2)たばこ刻の成形体から放出されるたばこ香味成分の捕集
たばこ刻の成形体から放出されるたばこ香味成分を下記の通り捕集した。たばこ香味成分の捕集の仕方を、図2を参照して説明する。
【0043】
空の無底円筒体13(内径約21mm)に、得られたたばこ刻の成形体14(サンプルNo.1〜No.5の何れか1つ)を入れた後、その上流に配置した円筒型ヒーター12(セラミック製円筒型ヒーター、内径2mm、長さ30mm、加熱温度250℃)の内部に、上流からグリセリン溶液11(1パフ毎に2μL)を注入した。たばこ刻の成形体14を収容した無底円筒体13の下流に配置した喫煙器16で吸引(55ccを矩形波で2秒間吸引)すると、グリセリンエアロゾルが発生した。グリセリンエアロゾルを、たばこ刻の成形体14を収容した無底円筒体13の内部に流通させた。たばこ刻の成形体14を収容した無底円筒体13の下流側から出てきたグリセリンエアロゾルをケンブリッジフィルター15で捕集した。捕集されたグリセリンエアロゾルには、たばこ刻の成形体14から放出されたたばこ香味成分が含まれる。ケンブリッジフィルターを5パフ毎に交換し、計50パフまでグリセリンエアロゾルを捕集した。パフ吸引は連続して行った。
【0044】
(3)捕集されたたばこ香味成分の分析
捕集されたグリセリンエアロゾル中に含まれるたばこ香味成分を、ガスクロマトグラフ(検出器はFIDを使用)で定量分析した。分析対象のたばこ香味成分として、測定が容易であるという観点から、本実験ではニコチンを選んだ。
【0045】
本実験では、たばこ刻の成形体にグリセリンエアロゾルを流通させてたばこ香味成分の捕集量を測定したが、グリセリンエアロゾルを使わずに、大気(空気)のみをたばこ刻の成形体に流通させても、たばこ香味成分は捕集される。しかし、大気(空気)のみをたばこ刻の成形体に流通させた場合、エアロゾルを流通させた場合と比べて、たばこ香味成分の捕集量が低くなる。そのため、本実験では、たばこ香味成分の捕集量の測定を容易にするために、グリセリンエアロゾルをたばこ刻の成形体に流通させた。なお、エアロゾルを発生させるための液体は、グリセリン以外にもプロピレングリコールなどがあり、たばこ刻の成形体に流通させるエアロゾルの化学的組成は、グリセリンやプロピレングリコールに限定されるものではない。
【0046】
(4)結果
回収されたケンブリッジフィルターに捕集されたたばこ香味成分(ここではニコチン)の量(相対値)を、図3および図4に示す。
【0047】
図3は、たばこ刻の成形体の密度とたばこ香味成分の量(相対値)との関係を示す。図3において、「たばこ香味成分の量(相対値)」は、サンプルNo.4で得られたたばこ香味成分の量(a)に対する、各サンプル(サンプルNo.1〜No.5)で得られたたばこ香味成分の量(b)の比(b/a)により表し、ここで「たばこ香味成分の量」は、50パフまでに捕集されたたばこ香味成分の総量(mg)を、たばこ刻の成形体の表面積(mm2)およびパフ回数(50回)で割って得られた値(mg/(puff・mm2))を示す。
【0048】
図3は、たばこ刻の成形体のたばこ粒子密度を0.504mg/mm3以下(すなわち、0.504g/cm3以下)に低下させると、たばこ刻の成形体から放出されたたばこ香味成分の量が増加することを示す。また、図3は、たばこ刻の成形体のたばこ粒子密度を0.420mg/mm3以下(すなわち、0.420g/cm3以下)に低下させると、たばこ刻の成形体から放出されたたばこ香味成分の量が著しく増加することを示す。この結果は、たばこ刻の成形体の内部の空隙率が高まることで、たばこ刻の成形体の密度が下がり、これにより、たばこ刻の成形体の内部に存在するたばこ香味成分(例えばニコチン)が成形体の表面に移動しやくすくなり、成形体の表面から放出されたたばこ香味成分の量が増大したことによるものと考えられる。
【0049】
図4は、たばこ刻の成形体から放出されたたばこ香味成分の量が、パフ回数に応じてどのように変化するかを示す。図4において、たばこ香味成分の量(相対値)は、5パフ後に回収されたケンブリッジフィルターに捕集されたたばこ香味成分の量(a)に対する、各パフ後に回収されたケンブリッジフィルターに捕集されたたばこ香味成分の量(b)の比(b/a)により表す。
【0050】
図4において、白い菱形の印は、0.259mg/mm3のたばこ粒子密度を有するたばこ刻の成形体の結果を示し、黒い四角の印は、0.420mg/mm3のたばこ粒子密度を有するたばこ刻の成形体の結果を示し、白い三角の印は、0.504mg/mm3のたばこ粒子密度を有するたばこ刻の成形体の結果を示す。
【0051】
上述の3つのサンプル(すなわち、低密度のたばこ刻の成形体)のすべてにおいて、たばこ香味成分の量は、連続20パフの時点で約0.8〜約1.0の値を示し、連続50パフの時点で約0.6〜約0.7の値を示した。後述の例2(図5)で、通常の密度を有するたばこ刻(膨化処理を行っていないたばこ刻)を用いて同様の実験を行った。通常の密度を有するたばこ刻では、連続20パフの時点で、たばこ香味成分の量は約0.4まで低下した。
【0052】
これらの結果は、たばこ刻の成形体のたばこ粒子密度を0.504mg/mm3以下(すなわち、0.504g/cm3以下)に小さくすると、パフ回数を重ねても吸引当初のたばこ香味成分の量を安定して維持できることを示す。これらの結果は、たばこ刻の成形体の内部の空隙率が高まることで、たばこ刻の成形体の密度が下がり、これにより、たばこ刻の成形体の内部に存在するたばこ香味成分(例えばニコチン)が、成形体の表面に移動しやすくなり、パフ回数を重ねた後も、成形体の表面に移動し続けたことによるものと考えられる。
【0053】
本実験では、ニコチンをたばこ香味成分の測定対象として選んだが、ニコチン以外のたばこ香味成分も、たばこ刻の成形体の密度を下げることで、成形体の表面からの放出量を増大させることができる。
【0054】
例2:
(1)方法
たばこ刻の成形体の代わりに、たばこ刻(膨化処理を行っていないたばこ刻)を使用して、例1と同様、たばこ刻から放出されるたばこ香味成分を捕集し(図2参照)、捕集されたたばこ香味成分を分析した。
【0055】
本実験では、バーレー種のたばこ刻をミルで粉砕後、目開き0.5mmと1.18mmの2種類の篩でふるい、得られた0.5〜1.18mmのたばこ刻を使用した。本実験では、たばこ刻の成形体の場合と同様、たばこ刻に、炭酸カリウムを添加した。具体的には、たばこ刻10gに対して、純水0.94g、炭酸カリウム粉末2.2gを混合し、得られた混合物を円筒容器に入れて一晩(12時間)回転混合(80回転/分)し、均一化した。また、たばこ刻の成形体を収容した無底円筒体(内径約21mm)(図2の符号3)の代わりに、たばこ刻(炭酸カリウムを含めて150mg)を充填した無底円筒体(内径8mm)を使用した。この際、たばこ刻が無底円筒体内の所定の位置から移動することを防ぐため、無底円筒体の出入り口部両方に不織布を取り付けた。また、ケンブリッジフィルターを5パフ毎に交換し、計20パフまでグリセリンエアロゾルを捕集した。捕集されたグリセリンエアロゾル中に含まれるニコチンを、ガスクロマトグラフ(検出器はFIDを使用)で定量分析した。
【0056】
(2)結果
回収されたケンブリッジフィルターに捕集されたたばこ香味成分(ここではニコチン)量を、図5に示す。図5は、通常の密度を有するたばこ刻から放出されたたばこ香味成分の量が、パフ回数に応じてどのように変化するかを示す。図5において、たばこ香味成分の量(相対値)は、5パフ後に回収されたケンブリッジフィルターに捕集されたたばこ香味成分の量(a)に対する、各パフ後に回収されたケンブリッジフィルターに捕集されたたばこ香味成分の量(b)の比(b/a)により表す。
【0057】
図5において、「連続のパフ」は、連続して20パフを行った場合のたばこ香味成分の量を示し、「1日間隔のパフ」は、最初の5パフを行い、翌々日に更に5パフ(計10パフ)を行い、翌々日に更に5パフ(計15パフ)を行い、翌々日に更に5パフ(計20パフ)を行った場合のたばこ香味成分の量を示す。
【0058】
連続して20パフを行うと、パフ回数の増加に伴い、たばこ香味成分の量が急激に低下し、20パフ後に約0.4まで低下した。20パフ後、たばこ刻中のニコチン含有量を測定したところ、たばこ刻中のニコチン含有量は、連続パフ前のたばこ刻中のニコチン含有量と比べて、ほとんど減少していなかった。このことから、連続パフを行った場合、たばこ刻の表面に存在しているたばこ香味成分が、たばこ刻の表面から放出され、たばこ刻の内部に存在しているたばこ香味成分は、たばこ刻の表面に移動することなく内部に留まっていると考えられる。
【0059】
一方、1日間隔でパフを行うと、連続パフの場合と比べて、パフ回数の増加に伴ってたばこ香味成分の量が低下しにくくなった。これは、パフを行わなかった期間に、たばこ刻の内部に存在するたばこ香味成分が、たばこ刻の表面に移動することで、たばこ刻の表面にたばこ香味成分が供給され、放出されたためと考えられる。
【0060】
これらの結果から、通常の密度を有するたばこ刻の場合、たばこ刻の内部に存在するたばこ香味成分がたばこ刻の表面に移動する速度は、低密度のたばこ刻の成形体(例1)と比べて遅いことがわかる。
【0061】
図5の結果より、たばこ香味成分の放出は、たばこ充填材表面からの放出が主であることが分かり、このことから、次式が導出できる。
【0062】
【数1】
:1パフ当たりのたばこ香味成分の総放出量 (mg/puff)
:1パフ当たり、単位表面積当たりのたばこ香味成分の放出量 (mg/(puff・mm2))
LT:全たばこ充填材の総表面積 (mm2)
【0063】
この式から、たばこ香味成分の総放出量(N)を大きくするには、全たばこ充填材の総表面積(SLT)または1パフ当たり、単位表面積当たりのたばこ香味成分の放出量(N)を大きくすればよいことが分かる。
【0064】
全たばこ充填材の総表面積(SLT)を大きくする方法として、たばこ充填材のサイズを大きくすること、たばこ充填材の個数を増加させること、もしくはたばこ充填材の形状を表面積が増大するように変更する(例えば薄片化する)ことが挙げられる。たばこ充填材の使用量を増やすことなく総表面積(SLT)を大きくするには、たばこ充填材のサイズを小さくしてたばこ充填材の個数を増加させること、または、たばこ充填材の形状を表面積が増大するように変更することが挙げられる。
【0065】
また、上記実験結果から、1パフ当たり、単位表面積当たりのたばこ香味成分の放出量(N)を大きくする方法として、たばこ充填材の密度を低下させることが挙げられる。
【0066】
以上より、たばこ充填材の密度を低下させることで、非燃焼型吸引物品の吸引時にたばこ充填材から放出されるたばこ香味成分の量を増大させることができ、これにより、非燃焼型吸引物品で使用するたばこ充填材の使用量を削減することが可能となり、たばこ充填材の使用コストを削減することが可能となる。また、たばこ充填材の密度を低下させることに加えて、たばこ充填材のサイズを小さくしてたばこ充填材の個数を増加させたり、たばこ充填材の形状を変更することで表面積を増大させたりすることも、たばこ充填材の使用コストを削減する上で有効である。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 0.51g/cm3以下のたばこ粒子密度を有するたばこ充填材を含む非燃焼型吸引物品。
[2] 前記たばこ充填材は、炭酸塩または炭酸水素塩が加えられたたばこ充填材である[1]に記載の非燃焼型吸引物品。
[3] 前記たばこ充填材は0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度を有する[1]に記載の非燃焼型吸引物品。
[4] 前記たばこ充填材は0.42g/cm3以下のたばこ粒子密度を有する[2]に記載の非燃焼型吸引物品。
[5] 前記たばこ充填材はたばこ刻の成形体である[1]に記載の非燃焼型吸引物品。
[6] 前記たばこ充填材はたばこ刻の成形体である[2]に記載の非燃焼型吸引物品。
[7] 前記たばこ充填材はたばこ刻の成形体である[3]に記載の非燃焼型吸引物品。
[8] 前記たばこ充填材はたばこ刻の成形体である[4]に記載の非燃焼型吸引物品。
[9] 前記たばこ充填材は1.0mm以下の等表面積球相当径を有する[1]〜[8]の何れか1に記載の非燃焼型吸引物品。
[10] 前記たばこ充填材は0.75mm以下の等表面積球相当径を有する[1]〜[8]の何れか1に記載の非燃焼型吸引物品。
図1
図2
図3
図4
図5