(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参考にして本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の参考例の食材洗浄装置10を示す側面図である。
図2は、食材洗浄装置10を示す正面図である。
図3は、食材洗浄装置10を示す平面図である。
図4は、
図2の切断面線S4−S4から見た断面図である。食材洗浄装置10は、主槽11、洗浄液供給部12、副槽13、導液部14、ポンプ15および噴射ノズル16を含んで構成される。
【0012】
主槽11には、第1収容空間17、蓋部18および第1排水部19が設けられる。第1収容空間17は、上方に開放して設けられ、複数の透孔40が形成される有底円筒状の容器20が着脱可能に収容され、かつ洗浄液を貯留する。容器20の透孔40は、容器20に収容される食材が通過不可能な大きさ、かつ食材に付着している異物を通過可能な大きさに形成される。食材は、たとえばキャベツ、レタスなどの葉野菜を5cm×5cm程度に切断した、いわゆるカット野菜であって、食感を低下させずに高効率で高い異物除去率が要求される食材を対象としている。
【0013】
主槽18は、第1収容空間17に収容されるべき容器20の形状に基づいて形成され、容器20が第1収容空間17に収容された状態で、主槽18の第1収容空間17に臨む側部および底部の内表面の間には、容器20の側壁および底壁の外表面に臨み、その間隔ΔLがわずかに、たとえば5mm以上15mm以下の隙間41が形成される。
【0014】
蓋部18は、主槽11の上部に設けられ、第1収容空間17に収容された容器20に上方から嵌り込む閉位置P1と、第1収容空間を上方に開放する開位置P2とにわたって水平軸線まわりに角変位させて開閉可能である。蓋部18は、閉位置P1に配置されている状態で、周縁部が残余の部分よりも下方に突出するように形成される。
【0015】
図5は、第1排水部19を拡大して示す断面図である。第1排水部19は、主槽11の底部11aに設けられ、第1収容空間17に貯留される洗浄液を排出する。第1排水部19は、排水路21、バルブ22およびソレノイド23を含んで構成される。排水路21は、弁座43を有する第1排水管42a、第2排水管42b、第3排水管42c、および第4排水管42dを含んで構成される。このような排水路21は、主槽11の底部11aで第1収容空間17を上方に臨んで開口し、第1収容空間17と外空間とを連通する。
【0016】
バルブ22は、上部に主槽11の底部11aに接続された第1排水管42aの弁座43に全周にわたって当接可能な弁部22aを有する。開閉弁によって実現される弁部22aは、たとえばシリコンゴムなどの弾発性を有する高分子樹脂から成り、上方に向かうにつれて拡径する略円錐台状に形成される。バルブ22は、弁部22aが主槽11の底部11aに全周にわたって当接して着座し、第1排水部19を介して第1収容空間17と外空間とが遮断される遮断位置と、弁部22aが弁座43から離間して、第1排水部19を介して第1収容空間17と外空間とが連通する連通位置とにわたって、ソレノイド23によって上下方向に変位可能である。
【0017】
ソレノイド23は、上下方向に変位するプッシュロッド23aを有する電磁ソレノイドによって実現される。ソレノイド23に電力が供給されていない状態では、プッシュロッド23aは、縮退状態にあり、このときプッシュロッド23aとバルブ22とは離間している。このときバルブ22は遮断位置に配置されている。ソレノイド23に電力が供給されると、プッシュロッド23aが伸長状態になり、プッシュロッド23aが略円筒状の押圧体23bを介してバルブ22に押圧して、バルブ22を上方に押し上げる。このときバルブ22は、開放位置に配置されている。ソレノイド23のプッシュロッド23aが伸長状態から縮退状態になると、連通位置に配置されていたバルブ22は弁体22aが自重で下方に変位して、遮断位置に配置される。
【0018】
洗浄液供給部12は、主槽11に洗浄液である洗浄水および殺菌液を供給する。洗浄液供給部12は、上水道に連結され洗浄液が供給される洗浄水供給部24と、塩素などの殺菌作用を有する成分が含まれる殺菌液が供給される殺菌液供給部25とを有する。洗浄水供給部24には、主槽11への洗浄液の供給および非供給を切換える第1バルブ24aが設けられる。殺菌液供給部25には、主槽11への殺菌液の供給および非供給を切換える第2バルで構成される。このような排水路21は、主槽11の底部11aで第1収容空間17を上方に臨んで開口し、第1収容空間17と外空間とを連通する。
【0019】
副槽13は、主槽11に隣接して配置される。副槽13には、第2収容空間26および第2排水部27が設けられる。第2収容空間26は、洗浄液を貯留する。第2排水部27は、副槽13の底部に設けられ第2収容空間26内の洗浄液を排出する。第2排水部27の構成および動作は、
図5に示した第1排水部19と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0020】
導液部14は、主槽11の上部および副槽13の上部に設けられる。導液部14は、導水路28およびフィルタ部29を含んで構成される。導水路28は、主槽11の上部に設けられ、主槽11の第1収容空間17から溢れ出た洗浄液を、副槽13の第2収容空間26に導く。フィルタ部29は、たとえばメッシュ状の生地で実現され、副槽13の上部を覆うようにして設けられ、主槽11の第1収容空間17から溢れ出た洗浄液から虫および塵などの異物を分離する。
【0021】
図6は、ポンプ15を示す断面図である。ポンプ15は、水中ポンプで実現され、モータ30、導電線31、羽根車32およびケーシング33を含んで構成される。モータ30は、たとえば交流電動機によって実現され、導電線31を介して供給される電力によってロータ30aが回転して、ロータ30aに連結される主軸30bが回転する。羽根車32は、遠心羽根車で実現され、モータ30の主軸30bに同軸に連結される。ケーシング33は、その内部に、モータ30および羽根車32を保持する。ケーシング33内には、羽根車32が回転することによって吸込まれた洗浄液を外部に排出するための流路34が形成される。流路34は、羽根車32付近では、モータ30の主軸30bの軸線に沿うとともに、羽根車32の半径方向に沿って延びる。流路34は、さらにモータ30の主軸30bとは間隔をあけて平行に延びる。流路34の両端部は、ケーシング33の外部に臨む。
【0022】
ポンプ15は、副槽13の第2収容空間26内に配置される。ポンプ15は、第2収容空間26内で、流路34の一端部である吸込み口34aが副槽13の第2排水部27に臨み、流路34の他端部である吐出し口34bが上方に臨むように配置される。ポンプ15は、電力が供給されている状態では、吸込み口34aが洗浄液に浸漬している。この状態でモータ30の主軸30bが回転すると、羽根車32も回転し、吸込み口34aの近傍の洗浄液が吸引力によって吸込まれて流路34に導かれ、吐出し口34bから吐出される。
【0023】
図7は、噴射ノズル16を示す側面図である。
図8は、噴射ノズル16の噴射口16aを拡大して示す正面図である。噴射ノズル16の一端部は、ホースを介して、ポンプ15の吐出し口34bに接続される。噴射ノズル16の他端部は、
図8に示すように、残余の部分よりも縮径して、詳細には、長円形に開口して形成される。噴射ノズル16は、蓋部18を厚み方向に貫通するようにして設けられ、蓋部18が閉位置P1に配置される状態で、洗浄液が、容器20の底部20bと側壁20aとの間に噴射されるように配置される。
【0024】
このように還流噴射部を構成するポンプ15および噴射ノズル16によって、容器20が主槽11に収容された状態で、副槽13に貯留される洗浄液が主槽11に導かれて容器20内に噴射される。
【0025】
本発明の他の参考例では、噴射ノズル16の噴射口16aは、
図8の仮想線16bで示すように、正面形状が円形に開口する構成であってもよく、さらに楕円形状であってもよく、三角形、四角形、六角形、…などの各種の多角形が採用されてもよい。
【0026】
図9Aは、参考例の食材洗浄装置10を示す背面図であり、
図9Bは、ポンプを副槽130外に設けた場合の比較例としての食材洗浄装置100を示す背面図である。参考例の食材洗浄装置10では、ポンプ15は、
図6に示すように、ケーシング33内の流路34が、大略的に上下方向に延びて配置されるので、副槽13の第2排水部27によって第2収容空間26に貯留される洗浄液が排出されると、ポンプ15の流路34の洗浄液もケーシング33からほぼ完全に排出される。
【0027】
一方、
図9Bに示す食材洗浄装置100では、ポンプ150の吸込み口151と吐出し口152とがほぼ水平に並設され、したがって吸込み口151および吐出し口152間の流路には、ほぼ水平な領域が存在するので、副槽130内の洗浄液を全て排出しても、ポンプ150内に洗浄液が残ってしまい、ポンプ150内の洗浄液が劣化したり雑菌が繁殖したりする危険性がある。参考例の食材洗浄装置10では、主槽11および副槽13内の洗浄液を完全に排出すると、これにともなってポンプ15内の洗浄液も完全に排出されるので、ポンプ15内で洗浄液が劣化したり雑菌が繁殖したりする危険性がほとんどない。
【0028】
図10は、主槽11の第1収容空間17、特に容器20内の洗浄液および食材50の流れを説明するための断面図である。副槽13の第2収容空間26に貯留されている洗浄液がポンプ15によって噴射ノズル16に供給されて、主槽11の第1収容空間17に収容されている容器20内に噴射される。このとき噴射ノズル16から洗浄液は、矢符f0に示すように、噴射ノズル16から最も離間した容器20の側壁20aと底部20bとの間に向かう方向に、詳細には噴射ノズル16から前記側壁20aと底部20bとの間に向かって下方に傾斜する方向に延びる平面に沿って、扇形状に拡散して噴射される。容器20内の食材50は、このような矢符f0に示す洗浄液の流れに沿って、容器20の側壁20aと底部20bとの間に向かって流動する。
【0029】
容器20の側壁20aと底部20bとの間付近に流動してきた洗浄液は、矢符f1に示す容器20の側壁20aに沿って上方に向かう流れと、矢符f2に示す容器20の底部20bに沿って略水平に向かう流れとに分かれる。矢符f1に示す洗浄液の流れに乗って流動してきた食材50は、矢符f3に示す洗浄液の流れに乗って、側壁20aに沿って上方に流動し、さらに矢符f4に示す洗浄液の流れに乗って、側壁20aから蓋部18に向かって流動する。
【0030】
前記側壁20aに沿って上方へ移動する洗浄液の流れf4は、噴射ノズル16から洗浄液が噴射されていない未流動化状態における静止液面43の高さ位置を超えて上昇しようとする。このとき蓋部18は、容器20に上方から嵌り込んでいるので、容器20から食材50が漏れ出ることがない。矢符f4に示す洗浄液の流れに乗って流動してきた食材50は、矢符f5に示す洗浄液の流れに乗って、蓋部18に沿って噴射ノズル16に向かって流動する。さらに噴射ノズル16からの噴射の流れf0による誘引力によって、前記蓋部18に沿って噴射ノズル16に向かう流れf5は、容器20の側壁20aと底部20bとの間のコーナ部20cに向かう流れf6を発生する。このような矢符f6に示す洗浄液の流れに乗って、食材50は蓋部18から噴射ノズル16の噴射口16aに向かって流動する。
【0031】
また、前記コーナ部20cにおいて分岐した矢符f2に示す洗浄液の流れに乗って流動してきた食材50は、矢符f7に示す洗浄液の流れに乗って、底部20bに沿って略水平方向に流動し、さらに噴射ノズル16の下方に位置するコーナ部20dから上昇する矢符f8に示す洗浄液の流れに乗って、底部20bから側壁20aに向かって流動する。矢符f8に示す洗浄液の流れに乗って流動してきた食材50は、矢符f9に示す洗浄液の流れに乗って、側壁20aに沿って噴射ノズル16に向かって流動する。さらに噴射ノズル16からの噴射流f0による誘引力によって、側壁20aに沿って上昇する流れf9は、噴射ノズル16からの噴射流f0に沿う方向へ方向変換される流れf10を発生する。このような矢符f10に示す洗浄液の流れに乗って、側壁20aから噴射ノズル16の噴射口16a付近に来た食材50は、噴射流f0に取込まれてコーナ部20cへ向かって流動する。
【0032】
このように主槽11の第1収容空間17に収容された容器20内では、洗浄液の2つの回転するような流れf0→f1→f3→f4→f5→f6,f0→f2→f7→f8→f9→f10が生じ、これらの流れに乗って食材50が流動する。このように流動する食材50は、洗浄液との衝突および離反を繰返すので、食材50の表面に付着していた異物を除去することができる。
【0033】
また、容器20には複数の透孔40が分散して形成されるので、噴射ノズル16から噴射された洗浄液の噴射流の一部は、透孔40を通過して隙間41へ流出して整流化させ、容器20に沿う流れf1,f3;f2,f7〜f9を乱す反射流の発生を少なくし、容器20内全体に前述のような大きな流れを形成し、食材50を洗浄液とともに大きく流動させ、高い洗浄力を実現することができる。
【0034】
また洗浄液を殺菌液とした場合、殺菌液を食材50の表面に満遍なく接触させることができる。殺菌液としては、濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いることができる。噴射ノズル16の噴射口16aは、
図8に示すように、その軸直角断面が長円形に形成されるので、噴射される洗浄液は、噴射ノズル16から容器20の側壁20aと底部20bとの間のコーナ部20cに向かって下方に傾斜する方向に延びる平面FPに沿って、扇形状に拡散して噴射されるので、容器20内で大きく洗浄液を流動化させることができる。
【0035】
容器20内に噴射された洗浄液の一部は、容器20の透孔40を通過して隙間41へ流出し、矢符11に示すように第1収容空間17から溢れ出る。このように第1収容空間17から溢れ出た洗浄液は、導液部14の導水路28に導かれて、副槽13の上部のフィルタ部29に流出し、フィルタ部29によって濾過されて異物が分離されて、清澄な濾液が副槽13の第2収容空間26に流入する。このとき蓋部18は、容器20に上方から嵌り込んでいるので、容器20から食材50が漏れ出ることがない。
【0036】
図11は、食材洗浄装置10の電気的構成を示すブロック図である。食材洗浄装置10は、液位センサ35、タイマー36、操作パネル37および制御部38をさらに含んで構成される。液位センサ35は、副槽13に設けられ、副槽13の第2収容空間26の液位が、予め定める液位である規定液位以上になったか否かを検出し、検出信号を制御部38に与える。ここで、規定液位とは、副槽13の第2収容空間26に配置されているポンプ15の吸込み口34aが洗浄液に浸漬する液位以上、主槽13の第1収容空間17の洗浄液の液位未満である。タイマー36は、計時し、時間を表す計時信号を制御部38に与える。操作パネル37は、操作者によって操作されて各種情報が入力されるとともに、各種情報を表示する。
【0037】
制御部38は、食材洗浄装置10を統括的に制御することができる、たとえば中央演算処理装置(Central Processing Unit;略称CPU)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むコンピュータによって実現されてもよい。また前記操作パネルは、表示面にタッチパネルなどのシートスイッチが貼付けられた液晶表示装置によって実現されてもよい。
【0038】
前記液位センサ35は、たとえばフロート式液位センサによって実現されてもよい。また前記タイマー36は、たとえば水晶発振器によって実現されてもよい。
【0039】
図12Aおよび
図12Bは、食材洗浄装置10における食材の洗浄手順を示すフローチャートである。ステップs0で、第1および第2排水部19,27の各バルブ22が開放された状態で、洗浄すべき食材50を操作者が容器20に収容して、この容器20を主槽11の第1収容空間17に収容して、蓋部18を閉位置P1に配置して、操作パネル37のスタートボタンSWを押圧すると、食材50の洗浄手順が開始されて、ステップs1に進む。
【0040】
ステップs1では、制御部38は、第1排水部19および第2排水部27の各バルブ22を閉じるように制御して、ステップs2に進む。
【0041】
ステップs2では、制御部38は、洗浄液を主槽11の第1収容空間17に供給するように洗浄水供給部24を制御して、ステップs3に進む。このステップs3において、主槽11の第1収容空間17に洗浄液が供給され、第1収容空間17から溢れ出た洗浄液は、導液部14によって副槽13の第2収容空間26に導かれる。
【0042】
ステップs3では、制御部38は、液位センサ35が、副槽13の第2収容空間26の洗浄液の液位が予め定める規定液位以上であることを検出したか否かの判断を、規定液位以上であると検出されるまで行い、規定液位以上であると判断すると、ステップs4に進む。
【0043】
ステップs4では、制御部38は、主槽11の第1収容空間17への洗浄液の供給を停止するように洗浄水供給部24を制御して、ポンプ15に電力を供給するように制御するとともにタイマー36に計時を開始するように制御して、ステップs5に進む。このステップs4において、副槽13の第2収容空間26の洗浄液がポンプ15によって噴射ノズル16に供給されて、主槽11の第1収容空間17の容器20内に噴射される。
【0044】
ステップs5では、制御部38は、タイマー36からの計時信号に基づいて、予め定める規定時間が経過したか否かの判断を、規定時間経過したと判断されるまで行い、規定時間経過したと判断すると、ステップs6に進む。
【0045】
ステップs6では、制御部38は、ポンプ15への電力の供給を停止するように制御して、第1排水部19および第2排水部27の各バルブ22を開くように制御して、ステップs7に進む。
【0046】
ステップs7では、制御部38は、主槽11の第1収容空間17および副槽13の第2収容空間26から洗浄液が全て排出されたか否かの判断を、洗浄液が全て排出されたと判断されるまで行い、洗浄液が全て排出されたと判断すると、ステップs8に進む。
【0047】
ステップs7における主槽11の第1収容空間17および副槽13の第2収容空間26から洗浄液が全て排出されたか否かの判断は、第1排水部19および第2排水部27の各バルブ22を開いてから、予め測定しておいた排水時間を制御部38のRAMに記憶させ、記憶されている排水時間をタイマー36の計時信号に同期させて計時し、排水時間が経過したか否かによって判断してもよい。また主槽11の第1収容空間17および副槽13の第2収容空間26から洗浄液が全て排出されたか否かの判断は、第1排水部19および第2排水部27を通過する液体があるか否かを検出するセンサを設け、そのセンサの検出に基づいて判断してもよい。前記センサは、たとえばフォトインタラプタなどの光学センサまたはフロート式の接点スイッチなどによって実現されてもよい。
【0048】
ステップs8では、制御部38は、第1排水部19および第2排水部27の各バルブ22を閉じるように制御して、ステップs9に進む。
【0049】
ステップs9では、制御部38は、殺菌液を主槽11の第1収容空間17に供給するように殺菌液供給部25を制御して、ステップs10に進む。このステップs9において、主槽11の第1収容空間17に殺菌液が供給され、第1収容空間17から溢れ出た殺菌液は、導液部14によって副槽13の第2収容空間26に導かれる。
【0050】
ステップs10では、制御部38は、液位センサ35が、副槽13の第2収容空間26の殺菌液の液位が予め定める規定液位以上であることを検出したか否かの判断を、規定流位以上であると検出されるまで行い、規定液位以上であると判断すると、ステップs11に進む。
【0051】
ステップs11では、制御部38は、主槽11の第1収容空間17への殺菌液の供給を停止するように殺菌液供給部25を制御して、ポンプ15に電力を供給するように制御するとともにタイマー36に計時を開始するように制御して、ステップs12に進む。このステップs11において、副槽13の第2収容空間26の殺菌液がポンプ15によって噴射ノズル16に供給されて、主槽11の第1収容空間17の容器20内に噴射される。
【0052】
ステップs12では、制御部38は、タイマー36からの計時信号に基づいて、予め定める規定時間が経過したか否かの判断を、規定時間経過したと判断されるまで行い、規定時間経過したと判断すると、ステップs13に進む。
【0053】
ステップs13では、制御部38は、ポンプ15への電力の供給を停止するように制御して、第1排水部19および第2排水部27の各バルブ22を開くように制御して、ステップs14に進む。
【0054】
ステップs14では、制御部38は、主槽11の第1収容空間17および副槽13の第2収容空間26から殺菌液が全て排出されたか否かの判断を、殺菌液が全て排出されたと判断されるまで行い、殺菌液が全て排出されたと判断すると、ステップs15に進む。
【0055】
ステップs15では、制御部38は、第1排水部19および第2排水部27の各バルブ22を閉じるように制御して、ステップs16に進む。
【0056】
ステップs16では、制御部38は、洗浄液を主槽11の第1収容空間17に供給するように洗浄液供給部24を制御して、ステップs17に進む。このステップs3において、主槽11の第1収容空間17に洗浄液が供給され、第1収容空間17から溢れ出た洗浄液は、導液部14によって副槽13の第2収容空間26に導かれる。
【0057】
ステップs17では、制御部38は、液位センサ35が、副槽13の第2収容空間26の洗浄液の液位が予め定める規定液位以上であることを検出したか否かの判断を、規定液位以上であると検出されるまで行い、規定液位以上であると判断すると、ステップs18に進む。
【0058】
ステップs18では、制御部38は、主槽11の第1収容空間17への洗浄液の供給を停止するように洗浄液供給部24を制御して、ポンプ15に電力を供給するように制御するとともにタイマー36に計時を開始するように制御して、ステップs19に進む。このステップs18において、副槽13の第2収容空間26の洗浄液がポンプ15によって噴射ノズル16に供給されて、主槽11の第1収容空間17の容器20内に噴射される。
【0059】
ステップs19では、制御部38は、タイマー36からの計時信号に基づいて、予め定める規定時間が経過したか否かの判断を、規定時間経過したと判断されるまで行い、規定時間経過したと判断すると、ステップs20に進む。前記規定時間は、被洗浄物である食材50の種類、大きさ、カット形状、硬さ、洗浄液の温度、1バッチ当りの被洗浄物の投入量などに応じて、たとえば30sec以上10min以下の範囲で適宜設定される。一例として述べると、被洗浄物がカットレタスであり、投入量が5kgである場合、30sec〜1minに設定される。
【0060】
ステップs20では、制御部38は、ポンプ15への電力の供給を停止するように制御して、第1排水部19および第2排水部27の各バルブ22を開くように制御して、ステップs21に進む。
【0061】
ステップs21では、制御部38は、主槽11の第1収容空間17および副槽13の第2収容空間26から洗浄液が全て排出されたか否かの判断を、洗浄液が全て排出されたと判断されるまで行い、洗浄液が全て排出されたと判断すると、ステップs22に進む。
【0062】
ステップs22では、制御部38は、操作パネル37に設けられるブザーを鳴らして、食材50の洗浄が終了したことを操作者に報知して、ステップs23に進み、全ての手順を終了する。前記主槽11は、保有水量が60リットル〜120リットルの容量を有し、720リットル/時〜1200リットル/時の使用水量で、10kg/時〜20kg/時でネギ、キャベツ、レタスなどのカット野菜を洗浄処理することができる。
【0063】
表1は、食材として2mmにスライスした玉葱を、手洗いおよび食材洗浄装置10によって洗浄し、洗浄後の玉葱1グラム当たりに発生する一般生菌および大腸菌の数を比較して示す表である。表2は、食材として1mm幅に千切りしたキャベツを、従来の洗浄装置および食材洗浄装置10によって洗浄し、洗浄後のキャベツ1グラム当たりに発生する一般生菌および大腸菌の数を比較して示す表である。
【0066】
表1および表2に示すように、食材洗浄装置10によって洗浄された食材は、手洗いおよび従来の洗浄装置に比べて、一般生菌数は100分の1未満、大腸菌群数は0個となり、極めて良好な洗浄性能を有していることが確認できる。
【0067】
以上のように参考例の食材洗浄装置10によれば、容器20に食材を収納して、容器20を主槽11に収容し、蓋部18を閉位置に配置して、洗浄液供給部12によって主槽11の第1収容空間17に、洗浄液が第1収容空間17から溢れ出して、洗浄液が副槽13の第2収容空間26に貯留されるまで洗浄液を供給し、ポンプ15および噴射ノズル16によって副槽13に貯留される洗浄液を主槽11に導いて容器20内に噴射すると、噴射された洗浄液によって容器20内の食材50を洗浄することができる。
【0068】
ポンプ15および噴射ノズル16によって容器20内に洗浄液が噴射されると、第1収容空間17から洗浄液が溢れ出し、溢れ出した洗浄液は、導液部14によって、食材50から離脱した異物が洗浄液から分離されて、副槽13の第2収容空間26に導かれる。
【0069】
したがって洗浄液は、ポンプ15および噴射ノズル16ならびに導液部14によって、主槽11の第1収容空間17と副槽13の第2収容空間26とを循環し、このように循環する間に、容器20内の食材50の洗浄に用いられ、食材から離脱した異物の除去がなされるので、従来のように洗浄液を洗浄に用いたらすぐに廃棄する場合に比べて、洗浄に用いられる洗浄液の量を少なくできるとともに洗浄液の状態を可及的に洗浄に適した状態に保つことができる。
【0070】
また所定時間洗浄後に主槽11の第1排水部19および副槽13の第2排水部27によって、主槽11の第1収容空間17および副槽13の第2収容空間26の洗浄液を排出して、再び洗浄液供給部12によって主槽11に洗浄液を供給して、容器20内の食材50の洗浄を繰返すことによって、食材50に付着している異物をより確実に除去することができる。
【0071】
また容器20には複数の透孔40が分散して形成されるとともに、主槽11と容器20との間には、隙間41が形成されるので、容器20内で、側壁20aに沿う上昇流と底部20bに沿う水平流とによる被洗浄物である食材の撹拌および衝突が促進されて、食材から分離した虫、ゴミなどの異物を速やかに導液部28へ排出し、容器20内で激しく流動する洗浄液から異物を除去し、異物の被洗浄物への再付着を防止することができる。
【0072】
図13は、本発明の他の参考例の食材洗浄装置10aを簡素化して示す断面図である。
図14は、
図13の上方から見た食材洗浄装置10aの平面図である。なお、前述の参考例の主槽、副槽、ポンプを含む還流噴射部、導液部、制御部などの対応する構成については、重複する説明は省略する。本参考例の食材洗浄装置10aは、複数の透孔101が分散して形成され、断面が凹状の容器102と、容器102が収容される第1収容空間103aを有する主槽103と、主槽103に隣接して配置され、主槽103から溢れ出た洗浄液を貯留する第2収容空間104aを有する副槽104と、主槽103から溢れ出た洗浄液を副槽104に導くとともに、洗浄液から異物を分離する導液部105と、副槽104に貯留される洗浄液を主槽103に導いて第1収容空間103a内に噴射する還流噴射部109と、容器102の開口106を規定する開口部107に着脱可能に設けられる越流フィルタ108とを備える。
【0073】
還流噴射部109は、副槽104の第2収容空間104a内の洗浄液を吸込み口から吸込んで吐出し口から排出するポンプ110と、複数の噴射ノズル115とを備える。各噴射ノズル115から矢符B方向に噴射される洗浄液の噴射流によって、噴射ノズル115a〜115f(総称する場合には、添字a〜fを省略して数字「115」と記す)から排出される洗浄液を、主槽103の第1収容空間103aに矢符B方向に噴射して、第1収容空間103aに貯留された洗浄液を、容器102内で矢符A1,A2で示されるように大きく流動させ、容器102内の個々の食材に対する洗浄液に大きな相対速度差を生じさせ、洗浄効果を高めることができる。
【0074】
容器102は、
図13に示す側方から見た断面が凹状、詳しくはU字状の周壁111と、周壁111の軸線方向(
図13の紙面に垂直方向)の両端部を塞ぐように設けられる一対の側壁112,113とを有する。周壁111には、たとえば内径2.0mmφの複数の透孔114が互いに3.0mm間隔で格子状に分散して形成される。周壁111の周方向一端部には、各噴射ノズル115に水平方向に対向して、複数の通水孔117が形成される。容器102と主槽103との間には、前述と同様な隙間108が形成され、この隙間108に容器102の透孔114を介して流出しようとする流れの一部が抜けることによって、各噴射ノズル115からの噴射流を乱す流れを排除し、噴射流の乱れを抑制して整流化し、流れ全体を一定の流れA1,A2,Bにすることができる。これによって、食材を大きく流動させ、大量の食材を損傷せずに撹拌し、高い洗浄力を実現することができる。
【0075】
図15は、越流フィルタ108を示す正面図である。
図16は、
図15の切断面線XVI−XVIから見た越流フィルタ108の断面図である。越流フィルタ108は、
図15の左右方向である各噴射ノズル115から噴射される洗浄液の噴射方向Bに垂直な水平方向に互いに10〜20mm程度の中心間隔ΔL11をあけて平行に配設され、直径2.5〜3.5mmφ程度の棒状部材から成る複数のフィルタロッド120と、各フィルタロッド120の基端側の一端部がたとえば溶接されて固定される長手板状の取付部材121と、取付部材121の長手方向両端部に、たとえば溶接されて固定される一対の係合片122a,122bとを有する。このような越流フィルタ108は、ステンレス鋼から成ってもよい。
【0076】
各フィルタロッド120は、ステンレス鋼製の丸棒から成り、略L字状に屈曲して形成される。取付部材121および各係合片122a,122bは、ステンレス鋼製の板材から成る。各係合片122a,122bは、取付部材121に垂直に固定される立上がり部分123と、立上がり部分123に垂直に屈曲して連なり、取付部材121に平行に延び、先端部が取付部材121から突出する平行部分124とを有する。
【0077】
各係合片122a,122bの平行部分124と取付部材121との間に容器102の開口部107における噴射ノズル115側の一側部が嵌まり込んで係合し、越流フィルタ108が容器102の開口部107に着脱可能に設けられる。各フィルタロッド110は、開口部107から上方に突出し、食材の通過を阻止しかつ洗浄液の通過を許容する隙間ΔL12をあけて離間して配設される。
【0078】
このような越流フィルタ108が容器102に設けられるので、各噴射ノズル115から噴射される洗浄液の噴射流Bによって生じた撹拌流A1,A2の一部を、矢符Cで示されるように、容器102の開口部107から越流フィルタ108を通過して導液部105へ越流(オーバーフロー)させ、食材を容器102から流出させずに異物を含む洗浄液だけを導液部105へ導き、異物を除去した洗浄液を副槽104および還流噴射部109によって循環させながら、短時間で洗浄することができる。
【0079】
図17は、食材洗浄装置10aの容器102の反転動作を示す側面図である。食材洗浄装置10aは、容器102を開口106が上方に臨むようにして主槽103の第1収容空間103aに収容した収容位置P11と、容器102を開口106が側方に臨むようにして第1収容空間103aの外部へ配置した排出位置P12とにわたって、容器102を水平な軸線L3まわりに角変位させる反転駆動部125をさらに含む。
【0080】
反転駆動部125は、ストロークSTを有するピストン棒129を有する複動空気圧シリンダ130と、副槽104の一側壁の上部に、該一側壁に対して垂直(すなわち水平)に固定される支軸131と、基端部が支軸131に水平な軸線L4まわりに回動可能に嵌着され、遊端部に第1ピン132によってピストン棒129の先端部が連結される揺動レバー133と、一端部が揺動レバー133の基端部に固定される第1リンク部材134と、一端部が第1リンク部材134の他端部に前記軸線L4に平行な軸線まわりに回動可能に連結される第2リンク部材135と、第1リンク部材134の他端部と第2リンク部材135の一端部とを回動可能に連結する第1リンクピン136と、第2リンク部材135の他端部と、容器102の各側壁112a,112bとを回動可能に連結する第2リンクピン137とを有する。
【0081】
第2リンク部材135は、一対のリンク片135a,135bと、各リンク片135a,135bを共通な軸線上で互いに近接/離反する方向に移動可能に連結する軸継手135cとを含んで構成される。軸継手135cは、各リンク片135a,135bの互いに近接する側の一端部に、溶接などによって固定される一対のナット138,139と、各ナット138,139に螺着されるボルト140とを含み、ボルト140をその軸線まわりに回動させることによって、各ナット138,139に対するボルト140の螺合位置が変化し、第1および第2リンクピン136,137間の距離Wを変化させて、容器102の軸線L3まわりの反転角度θを、容器102内の食材を矢符D方向に確実に排出できる角度となるように、調整することができるように構成される。
【0082】
複動空気圧シリンダ130の下端部は、工場の床などの水平な設置面にボルトおよびナットによって固定されるブラケット141に、ピン142によって軸線L5まわりに回動可能に連結され、容器102の反力を支持するように構成される。前述の各軸線L1〜L5は、互いに平行である。
【0083】
図18は、本発明のさらに他の参考例の食材洗浄装置10bを簡素化して示す側面図である。
図19は、
図18の上方から見た食材洗浄装置10bの平面図である。なお、先行して述べた参考例の主槽、副槽、ポンプを含む還流噴射部、導液部、制御部などの対応する構成については、重複を避けて、説明は省略する。
【0084】
本参考例の食材洗浄装置10bは、3つの容器200a,200b,200cと、各容器200a〜200cをそれぞれ収容可能な第1収容空間201a,201b,201cを有する3つの主槽202a,202b,202cと、各主槽202a〜202cに隣接して配置され、洗浄液を貯留する第2収容空間203a,203b,203cがそれぞれ設けられる3つの副槽204a,204b,204cと、下流側の2つの主槽202a,202bの第1収容空間201a,201bから溢れ出た洗浄液を副槽204a〜204cの第2収容空間203a〜203cに導くとともに、洗浄液から異物を分離する導液部205a,205b,205cと、副槽204a〜204cに貯留される洗浄液を主槽202a〜202cに導いて第1収容空間201a〜201c内に噴射する還流噴射部206a,206b,206cと、各容器200a〜200cの開口部における下流側の側縁部にそれぞれ着脱可能に設けられる越流フィルタ207a,207b,207cと、各容器200a〜200cを反転軸208a,208b,208cの軸線まわりに矢符E1,E2方向に角変位させる反転駆動部209a,209b,209cとを含む。
【0085】
本参考例の食材洗浄装置10bは、前述の
図13〜
図17に示す参考例の食材洗浄装置10aと同様な装置を、粗洗浄、殺菌洗浄、すすぎ冷却の各工程を実施するために、3機隣接して配置し、殺菌洗浄工程およびすすぎ冷却工程の主槽202b,202cからオーバーフローした洗浄液は、導液部205a〜205cの一部を構成する導水樋214を経て、粗洗浄を行う主槽202aへ戻され、粗洗浄に用いられる。
【0086】
このような食材洗浄装置10bにおいても、各容器200a〜200cと各主槽202a〜202cとの間には、ΔL=5mm以上15mm以下の隙間210a〜210cが形成される。還流噴射部206a〜206cに設けられる各噴射ノズル211a,211b,211cからの噴射流による動圧によって、各容器200a〜200cの透孔212a,212b,212cから隙間210a〜210cへ洗浄液が異物とともに押出される。
【0087】
各隙間210a〜210cへ押出された洗浄液は、各噴射ノズル211a〜211cからの洗浄液の噴射によって発生したノズル背後の低圧力領域213a,213b,213cへ導かれ、大半は噴射に伴なう流水として各容器200a〜200c内を矢符Fのように流動し、残部は主槽202b,202cを矢符Gのようにオーバーフローして導水樋214へ排出される。また、最も上流側に配置される粗洗浄用の主槽202a内の洗浄液は、下流側の主槽202b,202c内の洗浄液に比べて異物が多く、洗浄液よりも比重が大きい砂、土などがほとんどであるので、主槽202aの底部に設けられるドレン管216から排出される。
【0088】
図20は、食材洗浄装置10bの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図20(1)は粗洗浄に用いられる洗浄ユニット10b1の容器200aの位置を示し、
図20(2)は殺菌洗浄に用いられる洗浄ユニット10b2の容器200bの位置を示し、
図20(3)はすすぎ冷却に用いられる洗浄ユニット10b3の容器200cの位置を示す。時刻t1で図示しない制御装置に備えられるスタートボタンが押下されると、全ての洗浄ユニット10b1〜10b3の各容器200a〜200cは、主槽202a〜202cに収容された収容位置から粗洗浄用の洗浄ユニット10b1の容器200aおよびすすぎ冷却用の洗浄ユニット10b3の容器200cだけが反転駆動部209a,209cによって取出位置に角変位駆動され、時間W1維持された後、時刻t2で収容位置に復帰される。この時間W1は、たとえば30sec〜60secに設定される。こうして粗洗浄後の容器200a内の食材は殺菌洗浄の容器200bへと払い出され、すすぎ冷却後の容器200c内の食材は外部へ払い出されて排出される。
【0089】
次に、時刻t2から時間W2が経過後の時刻t3において、殺菌洗浄用の容器200bは、反転駆動部209bによって収容位置から取出位置に角変位駆動され、殺菌洗浄後の食材がすすぎ冷却用の容器200cへ払い出され、時刻t2から時間W3後の時刻t4で収容位置に復帰される。時刻t4から時間W4が経過すると、時刻t5で再び、粗洗浄用の容器200a,200cが収容位置から取出位置に角変位駆動され、時間W1にわたって取出位置に保持され、各容器200a,200c内の食材がバケット216に払い出され、前述と同様に、時刻t6で各容器200a,200cを取出位置から収容位置に復帰させる。各容器200a,200cおよび容器200bは、上記と同様な動作を繰返し、大量の食材が連続的に洗浄処理される。
【0090】
このような食材洗浄装置10bにおいても、各容器200a〜200cには複数の透孔212a〜212cが分散して形成されるので、各噴射ノズル211a〜211cから噴射された洗浄液の一部は、透孔212a〜212cを介して隙間210a〜210cに流出するので、流れA1,A2,Bの乱れを抑制して整流化し、食材を大きく流動させて高い洗浄力を達成することができる。
【0091】
図21は、本発明の一実施形態の食材洗浄装置10cを簡素化して示す断面図である。
図22は、
図21の上方から見た食材洗浄装置10cの平面図である。なお、前述の参考例の主槽、副槽、ポンプを含む還流噴射部、導液部、および制御などの対応する構成については、重複を避けて説明は省略する。
【0092】
本実施形態の食材洗浄装置10cは、洗浄液を貯留する第1収容空間301を有し、一方向に延びる長手箱状の主槽300と、主槽300の水平面上で長手方向に垂直な幅方向一側部に隣接して配置され、洗浄液を貯留する第2収容空間302を有する複数の副槽303a,303b,303cと、主槽300に洗浄液を供給する供給部304と、主槽300の第1収容空間301から溢れ出た洗浄液を、副槽303a〜303cの第2収容空間302a〜302cに導くとともに、洗浄液から異物を分離する導液部305と、還流噴射部306と、循環部307とを含む。
【0093】
還流噴射部306は、洗浄液の吸込み口と吐出し口とを有し、副槽303a〜303cの第2収容空間302内の洗浄液を吸込み口から吸込んで吐出し口から吐出するポンプ308a,308b,308cと、ポンプ308a〜308cの吐出し口から吐出される洗浄液を第1収容空間301に噴射する噴射ノズル309a,309b,309cと、主槽300の長手方向一端部に設けられ、主槽300の各噴射ノズル309a〜309cの下方の内璧に沿って設けられ、複数の透孔314が分散して形成される長方形の整流板315と、第1収容空間301から上方に食材を搬出する搬出コンベア310とを有する。
【0094】
主槽300、副槽303a〜303c、導液部305、隔壁体311、スクリュー313、整流板315は、たとえばステンレス鋼から成る。
【0095】
図23は、循環部307の構成を示す拡大断面図である。前記循環部307は、一方向に長手の主槽300の底部に設けられ、長手方向に延びる断面が逆U字状の隔壁体311と、隔壁体311によって主槽300との間に形成される両端が開放した流路312の長手方向他端部側の領域に配置されるスクリュー313と、スクリュー313が先端部に固定される出力軸317を有するモータ318と、出力軸317が貫通する主槽300の側壁部に設けられ、出力軸317を水密に軸支する軸受体316とを含む。
【0096】
軸受体316は、主槽300の長手方向他端部の側板の下部に、溶接によって接合され、中央に出力軸317が挿通される軸孔319を有する固定部材320と、固定部材320の軸孔319に装着されるシール部材322と、シール部材322を軸孔319内に抜止めする略円筒状の抜止め部材323と、抜止め部材323が嵌合する嵌合孔324を有し、抜止め部材323を嵌合孔324に嵌合させた状態で保持するホルダ325と、ホルダ325の軸線方向一方の端面に当接させた状態で該ホルダ325を固定部材320に近接する方向に押圧して固定する円環状の押えリング326と、押えリング326およびホルダ325を挿通して固定部材320に螺着される複数のボルト327とを含む。
【0097】
隔壁体311の長手方向一端部は開放して開口328aが形成され、搬出コンベア310の下方に配設され、隔壁体311の長手方向他端部には、上方に臨んで開放した開口328bが形成される。
【0098】
前記押えリング326には、スリーブ329の一端部が溶接されて固定される。スリーブ329の軸線方向両端部には、出力軸317を軸支する軸受330,331が設けられ、またスリーブ329の軸線方向一端部には、モータ318が取付けられる取付フランジ332が、溶接されて固定される。各軸受330,331は、ラジアル軸受によって実現される。
【0099】
モータ318に制御部(図示せず)駆動電力が供給されると、出力軸317およびスクリュー313が一方向に回転駆動され、隔壁体311内の洗浄水が該隔壁体311の長手方向一端部から長手方向他端部に流動し、隔壁体311の長手方向一端部の開口328aから主槽300内の洗浄液が吸引され、隔壁体311の長手方向他端部の開口328bから該隔壁体311内の洗浄液が排出される。
【0100】
したがって、主槽300内における隔壁体311の外側に貯留される洗浄液は、主槽300の長手方向他端部(
図21では左側の食材投入側の端部)から長手方向一端部(
図21では右側の食材搬出側端部)に向かって、たとえば約200〜600リットル/分の循環量で矢符F方向に移動させながら、噴射ノズル309a〜309cからの噴射流によって、水平面上で長手方向に垂直な幅方向に矢符G方向に流動させ、食材を撹拌しながら搬出コンベア310に向かって搬送することができる。
【0101】
このように構成される循環部307によって、主槽300内に貯留される洗浄液を、主槽300の長手方向一端部から吸込み、流路312を経て、主槽300の長手方向他端部から排出して、主槽300内の洗浄液を矢符F方向に移動させ、噴射ノズル309a〜309cからの噴射流によって洗浄液を流動させながら食材を洗浄および搬送し、排出コンベア310に排出することができる。
【0102】
特に、主槽300内に分散して複数の透孔314が形成された整流板315が設けられることによって、主槽300内の洗浄液を噴射ノズル309a〜309cの噴射流を乱す流れを排除して矢符G方向の流れを整流化し、流れ全体を一定の大きな流れにすることができる。これによって、食材を大きく流動させ、大量の食材を損傷せずに撹拌し、高い洗浄力を達成することができる。
【0103】
本発明は、次の実施形態が可能である。
(1)洗浄液を貯留する第1収容空間が上方に開放して設けられる主槽と、
食材が収容され、複数の透孔が分散して形成されるとともに開口部を有する有底筒状の容器であって、前記主槽との間に隙間が形成されるように、前記主槽に収容される容器と、
前記主槽に洗浄液を供給する供給部と、
前記主槽に隣接して配置され、洗浄液を貯留する第2収容空間が設けられる副槽と、
前記主槽の第1収容空間から溢れ出た洗浄液を、前記第2収容空間に導く導液部と、
前記副槽に貯留される洗浄液を、前記第1収容空間内に噴射する還流噴射部であって、
洗浄液の吸込み口と吐出し口とを有し、前記第2収容空間内の洗浄液を吸込み口から吸込んで吐出し口から吐出するポンプと、
前記ポンプの吐出し口から吐出される洗浄液を、前記第1収容空間に噴射する噴射ノズルとを備える還流噴射部と、を含むことを特徴とする食材洗浄装置。
【0104】
(2)前記容器の開口部に、該開口部から上方に突出して設けられ、前記容器から前記副槽への食材の通過を阻止し、かつ洗浄液の通過を許容する越流フィルタを、さらに含むことを特徴とする。
【0105】
(3)前記越流フィルタは、前記容器の開口部に着脱可能であることを特徴とする。
【0106】
(4)前記容器が前記主槽の第1収容空間に収容された収容位置と、前記容器が前記第1収容空間の外部へ取出された取出位置とにわたって、前記容器を水平な軸線まわりに角変位させる反転駆動部を、さらに含むことを特徴とする。
【0107】
本発明によれば、主槽の第1収容空間に食材を収容して、供給部によって主槽の第1収容空間に、洗浄液が第1収容空間から溢れ出して、洗浄液が副槽の第2収容空間に貯留されるまで洗浄液を供給し、還流噴射部によって副槽に貯留される洗浄液を主槽に導いて主槽の第1収容空間に噴射すると、このように噴射された洗浄液によって第1収容空間の食材を洗浄することができる。還流噴射部の噴射ノズルによって第1収容空間に洗浄液が噴射されると、その噴射流は容器に当接して該容器に沿って案内される。容器に沿って案内される洗浄液の一部は、透孔を通過して、容器と主槽との間の隙間へ流出して、隙間の洗浄液を加圧する。隙間の洗浄液が加圧されることによって、第1収容空間の容器と主槽との間の隙間から洗浄液が導液部へ溢れ出し、溢れ出した洗浄液は、導液部によって、食材から離脱した異物などが洗浄液から分離された後、副槽の第2収容空間に導かれる。
【0108】
したがって洗浄液は還流噴射部および導液部によって、主槽の第1収容空間と副槽の第2収容空間とを循環し、このように循環する間に、第1収容空間の食材の洗浄に用いられ、食材から離脱した異物の除去がなされるので、従来のように洗浄液を洗浄に用いたらすぐに廃棄する場合に比べて、洗浄に用いられる洗浄液の量を少なくできるとともに洗浄液の状態を可及的に洗浄に適した清澄な状態に保つことができ、食材に付着している異物を可及的確実に除去することができる。
【0109】
また、容器には複数の透孔が分散して形成されるので、噴射ノズルから噴射された洗浄液の噴射流の一部は、透孔を通過して前記隙間へ流出する。これによって、容器に沿う流れを乱す反射流の発生を少なくし、容器内全体に大きな流れを形成し、食材を洗浄液とともに大きく流動させ、高い洗浄力を得ることができる。
【0110】
また本発明によれば、整流板には複数の透孔が分散して形成されるので、噴射ノズルから噴射された洗浄液の噴射流の一部は、透孔を通過して前記隙間へ流出する。これによって、整流板に沿う流れを乱す反射流の発生を少なくし、主槽内全体に大きな流れを形成し、循環部によって洗浄液を循環させながら、噴射ノズルから噴射される噴射流によって洗浄液を流動させ、高い洗浄力を達成することができる。
【0111】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。