特許第6707116号(P6707116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6707116医薬調剤の安全な製作のための撮影方法および装置、関連する被写体位置決め台
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707116
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】医薬調剤の安全な製作のための撮影方法および装置、関連する被写体位置決め台
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20200601BHJP
   A61J 1/20 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   A61J3/00 310K
   A61J1/20 314C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-197900(P2018-197900)
(22)【出願日】2018年10月19日
(62)【分割の表示】特願2016-520563(P2016-520563)の分割
【原出願日】2014年6月4日
(65)【公開番号】特開2019-37798(P2019-37798A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2018年10月19日
(31)【優先権主張番号】1355817
(32)【優先日】2013年6月20日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1359545
(32)【優先日】2013年10月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515350223
【氏名又は名称】エウレカ
【氏名又は名称原語表記】EUREKAM
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ルフラン,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】タマレル,ロイック
(72)【発明者】
【氏名】ル バコン,ガエル
【審査官】 小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−250016(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0169044(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/073950(WO,A1)
【文献】 特開平04−258712(JP,A)
【文献】 特開2001−330878(JP,A)
【文献】 特開平03−191678(JP,A)
【文献】 特表2010−507807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬の調剤製作を安全に行うために、医薬調剤製作領域に置かれたバイアルおよびシリンジのような調剤製作に用いられる被写体を撮影する装置であって、
相互に対向して配置された一対の撮影装置(43,44)と、
前記一対の撮影装置の撮影光軸に沿って前記一対の撮影装置の間に配置された、前記一対の撮影装置のそれぞれのための一対の反射素子(47,48)と、を備え、
前記一対の反射素子はそれぞれ、前記医薬調剤製作領域に置かれた前記被写体からの光をそれぞれ対応する前記一対の撮影装置の方へ反射させるように方向付けられており、
前記一対の撮影装置はともに、前記医薬調剤製作領域に置かれた前記被写体の像を撮影することができることを特徴とする装置。
【請求項2】
記一対の撮影装置は、互いに異なる大きさの焦点範囲のズームレンズを有し、前記医薬調剤製作領域に置かれた前記被写体を異なる大きさの焦点範囲で撮影することができることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一対の反射素子は、それぞれ共通端部を介して相互に繋がる二つの平面から構成されることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の装置。
【請求項4】
前記二つの平面は、三角形の断面形状を有する三角柱形状のプリズムの2つの隣接した面によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記調剤製作領域を有する台と、請求項1〜4のいずれかに記載の前記装置を前記台に取り付けるための手段(58)を備え、前記手段(58)により前記台に対する前記装置の相対位置を調整可能であることを特徴とする装置システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全な、即ち、制御され支援された医薬調剤の製作方法およびそのような方法を実現するように構成された撮像システムに関する。
【0002】
本発明の観点は、そのような調剤を公開監視することができる医薬調剤の安全な製作に関する。医薬調剤は、所定の患者に対するカスタマイズされた治療に適合する濃度を有している各成分による成分間の反応混合物から複雑なプロトコルに従って行われるので、そのような公開監視が必要である。
【0003】
化学成分の性質上の、またはそれらの量に対するいかなる誤りも、特にガン治療に用いられる細胞毒性製剤のように有毒な活性物質が含まれているときには、その製剤が投与される患者に対して深刻な結果を引き起こし得る。
【0004】
実際には、オペレータは、例えば病院の調剤ユニット内で数時間単位で働くことができるが、これにより化学成分の組成物または量の誤りのリスクが実質的に増加する。調剤の安全性は、通常、各調剤の重要ステップの、および通常「製作(Production)シート」と呼ばれる適切な追跡媒体に書かれている報告のチェックの、二重の目視チェックによって生じる。
【0005】
医薬調剤の品質を保証するために、AFSSAPS(フランスの保険製品の安全機関(French Agency for Safety of Health Products))は、薬剤師のための参照テキストで
ある「適正製作規範(Good Manufacturing Practices)」を出版した。「適正製作規範」は、原料を医薬調剤に組み込む際に遵守しなければならない以下の3つの義務を規定している。
− 原料の量の測定方法は、それらの性質および測定される量に応じて選択される。
− 原料の量の体積測定または計量は、保存される。
− 原料は、上記の作業の際に恒久的に識別可能である。
【0006】
調剤の際に、各原料の重量または体積は勿論、用いられる原料の性質も従って自動保存手段によって、または公衆保険法のもとで資格を得た第2の人物によって独立して検査されて、検査が調剤バッチファイル内に書き留められる。「適正製作規範」に適合させるために、および患者の安全のために、各調剤に使用される組成物の性質および量のダブルチェックがこのように推奨される。
【背景技術】
【0007】
容器内の薬物錠剤の溶解および/または分解に対して要求される時間を監視しおよび記録する装置は、米国特許公報4,855,821号から知られている。カメラレンズが容器の側面に取り付けられている。この文献によれば、その監視および記録は、錠剤の組成物の性質またはその体積をリアルタイムでチェックすることができない。
【0008】
欧州特許第1,867,998号の特許文献は、測定器の台に配置されて位置決め具に接続されたタグ読み取り器に関連付けられたRFID無線周波数識別タグ(RFIDは英語の無線周波数識別装置(Radio Frequency Identification Device)の頭文字)からの
実験装置の認識を提供している。この解決策は実験装置の位置確認および識別を意図しているが、実験装置の性質や体積または重量をチェックすることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、リアルタイムでの監視を伴う適切な警告のトリガ発生を可能にすることおよび調剤の事後的制御を引き起こすために、ビデオ比較分析と組み合わせられたグラフィックインタフェースを用いて製作シートを非物質化すること(dematerializing)によって
上述した問題を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より詳細には、本発明は所定のサイトにおける処方箋に従った医薬調剤の安全な製作方法に関する。本方法は、少なくともいわゆる処理ビデオストリームを用いる動的なグラフィックインタフェースを用いて調剤を少なくともリアルタイムで監視し、調剤の成分を識別するためにデジタル処理によって一度検出された処方箋に関する情報の表示部を有する調剤サイトで製品を見ることができ、調剤のステップのデータと処方箋のステップの記憶されているデータとを比較し、調剤および処方箋のステップのデータ間に不適合(non-compliance)が検出された場合には警告を引き起こし、調剤および処方箋のステップのデータが適合している場合には調剤を有効にすることから構成される。
【0011】
処方箋に関する前記情報は、好ましくは前記処方箋による利用可能なバイアルのリストおよび、それらのそれぞれから採取された成分の量の放出に用いられたバイアルのリストから選択される。配送パッケージに注入された量、および/または失われている量の放出の表示部、および警告表示部がまた提供され、そのような情報には、オプション的に試料への具体的な注入量またはバイアルの追加の人的交互作用が伴われて提供される。
【0012】
好ましい実施形態としては、以下があげられる。
− いわゆる処理ビデオストリームの1つはステップでの検証、詳細には調剤の重要ステップでの検証のために被写体の解析データに焦点が当てられ、およびいわゆるシーン第2ビデオストリームは、サイトで実行されるアクションの全景および被写体の位置に焦点が当てられる。
− 検出は、形状および特徴認識を用いて第1ビデオストリームを処理することによってシリンジの自動識別に拡張される。
− 処理ストリームは二重並列ストリーム(double parallel stream)を構成し、各ストリームは大きさの範囲が実質的に異なる被写体を検出するように調整されている。
− 注入された量の増加およびその結果として残存している量、注入の数、バイアルの数およびその残りの数はまた、グラフィックインタフェースから自動化される。
− 注入に先立って検出された成分のバイアルおよび/または量が、記憶されているプロトコルによる処方箋に適合しなければリアルタイムの警告が引き起こされ、警告が解除されて処方箋に対する順守が表示されたガイドラインも順守していることが検証された場合に限り調剤が機能でき、調剤の進行が更新される。
− 調剤の進行は、識別された処方箋のプロトコルのデータによってリアルタイムで監視される。
− 記憶された患者の識別タグが配送パッケージに現存する患者の識別タグと一致することを確認することで調剤の交付が有効になる。
− 調剤のステップがインディクス化されており、不正確として検出されたステップが処方箋のステップと比較されて識別され、後の検証ステップ、特に調剤の重要ステップで不正確として検出されても、調剤を続けることを可能にする。
− ビデオ画像の後の観察によって行われる事後的なチェックは、少なくとも2つのビデオストリーム、すなわち調剤のステップの検証被写体に焦点が当てられた処理ストリーム、および調剤サイトで行われるアクションの総合的な可視化に焦点が当てられたいわゆるシーンビデオストリームによって同時に閲覧される各調剤に関連しており、特に重要ステップである解析されるステップのインデックス作成に関連している。
− 記憶された調剤の履歴によって閲覧がデジタル管理ユニット内に搭載されたサーチエンジンによって制御される。
【0013】
本発明は、また、所定のサイトにおける医薬調剤のための信頼できる撮像システムに関しており、成分を含むべき被写体の検出のために調整された焦点距離を有する少なくとも1つの観察および記録するいわゆる処理カメラを有して、処理カメラからのビデオ信号を管理するデジタルユニットに接続された動的なグラフィックインタフェースを備える。前記ユニットは、ビデオ信号に対応する第1の画像を用いる調剤の進行の記憶されたデータと処方箋メモリに記憶された処方箋の調剤のステップとの比較を確立する手段と、前述の比較に従って処方箋を選択する手段とを有する。選択された処方箋の情報が表示手段にデジタル管理ユニットによって送信された画像として表示される。加えて、インデックス作成された調剤の少なくとも1つのステップが選択された処方箋の対応するステップに適合しない場合には警告手段を起動することができる。
【0014】
好ましい実施形態としては、以下があげられる。
− インデックス作成する手段が、事後チェックのビデオストリームの同期化インデックス作成を提供するために各重要ステップに対する情報の統合を通して、各処方箋に対する特別なステップ、即ちいわゆる重要ステップをインデックス作成するように構成されており、調剤の少なくとも1つのステップ、特に重大なステップに不順守がある場合には警告手段が始動する。
− 動的なグラフィックインタフェースは、サイトの総合的な検出のために調整された焦点距離を有する少なくとも別の観察および記録するいわゆるシーンカメラを備え、処理カメラおよび前記シーンカメラは同期化されたストリームを有する。
− 処理カメラは、追加的な大きさ範囲の被写体の検出のために調整された焦点距離を有して並んで配置された2つのカメラから構成されている。
− 処理カメラは、製品と調剤被写体を位置決めするための台に配置されている。
− シーンカメラは、サイトの全景を可能にするより高いレベルに配置されている。
− 台は、被写体、特にバイアルおよびシリンジを安定的におよび再現性良く置くことに都合がよく、それら被写体の形状に適合した構造形態を有しており、シリンジの漸次的変化(gradations)を正確に読み取るためのバックライト装置を含んでいる。

本発明はまた、医薬調剤の安全な製作のためのバイアルおよびシリンジのような複数の被写体を撮影する装置に関する。
本発明によれば、その装置は以下を備える。
− 相互に対向して配置された少なくとも一対の撮影装置と、
− 撮影装置の各自のための反射素子であって、2つの撮影装置によって規定される軸に沿って2つの撮影装置の間に配置されている同一の一対の装置からなる2つの反射素子を有して、医薬調剤製作領域の像が適合している装置の方へ反射されるように各自が方向付けられている反射素子と、を備える。

その装置は、以下の1および/または他の特徴を有してもよい。
− 同一の一対の装置からなる2つの装置によってカバーされる2つの領域は同一であり、それら装置は医薬調剤製作領域に存在する大きさの異なる被写体に焦点を合わせることができる異なるズームレンズを有する。
− 2つの反射素子は、共通端部によって相互に関連している平面から構成される。
− その2つの平面は、2つの隣接した三角形の断面を有するプリズムによって形成されている。
− その装置は細長いベースを備えており、同一対の撮影装置が細長いベースの両端部にそのベースに取り付けられている反射素子と関連して取り付けられている。
− その装置は、医薬調剤の製作に用いられる被写体を位置決めするための台を取り付
けるための手段を備える。
− その装置は、医薬調剤の製作チャンバーにその装置を取り付ける手段を備える。

本発明は、また被写体位置決め台に関しており、台は、少なくとも1つのシリンジおよび前記シリンジに流動物を採取される少なくとも1つのバイアルを有しており、被写体を支持する平坦なベースと、ベースの後方に立っているスクリーンと、ベースから独立している非係合位置とベースにおける係合位置との間をベースに対して平行移動するように搭載されるシリンジホルダーと、を備える。

位置決め台は、以下の1および/または他の特徴を有してもよい。
− シリンジホルダーは、ベースの上面から形成されたベースのリセスに摺動接続によって平行移動するように搭載される。
− 台のベースおよびシリンジホルダーの上面は同一平面上にあり、シリンジホルダーがその係合位置にあるときに、バイアルの底部を受容するための起伏を形成するように構成されたリセスまたはリブのようなバイアルを受容するために適合する起伏を有する。
− シリンジホルダーは、シリンジのつばもとを保持するラックおよびシリンジの本体を支持する長手方向のブロックを備える。
− シリンジホルダーがその係合位置にあるときに、バイアルの底部を受容するリセスが、シリンジのつばもとを保持する前記ラックと、前記シリンジの本体を支持する前記ブロックの間に配置されている。

本発明は、また医薬調剤の製作のために複数の被写体を撮影するシステムに関しており、システムは、前述のように規定された撮影装置と、前述のような被写体位置決め台と、チャンバー内に配置されている被写体位置決め台を有する医薬調剤製作チャンバーと、被写体位置決め台の像がシステムの撮影装置に到達するような位置にあるチャンバーの透明な窓に接触しているそれら(チャンバー)の外側の撮影装置と、を有している。
本システムにおいては、撮影装置および被写体位置決め台は、好ましくは透明な窓の両側に相互に対向して配置されている追加取り付け手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の他のデータ、特徴および利点は、添付図面を参照する以下の例示的な説明から明らかになるであろう。
図1】例えば医薬調剤のために信頼できる撮像システムが装備された医薬調剤サイトの透視図である。
図2】処理カメラによって提供された画像が組み込まれている本発明のリアルタイム表示の説明図である。
図3】処理カメラとシーンカメラとを用いて得られた医薬調剤の事後的制御の表示部の説明図である。
図4】調剤チャンバー、シリンジおよびバイアルの台、調剤チャンバーの内側、および調剤チャンバーの外側の撮影装置を含み、種々の大きさのシリンジおよびバイアルを撮影するシステムの前面透視図である。
図5図4のシステムの上面透視図である。
図6図4の装置の分解図である。
図7】支持ベースに対して非係合位置にあるシリンジホルダーを示す、図4のシリンジおよびバイアルの台の分解図である。
図8】シリンジを支持する台の右側の透視図である。
図9】シリンジが無い状態の台の左側の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1の透視図は、医薬調剤サイト10を組み込んでいるポータブルフード1を示す。サ
イト10は、前述の調剤の安全な製作のための撮像システム20が装備されている。このシステム(撮像システム)は、いわゆる処理カメラ21を含んでいる。カメラ21の焦点距離はコンテナおよび薬剤投与ツールに焦点が合うように調整されており、ここでは、バイアル22、生理食塩水を含んでいる点滴袋24、およびシリンジ23に焦点が合うように調整されている。実施例においてバイアル22は点滴袋24内で希釈されるシスプラチンを含んでいる。この目的に対しては、試料はオペレータによってシスプラチン・バイアル22からシリンジ23を用いて取得されて点滴袋24に注入される。作業は点滴袋内の活性成分、実施例においては多剤併用化学療法(polychemotherapy)成分の所望の希釈が調合によって得られるまで繰り返される。
【0017】
好ましくはフード1の底部11は、被写体の形状に適合するような、すなわちバイアルおよびシリンジを安定的に再現性良く置くことに適した構成構造を有しており、シリンジ23の漸次的変化(gradations)を読み取るために有用なバックライト装置12を含んでいる。
【0018】
処理カメラ21は、フードの底部11に位置しており、すなわち実質的には、本実施例においてはオペレータの腹(図示せず)に面しているポータブルフード1が置かれているワークベンチ3のわずか上方に位置している。
【0019】
処理カメラ21は、本実施例においてはデジタル管理ユニット、すなわちラップトップコンピュータ25に接続されている。コンピュータ25は、主にプロセッサおよびメモリ(図示せず)を備えており、処理カメラ21からのビデオ信号Sv1を表示画面24に画像を提供するために処理し、同様に記録する。
【0020】
表示画面24は、そのとき、処理カメラ21から提供されたビデオストリームFVから調剤の進行に対応する情報を見ることを可能にする。
【0021】
別の記録および視察、いわゆるシーンカメラ27は、サイト10の全方向に対して調整された焦点距離を有している。シーンカメラ27のレンズは、サイト10の全景のビデオストリームFVを表示画面24に送信することができるように、好ましくはフード1の上位13に位置している。
【0022】
処理カメラ21およびシーンカメラ27は、リアルタイムおよび事後的制御のための動的なグラフィックインタフェースを形成するように、ビデオ信号Sv、Svをコンピュータプロセッサ25によって同期化して提供する。
【0023】
処理カメラ21は、好ましくは並んで配置された2つのカメラ21a、21bから構成されており、その焦点距離は検出される被写体、すなわち一般にはバイアルおよびシリンジに調整されており、本実施例においては3cmから10cmの範囲に加えて3cm未満の追加的なサイズのバイアルおよびシリンジにも調整されている。
【0024】
画面24のリアルタイム表示の1例を図2に示す。画面は、ここでは、シスプラチン・バイアル22に焦点が当てられた処理カメラ21bからのビデオストリームの画像34を含んでいる。処理カメラ21aおよび21bからのビデオストリームは、コンピュータプロセッサ25(図1参照)に内蔵されている形状および特徴認識ツールによって解析される。
【0025】
解析は、使用される被写体、すなわちバイアル22およびシリンジ23の自動識別を認識ツールを用いた第1ビデオストリームを処理することによって可能にする。シリンジおよびバイアルに含まれる製品の量の検出によって調剤に用いられる活性物質の非破壊制御
を可能にする。
【0026】
情報が記憶された挿入画面E1における患者の識別タグとシリンジ上の患者の識別タグとの一致により、調剤の配送が有効とされる。
【0027】
バイアル22のタグ22aに印刷された全てのデータ、特に活性物質の濃度は、前記認識ツールによってこのように識別される。前述のデータはコンピュータ25に記憶される。調剤の際にバイアルおよびシリンジの内容に関連する解析データは画面24に表示されて調剤の各ステップを検証するために保存される。これらはシリンジ23内の液体の量およびバイアル22内の液体のレベルである(以下を参照)。
【0028】
コンピュータプロセッサ25は、調剤の進行に対応する処方箋を有する処方箋のセットが記憶されているメモリを調べる。この目的のために記憶された処方箋は、デジタルインデックス作成ツールを用いてステップごとに記憶されている。重要ステップ、すなわち、各処方箋に固有の個別ステップは、例えば、EC1、EC2などの個別の指数化方式を有している。
【0029】
プロセッサは、第1記録画像34により提供された調剤の進行の記録データ、すなわち成分名、シリンジに注入された量などと、記憶されている処方箋のステップとを比較する。前述の処方箋の重要ステップが認識され次第、調剤の進行に対応する処方箋が識別されて、それらのステップが挿入画面E2に表示される。情報は、ラボラトリ管理センターによって供給されたデータに従ってコンピュータに記憶されている使用可能なバイアルのリストおよび使用済みバイアルのリストから検出された処方箋に基づいて選択される。
【0030】
警告表示26も、所定量のサンプリングまたは注入、またはバイアルの追加に対する人的相互作用の可能性も、挿入画面E2に統合される。
【0031】
加えて、調剤の進行は、識別された処方箋に対応する記憶されたプロトコルのデータに基づいて表示される。すなわち、バイアル22に含まれている量の管理、およびシリンジ23内に注入された/失われている/処方された、成分量の放出、に関連する情報が挿入画面E4およびE5にそれぞれ表示される。上記の管理情報は、注入された量の増加およびその結果として残っている量、注入の数、バイアルの数、および残っている量によって初期化される。この増加は、カメラ21および27からのビデオストリームに同期したグラフィックインタフェースによって自動化されている。上記の管理によって取扱い作業に起因する誤りを大きく低減することができる。
【0032】
あるステップにおける注入に先立って、検出されたバイアルおよび/または成分量が識別された処方箋の記憶されているプロトコルに適合しない場合には、警告表示部26がすぐにリアルタイムで起動される。誤りとして検出されるステップは、処方箋のステップと比較して識別される。重要なステップの不順守(Non-compliance)は、選択されている処方箋の識別における誤りに対する調査を引き起こす。
【0033】
表示部は、その後、挿入画面E4においてガイドラインを提供して警告が取り消されて、その調剤は、その調剤のステップと前記処方箋のプロトコルのステップとの間の適合性が検証された場合のみ機能する。その後、調剤の進行は挿入画面E2において表示される最終検証までリアルタイムで更新される。調剤は、従ってほとんど瞬間的な応答性によって保証されて調剤の再現性が最適化される。
【0034】
不正確として検出されたステップの検証、特に調剤の重要ステップの検証は、調剤が完了するまでその調剤について続けることができる。
【0035】
図3を参照すれば、シスプラチンに基づく調剤の事後チェックが画面24に示されている。調剤および患者の記憶されたタグが挿入画面E6に表示されている(患者名、活性分子、および注入日)。処理カメラ21およびシーンカメラ27からのそれぞれのビデオストリームである、処理34’およびシーン35の記録された画像も表示される。シーンビデオストリームは実行される作業の全景、およびサイト10の被写体の位置、即ちここではバイアル22およびシリンジ23の位置、に焦点が当てられる。
【0036】
事後チェックは、処理およびシーンのビデオストリームの間の同期閲覧からのビデオ記録の事後観察によって行われ、調剤のステップ、即ち本実施例においては重要ステップのインディクス作成と同時に行われる。
【0037】
従って、調剤P1からP26のステップ、すなわち、重要ステップ「I」のインデックス作成およびそれらの実施の時間は挿入画面E7に表示される。本実施例においては、ステップP4、すなわち、バイアルの調剤のステップP4が検証されていない。これは、その修正が最終検証のためには必要で保存される重要ステップである。この状況は、個別の挿入画面E8の表示によって説明される。バイアル調剤(P13、P14)およびシリンジ調剤(P5、P22)の他の重要ステップはインデックス作成されている。
【0038】
加えて、前述の調剤は記憶されて、統合されたサーチエンジンによって制御されて、かかる調剤の履歴を閲覧し、調剤の進行と比較して表示することができる。
【0039】
本発明は、説明され示された実施形態に限定されない。調剤は、固定されたフードの中で、または撮像システムを設置することができるように構成されたいかなる環境ででも行うことができる。
【0040】
加えて、カメラの数は2または3に限定されず、所望の調剤のタイプに適合していればよい。同様に、調剤のステップの管理は種々の処方箋に適合させることができる。
【0041】
加えて、最終報告は、誤りおよび問題をハイライトして記録から調剤の製作条件によって準備される。
【0042】
医薬調剤の安全な製作のための方法を実行する例示的な撮影システムを図4から9を参照して述べる。
【0043】
このシステムは、医薬調剤の安全な製作のために用いられるチャンバーの透明な窓40の両側に設置されており、チャンバーの外側に配置されて透明な壁40に接触している撮影装置41、およびチャンバーの内側に配置されて撮影装置に対向している被写体位置決め台42を備えている。
【0044】
より詳細には撮影装置41は、図6で最も良く分かるように、細長い長方形のベース46の両端に配置された2つの処理カメラ43、44と、ベース46の長さ方向の中間に配置された、撮影装置43、44のための反射素子47、48とを備える。
【0045】
2つの反射素子47、48は、2つのカメラによって規定される軸に沿って方向付けられているので、対応するカメラに向かってシリンジおよびバイアルの支持物42の像を反射する。
【0046】
より詳細には、2つの反射素子は、三角形の断面を有する全反射プリズム49の2つの隣接した長方形の面によって形成されており、プリズムはその三角形の基部の1つによっ
てベースに取り付けられている。
【0047】
2つのカメラ43、44は、シリンジおよびバイアルの台に配置される種々の大きさの被写体に焦点を合わせるために、異なる焦点距離を有している。例えば、右手のカメラは、小さなサイズのシリンジおよびバイアルに焦点を合わせるために12mmのレンズを有して用いられており、左手のカメラは大きなシリンジおよびバイアルに焦点を合わせるために8mmのレンズを有して用いられている。
【0048】
小さい大きさの撮影装置のために、両方のカメラはまた、例えば47×29×29mm(L×W×H)の、小さい大きさを有している。かかる使用に適したカメラの1例は、Imaging Source(登録商標)によるDFK23F445に参照される。
【0049】
細長いベース46は箱51の内側に取り付けられており、箱は、やや丸みを帯びた2つの短い側面、実質的に長方形の中央観察窓53を有する平坦で実質的に長方形の前面52、および後方の細長いシェル54を備えており、ベースは、プリズム49を有してその長手方向の後方端部でシェルに堅固に取り付けられており、プリズムは、箱の前面52がシェル54によって閉じられたときに窓の開口53の中に配置されるように構成されているので、置かれているシリンジおよびバイアルの像がプリズムを通して両方のカメラ47、48に到達することができる。
【0050】
前面52は、前面の4つの角部に設けられた取り付け目的のための穴56を貫通するねじによってシェル54に取り付けられてもよく、後方のシェルの内壁に取り付け目的のために提供された対応するスリーブ57にねじ込まれてもよい。
【0051】
後方のシェル54はまた、その下方の側端部59から垂直に延びている2つのラグ58を備えており、かかるラグは、シリンジおよびバイアルの台42を保持するように意図された整合磁気手段(金属のまたは磁化されたチップ、図示せず)を収容するための円形の中央リセスを有しており、台は、ガラス壁40および箱の前面52に接触している追加の磁気手段を備えている。
【0052】
シェル54は、さらに、シェルの後壁の外面に取り付けられて外面の両方の側端部から突出している2つの堅固な側板61を備えており、これら2つの板61はチャンバーのガラス窓に取り付けられるための前方を向いた2つの吸着盤62を支持している。
【0053】
加えて、図7によれば、シリンジおよびバイアルの台42は、平坦な搭載ベース66と、白色の背景を形成するためにベースの後方に立っている傾いたスクリーン67と、ベース66から独立している非係合位置(図7を参照)とベース66に係合された位置(図4を参照)との間をベース66に対して平行移動して搭載されるシリンジホルダー68と、を備える。
【0054】
より詳細には、シリンジホルダー68は、長方形の板69と、その(板の)一方端に突出しているブロックであって、実質的に長方形の形状を有しているが、その(ブロックの)上方の壁はシリンジの本体を搭載するようにおよび傾いた表面によってシリンジ本体を横方向に保持するように用いられる長手方向のリセス72である(上方の壁は共通端部に結合している傾いた表面に収束するように、従って「M」字状の断面を規定するように作られている。)ブロック71と、を備えている。
【0055】
シリンジホルダー68の板69は、その他端でシリンジ75のつばもと(wings)74
を保持するラック73を備えている。前述のラック73は、シリンジ75のつばもと74を受容するために十分な距離を有して互いに分離されている2つの平行な壁で構成されて
おり(図8参照)、つばもと74の近傍のシリンジの部分を支持して横方向に保持するために、ブロック71と同様に「M」字状の形状を有している。
【0056】
図9によれば、追加のラック76が、ブロック71と主ラック73との間でブロック71により接近して小さなサイズのシリンジを搭載するために、「M」字状の単一の壁76とブロック71の溝と同じレベルの溝とを有する形状で装備されている。
【0057】
図7に示すように、シリンジホルダー68の板69は、シリンジがベースに取り付けられて係合位置までスライドして係合するように(図4)、ベース66に装備されて板を収容するリセスの側面端を形成する溝にスライドするように構成された2つの薄い側面端77を有している。
【0058】
この係合位置で、シリンジ台68とベース66は、共にバイアル78の底部を収容するための起伏が規定されている。
【0059】
厳密に言えば、ベース66の上方の表面およびシリンジ台68の板69は、シリンジホルダーがその係合位置にあり、半ディスク状のバイアルを収容するための相補的なリセス78を備えているときに同一平面上にあり、シリンジホルダーがその係合位置にあってリセスが保持ラック73と支持ブロック71との間に位置しているときに、バイアルの底部を収容する円形のリセスを形成する。勿論、例えば円形のリブのような別の起伏が同様の機能を提供してもよい。
【0060】
ベース66は、撮影装置に装備されている磁気手段58に整合する磁気手段81を支持する。より詳細には、前述の磁気手段(磁気または金属チップであって撮影装置の磁気手段に用いられているものに依存している)がスクリーン67の反対側のベース66の端部から垂直に突出している2つのピン82の間に収容されており、撮影装置の整合ラグ58のレベルでガラス壁の内表面に対して押し付けられることができる平坦な前壁を有している。
【0061】
前述のように説明されたシステムは、シリンジおよびバイアルが異なる大きさで用いられても、複数の撮影装置が異なるレンズを用いており、反射素子によって上記の装置がシリンジおよびバイアルが搭載された同じ領域の像を収集することができるので、医薬調剤の安全な製作のための方法を実行することができる。
【0062】
この目的は、両方の撮影装置に対する中央プリズムの使用により、全体の大きさを最小にすることを達成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9