【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、ザクロ濃縮物、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物を有効成分として含む骨関節炎の予防または改善用の組成物およびその製造方法を提供する。
【0008】
より具体的に、一実施形態によって、本発明は、前記トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物の重量比が、2:1〜4:1であることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0009】
他の一実施形態によって、本発明は、前記ザクロ濃縮物、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物の重量比は、5:2:1〜5:4:1であることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0010】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記ザクロ濃縮物が、ザクロ果肉にでん粉分解酵素処理を施した後、加熱濃縮したものであることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0011】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記トチュウ抽出物またはゴシツ抽出物の抽出溶媒が、水、炭素数1〜4のアルコール、またはこれらの混合物であることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0012】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記ザクロ濃縮物には、0.5〜2mg/gのエラグ酸が含有されていることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0013】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記トチュウの水抽出物には、0.5〜3mg/gのピノレジノールジグルコシドが含有されていることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0014】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記トチュウのアルコール抽出物には、0.8〜4mg/gのピノレジノールジグルコシドが含有されていることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0015】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記ゴシツの水抽出物には、0.1〜0.5mg/gのエクジステロンが含有されていることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0016】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記ゴシツのアルコール抽出物には、0.2〜2.5mg/gのエクジステロンが含有されていることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0017】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記組成物は、軟骨保護、軟骨再生または関節の硬さの改善効果を有することを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0018】
さらに他の一実施形態によって、本発明は、前記組成物は、健康機能食品組成物または薬学組成物であることを特徴とする骨関節炎の予防または改善用の組成物、前記組成物を食餌または投与して骨関節炎を予防または改善する方法、または前記組成物の骨関節炎の予防または改善用途を提供する。
【0019】
他の態様として、本発明は、ザクロ果肉にでん粉分解酵素を添加し且つ加熱濃縮して、ザクロ濃縮物を製造するステップと;
トチュウに水、炭素数1〜4の低級アルコールまたはこれらの混合物溶媒を添加して、トチュウ抽出物を製造するステップと;
ゴシツに水、炭素数1〜4の低級アルコールまたはこれらの混合物溶媒を添加して、ゴシツ抽出物を製造するステップと;
ザクロ濃縮物、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物を混合し且つ攪拌するステップと;を含むことを特徴とする、ザクロ濃縮物、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物を有効成分として含む骨関節炎の予防および改善用の組成物の製造方法を提供する。
【0020】
以下、本発明を詳述する。
【0021】
〔ザクロ濃縮物、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物〕
本発明者らは、ザクロ濃縮物(PCP)と、トチュウ抽出物(EC)およびゴシツ抽出物(AR)の複合物は、骨関節炎の予防および改善の側面からみて、相乗的な生物学的活性を有することを見出した。
【0022】
ザクロ(石榴、柘榴、若榴、Pomegranate、Punica granatum L)は、アジアの西南部、インドの北西部および米国のカリフォルニアの自生植物であり、現在は、亜熱帯および熱帯の各地に広く分布されている植物である。昔から、ザクロ、特に、赤ザクロは強壮剤として知られており、とりわけ、高血圧および動脈硬化の予防に卓越した効果を示すことが知られている。なお、水溶性糖質が38〜47%と多量に含有されており、様々なビタミンおよびミネラルを含む。
【0023】
本発明に用いられるザクロの種類には特に制限はないが、赤ザクロであることが好ましく、具体例として、イラン、カリフォルニア、台湾、ウズベキスタン、トルコおよび韓国産の赤ザクロが挙げられる。例えば、トルコ産ザクロの品種には、Hicaznar pomegranate cv., Cekirdeksiz VI pomegranate cv., Silifke Asisi pomegranate cv., Katirbasi pomegranate cv.またはLefan pomegranate cv.などがあるが、これらに制限されない。本発明によるザクロ抽出物は、用いられたザクロの産地および収穫時期などに応じて差があり得る。
【0024】
本発明において、用語「濃縮物」とは、後述する方法に従って得る濃縮液、濃縮液の希釈液、前記濃縮液を乾燥させて得られる乾燥物、前記濃縮液の粗精製物や精製物、またはこれらの混合物など、濃縮液それ自体および濃縮液を用いて形成可能なあらゆる剤形の濃縮物を網羅する。
【0025】
本発明によるザクロ濃縮物を製造するための好適なザクロの部位は、ザクロ果肉である。
【0026】
本発明によるザクロ濃縮物は、次の方法によって製造可能である。例えば、まず、ザクロを洗浄した後、皮および種子を完全に除去し、高温で短時間内に殺菌し、でん粉分解酵素を添加してザクロに含有されているでん粉など多糖類を分解する。次いで、選択的に、ゼラチン、二酸化ケイ素、ベントナイト、シリカゾル(silicasol)、タンニン、セルロースまたはカゼインカリウム(potassium caseinate)などの添加剤を添加して、ザクロ濃縮物の濁度、色相、粘度などを調節し、加熱濃縮してザクロ濃縮物を製造することができる。併せて、各ステップの間にろ過するステップをさらに含んでいてもよいが、例えば、皮および種子を除去するステップの後、且つ、高温殺菌するステップの前、でん粉分解酵素を処理するステップ後、且つ、濃縮ステップの前、または濃縮ステップの後のうちのいずれか一つ以上のステップにおいてろ過する工程をさらに含んでいてもよい。
【0027】
より具体的に、下記のステップを含んで製造可能である。
【0028】
S1)ザクロの皮および種子を除去し、ザクロ果肉のみを得るステップ。
【0029】
S2)ザクロ果肉を、100〜105℃において50〜80秒間殺菌した後に、48〜55℃まで冷却させるステップ。
【0030】
S3)冷却されたザクロ果肉に、48〜55℃においてでん粉分解酵素を処理するステップおよび
S4)ザクロ果肉分解物を、順次に70〜100℃および400〜850mbarにおいて加温加圧して2回以上加熱濃縮し、40〜80℃および100〜350mbarにおいて減温減圧して1回以上加熱濃縮するステップ。
【0031】
選択的に、S1ステップの後、且つ、S2ステップの前、S3ステップの後、且つ、S4ステップの前、およびS4ステップの後のうちのいずれか一つ以上において、ろ過するステップをさらに含んでいてもよい。
【0032】
各ステップについて具体的に説明する。
【0033】
S1)ザクロ皮および種子を除去し、ザクロ果肉のみを得るステップ。
【0034】
本発明は、ザクロの皮および種子を含んでいないザクロ果肉のみを用いた抽出物を提供する。ザクロの皮および種子は、副作用を招く虞があるが、例えば、ザクロ皮に含有されている特定のアルカロイド(alkaloid)は、身体の機能を低下させる働きをし、呼吸系および筋肉に影響を及ぼして、中毒されれば、発作、痙攣が起きたり昏睡状態などに陥ったりする虞がある。なお、ザクロ種子の抽出物の服用に際しては、一部の服用者にアレルギーである舌の腫脹(tongue swelling)などの副作用が生じる虞がある。
【0035】
S2)ザクロ果肉を、100〜105℃において50〜80秒間殺菌した後、48〜55℃まで冷却させるステップ。
【0036】
ザクロ果肉は、順次に殺菌した後に冷却させるステップを経る。殺菌は、100〜105℃において50〜80秒間、より好ましくは、55〜70秒間速やかに行われることが好ましく、48〜55℃まで冷却させることが好ましい。
【0037】
S3)冷却されたザクロ果肉に、48〜55℃においてでん粉分解酵素を処理するステップ
冷却されたザクロ果肉にでん粉分解酵素を処理するステップを経る。好ましくは、48〜55℃において10〜60分間行い、より好ましくは、48〜55℃において20〜40分間行うことができる。利用可能なでん粉分解酵素としては、特に制限はなく、当業界における公知の様々なでん粉分解酵素が使用可能であり、例えば、ペクチナーゼ(pectinase)、プロテイナーゼ(proteinase)、アミラーゼ、セルラーゼなどを使用することができるが、好ましくは、ペクチナーゼを使用することができる。
【0038】
S4)ザクロ果肉分解物を、順次に70〜100℃および400〜850mbarにおいて加温加圧して2回以上加熱濃縮し、40〜80℃および100〜350mbarにおいて減温減圧して1回以上加熱濃縮するステップ。
【0039】
ザクロ果肉分解物を順次に加温加圧して加熱濃縮し、減温減圧して加熱濃縮するステップを経る。
【0040】
好ましくは、加温加圧して2回以上、さらに好ましくは、3回以上加熱濃縮し、減温減圧して1回以上、さらに好ましくは、2回以上加熱濃縮することができ、合計で3回以上加熱濃縮することができる。
【0041】
加温加圧して加熱濃縮することは、70〜100℃の温度条件および400〜850mbarの圧力条件の範囲内において行われ、加熱濃縮の次数(回数)別に温度および圧力を異にするが、前記温度および圧力の範囲内において温度を加温し且つ圧力を加圧することであれば、制限なしに本発明の範囲に含まれ得る。好ましくは、70〜85℃および400〜550mbarにおいて1次加熱濃縮を行い、85〜92℃および550〜750mbarにおいて2次加熱濃縮を行い、且つ、92〜100℃および750〜850mbarにおいて3次加熱濃縮を行うことができる。さらに好ましくは、78〜82℃および450〜500mbarにおいて1次加熱濃縮を行い、85〜90℃および600〜650mbarにおいて2次加熱濃縮を行い、且つ、92〜98℃および800〜850mbarにおいて3次加熱濃縮を行うことができる。
【0042】
減温減圧して加熱濃縮することは、40〜80℃の温度条件および100〜350mbarの圧力条件の範囲内において行われ、加熱濃縮の次数(回数)別に温度および圧力を異にするが、前記温度および圧力の範囲内において温度を減温し且つ圧力を減圧することであれば、制限なしに本発明の範囲に含まれ得る。好ましくは、60〜80℃および250〜350mbarにおいて4次加熱濃縮を行い、且つ、40〜60℃および100〜250mbarにおいて5次加熱濃縮を行うことができる。さらに好ましくは、65〜72℃および300〜330mbarにおいて4次加熱濃縮を行い、且つ、45〜55℃および100〜150mbarにおいて5次加熱濃縮を行うことができる。
【0043】
本発明によるザクロ濃縮物には、ザクロ濃縮物の総重量を基準として0.5〜3mg/gのエラグ酸が含有される。さらに好ましくは、ザクロ濃縮物の総重量を基準として0.5〜2mg/gのエラグ酸が含有される。本発明によるザクロ濃縮物のエラグ酸の含量が高い理由は、原料であるザクロ産地の差、果肉のみの利用、上述した特定の製造方法(例えば、濃縮方法、加熱温度および圧力)などに起因するものであると推測されるが、本発明は、このような事項に限定されるものではない。
【0044】
トチュウ(杜仲、Eucommia Bark)は、トチュウ木(Eucommia ulmoides Oliver(トチュウ科Eucommiaceae))の幹皮であり、周皮を除去したものである。板状であり、両側の周縁部が内側に向かって僅かに巻かれており、長さ及び幅は一定ではなく、厚さは3〜7mmである。外側面は薄い褐色または灰褐色であり、あるものにははっきりとしたシワ模様または縦に割れた溝模様があり、あるものは比較的に薄い。荒い皮が除去されていないものからははっきりとした皮目が観察される。内側面は平滑であり、褐色または暗い褐色を帯び、細い縦シワがある。内側面は質が弱くて折れ易い。これを折れば、細くて銀白色の細密で且つ弾性に富んだ樹脂の糸が出る。横断面を顕微鏡で観察したとき、最外側には厚い落皮層がある。落皮層は、内側に数層のコルク細胞が整然と配列されている。これら細胞の細胞壁は木化されており、その下にはコルク皮層がある。篩部はほとんどを占め、5〜7本の横に配列した石細胞環があり、それぞれの環帯には3〜5個の石細胞がある。髄線は2〜3列の細胞からなり、コルク層の近くにくっついており、時々は片側に偏っている。髄の近くからは白色のグッタペルカを含有する柔細胞が見られ、このような柔細胞は特に篩部の内側に多い。
【0045】
牛膝は、イノコズチ(Achyranthes japonica Nakai)またはトウイノコズチ(Achyranthes bidentata Blume(ヒユ科Amaranthaceae))の根である。円柱状の主根に細長い側根が多数くっついており、長さ5〜20cm、直径3〜5mmである。根の上部には茎が短く残っている。外側面は灰色のかかった黄色乃至薄い黄色である。質は硬いが、折れ易く、折れた面は角質であり、黄白色乃至黄褐色である。
【0046】
本発明において、用語「抽出物」とは、抽出処理によって得られる抽出液、前記抽出液の希釈液や濃縮液、前記抽出液を乾燥させて得られる乾燥物、前記抽出液の粗精製物や精製物、またはこれらの混合物など、抽出液それ自体および抽出液を用いて形成可能なあらゆる剤形の抽出物を網羅する。
【0047】
本発明の目的を阻害しない範囲内において、本発明による抽出物には、それぞれの植物を説明して特定した部位に加えて、その葉、幹や茎、樹皮、根、花または花芽、果実、種子、樹液および全体の植物が含まれ得る。
【0048】
本発明による抽出物を製造するために、通常の技術者であれば、当業界における公知の任意の好適な方法を用いることができる。例えば、溶媒抽出法を用いることができる。植物の全体または任意の部分を粉砕した後(例えば、ブレンダー)、抽出溶媒を処理して、溶媒抽出物を得ることができる。粉砕前に乾燥過程を経た後に粉砕することもできる。なお、溶媒抽出物は、減圧蒸留および凍結乾燥または噴霧乾燥などの追加的な過程によって粉末状態に製造することができる。
【0049】
前記使用される抽出溶媒の種類は特に制限されず、当該技術分野における公知の任意の溶媒を使用することができる。前記抽出溶媒の非制限的な例としては、水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのC1〜C4の低級アルコール;グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール;およびメチルアセテート、エチルアセテート、アセトン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタンなどの炭化水素系溶媒;またはこれらの混合物を使用することができ、好ましくは、水、低級アルコールを単独で使用することができ、2種以上混合して使用することができる。前記溶媒を用いて1回以上抽出して溶媒抽出物を製造することができ、前記溶媒抽出物を減圧蒸留した後に凍結乾燥または噴霧乾燥して得た乾燥抽出物を製造することができる。
【0050】
前記抽出溶媒の量は、使用される抽出溶媒の種類に応じて様々に変更可能であるが、例えば、対象となる植物の乾燥重量を基準として、1〜20倍、または5〜20倍、さらに好ましくは、5〜10倍、最も好ましくは、5〜8倍で使用することができる。
前記溶媒抽出に際して、抽出温度、抽出時間、抽出気圧はこれに制限されないが、100〜150℃、5〜10時間、0.1〜0.3Mpaで行うことができる。
【0051】
加えて、当業界における公知の様々な抽出工程、例えば、温浸漬(maceration)、インフュージョン(infusion)、パーコレーション(percolation)、消化、煎じ汁(decoction)、高温連続抽出(hot continuous extraction)、水性‐アルコール性抽出、逆流抽出、マイクロ波補助抽出、超音波抽出、超臨界流体抽出、組織片抽出(phytonic extract)(例えば、ヒドロ‐フルオロ‐カーボン溶媒など)などを選択して使用することができ、 これらは単独で行ってもよく、2種以上の方法を併用して行ってもよい。
【0052】
本発明によるトチュウ抽出物にはピノレジノールジグルコシドが含有され、特に、トチュウの水抽出物にはトチュウの水抽出物の総重量を基準として0.5〜3mg/gのピノレジノールジグルコシドが含有され、トチュウのアルコール抽出物にはトチュウのアルコール抽出物の総重量を基準として0.8〜4mg/gのピノレジノールジグルコシドが含有される。本発明によるトチュウ抽出物において、上述した濃度のピノレジノールジグルコシドが得られる理由は、原料産地の差、使用部位の種類、上述した特定の製造方法(例えば、抽出溶媒)などに起因するものと推測されるが、本発明は、このような事項に限定されるものではない。
【0053】
本発明によるゴシツ抽出物にはエクジステロンが含有され、特に、ゴシツの水抽出物にはゴシツの水抽出物の総重量を基準として0.1〜0.5mg/gのエクジステロンが含有され、ゴシツのアルコール抽出物にはゴシツのアルコール抽出物の総重量を基準として0.2〜2.5mg/gのエクジステロンが含有される。本発明によるゴシツ抽出物において、上述した濃度のエクジステロンが得られる理由は、原料産地の差、使用部位の種類、上述した特定の製造方法(例えば、抽出溶媒)などに起因するものと推測されるが、本発明は、このような事項に限定されるものではない。
【0054】
〔組成物〕
本発明は、骨関節炎の予防または改善方法に用いられるための組成物を提供する。より具体的に、本発明は、ザクロ濃縮物、ゴシツ抽出物およびトチュウ抽出物を有効成分として含む骨関節炎の予防または改善方法に用いられるための組成物を提供する。
【0055】
本発明による組成物は、ザクロ濃縮物、ゴシツ抽出物およびトチュウ抽出物を有効成分として含む。
【0056】
本発明において、「有効成分として含まれる」とは、本発明による組成物から骨関節炎の改善乃至治療効果を示し得る程度に添加されることを意味し、ターゲット細胞への伝達および安定化などのために様々な成分を副成分として添加して様々な形態に剤形化(formulation)可能であることを含む意味である。
【0057】
本発明による組成物にそれぞれの成分は次のような割合にて含有され得る。
【0058】
トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物の重量比は、2:1〜4:1であってもよい。前記重量比の範囲内において優れた相乗効果を発揮する。
【0059】
あるいは、ザクロ濃縮物、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物の重量比は、5:2:1〜5:4:1であってもよい。前記重量比の範囲内において最も優れた相乗効果を発揮する。
【0060】
また、本発明による組成物には、本発明のそれぞれの抽出物(および濃縮物)が組成物の最終的な形態中に少なくとも約0.0001%〜90%、0.001%〜90%、0.01%〜90%、0.1%〜90%、0.1%〜90%、0.1%〜80%、0.1%〜70%、0.1%〜60%、0.1%〜50%、0.1%〜40%、0.1%〜30%、0.1%〜20%または0.1%〜10%の範囲で含有され得る。
【0061】
さらに、本発明による組成物には、少なくとも約0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または99%以上の範囲で本発明の複合物が含有され得る。
【0062】
前記%は、組成物の総重量を基準とした重量または総体積を基準とした体積を目安に計算することができ、濃度は、組成物の目的とする効果または組成物が混入される製品に応じて調整可能である。
【0063】
本発明による組成物は、上述した方法によって製造されたザクロ濃縮物、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物を混合して製造することができる。これに加えて、組成物の保管性、流通性、安定性などを向上させる目的で追加工程を加えて製造することができる。
【0064】
本発明による組成物は、種々に製品化することができる。例えば、食品組成物または薬学組成物などに製品化することができる。
【0065】
本発明は、前記組成物のうちのいずれか一つの組成物を含む薬学的組成物を提供する。本発明は、前記組成物のうちのいずれか一つの組成物を投与して骨関節炎を予防、改善または治療する方法を提供する。
【0066】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量のザクロ濃縮物、ゴシツ抽出物およびトチュウ抽出物を単独で含んでいてもよく、あるいは、一つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでいてもよい。
【0067】
前記「薬学的に許容可能」とは、生理学的に許容され、且つ、人間に投与されるとき、活性成分の作用を阻害せず、通常、胃腸障害、目眩などのアレルギー反応またはこれと類似する反応を引き起こさない非毒性の組成物のことをいう。
【0068】
前記担体、賦形剤または希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、でん粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油などが挙げられる。なお、前記薬学的組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤または防腐剤などをさらに含んでいてもよい。
【0069】
前記「薬学的に有効な量」とは、陰性対照群に比べてそれ以上の反応を示す量のことをいい、好ましくは、骨関節炎の改善、予防および/または治療の効果を示すのに十分な量のことをいう。
【0070】
また、本発明の薬学的組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続または遅延放出を提供するために、当業界における公知の方法を用いて剤形化することができる。剤形は、粉末、顆粒、錠剤、乳剤、シロップ、エアロゾール、軟質または硬質のゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末の形態であってもよい。
【0071】
本発明の薬学的組成物の投与経路としては、これに限定されるものではないが、経口的な投与経路または非経口的な投与経路が挙げられる。非経口的な投与経路としては、例えば、経皮、鼻腔、腹腔、筋肉、皮下または静脈などの種々の経路が挙げられる。経口投与を含む場合、当該組成物は、錠剤、カプセル剤、カシェー剤、ジェルキャップ剤(gelcap)、液剤、懸濁剤などの形態に経口剤形化することができる。錠剤またはカプセル剤としては、結合剤(例えば、プレゼラチン化されたトウモロコシでん粉、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微細結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、滑石またはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモでん粉またはグリコール酸でん粉ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬剤学的に許容される賦形剤とともに通常の手段で製造することができる。錠剤は、当該分野における公知の方法で被覆することができる。経口投与用液体製剤は、液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態を取ることができるが、これに限定されず、これらは、使用前に水または他の好適なビヒクルと組み合わせるための無水生成物として存在することができる。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素化された食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アモンド油、油性エステル、エチルアルコール、または分画化された野菜油);および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル‐p‐ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)などの薬剤学的に許容される添加剤とともに通常の手段で製造することができる。当該製剤は、また、場合によって、緩衝剤塩、風味剤、着色剤、および甘味剤を含有することができる。経口投与用製剤は、骨関節炎を治療するために、本発明において有用な結合タンパク質の徐放、制御放出、または持続放出のために好適に剤形化することができる。
【0072】
本発明の組成物の好適な投与量は、患者の状態および体重、疾病の重軽度、薬物の形態、投与経路および期間によって異なるが、当業者によって適切に選択可能である。
【0073】
本発明の組成物は、単独で使用してもよく、または手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療および生物学的反応調節剤を用いる方法などと併用して使用してもよい。例えば、本発明の薬学的組成物は、骨関節炎の改善、予防および/または治療効果を有する公知の化合物と併用して投与することができる。
【0074】
本発明は、前記組成物のうちのいずれか一つの組成物を含む食品組成物を提供する。本発明は、前記組成物のうちのいずれか一つの組成物を食餌して骨関節炎を予防または改善する方法を提供する。
【0075】
本発明による食品組成物は、食品学的に有効な量のザクロ濃縮物、ゴシツ抽出物およびトチュウ抽出物を単独で含んでいてもよく、あるいは、一つ以上の食品学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでいてもよい。
本発明の食品組成物は、食品、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)および食品添加剤(food additives)などのあらゆる天然素材の加工形態を含む。前記類型の食品組成物は、当業界における公知の通常の方法に従い様々な形態に製造することができる。
【0076】
前記食品の種類には特に制限はない。前記物質が添加可能な食品の例としては、ドリンク剤、肉類、ソーセージ、パン、ビスケット、餅、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類をはじめとする酪農製品、各種のスープ、飲料水、アルコール飲料およびビタミン複合剤、乳製品および乳加工製品などが挙げられ、通常の意味での健康機能食品を網羅する。
【0077】
本発明によるザクロ濃縮物、ゴシツ抽出物およびトチュウ抽出物の複合物は、食品にそのまま添加してもよく、他の食品または食品成分と併用してもよく、通常の方法に従い適切に使用してもよい。有効成分の混合量は、その使用目的(予防または改善用)に応じて適宜に決定することができる。一般に、健康食品中の前記化合物の量は、全体の食品の重量の0.1〜90重量部で加えることができる。しかしながら、健康および衛生を目的とするか、あるいは、健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記量は前記範囲以下であってもよく、安全性の側面からみていかなる問題もないため、有効成分は前記範囲以上の量でも使用することができる。
【0078】
本発明の食品組成物は、指示された割合で必須成分として前記ザクロ濃縮物、ゴシツ抽出物およびトチュウ抽出物の複合物を含有する以外は、他の成分には特に制限がなく、通常の飲料のように色々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上述した天然炭水化物の例としては、モノサッカライド、例えば、葡萄糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロースなど;およびポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどの通常の糖、およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールが挙げられる。上述したもの以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリチルリチンなど)および合成香味剤(サッカリン、アスパルタムなど)を好適に使用することができる。
【0079】
上記に加えて、本発明の食品組成物には、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤および天然風味剤などの風味剤、着色剤および増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などが含有可能である。これらに加えて、天然果物ジュースおよび果物ジュース飲料および野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。
【0080】
本発明による組成物は、キットとして提供することができる。
【0081】
本発明による組成物は、容器に入れられ、容器としては、瓶、金属チューブ、ラミネートチューブ、プラスチックチューブ、ディスペンサー、圧力容器、バリア容器、パッケージ、コンパートメント、コンパクト容器、組成物が収容可能なパン、または他のタイプの容器、例えば、分散媒体(dispersions)または組成物が維持される好適な瓶、ディスペンサー、またはパッケージ内に注入されたか、または吹き込み成形されたプラスチック容器などが挙げられ、これらに制限されない。前記キットには、キットまたは組成物を使用するための指示書が入れられていてもよく、指示書は別個の用紙に記載されたものであってもよく、または容器の表面、容器包装紙の表面の上に記載されてもよい。指示事項には、文字、文句、略語、絵柄または記号などが含まれ、これらに制限されない。指示書には、例えば、キットまたは組成物の使い方、適用方法および保持方法などに関する指示事項が含まれていてもよい。容器には、予め定められた量に応じて分配して入れても良い。
【0082】
〔骨関節炎の改善、予防および/または治療など〕
本発明による組成物は、骨関節炎の改善、予防および/または治療に有効である。
【0083】
より具体的に、本発明による組成物は、骨関節炎の症状を緩和乃至改善し、ひいては、損傷された関節軟骨の再生、または骨関節の損傷を直接的に治療することができるという効果がある。
【0084】
より具体的に、本発明による複合組成物は、Cox‐2、PGE2抑制を通じた骨関節炎の抗炎効果、MMP‐2、9抑制を通じた軟骨保護効果およびコラーゲンタイプIIの合成増加を通じた軟骨再生効果を発揮する。
【0085】
より具体的に、本発明による複合組成物は、骨関節炎による膝関節の厚さの減少(
図6)、大腿骨関節軟骨内のPGE2の含量の減少(
図7)、大腿骨関節軟骨内のCOX‐2免疫反応細胞の数的な減少(
図8a)、大腿骨関節軟骨内のTNF‐α免疫反応細胞の数的な減少(
図8b)に有効であり、特に、PCP(ザクロ濃縮物)とEC(トチュウ抽出物):AR(ゴシツ抽出物)=4:1、2:1との複合組成物の投与群においては、単独組成物の投与群はもとより、他の割合の複合組成物に比べてもその効果が非常に高かった。また、本発明による複合組成物の投与群においては、有意性のある関節の伸張角度の減少および関節膜上皮の厚さの減少が認められた。ジクロフェナク投与群と略同じ関節の硬さの抑制効果を、外科的に誘発された骨関節炎(OA)ラットにおいて示すことが観察された(
図9)。さらに、PCPとEC:AR=4:1、2:1との複合組成物の投与群において、それぞれのPCP、ECおよびARの単独組成物の投与群はもとより、他の割合の複合組成物に比べても有意性のある軟骨形成関係のmRNAの発現の減少の抑制が認められ、PCPとEC:AR=4:1との複合組成物の経口投与は、ジクロフェナク皮下投与群と略同じ大腿骨関節軟骨の軟骨形成関係のmRNAの発現の変化の抑制効果を、外科的に誘発された骨関節炎(OA)ラットにおいて示すことが観察された。さらに、PCPと適切な割合のEC:ARとの複合組成は、PCP、ECおよびARの骨関節炎(OA)に対する抗炎、軟骨細胞の保護および増殖促進効果を通じた軟骨細胞外マトリックスの形成および軟骨膜内抗繊維化効果を相乗的に増加させることが認められ、中でも、PCPとEC:AR=4:1との複合組成物が最も優れた軟骨細胞外マトリックスの形成促進効果を示すことが観察された。のみならず、PCPとEC:AR=4:1、2:1との複合組成物の投与群においては、それぞれのPCP、ECおよびARの単独組成物の投与群はもとより、他の割合の複合組成物に比べても有意性のある大腿骨および硬骨関節軟骨内のコラーゲンタイプII mRNAの発現の増加と関節膜内のコラーゲンタイプII mRNAの発現の減少が認められた(表3)。また、PCPとEC:AR=4:1、2:1、1:1との複合組成物の投与群において、それぞれのPCP、ECおよびARの単独組成物の投与群はもとより、他の割合の複合組成物に比べても有意性のある大腿骨関節軟骨の厚さの増加が認められた。中でも、PCPとEC:AR=4:1との複合組成物が最も優れた関節軟骨の保護効果を示すことが観察された(
図10)。さらに、PCPおよびEC:AR 4:1、2:1の複合組成物の投与群において、それぞれのPCP、ECおよびARの単独組成物の投与群はもとより、他の割合の複合組成物に比べても有意性のある大腿骨および硬骨関節の軟骨内のBrdU免疫反応細胞の数的な増加および関節膜内のBrdU免疫反応細胞の数的な減少が認められた。PCPおよびEC:AR 4:1の複合組成物が最も優れた関節軟骨の細胞増殖の促進効果を示すことが観察された(
図11)。加えて、PCPと4:1、2:1のEC:ARとの複合組成は、PCP、ECおよびARのMMP活性抑制による軟骨細胞の保護効果を相乗的に増加させ、中でも、PCPとEC:AR=4:1との複合組成物が最も優れたMMP‐2およびMMP‐9活性抑制効果を示すことが観察され、PCPとEC:AR=4:1との複合組成物の経口投与は、ジクロフェナク皮下投与群と略同じMMP‐2およびMMP‐9活性抑制効果を、外科的に誘発された骨関節炎(OA)ラットにおいて示すことが観察された(
図12)。
【0086】
ザクロ濃縮物(PCP)、ゴシツ抽出物(EC)およびトチュウ抽出物(AR)の複合組成物は、相乗作用によってそれぞれの単独組成物に比べて優れた骨関節炎の改善などに効果があり、特に、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物の重量比は2:1〜4:1であり、さらに好ましくは、ザクロ濃縮物、トチュウ抽出物およびゴシツ抽出物の重量比は5:2:1〜5:4:1であるときに、顕著に優れた骨関節炎の改善などの効果を発揮する。