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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707149
(24)【登録日】2020年5月21日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】ロボット及びロボット制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20200601BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20200601BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   G05D1/02 H
   B25J5/00 E
   A47L9/28 E
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-559944(P2018-559944)
(86)(22)【出願日】2017年5月4日
(65)【公表番号】特表2019-516199(P2019-516199A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】CN2017083111
(87)【国際公開番号】WO2018040607
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2018年11月12日
(31)【優先権主張番号】201610781395.2
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
(73)【特許権者】
【識別番号】516249757
【氏名又は名称】北京石頭世紀科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】謝 濠鍵
(72)【発明者】
【氏名】夏 勇峰
【審査官】 藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−102603(JP,A)
【文献】 特開2006−341341(JP,A)
【文献】 特開2006−079157(JP,A)
【文献】 特開2005−161450(JP,A)
【文献】 特開2007−220020(JP,A)
【文献】 特開昭60−062907(JP,A)
【文献】 特開2002−321179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
A47L 9/28
B25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニットを含むロボットであって、
前記制御ユニットは、
検出アセンブリにより仮想壁信号を検出し、
前記ロボットの走行中に、信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別し、
前記仮想壁が識別された場合に、前記信号閾値を小さくし、小さくされた前記信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、前記ロボットを前記仮想壁の外側に沿って走行させる場合に、前記ロボットの駆動輪が前記仮想壁の外側に位置するように構成され、
前記仮想壁の外側は、前記仮想壁において前記ロボットの活動領域に位置する側であり、前記信号閾値が第1の信号閾値であり、小さくされた前記信号閾値が第2の信号閾値であり、
前記制御ユニットは、さらに、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値に達したか否かを検出し、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値に達したことが検出された場合に、前記ロボットが前記仮想壁から離れる方向に走行するように制御し、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値より小さいことが検出された場合に、前記ロボットが前記仮想壁に近づく方向に走行するように制御するように構成される
ことを特徴とするロボット。
【請求項2】
記第2の信号閾値が前記第1の信号閾値より小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記制御ユニットは、さらに、
前記仮想壁が識別された場合に、前記ロボットが所定の距離を後進して前記仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、
前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行する場合に、前記仮想壁信号と前記第2の信号閾値との間の関係に基づいて前記ロボットの走行経路を調整するように構成される、
ことを特徴とする請求項に記載のロボット。
【請求項4】
前記制御ユニットは、さらに、
採取された所定の数の前記仮想壁信号に基づいて前記走行経路をフィッティングし、前記走行経路は、前記仮想壁の外側によって形成された形状に対応し、
前記仮想壁信号と前記第2の信号閾値との差が所定の範囲にあることが検出された場合に、前記ロボットが前記走行経路に沿って走行するように制御し、前記仮想壁信号に基づいて前記走行経路を調整するように構成される、
ことを特徴とする請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記制御ユニットは、さらに、
前記仮想壁信号が前記第1の信号閾値に達したか否かを検出し、
前記仮想壁信号が前記第1の信号閾値に達したことが検出された場合に、前記仮想壁が識別されたと決定するように構成される、
ことを特徴とする請求項に記載のロボット。
【請求項6】
前記制御ユニットは、さらに、
前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行し終わった場合に、前記信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップを再度実行するように構成される、
ことを特徴とする請求項に記載のロボット。
【請求項7】
前記制御ユニットは、さらに、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値より小さいか否かを検出し、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値より小さい期間が所定期間に達したことが連続的に検出された場合に、前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行し終わったと決定するように構成される、
ことを特徴とする請求項に記載のロボット。
【請求項8】
前記制御ユニットは、さらに、
前記ロボットの走行中に、前記仮想壁信号の最大値を決定し、
前記仮想壁信号の最大値に基づいて前記第1の信号閾値を小さくするように構成される、
ことを特徴とする請求項に記載のロボット。
【請求項9】
前記検出アセンブリは、磁力計、ホールセンサ及び赤外線センサの少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項10】
前記検出アセンブリは、前記ロボットの案内輪の前進方向に対する後側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項11】
前記ロボットが清掃ロボットである、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のロボット。
【請求項12】
ロボットを制御する方法であって、
検出アセンブリにより仮想壁信号を検出するステップと、
前記ロボットの走行中に、信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップと、
前記仮想壁が識別された場合に、前記信号閾値を小さくし、小さくされた前記信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、前記ロボットを前記仮想壁の外側に沿って走行させる場合に、前記ロボットの駆動輪が前記仮想壁の外側に位置するステップと、を含み、
前記仮想壁の外側は、前記仮想壁において前記ロボットの活動領域に位置する側であり、前記信号閾値が第1の信号閾値であり、小さくされた前記信号閾値が第2の信号閾値であり、
前記小さくされた前記信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行するように制御するステップは、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値に達したか否かを検出するステップと、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値に達したことが検出された場合に、前記ロボットが前記仮想壁から離れる方向に走行するように制御するステップと、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値より小さいことが検出された場合に、前記ロボットが前記仮想壁に近づく方向に走行するように制御するステップと、を含む
ことを特徴とするロボット制御方法。
【請求項13】
記第2の信号閾値が前記第1の信号閾値より小さい、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記小さくされた前記信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行するように制御するステップは、
前記仮想壁が識別された場合に、前記ロボットが所定の距離を後進して前記仮想壁の外側に沿って走行するように制御するステップと、
前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行する場合に、前記仮想壁信号と前記第2の信号閾値との間の関係に基づいて前記ロボットの走行経路を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記仮想壁信号と前記第2の信号閾値との間の関係に基づいて前記ロボットの走行経路を調整するステップは、
採取された所定の数の前記仮想壁信号に基づいて前記走行経路をフィッティングし、前記走行経路は、前記仮想壁の外側によって形成された形状に対応するステップと、
前記仮想壁信号と前記第2の信号閾値との差が所定の範囲にあることが検出された場合に、前記ロボットが前記走行経路に沿って走行するように制御し、前記仮想壁信号に基づいて前記走行経路を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップは、
前記仮想壁信号が前記第1の信号閾値に達したか否かを検出するステップと、
前記仮想壁信号が前記第1の信号閾値に達したことが検出された場合に、前記仮想壁が識別されたと決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行し終わった場合に、前記信号閾値及び前記仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップを再度実行するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値より小さいか否かを検出するステップと、
前記仮想壁信号が前記第2の信号閾値より小さい期間が所定期間に達したことが連続的に検出された場合に、前記ロボットが前記仮想壁の外側に沿って走行し終わったと決定するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ロボットの走行中に、前記仮想壁信号の最大値を決定するステップと、
前記仮想壁信号の最大値に基づいて前記第1の信号閾値を小さくするステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記検出アセンブリは、磁力計、ホールセンサ及び赤外線センサの少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記検出アセンブリは、前記ロボットの案内輪の前進方向に対する後側に設置される、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記ロボットが清掃ロボットである、
ことを特徴とする請求項12乃至21のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本願は、出願番号が201610781395.2であって、出願日が2016年8月30日である中国特許出願に基づき優先権を主張し、当該中国特許出願の内容の全てを本願に援用する。
【0002】
技術分野
本開示は、スマートホーム分野に関し、特にロボット及びロボット制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
清掃ロボットは、利用者の操作がない場合に、ある領域で自動的に走行すると同時に、清掃操作を行うロボットである。清掃ロボットが位置する領域の中には、清掃ロボットの進入がユーザに望まれない一部の領域が存在する。例えば、床面に水があるトイレでは、清掃ロボットが入った後、水の浸入による故障が発生する可能性があり、また、例えば、子供のおもちゃが集まっている場所では、清掃ロボットが入った後、おもちゃのこまごまとした部材を間違ってダストボックスに巻き込む可能性がある。これらの領域の境界には、通常、ドアや壁等の障害物により遮断されることがないため、清掃ロボットがこれらの領域に入ることを阻止するために、ユーザは、これらの領域の境界に仮想壁を設置し、例えば、トイレの入口に仮想壁を設置することができる。
【0004】
仮想壁は、床面に設置される仮想壁磁気ストライプにより実現することができ、清掃ロボットは、走行中に、検出アセンブリにより周りの磁界強度を検出し、検出された磁界強度が予め設置された磁性閾値より大きい場合に、既に仮想壁に走行していることを決定し、清掃ロボットは、旋回してエッジワイズ清掃モードに入る。磁性閾値を大きく設定する場合に、清掃ロボットが仮想壁に非常に近くまで走行した後、エッジワイズ清掃モードに入ることになり、検出アセンブリが一般的に清掃ロボットの略中心位置に設置されるため、清掃ロボットがエッジワイズ清掃モードに入る場合に、駆動輪は、実際に仮想壁磁気ストライプを横切り、ユーザにとって進入が望まれない領域に既に入っており、依然として上記の水の浸入及びおもちゃのこまごまとした部材のダストボックスへの巻き込み等の問題を引き起こす。磁性閾値を小さく設定する場合に、駆動輪がこれらの領域に進入することを回避できるが、清掃ロボットは、仮想壁から遠いところで、エッジワイズ清掃モードに既に入っているか、または、清掃ロボットは、ステンレス鋼の家具等の微弱な磁性のある物品を仮想壁として誤って判定して、エッジワイズ清掃モードに入ってしまうため、ユーザによる操作が常に必要となり、複雑な環境での清掃をすべて自動的に完成することが困難となる。
【0005】
実際に実現する場合に、清掃ロボットの駆動輪がユーザにとって進入が望まれない領域に入ることを回避するために、清掃ロボットの周りに検出アセンブリを二つ以上設置して、複数の検出アセンブリが一緒に仮想壁を識別することができるが、清掃ロボットに複数の検出アセンブリを設置すれば、回路の複雑度が高くなり、また、清掃ロボットの製造コストを向上させ、これも十分に合理的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
清掃ロボットの磁性閾値を大きく設定すれば、仮想壁内に入り込み、磁性閾値設定を小さく設定すれば、ユーザによる操作が必要となり、複雑な環境での清掃を全て自動的に完成することが困難となるという問題を解決するために、本開示は、ロボット及びロボット制御方法を提供する。前記技術案は、以下のとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施例の第1の形態によれば、制御ユニットを含むロボットを提供し、
制御ユニットは、
検出アセンブリにより仮想壁信号を検出し、
ロボットの走行中に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別し、
仮想壁が識別された場合に、信号閾値を調整し、調整された信号閾値及び仮想壁信号に基づいてロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁の外側に位置するように構成され、
その中、仮想壁の外側は、仮想壁においてロボットの活動領域に位置する側である。
【0008】
選択的に、信号閾値が第1の信号閾値であり、調整された信号閾値が第2の信号閾値であり、第2の信号閾値が第1の信号閾値より小さい。
【0009】
選択的に、制御ユニットは、さらに、
仮想壁が識別された場合に、ロボットが所定の距離で後進し、仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、
ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、仮想壁信号と第2の信号閾値との間の関係に基づいてロボットの走行経路を調整するように構成される。
【0010】
選択的に、制御ユニットは、さらに、
仮想壁信号が第2の信号閾値に達したか否かを検出し、
仮想壁信号が第2の信号閾値に達したことが検出された場合に、ロボットが仮想壁から離れる方向に走行するように制御し、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さいことが検出された場合に、ロボットが仮想壁に近づく方向に走行するように制御するように構成される。
【0011】
選択的に、制御ユニットは、さらに、
採取された所定の数の仮想壁信号に基づいて走行経路をフィッティングし、走行経路は、仮想壁の外側によって形成された形状に対応し、
仮想壁信号と第2の信号閾値との差が所定の範囲にあることが検出された場合に、ロボットが走行経路に沿って走行するように制御し、仮想壁信号に基づいて走行経路を調整するように構成される。
【0012】
選択的に、制御ユニットは、さらに、
仮想壁信号が第1の信号閾値に達したか否かを検出し、
仮想壁信号が第1の信号閾値に達したことが検出された場合に、仮想壁が識別されたと決定するように構成される。
【0013】
選択的に、制御ユニットは、さらに、
ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わった場合に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップを再度実行するように構成される。
【0014】
選択的に、制御ユニットは、さらに、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さいか否かを検出し、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さい期間が所定期間に達したことを連続的に検出した場合に、ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わったと決定するように構成される。
【0015】
選択的に、制御ユニットは、さらに、
ロボットの走行中に、仮想壁信号の最大値を決定し、
仮想壁信号の最大値に基づいて第1の信号閾値を調整するように構成される。
【0016】
選択的に、検出アセンブリは、磁力計、ホールセンサ及び赤外線センサの少なくとも一つを含む。
【0017】
選択的に、検出アセンブリは、ロボットの案内輪の前進方向に対する後側に設けられる。
【0018】
選択的に、ロボットが清掃ロボットである。
【0019】
本開示の実施例の第2の形態によれば、ロボット制御方法を提供し、当該方法は、
検出アセンブリにより仮想壁信号を検出するステップと、
ロボットの走行中に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップと、
仮想壁が識別された場合に、信号閾値を調整し、調整された信号閾値及び仮想壁信号に基づいてロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁の外側に位置するステップと、を含み、
その中、仮想壁の外側は、仮想壁においてロボットの活動領域に位置する側である。
【0020】
選択的に、信号閾値が第1の信号閾値であり、調整された信号閾値が第2の信号閾値であり、第2の信号閾値が第1の信号閾値より小さい。
【0021】
選択的に、調整された信号閾値及び仮想壁信号に基づいてロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御するステップは、
仮想壁が識別された場合に、ロボットが所定の距離で後進し、仮想壁の外側に沿って走行するように制御するステップと、
ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、仮想壁信号と第2の信号閾値との間の関係に基づいてロボットの走行経路を調整するステップと、を含む。
【0022】
選択的に、仮想壁信号と第2の信号閾値との間の関係に基づいてロボットの走行経路を調整するステップは、
仮想壁信号が第2の信号閾値に達したか否かを検出するステップと、
仮想壁信号が第2の信号閾値に達したことが検出された場合に、ロボットが仮想壁から離れる方向に走行するように制御するステップと、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さいことが検出された場合に、ロボットが仮想壁に近づく方向に走行するように制御するステップと、を含む。
【0023】
選択的に、仮想壁信号と第2の信号閾値との間の関係に基づいてロボットの走行経路を調整するステップは、
採取された所定の数の仮想壁信号に基づいて走行経路をフィッティングし、走行経路は、仮想壁の外側によって形成された形状に対応するステップと、
仮想壁信号と第2の信号閾値との差が所定の範囲にあることが検出された場合に、ロボットが走行経路に沿って走行するように制御し、仮想壁信号に基づいて走行経路を調整するステップと、を含む。
【0024】
選択的に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップは、
仮想壁信号が第1の信号閾値に達したか否かを検出するステップと、
仮想壁信号が第1の信号閾値に達したことが検出された場合に、仮想壁が識別されたと決定するステップと、を含む。
【0025】
選択的に、当該方法は、さらに、
ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わった場合に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップを再度実行するステップを含む。
【0026】
選択的に、当該方法は、さらに、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さいか否かを検出するステップと、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さい期間が所定期間に達したことを連続的に検出した場合に、ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わったと決定するステップと、を含む。
【0027】
選択的に、当該方法は、さらに、
ロボットの走行中に、仮想壁信号の最大値を決定するステップと、
仮想壁信号の最大値に基づいて第1の信号閾値を調整するステップと、を含む。
【0028】
選択的に、検出アセンブリは、磁力計、ホールセンサ及び赤外線センサの少なくとも一つを含む。
【0029】
選択的に、検出アセンブリは、ロボットの案内輪の前進方向に対する後側に設けられる。
【0030】
選択的に、ロボットが清掃ロボットである。
【0031】
本開示の実施例に提供される技術案は、以下の有益な効果を含むことができる。
【0032】
二つの異なる信号閾値を設定することにより、ロボットの走行中に、信号閾値及び検出アセンブリにより検出された仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別し、仮想壁が識別された場合に、信号閾値を調整し、調整された信号閾値及び仮想壁信号に基づいてロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、仮想壁を識別すること及びロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御することにおいて、異なる信号閾値を用いることにより、より大きい一つの信号閾値を設定する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁内部に入り込むか、または、より小さい一つの信号閾値を設定する場合に、誤った判定が発生するため、ユーザによる操作が必要となり、複雑な環境での清掃を全て自動的に完成することが困難となるという問題を解決した。仮想壁を精確に識別したうえで、ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁の外側に位置して保持し、仮想壁内部領域に入らないという効果を奏する。
【0033】
なお、前記一般的な記載及び後述の詳細な記載は、単なる例示的な記載であり、本開示を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下の図面は、明細書に組み込まれて本明細書の一部分を構成し、本開示に該当する実施例を例示するとともに、明細書とともに本開示の原理を解釈する。
図1A】本開示の各実施例に係るロボットの構造模式図である。
図1B】本開示の各実施例に係るロボットの構造模式図である。
図2】本開示の各実施例に係るロボットの構造ブロック図である。
図3】一つの例示的な実施例により示されたロボット制御方法のフローチャートである。
図4】もう一つの例示的な実施例により示されたロボット制御方法のフローチャートである。
図5A】もう一つの例示的な実施例により示されたロボットの動作模式図である。
図5B】もう一つの例示的な実施例により示されたロボットの動作模式図である。
図5C】もう一つの例示的な実施例により示されたロボットの動作模式図である。
図6】もう一つの例示的な実施例により示されたロボット制御方法のフローチャートである。
図7】もう一つの例示的な実施例により示されたロボット制御方法のフローチャートである。
図8】もう一つの例示的な実施例により示されたロボット制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、例示的な実施例を詳しく説明し、その例示を図面に示す。以下の記載が図面に関わる場合、特に別の説明がない限り、異なる図面における同一符号は、同じ又は類似する要素を示す。以下の例示的な実施形態に記載の実施例は、本開示と一致する全ての実施例を代表するものではない。それらは、特許請求の範囲に記載の本開示のある側面に一致する装置及び方法の例に過ぎない。
【0036】
図1A及び図1Bは、本開示の各例示的な実施例に係るロボットの構造模式図であり、図1Aは、当該ロボット10の平面の模式図を例示的に示し、図1Bは、当該ロボット10の底面の模式図を例示的に示す。図1A及び図1Bに示すように、当該ロボット10は、機体110、駆動モジュール120、検出アセンブリ130、制御モジュール(図示しない)及び記憶アセンブリ(図示しない)を含む。
【0037】
機体110は、ロボット10のハウジングを形成し、かつ他の部材を収納する。選択的に、機体110は、平らな円筒形状をなす。
【0038】
駆動モジュール120は、ロボット10の前進又は後進を駆動するために用いられる。
【0039】
選択的に、駆動モジュール120は、機体110底部の中間両側に取り付けられる1対の駆動輪121及び駆動輪122を含み、駆動輪121及び駆動輪122は、ロボット10の前進又は後進を駆動するために用いられる。
【0040】
選択的に、駆動モジュール120は、機体110の前部に設置される案内輪123を含み、案内輪123は、ロボットの走行過程における走行方向を変更するために用いられる。
【0041】
検出アセンブリ130は、ロボット10の周りの環境を検出することにより、周りの環境に設置される仮想壁を発見するためにさらに用いられる。検出アセンブリ130は、検出された仮想壁信号を制御モジュールに発信するためにさらに用いられる。選択的に、検出アセンブリ130は、磁力計(Compass)、ホールセンサ及び赤外線センサの少なくとも一つを含む。検出アセンブリ130は、一般的に機体110内の回路板に設置され、検出アセンブリ130が機体前部領域の中間位置に位置する。選択的に、検出アセンブリ130は、ロボット前部領域における案内輪の前進方向に対する後側に設けられ、図1Bは、検出アセンブリ130が案内輪の後側、駆動輪121及び駆動輪122の前側に位置することを例示的に示す。
【0042】
制御モジュールは、機体110内の回路板に設置され、制御モジュールは、プロセッサを含み、プロセッサは、磁力計、ホールセンサ及び赤外線センサ等によりフィードバックされた仮想壁信号に基づいてロボットの現在の動作状態を総合的に判断することができる。選択的に、プロセッサは、MCU(Microcontroller Unit、マイクロ制御ユニット)又はAP(電子操作プロセッサ)である。
【0043】
記憶アセンブリは、機体110内の回路板に設置され、記憶アセンブリは、メモリを含み、メモリは、ロボットの位置情報及び速度情報、及びプロセッサにより描画されるインスタント地図を記憶することができる。
【0044】
なお、ロボットはさらに、他のモジュール又はアセンブリを含んでもよく、又は、上記の一部のモジュール又はアセンブリのみを含んでもよく、本実施例はこれを限定せず、ただ上記のロボットを例として説明するだけである。
【0045】
選択的に、本実施例におけるロボットが清掃ロボットであり、図1Bに示すように、清掃ロボットは、一般的にメインブラシ140をさらに含む。
【0046】
メインブラシ140は、機体110の底部に取り付けられる。選択的に、メインブラシ140は、ローラ型で接触面に対して回転するドラム状の回転ブラシであり、メインブラシ140は、清掃ロボット10の走行中に清掃を行うために用いられる。
【0047】
図2は、一つの例示的な実施例により提供されるロボットの構造ブロック図である。ロボットは、検出ユニット210と、受信ユニット220と、制御ユニット230と、出力ユニット240と、記憶ユニット250と、及び駆動ユニット260と、を含む。
【0048】
検出ユニット210は、ロボットの走行中に仮想壁信号を検出するために用いられる。
【0049】
受信ユニット220は、検出ユニット210によりフィードバックされた仮想壁信号を受信するために用いられる。
【0050】
制御ユニット230は、受信ユニット220により受信された仮想壁信号及び予め設定された信号閾値に基づいて仮想壁を識別するために用いられ、かつロボットの全体操作を制御するために用いられる。走行命令を受信した場合に、制御ユニット230は、ロボットが所定の走行モードで走行路径に走行するように制御する。本実施例では、制御ユニット230が受信したユーザからの他の命令を省略する。
【0051】
出力ユニット240は、制御ユニット230の制御信号を駆動ユニット260に出力するために用いられる。
【0052】
記憶ユニット250は、少なくとも一つの命令を記憶するために用いられ、これらの命令は、少なくとも所定の走行モード及び走行路径を実行するために用いられる命令、及びインスタント地図を描画するために用いられる命令等を含む。記憶ユニット250は、さらに予め設定された信号閾値、ロボットが走行中に感応した自らの位置データ、仮想壁データ、及び他の障害物のデータ等を記憶するために用いられる。
【0053】
駆動ユニット260は、制御ユニット230の制御信号に基づいて駆動輪の駆動方向及び回転速度を制御するために用いられる。
【0054】
例示的な実施例では、制御ユニット230は、本開示の実施例におけるロボット充電方法を実行するために、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、デジタル信号処理デバイス(DSPD:Digital Signal Processing Device)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA:Field−Programmable Gate Array)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は他の電子機器によって実現されてもよい。
【0055】
なお、ロボットが清掃ロボットである場合に、一般的に、出力ユニット240に接続される清掃ユニット(図示しない)をさらに含み、清掃ユニットは、制御ユニット230が出力ユニット240を経る送信した清掃命令を受信し、清掃命令に基づいて清掃ロボットの走行中にメインブラシがスクロールの方式でメインブラシと接触する接触面を清掃するように制御するために用いられる。
【0056】
上記制御ユニット230は、さらに
検出アセンブリにより仮想壁信号を検出し、
ロボットの走行中に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別し、
仮想壁が識別された場合に、信号閾値を調整し、調整された信号閾値及び仮想壁信号に基づいてロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁の外側に位置するように構成され、
その中、仮想壁の外側は、仮想壁においてロボットの活動領域に位置する側である。
【0057】
選択的に、制御ユニット230は、さらに、
信号閾値が第1の信号閾値であり、調整された信号閾値が第2の信号閾値であり、第2の信号閾値が第1の信号閾値より小さいように構成される。
【0058】
選択的に、制御ユニット230は、さらに、
仮想壁が識別された場合に、ロボットが所定の距離で後進し、仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、
ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、仮想壁信号と第2の信号閾値との間の関係に基づいてロボットの走行経路を調整するように構成される。
【0059】
選択的に、制御ユニット230は、さらに、
仮想壁信号が第2の信号閾値に達したか否かを検出し、
仮想壁信号が第2の信号閾値に達したことが検出された場合に、ロボットが仮想壁から離れる方向に走行するように制御し、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さいことが検出された場合に、ロボットが仮想壁に近づく方向に走行するように制御するように構成される。
【0060】
選択的に、制御ユニット230は、さらに、
採取された所定の数の仮想壁信号に基づいて走行経路をフィッティングし、走行経路は、仮想壁の外側によって形成された形状に対応し、
仮想壁信号と第2の信号閾値との差が所定の範囲にあることが検出された場合に、ロボットが走行経路に沿って走行するように制御し、仮想壁信号に基づいて走行経路を調整するように構成される。
【0061】
選択的に、制御ユニット230は、さらに、
仮想壁信号が第1の信号閾値に達したか否かを検出し、
仮想壁信号が第1の信号閾値に達したことが検出された場合に、仮想壁が識別されたと決定するように構成される。
【0062】
選択的に、制御ユニット230は、さらに、
ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わった場合に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップを再度実行するように構成される。
【0063】
選択的に、制御ユニット230は、さらに、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さいか否かを検出し、
仮想壁信号が第2の信号閾値より小さい期間が所定期間に達したことを連続的に検出した場合に、ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わったと決定するように構成される。
【0064】
選択的に、制御ユニット230は、さらに、
ロボットの走行中に、仮想壁信号の最大値を決定し、
仮想壁信号の最大値に基づいて第1の信号閾値を調整するように構成される。
例示的な実施例では、命令を有する非一時的コンピュータ読み取り可能な記録媒体をさらに提供し、例えば、命令を有する記憶ユニット250である。この命令は、制御ユニット230により実行されて上記した本開示の実施例における清掃ロボット制御方法を実現する。例えば、前記非一時的コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピーディスク及び光データメモリ等であってもよい。
【0065】
図3を参照し、例示的な一実施例に示されるロボット制御方法のフローチャートを示す。本実施例では、当該方法を上記の図1A及び図1Bに示されるロボットを用いて説明し、当該ロボット制御方法は、以下のステップを含む。
【0066】
ステップ301において、検出アセンブリにより仮想壁信号を検出する。
【0067】
ステップ302において、ロボットの走行中に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別する。
【0068】
ステップ303において、仮想壁が識別された場合に、信号閾値を調整し、調整された信号閾値及び仮想壁信号に基づいてロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁の外側に位置する。
【0069】
その中、仮想壁の外側は、仮想壁においてロボットの活動領域に位置する側である。
【0070】
以上により、本開示の実施例に提供される清掃ロボット清掃方法は、二つの異なる信号閾値を設定することにより、ロボットの走行中に、信号閾値及び検出アセンブリにより検出された仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別し、仮想壁が識別された場合に、信号閾値を調整し、調整された信号閾値及び仮想壁信号に基づいてロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、仮想壁を識別すること及びロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御することにおいて、異なる信号閾値を用いて、より大きい一つの信号閾値を設定する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁内部に入り込むか、または、より小さい一つの信号閾値を設定する場合に、誤った判定が発生するため、ユーザによる操作が必要となり、複雑な環境での清掃を全て自動的に完成することが困難となるという問題を解決した。仮想壁を精確に識別したうえで、ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁の外側に位置して保持し、仮想壁内部領域に入らないという効果を奏する。
【0071】
本開示の実施例において、信号閾値及び調整された信号閾値は、予め設定された値の異なる二つの信号閾値であり、本実施例において、信号閾値が第1の信号閾値であり、調整された信号閾値が第2の信号閾値である場合にを例として説明する。
【0072】
図4を参照し、例示的な一実施例に示されるロボット制御方法のフローチャートを示す。本実施例は、当該方法を上記の図1A及び図1Bに示されるロボットを用いて説明し、当該ロボット制御方法は、以下のステップを含む。
【0073】
ステップ401において、検出アセンブリにより仮想壁信号を検出する。
【0074】
選択的に、ロボットは、所定の時間間隔毎に検出アセンブリにより仮想壁信号を検出し、所定の時間間隔の長さは、システムからの予め設定された値又はユーザからのカスタマイズ値であり、本実施例はこれを限定しない。
【0075】
検出アセンブリは、一般的に設置された仮想壁のタイプに対応し、仮想壁信号は、ロボットが検出アセンブリにより感応した、仮想壁のタイプに対応する信号である。選択的に、設置された仮想壁が、磁気ストライプにより形成される磁性仮想壁である場合に、検出アセンブリが磁力計であれば、仮想壁信号は、磁力計により感応された磁界強度である。設置された仮想壁が、磁気ストライプにより形成される磁性仮想壁である場合に、検出アセンブリがホールセンサであれば、仮想壁信号は、ホールセンサが磁界で生じた電位差である。設置された仮想壁が、赤外線により形成される赤外線仮想壁である場合に、検出アセンブリが赤外線センサであれば、仮想壁信号は、赤外線センサが検出した赤外線信号である。本実施例は、仮想壁信号が磁界強度である場合を例として説明する。
【0076】
ステップ402において、ロボットの走行中に、仮想壁信号が第1の信号閾値に達したか否かを検出する。
【0077】
第1の信号閾値は、一般的により大きい経験値である。選択的に、仮想壁信号が磁界強度である場合に、第1の信号閾値が2000ガウスである。実際に実現する場合に、ロボットが、通常、検出アセンブリと磁気ストライプとの間の距離を十分に小さくなるまで、例えば、検出アセンブリがちょうど磁気ストライプの真上に位置するまで走行した場合、その時検出された磁気ストライプにより発信した仮想壁信号が第1の信号閾値に達する。
【0078】
仮想壁が位置する環境が異なる場合に、環境における他の物体の影響により、仮想壁が生じる仮想壁信号は、一般的に異なり、例えば、仮想壁信号が磁界強度である場合を例とすると、ロボットが感応する地球の磁界強度の大きさが異なるため、ロボットが異なる高さの階に位置する場合に、仮想壁が同一の磁気ストライプにより形成されるとしても、ロボットにより検出された仮想壁信号でも異なる。また、例えば、電線でも磁界が生じるため、磁気ストライプが設置される床の下に電線が設置される場合に、ロボットにより検出された仮想壁信号は、磁気ストライプの床の下に電線が設置されていない場合に検出された仮想壁信号とも異なる。また、仮想壁の自らの性能が変化した場合に、仮想壁が生じる仮想壁信号も異なり、例えば、磁気ストライプを長時間使用した後、磁気ストライプの磁性が弱くなり、ロボットにより検出された仮想壁信号が徐々に弱くなる。従って、ロボットが実際に測定した仮想壁信号により第1の信号閾値を調整することは、以下の二つのステップを含むことができる。
ステップ1、ロボットの走行中に、仮想壁信号の最大値を決定する。
ステップ2、仮想壁信号の最大値に基づいて第1の信号閾値を調整する。
【0079】
ロボットが第1の信号閾値を調整する場合に、第1の信号閾値を仮想壁信号の最大値より若干小さく調整し、その中、若干小さいとは、仮想壁信号の最大値と第1の信号閾値との差が所定の閾値より小さいことをいい、所定の閾値は、システムからの予め設定された値又はユーザからのカスタマイズ値である。例えば、ロボットでは、初期の第1の信号閾値が2000ガウスであり、ロボットの走行中に、得られた仮想壁信号の最大値が1900ガウスであることを決定する場合に、ロボットは、第1の信号閾値を1800ガウスに調整する。
【0080】
ステップ403において、仮想壁信号が第1の信号閾値に達したことが検出された場合に、仮想壁が識別されたと決定する。
【0081】
ロボットにより検出された仮想壁信号は、仮想壁が生じる信号以外に、ロボットが位置する環境における他の物体により生じた、仮想壁のタイプに対応する信号をさらに含んでもよい。通常、仮想壁が生じる信号は、一般的に強いが、他の物体が生じる信号は、一般的に弱い。例えば、仮想壁が磁性仮想壁である場合に、ロボットにより検出された仮想壁信号が磁界強度であり、且つ検出された磁界強度は、一般的に強く、また、ロボットが位置する環境におけるステンレス鋼の家具にも磁性があり、ロボットは、ステンレス鋼の家具の磁界強度も検出するが、検出された磁界強度は、一般的に小さい。
【0082】
また、仮想壁が生じる信号が一般的に強いため、ロボットが仮想壁から遠い場合にも、仮想壁が生じた仮想壁信号を既に検出でき、この際、ロボットは、仮想壁が識別されたと決定して走行方向を調整すれば、明らかに十分に合理的ではない。
【0083】
従って、他の物体を仮想壁として誤って判定するか、又は仮想壁の識別が早すぎることを回避するために、第1の信号閾値に達した仮想壁信号を仮想壁が生じる信号と決定し、仮想壁が識別されたと決定し、以下のステップ405を実行する。
【0084】
ステップ404において、仮想壁信号が第1の信号閾値に達していないことが検出された場合に、仮想壁を検出していないと決定する。
【0085】
検出された仮想壁信号が第1の信号閾値に達していない場合に、ロボットは、現在の走行方向に前進し続ける。
【0086】
ステップ405において、仮想壁が識別された場合に、信号閾値を調整し、ロボットが所定の距離を後進し、仮想壁の外側に沿って走行するように制御する。
【0087】
ロボットが仮想壁を識別した場合に、信号閾値を第1の信号閾値から第2の信号閾値に切替え、第2の信号閾値は、一般的に小さい経験値である。選択的に、仮想壁信号が磁界強度である場合に、第2の信号閾値が800ガウスである。実際に実現する場合に、ロボットは、仮想壁から一定な距離を離れる位置、例えば仮想壁から10cmを離れる位置で検出された仮想壁信号の強度が800ガウスに達することができる。
【0088】
ロボットは、走行する時、仮想壁の外側に位置し、仮想壁の外側は、仮想壁において、ロボットの活動領域に位置する側であり、仮想壁の内側は、仮想壁において、ロボットの非活動領域に位置する側であり、非活動領域は、ロボットの進入権限のない領域である。ロボットが清掃ロボットである場合に、仮想壁の外側は、仮想壁において、清掃される領域に位置する側であり、仮想壁内側は、仮想壁において、非清掃領域に位置する側である。
【0089】
通常、ロボットは、検出アセンブリがちょうど磁気ストライプの真上に位置するまで走行する時、検出された仮想壁信号が第1の信号閾値より大きく、ロボットの案内輪が検出アセンブリの前方に位置するため、ロボットが仮想壁を識別した時、ロボットの案内輪は、通常、既に仮想壁の内側まで走行していた。図5Aに示すロボットの平面の模式図において、ロボットの検出アセンブリ130が磁気ストライプ50の真上に位置する時、案内輪123は、磁気ストライプにより形成された仮想壁の内部領域に既に入り込んでおり、この際に、ロボットが直接に回転すれば、ロボットの駆動輪が仮想壁の内部領域まで回転される。従って、ロボットが仮想壁を識別した場合に、所定の距離を後進し、所定の距離は、システムからの予め設定された経験値であり、実際に実現する場合に、ロボットが所定の距離を後進する場合に、ロボットの案内輪が仮想壁の外側に戻される。上記の図5Aに示す例示的な例において、ロボットが所定の距離を後進した場合に、平面の模式図は、図5Bに示すようになる。
【0090】
ロボットは、所定の距離を後進した後、所定の方向に所定の角度で回転した後、仮想壁の外側に沿って走行し、所定の方向及び所定の角度はシステムからの予め設定された値であり、本実施例では、ロボットが左に所定の角度で回転した後、仮想壁の外側に沿って走行する場合を例として説明する。
【0091】
選択的に、ロボットが清掃ロボットである場合に、清掃ロボットは、所定の距離を後進し仮想壁の外側に沿って走行して清掃する。
【0092】
選択的に、ロボットは、所定の方向に所定の角度で回転した後、信号閾値を調整するか、または、ロボットは、信号閾値を調整した後、所定の方向に所定の角度で回転する。
【0093】
なお、仮想壁は、任意の形状であってもよく、図5A及び図5Bにおける仮想壁の形状は、例示的なものにすぎず、本実施例はこれを限定しない。
【0094】
ステップ406において、ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、仮想壁信号と第2の信号閾値との間の関係に基づいてロボットの走行経路を調整する。
【0095】
当該ステップは、異なる二つの実現方法を含む。
【0096】
第1の可能な実現方法において、当該ステップは、以下のステップにより実現することができ、図6に示すとおりである。
【0097】
ステップ601において、仮想壁信号が第2の信号閾値に達したか否かを検出する。
【0098】
ステップ602において、仮想壁信号が第2の信号閾値に達したことが検出された場合に、ロボットが仮想壁から離れる方向に走行するように制御する。
【0099】
ロボットは、仮想壁信号が第2の信号閾値に達したことが検出された場合に、仮想壁から離れる方向に所定の角度で回転して走行し、所定の角度は、システムからの予め設定された値または清掃ロボットが仮想壁信号と第2の信号閾値との間の差によって決定されるものであり、本実施例はこれを限定しない。
【0100】
通常、ステップ405において、ロボットが左に回転し障害物に沿って走行する場合に、仮想壁から離れる方向は左に向かう方向である。ロボットが左に回転し障害物に沿って走行する場合に、仮想壁から離れる方向は右に向かう方向である。
【0101】
ステップ603において、仮想壁信号が第2の信号閾値より小さいことが検出された場合に、ロボットが仮想壁に近づく方向に走行するように制御する。
【0102】
本ステップの実現方法は、上記ステップの組み合わせにより実現することができ、本実施例はこれを省略する。
【0103】
一つの例示的な例において、ロボットが仮想壁に沿って清掃する模式図では、図5Cに示すように、ロボット10における三角形の向きは、ロボット10の走行方向を示し、ロボット10が仮想壁の外側に沿って走行して清掃する場合に、仮想壁信号及び第2の信号閾値に基づいて走行方向を調整し続け、略波線方式で走行し、図5Cにおける破線は、ロボット10の走行方向を示す。なお、図5Cには、ロボット10の波線である走行方向を示したが、実際に実現する場合に、ロボット10が、通常、走行方向を調整する頻度が高く、ロボット10は、ユーザにとって、依然として仮想壁に沿って直線で走行するように見える。
【0104】
第2の可能な実現方法において、当該ステップは、以下のステップにより実現することができ、図7に示すとおりである。
【0105】
ステップ701において、採取された所定の数の仮想壁信号に基づいて走行経路をフィッティングする。
【0106】
その中、走行経路は、仮想壁の外側によって形成された形状に対応する。通常、仮想壁の外側により形成される形状が規則的な形状であり、例えば、仮想壁が磁気ストライプにより形成される磁性仮想壁である場合に、仮想壁は、通常、直線または円弧であり、ロボットがより平滑な走行軌跡で仮想壁の外側に沿って走行するようにするために、採取された若干の仮想壁信号によって走行経路をフィッティングすることができる。所定の数は、システムからの予め設定された値またはユーザからのカスタマイズ値である。
【0107】
例えば、仮想壁信号が磁界強度である場合を例とすると、所定の数が10個であり、ロボットの採取した10個の磁界強度のすべてが800ガウスである場合に、ロボットによりフィッティングされた走行経路は、ロボットの現在の走行方向に沿う直線である。
【0108】
ステップ702において、仮想壁信号と第2の信号閾値との差が所定の範囲にあることが検出された場合に、ロボットが走行経路に沿って走行するように制御し、仮想壁信号に基づいて走行経路を調整する。
【0109】
その中、所定の範囲は、システムからの予め設定された値である。仮想壁信号と第2の信号閾値との差が所定の範囲を超える場合に、ロボットは、上記ステップ601−603に示す方法によりロボットの走行経路を調整することができ、本実施例はこれを省略する。
【0110】
選択的に、ロボットは、仮想壁により形成される領域に沿って一回り走行し、または、上記の図5A−5Cに示すように、ロボットが仮想壁に沿ってロボットが実体壁等の障害物を感応するまで走行した場合に、ロボットは、仮想壁の外側に沿って走行し終わったと決定し、当該方法は、さらに以下のステップを含み、図8に示すとおりである。
【0111】
ステップ801において、仮想壁信号が第2の信号閾値より小さいか否かを検出する。
【0112】
ステップ802において、仮想壁信号が第2の信号閾値より小さい期間が所定期間に達したことを連続的に検出した場合に、ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わったと決定する。
【0113】
例えば、3秒間連続して検出された仮想壁信号のすべてが、第2の信号閾値より小さい場合に、ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わったと決定する。
【0114】
ステップ803において、ロボットの仮想壁の外側に沿って走行し終わった場合に、信号閾値及び仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別するステップを再度実行する。
【0115】
清掃ロボットが仮想壁の外側に沿って走行し終わった場合に、誤った判定を再度回避するために、値がより大きい第1の信号閾値を再使用して仮想壁を識別する。
【0116】
以上により、本開示の実施例に提供される清掃ロボット清掃方法は、二つの異なる信号閾値を設定することにより、ロボットの走行中に、信号閾値及び検出アセンブリにより検出された仮想壁信号に基づいて仮想壁を識別し、仮想壁が識別された場合に、信号閾値を調整し、調整された信号閾値及び仮想壁信号に基づいてロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御し、仮想壁を識別すること及びロボットが仮想壁の外側に沿って走行するように制御することにおいて、異なる信号閾値を用いることにより、より大きい一つの信号閾値を設定する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁内部に入り込むか、または、より小さい一つの信号閾値を設定する場合に、誤った判定が発生するため、ユーザによる操作が必要となり、複雑な環境での清掃を全て自動的に完成することが困難となるという問題を解決した。仮想壁を精確に識別したうえで、ロボットが仮想壁の外側に沿って走行する場合に、ロボットの駆動輪が仮想壁の外側に位置して保持し、仮想壁内部領域に入らないという効果を奏する。
【0117】
当業者は、明細書に対する理解、及び明細書に記載された発明に対する実施を介して、本開示の他の実施形態を容易に取得することができる。本開示は、本開示に対する任意の変形、用途、又は適応的な変化を含み、このような変形、用途、又は適応的な変化は、本開示の一般的な原理に従い、本開示では開示していない本技術分野の公知知識、又は通常の技術手段を含む。明細書及び実施例は、例示的なものにすぎず、本開示の真の範囲と主旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0118】
本開示は、上記で記述され、図面で図示した特定の構成に限定されず、その範囲を逸脱しない範囲で、様々な修正や変更を行うことができる。本開示の範囲は、添付される特許請求の範囲のみにより限定される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8