(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707221
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】螺旋状杭の構成部材
(51)【国際特許分類】
E02D 5/56 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
E02D5/56
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-112090(P2016-112090)
(22)【出願日】2016年6月3日
(65)【公開番号】特開2017-218746(P2017-218746A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175190
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 裕明
(72)【発明者】
【氏名】永田 誠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 徹
(72)【発明者】
【氏名】黒川 貴大
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−122541(JP,A)
【文献】
特開2015−068061(JP,A)
【文献】
特開2003−328354(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0301791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれを接合することによって螺旋状杭を形成する螺旋状杭の構成部材であって、
螺旋状杭を形成する螺旋体と、
前記螺旋体の両端部または一端部付近を減肉してなる被接合部と、を備え、
前記被接合部は、前記構成部材に接合する他の構成部材の被接合部または他の接合体が有する螺旋体の螺旋面が重なる螺旋状の減肉面を有する
螺旋状杭の構成部材。
【請求項2】
前記被接合部は、前記螺旋体の端部付近の肉厚を半分に減肉してなる部位である、
請求項1に記載の螺旋状杭の構成部材。
【請求項3】
前記他の構成部材または前記他の接合体が有する螺旋体は、前記螺旋状杭を形成する螺旋体と同じ肉厚を有し、
前記被接合部の減肉面は、前記他の構成部材または他の接合体が有する螺旋体の端部付近を減肉してなる接合部が有する螺旋状の減肉面が重なる螺旋状の面を形成する、
請求項1または2に記載の螺旋状杭の構成部材。
【請求項4】
前記被接合部は、前記他の接合体の端面が突き合わされる突合面を更に有する、
請求項1から3の何れか一項に記載の螺旋状杭の構成部材。
【請求項5】
前記螺旋体は、前記螺旋状杭の中心線に直交する断面の形状が、前記中心線を挟んで対称の螺旋体であり、
前記被接合部は、前記減肉面を形成する部分の前記螺旋体を、前記中心線に沿って分断するスリットを更に有する、
請求項1から4の何れか一項に記載の螺旋状杭の構成部材。
【請求項6】
前記螺旋状杭を形成する螺旋体は、端部付近に厚肉部を有しており、
前記被接合部は、前記厚肉部の一部を減肉してなる部位である、
請求項1から5の何れか一項に記載の螺旋状杭の構成部材。
【請求項7】
螺旋状杭に支持される構造物と前記螺旋状杭との連結部分を形成する連結部と、
前記連結部の下部から地中方向へ向けて延設される螺旋状の被接合部であって、前記螺旋状杭の少なくとも一部を形成する他の構成部材または他の接合体が有する螺旋体の螺旋面が重なる螺旋状の面を有する被接合部と、を備える
螺旋状杭用の構成部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋状杭を形成する構成部材に関する。
【背景技術】
【0002】
土木や建築の分野では、構造物を支える基礎の構築が行われる。構造物を支える基礎としては、例えば、現場でコンクリートを打設して構築するものや、既製の杭を地盤に貫入して構築するものがある。コンクリートを打設する場合、掘削残土が発生し、コンクリートを打設した後の養生に時間を要するため、施工を開始してから供用開始に至るまでに時間がかかる。そこで、近年では、掘削残土の抑制や、施工時間の短縮、早期の供用開始が可能な杭が多用され、各種の改良を施したものが提案されている(例えば、特許文献1−2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5437944号公報
【特許文献2】特開2013−256759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
構造物を支える杭は、適正な支持力を発揮することが求められる。杭の支持力を向上する方策としては、例えば、杭の長尺化が考えられる。杭を長尺化すれば、大規模な構造物を支える支持力を得ることが可能である。しかし、杭の長さは、杭を輸送する輸送手段の都合や、その他各種の要因によって制限される場合がある。そこで、例えば、鋼管杭を使う現場では、杭同士を溶接したり、鋼管を繋ぐ継手を使って杭同士を連結したりする試みも行われているが、前者の溶接作業は天候や溶接技術者の技能に左右されたり、溶接技術者の不足という問題もある。また、後者の継手は螺旋状杭に適用できないという問題があった。
【0005】
そこで、本願は、螺旋状杭を他の接合体と容易に接合可能とする螺旋状杭の構成部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、螺旋状杭を形成する螺旋体に、端部付近を減肉してなる螺旋状の減肉面を有する被接合部を設けることにした。
【0007】
詳細には、本発明は、それぞれを接合することによって螺旋状杭を形成する螺旋状杭の構成部材であって、螺旋状杭を形成する螺旋体と、螺旋状杭を形成する螺旋体の両端部または一端付近を減肉してなる被接合部とを備え、当該被接合部は、構成部材に接合する他の構成部材の被接合部または他の接合体が有する螺旋体の螺旋面が重なる螺旋状の減肉面を有する。
【0008】
このような螺旋状杭の構成部材であれば、当該構成部材が有する螺旋状の減肉面が、当該構成部材と接合される他の構成部材の被接合部あるいは他の接合体が有する螺旋体の螺旋面に重ねることができる。よって、例えば、螺旋体の端部にある僅かな大きさの端面同士を接合する際に採用せざるを得ない溶接や、螺旋体の接合には適用が困難な鋼管用の継手を用いなくても、当該構成部材が有する減肉面と他の構成部材の被接合部または他の接合体が有する螺旋面との重なり部分における密着により、接合強度を容易に確保すること
ができる。
【0009】
なお、被接合部は、螺旋体の端部付近の肉厚を半分に減肉してなる部位であってもよい。また、他の構成部材または他の接合体が有する螺旋体は、螺旋状杭を形成する螺旋体と同じ肉厚を有し、被接合部の減肉面は、他の構成部材または他の接合体が有する螺旋体の端部付近を減肉してなる接合部が有する螺旋状の減肉面が重なる螺旋状の面を形成するものであってもよい。被接合部がこのように構成されていれば、上端から下端まで肉厚が急変する箇所の無い螺旋体からなる螺旋状杭を形成することができ、接合部が地盤に貫入する際にも押圧力の急増を抑制することができる。
【0010】
また、被接合部は、他の構成部材または他の接合体の端面が突き合わされる突合面を更に有するものであってもよい。被接合部がこのように構成されていれば、貫入の際に突合面を介して押圧力を伝え、貫入を推進することができる。
【0011】
また、螺旋体は、螺旋状杭の中心線に直交する断面の形状が、中心線を挟んで対称の螺旋体であり、被接合部は、減肉面を形成する部分の螺旋体を、中心線に沿って分断するスリットを更に有するものであってもよい。このように構成される螺旋状杭の構成部材であれば、減肉面が杭の貫入方向に沿った中心線を挟んで点対称に形成されていても、各被接合部の減肉面同士が互いに重なり合うように被接合部同士を接合することができる。
【0012】
また、上記螺旋状杭を形成する螺旋体は、端部付近に厚肉部を有しており、上記被接合部は、厚肉部の一部を減肉してなる部位であってもよい。このように構成される螺旋状杭の構成部材であれば、他の接合体が有する螺旋体の端部付近が減肉されていなくても当該他の接合体に接合可能である。
【0013】
また、本発明は、螺旋状杭用の構成部材として捉えることもできる。すなわち、本発明は、螺旋状杭に支持される構造物と螺旋状杭との連結部分を形成する連結部と、連結部の下部から地中方向へ向けて延設される螺旋状の被接合部であって、螺旋状杭の少なくとも一部を形成する他の構成部材または他の接合体が有する螺旋体の螺旋面と重なる螺旋状の面を有する被接合部と、を備える螺旋状杭用の構成部材であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記の螺旋状杭の構成部材であれば、螺旋状杭と他の構成部材または他の接合体とを容易に接合可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る螺旋状杭の構成部材を示した図である。
【
図3】
図3は、被接合部同士の接合方法を示した図である。
【
図4】
図4は、各構成部材によって形成される一本の螺旋状杭を示した図である。
【
図5】
図5は、被接合部の第1変形例を示した図である。
【
図6】
図6は、第1変形例に係る被接合部同士の接合方法を示した図である。
【
図7】
図7は、被接合部の第2変形例を示した図である。
【
図8】
図8は、第2変形例に係る被接合部の接合方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図1は、実施形態に係る螺旋状杭の構成部材を示した図である。
図1(A)に示す先端
構成部材1、
図1(B)に示す中間構成部材2、
図1(C)に示す基端構成部材3は、互いに接合されて一本の螺旋状杭を形成する。構成部材1,2,3には、互いに接合するための被接合部4が各々に備わっている。なお、構成部材1,2,3に各々備わっている被接合部4は、何れも同様の形態であるため、説明の便宜上、以下、同一の符号を使って説明する。
【0018】
図1(A)に示す先端構成部材1は、
図1(B)に示す中間構成部材2や
図1(C)に示す基端構成部材3と共に一本の螺旋状杭を形成する部材なので、螺旋状杭を形成する螺旋体10が備わっている。先端構成部材1と同様、中間構成部材2にも螺旋体20が備わっており、基端構成部材3にも螺旋体30が備わっている。なお、基端構成部材3は、螺旋状杭に支持される構造物と螺旋状杭との連結部分を形成する部材であるため、構造物を螺旋状杭に固定するためのボルト32を板材33から上方へ突設させた連結部31が備わっている。なお、基端構成部材3は、このようなボルト32を備えたものに限定されず、例えば、道路標識の支柱に使われるようなパイプの下端に螺旋体30を設けたような部材であってもよい。
【0019】
図1(A)に示される先端構成部材1は、中間構成部材2や基端構成部材3と共に形成する一本の螺旋状杭の最下部に位置する部材である。よって、先端構成部材1には、被接合部4が上端にのみ備わっている。また、
図1(B)に示される中間構成部材2は、先端構成部材1や基端構成部材3と共に形成する一本の杭の中間に位置する部材である。よって、中間構成部材2には、被接合部4が上端と下端の両方に備わっている。また、
図1(C)に示される連結部材3は、先端構成部材1や中間構成部材2と共に形成する一本の杭の最上部に位置する部材である。よって、基端構成部材3には、被接合部4が螺旋体30の下端部のみに備わっている。
【0020】
図2は、被接合部4を示した図である。被接合部4は、螺旋体10,20,30の端部付近を減肉してなる部位であり、螺旋体10,20,30の端部に接合する他の構成部材または他の接合体が有する螺旋体の螺旋面と重なる螺旋状の減肉面41を有する。減肉面41には、適当な箇所に貫通孔43が設けられている。また、各被接合部4は、他の構成部材または他の接合体の端面が突き合わされる突合面42を有する。突合面42は、螺旋状杭の貫入時の荷重および支持力を受ける受け部として機能する。なお、突合面42と他の構成部材または他の接合体の端面は押圧した場合にもお互いに外れないように傾斜面としてもよい。
【0021】
なお、本願でいう「減肉」とは、螺旋状杭を形成する螺旋体の肉厚よりも相対的に肉厚が薄いことを意図するものであり、一旦形成された螺旋体を削って肉厚を減らしたものに限定解釈されるものではない。本願でいう「減肉」とは、例えば、螺旋体が鋳造で製作される場合に、減肉させたい部分が当初から薄肉となるように形成された鋳造用の型によって鋳造される減肉部分を含む概念である。
【0022】
各螺旋体10,20,30は、減肉面41が形成されていない部分が互いに同じ肉厚を有している。そして、被接合部4は、螺旋体10,20,30の減肉面41が形成されていない部位よりも肉厚を半分に減肉してなる部位である。よって、構成部材1,2,3が互いに接合されて形成する1本の螺旋状杭は、上端から下端まで肉厚が急変する箇所の無い螺旋体となる。
【0023】
ところで、螺旋体10,20,30は、螺旋状杭の貫入方向に沿った中心線に直交する断面の形状が、中心線を挟んで点対称の螺旋体である。螺旋体10,20,30がこのような形状であれば、貫入時の排出残土を可及的に抑制することができ、また、貫入時における応力分布が中心線を中心にバランスする。そして、減肉面41も螺旋状杭の中心線を
挟んで点対称になるように形成されているため、各被接合部4の減肉面41同士が互いに重なり合うことができるよう、各被接合部4には、螺旋体10,20,30の中心線に沿って分断するスリット44が設けられている。各被接合部4にこのようなスリット44が設けられることで、螺旋体10,20,30の端部同士を突き合せた際、中心線の部分で相手材に干渉することなく、各被接合部4の減肉面41同士が互いに重なり合うように各被接合部4同士を接合することができる。
【0024】
図3は、被接合部4同士の接合方法を示した図である。例えば、先端構成部材1と中間構成部材2、中間構成部材2同士、中間構成部材2と基端構成部材3、あるいは先端構成部材1と基端構成部材3を接合したい場合、各被接合部4のスリット44同士が噛み合うように螺旋体10,20,30の端部同士を突き合せる(
図3(A)参照)。そして、各被接合部4の減肉面41同士を互いに重ね合わせる(
図3(B)参照)。各被接合部4の減肉面41同士が互いに重なり合った状態で、貫通孔43に適当な部材(ボルトやリベット、かしめ等)が挿通され固定されると、被接合部4同士の接合が完了する。なお、各被接合部4は、減肉面41に塗布された接着剤によって接合されてもよい。この場合、貫通孔43を省略することができる。
【0025】
図4は、先端構成部材1、中間構成部材2、基端構成部材3によって形成される一本の螺旋状杭を示した図である。先端構成部材1と基端構成部材3との間に設ける中間構成部材2の本数を適当に調整することで、任意の長さの杭5を形成可能である。そして、杭5は、上端から下端まで肉厚が急変する箇所の無い螺旋体であるため、地中に貫入する際に要する荷重も安定する。
【0026】
また、各被接合部4には突合面42があるため、螺旋状杭5が地中に貫入される際に生ずる貫入方向の荷重および支持力が突合面42に加わり、突合面42を介して螺旋状杭5が地中に貫入される際に生ずる貫入方向の荷重および支持力を伝達することができる。
【0027】
図5は、被接合部4の第1変形例を示した図である。第1変形例に係る被接合部4Aは、上記実施形態の被接合部4と同様、螺旋体10,20,30の端部付近を減肉してなる部位であり、螺旋状の減肉面41Aや貫通孔43A、突合面42Aが備わっている。しかし、本第1変形例に係る被接合部4Aは、実施形態の被接合部4と異なり、減肉面41Aが杭の中心線を挟んで点対称には形成されていない。すなわち、本第1変形例に係る被接合部4Aは、螺旋体10,20,30に各々2つある螺旋面のうちの一方の面に減肉面41Aを形成しただけなので、上記実施形態の被接合部4にあるスリット44が無くても減肉面41A同士を重ね合わせて被接合部4A同士を接合可能である。
【0028】
図6は、第1変形例に係る被接合部4A同士の接合方法を示した図である。第1変形例に係る被接合部4A同士を接合する場合、上記実施形態の被接合部4とは異なり、各被接合部4Aの減肉面41A同士が互いに向かい合うような位置関係で被接合部4A同士を近づける(
図6(A)参照)。そして、各被接合部4Aの減肉面41A同士を互いに重ね合わせる(
図6(B)参照)。貫通孔43Aに適当な部材が挿通されると、被接合部4A同士の接合が完了する。
【0029】
本第1変形例に係る被接合部4Aも上記実施形態の被接合部4と同様、構成部材1,2,3を接合して一本の螺旋状杭を形成可能である。また、突合面42Aを介して杭の貫入時の荷重および支持力を伝達することができる。
【0030】
また、上記実施形態の被接合部4は、以下のように変形することもできる。
図7は、被接合部4の第2変形例を示した図である。第2変形例に係る被接合部4Bは、上記実施形態の被接合部4と同様、螺旋体10,20,30の端部付近を減肉してなる部位であり、
螺旋状の減肉面41Bや貫通孔43B、突合面42B、スリット44Bが備わっている。但し、本第2変形例に係る被接合部4Bは、実施形態の被接合部4と異なり、螺旋体10,20,30の端部付近に形成された厚肉部45Bの一部に減肉面41Bが形成されている。そして、減肉面41Bは、厚肉部45Bの肉厚を当該被接合部4Bに接合される他の螺旋体の肉厚と同程度に減肉した面である。
【0031】
図8は、第2変形例に係る被接合部4Bの接合方法を示した図である。第2変形例に係る被接合部4Bは、厚肉部45Bの肉厚を当該被接合部4Bに接合される他の螺旋体の肉厚と同程度に減肉した減肉面41Bを有しているため、例えば、平板を螺旋状にしただけの一般的な螺旋状杭100と接合可能である。第2変形例に係る被接合部4Bを接合する場合、被接合部4Bのスリット44Bに螺旋状杭100が挟まれるように螺旋体20,30と螺旋状杭100の端部同士を突き合わせる(
図8(A)参照)。そして、被接合部4Bの減肉面41Bを螺旋状杭100の螺旋面に重ねる(
図8(B)参照)。被接合部4Bの貫通孔43Bと螺旋状杭100の貫通孔143に適当な部材が挿通され固定されると、被接合部4Bと螺旋状杭100との接合が完了する。
【0032】
なお、螺旋体10,20,30を形成する螺旋のねじれが一周(1巻)した場合の軸方向の長さを1ピッチとすると、
図1〜8では、0.5ピッチ程度の長さの被接合部4,4A,4Bが図示されていた。しかし、被接合部4,4A,4Bの長さはこれに限定されるものではない。被接合部4,4A,4Bは、接合部分の強度を確保できる範囲で適宜の長さに変更可能であり、例えば、0.5ピッチ以下であってもよいし0.5ピッチ以上(例えば、1.0ピッチ)であってもよい。
【0033】
また、螺旋体10,20,30の貫入方向に沿った中心線に直交する断面の断面形状については特に言及しなかったが、螺旋体10,20,30は、適宜の断面形状を有するものであってもよい。螺旋体10,20,30は、例えば、細長い長方形の断面形状を有するものであってもよいし、構成部材1,2,3の中心線付近が膨らんだ略ひし形の断面形状を有するものであってもよいし、その他の様々な断面形状を有するものであってもよい。
【0034】
また、
図1〜8では、螺旋体10,20,30が一定のピッチと径と肉厚で図示されているが、螺旋体10,20,30は、螺旋状杭の上端から下端へ向けて漸次縮径したり、上端から下端へ向けてピッチが増加あるいは減少したり、上端から下端へ向けて肉厚が漸次薄くなったりする形態の螺旋体であってもよい。この場合、接合可能な被接合部4,4A,4Bの組み合わせが限定されることになるため、上記実施形態の螺旋状杭5のように、先端構成部材1と基端構成部材3との間に設けられる中間構成部材2の本数を適宜変更することは困難であるが、減肉面41の密着と突合面42の耐力とによる耐荷重力は上記実施形態の螺旋状杭5と同等に発揮することが可能である。
【0035】
また、上記実施形態や第1変形例では、螺旋体10,20,30の肉厚を半分に減肉した被接合部4,4Aが例示されていたが、被接合部4,4Aは、このような肉厚のものに限定されない。被接合部4,4Aは、互いに接合される一組の被接合部4,4Aのうち一方の肉厚と他方の肉厚の比率が相違していてもよい。被接合部4,4Aは、例えば、互いに接合される一組の被接合部4,4Aのうち一方の肉厚を3分の1程度とし、他方の肉厚を3分の2程度にしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態や変形例では、突合面42,42A,42Bが被接合部4,4A,4Bに備わっていたが、被接合部4,4A,4Bは突合面42,42A,42Bを備えるものに限定されない。被接合部4,4A,4Bは、減肉面41,41A,41Bの密着により貫入時の荷重に耐えることができるものであれば、例えば、突合面42,42A,4
2Bが省略されていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1・・先端構成部材(構成部材)
2・・中間構成部材(構成部材)
3・・基端構成部材(構成部材)
10,20,30・・螺旋体
31・・連結部
32・・ボルト
33・・板材
4,4A,4B・・被接合部
41,41A,41B・・減肉面
42,42A,42B・・突合面
43,43A,43B、143・・貫通孔
44,44B・・スリット
45B・・厚肉部
5,100・・螺旋状杭