特許第6707247号(P6707247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707247
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】ボルト、拡張具及び穿孔装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/00 20060101AFI20200601BHJP
   B28D 1/14 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   B28D7/00
   B28D1/14
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-46396(P2016-46396)
(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公開番号】特開2017-159560(P2017-159560A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年1月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 穿孔方法のデータ検証試験(平成27年10月26日〜平成27年10月30日 JREMホームドア研修センター)
(73)【特許権者】
【識別番号】516072960
【氏名又は名称】アズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】能島 学
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭46−003153(JP,Y1)
【文献】 特開平07−214539(JP,A)
【文献】 特開2001−341123(JP,A)
【文献】 特開2000−346028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 7/00
B28D 1/14
B23D 45/14
B23Q 9/00
B25H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品の上に載置された本体と、
前記第1の部品に対して前記本体を締結する第1の連結機構と、
前記本体の上に載置される第2の部品に対して連結するための第2の連結機構と、を備え、
前記第1の連結機構は前記本体に形成された第1の孔を有し、
前記第1の孔は前記第1の部品に取り付けられる第1のボルトが挿入可能であり、
前記第2の連結機構は、
前記本体に形成された第2の孔と、
前記第2の孔及び前記第2の部品に設けられた第2の部品孔に対して挿入可能な第2のボルトと、
前記第2のボルトに螺合可能な第2のナットと、を有し、
前記第1の孔及び前記第2の孔が一体となった長孔が前記本体に形成されたことを特徴とする拡張具。
【請求項2】
第1の部品の上に載置された本体と、
前記第1の部品に対して前記本体を締結する第1の連結機構と、
前記本体の上に載置される第2の部品に対して連結するための第2の連結機構と、を備え、
前記第1の連結機構は前記本体に形成された第1の孔を有し、
前記第1の孔は前記第1の部品に取り付けられる第1のボルトが挿入可能であり、
前記第2の連結機構は、
前記本体に形成された第2の孔と、
前記第2の孔及び前記第2の部品に設けられた第2の部品孔に対して挿入可能な第2のボルトと、
前記第2のボルトに螺合可能な第2のナットと、を有し、
前記第1の孔及び第2の孔は、いずれも、挿入されたボルトがスライド可能となるような長孔であることを特徴とする拡張具。
【請求項3】
第1の部品の上に載置された本体と、
前記第1の部品に対して前記本体を締結する第1の連結機構と、
前記本体の上に載置される第2の部品に対して連結するための第2の連結機構と、を備え、
前記第1の連結機構は前記本体に形成された第1の孔を有し、
前記第1の孔は前記第1の部品に取り付けられる第1のボルトが挿入可能であり、
前記第2の連結機構は、
前記本体に形成された第2の孔と、
前記第2の孔及び前記第2の部品に設けられた第2の部品孔に対して挿入可能な第2のボルトと、
前記第2のボルトに螺合可能な第2のナットと、を有し、
前記第1の孔及び第2の孔の少なくとも一方は、挿入されたボルトがスライド可能となるような長孔であり、
前記本体の形状は、前記第1の孔及び第2の孔に対して左右対称であることを特徴とする拡張具。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の拡張具と、
請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の第1の部品と、
請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の第2の部品と、を備え、
前記第1の部品は、
固定面の上に配される真空ベースと、
前記固定面と前記真空ベースの隙間を埋めるためのパッキンと、を有し、
前記固定面、前記真空ベース及び前記パッキンに囲まれた空間を真空にすることにより、前記真空ベースを前記固定面に固定可能にするものであり、
前記第2の部品は、
前記本体の上に載置されるドリルベースと、
前記ドリルベースから起立するスタンドと、
前記スタンドに対して取り付けられたドリルヘッドと、を有することを特徴とする穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト、拡張具及び穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート等に所定の凹部を形成する穿孔装置が知られている(例えば、特許文献1)。この穿孔装置は、ダイヤモンドドリルが取り付けられたドリルベースと、ドリルベースをコンクリート表面等に固定する固定部品とを備える。この固定部品は、コンクリート表面等の固定面の上に配される真空ベースと、真空ベースの隙間を埋めるためのパッキンと、を有する。真空ポンプを用いて、固定面、真空ベース及びパッキンに囲まれた空間を真空にすることにより、ドリルベースを固定面に固定することができる。このような穿孔装置によれば、所定の位置に凹部を安定して形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−341123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、真空ポンプを利用したドリルベースの固定は、所定の真空空間を作る必要があるため、固定面は平らであることが好ましい。しかしながら、実際の作業現場においては、理想的な固定面がいたる所にあるとは限られない。
【0005】
例えば、鉄道駅のプラットホームに防護柵を建てる際、プラットホームをなすコンクリート板自体が反っている場合も多い。このため、平らな部分を探すことが困難である。また、プラットホームには、排水溝、盲人ブロックや滑り止めのゴム等が設置されている場所もある。このように、真空による固定が適している場所探しには手間暇を要する。一方、真空による固定が適している場所を探せたとしても、穿孔位置との距離が離れていれば、ドリルが穿孔位置に届かない。結果として、所望の穿孔位置において穿孔作業を行うことができない。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、所望の穿孔位置における穿孔作業を可能にする拡張具、及び穿孔装置、そして、これらに対しても好適に用いられるボルトを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の拡張具は、第1の部品の上に載置された本体と、前記第1の部品に対して前記本体を締結する第1の連結機構と、前記本体の上に載置される第2の部品に対して連結するための第2の連結機構と、を備え、前記第1の連結機構は前記本体に形成された第1の孔を有し、前記第1の孔は前記第1の部品に取り付けられる第1のボルトが挿入可能であり、前記第2の連結機構は、前記本体に形成された第2の孔と、前記第2の孔及び前記第2の部品に設けられた第2の部品孔に対して挿入可能な第2のボルトと、前記第2のボルトに螺合可能な第2のナットと、を有し、前記第1の孔及び前記第2の孔が一体となった長孔が前記本体に形成されたことを特徴とする。また、本発明の拡張具は、第1の部品の上に載置された本体と、前記第1の部品に対して前記本体を締結する第1の連結機構と、前記本体の上に載置される第2の部品に対して連結するための第2の連結機構と、を備え、前記第1の連結機構は前記本体に形成された第1の孔を有し、前記第1の孔は前記第1の部品に取り付けられる第1のボルトが挿入可能であり、前記第2の連結機構は、前記本体に形成された第2の孔と、前記第2の孔及び前記第2の部品に設けられた第2の部品孔に対して挿入可能な第2のボルトと、前記第2のボルトに螺合可能な第2のナットと、を有し、前記第1の孔及び第2の孔は、いずれも、挿入されたボルトがスライド可能となるような長孔であることを特徴とする。
【0008】
本発明の拡張具は、第1の部品の上に載置された本体と、前記第1の部品に対して前記本体を締結する第1の連結機構と、前記本体の上に載置される第2の部品に対して連結するための第2の連結機構と、を備え、前記第1の連結機構は前記本体に形成された第1の孔を有し、前記第1の孔は前記第1の部品に取り付けられる第1のボルトが挿入可能であり、前記第2の連結機構は、前記本体に形成された第2の孔と、前記第2の孔及び前記第2の部品に設けられた第2の部品孔に対して挿入可能な第2のボルトと、前記第2のボルトに螺合可能な第2のナットと、を有し、前記第1の孔及び第2の孔の少なくとも一方は、挿入されたボルトがスライド可能となるような長孔であり、前記本体の形状は、前記第1の孔及び第2の孔に対して左右対称であることを特徴とする。
【0009】
本発明の穿孔装置は、上記の拡張具と、上記の第1の部品と、上記の部品と、を備え、前記第1の部品は、固定面の上に配される真空ベースと、前記固定面と前記真空ベースの隙間を埋めるためのパッキンと、を有し、前記固定面、前記真空ベース及び前記パッキンに囲まれた空間を真空にすることにより、前記真空ベースを前記固定面に固定可能にするものであり、前記第2の部品は、 前記本体の上に載置されるドリルベースと、前記ドリルベースから起立するスタンドと、前記スタンドに対して取り付けられたドリルヘッドと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のボルトは、ネジを有する軸部と、径方向へ延びるようにして前記軸部に設けられた延設部と、前記延設部または前記軸部から突出する突起と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所望の穿孔位置における穿孔作業を可能にする拡張具、及び穿孔装置、そして、これらに対しても好適に用いられるボルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】穿孔装置の概要を示す斜視図である。
図2】穿孔装置の要部を拡大した側面図である。
図3】穿孔装置の要部を拡大した分解断面図である。
図4】連結ベース及び固定ベースの位置関係を表す平面図である。
図5】連結ボルトの概要を示す斜視図である。
図6】(A)〜(B)は、連結長孔に連結ボルトを挿入した様子を示す部分断面図、平面図である。(C)は、変形例の連結ボルトを連結長孔に挿入した様子を示す部分断面図である。
図7】固定ユニット及びドリルユニットの連結方法の概要を示す説明図である。
図8】連結ベース及び固定ベースの位置関係を表す平面図である。
図9】連結ベースの変形例の概要を表す平面図である。
図10】連結ベース(穿孔装置用のスライド板)の六面図であり、(A)〜(F)は、それぞれ、連結ベースの左側面図、背面図、平面図、正面図、底面図、右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、任意の水平方向をX方向、高さ方向をZ方向、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向として説明する。
【0014】
図1〜2に示すように、穿孔装置2は、固定面Fの上に配される固定ユニット10と、固定ユニット10の上に配されるドリルユニット20と、固定ユニット10及びドリルユニット20を連結するための連結ユニット30と、を備える。さらに、穿孔装置2は、穿孔作業時に発生する切粉や、穿孔位置に供給した水を吸引する吸引ユニット70を備えていることが好ましい。
【0015】
図2〜3に示すように、固定ユニット10は、固定面Fに配される真空ベース11と、真空ベース11に下面側に設けられた環状のパッキン12と、真空ベース11の上面側に設けられた真空口13と、真空ベース11の上面から起立する真空ボルト14と、真空ボルト14に螺合する真空ナット15と、真空ベース11の四隅に形成された隅孔に挿入されるレベル調整用ボルト16と、を有する。
【0016】
パッキン12は、固定面Fに載置された真空ベース11と固定面Fとの隙間を埋めるためのものである。真空ベース11を固定面Fに載置すると、固定面F、真空ベース11及びパッキン12で囲まれた空間は密閉空間となる。
【0017】
真空口13は、真空ベース11の上面側に設けられるものであり、環状のパッキン12で囲まれた空間と連通する。真空口13には、真空ポンプ51から延びるホース52が接続される。真空ポンプ51により、密閉空間にある空気が吸引される。この結果、固定ユニット10は、固定面Fに対し固定される。
【0018】
図1に戻って、ドリルユニット20は、固定ユニット10の上方に配されるドリルベース21と、ドリルベース21の上面からZ方向に向かって起立するように設けられたスタンド22と、スタンド22に対してZ方向にスライド自在なアーム23と、回転自在にアームに取り付けられたドリルヘッド24と、を備える。ドリルヘッド24は、コアドリル24Dと、ドリルホルダ24Hと、モータ(図示省略)とを有する。モータの駆動によって、コアドリル24Dは所定の回転数で回転する。
【0019】
図1〜3に示すように、ドリルベース21は板状に形成される。また、ドリルベース21には、ボルトが挿入される孔が形成される。この孔としては、例えば、ドリルベース21には、所定の方向(例えば、X方向)へ延びるドリル側長孔21であることが好ましい。ドリル側長孔21LXに挿通されたボルト(後述)を介して、ドリルベース21は、固定面Fに対しX方向へ移動自在となる。
【0020】
連結ユニット30は、板状に形成された連結ベース31と、連結ベース31に形成された連結長孔31LXと、連結長孔31LXに対して挿入可能な連結ボルト32と、連結ボルト32に対して螺合可能な連結ナット33と、連結ベース31の四隅に形成された連結隅孔31CXと、連結隅孔31CXに挿入可能なレベル調整用ボルト35と、レベル調整用ボルト35に対し螺合可能なレベル調整用ナット36と、を備える。4組のレベル調整用ボルト35とレベル調整用ナット36を用いることで、連結ベース31の水平調整を行うことができる。
【0021】
図3〜4に示すように、連結ベース31は、矩形に形成されることが好ましい。また、連結ベース31は、ドリルユニット20をスライドさせたい方向(図1のX方向)へ長く延びることが好ましい。連結長孔31LXは、真空ボルト14が挿入可能であって、所定の方向(X方向)へ延びる。また、重量物のドリルユニット20を載置した際の安定性の面から、連結ベース31は、連結長孔31LXに対し左右対称であることが好ましい。
【0022】
図5〜6に示すように、連結ボルト32は、ネジが設けられた軸部32Aと、軸部32Aの径方向Rに向かって延びた延設部32Eと、延設部32Eまたは軸部32Aに設けられた突起32Tと、を有する。
【0023】
図3、6に示すように、軸部32Aは、ドリル側長孔21LX及び連結長孔31LXに挿通可能である。軸部32Aのネジは、連結ナット33のねじと螺合可能なものとなっている。連結ボルト32及び連結ナット33により、連結ベース31は、ドリルベース21に対してX方向へスライド可能となる。
【0024】
延設部32Eは、軸部32Aの端部に設けられる。 延設部32Eは、平板状に形成されることが好ましい。Z方向における延設部32Eの長さは、連結ベース31と固定面Fとの隙間KX(図2)に入る程度のものであることが好ましい。
【0025】
突起32Tが延設部32Eに設けられた場合、突起32TはZ方向(図5のAX方向)へ延びることが好ましい。突起32Tは、軸部32Aとともに、連結長孔31LXに挿入可能なことが好ましい。なお、図6(C)に示すように、突起32Tが軸部32Aに設けられた場合、突起32Tは軸部32Aの径方向Rへ延びることが好ましい。
【0026】
次に、連結ユニット30や連結ボルト32の使用方法について説明する。
【0027】
(真空ステップ)
所望の穿孔位置が決まると、穿孔位置の周りにドリルベース21の載置候補範囲が決まる。ドリルユニット20の載置候補範囲は、穿孔位置から所定の内径及び外径を有する円環状となる。この内径及び外径は、ドリルベース21固有のものである。次に、固定面Fに真空ベース11を載置する(図7(A))。真空ベース11の載置候補範囲は、円環状のドリルベース21の載置候補範囲から、連結ベース31のスライド距離だけ径方向外側へ拡がった円環状である。このような真空ベース11の載置候補範囲のなかから、真空による固定に適した部分を選ぶ。その後、真空ポンプ51の駆動により、固定ユニット10は、固定面Fに対し固定される。その次に、レベル調整用ボルト35を用いて、真空ベース11の水平調整を行う。そして、穿孔位置及び真空ボルト14を結ぶ直線とドリルベース21の載置候補範囲とが交わる部分に、連結ボルト32を載置する。
【0028】
(連結ベース載置ステップ)
次に、その後、連結ボルト32と真空ボルト14との双方が連結長孔31LXに挿入されるように、真空ベース11の上に連結ベース31を載置する(図4及び図7(B)))。その後、レベル調整用ボルト35を用いた連結ベース31の水平調整を行う。
【0029】
(ドリルベース載置ステップ)
次に、連結ボルト32がドリル側長孔21LXに挿入するように、連結ベース31の上にドリルベース21を載置する(図7(C))。
【0030】
(連結ステップ)
その後、突起32Tが連結長孔31LXに挿入するように、連結ボルト32を引き上げる。軸部32A及び突起32Tが連結長孔31LXに挿入された状態(図6(A))のまま、レンチ等の工具を用いて、軸部32Aに螺合された連結ナット33を締める。このとき、突起32Tが連結長孔31LXの側面に係合するため(図6(B))、軸部32Aは軸方向AX周りに係止される。結果、軸部32Aが空回りせずに済むため、軸部32Aにおけるナット締めを行うことができる。
【0031】
このように、本発明では、連結ベース31がX方向へスライド可能となるように、真空ベース11及びドリルベース21の間に連結ベース31を挟む。これにより、ドリルユニット20のスライド調整の範囲は、真空ベース11及びドリルベース21のみによる場合に比べ大きくなる。例えば、連結ベース31等を用いない場合には、真空ベース11の真上の位置から外れた位置にドリルベース21を固定することができないが、連結ベース31等を用いた場合には、当該位置にドリルベース21を固定することができる。すなわち、この結果、真空による固定が可能な位置が限られた現場においても、所望の穿孔位置において穿孔作業が行うことができる。このため、あらゆる場所において穿孔作業が可能となる。
【0032】
また、所望の穿孔位置に応じたドリルユニット20の位置合わせは、連結ベース31のスライド移動のみによって可能となる。また、ドリルユニット20の位置合わせのために、固定面Fにおける固定ユニット10の固定作業などを改めて行う回数も減る。結果、穿孔作業の準備も短時間で済む。
【0033】
また、この連結ベース31には真空ボルト14が挿通可能な連結長孔31LXを形成するとともに、連結長孔31LX及びドリル側長孔21LXに挿通可能な連結ボルト32を用いる。このため、固定ユニット10とドリルユニット20との連結の態様は、連結ベース31を介するものと、連結ベース31を介さずに、真空ボルト14とドリル側長孔21LXとによって直接連結するものと、を選択することができる。したがって、本発明によれば、手持ちのドリルユニット20や手持ちの固定ユニット10に適した連結ベース31を導入することにより、あらゆる場所における穿孔作業やその準備に要する時間の短縮化が可能となる。
【0034】
なお、突起32Tの寸法は、固定面Fに連結ボルト32を載置した際、突起32Tが連結長孔31LXに挿入される程度の長さでもよいし、突起32Tが連結長孔31LXから退避されている程度のものでもよい。例えば、突起32Tと連結長孔31LXの側面とが係合する状態と、係合が解除された状態の間で切替を行いたい場合には、後者が好ましい。係る場合には、連結ボルト32の持ちあげ高さに応じて、突起32Tと連結長孔31LXの側面とが係合する状態と、係合が解除された状態と、の間で切替を行うことができる。
【0035】
上記実施形態では、連結ベース31をX方向へ移動させたが本発明はこれに限られず、真空ボルト14の軸周りにおける連結ベース31の回動(図8)や、真空ボルト14の軸周りにおける連結ベース31の回動(図示省略)を行ってもよいし、これらの回動の組み合わせをX方向への移動とともに行ってもよい。
【0036】
上記実施形態では、連結ボルト32が挿入される孔と真空ボルト14が挿入される孔とが一体となって1つの長孔を形成したが、本発明はこれに限られない。例えば、図9に示すように、連結ベース31には、連結ボルト32が挿入される連結ボルト用長孔31DXと、真空ボルト14が挿入される真空側ボルト用長孔31VXと、を個別に設けてもよい。また、連結ボルト用長孔31DXと真空側ボルト用長孔31VXとのうち少なくとも一方が長孔であってもよい。
【0037】
上記実施形態では、延設部32Eの形成位置は、軸部32Aの端部としたが、本発明はこれに限られない。組立作業等の問題が無ければ、延設部32Eの形成位置を軸部32Aの中途部(図示省略)としてもよい。
【0038】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
2 穿孔装置
10 固定ユニット
11 真空ベース
12 パッキン
13 真空口
14 真空ボルト
15 真空ナット
20 ドリルユニット
21 ドリルベース
21LX ドリル側長孔
22 スタンド
23 アーム
24 ドリルヘッド
30 連結ユニット
31 連結ベース
31LX 連結長孔
32 連結ボルト
32A 軸部
32E 延設部
32T 突起
33 連結ナット
36 レベル調整用ナット
51 真空ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10