特許第6707277号(P6707277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6707277-LED照明装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707277
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/30 20200101AFI20200601BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20200601BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200601BHJP
【FI】
   H05B45/30
   F21S9/02 200
   F21Y115:10
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-148230(P2015-148230)
(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公開番号】特開2017-27901(P2017-27901A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北川 厚
【審査官】 大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−125709(JP,A)
【文献】 特開2013−073706(JP,A)
【文献】 特開2014−120316(JP,A)
【文献】 特開2007−318881(JP,A)
【文献】 特開2012−028292(JP,A)
【文献】 特開2013−235655(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0135000(US,A1)
【文献】 特開2010−166695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/30
F21S 9/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の商用電源からの電力でLEDを点灯させるLED照明装置であって、商用電源との間に設けられた点消灯用のスイッチのオンオフにかかわらず商用電源からの電力が入力され、その商用電力から1次電圧の直流電力を出力すると共にバックアップ電源を充電する電源部と、1次電圧の直流電力を昇圧してLEDを点灯させる定電流制御部と、上記バックアップ電源とこの定電流制御部との間に、1次電圧の直流電力が無ければオン状態となってバックアップ電源を定電流制御部に接続する開閉素子を設け、停電が発生していない状態では上記電源部が出力する1次電圧の直流電力によって開閉素子を強制的にオフ状態に保持して上記バックアップ電源を上記定電流制御部に対して遮断するとともに、この1次電圧の直流電力が消失すると開閉素子をオン状態して上記バックアップ電源に充電されている直流電力を上記定電流制御部に供給して、LEDの点灯を継続させる停電検知部とを備えたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
上記バックアップ電源は電気二重層コンデンサであることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光源としてLEDを用い、外部の商用電源からの電力でLEDを点灯させると共に、停電時に継続してLEDを点灯させるLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のLED照明装置では、停電時には外部からの電力供給が停止するので、外部からの電力が供給されている間に充電するバックアップ電源を備えている。そして、停電の発生を検知する停電検知部を備え、その停電検知部が停電の発生を検知すると、バックアップ電源に充電されている電力でLEDの点灯を継続させる。
【0003】
このように停電の発生を検知する必要があるが、その検知には、例えば、コンパレータを用いて、電源側の電圧が一定値以下に低下すると停電が発生したものと判断するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−226886号公報(段落0025)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記停電検知に用いられるコンパレータは、基準となる電圧と監視する電圧とを入力し、両電圧を比較することによって出力を反転させるものである。したがって、上記従来のLED照明装置のものも、基準となる電圧と電源からの電圧とを比較して、電源からの電圧が基準となる電圧より低下した際に停電が発生したものと判断している。
【0006】
ところが、停電になれば全ての電力供給が停止するので、基準電圧自体も消失することになる。そのため、基準電圧を作るためにバックアップ電源の電力を使わざるを得なくなる。ところが、バックアップ電源は停電時にLEDを点灯させるためのものであるにもかかわらず、その充電されている電力を基準電圧の生成のために使用すると、LEDを点灯させる時間が短くなるという不具合が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、コンパレータを用いることなく停電の発生を検知し、バックアップ電源に充電されている電力の全てをLEDの点灯に用いることのできるLED照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明によるLED照明装置は、外部の商用電源からの電力でLEDを点灯させるLED照明装置であって、商用電源との間に設けられた点消灯用のスイッチのオンオフにかかわらず商用電源からの電力が入力され、その商用電力から1次電圧の直流電力を出力すると共にバックアップ電源を充電する電源部と、1次電圧の直流電力を昇圧してLEDを点灯させる定電流制御部と、上記バックアップ電源とこの定電流制御部との間に、1次電圧の直流電力が無ければオン状態となってバックアップ電源を定電流制御部に接続する開閉素子を設け、停電が発生していない状態では上記電源部が出力する1次電圧の直流電力によって開閉素子を強制的にオフ状態に保持して上記バックアップ電源を上記定電流制御部に対して遮断するとともに、この1次電圧の直流電力が消失すると開閉素子をオン状態して上記バックアップ電源に充電されている直流電力を上記定電流制御部に供給して、LEDの点灯を継続させる停電検知部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
FET(電界効果トランジスタ)等の開閉素子を用いて、通常時はこの開閉素子によってバックアップ電源を定電流制御部に対して遮断しておくが、1次電圧の直流電力の消失をトリガにして、そのトリガで開閉素子をオンにすることによってバックアップ電源の電力を定電流制御部に供給する。
【0010】
なお、上記構成は、上記バックアップ電源が電気二重層コンデンサであるものに好適である。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、1次電圧の直流電力の消失をトリガにして開閉素子をオンにするので、コンパレータを用いる従来の構成のように、比較のための基準電圧を生成する必要がない。そのため、停電の発生を検知するためにバックアップ電源の電力を使用する必要がないので、バックアップ電源に充電されている電力の全てをLEDの点灯に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるLED照明装置の構成を示すブロック図
図2】停電検知部の具体的構成を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、1は外部の商用電源であり、100ボルトの交流電力を供給するものである。この商用電源1から点消灯用の壁スイッチ11を介して交流電力がスイッチ検知回路2に入力される。壁スイッチ11がオン状態にあると商用電源1からの交流電力がスイッチ検知回路2に入力されるので、スイッチ検知回路2は壁スイッチ11がオンになったことを検知することができ、逆にスイッチ検知回路2に交流電力の供給が停止すると壁スイッチ11がオフになったと判断する。
【0014】
3は電源部であり、上記壁スイッチ11のオンオフ状態の如何に関わらず、上記商用電源1からの交流電源が供給されるように配線されている。この電源部3は商用電源1からの100ボルトの交流電力を整流して1次電圧(VA)の直流電力に変換する。この1次電圧VAは例えば12ボルトである。また、この電源部3は電解二重層コンデンサからなるバックアップ電源31を充電する。なお、バックアップ電源31に充電されている電圧をVEとする。
【0015】
上記1次電圧VAの直流電力は定電流制御部4に入力される。この定電流制御部4は入力された12ボルト程度の直流電力を18ボルトほどに昇圧すると共に、LED5を所定の照度で点灯させるための一定電流をLED5に供給する。なお、商用電源1が作動し交流電力の供給が継続している状態では、壁スイッチ11がオンオフすることによってLED5は点消灯する。
【0016】
商用電源1からの交流電力の供給が停止する、すなわち停電が発生すると、壁スイッチ11のオンオフ状態の如何に関わらず、バックアップ電源31に充電されている電力でLED5を点灯させる。停電の発生は停電検知部6で検知する。この停電検知部6は停電が発生するとバックアップ電源31に充電されている電力を定電流制御部4に供給する。この停電検知部6の具体的な構成は図2に示す。
【0017】
1次電圧VAの直流電源が発生している状態ではFET62はオン状態になり、そのためトランジスタ63はオフ状態になる。そして、トランジスタ63がオフであると開閉素子であるFET61がオフになり、バックアップ電源31(VE)は定電流制御部4に対して隔絶されている。
【0018】
停電が発生すると1次電圧の直流電力の供給が停止するので、VAはゼロになる。すると、FET62はオフになる。このとき、バックアップ電源31の電圧VEは生きているので、トランジスタ63がオンになり、その結果開閉素子であるFET61がオンになる。すると、バックアップ電源31が定電流制御部4に対して接続されるので、バックアップ電源31に充電されている電力が定電流制御部4に流れてLED5を点灯させることになる。
上記実施の形態では、バックアップ電源31に電解二重層コンデンサを用いたが、電解二重層コンデンサは耐圧が比較的低いので、LED5の点灯に必要な18ボルトほどの電力を充電することができない。そのため、バックアップ電源31の充電電圧に近い1次電圧(VA)の直流電力を発生させ、定電流制御部4で18ボルト程度に昇圧するように構成した。
【0019】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0020】
1 商用電源
2 スイッチ検知回路
3 電源部
4 定電流制御部
5 LED
6 停電検知部
11 壁スイッチ
31 バックアップ電源
63 トランジスタ
図1
図2