特許第6707282号(P6707282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6707282-ホースと継手金具との接続方法 図000002
  • 特許6707282-ホースと継手金具との接続方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707282
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】ホースと継手金具との接続方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/20 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   F16L33/20
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-12960(P2016-12960)
(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公開番号】特開2017-133577(P2017-133577A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082027
【弁理士】
【氏名又は名称】竹安 英雄
(72)【発明者】
【氏名】平子 健志朗
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−75410(JP,A)
【文献】 特開2009−261744(JP,A)
【文献】 特開2007−71385(JP,A)
【文献】 特公昭52−13545(JP,B1)
【文献】 中国実用新案第2630608(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟なホース(1)の端末内に、継手金具(2)における外周に周方向に伸びる凹凸(6)を有する挿入部(3)を挿入し、前記ホース(1)の端末の外側に、環状に配置されたたて糸(7)と当該たて糸(7)対して螺旋状に織り込まれた合成樹脂の剛直なモノフィラメントよりなるよこ糸(8)とを織成してなる環状織物(4)を嵌合し、当該環状織物(4)を加熱して前記よこ糸(8)を収縮せしめることにより、前記継手金具(2)の挿入部(3)と前記環状織物(4)との間にホース(1)の端末を挟持することを特徴とする、ホースと継手金具との接続方法
【請求項2】
前記環状織物(4)のたて糸(7)が、低融点糸よりなることを特徴とする、請求項1に記載のホースと継手金具との接続方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防用ホースなどの柔軟なホースの端末に、継手金具を接続するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来消防用ホースなどの柔軟なホースに継手金具を接続するためには、特開2007−187271に記載されているように、継手金具における外周に凹凸を形成した挿入部をホースの端末に挿入し、そのホースの外側に金属リングを嵌合し、当該金属リングをかしめることにより、前記挿入部と金属リングとの間にホースの端末を挟圧する方法が知られている。
【0003】
またその他の方法としては、特開2009−207704に示されるように、前記継手金具の挿入部を挿入したホースの端末の外側に、金属の針金を巻回して締め付ける方法もよく行われている方法である。
【0004】
しかしながら前記金属リングをかしめる方法は、専用の工具が必要であってどこでも必要に応じて行うことができず、また針金を巻回する方法は熟練を要し、締め付けが不十分であると水圧によってホースから金具が抜ける危険があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−187271
【特許文献1】特開2009―207704
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、継手金具とホースとを極めて簡単に接続することができ、且つ特別な工具を必要とせず、またその接続に熟練を要することもなく、確実に接続できる方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して本発明は、柔軟なホースの端末内に、継手金具における外周に周方向に伸びる凹凸を有する挿入部を挿入し、前記ホースの端末の外側に、環状に配置されたたて糸と当該たて糸に対して螺旋状に織り込まれた合成樹脂の剛直なモノフィラメントよりなるよこ糸とを織成してなる環状織物を嵌合し、当該環状織物を加熱して前記よこ糸を収縮せしめることにより、前記継手金具の挿入部と前記環状織物との間にホースの端末を挟持することを特徴とするものである。本発明においては、前記環状織物のたて糸が、低融点糸よりなることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれは、ホースの端末に継手金具の挿入部を挿入し、その外側に環状織物を嵌合し、当該環状織物の周囲から適当な工業用ドライヤーなどで加熱するだけで接続することができ、特別な工具も熟練も必要なく、且つホースと継手金具とを確実に接続することができる。
【0009】
また環状織物のたて糸として低融点糸を使用することにより、環状織物を加熱することにより、たて糸の低融点糸が溶融して固化することにより、環状織物がほつれることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明において継手金具とホースと環状織物とを結合した状態を示す中央縦断面図
図2】本発明において環状織物を収縮せしめた状態を示す中央縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を図面に基づいて説明する。
図1はホース1の端末に継手金具2の挿入部3を挿入し、その外側に環状織物4を嵌合して、これら三者を結合した状態を示すものである。
【0012】
ホース1は消防用ホースなどの柔軟なものであって、たて糸とよこ糸とを織成してなるジャケットの内面に、ゴム又はプラスチックのライニングを施した、ホース単独では断面円形を保持し得ないものである。
【0013】
継手金具2は図面においては先端部に螺子5が切られており、当該螺子5により相手方の継手金具と接続するようになった螺子式の金具として描かれているが、これに限るものではなく、三鈎式などその他の形式の金具であっても良い。
【0014】
そしてその継手金具2の後部に、挿入部3が突設されている。この挿入部3の外面には周方向に伸びるタケノコ状の凹凸6が形成されており、この挿入部3が前記ホース1の端末に挿入されている。
【0015】
そしてこのホース1の端末の外側には、環状織物4が嵌合されている。この環状織物4は、環状に配置されたたて糸7と、当該たて糸7に対して螺旋状に織り込まれたよこ糸8とを筒状に織成したものであって、当該よこ糸8は合成樹脂の剛直なモノフィラメントよりなっている。
【0016】
当該よこ糸8のモノフィラメントは、直径1.6mm程度であることが適当であり、加熱することにより熱収縮を生じるものであることが必要である。好ましくは、180℃に加熱したときに、10%程度の熱収縮を生じるものが好ましい。なお、通常のポリエステルやポリアミドのモノフィラメントは、この程度の熱収縮を生じるものである。また前記たて糸7は、低融点糸よりなるものであることが好ましい。当該たて糸7の融点は、160℃程度が適当である。
【0017】
而してこの状態において、前記環状織物4を加熱すると、図2に示すように前記よこ糸8のモノフィラメントが熱収縮を生じて環状織物4の径が縮小し、継手金具2の挿入部3と環状織物4との間にホース1の端末を挟持する。
【0018】
これによりホース1の内面が継手金具2の挿入部3の凹凸6に食い込み、外側から環状織物4のモノフィラメントのよこ糸8により螺旋状に締め付けられるので、強固に結合されてホース1と継手金具2とが抜けることはない。
【0019】
環状織物4を加熱する手段としては、よこ糸8を構成するモノフィラメントが熱収縮を生じる程度の熱で十分であり、強力な工業用ドライヤーなどで環状織物4の周囲から熱風を当て、180℃程度に加熱するだけで十分である。
【0020】
また環状織物4のたて糸7が低融点糸よりなるときには、このときの熱により低融点糸が一部溶融し、よこ糸8を固着すると共に環状織物4全体が樹脂化して、ホース1を強力に締め付けて固定すると共に、低融点糸が溶融することにより環状織物4が固まり、ほつれることがない。
【0021】
本発明によれば、ホース1の端末に継手金具2の挿入部3を挿入し、その外側に環状織物4を嵌合し、当該環状織物4の周囲から工業用ドライヤーなどで加熱するだけで接続することができるのであって、特別な工具も熟練も必要なく、ホース1と継手金具2とを確実に接続することができる。
【0022】
口径40mmのホースの引張破断強度は約1tであり、引張試験においてホース1が破断するまで継手金具2との接続部が抜けることはなかった。またホース1の破断圧力(4.5MPa)の圧力を作用させても、継手金具2からホース1が抜けることはなく、また接続部から漏水はなかった。
【符号の説明】
【0023】
1 ホース
2 継手金具
3 挿入部
4 環状織物
6 凹凸
7 たて糸
8 よこ糸
図1
図2