特許第6707319号(P6707319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707319
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】付加製造システムおよび付加製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20200601BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20200601BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20200601BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200601BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200601BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20200601BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20200601BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20200601BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   B29C64/106
   B29C64/336
   B29C64/393
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B33Y50/02
   B33Y40/00
   B01F3/08 Z
   B01F5/00 A
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-111025(P2015-111025)
(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公開番号】特開2015-231741(P2015-231741A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2018年3月14日
(31)【優先権主張番号】62/009,525
(32)【優先日】2014年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ポール ハンバート
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー.ウェッソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エム.ウェルチ
【審査官】 一宮 里枝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−042712(JP,A)
【文献】 特表2003−519022(JP,A)
【文献】 米国特許第06454972(US,B1)
【文献】 特開2007−268988(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/171292(WO,A1)
【文献】 特開平01−232024(JP,A)
【文献】 特開2009−154049(JP,A)
【文献】 特表2011−511719(JP,A)
【文献】 特開2010−100805(JP,A)
【文献】 特開2007−261002(JP,A)
【文献】 特開平04−059342(JP,A)
【文献】 特表2013−517922(JP,A)
【文献】 米国特許第06129872(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0079841(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0140852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層ごとに構成要素を形成するための付加製造システムであって、
第1の材料をポンプ輸送するための第1のポンプと、
第2の材料をポンプ輸送するための第2のポンプと、
前記第1の材料および前記第2の材料を受容および混合して熱硬化性樹脂を形成するミキサーと、
前記熱硬化性樹脂を押し出すために前記ミキサーと流体連通するノズルと、
前記構成要素の層を形成するように前記ノズルを所定のパターンで移動させるために前記ノズルと接続された運動制御システムと、を備え
前記熱硬化性樹脂が堆積した後に硬化するように、前記ミキサー内における前記熱硬化性樹脂の滞留時間を制御するように構成された、システム。
【請求項2】
前記第1の材料は、樹脂を含み、前記第2の材料は、硬化剤を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の材料および前記第2の材料のうちの少なくとも一方が、充填剤、触媒、粘度調整剤、増粘剤、高温架橋剤、および促進剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の材料および前記第2の材料のうちの少なくとも一方が、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、粘土、酸化亜鉛、白金ベースの触媒、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、チョップドグラスファイバー、鉄ベースの強磁性ナノ材料、ニッケルベースの強磁性ナノ材料、およびセラミックのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ、ウレタン、およびアクリルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
第3の材料をミキサー内にポンプ輸送するための第3のポンプをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のポンプ、前記第2のポンプ、および前記第3のポンプは、シリンジポンプ、スクリューポンプ、または油圧ポンプ機構のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第3の材料は、充填剤、触媒、粘度調整剤、増粘剤、高温架橋剤、および促進剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記第3の材料は、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、粘土、酸化亜鉛、白金ベースの触媒、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、チョップドグラスファイバー、鉄ベースの強磁性ナノ材料、ニッケルベースの強磁性ナノ材料、およびセラミックのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記ノズルから押し出された前記熱硬化性樹脂にエネルギーを付与するエネルギー入力をさらに備え、
前記エネルギー入力は、熱気流、磁場、紫外線放射、赤外線放射、マイクロ波放射、および可視光のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のポンプおよび前記第2のポンプを駆動するための駆動機構をさらに備え、
前記駆動機構は、前記ミキサーにポンプ輸送される前記第1の材料と前記第2の材料との比率を制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記駆動機構は、前記第1のポンプを駆動するための第1の機構と、前記第2のポンプを駆動するための第2の機構と、を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のポンプは、第1の直径を有する第1の開口部を画定し、前記第1の開口部は、前記第1のポンプと前記ミキサーとの間に位置し、
前記第2のポンプは、第2の直径を有する第2の開口部を画定し、前記第2の開口部は、前記第2のポンプと前記ミキサーとの間に位置し、
前記第1の直径および前記第2の直径の相対的な大きさが、前記ミキサーにポンプ輸送される前記第1の材料と前記第2の材料との比率を制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記付加製造システムを囲む加熱されたチャンバをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記ミキサーは、熱交換器、冷却マニホールド、および遮熱材のうちの少なくとも1つを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
層ごとに構成要素を形成するための付加製造方法であって、
第1の材料を第1のポンプからミキサー内にポンプ輸送することと、
第2の材料を第2のポンプからミキサー内にポンプ輸送することと、
前記第1の材料および前記第2の材料を前記ミキサー内で混合して熱硬化性樹脂を形成することと、
ノズルを通して前記熱硬化性樹脂を押し出し、前記熱硬化性樹脂を所定のパターンで堆積させて構成要素の層を形成することと、
を含み、
前記熱硬化性樹脂は、該熱硬化性樹脂が堆積した後に硬化するように、前記ミキサー内での滞留時間が制御される、方法。
【請求項17】
前記ノズルからの前記熱硬化性樹脂の押し出しの間または後に、前記熱硬化性樹脂にエネルギーを投入することをさらに含み、
前記エネルギーは、熱気流、磁場、紫外線放射、赤外線放射、マイクロ波放射、および可視光のうちの少なくとも1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
駆動機構を用いて前記第1のポンプおよび前記第2のポンプを駆動することと、
前記駆動機構を用いて前記ミキサーにポンプ輸送される前記第1の材料と前記第2の材料との比率を制御することと、
をさらに備えた、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ノズルから押し出された前記熱硬化性樹脂を加熱することと、
熱交換器、冷却マニホールド、および遮熱材のうちの少なくとも1つを用いて前記ミキサーの加熱を防止することと、
をさらに備えた、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して付加製造の分野に関する。特に、本発明は、二液性熱硬化性樹脂を用いたポリマー付加製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造は、完成部品が、その部品の正確なデジタルモデルの対応する平断面と形状が同一な、材料の複数の薄層からなる層状構造によって形成されることにより特徴付けられる、製造方法のカテゴリーを指す。付加製造は、コンピュータ制御プロセスによって材料をワークステージに適用し、1つの層を形成するための適切なプロセスによって材料を統合することを含み得る。プロセスは、最終構成要素に到達するまで最高で数千回繰り返される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポリマー付加製造は、主に熱可塑性材料の使用に限定されている。ポリマー製造技術は、広い特性を有する部品を生成することができるが、多くの限界が存在する。具体的には、これらの技術を用いて作製される部品の使用は、大概が120℃未満の温度に限定されており、この温度域を広げる特殊な材料はわずかである。温度の限界は、構造特性が60〜80℃の範囲の温度で劣化する傾向がある可塑性材料を用いて印刷する場合により一層明白である。印刷温度にかかわらず、材料の軟化は、押出温度に近づくと起こるため、上限使用温度は押出温度よりも低くなる。高温熱可塑性プラスチックは問題を悪化させる。それらは高い軟化温度を有し得るが、高い溶融粘度および大きな温度勾配により部品中に大きな残留応力を残す。このことは、特に、部品が製造後に、より高い温度に曝露された場合に、反りのリスクを増大させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
層ごとに構成要素を形成するための付加製造システムは、第1の材料をポンプ輸送するための第1のポンプと、第2の材料をポンプ輸送するための第2のポンプとを含む。付加製造システムは、第1の材料および第2の材料を受容および混合して熱硬化性樹脂を形成するミキサーと、熱硬化性樹脂を押し出すためにミキサーと流体連通するノズルと、構成要素の層を形成するようにノズルを所定のパターンで移動させるためにノズルと接続された運動制御システムと、をさらに含む。
【0005】
層ごとに構成要素を形成する付加製造方法は、第1の材料を第1のポンプからミキサー内にポンプ輸送することと、第2の材料を第2のポンプからミキサー内にポンプ輸送することと、第1の材料および第2の材料をミキサー内で混合して熱硬化性樹脂を形成することと、を含む。この方法は、ノズルを通して熱硬化性樹脂を押し出し、熱硬化性樹脂を所定のパターンで堆積させて構成要素の層を形成することと、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】二成分熱硬化性樹脂を使用して部品を構築する付加製造システムの概略図である。
図2】付加製造システムの代替実施形態の概略図である。
図3】付加製造システムの代替実施形態の概略図である。
図4】付加製造システムの代替実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示される付加製造システムは、改善された強度および/または可塑性を有する部品の形成を可能にする一方で部品の動作可能な温度範囲も拡張する、二液性熱硬化性樹脂(two-part thermosetting resin)を使用した部品の積層構築を可能にする。付加製造システムは、要求に応じて二液性熱硬化性樹脂の2つの成分を混合するためにミキサーを使用する。システムは、樹脂が硬化する前にノズルを通して熱硬化性樹脂を押し出す。付加製造システムは、熱硬化性樹脂のミキサー内における滞留時間または残留時間を制御する能力に起因して、ノズルから出る二液性熱硬化性樹脂の一定の硬化状態を可能にする。付加製造システムは、熱硬化性樹脂の一定の硬化状態に起因して、構築される部品の寸法精度を改善する。付加製造システムは、2つの成分が混合されるまで材料が反応しないまたは硬化し始めないので、二液性熱硬化性樹脂の2つの成分の大きな貯蔵容器を含んでもよい。
【0008】
図1は、プラットフォームまたは支持面11上に構成要素12を構築する付加製造システム10の概略図である。付加製造システム10は、ノズル14、運動制御システム15、ミキサー16、溶剤供給部18、溶剤供給部20、バルブ22、バルブ24、開口部27を有するポンプ26、開口部29を有するポンプ28、バルブ30、バルブ32、駆動機構34、およびコントローラ35を含む。
【0009】
付加製造システム10は、二液性熱硬化性樹脂を用いて構成要素12を層ごとに構築する。ポンプ26は、二液性熱硬化性樹脂の一方の成分を貯蔵し、ポンプ28は、二液性熱硬化性樹脂の第2の成分を貯蔵する。一方の成分は樹脂材料であってもよく、第2の成分は硬化剤材料であってもよい。駆動機構34は、ポンプ26およびポンプ28を同時に駆動し、開口部27および開口部29を通して熱硬化性樹脂の2つの成分をミキサー16内にポンプ輸送する。駆動機構34は、ミキサー16内に流入する二液性熱硬化性樹脂の2つの成分の比率を制御すべく、ポンプ26およびポンプ28が異なる速度で駆動されるように、ポンプ26を駆動するための第1の機構と、ポンプ28を駆動するための第2の機構とを含んでもよい。開口部27および開口部29は、同じ直径を有してもよい。代替の実施形態において、開口部27および開口部29は、ミキサー16内に流入する二液性熱硬化性樹脂の2つの成分の比率を制御するために、異なる直径を有してもよい。ポンプ26およびポンプ28は、例えば、スクリューポンプ、シリンジポンプ、または油圧ポンプ機構であってもよい。ミキサー16が2つの成分を混合し、2つの成分が反応し始めて二液性熱硬化性樹脂を形成する。ミキサー16は、静的ミキサーまたは動的ミキサーであってもよい。
【0010】
二液性熱硬化性樹脂は、後にノズル14を通って押し出されて堆積し、構成要素12の層を形成する。ノズル14の直径は、0.1〜1.0ミリメートルであってもよい。ノズル14のより大きな直径は、構成要素12が迅速に構築されることを可能にし、より小さな直径は、構成要素12がより高い解像度で構築されることを可能にする。付加製造システム10は、二液性熱硬化性樹脂が硬化する前に、ノズル14を通して熱硬化性樹脂を押し出して堆積させる。二液性熱硬化性樹脂の2つの成分の分離に起因して、付加製造システム10は、熱硬化性樹脂のミキサー内における滞留時間または残留時間を制御し、付加製造プロセスを通してノズル14から出る二液性熱硬化性樹脂の一定の硬化状態を可能にする。プロセスは、構成要素12が完成するまで繰り返される。
【0011】
コントローラ35は、運動制御システム15、駆動機構34、ならびにバルブ22、24、30、および32を制御する。コントローラ35は、形成される各層の形状を定義するSTLファイル等の格納されたデータに基づいて、構成要素12の構築を制御する。運動制御システム15は、二液性熱硬化性樹脂を面11に堆積させて構成要素12の層を形成するために、面11に対するノズル14のx、y、およびz方向における相対的な動きを提供する。一実施形態において、運動制御システム15は、ノズル14を3方向に移動させることができる。代替の実施形態において、運動制御システム15は、面11をz方向に移動させることができ、ノズル14をxおよびy方向に移動させることができる。代替の実施形態において、運動制御システム15は、面11およびノズル14の動きをx、y、およびz方向のいずれの組み合わせにも制御することができる。他の代替の実施形態は、面11を回転させることができ、かつ、面11の法線に対するノズル14の角度を、面11またはノズル14の動きのいずれかによって制御することができるように、最大5つの運動制御軸の使用を含んでもよい。コントローラ35は、必要なときにバルブ22、24、30、および32を開閉するための信号を送信することができる。代替の実施形態において、バルブ22、24、30、および32は、手動で制御される。
【0012】
二液性熱硬化性樹脂は、エポキシであってもよい。代替の実施形態において、二液性熱硬化性樹脂は、ウレタンまたはアクリルであってもよい。代替の実施形態において、二液性樹脂の成分の一方または両方が1つ以上の添加剤を含んでもよい。添加剤は、充填剤、触媒、粘度調整剤、増粘剤、高温架橋剤、または促進剤であってもよい。より具体的には、添加剤は、下の表1に見られるように、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、粘土(Garamite(登録商標)等)、酸化亜鉛、白金ベースの触媒、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、チョップドグラスファイバー、鉄ベースの強磁性ナノ材料、ニッケルベースの強磁性ナノ材料、またはセラミックであってもよい。
【0013】
【表1】
【0014】
溶剤供給部18および溶剤供給部20は、ポンプ26およびポンプ28からの材料で付加製造システム10が詰まった場合に、付加製造システム10を洗い流すかまたは付加製造システム10の詰りを解消するために使用されてもよい。バルブ30およびバルブ32は、熱硬化性樹脂の2つの成分がポンプ26およびポンプ28から流出することを可能にし、ポンプ26およびポンプ28からの材料の流れを阻止するために閉鎖されてもよい。バルブ22およびバルブ24は、付加製造システム10を洗い流すために、溶剤供給部18および溶剤供給部20から付加製造システムに溶剤が流入することを可能にする。バルブ22、バルブ24、バルブ30、およびバルブ32は、逆止バルブ、手動バルブ、またはソレノイドバルブであってもよい。
【0015】
図2は、付加製造システム10の代替実施形態である付加製造システム110の概略図である。付加製造システム110は、プラットフォームまたは支持面111上に構成要素112を構築する。付加製造システム110は、ノズル114、運動制御システム115、ミキサー116、溶剤供給部118、溶剤供給部120、バルブ122、バルブ124、開口部127を有するポンプ126、開口部129を有するポンプ128、バルブ130、バルブ132、駆動機構134、コントローラ135、ポンプ140、バルブ142、および駆動機構144を含む。付加製造システム110は、違いがあるものの、図1を参照して示され、説明される付加製造システム10に類似する。例えば、付加製造システム110は、添加材料を貯蔵するポンプ140を含む。駆動機構134は、ポンプ140を駆動して添加材料をミキサー116内にポンプ輸送する。ミキサー116において、添加材料が二液性熱硬化性樹脂と混合される。添加材料は、充填剤、触媒、粘度調整剤、増粘剤、高温架橋剤、もしくは促進剤、または図1に関連して記載される任意の他の添加材料であってもよい。ポンプ140は、スクリューポンプ、シリンジポンプ、または油圧ポンプ機構であってもよい。バルブ142は、ポンプ140からミキサー116内に材料が流入するのを防止することができる。
【0016】
図3は、付加製造システム10の代替実施形態である付加製造システム210の概略図である。付加製造システム210は、プラットフォームまたは支持面211上に構成要素212を構築する。付加製造システム210は、ノズル214、運動制御システム215、ミキサー216、溶剤供給部218、溶剤供給部220、バルブ222、バルブ224、開口部227を有するポンプ226、開口部229を有するポンプ228、バルブ230、バルブ232、駆動機構234、コントローラ235、およびエネルギー入力246を含む。付加製造システム210は、違いがあるものの、図1を参照して示され、説明される付加製造システム10に類似する。例えば、付加製造システム210は、エネルギー入力246を含む。エネルギー入力246は、ノズル214から押し出されて堆積する二液性熱硬化性樹脂の硬化を促進することができる。
【0017】
エネルギー入力246は、二液性熱硬化性樹脂が硬化する速度を速めるために、ノズル214から出てくる二液性熱硬化性樹脂に向けて熱気流を提供することができる。代替の実施形態において、エネルギー入力246は、マイクロ波放射、紫外線放射、可視光、または赤外線放射等の電磁放射であってもよい。代替の実施形態において、二液性熱硬化性樹脂は、エネルギー入力246に曝露された場合に局所的な発熱を促進する添加剤を含んでもよい。添加剤は、図1を参照して記載されるいずれの材料であってもよい。例えば、フェライト等の磁性材料は、ノズル214から出てくる二液性熱硬化性樹脂を迅速に加熱するための誘導を可能にすることができる。カーボンブラックは、電磁放射のより効率的な吸収を可能にすることができる。
【0018】
図4は、付加製造システム10の代替実施形態である付加製造システム310の概略図である。付加製造システム310は、プラットフォームまたは支持面311上の構成要素312を構築する。付加製造システム310は、ノズル314、運動制御システム315、ミキサー316、溶剤供給部318、溶剤供給部320、バルブ322、バルブ324、開口部327を有するポンプ326、開口部329を有するポンプ328、バルブ330、バルブ332、駆動機構334、およびコントローラ335を含む。加熱された構築チャンバ348は、付加製造システム310を取り囲む。付加製造システム310は、違いがあるものの、図1を参照して示され、説明される付加製造システム10に類似する。例えば、加熱された構築チャンバ348は、付加製造システム310を取り囲む。
【0019】
加熱された構築チャンバ348は、二液性熱硬化性樹脂が硬化する速度を速めることができる。二液性熱硬化性樹脂が付加製造システム310を詰まらせるように硬化するのを防止するために、ミキサー316は、二液性熱硬化性樹脂がノズル314からの堆積前に加速速度で硬化するのを防止する、熱交換器、冷却マニホールド、または遮熱材を含んでもよい。ノズル314も、二液性熱硬化性樹脂がノズル314からの堆積前に加速速度で硬化するのを防止する、熱交換器、冷却マニホールド、または遮熱材を含んでもよい。
(可能な実施形態の考察)
以下は、本発明の可能な実施形態の包括的な説明である。
【0020】
層ごとに構成要素を形成するための付加製造システムは、考えられるものの中でもとりわけ、第1の材料をポンプ輸送するための第1のポンプと、第2の材料をポンプ輸送するための第2のポンプとを含む。付加製造システムは、第1の材料および第2の材料を受容および混合して熱硬化性樹脂を形成するミキサーと、熱硬化性樹脂を押し出すためにミキサーと流体連通するノズルと、構成要素の層を形成するようにノズルを所定のパターンで移動させるためにノズルと接続された運動制御システムと、をさらに含む。
【0021】
前の段落の付加製造システムは、以下の特徴、構成、および/または追加の構成要素のうちのいずれか1つ以上を、付加的にかつ/または代替的に、任意選択的に含むことができる。
【0022】
第1の材料は樹脂を含み、第2の材料は硬化剤を含む、上述の付加製造システムのさらなる実施形態。
【0023】
第1の材料および第2の材料のうちの少なくとも一方が、充填剤、触媒、粘度調整剤、増粘剤、高温架橋剤、および促進剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0024】
第1の材料および第2の材料のうちの少なくとも一方が、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、粘土、酸化亜鉛、白金ベースの触媒、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、チョップドグラスファイバー、鉄ベースの強磁性ナノ材料、ニッケルベースの強磁性ナノ材料、およびセラミックのうちの少なくとも1つをさらに含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0025】
熱硬化性樹脂が、エポキシ、ウレタン、およびアクリルのうちの少なくとも1つを含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0026】
第3の材料をミキサー内にポンプ輸送するための第3のポンプをさらに含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0027】
第1のポンプ、第2のポンプ、および第3のポンプが、シリンジポンプ、スクリューポンプ、または油圧ポンプ機構のうちの少なくとも1つを含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0028】
第3の材料が、充填剤、触媒、粘度調整剤、増粘剤、高温架橋剤、および促進剤のうちの少なくとも1つを含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0029】
第3の材料が、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、粘土、酸化亜鉛、白金ベースの触媒、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、チョップドグラスファイバー、鉄ベースの強磁性ナノ材料、ニッケルベースの強磁性ナノ材料、およびセラミックのうちの少なくとも1つをさらに含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0030】
システムが、ノズルから押し出された熱硬化性樹脂にエネルギーを付与するエネルギー入力をさらに含み、エネルギー入力が、熱気流、磁場、紫外線放射、赤外線放射、マイクロ波放射、および可視光のうちの少なくとも1つである、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0031】
システムが、第1のポンプおよび第2のポンプを駆動するための駆動機構をさらに含み、駆動機構が、ミキサーにポンプ輸送される第1の材料と第2の材料との比率を制御する、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0032】
駆動機構が、第1のポンプを駆動するための第1の機構と、第2のポンプを駆動するための第2の機構とを含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0033】
第1のポンプが、第1の直径を有する第1の開口部を画定し、第1の開口部は、第1のポンプとミキサーとの間に位置し、第2のポンプが、第2の直径を有する第2の開口部を画定し、第2の開口部は、第2のポンプとミキサーとの間に位置し;第1の直径および第2の直径の相対的な大きさが、ミキサーにポンプ輸送される第1の材料と第2の材料との比率を制御する、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0034】
システムが、付加製造システムを囲む加熱されたチャンバをさらに含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0035】
ミキサーが、熱交換器、冷却マニホールド、および遮熱材のうちの少なくとも1つを含む、上述の付加製造システムのうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0036】
層ごとに構成要素を形成する付加製造方法は、考えられるものの中でもとりわけ、第1の材料を第1のポンプからミキサー内にポンプ輸送することと、第2の材料を第2のポンプからミキサー内にポンプ輸送することと、第1の材料および第2の材料をミキサー内で混合して熱硬化性樹脂を形成することと、を含む。この方法は、ノズルを通して熱硬化性樹脂を押し出し、熱硬化性樹脂を所定のパターンで堆積させて構成要素の層を形成することと、をさらに含む。
【0037】
前の段落の付加製造方法は、以下の特徴、構成、および/または追加の構成要素のうちのいずれか1つ以上を、付加的にかつ/または代替的に、任意選択的に含むことができる。
【0038】
熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂が堆積した後に熱硬化性樹脂が硬化するようなミキサー内での滞留時間を有する、上述の付加製造方法のさらなる実施形態。
【0039】
ノズルからの熱硬化性樹脂の押し出しの間または後に、熱硬化性樹脂にエネルギーを投入することをさらに含み、エネルギーは、熱気流、磁場、紫外線放射、赤外線放射、マイクロ波放射、および可視光のうちの少なくとも1つである、上述の付加製造方法のうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0040】
駆動機構を用いて第1のポンプおよび第2のポンプを駆動することと、駆動機構を用いてミキサーにポンプ輸送される第1の材料と第2の材料との比率を調整することと、をさらに含む、上述の付加製造方法のうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0041】
ノズルから押し出された熱硬化性樹脂を加熱することと、熱交換器、冷却マニホールド、および遮熱材のうちの少なくとも1つを用いてミキサーの加熱を防止することと、をさらに含む、上述の付加製造方法のうちのいずれかのさらなる実施形態。
【0042】
好ましい実施形態を参照して本発明を記載してきたが、当業者は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、形式および詳細に変更が行われてもよいことを認識するであろう。
【符号の説明】
【0043】
10…付加製造システム
11…支持面
12…構成要素
14…ノズル
15…運動制御システム
16…ミキサー
18,20…溶剤供給部
22,24…バルブ
26,28…ポンプ
27,29…開口部
30,32…バルブ
34…駆動機構
35…コントローラ
図1
図2
図3
図4