(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
造影剤投与下での第1の撮像に基づいて生成される複数の画像データの画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、パラメータ画像を生成するパラメータ画像生成部と、
前記複数の画像データに関する前記第1の撮像よりも後にデバイス挿入下で行われる第2の撮像によりリアルタイムに得られる被検体のX線透視画像から前記デバイスを抽出したデバイス画像と、前記パラメータ画像の少なくとも一部を用いたロードマップ画像と、を合成した合成画像を生成して表示部に表示させる画像合成部と、
を備えた画像処理装置。
複数の画像データの画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、パラメータ画像を生成するパラメータ画像生成部と、
リアルタイムに得られる被検体のX線透視画像と、前記パラメータ画像の少なくとも一部を用いたロードマップ画像と、を合成した合成画像を生成して表示部に表示させる画像合成部と、
を備え、
前記画像合成部は、
前記被検体の部位に挿入されたデバイスの注目箇所の前記パラメータ画像上における位置を特定する位置特定部と、
前記パラメータ画像から、前記デバイスの注目箇所の位置のパラメータ値を含む所定の値域内のパラメータ値を有する画素を抽出する抽出部と、
前記パラメータ画像のうち、前記抽出部により抽出された画素に対応する部分画像を前記ロードマップ画像として生成し、リアルタイムに得られる前記被検体の前記X線透視画像と前記ロードマップ画像とを合成した合成画像を生成して前記表示部に表示させる合成画像生成部と、
を有する、
画像処理装置。
複数の画像データの画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、パラメータ画像を生成するパラメータ画像生成部と、
リアルタイムに得られる被検体のX線透視画像と、前記パラメータ画像の少なくとも一部を用いたロードマップ画像と、を合成した合成画像を生成して表示部に表示させる画像合成部と、
を備え、
前記画像合成部は、
前記被検体の部位に挿入されたデバイスの注目箇所の前記パラメータ画像上における位置を特定するとともに、前記パラメータ画像上における前記デバイスの目標位置の情報を取得する位置特定部と、
前記パラメータ画像から、前記デバイスの注目箇所の位置のパラメータ値から前記デバイスの目標位置のパラメータ値までのパラメータ値を有する画素を抽出する抽出部と、
前記パラメータ画像のうち、前記抽出部により抽出された画素に対応する部分画像を前記ロードマップ画像として生成し、リアルタイムに得られる前記被検体の前記X線透視画像と前記ロードマップ画像とを合成した合成画像を生成して前記表示部に表示させる合成画像生成部と、
を有する、
画像処理装置。
複数の画像データの画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、パラメータ画像を生成するパラメータ画像生成部と、
リアルタイムに得られる被検体のX線透視画像と、前記パラメータ画像の少なくとも一部を用いたロードマップ画像と、を合成した合成画像を生成して表示部に表示させる画像合成部と、
を備え、
前記画像合成部は、
前記被検体の部位に挿入されたデバイスの注目箇所の前記パラメータ画像上における位置を特定する位置特定部と、
前記パラメータ画像から、前記デバイスの注目箇所の位置を含む所定の領域内の画素を抽出する抽出部と、
前記パラメータ画像のうち、前記抽出部により抽出された画素に対応する部分画像を前記ロードマップ画像として生成し、リアルタイムに得られる前記被検体の前記X線透視画像と前記ロードマップ画像とを合成した合成画像を生成して前記表示部に表示させる合成画像生成部と、
を有する、
画像処理装置。
造影剤投与下での第1の撮像に基づいて生成される複数の画像データの画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、パラメータ画像を生成するパラメータ画像生成部と、
前記複数の画像データに関する前記第1の撮像よりも後にデバイス挿入下で行われる第2の撮像によりリアルタイムに得られる被検体のX線透視画像から前記デバイスを抽出したデバイス画像と、前記パラメータ画像の少なくとも一部を用いたロードマップ画像と、を合成した合成画像を生成して表示部に表示させる画像合成部と、
を備え、
前記パラメータ画像生成部は、
前記被検体の時系列的に連続した複数のDSA画像における画素ごとの時間濃度曲線にもとづいて画素ごとに前記血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、前記パラメータ画像を生成し、
前記画像合成部は、
前記複数のDSA画像の一部または全部、前記合成画像、前記X線透視画像または前記パラメータ画像に対して付されたアノテーションがあると、このアノテーションを前記合成画像に重畳して前記表示部に表示させる、
画像処理装置。
造影剤投与下での第1の撮像に基づいて生成される複数の画像データの画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、パラメータ画像を生成するパラメータ画像生成部と、
前記複数の画像データに関する前記第1の撮像よりも後にデバイス挿入下で行われる第2の撮像によりリアルタイムに得られる被検体のX線透視画像から前記デバイスを抽出したデバイス画像と、前記パラメータ画像の少なくとも一部を用いたロードマップ画像と、を合成した合成画像を生成して表示部に表示させる画像合成部と、
を備え、
前記パラメータ画像生成部は、
前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて、カラーマップにもとづいて各画素の画素値を決定することにより、前記パラメータ画像をカラー画像として生成し、かつ、
前記被検体の時系列的に連続した複数のDSA画像における画素ごとの時間濃度曲線にもとづいて画素ごとに前記血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、前記パラメータ画像を生成し、
前記画像合成部は、
前記合成画像に対し、前記被検体の部位が所定の前記複数のDSA画像を連続的に見せる動画像、または前記複数のDSA画像から生成された前記被検体の部位の血管が一様に造影された様子を示す造影静止画像、をさらに合成する、
画像処理装置。
造影剤投与下での第1の撮像に基づいて生成される複数の画像データの画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、前記血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、パラメータ画像を生成するパラメータ画像生成部と、
前記複数の画像データに関する前記第1の撮像よりも後にデバイス挿入下で行われる第2の撮像によりリアルタイムに得られる被検体のX線透視画像から前記デバイスを抽出したデバイス画像と、前記パラメータ画像の少なくとも一部を用いたロードマップ画像と、を合成した合成画像を生成して表示部に表示させる画像合成部と、
を備え、
前記パラメータ画像生成部は、
前記パラメータ値として、前記複数の画像データの画素ごとの時間濃度曲線にもとづいて各画素に造影剤が到達するまでの時間を用いた第1のパラメータ画像と、最大濃度到達時間を用いた第2のパラメータ画像と、をそれぞれ生成し、
前記画像合成部は、
ユーザの入力部を介した指示に応じて、または所定のタイミングごとに、前記被検体の前記X線透視画像と合成する前記ロードマップ画像を、前記第1のパラメータ画像にもとづくロードマップ画像と前記第2のパラメータ画像にもとづくロードマップ画像とで切り替える、
画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る画像処理装置
およびX線診断装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係るX線診断装置10の一例を示すブロック図である。
【0010】
X線診断装置10は、
図1に示すように、X線撮像装置11と画像処理装置12とを有する。X線診断装置10の撮像装置11は、通常は検査室に設置され、被検体Oに関する画像データを生成するよう構成される。画像処理装置12は、検査室に隣接する操作室に設置され、画像データにもとづく画像を生成して表示を行なうよう構成される。なお、画像処理装置12は、撮像装置11が設置される検査室に設置されてもよい。
【0011】
撮像装置11は、X線検出器13、X線源14、Cアーム15、インジェクタ16、寝台17、天板18およびコントローラ19を有する。
【0012】
X線検出器13は、寝台17の天板(カテーテルテーブル)18に支持された被検体Oを挟んでX線源14と対向配置されるようCアーム15の一端に設けられる。X線検出器13は、平面検出器(FPD:flat panel detector)により構成され、X線検出器13に照射されたX線を検出し、この検出したX線にもとづいてX線の投影データを出力する。この投影データはコントローラ19を介して画像処理装置12に与えられる。なお、X線検出器13は、イメージインテンシファイア、TVカメラなどを含むものであってもよい。
【0013】
X線源14は、Cアーム15の他端に設けられ、X線管球やX線絞りを有する。X線絞りは、たとえば複数枚の鉛羽で構成されるX線照射野絞りである。X線絞りは、コントローラ19により制御されて、X線管球から照射されるX線の照射範囲を調整する。
【0014】
Cアーム15は、X線検出器13とX線源14とを一体として保持する。Cアーム15がコントローラ19に制御されて駆動されることにより、X線検出器13およびX線源14は一体として被検体Oの周りを移動する。
【0015】
X線診断装置10の撮像装置11は、X線検出器13、X線源14およびCアーム15により構成されるX線照射系を2系統有するバイプレーン式であってもよい。バイプレーン式の撮像装置11を有する場合、X線診断装置10は、床置き式Cアームと、天井走行式Ωアームの2方向からX線ビームを個別に照射させて、バイプレーン画像(Frontal側画像およびLateral側画像)を取得することができる。なお、天井走行式Ωアームにかえて、天井走行式のCアームタイプのものを使用してもよい。
【0016】
インジェクタ16は、コントローラ19により制御されて、被検体Oの所定の部位(患部)に挿入されたカテーテル(カテーテルチューブ)を介して造影剤を注入する装置である。造影剤の注入および停止のタイミングならびに造影剤の濃度および注入速度はコントローラ19により自動制御される。なお、インジェクタ16はX線診断装置10とは異なる外部の孤立した装置として用意されてもよく、この場合X線診断装置10はインジェクタ16を備えない。また、インジェクタ16は、外部に用意されるか否かにかかわらず、コントローラ19の制御によらずともよく、たとえばインジェクタ16に備えられた入力部を介してユーザによる指示を受け付け、この指示に応じた濃度、速度、タイミングで造影剤を注入してもよい。
【0017】
寝台17は、床面に設置され、天板18を支持する。寝台17は、コントローラ19により制御されて、天板18を水平方向、上下方向に移動させたり回転(ローリング)させたりする。
【0018】
コントローラ19は、画像処理装置12により制御されて、X線検出器13やインジェクタ16を制御することにより、被検体OのX線透視撮影を実行して投影データを生成し、画像処理装置12に与える。たとえば、コントローラ19は、画像処理装置12により制御されて、造影剤投与前後の投影データをそれぞれ生成し、画像処理装置12に与える。
【0019】
また、X線診断装置10が回転DSA(Digital Subtraction Angiography)撮影可能に構成される場合は、コントローラ19は、画像処理装置12により制御されて、回転DSA撮影を実行して造影剤投与前後の投影データをそれぞれ生成し、画像処理装置12に与える。回転DSA撮影では、被検体Oの同一部位について造影剤の注入前の画像データ(マスク像データ)および造影剤の注入後の画像データ(コントラスト像データ)がそれぞれ生成される。回転DSA撮影可能な場合、X線診断装置10は、回転DSA撮影で得られたコントラスト像データおよびマスク像にもとづいて、3次元血管画像(3D血管像)を得ることも可能である。
【0020】
コントローラ19は、プロセッサおよび記憶回路を少なくとも有する。コントローラ19は、この記憶回路に記憶されたプログラムに従って画像処理装置12により制御されて、X線照射系を制御することにより被検体OのX線診断画像の透視撮像などを実行して画像データを生成し、画像処理装置12に与える。
【0021】
なお、
図1にはコントローラ19と画像処理装置12とが有線接続される場合の例について示したが、コントローラ19と画像処理装置12とはネットワーク100を介してデータ送受信可能に接続されてもよい。
【0022】
コントローラ19の記憶回路は、コントローラ19のプロセッサが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。また、コントローラ19の記憶回路は、撮像装置11の起動プログラム、撮像装置11の制御プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。なお、コントローラ19の記憶回路は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶回路内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0023】
一方、画像処理装置12は、
図1に示すように、ディスプレイ21、入力回路22、記憶回路23、ネットワーク接続回路24および処理回路25を有する。
【0024】
ディスプレイ21は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、処理回路25の制御に従って、処理回路25により生成されたロードマップ画像と透視画像との合成画像などを表示する。
【0025】
入力回路22は、たとえばトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を処理回路25に出力する。
【0026】
記憶回路23は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有する。これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介した通信によりダウンロードされるように構成してもよい。記憶回路23は、処理回路25に制御されて、たとえば撮像装置11から出力される画像データを記憶する。
【0027】
ネットワーク接続回路24は、ネットワーク100の形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続回路24は、この各種プロトコルに従ってX線診断装置10とモダリティ101などの他の装置とを接続する。ここでネットワーク100とは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、病院基幹LAN(Local Area Network)などの無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0028】
画像処理装置12は、ネットワーク100を介して接続されたモダリティ101や画像サーバ102から画像データを受けてもよい。この場合、モダリティ101から出力される医用画像データや再構成画像データは、ネットワーク100を介して受信されて記憶回路23に記憶される。モダリティ101は、たとえばX線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、X線診断装置などの医用画像診断装置であって、被検体(患者)の撮像により得られた投影データにもとづいて医用画像データを生成可能な装置により構成することができる。画像サーバ102は、たとえばPACS(Picture Archiving and Communication System:医用画像保管通信システム)に備えられる画像の長期保管用のサーバであり、ネットワーク100を介して接続されたモダリティ101で生成された医用画像データや再構成画像データなどを記憶する。
【0029】
処理回路25は、記憶回路23に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、同一血管の分岐と血管同士の交差との判別が容易な画像の表示を行う処理を実行するプロセッサである。
【0030】
図2は、処理回路25により実現される機能の一例を示すブロック図である。
【0031】
処理回路25は、少なくともDSA画像生成機能、パラメータ画像生成機能、撮像実行機能、透視画像生成機能およびPIロードマップ画像合成機能を実現する。PIロードマップ画像合成機能は、少なくとも位置特定機能、抽出機能および合成画像生成機能を有する。これらの各機能は、それぞれプログラムの形態で記憶回路23に記憶されている。
【0032】
DSA画像生成機能は、撮像実行機能を制御して、コントローラ19を介して撮像装置11を制御することにより、被検体Oの時系列的に連続した複数のDSA画像を生成する機能である。
【0033】
パラメータ画像生成機能は、被検体Oの時系列的に連続した複数のDSA画像における画素ごとの時間濃度曲線にもとづいて、画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値を求め、血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像を生成する機能である。
【0034】
撮像実行機能は、コントローラ19を介して撮像装置11を制御することにより、撮像装置11に被検体OのX線透視撮像を行わせる機能である。
【0035】
透視画像生成機能は、被検体OのX線透視撮像により得られた投影データにもとづいて透視像をリアルタイムに生成し、PIロードマップ画像合成機能を介してディスプレイ21に表示させる機能である。
【0036】
PIロードマップ画像合成機能は、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたロードマップ画像を生成し、リアルタイムに得られる被検体Oの透視像とロードマップ画像とを合成した合成画像を生成して、ディスプレイ21に表示させる機能である。以下の説明では、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いて生成されたロードマップ画像を、適宜PIロードマップ画像という。
【0037】
なお、PIロードマップ画像合成機能は、透視画像生成機能によりリアルタイムに生成されるX線透視画像を合成画像に用いる際に、階調変換しただけの透視像を用いてもよい。また、過去のX線透視像とサブトラクションし、デバイスを抽出した画像や、双方の画像を一定の割合で足し合わせた画像(以下、両画像を透視像と総称する)を用いてもよい。ここで、デバイスとは、被検体Oに挿入された治療デバイスであり、たとえばカテーテルやガイドワイヤなどをいう。本実施形態では、透視像と処理透視像を、適宜透視像と総称する。
【0038】
PIロードマップ画像合成機能の位置特定機能は、被検体Oの部位に挿入された治療デバイス(カテーテルなど)の注目箇所(たとえばカテーテルの先端やカテーテルに設けられたマーカなど)のパラメータ画像上における位置を特定する機能である。また、PIロードマップ画像合成機能の位置特定機能は、パラメータ画像上におけるデバイスの挿入目標位置(たとえば治療対象箇所の位置など)の情報を取得する機能である。デバイスの目標位置の情報は、入力回路22を介してユーザにより入力されてもよいし、あらかじめ記憶回路23に記憶されてもよい。以下の説明では、デバイスの注目箇所として、カテーテルの先端位置を用いる場合の例について示す。
【0039】
PIロードマップ画像合成機能の抽出機能は、デバイスの注目箇所の位置のパラメータ値を含む所定の値域内のパラメータ値を有する画素を抽出する機能である。
【0040】
また、抽出機能は、デバイスの注目箇所の位置のパラメータ値からデバイスの目標位置のパラメータ値までのパラメータ値を有する画素を抽出する機能を有する。この場合、抽出機能は、デバイスの注目箇所の位置に対応する画素から、デバイスの目標位置のパラメータ値に近づく方向に、画素を連続的にたどっていき、デバイスの目標位置に達するまでにたどった画素を抽出する機能を有するとよい。
【0041】
また、抽出機能は、デバイスの注目箇所の位置を含む所定の領域内の画素を抽出する機能およびデバイスの目標位置を含む所定の領域内の画素を抽出する機能を有する。
【0042】
PIロードマップ画像合成機能の合成画像生成機能は、パラメータ画像の少なくとも一部を用いてPIロードマップ画像を生成する機能である。具体的には、パラメータ画像そのもの、または、パラメータ画像のうち、抽出機能により抽出された画素に対応する部分画像を、PIロードマップ画像として生成する機能である。また、合成画像生成機能は、リアルタイムに得られる被検体Oの透視像とロードマップ画像とを合成した合成画像を生成して、ディスプレイ21に表示させる機能を有する。
【0043】
次に、本実施形態に係る画像処理装置12を含むX線診断装置10の動作の一例について説明する。
【0044】
図3は、
図1に示す処理回路25により、同一血管の分岐と血管同士の交差との判別が容易な画像の表示を行う際の手順の一例を示すフローチャートである。
図3において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0045】
まず、ステップS1において、処理回路25は、撮像実行機能により、コントローラ19を介して撮像装置11を制御することにより、造影剤を投与しながら被検体OのX線透視撮像を行う。
【0046】
次に、ステップS2において、処理回路25は、透視画像生成機能により、被検体OのX線透視撮像により得られた投影データにもとづいて透視像をリアルタイムに生成し、PIロードマップ画像合成機能を介してディスプレイ21に表示させる。
【0047】
次に、ステップS3において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能により、血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定されたパラメータ画像を記憶回路23から取得する。
【0048】
次に、ステップS4において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能により、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたロードマップ画像(パラメータ画像の少なくとも一部を用いたロードマップ画像)を生成し、リアルタイムに得られる被検体Oの透視像とPIロードマップ画像とを合成した合成画像を生成して、ディスプレイ21に表示させる。
【0049】
次に、ステップS5において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能により、合成画像の表示を終了するか否かを判定する。入力回路22を介してユーザによる終了指示を受けた場合や、他の画像を表示すべき場合などには、一連の手順は終了となる。一方、終了すべきでない場合は、ステップS4に戻る。
【0050】
以上の手順により、同一血管の分岐と血管同士の交差との判別が容易な画像の表示を行うことができる。
【0051】
ここで、本実施形態に係る血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像について説明する。
【0052】
図4は、血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定されたパラメータ画像について説明するための図である。
【0053】
パラメトリックイメージング(Parametric Imaging)は、たとえば、単数または複数のパラメータをカラーまたはグレースケールで画像化する処理である。パラメトリックイメージングは、広義には、透視画像生成機能により生成される透視像を含む。透視像の各画素の画素値は、パラメータとしてのX線透過率の値を示すからである。
【0054】
パラメトリックイメージングは、狭義には、透視像を元にして、X線透過率以外のパラメータの値を画素ごとに算出して、カラーマップまたはグレースケールマップにもとづいて、カラーまたはグレースケールで画像化する処理をいう。本実施形態では、狭義のパラメトリックイメージングについて説明する。また、以下の説明では、狭義のパラメトリックイメージングにより生成される画像をパラメータ画像という。
【0055】
図4の上段は、各時相のDSA画像を示し、
図4の下段は、一画素に着目した造影剤濃度の時間変化を示す曲線(時間濃度曲線)の一例を示す。
【0056】
たとえば、X線診断装置10の撮像により、同一の被検体Oの同一の撮像領域に対して、造影剤投与前の時刻t=0、造影剤投与後の時刻t=1、2、3、4、5で順に6のX線画像の投影データがDSA画像生成機能により生成される場合を考える。この場合、造影剤投与後の各X線画像から、t=0のX線画像(マスク画像)をそれぞれ差し引くことで、t=1、2、3、4、5にそれぞれ対応する5コマのDSA画像(差分画像)の画像データが得られる(
図4の上段参照)。
【0057】
なお、
図4の上段では、t=1を時相1(Time Phase 1)、t=2を時相2(Time Phase 2)としている(以下同様)。また、たとえば複数の血管が交差している領域では、造影剤の注入は1回でも、
図4の下段のように、造影剤濃度の複数の極大値が観察される場合もある。
【0058】
ここで、処理回路25は、パラメータ画像生成機能により、5コマのDSA画像を通して、画素ごとに画素値の時相変化(t=1〜5まで)を算出することで、画素ごとの時間濃度曲線を算出する。
図4の下段は、各DSA画像(この例では、画素数5×5)の左下の一画素に着目した造影剤の時間濃度曲線の一例であり、その縦軸は造影剤濃度(Intensity of Contrast Medium)を示し、その横軸は時相(経過時刻t)を示す。
【0059】
より詳細には、造影剤は、X線吸収率が体組織よりも高いので、造影剤濃度が高い位置に対応するX線検出素子の受線量は少なく、造影剤はX線画像において周囲よりも暗く投影される。DSA画像の各画素値は、(造影剤投与前の)マスク画像における同位置の画素値との差分であるから、同位置の一画素に着目し、この画素の画素値の時相変化に符号反転等の適切な処理を施せば、造影剤濃度の時間変化と等価になる。
【0060】
本実施形態において、パラメータ画像に用いられるパラメータは、血流の時間情報を示すパラメータである。血流の時間情報を示すパラメータとしては、たとえば
図4の下段に示すTTP(Time To Peak)やTTA(Time To Arrival)などが挙げられる。
【0061】
TTPは、造影剤濃度がピークに達する時相(最大濃度到達時間)をパラメータ値として持つパラメータである。また、TTAは、造影剤濃度の時間変化曲線において、造影剤濃度が閾値THを最初に超えた時相(たとえば各画素に造影剤が到達するまでの時間)をパラメータ値として持つパラメータである。
【0062】
続いて、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像の少なくとも一部を用いて生成されたPIロードマップ画像と、リアルタイムに得られる被検体Oの透視像とを合成して合成画像を生成する際の手順を説明する。
【0063】
図5は、
図3のステップS4でPIロードマップ画像合成機能により実行されるPIロードマップ画像合成処理の第1の手順の一例を示すサブルーチンフローチャートである。
【0064】
図6は、血管が造影剤により染まった画像を白抜きした画像をロードマップ画像として用いる従来のロードマップ画像(以下、透視ロードマップ画像という)の一例を示す説明図である。また、
図7は、
図5に示す第1のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像を用いた合成画像の一例を示す説明図である。
【0065】
いま、ユーザが血管に治療デバイスとしてカテーテル31を挿入し、カテーテルの先端32を、現在位置Pnから治療目的となる目標位置Ptまで移動させたいと所望している場合を考える。
【0066】
図6および
図7に示すように、透視像には、カテーテル31の先端32の画像が含まれる。このとき、
図6に示すように、従来の透視ロードマップ画像を用いた合成画像では、同一血管の分岐と血管同士の交差とを判別することが難しい(
図6の右図参照)。
【0067】
そこで、本実施形態に係る画像処理装置12は、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像の少なくとも一部を用いてPIロードマップ画像を生成して、リアルタイムに得られる被検体Oの透視像と合成した合成画像を生成する。
【0068】
図5に示す第1のPIロードマップ画像合成処理は、パラメータ画像の全部をPIロードマップ画像とする処理である。
【0069】
まず、ステップS11において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の合成画像生成機能により、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像の全部をPIロードマップ画像として生成し、リアルタイムに得られる被検体Oの透視像と合成して合成画像を生成する。
【0070】
次に、ステップS12において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の合成画像生成機能により、生成した合成画像をディスプレイ21に表示させ(
図7参照)、
図3のステップS5に進む。
【0071】
以上の手順により、パラメータ画像の全部をPIロードマップ画像とすることができる。
図7に示すように、第1のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像に示される血管画像は、血流の時間情報を示すパラメータ値に応じた画素値を有する。このため、PIロードマップ画像によれば、ユーザは、同一血管の分岐と血管同士の交差とを容易に判別することができる。
【0072】
なお、ステップS11において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の処理透視像生成処理により、透視像の1つからマスク画像を生成し、リアルタイムに生成される透視像からマスク画像をサブトラクション処理して処理透視像を生成して、この処理透視像を透視像として用いてもよい。なお、この処理透視像生成処理におけるマスク画像は、DSA画像生成において用いられる造影剤注入前のマスク画像とは異なる概念であることに注意されたい。
【0073】
図8は、
図3のステップS4でPIロードマップ画像合成機能により実行されるPIロードマップ画像合成処理の第2の手順の一例を示すサブルーチンフローチャートである。
図5と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
また、
図9は、
図8に示す第2のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像を用いた合成画像の一例を示す説明図である。
【0075】
図8に示す第2のPIロードマップ画像合成処理は、パラメータ画像のうち、デバイス(カテーテル)の注目箇所(先端)32の現在位置Pnのパラメータ値V(Pn)を含む所定の値域内(たとえばV(Pn)−α≦V≦V(Pn)+α、V(Pn)−α≦V、V(Pn)+αなど)のパラメータ値を有する画素に対応する部分画像をPIロードマップ画像とする処理である。
【0076】
ステップS21において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の位置特定機能により、被検体Oの部位に挿入されたカテーテル31の先端32のパラメータ画像上における位置を特定する。
【0077】
次に、ステップS22において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の抽出機能により、カテーテル31の先端32の現在位置Pnのパラメータ値V(Pn)を含む所定の値域内のパラメータ値を有する画素を抽出する(
図9の右図参照)。
【0078】
次に、ステップS23において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の合成画像生成機能により、パラメータ画像のうち、抽出機能により抽出された画素に対応する部分画像をPIロードマップ画像として生成し、リアルタイムに得られる被検体Oの透視像と合成して合成画像を生成する。
【0079】
以上の手順により、パラメータ画像のうち、カテーテル31の先端32の現在位置Pnのパラメータ値V(Pn)を含む所定の値域内のパラメータ値を有する画素に対応する部分画像をPIロードマップ画像とすることができる。
図9に示すように、第2のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像に示される血管画像では、カテーテル31の先端32の現在位置Pnのパラメータ値の近傍のパラメータ値を有する血管以外の血管が非表示となる。このため、第2のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像によっても、ユーザは、同一血管の分岐と血管同士の交差とを容易に判別することができる。
【0080】
図10は、
図3のステップS4でPIロードマップ画像合成機能により実行されるPIロードマップ画像合成処理の第3の手順の一例を示すサブルーチンフローチャートである。
図5および
図6と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0081】
また、
図11は、
図10に示す第3のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像を用いた合成画像の一例を示す説明図である。
【0082】
図10に示す第2のPIロードマップ画像合成処理は、パラメータ画像のうち、デバイスの注目箇所の現在位置Pnのパラメータ値V(Pn)からデバイスの目標位置Ptのパラメータ値V(Pt)までのパラメータ値を有する画素に対応する部分画像をPIロードマップ画像とする処理である。
【0083】
ステップS31において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の位置特定機能により、被検体Oの部位に挿入されたカテーテル31の目標位置Ptのパラメータ画像上における位置を特定する。
【0084】
次に、ステップS32において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の抽出機能により、カテーテル31の先端32の現在位置Pnのパラメータ値V(Pn)からデバイスの目標位置Ptのパラメータ値V(Pt)までのパラメータ値を有する画素を抽出する(
図11の右図参照)。
【0085】
以上の手順により、パラメータ画像のうち、カテーテル31の先端32の現在位置Pnのパラメータ値V(Pn)からデバイスの目標位置Ptのパラメータ値V(Pt)までのパラメータ値を有する画素に対応する部分画像を、PIロードマップ画像とすることができる。
図11に示すように、第3のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像に示される血管画像では、カテーテル31の先端32の現在位置Pnから目標位置Ptまでのパラメータ値範囲を有する血管以外の血管が非表示となる。このため、第3のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像によっても、ユーザは、同一血管の分岐と血管同士の交差とを容易に判別することができる。
【0086】
なお、
図8および
図10に示すようにパラメータ値の範囲を設定して画素を抽出する場合、注目血管の注目範囲以外に多くの血管が抽出される場合がある。そこで、パラメータ値の範囲を設定して画素を抽出する場合、抽出機能は、デバイスの注目箇所の位置に対応する画素から、デバイスの目標位置のパラメータ値に近づく方向に、血管にそって画素を連続的にたどっていき、パラメータ値の範囲の上限および下限やデバイスの目標位置に達するまでにたどった画素のみを抽出する機能をさらに有するとよい。
【0087】
図12は、
図3のステップS4でPIロードマップ画像合成機能により実行されるPIロードマップ画像合成処理の第4の手順の一例を示すサブルーチンフローチャートである。
図5および
図6と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0088】
また、
図13は、
図12に示す第4のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像を用いた合成画像の一例を示す説明図である。
【0089】
図12に示す第4のPIロードマップ画像合成処理は、デバイスの注目箇所の位置を含む所定の領域41内の画素に対応する部分画像をPIロードマップ画像とする処理である。所定の領域41は、デバイスの注目箇所の位置が含まれていればよく、その形状および範囲は
図12に示す例に限られない。
【0090】
ステップS41において、処理回路25は、PIロードマップ画像合成機能の抽出機能により、カテーテル31の先端32の現在位置Pnを含む所定の領域41内の画素を抽出する(
図13の右図参照)。なお、このとき抽出機能は、デバイスの目標位置を含む所定の領域内の画素もあわせて抽出してもよい。
【0091】
以上の手順により、パラメータ画像のうち、カテーテル31の先端32の現在位置Pnを含む所定の領域41内の画素に対応する部分画像を、PIロードマップ画像とすることができる。第4のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像に示される血管画像では、カテーテル31の先端32の現在位置Pnを含む所定の領域41の外にある血管が非表示となる。このため、第3のPIロードマップ画像合成処理により生成されるPIロードマップ画像によっても、ユーザは、同一血管の分岐と血管同士の交差とを容易に判別することができる。
【0092】
なお、合成画像生成機能は、デバイスの注目箇所が属する血管の画素の透過度よりも、他の血管の画素の透過度のほうが高くなるように設定して合成画像を生成してもよい。また、第2−第4のPIロードマップ画像合成処理では、合成画像生成機能は、パラメータ画像のうち、PIロードマップ画像とした部分画像以外について、当該部分画像と表示態様をかえて、合成画像にさらに合成してもよい。この場合、たとえばパラメータ画像のうち、PIロードマップ画像とした部分画像を通常のカラー表示とする一方、部分画像以外のパラメータ画像の透過度を当該部分画像の透過度よりも高くした上でカラー表示してもよい。
【0093】
また、第2−第4のPIロードマップ画像合成処理では、合成画像生成機能は、合成画像の領域のうち、PIロードマップ画像とした部分画像以外の領域に、従来の透視ロードマップ画像をさらに合成してもよい。一例として、
図13の右図には、PIロードマップ画像とした部分画像をカラー画像とするとともに、部分画像以外の領域に、従来の透視ロードマップ画像を白黒画像としてさらに合成した合成画像を示した。この種の合成画像は(
図13の右図参照)、カラー表示される部分が少なくなるため、従来の白黒の透視ロードマップ画像に馴染みのあるユーザにとって受け入れやすいものであるといえる。透視ロードマップ画像としては、血管が一様に造影された様子を示す造影静止画像やその白抜き画像をロードマップ画像として用いてもよいし、造影XA画像の動画像や複数のDSA画像を連続的に見せる動画像を用いてもよい。
【0094】
第2−第4のPIロードマップ画像合成処理では、カテーテル31の先端32の軌跡がわかりやすくなるよう、たとえばカテーテル31の先端32が通った血管部分の画像については常にPIロードマップ画像の一部として合成されてもよい。
【0095】
図14は、合成画像にアノテーションを重畳する場合の一例を示す説明図である。
図14において、Target、Direction、X印や矢印などの記号は、それぞれ画像に付加されたアノテーションの一例を示す。
【0096】
図14に示すように、画像合成機能は、複数のDSA画像の一部または全部、合成画像、X線透視画像またはパラメータ画像に対して付されたアノテーションがあると、このアノテーションを合成画像に重畳してディスプレイ21に表示させてもよい。この場合、ユーザは、カテーテル手技中に入力回路22を介してアノテーションを付加し、このアノテーションを容易にPIロードマップ画像に重畳させることができる。このため、ユーザはアノテーションを確認しながら、より正確なカテーテル操作を行うことができる。
【0097】
続いて、PIロードマップ画像合成処理に先立って行われるパラメータ画像の生成処理について簡単に説明する。
【0098】
図15は、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像の生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0099】
まず、ステップS51において、処理回路25は、DSA画像生成機能により、撮像実行機能を制御して、造影剤の注入前の画像データ(マスク像データ)を取得し、記憶回路23に記憶させる。
【0100】
次に、ステップS52において、処理回路25は、DSA画像生成機能により、インジェクタ16に対して被検体Oへの造影剤の注入を開始させる。
【0101】
次に、ステップS53において、処理回路25は、DSA画像生成機能により、造影剤の注入開始から一定時間経過後、マスク像撮像と同一のX線照射条件に従って、時系列的に連続した複数の撮影を行い、得られた複数の画像データ(コントラスト像データ)を記憶回路23に記憶させる。その後、DSA画像生成機能はインジェクタ16に対して被検体への造影剤の注入を停止させる。
【0102】
次に、ステップS54において、処理回路25は、DSA画像生成機能により、マスク像データおよび複数のコントラスト像データを画像メモリから読み出し、複数のコントラスト像データのそれぞれからマスク像データをサブトラクションすることにより、被検体Oの時系列的に連続した複数のDSA画像を生成する(
図4参照)。
【0103】
次に、ステップS55において、処理回路25は、パラメータ画像生成機能により、被検体Oの時系列的に連続した複数のDSA画像における画素ごとの時間濃度曲線にもとづいて、画素ごとに血流の時間情報を示すパラメータ値(たとえばTTA、TTPなど)を求め、血流の時間情報を示すパラメータ値に応じて各画素の画素値を決定することにより、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像を生成する。
【0104】
以上の手順により、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像を生成することができる。ここではDSA画像を用いてパラメータ画像を生成する場合の例について説明したが、パラメータ画像は、造影剤注入後の画像のみから生成されてもよい。パラメータ画像を造影剤注入後の画像のみから生成する場合、マスク像データは不要である。
【0105】
なお、リアルタイムでコントラスト像の撮像を実行しながら、DSA画像とパラメータ画像をリアルタイムに順次生成して更新表示してもよい。ただし、DSA画像とパラメータ画像をリアルタイムに順次生成する場合、TTPをパラメータとして用いるときは、厳密には、透視が終了しないとピークの時相を決定できない。最後の時相でピーク濃度となる場合もあり得るからである。一方、造影剤投与後の全時相のX線画像の撮像が終了後の処理であるポストプロセスの場合、TTPの値は問題なく定められる。そこで、リアルタイムで透視を実行しながらDSA画像とパラメータ画像をリアルタイムに順次生成する場合、たとえば造影剤の時間濃度曲線における現時点までの範囲でのピークの時相にもとづいてTTPを定めてもよい。
【0106】
また、所定の閾値に基づくTTAをパラメータとしてリアルタイムの透視画像をリアルタイムでカラー化することにより、PIロードマップ画像を生成してもよい。これにより、造影剤投与に従って透視画像における血管が順次カラー化され、操作者は、即時に血管の分岐具合を参照することができる。
【0107】
また、リアルタイムでPIロードマップ画像を生成する場合は、必ずしもパラメータ画像を生成する必要はない。リアルタイムの透視画像に対し、TTA等のパラメータ値に基づくRGBの値を用いて順次カラー化していってもよい。
【0108】
本実施形態に係る画像処理装置12を含むX線診断装置10は、血流の時間情報を示すパラメータ値を用いたパラメータ画像にもとづいてPIロードマップ画像を生成して、リアルタイムに得られる被検体Oの透視像と合成した合成画像を生成することができる。PIロードマップ画像に示される血管画像は、血流の時間情報を示すパラメータ値に応じた画素値を有する。このため、本実施形態に係る画像処理装置12を含むX線診断装置10によれば、ユーザは、同一血管の分岐と血管同士の交差とを、容易に判別することができる。
【0109】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0110】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【0111】
たとえば、パラメータ画像生成機能によりTTAを用いたパラメータ画像とTTPを用いたパラメータ画像を作成しておいてもよい。この場合、画像合成機能は、ユーザの入力回路22を介した指示に応じて、または所定のタイミングごとに、透視像と合成するPIロードマップ画像を、TTAを用いたパラメータ画像とTTPを用いたパラメータ画像とで切り替えてもよい。
【0112】
また、画像合成機能は、ユーザの入力回路22を介した指示に応じて、または所定のタイミングごとに、透視像と合成する画像を、PIロードマップ画像と、従来の透視ロードマップ画像とで切り替えてもよい。
【0113】
また、パラメータ画像生成機能は、パラメータ画像として通常のカラーマップやグレースケールマップ、ルックアップテーブルなどを用いてカラー画像やグレースケール画像を生成してもよいが、これら以外の表示態様のパラメータ画像を生成してもよい。たとえば、パラメータ画像生成機能は、パラメータ画像としていわゆるCCC動画像(Circular Color Coding)を生成してもよい。CCC動画像を生成する場合、各画素において、血流のピークタイムにもとづいて閾値を設定して(たとえばピーク値に対して50%を閾値に設定して)、閾値を超えた時の経過時間をパラメータ値とする。そのパラメータ値にカラーを割り当て、各画素の色を決定する。連続的な色変化を持つカラーバーにもとづいて各画素の画素値を決定することで、各画素の色を順次変色させて表示し、動画表現を実現することができる。
【0114】
また、Cアーム15や寝台17、天板18などの移動を検知した場合、PIロードマップ画像合成機能は、現在表示している合成画像からPIロードマップ画像を自動的に非表示としてもよい。これは、PIロードマップ画像に対応するパラメータ画像を生成するためのDSA画像の撮像条件と、現在リアルタイムに生成されている透視像の撮像条件が異なってしまうことが明らかであるためである。一方、Cアーム15や寝台17、天板18などの移動を検知した場合であっても、Cアーム15、寝台17、天板18が角度を変えることなく平行移動し、撮像視野が回転移動することなく平行移動したときは、この平行移動に追従するようにPIロードマップ画像を移動させてもよい。
【0115】
また、撮像装置11は、X線検出器13およびX線源14を有して被検体OのX線透視撮像可能に構成されていればよく、Cアーム15は必須の構成ではない。
【0116】
また、本実施形態における処理回路25のパラメータ画像生成機能、PIロードマップ画像合成機能、位置特定機能、抽出機能および合成画像生成機能は、特許請求の範囲におけるパラメータ画像生成部、画像合成部、位置特定部、抽出部および合成画像生成部にそれぞれ対応する。
【0117】
また、本実施形態におけるコントローラ19および処理回路25に係る「プロセッサ」という文言は、たとえば、専用または汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(たとえば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路23に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0118】
なお、記憶回路23にプログラムを保存するかわりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成してもよい。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで各種機能を実現する。また、
図1には単一の処理回路25が各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路25を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、
図1の記憶回路23が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。