(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707324
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】衣類または衣類パーツのための胸部支持体
(51)【国際特許分類】
A41C 3/14 20060101AFI20200601BHJP
A41C 5/00 20060101ALI20200601BHJP
A41D 7/00 20060101ALI20200601BHJP
A41B 9/06 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
A41C3/14 B
A41C3/14 A
A41C5/00 C
A41D7/00 G
A41B9/06 D
【請求項の数】21
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-129787(P2015-129787)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2016-204806(P2016-204806A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月16日
(31)【優先権主張番号】14/687,852
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513049686
【氏名又は名称】クローバー ミスティック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLOVER MYSTIQUE CO. LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】イップ、クワン、イン
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭54−146146(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3173285(JP,U)
【文献】
特開2001−020116(JP,A)
【文献】
実開平05−089406(JP,U)
【文献】
特開2001−295107(JP,A)
【文献】
特開昭63−092702(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3159320(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/00−3/14
A41B 9/06
A41C 5/00
A41D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平面状主要面及び第2平面状主要面と第1曲率とを有する弾性材料片によって形成された細長い弾性材料の第1片と、
第3平面状主要面及び第4平面状主要面と前記第1曲率とは異なる第2曲率とを有する弾性材料片によって形成された細長い弾性材料の第2片と、
を備える胸部支持体であって、
前記細長い弾性材料の第1片は、前記細長い弾性材料の第2片と、前記細長い弾性材料の第1片の全長に沿って、固定係合されて接触されており、
前記細長い弾性材料の第1片及び前記細長い弾性材料の第2片は、固定係合され、前記細長い弾性材料の第1片の前記第1平面状主要面及び前記細長い弾性材料の第2片の前記第3平面状主要面のみを介して互いに接触し、結果としての胸部支持体は曲がった形状を形成するように強制され、この曲がった形状は更なる形状変化に対して弾性的である
ことを特徴とする衣類または衣類パーツのための胸部支持体。
【請求項2】
前記細長い弾性材料の第1片は、直線状であり、
前記細長い弾性材料の第2片は、円弧状である
ことを特徴とする請求項1に記載の胸部支持体。
【請求項3】
前記細長い弾性材料の第2片は、内側円弧状縁と外側円弧状縁とを有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の胸部支持体。
【請求項4】
前記細長い弾性材料の第1片は、前記細長い弾性材料の第2片の前記内側円弧状縁よりも短い
ことを特徴とする請求項3に記載の胸部支持体。
【請求項5】
前記細長い弾性材料の第1片の前記第1平面状主要面が、前記細長い弾性材料の第2片の前記第3平面状主要面と、固定係合されて接触されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の胸部支持体。
【請求項6】
前記細長い弾性材料の第1片は、エチレンビニルアセテート、圧縮ポリウレタン、圧縮繊維充填材、及び/または、弾性被覆繊維、からなっている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の胸部支持体。
【請求項7】
前記細長い弾性材料の第2片は、エチレンビニルアセテート、圧縮ポリウレタン、圧縮繊維充填材、及び/または、弾性被覆繊維、からなっている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の胸部支持体。
【請求項8】
前記細長い弾性材料の第1片と前記細長い弾性材料の第2片とは、同一の材料または異なる材料からなっている
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の胸部支持体。
【請求項9】
前記細長い弾性材料の第1片は、前記細長い弾性材料の第2片と、縫合及び/またはラミネート加工によって、固定係合されている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の胸部支持体。
【請求項10】
少なくとも一つの請求項1に記載の胸部支持体を含む、衣類または衣類パーツ。
【請求項11】
衣類または衣類パーツのための胸部支持体を形成する方法であって、
(a)第1平面状主要面及び第2平面状主要面と第1曲率とを有する細長い弾性材料の第1片を提供する工程と、
(b)第3平面状主要面及び第4平面状主要面と前記第1曲率とは異なる第2曲率とを有する細長い弾性材料の第2片を提供する工程と、
(c)前記細長い弾性材料の第1片を、前記細長い弾性材料の第2片と、前記細長い弾性材料の第1片の全長に沿って、固定係合して接触させ、前記細長い弾性材料の第1片及び前記細長い弾性材料の第2片を曲げて曲がった胸部支持体を形成し、結果としての胸部支持体は曲がった形状を形成するように強制され、この曲がった形状は更なる形状変化に対して弾性的となる、工程と、を備えたことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記細長い弾性材料の第1片は、直線状であり、
前記細長い弾性材料の第2片は、円弧状である
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記細長い弾性材料の第2片は、内側円弧状縁と外側円弧状縁とを有している
ことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記細長い弾性材料の第1片は、前記細長い弾性材料の第2片の前記内側円弧状縁よりも短い
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細長い弾性材料の第1片の前記第1平面状主要面が、前記細長い弾性材料の第2片の前記第3平面状主要面と、固定係合されて接触されている
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記細長い弾性材料の第1片は、エチレンビニルアセテート、圧縮ポリウレタン、圧縮繊維充填材、及び/または、弾性被覆繊維、からなっている
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記細長い弾性材料の第2片は、エチレンビニルアセテート、圧縮ポリウレタン、圧縮繊維充填材、及び/または、弾性被覆繊維、からなっている
ことを特徴とする請求項11乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記細長い弾性材料の第1片と前記細長い弾性材料の第2片とは、同一の材料または異なる材料からなっている
ことを特徴とする請求項11乃至17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記工程(c)において、前記細長い弾性材料の第1片は、前記細長い弾性材料の第2片と、縫合及び/またはラミネート加工によって、固定係合されている
ことを特徴とする請求項11乃至18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項11に記載の方法によって形成された少なくとも一つの胸部支持体を、衣類または衣類パーツの中に導入する工程
を備えたことを特徴とする、衣類または衣類パーツを形成する方法。
【請求項21】
前記少なくとも一つの胸部支持体は、前記衣類または衣類パーツの中に、型成形、縫合、及び/または、接着、によって導入される
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャー、裏地なしのブラジャー、水着、スポーツブラ、クロックトップ、スポーツトップ、寝間着、婦人用下着、性的衣類、矯正下着、コルセット、ウェディングドレス、及び、ブラジャーパッドを含むが、それらに限定されない、衣類または衣類パーツのための胸部支持体に関している。また、本発明は、そのような胸部支持体を有する衣類または衣類パーツ、そのような胸部支持体を形成する方法、及び、そのような胸部支持体を有する衣類または衣類パーツを形成する方法、に関している。
【背景技術】
【0002】
現存するブラジャーは、一般的に、着用者の胸部の支持を提供するためのパッドを有している。この目的のために、そのようなパッドは、通常、着用者の胸部の支持を提供すると共にその形状を強調するべく、下方側に沿って隣接する金属ワイヤまたはプラスチックワイヤが設けられている。しかしながら、そのような従来のブラジャーは、以下の欠点の1以上を有している。
(a)そのような金属ワイヤないしプラスチックワイヤは、通常、U型の形状であり、人体の水平面内での断面曲率に合致するような形状ではなく、着用者の体に適切にフィットしない。
(b)U型ワイヤは、着用者のあばら骨を押し付けたり着用者の脇の下の領域の肉に食い込んだりして、着用者に不快感を引き起こす。
(c)金属ワイヤは、洗浄および乾燥サイクル中に、ブラジャーにワイヤ通路を貫通させてしまう等、ブラジャーに深刻な損傷を引き起こし得るし、ブラジャーの側部や底部から貫通して着用者に怪我や不快感を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、前述の欠点が軽減され、少なくとも業界及び公衆に有用な代替品を提供できるような、衣類または衣類パーツのための胸部支持体、そのような胸部支持体を有する衣類または衣類パーツ、そのような胸部支持体を形成する方法、及び、そのような胸部支持体を有する衣類または衣類パーツを形成する方法、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の特徴によれば、第1平面状主要面と第1曲率とを有する弾性材料片によって形成された細長い弾性材料の第1片と、第2平面状主要面と前記第1曲率とは異なる第2曲率とを有する弾性材料片によって形成された細長い弾性材料の第2片と、を備え、前記細長い弾性材料の第1片は、前記細長い弾性材料の第2片と、少なくとも前記細長い弾性材料の第1片の長さの大部分に沿って、固定係合されて接触されていることを特徴とする衣類または衣類パーツのための胸部支持体、が提供される。
【0005】
本発明の第2の特徴によれば、第1平面状主要面と第1曲率とを有する弾性材料片によって形成された細長い弾性材料の第1片と、第2平面状主要面と前記第1曲率とは異なる第2曲率とを有する弾性材料片によって形成された細長い弾性材料の第2片と、を備え、前記細長い弾性材料の第1片は、前記細長い弾性材料の第2片と、少なくとも前記細長い弾性材料の第1片の長さの大部分に沿って、固定係合されて接触されていることを特徴とする衣類または衣類パーツのための少なくとも一つの胸部支持体、
を含む衣類または衣類パーツ、が提供される。
【0006】
本発明の第3の特徴によれば、(a)第1平面状主要面と第1曲率とを有する細長い弾性材料の第1片を提供する工程と、(b)第2平面状主要面と前記第1曲率とは異なる第2曲率とを有する細長い弾性材料の第2片を提供する工程と、(c)前記細長い弾性材料の第1片を、前記細長い弾性材料の第2片と、少なくとも前記細長い弾性材料の第1片の長さの大部分に沿って、固定係合して接触させる工程と、を備えたことを特徴とする、衣類または衣類パーツのための胸部支持体を形成する方法、が提供される。
【0007】
本発明の第4の特徴によれば、(a)第1平面状主要面と第1曲率とを有する細長い弾性材料の第1片を提供する工程と、(b)第2平面状主要面と前記第1曲率とは異なる第2曲率とを有する細長い弾性材料の第2片を提供する工程と、(c)前記細長い弾性材料の第1片を、前記細長い弾性材料の第2片と、少なくとも前記細長い弾性材料の第1片の長さの大部分に沿って、固定係合して接触させる工程と、を備えたことを特徴とする、衣類または衣類パーツのための胸部支持体を形成する方法、によって形成された少なくとも一つの胸部支持体を、衣類または衣類パーツの中に導入する工程を備えたことを特徴とする、衣類または衣類パーツを形成する方法、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、各々が本発明による衣類または衣類パーツのための胸部支持体を含む、2つのブラジャーパッドの正面図である。
【
図2】
図2は、
図1の2つのブラジャーパッドの内側図である。
【
図3】
図3は、着用者の胸部を支持するものとして示された、
図1のブラジャーパッドのうちの1つの側方断面図である。
【
図4】
図4は、本発明による2つの胸部支持体を作成するための、円弧状の細長い弾性材料の2つの片と、直線状の細長い弾性材料の2つの片と、を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明による胸部支持体を形成するための、互いに接触状態にある、
図4の、直線状の細長い弾性材料の片の1つと、円弧状の細長い弾性材料の片の1つと、を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明による第1の胸部支持体を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明による第2の胸部支持体を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明による胸部支持体の上方斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明による別の胸部支持体の上方斜視図である。
【
図10】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【
図11】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【
図12】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【
図13】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【
図14】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【
図15】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【
図16】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【
図17】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【
図18】
図1の2つのブラジャーパッドを製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、それぞれ全体に符号10a、10bとして示された、2つのブラジャーパッドの正面図である。
図2は、2つのブラジャーパッド10a、10bの内側図である。ブラジャーパッド10a、10bの各々には、それらの下方側11a、11bに沿って隣接する、本発明に従う胸部支持体12が固定的に埋め込まれている。
図3に更に詳細に示されている通り、2つのブラジャーパッド10a、10bを含むブラジャー(不図示)が着用者に着用される時、ブラジャーパッド10a内の胸部支持体12aを例に取れば、当該胸部支持体12aは、着用者の胸部(B)の下方にあって、それに対する支持を提供する。
【0010】
胸部支持体12aは、円弧状の細長い弾性材料の片14aと、直線状の細長い弾性材料の片16aと、からなっており、胸部支持体12bは、円弧状の細長い弾性材料の片14bと、直線状の細長い弾性材料の片16bと、からなっている。
図4は、円弧状の細長い弾性材料の2つの片14a、14bと、直線状の細長い弾性材料の2つの片16a、16bと、を示す上面図である。一方の直線状の細長い弾性材料16a、16bと、他方の(対応する)円弧状の細長い弾性材料14a、14bとは、曲率が異なっている。円弧状の細長い弾性材料の2つの片14a、14b及び直線状の細長い弾性材料の2つの片16a、16bの各々は、それぞれ、互いに平行な上方平面状主要面と下方平面状主要面とを有している。円弧状の細長い弾性材料14aは、当該円弧状の細長い弾性材料14aの上下面に隣接して、内側円弧状縁13aと外側円弧状縁15aとを有している。外側円弧状縁15aは、内側円弧状縁13aより長い。円弧状の細長い弾性材料14bは、当該円弧状の細長い弾性材料14bの上下面に隣接して、内側円弧状縁13bと外側円弧状縁15bとを有している。外側円弧状縁15bは、内側円弧状縁13bより長い。
【0011】
厳格には必要とされないが、円弧状の細長い弾性材料の片14aの内側円弧状縁13aは、直線状の細長い弾性材料の片16aの長さよりも、通常は長く、円弧状の細長い弾性材料の片14bの内側円弧状縁13bは、直線状の細長い弾性材料の片16bの長さよりも、通常は長い。
【0012】
円弧状の細長い弾性材料の2つの片14a、14b及び直線状の細長い弾性材料の2つの片16a、16bは、同一の材料または異なる材料からなっている。特には、それらは、エチレンビニルアセテート、圧縮ポリウレタン、圧縮繊維充填材、及び/または、弾性被覆繊維、からなっており、円弧状の細長い弾性材料の片14a、14b及び直線状の細長い弾性材料の片16a、16bは、曲線を形成するように曲げられるとき、弾性的である。更には、円弧状の細長い弾性材料の2つの片14a、14b及び直線状の細長い弾性材料の2つの片16a、16bは、それぞれ曲線形状に曲げられ得る一方で、それらはそのような曲げに対して弾性的であり、それらの上下面が平坦である安定的な元の形状に戻る傾向を有している。
【0013】
胸部支持体12aを形成するために、
図5に示すように、直線状の細長い弾性材料の片16aは、当該直線状の細長い弾性材料の片16aの下方平面状主要面が円弧状の細長い弾性材料の片14aの上方平面状主要面18と接触する、というように、円弧状の細長い弾性材料の片14a上に配置される。円弧状の細長い弾性材料の片14aと直線状の細長い弾性材料の片16aとは、縫合及び/またはラミネート加工によって、直線状の細長い弾性材料の片16aの長さの少なくとも大部分に沿って(たとえば全長に沿って)、互いに固定的に係合される。円弧状の細長い弾性材料の片14aの内側円弧状縁13aの長さと、直線状の細長い弾性材料の片16aの長さと、の差のために、結果としての胸部支持体12aは、曲線形状を形成するように強制され、更なる形状変化に対して弾性的である。更には、胸部支持体12aが
図6または
図7に示されるような曲線形状にある時、外力を受けない限り、それは当該安定的な曲線形状を維持するであろう。胸部支持体12がその形状(曲率)を変えるべく外力によって曲げられ得る一方で、当該外力が除去されると、それは安定的な曲線形状に戻るであろう。このような特性のために、胸部支持体12aは、当該胸部支持体12aを含む衣類または衣類パーツの着用者の胸部に支持を提供するであろう。
【0014】
結果としての胸部支持体12aの曲率は、円弧状の細長い弾性材料の片14aの曲率に主として依存する。従って、直線状の細長い弾性材料の片16aと円弧状の細長い弾性材料の片14aとからなっている胸部支持体12は、
図6に示されるような第1曲率であり得るし、
図7に示されるような第2曲率であり得る。それらは、円弧状の細長い弾性材料の片14aの曲率に依存する。この文脈において、本発明における「円弧状」という用語は、厳格な幾何学的な意味で理解されるべきでないことが、留意されるべきである。それは、したがって、円弧状の細長い弾性材料の片14aが正確な円周の一部形状である必要がなく、円弧の形状に大まかに似ていれば足りる、ということを意味する。
【0015】
図8は、胸部支持体12aを示しており、
図9は、胸部支持体12bを示しているが、いずれも水平面上に着座している。胸部支持体12a、12bは、それらの円弧状の細長い弾性材料の片14a、14bの外側円弧状縁15a、15bが水平面に接触していて、それらの円弧状の細長い弾性材料の片14a、14bの内側円弧状縁13a、13b水平面上方に当該水平面から離れている、というように水平面上に安定的に着座可能であるという弾性を有している、ことが見出だされる。
【0016】
図10乃至
図18は、本発明に従って
図1の2つのブラジャーパッド10a、10bを製造する方法を示している。
図10は、繊維材料の層104と、フォーム材料の層106と、が互いに接着及び/または熱ラミネート加工によって固定的に係合されてなる前駆材料の第1片102、及び、フォーム材料の層110と、繊維材料の層112と、が互いに接着及び/または熱ラミネート加工によって固定的に係合されてなる前駆材料の第2片108、を示している。
【0017】
図11に示すように、前駆材料の第1片102が、(圧力によって、好適には更に熱を伴って)成形処理されるべき成形型の上モールドM1と下モールドM2との間に載置されて、
図13に示されるように、少なくとも2つのカップ型部を形成される。同様に、
図12に示すように、前駆材料の第2片108が、(圧力によって、好適には更に熱を伴って)成形処理されるべき上モールドM1と下モールドM2との間に載置されて、
図13に示されるように、少なくとも2つのカップ型部を形成される。
【0018】
図14に示されるように、接着剤の層114が、成形された前駆材料の第1片102のフォーム材料の層106に塗布される。それは、ブラジャーパッド10a、10bが正規に組み立てられる時、成形された前駆材料の第2片108に接触する。代替的または追加的に、接着剤の層が、成形された前駆材料の第2片108のフォーム材料の層110に塗布される。それは、ブラジャーパッド10a、10bが正規に組み立てられる時、成形された前駆材料の第1片102に接触する。
【0019】
胸部支持体12a、12bは、その後、
図15に示されるように、成形された前駆材料の第2片108上に載置される。更に、
図16に示されるように、成形された前駆材料の第1片102と成形された前駆材料の第2片108とが、それらの間に胸部支持体12a、12bが挟まれた状態で、圧力による好適には熱を更に伴う成形処理のため上モールドM1と下モールドM2との間に載置される。胸部支持体12a、12bは、
図16においては、成形された前駆材料の第2片108から離れて図示されているが、前述した通り、胸部支持体12a、12bは成形された前駆材料の第2片108上に載置されることが理解されるべきである。
【0020】
図17は、上モールドM1及び下モールドM2を有する成形型から解放された後、更に一体のラミネート材料116を形成するべく成形処理が行われる、それらの間に胸部支持体12a、12bが挟まれた状態の、成形された前駆材料の第1片102と成形された前駆材料の第2片108とを示している。ブラジャーパッド10a、10bは、
図18に示されるように、当該一体のラミネート材料116から切り出されることで形成される。
【0021】
ブラジャーパッド10a、10bは、ブラジャーを形成するために利用され得るし、他の衣類、例えば水着、に含まれることもできる。また、本発明は胸部支持体12a、12bが成形処理によってブラジャーパッド10a、10b内に含まれるという内容で説明されてきたが、胸部支持体12a、12bは縫合及び/または接着によってブラジャーパッド10a、10bに含まれ得る、ということが考えられる。更に、胸部支持体12a、12bは、成形処理、縫合及び/または接着によって、裏地なしのブラジャー、水着、スポーツブラ、クロックトップ、スポーツトップ、寝間着、婦人用下着、性的衣類、矯正下着、コルセット、ウェディングドレス、といった他の衣類や衣類パーツに直接的に含まれることもできる。
【0022】
それによって本発明が実施され得る前述の説明は、例示的なものであって、本発明の精神から離れることなく、それらに対する修正及び/または変更がなされ得ることが理解されるべきである。例えば、本発明は胸部支持体が直線状の細長い弾性材料の片と円弧状の細長い弾性材料の片とから形成されるという内容で説明されてきたが、胸部支持体が異なる曲率の円弧状の細長い弾性材料の2つの片から形成され得る、ということが考えられる。
【0023】
明確性のために別箇の実施形態の内容で説明された本発明の幾つかの特徴は、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の内容で説明された本発明の様々な特徴は、別々に、あるいは、好適なサブコンビネーションとして、提供されてもよい。