(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記規制部は、前記放熱板の露出面上に所定の容量の前記熱伝導材を介在させるための空間領域を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
前記排出溝は、前記封止体の前記冷却体と対峙する方向とそれぞれ直交する第1の方向、前記第1の方向とは異なる第2の方向、もしくは前記第1の方向および前記第2の方向とは異なる第3の方向の、少なくともいずれか一方向に設けられることを特徴とする請求項7に記載のパワーモジュール。
前記熱伝導材は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコ−ン樹脂、ウレタン樹脂、もしくはポリイミドのいずれかの有機物に、金属粉またはセラミックス粉が混合された合成樹脂であることを特徴とする請求項11に記載のパワーモジュール。
半導体デバイスと、前記半導体デバイスが接合された放熱板と、前記放熱板の少なくとも一部を露出させるようにして、前記半導体デバイスの外囲を封止する封止体とを備えるパワーモジュールを、熱伝導材を介して冷却体に接合するパワーモジュールの接合方法であって、
前記封止体は、前記冷却体に接合する側の第1面と、前記第1面とは反対側を向く第2面とを備え、
前記封止体の前記第1面から露出された前記放熱板を、前記熱伝導材を介して前記冷却体に接合する時、前記熱伝導材の厚さを前記封止体の前記第1面上に形成、または前記封止体で前記第1面上に形成された規制部によって規制し、
前記規制部は、前記放熱板の周囲を取り囲むように配置された平面視角形状または円形状を有する凸部であって、前記放熱板の露出面上に所定の容量の前記熱伝導材を埋設するための空間領域を形成するものであり、
前記凸部は、前記空間領域内で余剰となった前記熱伝導材を、前記空間領域外へと排出する排出溝を備えていることを特徴とするパワーモジュールの接合方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本実施の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、平面図、側面図、底面図、断面図などは模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0012】
また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置などを特定するものでない。実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
[比較例]
比較例に係るパワーモジュール1の側面構造は、
図1(a)に示すように表わされ、
図1(a)のパワーモジュールが接合される冷却器5の側面構造は、
図1(b)に示すように表わされる。また、パワーモジュールを冷却器に接合させた状態が、
図1(c)または
図1(d)に示すように表わされる。
【0014】
例えば、比較例に係るパワーモジュール1は、
図1(a)に示すように、リード端子3の部分を除き、半導体チップ(図示省略)の外囲がパッケージ2によってモールドされている。
【0015】
このパワーモジュール1は、半導体チップを冷却するために、
図1(b)に示すように、半導体チップの裏面に位置するヒートシンク(図示省略)を冷却器5に接触させるが、その際に、熱伝導材7を用いてヒートシンクと冷却器5との間を接合させるようにしている。
【0016】
すなわち、
図1(c)に示すように、熱伝導材7によって、ヒートシンクと冷却器5との間の空隙を均一に埋めることで、効率的な熱伝導を可能にしている。
【0017】
しかしながら、パワーモジュール1の放熱構造として、パッケージ2の底面より露出するヒートシンクの接合面に熱伝導材7を塗布し、この熱伝導材7を介してヒートシンクを冷却器5に接合する場合、
図1(d)に示すように、熱伝導材7の塗布量や接合時の加圧のアンバランスなどによって熱伝導材7の厚さが不均一になると、冷却性能が低下し、チップが過熱により破壊されるなど、パワーモジュール1としての信頼性を損う。
【0018】
[第1の実施の形態]
(パワーモジュールの構成)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール100の平面構造は、
図2(a)に示すように表わされ、パワーモジュール100の側面構造は、
図2(b)に示すように表わされ、パワーモジュール100の底面構造は、
図2(c)に示すように表わされる。
【0019】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール100は、
図2(a)〜
図2(c)に示すように、側面方向に延出されるリード端子102を除き、図示していない半導体チップ(半導体デバイス)の外囲がパッケージ(封止体)101によってモールドされている。
【0020】
また、パワーモジュール100は、
図2(c)に示すように、パッケージ101の底面より、例えば半導体チップを搭載するヒートシンク(放熱板)106cの、後述する冷却器(冷却体)110との接合面がほぼ全面的に露出されている。ヒートシンク106cは、少なくとも一部分だけが露出する構成であっても良い。
【0021】
また、パワーモジュール100は、
図2(b)および
図2(c)に示すように、冷却器110と対峙するパッケージ101の底面より露出するヒートシンク106cの露出面(接合面)側の周囲の、例えば四隅に、位置決め用突起部103および厚さ制御用突起部(凸部)104が設けられている。位置決め用突起部103は、厚さ制御用突起部104のほぼ中心部を貫通するようにして設けられる。もしくは、厚さ制御用突起部104が、位置決め用突起部103の外周を取り囲むようにドーナツ状に設けられる。
【0022】
位置決め用突起部103は、ヒートシンク106cを冷却器110に接合する際に、例えば冷却器110に予め用意される凹部(図示省略)に装着される凸形状を有し、この位置決め用突起部103をガイドとして、パワーモジュール100の冷却器110に対する位置決めが行われる。
【0023】
厚さ制御用突起部104は、ヒートシンク106cを、熱伝導材120を用いて冷却器110に接合する際の、熱伝導材120の厚さを規制する規制部として機能するもので、
図3(a)および
図3(b)に示すように、その高さ(厚み)に応じて、熱伝導材120の厚さが制御される。厚さ制御用突起部104は、位置決め用突起部103の外周を取り囲むほぼ円柱状(ドーナツ状)を有し、その厚みは、例えば0.1mm〜1.0mm程度の範囲とされている。
【0024】
また、厚さ制御用突起部104は、ヒートシンク106cと冷却器110との間に、その厚みに基づいて、所定の容量の熱伝導材120を介在させるための空間領域を仮想的に形成するようになっている。すなわち、ヒートシンク106cと冷却器110との相互間において、四隅に設けられた厚さ制御用突起部104によって囲まれた三次元の領域が、所定の容量の熱伝導材120を介在させるための仮想的な空間領域となる。ここで、所定の容量の熱伝導材120とは、空間領域内を空隙なく均一な高さで埋め込むのに必要な量の熱伝導材120のことである。
【0025】
すなわち、第1の実施の形態に係るパワーモジュール100は、図示していない半導体チップが接合されたヒートシンク106cと、ヒートシンク106cの少なくとも一部を露出させるようにして、半導体チップの外囲を封止するパッケージ101と、ヒートシンク106cを、熱伝導材120を用いて冷却器110に接合する際の、熱伝導材120の厚さを規制する厚さ制御用突起部104とを備える。
【0026】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール100の構成によれば、ヒートシンク106cを冷却器110に接合する際の、ヒートシンク106cと冷却器110との間の距離(熱伝導材120の厚さ)を、厚さ制御用突起部104の厚みに応じて制御できるようになるため、熱伝導材120の塗布量のばらつきや接合時の加圧のアンバランスなどによって熱伝導材120の厚さが不均一になるのを簡単に防止できる。
【0027】
(放熱構造/接合方法)
第1の実施の形態に係るパワーモジュール100を冷却器110に接合した放熱構造は、
図3(a)および
図3(b)に示すように表わされる。
【0028】
すなわち、第1の実施の形態に係るパワーモジュール100は、
図3(a)および
図3(b)に示すように、パッケージ101の冷却器110と対峙する底面の、表面側に半導体チップが搭載されたヒートシンク106cの裏面側の露出面に、所定の容量よりも少しだけ多めの熱伝導材120が塗布され、位置決め用突起部103によって冷却器110に対する位置決めが行われた状態で、冷却器110と接合される。
【0029】
第1の実施の形態に係るパワーモジュール100の接合方法は、半導体デバイス(半導体チップ)と、半導体デバイスが接合された放熱板(ヒートシンク)106cと、放熱板106cの少なくとも一部を露出させるようにして、半導体デバイスの外囲を封止する封止体(パッケージ)101とを備えるパワーモジュール100を、熱伝導材120を介して冷却体(冷却器)110に接合する。接合時、熱伝導材120の厚さを封止体101に形成、または封止体101で形成された規制部(厚さ制御用突起部)104によって規制する。
【0030】
厚さ制御用突起部104の上面が冷却器110の接合面に当接されることにより、ヒートシンク106cと冷却器110との間の空間領域内は、充分な量の熱伝導材120によって空隙なく均一な高さで埋め込まれ、また余剰となった熱伝導材121はヒートシンク106cの周囲(空間領域外)へと押し出される。
【0031】
このように、第1の実施の形態に係るパワーモジュール100は、半導体チップから発生した熱がヒートシンク106cから熱伝導材120を介して冷却器110へと効率的に伝導されることにより、効果的に放熱(冷却)される。
【0032】
すなわち、第1の実施の形態に係るパワーモジュール100によれば、
図3(a)および
図3(b)に示すように、ヒートシンク106cと冷却器110との間の距離を、厚さ制御用突起部104の厚みに応じて均一に制御できるようになる。これにより、パッケージ101の冷却器110と対峙する底面より露出するヒートシンク106cの接合面に熱伝導材120を塗布し、この熱伝導材120を介してヒートシンク106cを冷却器110に接合する場合にも、熱伝導材120の厚さが不均一になり、冷却性能が低下するのを防止できる。したがって、冷却(放熱)が充分に行われることとなり、チップが過熱により破壊されたり、配線が溶断されたりするのを抑制でき、より信頼性の高いパワーモジュール100とすることができる。
【0033】
ここで、パワーモジュール100に搭載される半導体チップとしては、例えばシリコンカーバイド(SiC:Silicon Carbide)パワーデバイスなどのパワーチップがあげられる。SiCパワーデバイスは、IGBTのような従来のSiパワーデバイスよりも低オン抵抗であり、高速スイッチングおよび高温動作特性を有する。また、SiCパワーデバイスは、オン抵抗が低いために面積の小さいデバイスでも大電流を導通することができ、SiCパワーモジュールの小型化が可能である。
【0034】
また、SiCパワーモジュールに限らず、IGBTモジュール、ダイオードモジュール、MOSモジュール(Si系MOSFET、SiC系MOSFET、GaN系FET)など、各種の半導体モジュールに適用できる。
【0035】
パッケージ101としては、熱硬化性樹脂などのトランスファーモールド樹脂によってモールドされたものに限らず、ケース型の外囲器であっても良い。
【0036】
熱伝導材120は、0.5W/mK〜300W/mKの熱伝導率を有するものが好ましく、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコ−ン樹脂、ウレタン樹脂、もしくはポリイミドなどのいずれかの有機物を単体で用いることができる。
【0037】
また、熱伝導材120としては、上記のいずれかの有機物に、金属粉または各種のセラミックス粉が混合された合成樹脂であっても良い。
【0038】
さらに、熱伝導材120としては、加熱硬化させて使用する各種の半田や焼成銀などを用いても良い。
【0039】
ヒートシンク106cは、例えば熱伝導性の高い金属を有したものであって、半導体チップが搭載されるリードフレーム(ダイパッド)や、銅、銅合金、アルミニウム、もしくはアルミニウム合金のいずれかを配線の主成分とする回路基板であっても良いし、またはリードフレームに接合されたヒートスプレッダなどであっても良い。また、ヒートシンク106cとしては、金属とセラミックスと金属との接合体からなる回路基板、あるいはDBC(Direct Bonding Copper)基板、DBA(Direct Brazed Aluminum)基板やAMB(Active Metal Brazed, Active Metal Bond)基板などの絶縁基板(回路基板)の、チップ非搭載面側の導体パターンにより構成することもできる。
【0040】
厚さ制御用突起部104としては、ドーナツ状か非ドーナツ状かによらず、外形は円柱状以外に、半円柱状や楕円柱状、もしくは三角型などの多角柱状であっても良い。
【0041】
位置決め用突起部103および厚さ制御用突起部104は、ヒートシンク106cの露出面側の四隅に配置する場合に限らず、ヒートシンク106cの露出面側の周囲に分散配置するようにしても良い。
【0042】
(変形例)
(第1変形例)
第1の実施の形態の第1変形例に係るパワーモジュール100Aの底面構造は、
図4(a)に示すように表わされ、ヒートシンク106cの露出面側の四隅を除く、周囲の各辺の中央付近のほぼ同一の位置に4つの位置決め用突起部103および厚さ制御用突起部(ドーナツ状)104が配置されている。
【0043】
なお、位置決め用突起部103および厚さ制御用突起部104は、配置する位置や個数に制限などはなく、熱伝導材120の厚さが不均一にならないよう、少なくとも3つのバランスを保って配置するようにすればよい。
【0044】
また、位置決め用突起部103および厚さ制御用突起部104は、必ずしも同一の位置に配置する場合に限らず、位置決め用突起部103と厚さ制御用突起部104とを異なる位置に配置するようにしても良い。
【0045】
(第2変形例)
第1の実施の形態の第2変形例に係るパワーモジュール100Bの底面構造は、
図4(b)に示すように表わされ、ヒートシンク106cの露出面側の四隅に4つの厚さ制御用突起部(非ドーナツ状)104が配置され、四隅を除く、周囲の各辺の中央付近のほぼ同一の位置に4つの位置決め用突起部103が配置されている。
【0046】
図示していないが、ヒートシンク106cの露出面側の四隅に4つの位置決め用突起部103を、四隅を除く、周囲の各辺の中央付近のほぼ同一の位置に4つの厚さ制御用突起部(非ドーナツ状)104を配置するようにしても良い。
【0047】
また、位置決め用突起部103および厚さ制御用突起部104は、4つずつ配置する場合に限らず、少なくとも3つの位置決め用突起部103および厚さ制御用突起部104のバランスを保って配置する構成としても良い。
【0048】
(第3変形例)
第1の実施の形態の第3変形例に係るパワーモジュール100Cの底面構造は、
図4(c)に示すように表わされ、ヒートシンク106cの露出面側の周囲の、例えば長手方向の両辺に沿って、位置決め用突起部103および厚さ制御用突起部(非ドーナツ状)104が交互に3つずつ配置されている。
【0049】
これら第1〜第3変形例に係るパワーモジュール100A・100B・100Cは、その他の構成において、上記した第1の実施の形態に係るパワーモジュール100と同様の構成を有しており、ほぼ同等の効果を得ることができる。
【0050】
また、いずれの構成においても、位置決め用突起部103は必須の構成要件ではなく、配置を省略することもできる。
【0051】
[第2の実施の形態]
(パワーモジュールの構成)
第2の実施の形態に係るパワーモジュール200の平面構造は、
図5(a)に示すように表わされ、パワーモジュール200の側面構造は、
図5(b)に示すように表わされ、パワーモジュール200の底面構造は、
図5(c)に示すように表わされる。
【0052】
第2の実施の形態に係るパワーモジュール200は、
図5(a)〜
図5(c)に示すように、側面方向に延出されるリード端子202を除き、図示していない半導体チップ(半導体デバイス)の外囲がパッケージ(封止体)201によってモールドされている。
【0053】
また、パワーモジュール200は、
図5(c)に示すように、パッケージ201の底面に形成された凹部207より、例えば半導体チップを搭載するヒートシンク(放熱板)206cの、後述する冷却器(冷却体)210との接合面がほぼ全面的に露出されている。ヒートシンク206cは、少なくとも一部分だけが露出する構成であっても良い。
【0054】
また、パワーモジュール200は、
図5(b)および
図5(c)に示すように、冷却器210と対峙するパッケージ201の底面の、ヒートシンク206cの露出面(接合面)の凹部207の周囲に、その露出面よりも突出するようにして、凸部状の厚さ制御用突起部(規制部)201aが設けられている。
【0055】
すなわち、厚さ制御用突起部201aは、パッケージ201の底面において、ヒートシンク206cの露出面が凹部207となるように、パッケージ201の底面の周囲をより肉厚に形成するようにしたものであって、その高さ(厚み)に基づいて、ヒートシンク206cと冷却器210との間に、所定の容量の熱伝導材220を埋設させるための空間領域が形成される。要するに、ヒートシンク206cと冷却器210との相互間において、厚さ制御用突起部201aのモールド面より落ち込むようにして、ヒートシンク206cの露出面に形成される凹部207が所定の容量の熱伝導材220を埋設させるための空間領域となる。
【0056】
厚さ制御用突起部201aとしては、ヒートシンク206cの露出面をほぼ矩形状(角形状)に取り囲み、その厚みは例えば0.1mm〜1.0mm程度の範囲とされている。
【0057】
また、接合時には、ヒートシンク206cと冷却器210との間の空間領域(凹部207)内が充分な量の熱伝導材220によって空隙なく均一な高さで埋め込まれるが、厚さ制御用突起部201aには、その際に余剰となった熱伝導材221を空間領域外へ排出するための排出溝205が設けられている。
【0058】
排出溝205は、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の長手方向の両辺の中央付近における厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、パッケージ201の短手方向(第1の方向)に沿って設けられ、余剰な熱伝導材221を排出するためのものであって、熱伝導材220中に含まれる気泡を抜き取る効果もある。
【0059】
第2の実施の形態に係るパワーモジュール200の構成によれば、ヒートシンク206cを冷却器210に接合する際の、ヒートシンク206cと冷却器210との間の距離(熱伝導材220の厚さ)を、厚さ制御用突起部201aのモールド面までの高さに応じて制御できるようになるため、熱伝導材220の塗布量のばらつきや接合時の加圧のアンバランスなどによって熱伝導材220の厚さが不均一になるのを簡単に防止できる。
【0060】
その他の構成は、上記した第1の実施の形態に係るパワーモジュール100と基本的に同様であり、ほぼ同等の効果が期待できる。
【0061】
(放熱構造/接合方法)
第2の実施の形態に係るパワーモジュール200を冷却器210に接合した放熱構造は、
図6(a)および
図6(b)に示すように表わされる。
【0062】
すなわち、第2の実施の形態に係るパワーモジュール200は、
図6(a)および
図6(b)に示すように、パッケージ201の冷却器210と対峙する底面の、表面側に半導体チップが搭載されたヒートシンク206cの裏面側の露出面を囲むように設けられた厚さ制御用突起部201aの内側の、ヒートシンク206c上の空間領域(凹部207)内に、所定の容量よりも少しだけ多めの熱伝導材220が埋設された状態で、冷却器210と接合される。
【0063】
厚さ制御用突起部201aのモールド面が冷却器210の接合面に当接されることにより、ヒートシンク206cと冷却器210との間の空間領域(凹部207)内は、充分な量の熱伝導材220によって空隙なく均一な高さで埋め込まれ、また余剰となった熱伝導材221は排出溝205から外部(空間領域外)へと排出される。
【0064】
このように、第2の実施の形態に係るパワーモジュール200は、半導体チップから発生した熱がヒートシンク206cから熱伝導材220を介して冷却器210へと効率的に伝導されることにより、効果的に放熱(冷却)される。
【0065】
すなわち、第2の実施の形態に係るパワーモジュール200によれば、
図6(a)および
図6(b)に示すように、ヒートシンク206cと冷却器210との間の距離を、厚さ制御用突起部201aのモールド面までの高さに応じて均一に制御できるようになる。これにより、パッケージ201の冷却器210と対峙する底面より露出するヒートシンク206cの接合面に熱伝導材220を埋設し、この熱伝導材220を介してヒートシンク206cを冷却器210に接合する場合にも、熱伝導材220の厚さが不均一になり、冷却性能が低下するのを防止できる。したがって、冷却(放熱)が充分に行われることとなり、チップが過熱により破壊されたり、配線が溶断されたりするのを抑制でき、より信頼性の高いパワーモジュール200とすることができる。
【0066】
厚さ制御用突起部201aおよび排出溝205を備えるパッケージ201は、モールド金型に簡単な細工を施す程度のことにより、容易に得ることができる。
【0067】
なお、凹部207は、
図6(a)および
図6(b)に示すように、パッケージ201の底面における、ヒートシンク206cの露出面側の開口部207aと厚さ制御用突起部201aのモールド面側の開口部207bとの間に所定の傾斜部を設けるようにしても良い。
【0068】
また、厚さ制御用突起部201aとしては、ヒートシンク206cの露出面側の周囲を四角形状に取り囲むように配置する場合に限らず、ヒートシンク206cの露出面側の周囲を楕円などのリング状(円形状)に取り囲むようにしても良い。
【0069】
排出溝205は、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の長手方向の両辺の中央付近のほぼ同一の位置に、パッケージ201の短手方向(第1の方向)に沿って1組だけ設ける場合に限らない。
【0070】
(変形例)
(第1変形例)
第2の実施の形態の第1変形例に係るパワーモジュール200Aの底面構造は、
図7(a)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Aは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の長手方向の両辺のヒートシンク206cの端部付近における厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、パッケージ201の短手方向(第1の方向)に沿って、ヒートシンク206c上の空間領域に達する2組の排出溝205が配置されている。
【0071】
(第2変形例)
第2の実施の形態の第2変形例に係るパワーモジュール200Bの底面構造は、
図7(b)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Bは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の長手方向の両辺の中央付近およびヒートシンク206cの端部付近における厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、パッケージ201の短手方向(第1の方向)に沿って、ヒートシンク206c上の空間領域に達する3組の排出溝205が配置されている。
【0072】
なお、パッケージ201の長手方向の両辺に配置される排出溝205を一組(一対)とし、それぞれ同数の排出溝205を配置する場合に限らず、長手方向の各辺に沿って配置する排出溝205の位置や個数は任意に異ならせることが可能である。
【0073】
(第3変形例)
第2の実施の形態の第3変形例に係るパワーモジュール200Cの底面構造は、
図7(c)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Cは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の短手方向の両辺の中央付近における厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、パッケージ201の長手方向(第2の方向)に沿って、ヒートシンク206c上の空間領域に達する1組の排出溝205が配置されている。
【0074】
(第4変形例)
第2の実施の形態の第4変形例に係るパワーモジュール200Dの底面構造は、
図8(a)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Dは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の短手方向の両辺のヒートシンク206cの端部付近における厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、パッケージ201の長手方向(第2の方向)に沿って、ヒートシンク206c上の空間領域に達する2組の排出溝205が配置されている。
【0075】
(第5変形例)
第2の実施の形態の第5変形例に係るパワーモジュール200Eの底面構造は、
図8(b)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Eは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の短手方向の両辺の中央付近およびヒートシンク206cの端部付近における厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、パッケージ201の長手方向(第2の方向)に沿って、ヒートシンク206c上の空間領域に達する3組の排出溝205が配置されている。
【0076】
なお、排出溝205は、パッケージ201の長手方向または短手方向のいずれか一方にだけ配置する場合に限らず、長手方向および短手方向の各辺に配置する構成とすることも可能である。
【0077】
(第6変形例)
第2の実施の形態の第6変形例に係るパワーモジュール200Fの底面構造は、
図8(c)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Fは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の長手方向の両辺の中央付近および短手方向の両辺の中央付近における厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、パッケージ201の短手方向(第1の方向)および長手方向(第2の方向)に沿って、ヒートシンク206c上の空間領域に達する排出溝205が1組ずつの配置されている。
【0078】
(第7変形例)
第2の実施の形態の第7変形例に係るパワーモジュール200Gの底面構造は、
図9(a)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Gは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の長手方向の両辺のヒートシンク206cの端部付近および短手方向の両辺のヒートシンク206cの端部付近における厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、パッケージ201の短手方向(第1の方向)および長手方向(第2の方向)に沿って、ヒートシンク206c上の空間領域に達する排出溝205が2組ずつ配置されている。
【0079】
なお、排出溝205は、パッケージ201の長手方向や短手方向に配置する場合に限らず、長手方向および短手方向とは異なる斜め方向(第3の方向)に配置する構成とすることも可能である。
【0080】
(第8変形例)
第2の実施の形態の第8変形例に係るパワーモジュール200Hの底面構造は、
図9(b)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Hは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201における厚さ制御用突起部201aの四隅のほぼ同一の位置に、ヒートシンク206c上の空間領域の四隅にそれぞれ達するように斜め方向に4つの排出溝205が配置されている。
【0081】
なお、排出溝205は、パッケージ201の長手方向または短手方向または斜め方向のいずれかに配置する場合に限らず、長手方向および短手方向および斜め方向に配置する構成とすることも可能である。
【0082】
(第9変形例)
第2の実施の形態の第9変形例に係るパワーモジュール200Iの底面構造は、
図9(c)に示すように表わされる。すなわち、パワーモジュール200Iは、冷却器210と対峙する方向と直交する水平方向の、例えば矩形状のパッケージ201の長手方向の両辺の中央付近と短手方向の両辺の中央付近と四隅とにおける厚さ制御用突起部201aのほぼ同一の位置に、ヒートシンク206c上の空間領域にそれぞれ達するように、長手方向と短手方向と斜め方向の排出溝205が配置されている。
【0083】
これら第1〜第9変形例に係るパワーモジュール200A〜200Iは、その他の構成において、上記した第2の実施の形態に係るパワーモジュール200と同様の構成を有しており、ほぼ同等の効果を得ることができる。
【0084】
なお、排出溝205をヒートシンク206cの角部に配置する場合には、角部に熱伝導材220が入りきらずに空気溜りを生ずるというような恐れが殆どなくなる。
【0085】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係るパワーモジュール300であって、ツーインワンモジュール(2in1Module:ハーフブリッジ内蔵モジュール)において、樹脂層(封止体)115を形成前の平面パターン構成は
図10に示すように表わされ、樹脂層115を形成後の鳥瞰構成は
図12に示すように表わされる。また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール300であって、半導体デバイスとして、SiC MOSFETを適用した
図10に対応したツーインワンモジュール(ハーフブリッジ内蔵モジュール)の回路構成は、
図11に示すように表わされる。
【0086】
第3の実施の形態に係るパワーモジュール300は、2個のMOSFET Q1・Q4が1つのモジュールに内蔵されたハーフブリッジ内蔵モジュールの構成を備える。
【0087】
ここで、モジュールは、1つの大きなトランジスタとみなすことができるが、内蔵されているトランジスタ(チップ)が1個または複数個の場合がある。すなわち、モジュールには、1in1、2in1、4in1、6in1などがあり、例えば、1つのモジュール上において、2個分のトランジスタを内蔵したモジュールは2in1、2in1を2組み内蔵したモジュールは4in1、2in1を3組み内蔵したモジュールは6in1と呼ばれている。
【0088】
図10においては、MOSFET Q1・Q4は、それぞれ4チップ並列に配置されている例が示されている。
【0089】
第3の実施の形態に係るパワーモジュール300は、
図12に示すように、樹脂層115に被覆されたセラミックス基板9の第1の辺に配置された正側電力端子Pおよび負側電力端子Nと、第1の辺に隣接する第2の辺に配置されたゲート端子GT1・ソースセンス端子SST1と、第1の辺に対向する第3の辺に配置された出力端子Oと、第2の辺に対向する第4の辺に配置されたゲート端子GT4・ソースセンス端子SST4とを備える。
【0090】
図10に示すように、ゲート端子GT1・ソースセンス端子SST1は、MOSFET Q1のゲート信号電極パターンGL1・ソース信号電極パターンSL1に接続され、ゲート端子GT4・ソースセンス端子SST4は、MOSFET Q4のゲート信号電極パターンGL4・ソース信号電極パターンSL4に接続される。
【0091】
図10に示すように、MOSFET Q1・Q4から信号基板124
1 ・124
4 上に配置されたゲート信号電極パターンGL1・GL4およびソースセンス信号電極パターンSL1・SL4に向けて、ゲート用分割リードフレーム24
1 ・24
4 およびソース信号用分割リードフレーム26
1 ・26
4 が接続される。また、ゲート信号電極パターンGL1・GL4およびソース信号電極パターンSL1・SL4には、外部取り出し用のゲート端子GT1・GT4およびソースセンス端子SST1・SST4が半田付けなどによって接続される。
【0092】
図10に示すように、信号基板124
1 ・124
4 は、セラミックス基板9上に、半田付けなどによって接続される。
【0093】
また、
図10〜
図12においては、図示していないが、MOSFET Q1・Q4のドレインD1・ソースS1間およびドレインD4・ソースS4間に逆並列にダイオードが接続されていても良い。
【0094】
図10〜
図12に示された例では、4チップ並列に配置されたMOSFET Q1・Q4のソースS1・S4は、ソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)によって共通に接続されている。
【0095】
正側電力端子P・負側電力端子N、外部取り出し用のゲート端子GT1・GT4およびソースセンス端子SST1・SST4は、例えば、Cuで形成可能である。
【0096】
信号基板124
1 ・124
4 は、セラミックス基板で形成可能である。セラミックス基板は、例えば、Al
2 O
3 、AlN、SiN、AlSiC、もしくは少なくとも表面が絶縁性のSiCなどで形成されていても良い。
【0097】
主配線導体(電極パターン)32
1 ・32
4 ・32
n は、例えば、Cu、Alなどで形成可能である。
【0098】
MOSFET Q1・Q4のソースS1・S4と接続されるソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)は、例えば、Cu、CuMoなどで形成されていても良い。
【0099】
ここで、線熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)の値が同等である同じ大きさの材料を比較すると、発生応力は、ヤング率の値が大きい材料の方が大きくなる。このため、ヤング率×CTEの数値が、より小さい材料を選定することによって、発生応力の値の小さな部材を達成することができる。CuMoは、このような利点を有している。また、CuMoは、Cuには劣るが、電気抵抗率も相対的に低い。また、ソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)間の表面に沿った離隔距離は、沿面距離と呼ばれる。沿面距離の値は、例えば、約2mmである。
【0100】
ゲート用分割リードフレーム24
1 ・24
4 およびソース信号用分割リードフレーム26
1 ・26
4 は、例えば、Al、AlCuなどで形成可能である。
【0101】
MOSFET Q1・Q4としては、SiC DI(Double Implanted) MOSFET、SiC T(Trench) MOSFETなどのSiC系パワーデバイス、あるいはGaN系高電子移動度トランジスタ(HEMT: High Electron Mobility Transistor)などのGaN系パワーデバイスを適用可能である。また、場合によっては、Si系MOSFETやIGBTなどのパワーデバイスも適用可能である。
【0102】
第3の実施の形態に係るパワーモジュール300においては、4チップ構成のMOSFET Q1は、主配線導体(電極パターン)32
1 上にチップ下半田層を介して配置されている。同様に、4チップ構成のMOSFET Q4は、主配線導体(電極パターン)32
4 上にチップ下半田層を介して配置されている。
【0103】
さらに詳細には、第3の実施の形態に係るパワーモジュール300の主要部は、
図10に示すように、セラミックス基板9と、セラミックス基板9上に配置されたソース電極パターン32
n 、ドレイン電極パターン32
1 ・32
4 、ソース信号電極パターンSL1・SL4およびゲート信号電極パターンGL1・GL4と、ドレイン電極パターン32
1 ・32
4 上に配置され、表面側にソースパッド電極およびゲートパッド電極を有する半導体デバイスQ1・Q4と、ソース電極パターン32
n ・ドレイン電極パターン32
4 およびソースパッド電極に接合されたソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)と、ゲートパッド電極と接合されたゲートパッド電極用分割リードフレームとを備える。
【0104】
ここで、ゲートパッド電極用分割リードフレームは、ゲート用分割リードフレーム24
1 ・24
4 の下に配置されるため、
図10では、図示が省略されている。また、ドレイン電極パターン32
4 は、半導体デバイスQ4のドレイン電極であると同時に、半導体デバイスQ1のソース電極となるため、ソース用分割リードフレーム20
1 (S1)とも接続される。
【0105】
さらに、第3の実施の形態に係るパワーモジュール300は、
図10に示すように、ソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)と電気的に接続され、かつソース信号電極パターンSL1・SL4上に配置されたソース信号用分割リードフレーム26
1 ・26
4 と、ゲートパッド電極用分割リードフレームと電気的に接続され、かつゲート信号電極パターンGL1・GL4上に配置されたゲート用分割リードフレーム24
1 ・24
4 とを備える。ゲート用分割リードフレーム24
1 ・24
4 は、例えばソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)に対して、図示していない絶縁部(分離部)を介してアセンブル接続されている。
【0106】
ゲート用分割リードフレーム24
1 ・24
4 は、ゲート用分割リードフレーム下半田層を介して、ゲート信号電極パターンGL1・GL4と接合される。
【0107】
ソース信号用分割リードフレーム26
1 ・26
4 は、ソース信号用分割リードフレーム下半田層を介して、ソース信号電極パターンSL1・SL4と接合される。
【0108】
なお、ソース信号用分割リードフレーム26
1 ・26
4 は、ソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)と同一材料を備えていても良い。
【0109】
また、ゲート用分割リードフレーム24
1 ・24
4 は、ゲートパッド電極用分割リードフレームと同一材料を備えていても良い。
【0110】
第3の実施の形態に係るパワーモジュール300においても、
図10に示すように、ゲートパッド電極用分割リードフレームを延伸させて、ゲート信号線を兼ねたゲート用分割リードフレーム24
1 ・24
4 と一体化接続させている。
【0111】
同様に、第3の実施の形態に係るパワーモジュール300においては、
図10に示すように、ソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)を延伸させて、ソースセンス信号線を兼ねたソース信号用分割リードフレーム26
1 ・26
4 と一体化接続させている。
【0112】
第3の実施の形態に係るパワーモジュール300においては、このような分割リードフレーム構造(20
1 ・20
4 、26
1 ・26
4 、24
1 ・24
4 )を採用することによって、ソース信号ボンディングワイヤ・ゲート信号ボンディングワイヤを不要とすることができる。
【0113】
なお、第3の実施の形態に係るパワーモジュール300においても、応力緩和層をソース用分割リードフレーム20
1 (S1)・20
4 (S4)とソースパッド電極間に配置しても良い。
【0114】
このような構成の第3の実施の形態に係るパワーモジュール300において、4チップ構成のMOSFET Q1・Q4が搭載されるセラミックス基板9の裏面側には、
図12に示すように、例えば主配線導体(電極パターン)によって構成されるヒートシンク(放熱板)32が設けられている。ヒートシンク32は、セラミックス基板9の裏面側の主配線導体に接合された放熱板であっても良く、図示していない冷却器との接合面の全部または一部が、樹脂層115よりパワーモジュール300の底面側に露出するように配置されている。
【0115】
また、第3の実施の形態に係るパワーモジュール300においては、上述した第2の実施の形態と同様に、冷却器と対峙する樹脂層115の底面の、ヒートシンク32の露出面(接合面)の周囲に、その露出面よりも突出するようにして、凸部状の厚さ制御用突起部(規制部)201aが設けられている。
【0116】
厚さ制御用突起部201aは、樹脂層115の底面において、ヒートシンク32の露出面が凹部となるように、その高さ(厚み)に基づいて、冷却器との接合時に所定の容量の熱伝導材(図示省略)を埋設させるための空間領域を形成するものであって、接合の際に、余剰となった熱伝導材を空間領域外へ排出するための排出溝205が設けられている。
【0117】
排出溝205は、第2の実施の形態およびその第1〜第9変形例に示したように、配置の方向や個数が制限されるものではない。
【0118】
このように、第3の実施の形態に係るパワーモジュール300によっても、MOSFET(半導体デバイス)Q1・Q4の各チップから発生した熱がヒートシンク32から熱伝導材を介して冷却器へと効率的に伝導されることにより、効果的に放熱(冷却)される。
【0119】
すなわち、第3の実施の形態に係るパワーモジュール300によれば、ヒートシンク32と冷却器との間の距離(熱伝導材の厚さ)を、厚さ制御用突起部201aの厚みに応じて均一に制御できるようになる。これにより、ヒートシンク32を冷却器に接合する場合にも、熱伝導材の厚さが不均一になり、冷却性能が低下するのを防止できる。したがって、冷却(放熱)が充分に行われることとなり、チップが過熱により破壊されたり、配線が溶断されたりするのを抑制でき、より信頼性の高いパワーモジュール300とすることができる。
【0120】
なお、構造が簡単で、大電流を導通可能なツーインワンモジュール(ハーフブリッジ内蔵モジュール)300としては、第1の実施の形態およびその第1〜第3変形例に示したような、少なくとも3つの厚さ制御用突起部104を設けることにより、熱伝導材の厚さを制御する構成とした場合にも同様の効果が期待できる。
【0121】
(パワーモジュールの具体例)
以下、実施の形態に係るパワーモジュールの具体例について説明する。
【0122】
実施の形態に係るパワーモジュール320であって、ワンインワンモジュールのSiC MOSFETの回路表現は、
図13(a)に示すように表わされ、ワンインワンモジュールのIGBTの回路表現は、
図13(b)に示すように表わされる。
【0123】
図13(a)には、MOSFET Qに逆並列接続されるダイオードDIが示されている。MOSFET Qの主電極は、ドレイン端子DTおよびソース端子STで表わされる。同様に、
図13(b)には、IGBT Qに逆並列接続されるダイオードDIが示されている。IGBT Qの主電極は、コレクタ端子CTおよびエミッタ端子ETで表わされる。
【0124】
また、実施の形態に係るパワーモジュール320であって、ワンインワンモジュールのSiC MOSFETの詳細回路表現は、
図14に示すように表わされる。
【0125】
実施の形態に係るパワーモジュール320は、例えば、ワンインワンモジュールの構成を備える。すなわち、1個のMOSFET Qが1つのモジュールに内蔵されている。一例として、
図14に示すように、5チップ(MOSFET×5)搭載可能であり、それぞれのMOSFET Qは、5個まで並列接続可能である。なお、5チップの内、一部をダイオードDI用として搭載することも可能である。
【0126】
図14には、MOSFET Qのソースとドレインとの間に逆並列接続されるダイオードDIが示されている。ダイオードDIは、ボディダイオードまたは別個のチップから構成される。
【0127】
図14において、MOSFET Qの主電極は、電力系端子としてのドレイン端子DTおよびソース端子STで表わされる。また、SSはソースセンス端子、DSはドレインセンス端子、Gはゲート信号端子であり、いずれも信号系端子を構成している。
【0128】
また、実施の形態に係るパワーモジュール300Tであって、ツーインワンモジュールのSiC MOSFETの回路表現は、
図15(a)に示すように表わされる。
【0129】
図15(a)に示すように、2個のMOSFET Q1・Q4と、MOSFET Q1・Q4に逆並列接続されるダイオードDI1・DI4が1つのモジュールに内蔵されている。G1は、MOSFET Q1のゲート信号端子であり、S1は、MOSFET Q1のソース端子である。G4は、MOSFET Q4のゲート信号端子であり、S4は、MOSFET Q4のソース端子である。Pは、正側電源入力端子であり、Nは、負側電源入力端子であり、Oは、出力端子である。
【0130】
また、実施の形態に係るパワーモジュール300Tであって、ツーインワンモジュールのIGBTの回路表現は、
図15(b)に示すように表わされる。
図15(b)に示すように、2個のIGBT Q1・Q4と、IGBT Q1・Q4に逆並列接続されるダイオードDI1・DI4が1つのモジュールに内蔵されている。G1は、IGBT Q1のゲート信号端子であり、E1は、IGBT Q1のエミッタ端子である。G4は、IGBT Q4のゲート信号端子であり、E4は、IGBT Q4のエミッタ端子である。Pは、正側電源入力端子であり、Nは、負側電源入力端子であり、Oは、出力端子である。
【0131】
(半導体デバイスの構成例)
実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイスの例であって、SiC MOSFETの模式的断面構造は、
図16(a)に示すように表わされ、IGBTの模式的断面構造は、
図16(b)に示すように表わされる。
【0132】
実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイス(Q)310の例として、SiC MOSFETの模式的断面構造は、
図16(a)に示すように、n- 高抵抗層からなる半導体基板326と、半導体基板326の表面側に形成されたpボディ領域328と、pボディ領域328の表面に形成されたソース領域330と、pボディ領域328間の半導体基板326の表面上に配置されたゲート絶縁膜332と、ゲート絶縁膜332上に配置されたゲート電極338と、ソース領域330およびpボディ領域328に接続されたソース電極334と、半導体基板326の表面と反対側の裏面に配置されたn+ ドレイン領域324と、n+ ドレイン領域324に接続されたドレイン電極336とを備える。
【0133】
図16(a)では、半導体デバイス310は、プレーナゲート型のnチャネル縦型SiC MOSFETで構成されているが、後述する
図20に示すように、nチャネル縦型SiC T MOSFETなどで構成されていても良い。
【0134】
また、実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイス(Q)310には、SiC MOSFETの代わりに、GaN系FETなどを採用することもできる。
【0135】
実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイス310には、SiC系、GaN系のいずれかのパワーデバイスを採用可能である。
【0136】
さらには、実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイス310には、バンドギャップエネルギーが、例えば、1.1eV〜8eVの半導体を用いることができる。
【0137】
同様に、実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイス(Q)310Aの例として、IGBTは、
図16(b)に示すように、n- 高抵抗層からなる半導体基板326と、半導体基板326の表面側に形成されたpボディ領域328と、pボディ領域328の表面に形成されたエミッタ領域330Eと、pボディ領域328間の半導体基板326の表面上に配置されたゲート絶縁膜332と、ゲート絶縁膜332上に配置されたゲート電極338と、エミッタ領域330Eおよびpボディ領域328に接続されたエミッタ電極334Eと、半導体基板326の表面と反対側の裏面に配置されたp+ コレクタ領域324Pと、p+ コレクタ領域324Pに接続されたコレクタ電極336Cとを備える。
【0138】
図16(b)では、半導体デバイス310Aは、プレーナゲート型のnチャネル縦型IGBTで構成されているが、トレンチゲート型のnチャネル縦型IGBTなどで構成されていても良い。
【0139】
実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイス310の例であって、ソースパッド電極SP、ゲートパッド電極GPを含むSiC MOSFETの模式的断面構造は、
図17に示すように表わされる。ゲートパッド電極GPは、ゲート絶縁膜332上に配置されたゲート電極338に接続され、ソースパッド電極SPは、ソース領域330およびpボディ領域328に接続されたソース電極334に接続される。
【0140】
また、ゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPは、
図17に示すように、半導体デバイス310の表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜344上に配置される。なお、ゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPの下方の半導体基板326内には、図示していないが、
図16(a)の中央部と同様に、微細構造のトランジスタ構造が形成されていても良い。
【0141】
さらに、
図17に示すように、中央部のトランジスタ構造においても、パッシベーション用の層間絶縁膜344上にソースパッド電極SPが延在して配置されていても良い。
【0142】
実施の形態に係るパワーモジュール300・300Tに適用する半導体デバイス310Aの例であって、ソースパッド電極SP、ゲートパッド電極GPを含むIGBTの模式的断面構造は、
図18に示すように表わされる。ゲートパッド電極GPは、ゲート絶縁膜332上に配置されたゲート電極338に接続され、エミッタパッド電極EPは、エミッタ領域330Eおよびpボディ領域328に接続されたエミッタ電極334Eに接続される。
【0143】
また、ゲートパッド電極GPおよびエミッタパッド電極EPは、
図18に示すように、半導体デバイス310Aの表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜344上に配置される。なお、ゲートパッド電極GPおよびエミッタパッド電極EPの下方の半導体基板326内には、図示していないが、
図16(b)の中央部と同様に、微細構造のIGBT構造が形成されていても良い。
【0144】
さらに、
図18に示すように、中央部のIGBT構造においても、パッシベーション用の層間絶縁膜344上にエミッタパッド電極EPが延在して配置されていても良い。
【0145】
―SiC DI MOSFET―
実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイス310の例であって、SiC DI MOSFETの模式的断面構造は、
図19に示すように表わされる。
【0146】
実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能なSiC DI MOSFETは、
図19に示すように、n- 高抵抗層からなる半導体基板326と、半導体基板326の表面側に形成されたpボディ領域328と、pボディ領域328の表面に形成されたn+ ソース領域330と、pボディ領域328間の半導体基板326の表面上に配置されたゲート絶縁膜332と、ゲート絶縁膜332上に配置されたゲート電極338と、ソース領域330およびpボディ領域328に接続されたソース電極334と、半導体基板326の表面と反対側の裏面に配置されたn+ ドレイン領域324と、n+ ドレイン領域324に接続されたドレイン電極336とを備える。
【0147】
図19では、半導体デバイス310は、pボディ領域328と、pボディ領域328の表面に形成されたn+ ソース領域330が、ダブルイオン注入(DI)で形成され、ソースパッド電極SPは、ソース領域330およびpボディ領域328に接続されたソース電極334に接続される。ゲートパッド電極GP(図示省略)は、ゲート絶縁膜332上に配置されたゲート電極338に接続される。また、ソースパッド電極SPおよびゲートパッド電極GP(図示省略)は、
図19に示すように、半導体デバイス310の表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜344上に配置される。
【0148】
SiC DI MOSFETは、
図19に示すように、pボディ領域328に挟まれたn- 高抵抗層からなる半導体基板326内に、破線で示されるような空乏層が形成されるため、接合型FET(JFET)効果に伴うチャネル抵抗R
JFETが形成される。また、pボディ領域328/半導体基板326間には、
図19に示すように、ボディダイオードBDが形成される。
【0149】
―SiC T MOSFET―
実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能な半導体デバイス310の例であって、SiC T MOSFETの模式的断面構造は、
図20に示すように表わされる。
【0150】
実施の形態に係るパワーモジュールに適用可能なSiC T MOSFETは、
図20に示すように、n層からなる半導体基板326Nと、半導体基板326Nの表面側に形成されたpボディ領域328と、pボディ領域328の表面に形成されたn+ ソース領域330と、pボディ領域328を貫通し、半導体基板326Nまで形成されたトレンチ内にゲート絶縁膜332および層間絶縁膜344U・344Bを介して形成されたトレンチゲート電極338TGと、ソース領域330およびpボディ領域328に接続されたソース電極334と、半導体基板326Nの表面と反対側の裏面に配置されたn+ ドレイン領域324と、n+ ドレイン領域324に接続されたドレイン電極336とを備える。
【0151】
図20では、半導体デバイス310は、pボディ領域328を貫通し、半導体基板326Nまで形成されたトレンチ内にゲート絶縁膜332および層間絶縁膜344U・344Bを介して形成されたトレンチゲート電極338TGが形成され、ソースパッド電極SPは、ソース領域330およびpボディ領域328に接続されたソース電極334に接続される。ゲートパッド電極GP(図示省略)は、ゲート絶縁膜332上に配置されたトレンチゲート電極338TGに接続される。また、ソースパッド電極SPおよびゲートパッド電極GP(図示省略)は、
図20に示すように、半導体デバイス310の表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜344U上に配置される。
【0152】
SiC T MOSFETでは、SiC DI MOSFETのような接合型FET(JFET)効果に伴うチャネル抵抗R
JFETは形成されない。また、pボディ領域328/半導体基板326N間には、
図19と同様に、ボディダイオードBDが形成される。
【0153】
本実施の形態に係るパワーモジュールは、ワンインワン、ツーインワン、フォーインワン、シックスインワンもしくはセブンインワン型のいずれにも形成可能である。
【0154】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ヒートシンクと冷却器とを接合する熱伝導材の厚さを、厚さ制御用突起部の厚みに応じて規制できるようになる結果、充分な冷却性能を確保でき、過熱による劣化を抑えることが可能な、信頼性の高いパワーモジュール、パワーモジュールの放熱構造、およびパワーモジュールの接合方法を提供することができる。
【0155】
[その他の実施の形態]
上記のように、本実施の形態を変形例と共に記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0156】
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。