(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る吸収性物品1の平面図である。
図2は、吸収性物品1を
図1中のII−IIの位置にて長手方向(すなわち、
図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面を拡大して示す図である。
図3は、吸収性物品1を
図1中のIII−IIIの位置にて幅方向(すなわち、
図1中における左右方向)に垂直な面で切断した断面図である。
図2および
図3では、実際よりも上下方向の大きさ(すなわち、厚さ)を大きく描いている。他の断面図においても同様である。
【0022】
吸収性物品1は、着用者からの排泄物を受ける。吸収性物品1は、例えば、着用者が着用する外装物品である使い捨ておむつの内側に取り付けられて使用される軽失禁用の吸収パッドであり、着用者からの尿等の液状の排泄物を受ける。
図1では、着用者に接する面(以下、「上面」という。)を手前側にして吸収性物品1を描いている。
【0023】
図1ないし
図3に示すように、吸収性物品1は、透液性のトップシート21と、撥液性または不透液性のバックシート23と、吸収体20とを備える。吸収体20は、トップシート21とバックシート23との間に配置されるシート状部材である。吸収体20は、第1吸収シート22と、第2吸収シート22aとを備える。第1吸収シート22および第2吸収シート22aは、上下方向に積層される。第2吸収シート22aは、第1吸収シート22の下方に配置される。換言すれば、第1吸収シート22は、トップシート21とバックシート23との間に配置され、第2吸収シート22aは、第1吸収シート22とバックシート23との間に配置される。第2吸収シート22aの下面は、略全面に亘ってバックシート23の上面に接する。
図1に示す例では、第1吸収シート22および第2吸収シート22aの平面視におけるそれぞれの形状は、長手方向の長さが幅方向の幅よりも大きい略矩形状である。
【0024】
図1では、図の理解を容易にするために、吸収体20の第1吸収シート22および第2吸収シート22aの輪郭を太い破線にて描く。また、
図2および
図3では、実際には接触している吸収性物品1の構成の一部を、上下方向に離間させて描く。
図1に示す例では、吸収性物品1の平面視における形状は、長手方向の長さが幅方向の幅よりも大きい略長円状である。トップシート21の外縁部とバックシート23の外縁部とは、全周に亘って接合される。
図1では、トップシート21とバックシート23との接合部に平行斜線を付す。当該接合部では、トップシート21とバックシート23とは、例えば、接着剤により接着されてもよく、圧着されてもよい。
【0025】
トップシート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収体20へと移動させる。トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0026】
吸収体20の第1吸収シート22は、第1上層シート221と、第1高吸収性材料222と、第1下層シート223とを備える。第1下層シート223は、第1上層シート221の下方に配置され、第1上層シート221と上下方向に積層される。換言すれば、第1下層シート223は、第1上層シート221とバックシート23との間に配置される。
【0027】
第1上層シート221および第1下層シート223は、透液性のシート材料である。第1上層シート221および第1下層シート223としては、例えば、透液性の不織布(スパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。例えば、第1上層シート221および第1下層シート223はそれぞれ、スパンレース不織布およびエアスルー不織布である。あるいは、第1上層シート221および第1下層シート223は共に、エアスルー不織布またはスパンボンド不織布であってもよい。第1上層シート221および第1下層シート223の材料の組み合わせは、様々に変更されてよい。第1上層シート221の透液性は、例えば、第1下層シート223の透液性よりも高い。当該透液性は、例えば、単位面積のシートを単位時間に透過する液体の量で求められる。以下の説明においても同様である。
【0028】
第1高吸収性材料222は、例えば、粒状のSAP(Super Absorbent Polymer)、または、繊維状のSAF(Super Absorbent Fiber)である。
図2および
図3に示す例では、第1高吸収性材料222はSAPである。
図2および
図3では、第1高吸収性材料222の粒子を実際よりも大きく描く。第1高吸収性材料222は、第1上層シート221と第1下層シート223との間に固定される。第1吸収シート22は、トップシート21を透過した液体を吸収して保持する。具体的には、第1吸収シート22の第1高吸収性材料222が、当該液体を吸収して膨潤することにより、当該液体を第1吸収シート22内に固定する。第1吸収シート22では、第1上層シート221と第1下層シート223との間に、第1高吸収性材料222以外の嵩高な吸収材料(例えば、パルプ繊維)は、実質的に存在しない。
【0029】
第2吸収シート22aは、第2上層シート221aと、第2高吸収性材料222aと、第2下層シート223aとを備える。第2下層シート223aは、第2上層シート221aの下方に配置され、第2上層シート221aと上下方向に積層される。換言すれば、第2下層シート223aは、第2上層シート221aとバックシート23との間に配置される。
【0030】
第2上層シート221aおよび第2下層シート223aは、透液性のシート材料である。第2上層シート221aおよび第2下層シート223aとしては、例えば、透液性の不織布(スパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。例えば、第2上層シート221aおよび第2下層シート223aはそれぞれ、スパンレース不織布およびエアスルー不織布である。あるいは、第2上層シート221aおよび第2下層シート223aは共に、エアスルー不織布またはスパンボンド不織布であってもよい。第2上層シート221aおよび第2下層シート223aの材料の組み合わせは、様々に変更されてよい。第2上層シート221aの透液性は、例えば、第2下層シート223aの透液性よりも高い。また、例えば、第1吸収シート22の第1下層シート223の透液性は、第2吸収シート22aの第2下層シート223aの透液性よりも高い。
【0031】
第2高吸収性材料222aは、例えば、粒状のSAP、または、繊維状のSAFである。
図2および
図3に示す例では、第2高吸収性材料222aはSAPである。
図2および
図3では、第2高吸収性材料222aの粒子を実際よりも大きく描く。第2高吸収性材料222aは、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に固定される。第2吸収シート22aは、トップシート21および第1吸収シート22を透過した液体を吸収して保持する。具体的には、第2吸収シート22aの第2高吸収性材料222aが、当該液体を吸収して膨潤することにより、当該液体を第2吸収シート22a内に固定する。第2吸収シート22aでは、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に、第2高吸収性材料222a以外の嵩高な吸収材料(例えば、パルプ繊維)は、実質的に存在しない。
【0032】
第2上層シート221a、第2高吸収性材料222aおよび第2下層シート223aの材料はそれぞれ、第1上層シート221、第1高吸収性材料222および第1下層シート223の材料と同じでもよく、異なっていてもよい。第2吸収シート22aの第2上層シート221aは、第1吸収シート22の第1下層シート223に固定される。第2上層シート221aと第1下層シート223との固定は、例えば、ホットメルト接着剤による接着により行われる。この場合、当該ホットメルト接着剤は、スパイラル塗工により第2上層シート221aまたは第1下層シート223に塗布されることが好ましい。これにより、第1吸収シート22から第2吸収シート22aへの液体の透過が接着剤により妨げられることを抑制することができる。第2上層シート221aと第1下層シート223との固定は、他の様々な方法により行われてもよい。
【0033】
バックシート23は、撥液性または不透液性のシート部材であり、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、吸収性物品1の外部にしみ出すことを防止する。バックシート23としては、例えば、撥液性または不透液性の不織布やプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。バックシート23に利用される不織布は、例えば、疎水性繊維にて形成されたスパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布であり、必要に応じて撥液処理が施される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0034】
第1吸収シート22の長手方向の長さは、第2吸収シート22aの長手方向の長さよりも長い。第2吸収シート22aの長手方向の長さは、例えば、第1吸収シート22の長手方向の長さの50%以上90%以下である。第1吸収シート22の幅方向の幅は、第2吸収シート22aの幅方向の幅とおよそ同じである。第1吸収シート22の長手方向の両側では、第1吸収シート22が第2吸収シート22aの長手方向の端縁から長手方向に延出する。当該長手方向の両側において、第1吸収シート22の第2吸収シート22aからの延出部224は、第2吸収シート22aの長手方向の端縁から長手方向に離間してバックシート23に接するバックシート接触領域225を備える。換言すれば、バックシート接触領域225の第2吸収シート22aに近い側の長手方向の端縁は、第2吸収シート22aの長手方向の端縁から長手方向に離間する。さらに換言すれば、第1吸収シート22のバックシート接触領域225と第2吸収シート22aの長手方向の端縁との間には、吸収体20とバックシート23とが接触しない非接触領域が存在する。
【0035】
第1吸収シート22の長手方向の両側において、第1吸収シート22のバックシート接触領域225はバックシート23に固定される。バックシート接触領域225とバックシート23との固定は、例えば、ホットメルト接着剤による接着により行われる。バックシート接触領域225とバックシート23との固定は、他の様々な方法により行われてもよい。
【0036】
第1吸収シート22の長手方向の両側において、第1吸収シート22のバックシート接触領域225と第2吸収シート22aの長手方向の端縁との間の長手方向の距離D1は、例えば、2mm以上20mm以下である。バックシート接触領域225と第2吸収シート22aの長手方向の端縁との間には、第1吸収シート22と第2吸収シート22aとバックシート23とに囲まれる空間226(以下、「コア端部空間226」という。)が設けられる。コア端部空間226は、第2吸収シート22aの略全幅に亘って幅方向に略直線状に延びる。
【0037】
図4は、第1吸収シート22の平面図である。
図4では、第1上層シート221と第1下層シート223とが互いに固定される接合部251,252にそれぞれ平行斜線を付す。以下の説明では、接合部251,252の区別を容易にするために、接合部251,252をそれぞれ「第1接合部251」および「第2接合部252」という。
図4に示すように、第1吸収シート22では、2つの第1接合部251と、複数(例えば、4つ)の第2接合部252とが設けられる。
【0038】
図4に示す例では、2つの第1接合部251が、第1吸収シート22の長手方向の両端縁部に位置する。各第1接合部251は、第1吸収シート22の幅方向に長い略矩形状の部位である。各第1接合部251の長手方向の長さは、例えば、5mm〜50mmである。各第1接合部251は、第1吸収シート22の幅方向の略全長に亘って設けられる。各第1接合部251では、第1上層シート221と第1下層シート223とが互いに直接的に固定される。好ましくは、第1接合部251における第1上層シート221と第1下層シート223との固定は、圧着による。より好ましくは、第1接合部251における第1上層シート221と第1下層シート223との固定は、エンボス加工による圧着により行われる。さらに好ましくは、第1接合部251における第1上層シート221と第1下層シート223との固定は、加熱を伴うエンボス加工による圧着により行われる。
【0039】
第1上層シート221と第1下層シート223との圧着が加熱を伴って行われる場合、例えば、第1上層シート221および第1下層シート223のうち、一方のシートが、他方のシートよりも熱融着繊維の含有率が高い。第1吸収シート22が製造される際には、当該一方のシートを加熱しつつ他方のシートへと押圧することにより、第1上層シート221と第1下層シート223とが圧着される。上記熱融着繊維としては、例えば、融点が約120℃であるポリエチレンが利用される。
【0040】
図4に示す例では、第1下層シート223の熱融着繊維の含有率が、第1上層シート221の熱融着繊維の含有率よりも高い。熱融着繊維の含有率が高い不織布は、熱融着繊維の含有率が低い不織布に比べて、尿等の液体を繰り返し受ける場合に透液性が低下することがある。したがって、透液性を高く維持することが好ましい第1上層シート221ではなく、第1下層シート223の熱融着繊維の含有率を高くすることがより好ましい。なお、第1上層シート221および第1下層シート223の熱融着繊維の含有率は、およそ同じであってもよい。
【0041】
図4に示す例では、4つの第2接合部252が、第1吸収シート22の幅方向に互いに離間しつつ配列される。各第2接合部252は、第1吸収シート22の長手方向に直線状に延びる略帯状(すなわち、略矩形状)の部位である。各第2接合部252は、第1吸収シート22の長手方向の略全長に亘って設けられる。4つの第2接合部252は、互いに略平行に配置される。幅方向の両側において最も外側に位置する2つの第2接合部252は、第1吸収シート22の幅方向の両端縁部に位置する。第1吸収シート22の長手方向の両端縁部ではそれぞれ、第1接合部251と4つの第2接合部252とが重なる。
図4では、第1接合部251と第2接合部252とが重なる部位に2種類の平行斜線を重ねて付す。
【0042】
第1吸収シート22では、複数の第2接合部252のそれぞれにおいて、第1上層シート221と第1下層シート223とが互いに固定される。好ましくは、第2接合部252における第1上層シート221と第1下層シート223との固定は、圧着による。より好ましくは、第2接合部252における第1上層シート221と第1下層シート223との固定は、エンボス加工による圧着により行われる。さらに好ましくは、第2接合部252における第1上層シート221と第1下層シート223との圧着は、加熱を伴うエンボス加工による圧着により行われる。
【0043】
図2および
図4に示すように、複数の第2接合部252の間には、複数の高吸収性材料固定部253が配置される。複数の高吸収性材料固定部253ではそれぞれ、第1上層シート221と第1下層シート223との間に第1高吸収性材料222が固定される。複数の第2接合部252と、複数の高吸収性材料固定部253とは、第1吸収シート22の幅方向において交互に配置される。
図2および
図4に示す例では、3つの高吸収性材料固定部253が、第1吸収シート22の幅方向に互いに離間しつつ配列される。3つの高吸収性材料固定部253は、互いに略平行に配置される。
【0044】
各高吸収性材料固定部253は、第1吸収シート22の長手方向に直線状に延びる略帯状(すなわち、略矩形状)の部位である。各高吸収性材料固定部253は、第1吸収シート22の2つの第1接合部251の間の領域において、長手方向の略全長に亘って設けられる。すなわち、複数の高吸収性材料固定部253および複数の第2接合部252は略ストライプ状に配置され、各高吸収性材料固定部253は、第1接合部251および第2接合部252により、その周囲を全周に亘って囲まれる。高吸収性材料固定部253の幅は、例えば、第2接合部252の幅よりも大きい。
【0045】
各高吸収性材料固定部253では、第1下層シート223の上面および第1上層シート221の下面の少なくとも一方に塗布された接着剤により、第1高吸収性材料222が第1上層シート221および第1下層シート223の少なくとも一方に固定される。
【0046】
なお、第1吸収シート22の製造工程において、例えば、当該接着剤が第1下層シート223の上面および第1上層シート221の下面の全面に亘って塗布されてもよい。この場合、第1接合部251および第2接合部252においても、第1上層シート221と第1下層シート223との間に接着剤は存在する。ただし、第1上層シート221と第1下層シート223との間に存在する当該接着剤は少量であり、第1上層シート221と第1下層シート223との固定にはあまり寄与しない。したがって、第1接合部251において第1上層シート221と第1下層シート223との間に接着剤が存在する場合であっても、第1上層シート221および第1下層シート223は、上述のように、主に圧着により固定される。第2接合部252においても同様である。
【0047】
各第2接合部252において、第1上層シート221と第1下層シート223との間に高吸収性材料222は実質的に存在しない。換言すれば、各第2接合部252では、第1上層シート221と第1下層シート223との間に第1高吸収性材料222が全く存在しない、または、高吸収性材料固定部253と比べて第1高吸収性材料222が実質的には存在しないとみなせる程度の僅かな密度にて存在する。
【0048】
上述の高吸収性材料固定部253および第2接合部252を「第1領域」および「第2領域」と呼ぶと、第1吸収シート22では、複数の第2領域が、第1吸収シート22の幅方向において複数の第1領域と交互に配置される。そして、複数の第1領域のそれぞれにおいて、第1上層シート221と第1下層シート223との間に第1高吸収性材料222が固定される。また、複数の第2領域において、第1上層シート221と第1下層シート223との間に第1高吸収性材料222が存在せず、第1上層シート221と第1下層シート223とが互いに直接的に固定される。
【0049】
上述の各第1接合部251では、第2接合部252と同様に、第1上層シート221と第1下層シート223との間に第1高吸収性材料222は実質的に存在しない。換言すれば、各第1接合部251では、第1上層シート221と第1下層シート223との間に第1高吸収性材料222が全く存在しない、または、高吸収性材料固定部253と比べて第1高吸収性材料222が実質的には存在しないとみなせる程度の僅かな密度にて存在する。なお、第1吸収シート22の製造方法によっては、第1接合部251には、高吸収性材料固定部253と同程度の密度にて第1高吸収性材料222が存在する場合もある。
【0050】
図5は、第2吸収シート22aの平面図である。第2吸収シート22aは、長手方向の両端縁部において第2上層シート221aと第2下層シート223aとが非固定である点、および、上述のように長手方向の長さが第1吸収シート22よりも短い点を除き、第1吸収シート22とおよそ同様の構造を有する。すなわち、第2吸収シート22aでは、第2接合部252および高吸収性材料固定部253の数、幅方向の位置および幅等が、第1吸収シート22と略同様である。
図5では、第2上層シート221aと第2下層シート223aとが互いに固定される第2接合部252に平行斜線を付す。後述する
図7および
図10においても、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの接合部に平行斜線を付す。
【0051】
図5に示す例では、第2吸収シート22aでは、複数(例えば、4つ)の第2接合部252が設けられる。4つの第2接合部252は、第2吸収シート22aの幅方向に互いに離間しつつ配列される。各第2接合部252は、第2吸収シート22aの長手方向に直線状に延びる略帯状(すなわち、略矩形状)の部位である。各第2接合部252は、第2吸収シート22aの長手方向の略全長に亘って設けられる。4つの第2接合部252は、互いに略平行に配置される。幅方向の両側において最も外側に位置する2つの第2接合部252は、第2吸収シート22aの幅方向の両端縁部に位置する。
【0052】
第2吸収シート22aでは、複数の第2接合部252のそれぞれにおいて、第2上層シート221aと第2下層シート223aとが互いに固定される。好ましくは、第2接合部252における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定は、圧着による。より好ましくは、第2接合部252における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定は、エンボス加工による圧着により行われる。さらに好ましくは、第2接合部252における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの圧着は、加熱を伴うエンボス加工による圧着により行われる。
【0053】
図5に示すように、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部には、第2接合部252の両端部が含まれる。すなわち、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部では、第2上層シート221aと第2下層シート223aとは、第2接合部252を除く部位において非固定である。換言すれば、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部では、第2上層シート221aと第2下層シート223aとは、後述する高吸収性材料固定部253と長手方向に隣接する部位において非固定である。なお、第2上層シート221aと第2下層シート223aとは、長手方向の両端縁部の全幅に亘って非固定であってもよい。すなわち、長手方向の両端縁部において第2上層シート221aと第2下層シート223aとが非固定であるという場合、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部では、第2上層シート221aと第2下層シート223aとは、第2接合部252を除く部位において非固定であってもよく、全幅に亘って非固定であってもよい。
【0054】
図2および
図5に示すように、複数の第2接合部252の間には、複数の高吸収性材料固定部253が配置される。複数の高吸収性材料固定部253ではそれぞれ、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に第2高吸収性材料222aが固定される。複数の第2接合部252と、複数の高吸収性材料固定部253とは、第2吸収シート22aの幅方向において交互に配置される。
図2および
図5に示す例では、3つの高吸収性材料固定部253が、第2吸収シート22aの幅方向に互いに離間しつつ配列される。3つの高吸収性材料固定部253は、互いに略平行に配置される。
【0055】
各高吸収性材料固定部253は、第2吸収シート22aの長手方向に直線状に延びる略帯状(すなわち、略矩形状)の部位である。すなわち、複数の高吸収性材料固定部253および複数の第2接合部252は略ストライプ状に配置される。高吸収性材料固定部253の幅は、例えば、第2接合部252の幅よりも大きい。各高吸収性材料固定部253では、第2下層シート223aの上面および第2上層シート221aの下面の少なくとも一方に塗布された接着剤により、第2高吸収性材料222aが第2上層シート221aおよび第2下層シート223aの少なくとも一方に固定される。
【0056】
なお、第2吸収シート22aの製造工程において、例えば、当該接着剤が第2下層シート223aの上面および第2上層シート221aの下面の全面に亘って塗布されてもよい。この場合、第2接合部252においても、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に接着剤は存在する。ただし、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に存在する当該接着剤は少量であり、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定にはあまり寄与しない。したがって、第2接合部252において第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に接着剤が存在する場合であっても、第2上層シート221aおよび第2下層シート223aは、上述のように、主に圧着により固定される。
【0057】
各第2接合部252において、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に第2高吸収性材料222aは実質的に存在しない。換言すれば、各第2接合部252では、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に第2高吸収性材料222aが全く存在しない、または、高吸収性材料固定部253と比べて第2高吸収性材料222aが実質的には存在しないとみなせる程度の僅かな密度にて存在する。
【0058】
上述の高吸収性材料固定部253および第2接合部252を「第1領域」および「第2領域」と呼ぶと、第2吸収シート22aにおいても第1吸収シート22と同様に、複数の第2領域が、第2吸収シート22aの幅方向において複数の第1領域と交互に配置される。そして、複数の第1領域のそれぞれにおいて、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に第2高吸収性材料222aが固定される。また、複数の第2領域において、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に第2高吸収性材料222aが存在せず、第2上層シート221aと第2下層シート223aとが互いに直接的に固定される。
【0059】
第1吸収シート22の単位面積あたりの液体吸収量は、例えば、第2吸収シート22aの単位面積あたりの液体吸収量よりも小さい。この場合、第1吸収シート22および第2吸収シート22aの単位面積はそれぞれ、第1吸収シート22および第2吸収シート22aの平面視における単位面積を意味する。また、第1吸収シート22および第2吸収シート22aの単位面積あたりの液体吸収量はそれぞれ、第1吸収シート22および第2吸収シート22aの高吸収性材料固定部253における単位面積あたりの液体吸収量(すなわち、最大液体吸収量)を意味する。あるいは、第1吸収シート22および第2吸収シート22aの単位面積あたりの液体吸収量はそれぞれ、第1吸収シート22および第2吸収シート22aの全体における単位面積あたりの平均液体吸収量を意味する。
【0060】
第2吸収シート22aの液体吸収速度は、第1吸収シート22の液体吸収速度よりも大きい。当該液体吸収速度の差、および、上記液体吸収量の差は、例えば、第1高吸収性材料222と第2高吸収性材料222aとの種類を異ならせることにより実現されてもよい。あるいは、当該液体吸収速度の差、および、当該液体吸収量の差は、高吸収性材料固定部253における単位面積あたりの第1高吸収性材料222および第2高吸収性材料222aの量を異ならせることにより実現されてもよい。例えば、第1高吸収性材料222と第2高吸収性材料222aとを同じ種類の材料とし、第1吸収シート22の高吸収性材料固定部253における第1高吸収性材料222の目付を、第2吸収シート22aの高吸収性材料固定部253における第2高吸収性材料222aの目付よりも小さくしてもよい。
【0061】
以上に説明したように、吸収性物品1は、透液性のトップシート21と、第1吸収シート22と、第2吸収シート22aと、撥水性または不透液性のバックシート23とを備える。第1吸収シート22は、トップシート21とバックシート23との間に配置される。第2吸収シート22aは、第1吸収シート22とバックシート23との間に配置される。第1吸収シート22は、第1上層シート221と、粒状または繊維状の第1高吸収性材料222と、第1下層シート223とを備える。第1下層シート223は、第1上層シート221とバックシート23との間に配置される。第1高吸収性材料222は、第1上層シート221と第1下層シート223との間に固定される。
【0062】
第2吸収シート22aは、第2上層シート221aと、粒状または繊維状の第2高吸収性材料222aと、第2下層シート223aとを備える。第2下層シート223aは、第2上層シート221aとバックシート23との間に配置される。第2高吸収性材料222aは、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの間に固定される。
【0063】
第1吸収シート22は、長手方向の両側において第2吸収シート22aの長手方向の端縁から長手方向に延出している。長手方向の両側において、第1吸収シート22の第2吸収シート22aからの延出部224は、第2吸収シート22aの長手方向の端縁から長手方向に離間してバックシート23に接するバックシート接触領域225を備える。
【0064】
これにより、第1吸収シート22を透過して第2吸収シート22aに到達した液体のうち、第2吸収シート22aにてすぐには吸収されない液体を、第1吸収シート22のバックシート接触領域225と第2吸収シート22aとの間にて、一時的に保持することができる。このため、第2吸収シート22aにてすぐには吸収されない液体が、第1吸収シート22を透過してトップシート21へと戻ること(すなわち、液戻り)を抑制することができる。その結果、トップシート21へと戻った尿等の液体が、着用者の肌に付着することを抑制することができる。
【0065】
上述のように、第1吸収シート22の長手方向の両側において、第1吸収シート22のバックシート接触領域225と第2吸収シート22aの端縁との間の長手方向の距離D1は2mm以上20mm以下である。また、バックシート接触領域225と第2吸収シート22aの上記端縁との間に第1吸収シート22と第2吸収シート22aとバックシート23とに囲まれるコア端部空間226が設けられる。これにより、第1吸収シート22を透過して第2吸収シート22aに到達した液体のうち、第2吸収シート22aにてすぐには吸収されない液体を、コア端部空間226にて一時的に、かつ、容易に保持することができる。その結果、上述の液戻りをさらに抑制することができる。
【0066】
吸収性物品1では、第1吸収シート22の単位面積あたりの液体吸収量が、第2吸収シート22aの単位面積あたりの液体吸収量よりも小さい。このため、トップシート21を透過した液体が、速やかに第1吸収シート22と透過してトップシート21から離れる。また、第1吸収シート22を透過した液体は、第2吸収シート22aの第2高吸収性材料222aにより吸収される。これにより、上述の液戻りをより一層抑制することができる。
【0067】
また、第1吸収シート22の第1下層シート223の透液性が、第2吸収シート22aの第2下層シート223aの透液性よりも高い。このため、トップシート21を透過した液体が、速やかに第1吸収シート22と透過してトップシート21から離れる。第1吸収シート22を透過した液体は、第2吸収シート22aにてある程度の時間留まり、第2高吸収性材料222aにより吸収される。これにより、上述の液戻りをさらに抑制することができる。さらに、第2吸収シート22aの液体吸収速度を、第1吸収シート22の液体吸収速度よりも大きくすることにより、第1吸収シート22を透過した液体を、第2吸収シート22aにて迅速に吸収することができる。
【0068】
上述のように、吸収性物品1では、第1吸収シート22は、長手方向の両側において第2吸収シート22aの長手方向の端縁から長手方向に延出している。また、第1吸収シート22の長手方向の両端縁部において、第1上層シート221と第1下層シート223とは互いに固定される。
【0069】
これにより、第1吸収シート22の長手方向の端部から第1高吸収性材料222が脱落することを防止することができる。また、第1吸収シート22の長手方向の両端部を薄くすることができるため、吸収性物品1の着用感を向上することができる。さらに、尿等を吸収して膨潤した第1高吸収性材料222が、第1吸収シート22の長手方向の端部から漏出することを抑制することができる。その結果、尿等の液体を受けた後の吸収性物品1において、着用感の低下を抑制することができる。
【0070】
上述のように、第1吸収シート22の長手方向の両端縁部における第1上層シート221と第1下層シート223との固定は、圧着による。これにより、第1接合部251において、第1上層シート221と第1下層シート223とを容易に、かつ、強固に固定することができる。また、第1上層シート221と第1下層シート223との当該固定は、エンボス加工による。これにより、第1接合部251において、第1上層シート221と第1下層シート223とを、より強固に固定することができる。さらに、第1上層シート221と第1下層シート223との当該固定は、加熱を伴うエンボス加工による。これにより、第1接合部251において、第1上層シート221と第1下層シート223とを、より一層強固に固定することができる。
【0071】
第1吸収シート22では、第1上層シート221および第1下層シート223のうち一方のシートが他方のシートよりも熱融着繊維の含有率が高く、当該一方のシートを加熱しつつ他方のシートへと押圧することにより、第1上層シート221と第1下層シート223とが圧着される。これにより、第1接合部251において、上記一方のシートに含まれる熱融着繊維が適切に溶融するため、第1上層シート221と第1下層シート223とを、より一層強固に固定することができる。
【0072】
上述のように、第1吸収シート22では、複数の高吸収性材料固定部253を略ストライプ状に配置することにより、着用者からの尿等を吸収して膨潤した第1高吸収性材料222が、吸収シート22の中央部において略全面に亘って拡がってゲルブロック(すなわち、膨潤した高吸収性材料等により、後続の尿等が吸収シートにしみ込むことが阻害され、高吸収性材料上に溜まる現象)が生じることを抑制することができる。その結果、ゲルブロックによりトップシート21へと戻った尿等が、着用者の肌に付着することを抑制することができる。換言すれば、ゲルブロックによる液戻りを抑制することができる。また、第2吸収シート22aにおいても同様に、複数の高吸収性材料固定部253を略ストライプ状に配置することにより、ゲルブロックが生じることを抑制することができる。
【0073】
吸収性物品1では、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部において、第2上層シート221aと第2下層シート223aとが非固定である。これにより、第2吸収シート22aの製造を簡素化することができる。その結果、吸収性物品1の製造コストを低減することができる。なお、吸収性物品1では、第2吸収シート22aの長手方向の端部から第2高吸収性材料222aの一部が脱落する可能性はあるが、第2吸収シート22aから脱落した第2高吸収性材料222aは、第1吸収シート22の延出部224の下方に位置する。このため、吸収性物品1の着用者が、脱落した第2高吸収性材料222aの存在をトップシート21を介して感知することを抑制することができる。その結果、仮に第2吸収シート22aの長手方向の端部から第2高吸収性材料222aが脱落した場合であっても、第2高吸収性材料222aの間接的接触に起因する吸収性物品1の着用感の低下を抑制することができる。
【0074】
上述のように、吸収性物品1では、長手方向の両側において、第1吸収シート22のバックシート接触領域225がバックシート23に固定される。これにより、第1吸収シート22とバックシート23との間に位置する第2吸収シート22aの捩れや、第1吸収シート22に対する相対位置のずれを抑制することができる。その結果、第1吸収シート22から第2吸収シート22aへの液体の速やかな移動を実現することができる。また、上記のように、仮に第2吸収シート22aの長手方向の端部から第2高吸収性材料222aが脱落した場合であっても、第2高吸収性材料222aが第1吸収シート22の下方から、第1吸収シート22が存在しない領域へと移動することを抑制することができる。その結果、吸収性物品1の着用感の低下をさらに抑制することができる。
【0075】
吸収性物品1では、第2吸収シート22aの第2上層シート221aが、第1吸収シート22の第1下層シート223に固定される。これにより、第2吸収シート22aの捩れや、第1吸収シート22に対する相対位置のずれを、さらに抑制することができる。その結果、第1吸収シート22から第2吸収シート22aへの液体の速やかな移動を実現することができる。
【0076】
図6は、吸収性物品1の他の好ましい例を示す断面図である。
図6は、吸収性物品1の幅方向に垂直な断面図であり、
図3に対応する。
図7は、
図6に示す吸収性物品1の第2吸収シート22aの平面図である。
図6および
図7に示す例では、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部において、第2上層シート221aと第2下層シート223aとが接合されて第1接合部251が形成される。各第1接合部251では、第2上層シート221aと第2下層シート223aとが互いに直接的に固定される。
【0077】
第2吸収シート22aの各第1接合部251は、第2吸収シート22aの幅方向に長い略矩形状の部位である。各第1接合部251の長手方向の長さは、例えば、5mm〜50mmである。各第1接合部251は、第2吸収シート22aの幅方向の略全長に亘って設けられる。第1接合部251における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定は、好ましくは、圧着による。より好ましくは、第1接合部251における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定は、エンボス加工による圧着により行われる。さらに好ましくは、第1接合部251における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定は、加熱を伴うエンボス加工による圧着により行われる。
【0078】
図6および
図7に示す例では、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部において、第2上層シート221aと第2下層シート223aとは互いに固定される。これにより、第2吸収シート22aの長手方向の端部から第2高吸収性材料222aが脱落することを防止することができる。また、第2吸収シート22aの長手方向の両端部を薄くすることができるため、吸収性物品1の着用感を向上することができる。さらに、尿等を吸収して膨潤した第2高吸収性材料222aが、第2吸収シート22aの長手方向の端部から漏出することを抑制することができる。
【0079】
上述のように、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定は、圧着による。これにより、第1接合部251において、第2上層シート221aと第2下層シート223aとを容易に、かつ、強固に固定することができる。また、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの当該固定は、エンボス加工による。これにより、第1接合部251において、第2上層シート221aと第2下層シート223aとを、より強固に固定することができる。さらに、第2上層シート221aと第2下層シート223aとの当該固定は、加熱を伴うエンボス加工による。これにより、第1接合部251において、第2上層シート221aと第2下層シート223aとを、より一層強固に固定することができる。
【0080】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る吸収性物品1aについて説明する。
図8は、吸収性物品1aの平面図である。
図9は、吸収性物品1aを
図8中のIX−IXの位置にて長手方向に垂直な面で切断した断面図であり、
図2に対応する。
図10は、吸収性物品1aの第2吸収シート22aの平面図である。吸収性物品1aは、第2吸収シート22aの幅が第1吸収シート22よりも小さい点を除き、
図1ないし
図3に示す吸収性物品1とおよそ同様である。以下の説明では、吸収性物品1の各構成に対応する吸収性物品1aの構成に同符号を付す。
【0081】
図8および
図9に示すように、第1吸収シート22の幅方向の両側では、第1吸収シート22が第2吸収シート22aの幅方向の端縁から幅方向に延出する。当該幅方向の両側において、第1吸収シート22の第2吸収シート22aからの延出部224aは、第2吸収シート22aの幅方向の端縁から幅方向に離間してバックシート23に接する側方バックシート接触領域225aを備える。換言すれば、側方バックシート接触領域225aの第2吸収シート22aに近い側の幅方向の端縁は、第2吸収シート22aの幅方向の端縁から幅方向に離間する。さらに換言すれば、第1吸収シート22の側方バックシート接触領域225aと第2吸収シート22aの幅方向の端縁との間には、吸収体20とバックシート23とが接触しない非接触領域が存在する。
【0082】
第1吸収シート22の幅方向の両側において、第1吸収シート22の側方バックシート接触領域225aはバックシート23に固定される。これにより、第1吸収シート22とバックシート23との間に位置する第2吸収シート22aの捩れや、第1吸収シート22に対する相対位置のずれを抑制することができる。その結果、第1吸収シート22から第2吸収シート22aへの液体の速やかな移動を実現することができる。側方バックシート接触領域225aとバックシート23との固定は、例えば、ホットメルト接着剤による接着により行われる。側方バックシート接触領域225aとバックシート23との固定は、他の様々な方法により行われてもよい。
【0083】
第1吸収シート22の幅方向の両側において、第1吸収シート22の側方バックシート接触領域225aと第2吸収シート22aの幅方向の端縁との間の幅方向の距離D2は、例えば、2mm以上20mm以下である。側方バックシート接触領域225aと第2吸収シート22aの幅方向の端縁との間には、第1吸収シート22と第2吸収シート22aとバックシート23とに囲まれる空間226a(以下、「側方コア端部空間226a」という。)が設けられる。側方コア端部空間226aは、第2吸収シート22aの略全長に亘って長手方向に略直線状に延びる。
【0084】
図10に示すように、第2吸収シート22aでは、長手方向の両端縁部において第2上層シート221aと第2下層シート223aとが非固定である。これにより、第2吸収シート22aの製造を簡素化することができる。その結果、吸収性物品1aの製造コストを低減することができる。
【0085】
図9および
図10に示すように、第2吸収シート22aでは、3つの第2接合部252と、2つの高吸収性材料固定部253とが交互に配置される。このように、複数の高吸収性材料固定部253を略ストライプ状に配置することにより、第2吸収シート22aにおいてゲルブロックが生じることを抑制することができる。その結果、ゲルブロックによる液戻りを抑制することができる。第2吸収シート22aの各第2接合部252は、第1吸収シート22の高吸収性材料固定部253と上下方向に重なる。また、第1吸収シート22の両側縁部(すなわち、幅方向の両側の端縁部)を除く2つの第2接合部252は、第2吸収シート22aの高吸収性材料固定部253と上下方向に重なる。これにより、第1吸収シート22を透過した液体を、第2吸収シート22aの高吸収性材料222aにより迅速に吸収することができる。
【0086】
図8および
図9に示す吸収性物品1aでは、第1吸収シート22が、幅方向の両側において第2吸収シート22aの幅方向の端縁から幅方向に延出している。幅方向の両側において、第1吸収シート22の第2吸収シート22aからの延出部224aは、第2吸収シート22aの幅方向の端縁から幅方向に離間してバックシート23に接する側方バックシート接触領域225aを備える。
【0087】
これにより、第1吸収シート22を透過して第2吸収シート22aに到達した液体のうち、第2吸収シート22aにてすぐには吸収されない液体を、第1吸収シート22の側方バックシート接触領域225aと第2吸収シート22aとの間にて、一時的に保持することができる。このため、第2吸収シート22aにてすぐには吸収されない液体が、第1吸収シート22を透過してトップシート21へと戻ること(すなわち、液戻り)を抑制することができる。その結果、トップシート21へと戻った尿等の液体が、着用者の肌に付着することを抑制することができる。
【0088】
上述のように、第1吸収シート22の幅方向の両側において、第1吸収シート22の側方バックシート接触領域225aと第2吸収シート22aの端縁との間の幅方向の距離D2は2mm以上20mm以下である。また、側方バックシート接触領域225aと第2吸収シート22aの上記端縁との間に第1吸収シート22と第2吸収シート22aとバックシート23とに囲まれる側方コア端部空間226aが設けられる。これにより、第1吸収シート22を透過して第2吸収シート22aに到達した液体のうち、第2吸収シート22aにてすぐには吸収されない液体を、側方コア端部空間226aにて一時的に、かつ、容易に保持することができる。その結果、上述の液戻りをさらに抑制することができる。
【0089】
上述の吸収性物品1,1aでは、様々な変更が可能である。
【0090】
例えば、吸収性物品1,1aの第1吸収シート22では、第1接合部251における第1上層シート221と第2上層シート221aとの固定は、加熱を伴わないエンボスにより行われてもよく、エンボス以外の圧着(例えば、ヒートシールまたは超音波シール)により行われてもよく、あるいは、圧着以外の様々な方法により行われてもよい。第1吸収シート22の第2接合部252における第1上層シート221と第1下層シート223との固定についても同様である。第2吸収シート22aの第2接合部252における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定についても同様である。
図6および
図7に示すように、第2吸収シート22aの長手方向の両端縁部に第1接合部251が設けられる場合、当該第1接合部251における第2上層シート221aと第2下層シート223aとの固定についても同様である。
【0091】
吸収性物品1,1aでは、第2吸収シート22aの第2上層シート221aと、第1吸収シート22の第1下層シート223とは、非固定であってもよい。これにより、第1吸収シート22と第2吸収シート22aとの間に接着剤等が設けられる場合に比べて、第1吸収シート22から第2吸収シート22aへ、尿等の液体を速やかに移動させることができる。
【0092】
吸収性物品1,1aでは、第1吸収シート22の第2吸収シート22aからの延出部224に設けられるバックシート接触領域225と、バックシート23とは非固定であってもよい。さらに、バックシート接触領域225は、第2吸収シート22aの長手方向の端縁と接していてもよい。
【0093】
吸収性物品1aでは、第1吸収シート22の第2吸収シート22aからの延出部224aに設けられる側方バックシート接触領域225aと、バックシート23とは非固定であってもよい。また、側方バックシート接触領域225aは、第2吸収シート22aの幅方向の端縁と接していてもよい。
【0094】
第1吸収シート22では、複数の高吸収性材料固定部253が略ストライプ状に配置されるが、複数の高吸収性材料固定部253の配置、および、各高吸収性材料固定部253の形状は、様々に変更されてよい。例えば、それぞれが平面視において略円形の複数の高吸収性材料固定部253が、マトリクス状に配置されてもよい。また、例えば、第1吸収シート22において、幅方向の両端縁部を除く領域全体に亘って、高吸収性材料222が配置されてもよい。第2吸収シート22aにおいても同様である。
【0095】
吸収性物品1,1aの平面視における形状は、様々に変更されてよい。例えば、吸収性物品1,1aの平面視における形状は、長手方向の両端部の幅が長手方向の中央部の幅よりも大きい略砂時計状であってもよい。
【0096】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。