特許第6707346号(P6707346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707346
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】脂肪族/半芳香族ブロックコポリアミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/28 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   C08G69/28
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-541186(P2015-541186)
(86)(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公表番号】特表2015-533918(P2015-533918A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】EP2013073702
(87)【国際公開番号】WO2014076120
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年10月13日
【審判番号】不服2018-6494(P2018-6494/J1)
【審判請求日】2018年5月11日
(31)【優先権主張番号】1260834
(32)【優先日】2012年11月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(73)【特許権者】
【識別番号】508026043
【氏名又は名称】セーエヌエールエス
【氏名又は名称原語表記】CNRS
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フセイン, ナジ
(72)【発明者】
【氏名】ロン, ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】フィヨ, ルイーズ−アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】トルイエ−フォンティ, リーズ
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 近野 光知
【審判官】 武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/003787(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G69/00-69/50,81/00-85/00
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの脂肪族ブロックと少なくとも1つの半芳香族ブロックとを含むコポリアミドの溶融製造方法であって、前記方法が少なくとも次の工程:
− 少なくとも1つの脂肪族ポリアミドと少なくとも1つの半芳香族ポリアミドとを混合する工程であって、前記脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドが、一緒に反応することができる官能基で末端停止されている工程と、
− 前記脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドが融解し、重縮合反応が前記脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミド間で起こり得るように混合物を加熱する工程と、
− 少なくとも1つの脂肪族ブロックと少なくとも1つの半芳香族ブロックとを含む前記コポリアミドを回収する工程と
を含む方法であって、
前記半芳香族ブロックの芳香族基は、少なくとも1個のヒドロキシルまたはスルホネート官能基を有する、方法。
【請求項2】
反応押出によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重縮合工程の継続時間が、30分未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記重縮合工程が行われる温度が、前記脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミド間で重縮合反応が起きる温度〜前記脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミド間で重縮合反応が起きる温度プラス80℃の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物が重縮合触媒を含み、前記触媒が亜リン酸、リン酸および次亜リン酸ナトリウムから選択されるリン触媒であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記脂肪族ポリアミドが、ジアミン、二酸および/またはアミノ酸に由来する繰り返し単位を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記脂肪族ポリアミドが、少なくとも1つの、タイプHN−R−NH(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルであり、Rは12個以下の炭素原子を含む)の脂肪族ジアミンを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記脂肪族ジアミンが、ヘキサメチレンジアミン、ブタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−メチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2−ジメチルペンタメチレンジアミン、ノナンジアミン、5−メチルノナンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,7,7−テトラメチルオクタメチレンジアミン、イソホロンジアミンならびにジアミノジシクロヘキシルメタンから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記脂肪族ポリアミドが、少なくとも1つの、タイプHOOC−R−COOH(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルであり、Rは12個以下の炭素原子を含む)の脂肪族二酸を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記脂肪族二酸が、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサン二酢酸および1,3−シクロヘキサン二酢酸から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記脂肪族ポリアミドが、タイプHN−R−COOH(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルであり、Rはまた、2〜18個の炭素原子を含、前記脂肪族ラジカルは線状、分岐または環状である)の、脂肪族アミノ酸に由来する繰り返し単位を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記脂肪族ポリアミドが、ただ一つのアミノ酸からおよび/またはただ1つのジアミン−二酸カップルからなり、この脂肪族ポリアミドが、PA6、PA11、PA12、PA46、PA66、PA610、PA612、PA106、PA1010、PA1012、PA126、PA1210およびPA1212からなる群から選択される脂肪族ポリアミドであことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記半芳香族ポリアミドが、少なくとも1つの芳香族二酸を含み、前記芳香族二酸が少なくとも8個の炭素原子を含み、前記芳香族二酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、つまりHIA、4−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、つまりNaISA、5−スルホイソフタル酸リチウム、つまりAISLi、および5−スルホイソフタル酸カリウム、つまりKISAから選択され、前記半芳香族ポリアミドのジアミンが、請求項7または8によって定義される少なくとも1つのジアミンを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記半芳香族ポリアミドが、少なくとも1つの芳香族ジアミンを含み、前記芳香族ジアミンが少なくとも8個の炭素原子を含み、m−キシリレンジアミン、つまりMXDおよび5−ヒドロキシ−m−キシリレンジアミンから選択され、前記半芳香族ポリアミドが、請求項9または10によって定義される少なくとも1つの二酸を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
半芳香族ポリアミドの含有率が、前記コポリアミドの総重量に対して、25重量%以下および5重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの脂肪族ポリアミドブロックと少なくとも1つの半芳香族ブロックとを含むブロックコポリアミドであって、特に芳香族基が少なくとも1個のヒドロキシルまたはスルホネート官能基を有するコポリアミドの、とりわけ反応押出による、溶融製造方法に、および得られたブロックコポリアミドに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマーは、たとえば車体、糸、繊維またはフィルムなど用の、とりわけ、ブローン、押出または成形品などの複数の物品へ、モールディング、射出成形、射出ブロー成形、押出、押出/ブロー成形または紡糸によって変形することができる出発材料である。
【0003】
熱可塑性ポリマーを変形するためのすべてのこれらのアプローチには特に2つの主要な制約がある。
【0004】
これらの制約の第1は、使用される熱可塑性ポリマーが、溶融体において、上述の成形プロセスに適合する粘度およびレオロジー挙動で特徴づけられなければならないことである。これらの熱可塑性ポリマーは、それらが融解しているときに、搬送され、ある種の成形機で容易におよび迅速に手際よく処理できるほど十分に流動性でなければならない。
【0005】
熱可塑性ポリマー組成物に負担を与える他の制約は、それらが融解し、成形され、冷却によって硬化させられた後に持たなければならない機械的品質と関係がある。これらの機械的品質はとりわけ熱機械的特性である。熱可塑性ポリマーの中で、ポリアミドは、工業的におよび商業的に重要なポリマーである。しかし、それらの機械的および特に熱機械的特性を改善することは常に望ましい。
【0006】
さらに、工業ポリアミドは、自動車分野などの、様々な分野で多くの物品の製造のために使用されており、こうした分野では、特に比較的高温での、剛性、衝撃強度、寸法安定性、外観、密度および重量の特有の特性が特に求められる。所与の用途についての材料の選択は一般に、ある種の特性に関して要求される性能のレベルにおよびその費用に左右される。実際に、性能および/または費用の観点から要件を満たすことができる新規材料の探索は、常に進行中である。
【0007】
たとえば、ポリアミド材料は、流体を含有するかまたは輸送するための単層または多層物品、たとえばチューブ、パイプ、タンクまたはフィルムを製造するために使用されている。しかし、これらの材料は、不十分なガスバリア性または液体バリア性を有する可能性があり、とりわけ、上述の特性などの他の特性との不満足な折衷を有する可能性がある。
【0008】
先行技術に記載されている(コ)ポリマーはとりわけ、物理的および/または熱機械的特性の観点から、特に流体透過性、とりわけエタノール透過性の、疲労強度のおよび/または衝撃強度の観点から満足できないことが判明する可能性がある。
【0009】
本発明はしたがって、上述の問題のすべてまたはいくらかを解決するためのポリアミドを提案すること、そしてとりわけ、とりわけ粘度、可撓性および成形の容易さ、費用、とりわけ流体に対する、特にエタノールに対する、バリア性、疲労強度および/または衝撃強度の観点から、改善された特性を有するポリアミドを提案することを目的とする。
【0010】
さらに、先行技術は、このタイプのブロックコポリアミドの取得方法を記載していない。特に、アルコールまたはスルホネート官能基を芳香族基上に有するモノマーを組み入れたポリアミドの場合には、先行技術は、統計的コポリアミドの生成を開示しているにすぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、行うのが容易である、多価である、および/または工業的プロセスに適合する条件下でこれらのコポリアミドの製造を可能にするブロックコポリアミドの取得方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1態様によれば、本発明の主題は、少なくとも1つの脂肪族ブロックと少なくとも1つの半芳香族ブロックとを含むコポリアミドの溶融製造方法であって、前記方法が少なくとも次の工程:
− 少なくとも1つの脂肪族ポリアミドと少なくとも1つの半芳香族ポリアミドとを混合する工程であって、前記ポリアミドが、一緒に反応することができる官能基で末端停止されている工程と、
− ポリアミドが融解し、重縮合反応がポリアミド間で起こり得るように混合物を加熱する工程と、
− 少なくとも1つの脂肪族ブロックと少なくとも1つの半芳香族ブロックとを含むコポリアミドを回収する工程と
を含む方法である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的のためには、用語「ブロックコポリアミド」は、コポリアミドが統計的ではなく、しかし少なくとも3つの繰り返し単位、とりわけ少なくとも4つの繰り返し単位の平均サイズのブロックを含むか、またはそれらからなることさえあることを意味する。脂肪族または半芳香族の、各タイプのブロックの平均長さは特に、本説明で下に定義される通りであってもよい。
【0014】
第2態様によれば、本発明の主題は、本説明に記載されるような方法によって得られ得るブロックコポリアミドである。
第3態様によれば、本発明の主題は、
− 少なくとも1つの脂肪族、特に半結晶性のポリアミドブロックと、
− 少なくとも1つの半芳香族、とりわけ半結晶性または非晶質のポリアミドブロックと
を含むブロックコポリアミドである。
【0015】
最も特に、本ポリアミドは線状である。
【0016】
第4態様によれば、本発明の主題は、本説明に定義されるようなブロックコポリアミドを含む組成物である。
【0017】
本発明は、少なくとも1つの脂肪族ブロックと少なくとも1つの半芳香族ブロックとを含むコポリアミドの製造方法であって、前記方法が少なくとも次の工程:
− 少なくとも1つの脂肪族ポリアミドと少なくとも1つの半芳香族ポリアミドとを混合する工程と、
− ポリアミドが融解し、重縮合反応がポリアミド間で起こり得るように混合物を加熱する工程と、
− 少なくとも1つの脂肪族ブロックと少なくとも1つの半芳香族ブロックとを含むコポリアミドを回収する工程と
を含む方法に関する。
【0018】
重縮合工程中に、アミドリシス、アシドリシスおよびアミノリシスなどの交換反応が起こり得る。これらの反応は、ブロックコポリアミドの加水分解をもたらし、最終的に統計的コポリアミドをもたらし得る。したがって速い反応時間および制限された反応継続時間をとりわけ用いて、これらの反応を制限することが望ましい。
【0019】
重縮合反応が行われる温度は、存在するポリアミドの最高融点、つまり、すなわち縮合してコポリマーを形成することを意図されるもののThmよりも上である。
【0020】
この工程が行われる温度は特に、最高融点〜最高融点プラス80℃、とりわけThm+20℃〜Thm+80℃、特にThm+25℃〜Thm+50℃の範囲であってもよい。
【0021】
最も特に、重縮合工程は、比較的短い時間にわたって行われる。特に、この工程は、30分未満、とりわけ20分未満、またはさらに10分未満、最も特に6分未満続いてもよい。さらに、この工程は、少なくとも2分、とりわけ少なくとも2.5分続いてもよい。この重縮合工程はしたがって、2〜10分、特に2.5〜6分の範囲の期間にわたって行われてもよい。
【0022】
混合物はまた、とりわけリン系触媒などの重縮合触媒を含んでもよい。この触媒はとりわけ、亜リン酸、リン酸および次亜リン酸ナトリウム、特に次亜リン酸ナトリウムから選択されてもよい。この触媒は、出発脂肪族および半芳香族ポリアミドの総重量に対して重量で50〜200ppm、とりわけ70〜120ppmの範囲の含有率で存在してもよい。
【0023】
最も特に、重縮合工程は、溶融体で、すなわち、共重縮合することが望まれるポリアミドの最高融点以上の温度で行われる。最も特に、この工程は、反応押出によって行われる。これはとりわけ、ブロックコポリマーを製造することおよび加水分解反応を制限すること、このようにして統計的ポリマーを最終的にもたらす結合開裂/形成を制限することを可能にし得る。
【0024】
脂肪族および半芳香族ポリアミド鎖は、一緒に反応することができる官能基、とりわけ酸およびアミン官能基で末端停止されている。末端酸官能基はまた、完全にまたは部分的に、アシルクロリドまたは酸無水物などの、「活性化」形態にあってもよい。末端アミン官能基は、特に第一級アミンである。
【0025】
脂肪族ポリアミドは、ジアミン、二酸および/またはアミノ酸に由来する繰り返し単位を含んでも、それらからなることさえあってもよく、特に繰り返し単位は、二酸およびジアミン、最も特に二酸/ジアミンカップルである。
【0026】
脂肪族ジアミンは、タイプHN−R−NH(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子、特に少なくとも4個の炭素原子、最も特に少なくとも6個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルである)のものであってもよい。Rはまた、12個以下の炭素原子を含んでもよい。2つのアミン官能基は、少なくとも6個の炭素原子、またはさらには少なくとも6個の炭素原子によって分離されていてもよい。脂肪族ジアミンは、1,10−ジアミノデカンなどの、線状脂肪族ジアミン;2−メチル−1,6−ジアミノヘキサンなどの、分岐脂肪族ジアミン;またはジ(アミノメチル)シクロヘキサンジアミンなどの、環状脂肪族ジアミンであってもよい。
【0027】
脂肪族ジアミンは、ヘキサメチレンジアミン、ブタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−メチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2−ジメチルペンタメチレンジアミン、ノナンジアミン、5−メチルノナンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,7,7−テトラメチルオクタメチレンジアミン、イソホロンジアミンならびにジアミノジシクロヘキシルメタンからとりわけ選択されてもよい。最も特に、脂肪族ジアミンはヘキサメチレンジアミンである。
【0028】
脂肪族二酸は、タイプHOOC−R−COOH(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子、特に少なくとも4個の炭素原子、最も特に少なくとも6個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルである)のものであってもよい。Rはまた、12個以下の炭素原子を含んでもよい。2つの酸官能基は、少なくとも6個の炭素原子、またはさらには少なくとも6個の炭素原子によって分離されていてもよい。脂肪族ラジカルは、線状、分岐または環状であってもよい。
【0029】
脂肪族二酸は、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサン二酢酸および1,3−シクロヘキサン二酢酸から選択されてもよい。特に、それはアジピン酸である。
【0030】
脂肪族ポリアミドが、脂肪族アミノ酸に由来する繰り返し単位を含むか、またはそれらからなることさえある場合、それらは、タイプHN−R−COOH(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子、特に少なくとも4個の炭素原子、最も特に少なくとも6個の炭素原子を含む脂肪族ラジカルである)のものであってもよい。Rはまた、18個以下の炭素原子、とりわけ12個以下の炭素原子を含んでもよい。脂肪族ラジカルは、線状、分岐または環状であってもよい。特に、アミノ酸またはラクタムは、カプロラクタム、アミノウンデカン酸およびラウリルラクタム、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0031】
脂肪族ポリアミドがアミノ酸またはラクタムに由来する場合には、とりわけ連鎖ブロッカー、たとえば酸官能基をブロックするためのモノアミンまたはアミン官能基をブロックするための一酸との反応によって、GTA/GTC不均衡をもたらすことが有利である。
【0032】
脂肪族ポリアミドがジアミンと二酸とを含む場合には、とりわけ過剰のジアミンまたは二酸を使って、および/または連鎖ブロッカーの添加によって、GTA/GTC不均衡をもたらすことがまた有利である。
【0033】
脂肪族ポリアミドは、次のポリアミド:PA6、PA11、PA12、PA46、PA66、PA610、PA612、PA106、PA1010、PA1012、PA126、PA1210およびPA1212から、最も特にPA6、PA11、PA12、PA66、PA610、PA612、PA106、PA1010、PA1012、PA126、PA1210およびPA1212
から選択される少なくとも1つのポリアミドを含んでもよい。
【0034】
特定の実施形態によれば、脂肪族ポリアミドは、単一のアミノ酸からおよび/または単一のジアミン−二酸カップルからなってもよい。最も特に、脂肪族ポリアミドは、ヘキサメチレンジアミンからおよびアジピン酸から、すなわち、PA66からなる。
【0035】
別の実施形態によれば、ポリアミドは、少なくとも2つのアミノ酸および/または少なくとも2つのジアミン−二酸カップル、すなわち、少なくとも2つの二酸および1つのジアミンまたは1つの二酸および2つのジアミンを含む。
【0036】
特に、本方法に使用されるポリアミドは、特に熱重量分析、TGAによって測定される、少なくとも350℃まで安定である。
【0037】
脂肪族ポリアミドは、20000以上の重量平均分子量Mwを有してもよい。それらは、10000〜50000g/モルの範囲、とりわけ20000〜40000g/モルの範囲の重量平均分子量を有してもよい。
【0038】
有利には、脂肪族ポリアミドは半結晶性である。それはそのとき、
− 少なくとも25%の、とりわけ30%〜40%の範囲の結晶化度、つまりXc、
− 60℃以上のガラス転移温度、つまりTg、および/または
− 250℃以上、とりわけ250〜300℃の範囲の融点、つまりTm
を有してもよい。
【0039】
半芳香族ポリアミドは、ジアミン、二酸および/またはアミノ酸に由来する繰り返し単位を含んでも、それらからなることさえあってもよく、特に繰り返し単位は二酸およびジアミン、最も特に二酸/ジアミンカップルである。
【0040】
ジアミンは、脂肪族および二酸芳香族であってもよいか、またはジアミンは、脂肪族および二酸芳香族であってもよい。
【0041】
脂肪族二酸および脂肪族ジアミンは、脂肪族ポリアミドブロックとの関連で上に定義された通りであってもよい。
【0042】
芳香族二酸はとりわけ、少なくとも8個の炭素原子、および任意選択的に1個以上のヘテロ原子、とりわけアルコールおよび/またはスルホネート型の官能基を含んでもよい。二酸の中に、テレフタル酸、イソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、つまりNaISA、5−スルホイソフタル酸リチウム、つまりLiISA、および5−スルホイソフタル酸カリウム、つまりKISAが挙げられてもよい。
【0043】
芳香族ジアミンはとりわけ、少なくとも8個の炭素原子、および任意選択的に1個以上のヘテロ原子、とりわけアルコールおよび/またはスルホネート型の官能基を含んでもよい。芳香族ジアミンの中に、m−キシリレンジアミン、つまりMXD、および5−ヒドロキシ−m−キシリレンジアミンが挙げられてもよい。
【0044】
半芳香族ポリアミドが芳香族二酸を含む場合には:
− 二酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸および2,5−ジヒドロキシテレフタル酸から選択されてもよい、および/または
− ジアミンは、ヘキサメチレンジアミン、ブタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−メチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2−ジメチルペンタメチレンジアミン、ノナンジアミン、5−メチルノナンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,7,7−テトラメチルオクタメチレンジアミン、イソホロンジアミンならびにジアミノジシクロヘキシルメタンから選択されてもよい。
【0045】
特に、本ポリアミドは、最も特にたった一つのジアミンと組み合わせて、二酸としてただ一つの芳香族二酸、特にある芳香族二酸を含む。
【0046】
半芳香族ポリアミドが芳香族ジアミンを含む場合には:
− 二酸は、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2−もしくは1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,2−もしくは1,3−シクロヘキサン二酢酸から選択されてもよい、および/または
− ジアミンは、m−キシリレンジアミン、つまりMXD、および5−ヒドロキシ−m−キシリレンジアミンから選択されてもよい。
【0047】
特に、本ポリアミドは、最も特にたった一つの二酸と組み合わせて、ジアミンとしてただ一つの芳香族ジアミン、特にある芳香族ジアミンを含む。
【0048】
最も特に、半芳香族ポリアミドは半結晶性である。この場合には、それは、MXD6もしくはPA6Tブロック、またはヘキサメチレンジアミン・テレフタル酸ポリアミドであってもよい。
【0049】
半結晶性の半芳香族ポリアミドは、10000g/モル以上、特に10000〜35000g/モルの範囲の重量平均分子量を有してもよい。
【0050】
半結晶性の半芳香族ポリアミドは:
− 少なくとも10%、とりわけ10%〜30%の範囲の結晶化度、
− 60℃以上、とりわけ100℃超、特に100〜170℃の範囲のTg、および/または
− 250℃以上、とりわけ250〜300℃の範囲のTm
を有してもよい。
【0051】
特定の一実施形態によれば、半芳香族ポリアミドは非晶質である。この場合には、それは、PA6HIA、すなわち、ヘキサメチレンジアミン・5−ヒドロキシイソフタル酸ポリアミド、PA6I、すなわち、ヘキサメチレンジアミン・イソフタル酸ポリアミド、またはPANDT/INDT、すなわち、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン・テレフタル酸ポリアミドであってもよい。半芳香族ポリアミドが非晶質である場合には、それは、100℃以上、とりわけ100〜170℃の範囲のTgを有してもよい。
【0052】
半芳香族ポリアミドが非晶質である場合には、本コポリアミド中のそれの重量平均質量、Mwは、15000g/モル以下、またはさらには13000g/モルであってもよい。
【0053】
半芳香族ポリアミドの含有率は、ポリアミドの総重量に対して25重量%以下、とりわけ20重量%以下であってもよい。それは、コポリアミドの総重量に対して5重量%以上、とりわけ8重量%以上であってもよい。
【0054】
最も特に、脂肪族ポリアミドがGTC>GTAを有する場合、半芳香族ポリアミドはGTA>GTCを有し、逆もまた同様である。これはとりわけ、これらのポリアミド間の共重縮合を向上させることを可能にし得る。アミン末端停止脂肪族ポリアミドと酸末端停止半芳香族ポリアミドとの使用は、または逆もまた同様に、カップリング反応を増加させること、および交換反応を減少させることを可能にし得る。
【0055】
特に、脂肪族ポリアミドは、150ミリ当量/kg以上、とりわけ180ミリ当量/kg以上、特に220ミリ当量/kg以上、最も特に260ミリ当量/kg以上、さらにより特に300ミリ当量/kg以上、またはさらに320ミリ当量/kg以上の|GTA−GTC|を有する。
【0056】
特に、半芳香族ポリアミドは、40ミリ当量/kg以上、とりわけ50ミリ当量/kg以上、特に60ミリ当量/kg以上、最も特に60ミリ当量/kg以上、さらにより特に65ミリ当量/kg以上、またはさらに70ミリ当量/kg以上の|GTA−GTC|を有する。
【0057】
GTAおよびGTCは、ポリアミドの1kg当たりのアミンおよびカルボン酸末端基の濃度を表す。それらは、TFE/CHClへのポリアミドの溶解によって測定され、アミン官能基は次に、HClでの電位差分析によって測定され、一方、カルボン酸官能基は、塩基TBOHの添加後の逆滴定によって分析される。
【0058】
本ポリアミドが、この測定を可能にする溶剤に不溶である場合には、GTAおよびGTCはNMRによって測定される。そのような方法は、実施例において明示される。
【0059】
使用されるポリアミドは、Karl Fischer滴定法によって測定される、制限された含水率、とりわけ1000ppm未満、特に500ppm未満の含水率を有してもよい。特に、これらの測定は、乾燥ポリアミド、すなわち、500ppm未満の含水率のポリアミドに関して行われる。
【0060】
本方法は、特に顆粒の形態の、本コポリアミドの押出の工程を含んでもよい。
【0061】
本方法はまた、とりわけ本コポリアミドの押出後に、冷却工程を含んでもよい。
【0062】
特定の実施形態によれば、本方法は:
− 2〜10分の範囲の時間の重縮合工程、
− 重縮合触媒、とりわけ亜リン酸、リン酸または次亜リン酸ナトリウム、
− 150ミリ当量/kg以上の|GTA−GTC|の、特に上に定義されたような、脂肪族ポリアミド、
− 40ミリ当量/kg以上の|GTA−GTC|の、特に上に定義されたような、半芳香族ポリアミド、および/または
− 下に定義されるようなブロックコポリアミドを得るために
を含む。
【0063】
本ブロックコポリアミドは半結晶性である。特に、それが1つ以上の非晶質の半芳香族ブロックを含む場合には、本コポリアミドは、20%以上の結晶化度を有してもよい。一般に、この結晶化度は、20%〜50%の範囲であってもよい。最も特に、半芳香族ポリアミドが非晶質である場合には、本コポリアミドは、半結晶性の脂肪族ポリアミドのそれに対して、少なくとも90%の、とりわけ少なくとも95%の、またはさらには少なくとも98%の結晶化度を有する。たとえば、PA66型(そのXcは33%である)の脂肪族ポリアミドの場合には、本コポリアミドの結晶化度は、29.7以上、とりわけ31.35に等しい、またはさらには32.34に等しくてもよい。
【0064】
さらに、それは、本コポリアミドの結晶性構造を有してもよく、半結晶性の脂肪族ポリアミドのそれと同じタイプのものであってもよい。たとえば、脂肪族ポリアミドがPA66である場合には、本コポリアミドは、スフェルライトおよび薄板状構造を有してもよい。
【0065】
最も特に、本ブロックコポリマーは線状である。
【0066】
本ブロックコポリアミドは、ポリアミド型の繰り返し単位を専ら含んでもよい。本ブロックコポリアミド中に存在するブロックは特に、上に定義された方法によって得られる通りである。
【0067】
その結果として、これらのブロックのモノマーの性質は、特に上に定義されたような、本発明による方法に使用される脂肪族および半芳香族ポリアミドのモノマーの定義に対応する。
【0068】
本コポリアミドは、少なくとも1つの脂肪族ポリアミドブロックを含む。それは、少なくとも2つ、とりわけ少なくとも3つ、特に少なくとも4つ、またはさらには少なくとも5つの脂肪族ポリアミドブロックを含んでもよい。これらのブロックは、同一であっても異なってもよい。有利には、脂肪族ポリアミドブロックはすべて同一である、すなわち、それらは同じ繰り返し単位を含む。
【0069】
脂肪族ポリアミドブロックは、平均して、少なくとも8つの繰り返し単位、特に少なくとも14の繰り返し単位、最も特に少なくとも18の繰り返し単位、またはさらには少なくとも20の繰り返し単位、最も特に少なくとも30の繰り返し単位、またはさらには少なくとも40の繰り返し単位を含んでもよい。繰り返し単位の数は、実施例に記載されるように、NMRによって測定され得る。
【0070】
脂肪族ポリアミドブロックはしたがってそれぞれ、1800g/モル以上、とりわけ3100g/モル以上、特に4500g/モル以上、またはさらに7500g/モル以上の重量平均モル質量、Mwを有してもよい。
【0071】
本発明によるコポリアミドは、少なくとも1つの半芳香族ポリアミドブロックを含む。それは、少なくとも2つ、とりわけ少なくとも3つ、特に少なくとも4つ、またはさらには少なくとも5つの脂肪族ポリアミドブロックを含んでもよい。これらのブロックは、同一であっても異なってもよい。有利には、半芳香族ポリアミドブロックはすべて同一である、すなわち、それらは同じ繰り返し単位を含む。
【0072】
特に、半芳香族ポリアミドブロックが非晶質である場合には、それは、7000g/モル以下、とりわけ5000g/モル以下の重量平均モル質量、Mwを有してもよい。特に、それは、3000〜6500g/モル、またはさらには3500〜5000g/モルの範囲の重量平均モル質量、Mwを有してもよい。
【0073】
半芳香族ポリアミドブロック、特に非晶質の半芳香族ポリアミドブロックは、3つ以上の繰り返し単位、とりわけ4つ以上の繰り返し単位の平均サイズを有してもよい。それらはまた、10以下の繰り返し単位の平均サイズを有してもよい。
【0074】
半芳香族ポリアミドブロックが半結晶性である場合には、その重量平均モル質量、Mwは、3500〜15000g/モルの範囲であってもよい。
【0075】
特に、本コポリアミドは、とりわけ上に定義されたように、アルコールおよびスルホネートから選択される少なくとも1つの官能基を有するモノマーを含む。これらのモノマーは、最も特に上に定義されたような、さらにより特にHIAまたはAISLi型の、特に芳香族モノマーであってもよい。
【0076】
本コポリアミドは、特に半芳香族ブロックが非晶質である場合、本コポリマーの総重量に対して25重量%以下、とりわけ20重量%以下の含有率の半芳香族ブロックを含んでもよい。半芳香族ブロックの含有率は、本コポリアミドの総重量に対して5重量%以上、とりわけ8重量%以上であってもよい。
【0077】
本コポリアミドは、40000g/モル超、とりわけ65000g/モル以上、特に65000g/モル以上の重量平均分子量、Mwを有してもよい。特に、重量平均分子量は、70000〜120000g/モルの範囲であってもよい。
【0078】
線状ポリアミドは、擬可塑性挙動を有する、すなわち、せん断速度の関数として、280℃で測定される、それらの粘度η(エータ)は、低いせん断(<200s−1)でニュートンプラトーを、そして次にせん断速度が増加するにつれて粘度の低下を示す。
【0079】
本発明によるコポリマー、特にPA66/6HIAは、PA66の粘度よりも約10倍高い低いせん断速度(<200s−1)での粘度ηを有する。他方では、せん断速度が増加する場合、本コポリマーと相当する線状脂肪族PA、とりわけPA66との間の粘度ηの差は減少する。たとえば、PA66/6HIAの場合には、3000s−1での粘度ηは、PA66のそれよりも1.5〜3倍高いにすぎない。
【0080】
したがって、本発明によるコポリマーは、それらが標準ポリアミドのそれよりも、特にPA66よりもさらにより顕著であるせん断依存性の粘度の差を有するので、実施の観点から非常に有利である。これは、射出成形および押出ブロー成形といった多様なプロセスでの容易な実施を可能にする。
【0081】
その態様の1つによれば、本発明の主題は、
− 最も特に実施例に明示される方法で測定される、特にPA66に対する、せん断速度の関数としての、ポリマー組成物、特にポリアミドの粘度ηの差を増加させるための試剤、
− ポリマー組成物、特にポリアミドの衝撃強度を向上させるための試剤であって、前記衝撃が場合により、最も特に実施例に明示される方法で測定される、Charpy(シャルピー)衝撃である試剤、
− ポリマー組成物、特にポリアミドの不透過性を向上させるための試剤であって、前記不透過性が場合により、最も特に実施例に明示される方法で測定される、エタノール不透過性である試剤、および/または
− ポリマー組成物、特にポリアミドの疲労寿命を向上させるための試剤であって、前記疲労寿命が場合により、実施例に明示される方法で測定される試剤
としての本発明によるブロックコポリマーの使用である。
【0082】
本発明はまた、ブロックコポリアミドを含む組成物であって、この組成物が場合により、とりわけ顆粒の形態にある組成物に関する。
【0083】
一変形によれば、本組成物はポリマーとして、とりわけポリアミドとして、本発明によるたった一つのもしくはそれ以上のブロックコポリアミドを含む。
【0084】
別の変形によれば、本組成物はポリマーとして、本発明による1つ以上のブロックコポリアミドと、少なくとも1つの他の熱可塑性ポリマー、特に、とりわけ上に定義されたような、そしてより特にPA6および/またはPA66型の、少なくとも1つの脂肪族および/または半芳香族ポリアミドとを含む。
【0085】
最も特に、本組成物はポリマーとして、本発明によるブロックコポリアミドと、とりわけ上に定義されたような、そしてより特にPA6および/またはPA66型の、少なくとも1つの脂肪族および/または半芳香族ポリアミドとのみを含む。
【0086】
本発明によるブロックコポリアミドは、組成物中に存在するポリマーの総重量に対して、2重量%〜90重量%、とりわけ5重量%〜50重量%、またはさらには10重量%〜30重量%の範囲の含有率で組成物中に存在してもよい。
【0087】
本発明によるブロックコポリアミドは、組成物中に存在するポリアミドの総重量に対して、2重量%〜99重量%、とりわけ5重量%〜40重量%、またはさらには10重量%〜25重量%の範囲の含有率で組成物中に存在してもよい。
【0088】
本発明による組成物は、補強材および/または増量材、たとえば繊維充填材および/または非繊維充填材を含んでもよい。
【0089】
繊維充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、アラミド繊維およびナノチューブ、特にカーボンナノチューブが挙げられてもよい。天然繊維としては、大麻および亜麻が挙げられてもよい。非繊維充填材の中に、すべての微粒子充填材もしくは薄板状充填材および/または、アルミナ、カーボンブラック、アルミノシリケート粘土、モンモリロナイト、リン酸ジルコニウム、カオリン、炭酸カルシウム、珪藻土、黒鉛、雲母、シリカ、二酸化チタン、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、たとえば、ジメタクリレート粒子などの、ポリマー充填材、ガラスビーズもしくはガラス粉末などの、剥離性もしくは非剥離性ナノフィラーが特に挙げられてもよい。
【0090】
本組成物がいくつかのタイプの補強材を含むことは可能である。優先的には、最も広く使用される充填材は、「刻まれた」タイプの、とりわけ7〜14μmの直径を有するガラス繊維であり得る。これらの充填材は、繊維とポリアミドマトリックスとの間の機械的接着を確実にする、表面サイジングを有してもよい。
【0091】
補強材または増量材の重量濃度は、組成物の総重量に対して1重量%〜60重量%、組成物の総重量に対してとりわけ15重量%〜50重量%の範囲であってもよい。
【0092】
本組成物は、任意の種類の難燃剤、すなわち、火炎伝播を低下させるおよび/または難燃特性を有する化合物を含んでもよく、難燃剤は当業者によく知られている。これらの難燃剤は通常、難燃性組成物中に使用されており、たとえば、参照のために本明細書に引用される、米国特許第6,344,158号明細書、米国特許第6,365,071号明細書、米国特許第6,211,402号明細書および米国特許第6,255,371号明細書にとりわけ記載されている。有利には、難燃剤系は、以下に記載のものからなる群から選択される少なくとも1種の難燃剤を含む:
− 以下のような、リンを含有する難燃剤:
+ ホスフィンオキシド、たとえばトリフェニルホスフィンオキシド、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシドおよびトリス(3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ホスフィンオキシド、
+ ホスホン酸もしくはそれらの塩またはホスフィン酸もしくはそれらの塩、たとえばホスフィン酸の亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムまたはマンガン塩、特にジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩またはジメチルホスフィン酸の亜鉛塩、
+ 環状ジホスフェートエステル、たとえばAntiblaze 1045などの、環状ホスホネート、
+ トリフェニルホスフェートなどの、有機ホスフェート、
+ ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸ナトリウムなどの、無機リン酸塩、
+ たとえば、粉末としての、またはマスターバッチの形態の、安定化された形態か被覆された形態かのどちらかの、赤リン、
− 有機窒素化合物型、たとえばトリアジン、シアヌル酸および/またはイソシアヌル酸、メラミンもしくは、メラミンシアヌレート、メラミンオキサレート、フタレート、ボレート、スルフェート、ホスフェート、ポリホスフェートおよび/またはピロホスフェートなどの、その誘導体、メレム、メラムおよびメロンなどの、縮合メラミン生成物、トリ(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ベンゾグアナミン、グアニジン、アラントインならびにグリコルリルの難燃剤
− 以下のような、ハロゲン化誘導体を含有する難燃剤、
+ 臭素誘導体、たとえばPBDPO(ポリブロモジフェニルオキシド)、BrPS(臭素化ポリスチレンおよびポリブロモスチレン)、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、臭素化インダン、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン(Saytex 120)、Albemarle製の1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、つまりSaytex 8010、テトラブロモビスフェノールAおよび臭素化エポキシオリゴマー。臭素化誘導体の中に、とりわけ、Chemtura製のPDBS−80などのポリジブロモスチレン、Albemarle製のSaytexHP 3010またはDead Sea Bromine Group製のFR−803Pなどの臭素化ポリスチレン、Dead Sea Bromine Group製のデカブロモジフェニルエーテル(DBPE)、つまりFR−1210、Dead Sea Bromine Group製のオクタブロモジフェニルエーテル(OBPE)、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、つまりFR−245、Dead Sea Bromine Group製のポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、つまりFR−1025、および、Dead Sea Bromine Group製のF−2300およびF−2400などの、テトラブロモビスフェノールAのエポキシ末端のオリゴマーまたはポリマーが挙げられてもよい、
+ 塩素化化合物、たとえば、Dechlorane Plus(登録商標)(OxyChemによって販売される、CAS 13560−89−9を参照されたい)などの、塩素化脂環式化合物。
【0093】
これらの化合物は、単独でまたは組み合わせて、時には相乗的に使用されてもよい。ホスフィンオキシド、ホスホン酸もしくはそれらの塩、またはホスフィン酸もしくはそれらの塩、および環状ホスホネートなどの、リン化合物と、メラム、メレム、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンピロホスフェートまたはポリリン酸アンモニウムなどの、窒素誘導体との相乗的組み合わせが特に好ましい。とりわけ、相乗剤として、アンチモン化合物、金属酸化物およびホウ酸亜鉛が使用されてもよい。
【0094】
本組成物は、組成物の総重量に対して、5重量%〜40重量%の難燃剤を含んでもよい。
【0095】
本発明による組成物はまた、ポリアミド組成物の製造に通常使用される充填材および/または添加剤を含んでもよい。したがって、滑剤、可塑剤、核剤、耐衝撃性改良剤、触媒、光および/または熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、艶消剤、成形助剤または他の通常の添加剤が挙げられてもよい。
【0096】
特に、衝撃強度を改良する試剤をポリアミド組成物に添加することが可能である。それは一般に、この目的に使用され得るエラストマーポリマーである。靱性改質剤は一般に、約500MPa未満のASTM D−638引張弾性率を有すると定義される。好適なエラストマーの例は、エチレン/アクリルエステル/無水マレイン酸製品、エチレン/プロピレン/無水マレイン酸製品または任意選択的にグラフト化無水マレイン酸ありのエチレン/プロピレン/ジエンモノマー製品(EPDM)である。エラストマーの重量濃度は有利には、組成物の総重量に対して0.1%〜30%である。
【0097】
ポリアミドと反応する官能基を含む耐衝撃性改良剤がとりわけ好ましい。たとえば、エチレンと、アクリルエステルとグリシジルメタクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸ブチルエステルとのコポリマー、エチレンと、n−ブチルアクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたスチレン−マレイミドコポリマー、無水マレイン酸で変性されたスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたスチレン−アクリロニトリルコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、およびそれらの水素化型が挙げられてもよい。全組成物中のこれらの改質剤の重量割合は、とりわけ0.1%〜40%である。
【0098】
これらの充填材および添加剤は、各充填材または添加剤に適した普通のやり方で変性ポリアミドに添加されてもよい。本発明の材料および組成物は一般に、特にメカニカルミキサーで、ポリアミド樹脂を融解媒体として保つのに十分な温度で、たとえば単軸または二軸スクリュー押出機で、ホット条件下に、またはコールド条件下に様々な成分をブレンドすることによって得られる。
【0099】
一般に、得られたブレンドは棒状に押し出され、それは顆粒を形成するために小片へ切断される。化合物は、とりわけプラスチックマトリックスとのホットまたはコールドブレンディングによって、プラスチックの製造プロセスの任意のポイントで添加されてもよい。化合物および添加剤の添加は、純粋な形態でまたは、マトリックス、たとえばプラスチックマトリックス中の濃厚混合物の形態でこれらの化合物を融解プラスチックマトリックスに添加することによって行われてもい。
【0100】
本組成物は優先的には、射出成形プロセスによる物品の製造にとりわけ役立つ、たとえば顆粒もしくは粉末の形態の、成形される組成物である。本発明による組成物は、任意のプラスチック成形プロセス、たとえば、成形プロセス、とりわけ射出成形、回転成形、焼結もしくはキャスティング、または、押出ブロー成形およびフィルム成形などの、押出プロセスに使用され得る。本発明はしたがってまた、本発明の組成物を成形することによる成形品または押出品の製造方法に関する。
【0101】
さらに、物品の製造方法に使用される本コポリアミド組成物は有利には、とりわけ1000ppm以下、特に500ppmの含水率を有するように、成形前に乾燥させられる。
【0102】
本発明の主題はしたがってまた、特にモールディング、とりわけ射出成形、回転成形、焼結もしくはキャスティングによる、または押出ブロー成形およびフィルム成形などの押出による、組成物の成形を含む、物品の製造方法である。本組成物は特に顆粒の形態にある。
【0103】
この方法は、とりわけ真空下に110℃で12時間乾燥させ、それに続いてとりわけそれを室温に戻るに任せることによって、ゆっくり冷却するという、物品の後処理の工程を含んでもよい。これは、測定することを意図される物品の場合に特に行われてもよい。
【0104】
以下の実施例は、本発明の例示として与えられる。
【実施例】
【0105】
実施例1:コポリアミド 90/10 PA66/6HIA
下に示される特性は、以下の技法によって測定した:
【0106】
DSC:Tc、ΔHc、Tm、ΔHm、Xc[PA66]
熱特性(融点および結晶点、Xc)は、TA Q2000熱量計を用いる標準的なDSCで測定した。顆粒または検体から採取された試料(8mg)を、窒素の流れ下に非密封カプセル中に入れ、次に25℃から290℃まで10℃/分の温度ランプでフラッシュしてTmを測定する。溶融後に、290℃から25℃まで冷却ランプを適用してTcを測定した。
【0107】
GPC:Mn、Mw、Mz
検体または顆粒から採取された試料(数mg)を、ジクロロメタン/トリフルオロ酢酸無水物混合物(95:5v/v DCM/TFAA)に溶解させる。室温で4時間攪拌した後、溶液を、0.2μmフィルターを通して濾過し、次にPL GPC 120機械のカラム(5μm粒子入りの4つの60cm PLGEL MIXTE Cカラム)中へ注入する。溶出流量を1ml/分に設定する。カラム出口での検出は、屈折計およびUV2000スペクトル検出器で行った。
【0108】
NMR:平均鎖長(LPA66およびLPA6HIA
13C NMR分析は、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールを溶剤として使用して300KでBrueker AV500スペクトロメーターで行った。13Cスペクトルは、以下のパラメーターを使って記録した:125.76MHzの周波数、261.5ppmの掃引幅および2秒の収集時間、パルス幅9μsならびに8200集積につき3の遅れ。
【0109】
ブロック長さ分析結果は、アミド官能基のアルファ位のアミンの炭素に相当するピークの面積から求めた。(BBおよびBA)は、脂肪族二酸に連結されたジアミンの2個の炭素を意味し、(AAおよびAB)は、芳香族二酸に連結されたジアミンのそれらを意味する。
各ブロックの平均長さは、次式に従って計算される:
PA66=1/PBA=([BB]/[BA])+1=(IBB/2IBA)+1
PA6HIA=1/PAB=(IAA/2IAB)+1
ここで、
BAは、ヘキサメチレンジアミン、それに続くアジピン酸を見いだす確率(PBA=[BA]/([BB]+[BA])を表し、
ABは、ヘキサメチレンジアミン、それに続くヒドロキシイソフタル酸を見いだす確率(PBA=[AB]/([AA]+[AB])を表し、
Iは、NMRシグナルの強度を表す。
【0110】
NMR:標準的な測定が使用できない場合のGTA/GTC測定
NMRは、PA6HIAを溶解させるための重水素化溶剤(この場合にはDCOOC)中で行った。次の単位の特徴的なプロトン化学シフトがそのとき積分された:
− (1H)鎖末端HIA単位:強度C
− (2H)鎖末端アミン単位(HMD):強度D
− (1H)遊離HIA(添加によって測定):強度E
その結果:NHIA末端=強度C;NHIA遊離=強度E;NHMD末端=(強度D)/2
【0111】
次に、GTAおよびGTCは、次の関係に従って計算される:
GTA=(2000000/Mn)/[1+(NHIA末端+2×NHIA遊離)/NHMD末端
GTC=(2000000/Mn)−GTA
【0112】
使用される化合物は、次の通りである:
PA66は、10500のMnおよび35000のMwを有する。それは、105ミリ当量/kgのGTAおよび32.7ミリ当量/kgのGTCを有する。
【0113】
PA6HIAは、6500のMnおよび13800のMwを有する。それは、385ミリ当量/kgのGTおよび47ミリ当量/kgのGTCを有する。
【0114】
次亜リン酸ナトリウムは、純度99%であり、Aldrich製である。
【0115】
300〜400ppmの範囲の含水率(Karl Fischer)のPA66およびPA6HIA顆粒を使用した。
【0116】
用いられる装置は、次の通りである:
用いられる押出機は、2つの共回転スクリュー直径34mmおよび35の長さ/直径比L/Dを含むLeistritz押出機である。シースは、制御された温度の8ゾーンからなり、温度は、第1ゾーンの285℃から最終ゾーンの305℃までの範囲の勾配で調節され、308℃の溶融体の温度に達した。
【0117】
スクリュープロフィール、回転速度および押出量を、重縮合反応のために必要な滞留時間(3分)を有するように調節した。押出機を出る材料を、棒状に引き出し、固化棒を得るために水中で迅速に冷却する。それを次に顆粒の形にする。
【0118】
手順:
90/10重量比のPA66顆粒とPA6HIA顆粒と次亜リン酸ナトリウム、組成物の総重量に対して100重量ppmとの混合物を押出機へ導入し、その温度は第1ゾーンの285℃から最終ゾーンの305℃までの範囲の勾配で調節され、308℃の溶融体の温度に達した。20〜30分と推定される、押出機の安定化の期間後に、押出機を出る材料を棒状に引き出し、固化棒を得るために水中で迅速に冷却する。それを次に、使用するために顆粒の形にする。押出機でのポリマーの滞留時間は、約200秒であり、この場合、押出機を通しての2パスによって得られた(各パスは100秒続いた)。
【0119】
これは、次の特性:
Tc=220.4℃;ΔHc=42.9J/g;Tm=255℃;ΔHm=42.9J/g;Xc[PA66]=33%、
Mn=14800g/モル;Mw=67500g/モル;Mz=126500g/モル;分散性(Mw/Mn)=4.5
PA66ブロックの平均長さ 約46繰り返し単位;PA6HIAブロックの平均長さ 約5.11繰り返し単位
を有するコポリアミド90/10 PA66/6HIAをもたらす。
【0120】
さらに、このブロックコポリマーは、PA66のそれと同じスフェルライト構造(十字偏光顕微鏡法 PLMによる観察)および薄板状構造(透過電子顕微鏡、TEMによる観察)を有する。
【0121】
さらに、このコポリマーは、PA66のそれよりも約10倍高い低いせん断速度(<200s−1)での粘度ηを有する。他方では、高いせん断速度(>2000s−1)で、このコポリマーの粘度ηは、PA66のそれに匹敵する(約2倍高い)。
【0122】
比較例1:PA66
この比較例は、実施例1の条件を繰り返すが、100/0のPA66/PA6HIA重量比の混合物、すなわち、PA66のみを使用する。
【0123】
これは、次の特性:
Tc=216.2℃;ΔHc=42.9J/g;Tm=255℃、ΔHm=55.1J/g;Xc[PA66]=33%
Mn=10500g/モル;Mw=35000g/モル;Mz=44500g/モル;分散性(Mw/Mn)=3.3
約64.1繰り返し単位のPA66ブロックの平均長さ
を有するポリアミドPA66をもたらす。
【0124】
実施例2:コポリアミド PA66/6HIA 83/17
この実施例は、実施例1の条件を繰り返すが、83/17のPA66/PA6HIA重量比を用いる。
【0125】
これは、次の特性:
Tc=220.4℃;ΔHc=42.9J/g;Tm=255℃;ΔHm=42.9J/g;Xc[PA66]=33.8%
Mn=15900g/モル;Mw=57000g/モル;Mz=107000g/モル;分散性(Mw/Mn)=3.5
PA66ブロックの平均長さ 約27.2繰り返し単位;PA6HIAブロックの平均長さ 約4.47繰り返し単位
を有するコポリアミド83/17 PA66/6HIAをもたらす。
【0126】
さらに、このブロックコポリマーは、PA66のそれと同じスフェルライト構造(十字偏光顕微鏡法 PLMによる観察)および薄板状構造(透過電子顕微鏡、TEMによる観察)を有する。
【0127】
さらに、このコポリマーは、PA66のそれよりも約10倍高い低いせん断速度(<200s−1)での粘度ηを有する。他方では、高いせん断速度(>2000s−1)で、このコポリマーの粘度ηは、PA66のそれに匹敵する(約2倍高い)。
【0128】
実施例3:Charpy衝撃強度
寸法4×10×80mmの射出検体を先ず、110℃で真空下に一晩乾燥させ、次に、ノッチの底部で0.1mmの半径を有するV字形ノッチで2mmの深さまで中間長さで刻み目を付けた。Charpy衝撃強度を次に、ノッチ下の表面積に対する検体を破壊するのに必要なエネルギー値(kJ/m単位で表される衝撃強度R)を与える、衝撃機械を用いて評価する。この衝撃機械は7.5Jのエネルギーのハンマーを備えており、衝撃速度は1m/秒である。10試料についての測定再現性を行う。衝撃強度の特性評価は、23℃に調節される温度のおよびRH50の乾湿の実験室で行う。
試験は、統計値を得るために25℃で各応力レベルについて5回繰り返した。
【0129】
【0130】
実施例4:透過性
3mmの出発厚さの射出ディスクを先ず、300μmの厚さに達するまで機械加工することによって薄くする。試料を次に、110℃で真空下に一晩乾燥させる。エタノール透過性を次に測定する:300μmフィルムの面の1つを、漏れ止めシールしたアルミニウム透過坩堝を用いて無水エタノールと接触して置き、他の面を周囲空気と接触させる。アセンブリ(坩堝+フィルム+エタノール)の質量を経時測定する。誘導時間と呼ばれる一定時間後に、ポリマーフィルムを通り抜けてのエタノール透過に相当する質量の損失を測定し、周囲空気と接触したフィルム表面での、時間に関係する、そしてフィルム厚さを乗じたこの質量損失を表す透過率値を確定し得る(g.mm/m.日単位で表される透過率P)。3試料についての測定再現性を行う。透過率は、透過坩堝を40℃の換気された熱制御オーブンに入れることによって40℃で測定する。換気オーブンは、40℃のオーブン中の乾湿度が20%であるように、RH50で23℃に調節される部屋に置く。
【0131】
【0132】
実施例5:疲労
疲労試験は、5Hzの振動数の正弦波形の張力−張力モードで応力体系下に行い、最小応力対最大応力の比はR=0.1である。試験はすべて、空気の雰囲気下の加熱室中で行った。
【0133】
機械的試験のために用いられる機械は、おおよそ1〜10Hzの振動数でポリアミドについて試験を行うことができる、Instron 8872サーボ油圧機械である。
【0134】
使用される検体は、応力を集中させるために、直径1mmの穴が検体の中心に作られている、厚さ4mmのISO527引張検体であり、これらの検体を次に110℃で真空下に一晩乾燥させた。
【0135】
測定結果を次表に示す。
【0136】