(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0011】
図1(a)、(b)は、本発明の一実施形態における二次電池の構成を模式的に示した図で、
図1(a)は上面図、
図1(b)は断面図である。
【0012】
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態における二次電池1では、発電要素である電極体10が電解液とともに、外装体20に収納されている。ここで、電極体10は、正極板及び負極板がセパレータ(何れも不図示)を介して巻回、または積層された構造をなす。正極板としては、金属製の正極芯体表面に正極活物質を含む正極活物質層が設けられたものを用いることができる。負極板としては、金属製の負極芯体表面に負極活物質を含む負極活物質層が設けられたものを用いることができる。正極板及び負極板は、それぞれ、その一側部において、活物質層が形成されていない正極芯体露出部11及び負極芯体露出部12を有している。そして、正極板及び負極板は、正極芯体露出部11及び負極芯体露出部12が、それぞれ反対方向に延出するように配置されている。正極芯体露出部11は、正極集電体13を介して、正極端子15に接続され、また、負極芯体露出部12は、負極集電体14を介して、負極端子16に接続されている。正極端子15及び負極端子16は、それぞれ、封口体21に設けられた貫通孔を貫通して封口体21に固定されている。さらに、封口体21の外部側において、正極端子15及び負極端子16には、それぞれ、正極導電部材17及び負極導電部材18が接続されている。封口体21には、電解液を注液する注液孔が設けられ、この注液孔は、電解液を注液した後、封止部材24で封止される。また、封口体21には、外装体20の内部の圧力が上昇したときに破断し、圧力を開放する排出弁25が設けられている。
【0013】
なお、二次電池1が非水電解質二次電池である場合、正極芯体、正極集電体13、及び正極端子15はアルミニウムあるいはアルミニウム合金からなることが好ましい。また、負極芯体、負極集電体14、及び負極端子16は銅あるいは銅合金であることが好ましい。
【0014】
外装体20及び封口体21は金属製であることが好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、鉄等からなることが好ましい。
【0015】
図2(a)、(b)は、
図1(a)、(b)に示した二次電池1の正極端子15近傍を拡大して示した部分拡大図で、
図2(a)は上面図、
図2(b)は断面図である。
【0016】
図2(a)、(b)に示すように、正極端子15は、封口体21に設けられた貫通孔21aを貫通して封口体21に固定されている。また、正極端子15と封口体21との間は、貫通孔21aの内面に配設されたガスケット22により密封されている。正極端子15は、封口体21の内部側において、正極集電体13に接続されている。また、正極端子15は、封口体21の外部側において、正極導電部材17と接続されている。また、封口体21と正極集電体13とは、絶縁部材23によって電気的に絶縁されている。なお、ガスケット22と絶縁部材23を一つの部材とすることもできる。また、ガスケット22及び絶縁部材23はそれぞれ樹脂製であることが好ましい。
【0017】
正極端子15は、封口体21の内面側において正極集電体13に溶接等により接続され、封口体21の外面側において正極導電部材17にかしめにより接続されている。これにより正極端子15は、封口体21に固定されている。なお、正極端子15を、封口体21の内面側において正極集電体13にかしめにより接続してもよい。また、正極端子15を、封口体21の外面側において正極導電部材17に溶接により接続してもよい。
【0018】
正極導電部材17はその一部にヒューズ部30を有する。正極導電部材17は、板状の部材で構成されており、正極端子15に接続する第1領域17Aと、この第1領域17Aから正極端子15と反対側に延出する第2領域17Bを有している。ここで、第2領域17Bの厚みは、第1領域17Aの厚みよりも厚くなっている。そして、第1領域17Aには、他の正極導電部材17の領域よりも電気抵抗が大きいヒューズ部30が形成されている。ヒューズ部30は、正極導電部材17の他の部位よりも断面積の小さい部位で構成されている。本実施形態では、ヒューズ部30は、正極導電部材17の一部に、その厚み方向に延びる孔30aを設けることによって構成されている。また、第2領域17Bには、例えば、二次電池1を複数個配列して組電池を構成したとき、各二次電池1の端子同士を接合するための外部導電部材(バスバー)が接合される。なお、正極端子15に接続する第1領域17Aと、この第1領域17Aから正極端子15と反対側に延出する第2領域17Bが同じ厚みとなるようにしてもよい。正極導電部材17は金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムあるいはアルミニウム合金製とすることができる。
【0019】
本実施形態における二次電池1は、電極体10が収納された外装体20の外部にヒューズ部30を設けた二次電池において、ヒューズ部30が、カバー部材31で覆われていることを特徴とする。また、少なくともヒューズ部30を構成する正極導電部材17と封口体21との間に、絶縁部材32が設けられていることを特徴とする。
【0020】
二次電池1に短絡が発生して過大な短絡電流が流れたとき、ヒューズ部30が溶断されるが、ヒューズ部30が溶断した後に、アークが飛散する。ヒューズ部30は、外装体20の外部に設けられているため、例えば近くに回路基板等の部品が配置されていると、アークの飛散によって部品が損傷するおそれがある。しかしながら、本実施形態においては、ヒューズ部30がカバー部材31で覆われているため、このようなアークの飛散による部品の破損を防止することができる。なお、カバー部材31は樹脂製部材であることが好ましく、電気絶縁性の樹脂製部材であることがより好ましい。カバー部材31は、電気絶縁性であれば樹脂製以外の部材を用いることもできる。また、カバー部材31が非常に大きな電気抵抗を有する部材とすることも可能であるが、電気絶縁性であることが好ましい。
【0021】
本実施形態においては、正極導電部材17と封口体21の間に、絶縁部材32が配置されている。したがって、短絡電流が流れヒューズ部30が溶断し、第2領域17Bと正極端子15が電気的に切断された後、第2領域17Bと正極端子15が封口体21を介して電気的に接続された状態となることを確実に防止できる。
【0022】
また、本実施形態では、導電部材17を封口体21に対して垂直な方向から見たとき、ヒューズ部30は封口体21と重なる領域に設けられている。したがって、ヒューズ部30の下方には封口体21が配置されるため、ヒューズ部30が溶断した際、アークが飛散するこすることを防止できる。なお、封口
体21においてヒューズ部30と対向する部分の厚みは、外装体20の側壁の厚みよりも大きいことが好ましい。また、ヒューズ部30と封口体21の間には絶縁部材32ないしカバー部材31の一部が配置されることがより好ましい。
【0023】
また、本実施形態におけるヒューズ部30は、正極端子15の近傍に設けられている。そのため、正極端子15の上端部を正極導電部材17にかしめた際、正極導電部材17は、厚み方向に撓みが生じる恐れがある。もし、ヒューズ部30が、特許文献1に開示されているような、正極導電部材17の厚みが薄くなった部位で構成されていると、正極端子15をかしめた際に、ヒューズ部30が損傷するおそれがある。例えば、正極導電部材17の厚みが薄くなった部位を境に、正極導電部材17が折れ曲がるように変形する恐れがある。
【0024】
しかしながら、本実施形態においてヒューズ部30は、正極導電部材17に設けられた正極導電部材17の厚み方向に延びる孔である。このため、正極端子15の上端部を正極導電部材17にかしめた場合でも、ヒューズ部30が損傷するのを防止することができる。
【0025】
また、本実施形態では、封口体21の長手方向において、ヒューズ部30よりも一方側に第1領域17Aが設けられ、ヒューズ部30よりも他方側に第2領域17Bが設けられている。そして、第2領域17Bの厚みが、第1領域17Aの厚みよりも厚くなっている。これにより、次のような効果が得られる。
【0026】
第2領域17Bに外部導電部材(バスバー)等の部材を溶接接続する際、第2領域17Bにおいて局部的に加熱される部分が生じる。そして、第2領域17B内における温度差により、第2領域17Bが撓むように変形する恐れがある。このような第2領域17Bの撓みにより、ヒューズ部30に負荷が加わり、ヒューズ部30が損傷したり、あるいは変形したりする恐れがある。本実施形態においては、第2領域17Bの厚み大きくすることにより、第2領域17Bに外部導電部材(バスバー)等の部材を溶接接続した場合であっても、溶接時に発生する熱により第2領域17Bが撓むように変形することを確実に防止できる。なお、このような効果は、ヒューズ部30がカバー部材31により覆われていない場合でも得られる。但し、ヒューズ部30がカバー部材31により覆われ、且つカバー部材31がヒューズ部30に接するように配置される場合、ヒューズ部30の損傷をより確実に防止できる。
【0027】
また、正極端子15は、正極導電部材17において厚みの薄い第1領域17Aに接続されている。したがって、振動や衝撃等により正極導電部材17に負荷が加わった際に正極端子15が変形し、正極端子15近傍の密閉性が低下することを抑制できる。
【0028】
なお、第2領域17Bの厚みは、第1領域17Aの厚みに対して、1.2〜5倍であることが好ましく、1.5〜4倍であることが好ましく、2〜4倍であることが更に好ましい。
【0029】
ヒューズ部30は、本実施形態にように、第2領域17Bよりも厚みの薄い領域、例えば、第1領域17Aと同等の厚みを有する領域に形成されることが好ましい。これにより、電気抵抗の大きい部位を容易に形成することができる。また、第1領域17Aは、正極端子15側に設けられているため、ヒューズ部30を、正極端子15近傍に形成することができる。これにより、ヒューズ部30を封口体21と正極端子15の固定部の近傍に配置することができるため、振動や衝撃等による負荷がヒューズ部30に加わり難くなる。また、これにより、正極端子15をかしめる際のヒューズ部30に加わる応力を小さくすることができ、ヒューズ部30の損傷を防止することができる。
【0030】
本実施形態では、絶縁部材32は、正極導電部材17と封口体21とが対向する領域に配設されている。また、封口体21は、正極導電部材17に向かって突出する突起部21bを有している。一方、絶縁部材32は、突起部21bを挿入する挿入孔32aを有している。そして、突起部21bは、絶縁部材32の挿入孔32a内に挿入されて、正極導電部材17と接するように配置されている。これにより、正極導電部材17と封口体21が電気的に接続されている。また、上述の構成に加え、正極導電部材17が絶縁部材32に接続されているため、正極導電部材17に、封口体21に対して回転する方向の力が作用しても、正極導電部材17の位置ずれを防止することができる。
【0031】
なお、正極導電部材17と封口体21とが直接接する必要はなく、他の導電部材を介して電気的に接続されるようにしてもよい。また、正極導電部材17の下面に突起を設け、この突起を封口体21に接触させるようにしてもよい。
【0032】
また、本実施形態において、絶縁部材32は、正極導電部材17の第2領域17Bの上面よりも上方に延出した延出部32bを備えている。これにより、第2領域17Bに外部導電部材(バスバー)を溶接する際、延出部32bを基準に、外部導電部材(バスバー)の位置決めを容易に行うことができる。
【0033】
本実施形態において、
図2の(b)に示すように、正極端子15の上端部が、正極導電部材17の第2領域17Bの上面よりも下方に位置する。これにより、正極導電部材17の第2領域17Bに外部導電部材(バスバー)等を接続する際等に、正極端子15に他の部材や製造装置が接触し、正極端子15近傍の部材が損傷し、正極端子15近傍における密閉性が低下することを確実に防止できる。
【0034】
本実施形態において、
図2の(b)に示すように、正極導電部材17において、貫通孔21aの周囲には凹部が形成されている。そして、正極端子15は当該凹部内においてかしめられている。これにより、正極端子15の上端部の位置をより低い位置とすることができるため好ましい。なお、正極端子15のカシメ部と正極導電部材17において貫通孔21aの周囲に設けられた凹部の縁部をレーザ溶接等により溶接することがより好ましい。
【0035】
本実施形態において、
図2の(b)に示すように、絶縁部材32は正極導電部材17に固定される固定部を有する。これにより、絶縁部材32と正極導電部材17が確実に固定され、振動衝撃等の負荷がかかり絶縁部材32が損傷することを防止できる。当該固定部は、正極導電部材17の側面及び上面に接するようには位置される。当該固定部としては、爪形状とし、固定部を正極導電部材17に嵌合させるようにすることができる。なお、正極導電部材17の第2領域17Bの端部に薄肉部を設け、絶縁部材32の固定部を、第2領域17Bの端部に設けた薄肉部に嵌合させるようにしてもよい。
【0036】
本実施形態では、封口体21の突起部21bが正極導電部材17と接する。ここで、封口体21の突起部21bと正極導電部材17の接触面積を調整し、短絡電流が流れたとき、封口体21の突起部21bと正極導電部材17の接続部が溶融することが好ましい。そして、ヒューズ部30が溶断した後、封口体21の突起部21bと正極導電部材17が溶接接続され、確実にバイパスが形成されることが好ましい。
【0037】
封口体21は、正極導電部材17に向かって突出する突起部21bを有している。一方、絶縁部材32は、突起部21bを挿入する挿入孔32aを有している。そして、突起部21bは、絶縁部材32の挿入孔32a内に挿入されて、正極導電部材17と接するように配置されている。これにより、絶縁部材32および絶縁部材32に固定されている正極導電部材17は、封口体21の面方向に対して固定され、回転止めの効果が得られる
図2の(b)に示すように、正極導電部材17において封口体21との接続部とヒューズ部30の距離が、正極導電部材17におけるヒューズ部30と貫通孔17aの距離よりも大きいことが好ましい。
【0038】
図2の(b)に示すように、正極導電部材17における第1領域17Aの下面と、正極導電部材17における第2領域17Bの下面と同一面上に配置されることが好ましい。これにより正極導電部材17における第1領域17Aの下面と、正極導電部材17における第2領域17Bの下面とを同一面上で保持できるため、ヒューズ部30にかかる負荷を抑制することができる。
【0039】
本実施形態に示すように、カバー部はヒューズ部30に接するように配置されることが好ましい。これにより、ヒューズ部30をより確実に補強することが可能となる。
【0040】
封口体21の長手方向において、正極導電部材17の封口体21の中央側の端部から、封口体21の長手方向における正極導電部材17の長さに対して40〜60%の位置にヒューズ部30が形成されていることが好ましい。これにより、正極導電部材17に正極端子15及び外部導電部材(バスバー)をバランスよく接続できることが可能となる。
【0041】
正極導電部材17の第2領域17Bは、厚み方向の全体において同一材料からなることが好ましい。特に、正極導電部材17の第2領域17Bは、厚み方向の全体がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。
【0042】
また、外部導電部材(バスバー)において、正極導電部材17の第2領域17Bに接続される部分及び封口体21において正極導電部材17の第2領域17Bは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。これにより、各部材間の接続状態が良好な状態となるため、ヒューズ部30が溶断した後、外部導電部材(バスバー)―正極導電部材17の第2領域17B―封口体21の電気抵抗がより低減できる。
【0043】
正極導電部材17の第2領域17Bの上面に突起を設けることができる。これにより、第2領域17Bに外部導電部材(バスバー)を溶接する際、第2領域17Bの上面に設けた突起を基準に、外部導電部材(バスバー)の位置決めを容易に行うことができる。外部導電部材(バスバー)に開口又は切り欠きを設け、当該開口又は切り欠きの内部に第2領域17Bの上面に設けた突起を配置することができる。
【0044】
本発明において、カバー部材31と絶縁部材32とは、同一部材で構成されていてもよい。このとき、正極導電部材17と、カバー部材31及び絶縁部材32は、一体的に構成されていることが好ましい。正極導電部材17と、カバー部材31及び絶縁部材32との一体的な構成は、例えば、インサート成形を用いて形成することができる。
【0045】
図3(a)、(b)、及び
図4を参照しながら、正極導電部材17と、カバー部材31及び絶縁部材32とを、インサート成形を用いて形成する方法を説明する。
【0046】
まず、正極導電部材17を、
図3(a)、(b)に示すような形状に加工する。ここで、
図3(a)は、加工された正極導電部材17の上面図、
図3(b)は、その断面図である。
図3(a)、(b)に示すように、板状の正極導電部材17をプレス加工によって、正極端子15に接続する第1領域17Aと、第1領域17Aから正極端子15と反対側に延出する第2領域17Bとを形成する。このとき、第2領域17Bの厚みは、第1領域17Aの厚みよりも厚く加工される。そして、第1領域17Aに、ヒューズ部30を構成する孔30aと、正極端子15が貫通する貫通孔17aとを形成する。
【0047】
次に、正極導電部材17を、所定形状の金型(不図示)に装着した後、この金型の空間に溶融樹脂を注入することによって、
図4に示すように、正極導電部材17と、カバー部材31及び絶縁部材32とを、インサート成形する。
【0048】
このように、正極導電部材17と、カバー部材31及び絶縁部材32とを、インサート成形により一体的に形成することによって、ヒューズ部30の強度を向上させることができる。これにより、正極導電部材17に負荷が加わった場合であっても、ヒューズ部30が損傷することを防止できる。
【0049】
例えば、二次電池1に強い衝撃や振動が加わったとき、ヒューズ部30に負荷が加わる恐れがある。あるいは、二次電池1が厚み方向において膨張した場合、正極導電部材17において、外部導電部材(バスバー)が接続される部分と、正極端子15が接続される部分とでは、水平方向においてそれぞれ反対側に負荷が加わる恐れがある。このような場合、ヒューズ部30に負荷が加わる。
【0050】
また、正極端子15が正極導電部材17にかしめにより接続された場合、正極端子15をかしめた際、ヒューズ部30が損傷するのを防止することができる。また、正極導電部材17と、カバー部材31及び絶縁部材32とを、部品として一体化することにより、二次電池1の組み立て工程を簡素化することができる。
【0051】
図5は、
図1(a)、(b)に示した二次電池1の負極端子16近傍を拡大して示した部分拡大断面図である。なお、負極端子16近傍の構成は、ヒューズ部が形成されていない代わりに、短絡機構が形成されている点で、正極端子15近傍の構成と異なる。
【0052】
図5に示すように、負極端子16は、封口体21に設けられた貫通孔を貫通して封口体21に固定されている。また、負極端子16と封口体21との間は、ガスケット40により密封されている。負極端子16は、封口体21の内部側において、負極集電体14に接続されている。また、負極端子16は、封口体21の外部側において、負極導電部材18と接続されている。また、封口体21と負極導電部材18とは、絶縁部材41によって電気的に絶縁されている。また、封口体21と負極集電体14とは、絶縁部材42によって電気的に絶縁されている。
【0053】
負極導電部材18は銅又は銅合金からなることが好ましい。また、負極導電部材18が銅又は銅合金からなる領域と、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる領域を有し、銅又は銅合金からなる領域に負極端子16を接続し、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる領域にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる外部導電部材(バスバー)を接続することもできる。負極導電部材18をアルミニウムまたはアルミニウム合金製とし、負極端子16において負極導電部材18と接続される部分をアルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることもできる。
【0054】
図5に示すように、封口体21の一部には、空洞部44が形成され、この空洞部44を覆うように可変部材としての反転プレート43が配置されている。なお、当該部分の形成方法としては、封口体21に短絡機構用の貫通孔を設け、反転プレート43を封口体21に接続し、反転プレート43で短絡機構用の貫通孔を密閉するようにすればよい。あるいは、封口体21をプレス加工し、可変部材としての反転プレート43を形成してもよい。
【0055】
ここで、封口体21は、
図2(a)に示したように、突起部21bが正極導電部材17と電気的に接続されているため、反転プレート43は、封口体21と同一の極性を有する。従って、二次電池1が過充電状態になって、外装体20の内部の圧力が設定値以上になったとき、反転プレート43は反転して、負極導電部材18と接触する。これにより、反転プレート43は、正極板と負極板とを電極体の外部で電気的に短絡させる短絡機構として作用する。
【0056】
なお、可変部材の形状は反転プレート43の形状に限定されず、外装体20の内圧が設定値以上となったとき変形し、負極導電部材18と電気的に接続されるような形状であればよい。可変部材は金属製であることが好ましく、封口体21と同じ金属からなることが好ましい。
【0057】
短絡機構が作動すると、封口体21を電流経路として、正極端子15と負極端子16間に短絡電流が流れる。その結果、正極導電部材17に設けたヒューズ部30が短絡電流により溶断されるため、二次電池1の過充電の進行を防止することができる。
【0058】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態では、カバー部材31と絶縁部材32とを、同一部材で一体的に形成した例を説明したが、
図6(a)、(b)に示すように、カバー部材31及び絶縁部材32を、別部材で形成しても勿論構わない。この場合、カバー部材31は、ヒューズ部30を覆うように形成される。カバー部材31は、例えば、溶融した樹脂を塗布して形成することができる。あるいは、カバー部材31をヒューズ部30に嵌合固定してもよい。あるいは。樹脂製部材からなるカバー部材31を接着剤等で貼り付けてもよい。あるいは、ヒューズ
部30の外面に電気絶縁性のテープを貼り付けてもよい。また、本発明におけるカバー部材31及び絶縁部材32は、その材料は特に限定されない。また、
図2(a)では、突起部21bを、正極導電部材17の第2領域17Bにおいて、幅方向に沿って帯状に形成したが、
図6(a)に示したように、円筒状に形成してもよい。
【0060】
なお、カバー部材31に、正極導電部材17の第2領域17Bの上面よりも上方に延出した延出部を設けることもできる。第2領域17Bに外部導電部材(バスバー)を溶接する際、カバー部材31に設けた延出部を基準に、外部導電部材(バスバー)の位置決めを容易に行うことができる。
【0061】
カバー部材31は樹脂材料からなることが好ましい。例えば、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PC(ポリカーボネート)等を用いることができる。特にカバー部材31は耐熱性の樹脂材料からなることが好ましい。耐熱性の樹脂材料としては、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)等を用いることが好ましい。
【0062】
絶縁部材32は電気絶縁性の樹脂材料からなることが好ましい。例えば、PFA、PPS、PC(ポリカーボネート)等を用いることが好ましい。
【0063】
また、上記実施形態では、ヒューズ部30を、正極導電部材17の一部に、その厚み方向に延びる孔30aを設けることによって形成して例を説明したが、これに限定されず、正極導電部材17の一部が、他の正極導電部材17の部位よりも断面積が小さくなった構成であれば、その構造は特に限定されない。例えば、
図7に示すように、正極導電部材17の一部に、厚み方向に延びる孔30aを設けるとともに、孔30aに対して、正極導電部材17の幅方向の両端部に、スリット30bを設けて、ヒューズ部30を形成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、短絡機構として、反転プレート43を例に説明したが、これに限定されず、外装体20の内部の圧力が設定値以上になったとき作動して、正極板と負極板とを電気的に短絡させる機能を有するものであればよい。例えば二次電池1の通常使用時、封口体21は正極及び負極のいずれとも電気的に接続されておらず、外装体20の内部の圧力が設定値以上となったとき、正極と封口体21が電気的に接続され、且つ負極と封口体21が電気的に接続されるような機構であってもよい。あるいは、外装体20の内部の圧力が設定値以上となったとき、封口体21を介さず、正極と負極が電気的に接続される機構であってもよい。
【0065】
上記実施形態では、正極導電部材17において、第1領域17Aの幅と第2領域17Bの幅が同じであったが、
図8に示すように、第2領域17Bの幅を第1領域17Aの幅よりも大きくしてもよい。ここで、第1領域17Aの幅、第2領域17Bの幅とは、封口体21の短手方向の幅である。このような構成であると、封口体21の長手方向における第2領域17Bの長さを長くすることなく、第2領域17Bとバスバー(外部導電部材)の接続面あるいは接続部を大きくすることができる。このような構成は、角形の電池ケースにおいて、最小面積の面に正極端子15及び負極端子16が配置される場合、特に効果的である。
【0066】
また、上記実施形態では、封口体21の長手方向において、正極導電部材17の第1領域17Aが、第2領域17Bよりも外側に配置されている。しかしながら、封口体21の長手方向において、正極導電部材17の第1領域17Aが、第2領域17Bよりも内側に配置される構成とすることができる。このような構成であれば、第2領域17Bにバスバー(外部導電部材)を溶接接続する場合、溶融した金属粒子(スパッタ)が封口体21の中央部に形成される排出弁25上に飛散し、排出弁25が損傷することを防止できる。このような構成は、角形の電池ケースにおいて、最小面積の面に正極端子15及び負極端子16が配置される場合、特に効果的である。
【0067】
角形の電池ケースにおいて、最小面積の面に正極端子15及び負極端子16が配置される場合、注液孔を封止する封止部材24がブラインドリベット等のように、溶接等を用いず封止部材を変形させることにより封止することが好ましい。
【0068】
角形の電池ケースにおいて、最小面積の面に正極端子15及び負極端子16が配置される場合、注液孔と絶縁部材32の距離が小さくなる。そのため、注液孔を封止するために、封止部材24を封口体21にレーザ溶接等で溶接接続した場合、溶接の際に生じる熱により絶縁部材32が損傷する恐れがある。したがって、封止部材24がブラインドリベット等のように、溶接等を用いず封止部材を変形させることにより封止するものであることが好ましい。
【0069】
また、上記実施形態では、正極導電部材17の一部にヒューズ部30を設けた例を説明したが、負極導電部材18の一部にヒューズ部30を設けても構わない。
【0070】
また、本発明における二次電池1は、その種類は特に限定されない。また、電極体10も、その構造は特に限定されない。長尺状の正極板と長尺状の負極板とをセパレータを介して巻回した巻回電極体であっても良い。また、複数枚の正極板と複数枚の負極板とをセパレータを介して積層した積層型電極体であってもよい。
【0071】
なお、本発明は、非水電解質二次電池に用いた場合特に有効である。正極、負極、セパレータ、電解液等については公知の材料を使用できる。正極ないし電解液に、二次電池1が過充電状態となった際にガスを発生される材料、例えば炭酸リチウムやシクロヘキシルベンゼン等が添加されていることが特に好ましい。
【0072】
また、本発明における二次電池1を、複数個配列して組電池を構成することもでき。
図9は、本発明における二次電池1を6個配列して、組電池50を構成した例を示した斜視図である。
図9に示すように、各二次電池1の正極端子15及び負極端子16の位置を、交互に入れ替えて配列し、隣り合う二次電池1の正極端子15と負極端子16とを、バスバー(外部導電部材)60で接合することによって
、6個の二次電池1が電気的に直列に接続されている。勿論
、6個の二次電池
1が電気的に並列に接続されていても構わない。
【0073】
組電池50において、正極端子15及び負極端子16等が配置される面の上方に回路基板が配置される場合、本発明は特に効果的である。
【0074】
なお、バスバー(外部導電部材)60において正極導電部材17上に配置される部分の封口体21の長手方向における幅は、正極導電部材17の第2領域17Bの封口体21の長手方向における長さよりも小さいことが好ましい。