(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用された保護素子として、ヒューズ素子について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態にかかるヒューズ素子1は、
図1及び
図2に示すように、例えばリチウムイオン二次電池の保護回路等の回路基板にリフローにより表面実装されることにより、リチウムイオン二次電池の充放電経路上にヒューズエレメント7を組み込むものである。
【0016】
この保護回路は、ヒューズ素子1の定格を超える大電流が流れると、ヒューズエレメント7が自己発熱(ジュール熱)によって溶断することにより電流経路を遮断する。また、この保護回路は、ヒューズ素子1が実装された回路基板等に設けられた電流制御素子によって所定のタイミングで発熱体5へ通電し、発熱体5の発熱によってヒューズエレメント7を溶断させることによって電流経路を遮断することができる。なお、
図1は、ヒューズ素子1をケースを省略して示す平面図であり、
図2は、このヒューズ素子1の断面図である。
【0017】
[ヒューズ素子]
ヒューズ素子1は、
図1及び
図2に示すように、絶縁基板2と、絶縁基板2の表面2aに、互いに対向するように設けられた第1の表面電極3及び第2の表面電極4と、発熱体5と、発熱体5に電気的に接続された発熱体引出電極6と、第1の表面電極3、第2の表面電極4及び発熱体引出電極6にわたって接続され、発熱体5の加熱によって溶融し、第1の表面電極3及び第2の表面電極4の間の電流経路を遮断するヒューズエレメント7と、絶縁基板2の裏面2bに設けられた第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極4aと、絶縁基板2の側面に形成され、第1の表面電極3及び第2の表面電極4と第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極3bとをそれぞれ接続し、絶縁基板2の表面2aと裏面2bの間で、第1の表面電極3及び第2の表面電極4と第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極3bとを接続する全ての電流経路を構成する第1の側面導電部3b及び第2の側面導電部4bとを備えている。
【0018】
また、ヒューズ素子1は、発熱体5を覆い発熱体5と発熱体引出電極6との接触を妨げる絶縁体9と、絶縁基板2の表面2a上であって発熱体5の両端に設けられた第1の発熱体電極10及び第2の発熱体電極11とを備えている。発熱体引出電極6は、一端が第2の発熱体電極11と接続され、他方がヒューズエレメント7の中途部分に接続されている。
【0019】
また、ヒューズ素子1は、絶縁基板2の裏面2bに設けられた第3の裏面電極10aと、絶縁基板2の側面に形成され、第1の発熱体電極10と第3の裏面電極10aとを接続し、絶縁基板2の表面2aと裏面2bの間での全ての導電経路となる第3の側面導電部10bを備えている。
【0020】
ここで、絶縁基板2の表面2aと裏面2bの間での全ての電流経路とは、第1の表面電極3、第2の表面電極4及び第1の発熱体電極10と、第1の裏面電極3a、第2の裏面電極4a及び第3の裏面電極10aとをそれぞれ結ぶ電流経路を表す。従って、絶縁基板2の側面のみに電流経路が構成されていることを表す。言い換えると、ヒューズ素子1は、絶縁基板2の側面以外に電流経路が形成されない構造である。
【0021】
具体的に、ヒューズ素子1における第1の側面導電部3b、第2の側面導電部4b及び第3の側面導電部10bは、それぞれ絶縁基板2の第1の側面2c、第2の側面2d及び第3の側面2eに設けられている。
【0022】
ヒューズ素子1は、絶縁基板2の側面以外に電流経路が形成されないことから、絶縁基板の中央部にスルーホール等の電流経路を有さないため、発熱体5から発せられる熱が絶縁基板の中央部のスルーホール等によって拡散することがなく、ヒューズエレメント7を集中して過熱することができるように構成したものである。
【0023】
[絶縁基板]
絶縁基板2は、例えば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する部材によって方形状に形成される。その他、絶縁基板2は、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等のプリント配線基板に用いられる材料を用いてもよい。絶縁基板2は、互いに対向する側面が第1の側面2c及び第2の側面2dとされ、残りの側面が互いに対向する第3の側面2e及び第4の側面2fとされている。
【0024】
[第1の表面電極及び第2の表面電極]
第1の表面電極3及び第2の表面電極4は、絶縁基板2の表面2a上に、相対向する側縁近傍にそれぞれ離間して配置されることにより開放され、ヒューズエレメント7が搭載されることにより、ヒューズエレメント7を介して電気的に接続されている。また、第1の表面電極3及び第2の表面電極4は、ヒューズ素子1に定格を超える大電流が流れヒューズエレメント7が自己発熱(ジュール熱)によって溶断し、あるいは発熱体5が通電に伴って発熱しヒューズエレメント7が溶断することによって、電流経路が遮断される。
【0025】
図1及び
図2に示すように、第1の表面電極3及び第2の表面電極4は、それぞれ絶縁基板2の第1の側面2c及び第2の側面2dに設けられたハーフスルーホールを介して裏面2bに設けられた外部接続電極である第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極4aと接続されている。ヒューズ素子1は、これら第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極4aを介して外部回路が形成された回路基板と接続され、当該外部回路の電流経路の一部を構成する。従って、第1の側面2c及び第2の側面2dに設けられたハーフスルーホールが、第1の側面導電部3b及び第2の側面導電部4bを構成する。
【0026】
第1の表面電極3及び第2の表面電極4は、CuやAg等の一般的な電極材料を用いて形成することができる。また、第1の表面電極3及び第2の表面電極4の表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、メッキ処理等の公知の手法によりコーティングされていることが好ましい。これにより、ヒューズ素子1は、第1の表面電極3及び第2の表面電極4の酸化を防止し、導通抵抗の上昇に伴う定格の変動を防止することができる。
【0027】
また、ヒューズ素子1をリフロー実装する場合に、ヒューズエレメント7を接続する接続用ハンダあるいはヒューズエレメント7の外層に低融点金属層が形成されている場合に当該低融点金属が溶融することにより第1の表面電極3及び第2の表面電極4を溶食(ハンダ食われ)するのを防ぐことができる。
【0028】
[発熱体]
発熱体5は、通電すると発熱する導電性を有する部材であって、例えばニクロム、W、Mo、Ru、Cu、Ag、あるいはこれらを主成分とする合金等からなる。発熱体5は、これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを絶縁基板2上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成することができる。また、発熱体5は、一端が第1の発熱体電極10と接続され、他端が第2の発熱体電極11と接続されている。
【0029】
ヒューズ素子1は、絶縁基板2の表面2a上に形成された発熱体5を覆うように絶縁材9が配設され、この絶縁体9を介して発熱体5に対向するように発熱体引出電極6が形成されている。発熱体5の熱を効率良くヒューズエレメント7に伝えるために、発熱体5と絶縁基板2の間にも絶縁体を積層しても良い。絶縁体9としては、例えばガラス材料を用いることができる。
【0030】
発熱体引出電極6の一端は、第2の発熱体電極11に接続されるとともに、第2の発熱体電極11を介して発熱体5の一端と連続されている。なお、第2の発熱体電極11は、絶縁基板2の表面2a側に形成され、第1の発熱体電極10は、絶縁基板2の表面2a側から第3の側面2e側に形成されている。また、第1の発熱体電極10は、第3の側面2eに形成されたハーフスルーホールを介して絶縁基板2の裏面2bに形成された第3の裏面電極10aと接続されている。従って、第3の側面2eに形成されたハーフスルーホールが第3の側面導電部10bを構成する。
【0031】
発熱体5は、ヒューズ素子1が回路基板に実装されることにより、第3の裏面電極10aを介して回路基板に形成された外部回路と接続される。そして、発熱体5は、外部回路の電流経路を遮断する所定のタイミングで第3の裏面電極10aを介して通電され、発熱することにより、第1の表面電極3及び第2の表面電極4を接続しているヒューズエレメント7を溶断することができる。また、発熱体5は、ヒューズエレメント7が溶断することにより、自身の電流経路も遮断されることから発熱が停止する。
【0032】
[発熱体引出電極]
発熱体引出電極6は、CuやAg等の一般的な電極材料を用いて形成することができる。また、発熱体引出電極6の表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、メッキ処理等の公知の手法によりコーティングされていることが好ましい。
【0033】
[第1の発熱体電極及び第2の発熱体電極]
第1の発熱体電極10及び第2の発熱体電極11は、絶縁基板2の表面2a上で、相対向する側縁近傍がそれぞれ離間して配置されることにより開放され、発熱体5が搭載されることにより、発熱体5を介して電気的に接続されている。
【0034】
第1の発熱体電極10及び第2の発熱体電極11は、CuやAg等の一般的な電極材料を用いて形成することができる。また、第1の発熱体電極10及び第2の発熱体電極11の表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、メッキ処理等の公知の手法によりコーティングされていることが好ましい。
【0035】
なお、ここで、第1の裏面電極3a及び第1の側面導電部3bは、第1の表面電極3と同様の材料により形成することができ、第2の裏面電極4a及び第2の側面導電部4bは、第2の表面電極4と同様の材料により形成することができ、第3の裏面電極10a及び第3の側面導電部10bは、第1の発熱体電極10と同様の材料により形成することができるものとする。
【0036】
[ヒューズエレメント]
ヒューズエレメント7は、発熱体5の発熱により速やかに溶断される材料からなり、例えばハンダや、Snを主成分とするPbフリーハンダ等の低融点金属を好適に用いることができる。
【0037】
また、ヒューズエレメント7は、In、Pb、Ag、Cu又はこれらのうちのいずれかを主成分とする合金等の高融点金属を用いてもよく、あるいは内層を低融点金属層とし外層を高融点金属層とする等の低融点金属と高融点金属との積層体であってもよい。高融点金属と低融点金属とを含有することによって、ヒューズ素子1をリフロー実装する場合に、リフロー温度が低融点金属の溶融温度を超えて、低融点金属が溶融しても、低融点金属の外部への流出を抑制し、ヒューズエレメント7の形状を維持することができる。また、溶断時も、低融点金属が溶融することにより、高融点金属を溶食(ハンダ食われ)することで、高融点金属の融点以下の温度で速やかに溶断することができる。
【0038】
なお、ヒューズエレメント7は、発熱体引出電極6及び第1の表面電極3及び第2の表面電極4へ、ハンダ等により接続されている。ヒューズエレメント7は、リフローはんだ付けによって容易に接続することができる。ヒューズエレメント7は、発熱体引出電極6上に搭載されることにより、発熱体引出電極6と重畳され、また発熱体5とも重畳される。また、第1の表面電極3及び第2の表面電極4の間にわたって接続されたヒューズエレメント7は、第1の表面電極3と第2の表面電極4との間において溶断し、第1の表面電極3及び第2の表面電極4間を遮断する。すなわち、ヒューズエレメント7は、中央部が発熱体引出電極6に支持されるとともに、発熱体引出電極6に支持された中央部が溶断部とされている。
【0039】
また、ヒューズエレメント7は、酸化防止、濡れ性の向上等のため、図示しないフラックスが塗布されている。ヒューズエレメント7は、フラックスが保持されることによって、ヒューズエレメント7の酸化及び酸化に伴う溶断温度の上昇を防止して、溶断特性の変動を抑制し、速やかに溶断することができる。
【0040】
[側面導電部]
ここで、第1の側面導電部3b、第2の側面導電部4b及び第2の側面導電部10bについて、詳細に説明を行う。
【0041】
第1の側面導電部3b、第2の側面導電部4b及び第2の側面導電部10bは、CuやAg等の一般的な電極材料を用いて形成することができる。また、第1の側面導電部3b、第2の側面導電部4b及び第2の側面導電部10bの表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、メッキ処理等の公知の手法によりコーティングされていることが好ましい。
【0042】
次に、第1の側面導電部3b、第2の側面導電部4b及び第2の側面導電部10bの形状について、
図3に基づき説明を行う。なお、以下では、第1の側面導電部3bについてのみ説明を行うが、第2の側面導電部4b及び第2の側面導電部10bの形状も同様の形状とすることができるため、説明を省略する。
【0043】
図3(A)に示す第1の側面導電部3bは、絶縁基板2に半円形状の切り欠きを加えて凹部を形成し、この凹部に導電材料がパターニングされて形成される。第1の側面導電部3bは、いわゆるハーフスルーホールであり、絶縁基板2の表面2aと裏面2bとの間で、第1の表面電極3と第1の裏面電極3bとを電気的に接続する。
【0044】
図3(A)に示す第1の側面導電部3bは、絶縁基板2を図示しないマザー基板から切り出す際に隣り合う個別の絶縁基板間に円形の貫通孔を設け、この貫通孔を境に各絶縁基板を切り出すことで、半円形状の凹部として形成することができる。貫通孔は、マザー基板を形成する際の金型に円柱形状の突起を設けることで簡単に作成することができるため製造が容易である。
【0045】
また、第1の側面導電部3bを他の形状で形成することも可能であり、例えば、
図3(B)に示す第1の側面導電部3cは、絶縁基板2に矩形溝形状の切り欠きを加えて凹部を形成し、この凹部に導電材料がパターニングされて形成される。第1の側面導電部3cは、絶縁基板2の表面2aと裏面2bとの間で、第1の表面電極3と第1の裏面電極3bとを電気的に接続する。
【0046】
図3(B)に示す第1の側面導電部3cは、絶縁基板2を図示しないマザー基板から切り出す際に隣り合う個別の絶縁基板間に矩形の貫通孔を設け、この貫通孔を境に各絶縁基板を切り出すことで、矩形溝形状の凹部として形成することができる。貫通孔は、マザー基板を形成する際の金型に矩角柱形状の突起を設けることで簡単に作成することができるため製造が容易である。
【0047】
図3(B)に示す第1の側面導電部3cは、
図3(A)に示す第1の側面導電部3bと比較して、絶縁基板2の第1の側面2cにおいて、凹部の面積を広くとることができ、結果として電流経路の幅を広げて電気抵抗値を低減することが可能となり、大電流に対応するために好適である。
【0048】
また、第1の側面導電部3bをさらに他の形状で形成することも可能であり、例えば、
図3(C)に示す第1の側面導電部3dは、絶縁基板2に半長穴形状の切り欠きを加えて凹部を形成し、この凹部に導電材料がパターニングされて形成される。第1の側面導電部3dは、絶縁基板2の表面2aと裏面2bとの間で、第1の表面電極3と第1の裏面電極3bとを電気的に接続する。
【0049】
図3(C)に示す第1の側面導電部3dは、絶縁基板2を図示しないマザー基板から切り出す際に隣り合う個別の絶縁基板間に長穴形の貫通孔を設け、この貫通孔を境に各絶縁基板を切り出すことで、半長穴形状の凹部として形成することができる。貫通孔は、マザー基板を形成する際の金型に矩長穴形状に対応する柱状の突起を設けることで簡単に作成することができるため製造が容易である。
【0050】
図3(C)に示す第1の側面導電部3dは、
図3(A)に示す第1の側面導電部3bと比較して、絶縁基板2の第1の側面2cにおいて、凹部の面積を広くとることができ、結果として電流経路の幅を広げて電気抵抗値を低減することが可能となり、大電流に対応するために好適である。
【0051】
また、第1の側面導電部3bを更に他の形状で形成することも可能であり、例えば、
図3(D)に示す第1の側面導電部3eは、絶縁基板2に波溝形状の切り欠きを加えて凹部を形成し、この凹部に導電材料がパターニングされて形成される。第1の側面導電部3eは、絶縁基板2の表面2aと裏面2bとの間で、第1の表面電極3と第1の裏面電極3bとを電気的に接続する。
【0052】
図3(D)に示す第1の側面導電部3eは、絶縁基板2を図示しないマザー基板から切り出す際に隣り合う個別の絶縁基板間に波状の長穴形の貫通孔を設け、この貫通孔を境に各絶縁基板を切り出すことで、波溝形状の凹部として形成することができる。貫通孔は、マザー基板を形成する際の金型に波状の長穴形に対応する柱状の突起を設けることで簡単に作成することができるため製造が容易である。
【0053】
図3(D)に示す第1の側面導電部3eは、
図3(A)に示す第1の側面導電部3bと比較して、絶縁基板2の第1の側面2cにおいて、凹部の面積を広くとることができ、結果として電流経路の幅を広げて電気抵抗値を低減することが可能となり、大電流に対応するために好適である。
【0054】
上述した各凹部の形状についてまとめると、絶縁基板2の側面を、曲面を含む非平面によって構成することで、凹部の面積を広くとることができ、結果として電流経路の幅を広げて電気抵抗値を低減することが可能となり、大電流に対応するために好適であると言える。
【0055】
なお、ヒューズ素子1は、小型且つ高定格の保護素子を実現するものであり、例えば、絶縁基板2の寸法として2〜3mm×1〜2mm程度と小型でありながら、抵抗値が0.5〜1mΩ、50〜60A定格と高定格化が図られている。なお、本発明は、あらゆるサイズ、抵抗値及び電流定格を備える保護素子に適用することができるのはもちろんである。本実施例において、絶縁基板2のサイズは、2.7mm×1.8mmとする。
【0056】
なお、ヒューズ素子1は、絶縁基板2の表面2a上に、内部を保護するとともに溶融したヒューズエレメント7の飛散を防止する図示しないカバー部材を取り付けるようにしている。カバー部材は、絶縁基板2の表面2a上に搭載される側壁と、ヒューズ素子1の上面を構成する天面とを有する。このカバー部材は、例えば、熱可塑性プラスチック,セラミックス,ガラスエポキシ基板等の絶縁性を有する部材を用いて形成することができる。なお、本発明の特徴的な構造はカバー部材の内部の構造であるため、以後の説明ではカバー部材については言及を省略する。
【0057】
[回路構成]
ここで、ヒューズ素子1の回路構成と、通電経路の遮断動作について説明する。ヒューズ素子1は、
図1及び
図4(A)に示すように、第1の表面電極3から第2の表面電極4にわたってヒューズエレメント7が接続されており、ヒューズエレメント7の中途部分に発熱体引出電極6が接続されている。また、発熱体引出電極6は、ヒューズエレメント7と接続された側の反対側に、第2の発熱体電極11、発熱体5、第1の発熱体電極10の順に接続されている。従って、ヒューズ素子1は、第1の表面電極3、第2の表面電極4及び第1の発熱体電極10から、それぞれ第1の側面導電部3b、第2の側面導電部4b及び第2の側面導電部10bを介してつながる第1の裏面電極3a、第2の裏面電極4a及び第3の裏面電極10aを外部端子とする3端子の素子であるといえる。
【0058】
ヒューズ素子1は、第1の表面電極3から第2の表面電極4に向かって主回路の電流が流れるように構成されており、第1の発熱体電極10から電流が流れた場合に、発熱体5が発熱し
図5、
図6及び
図4(B)に示すように、ヒューズエレメント7が溶融し、溶融体7aが発熱体引出電極6上に凝集し、ヒューズエレメント7が切断される。これにより、ヒューズ素子1は、第1の表面電極3及び第2の表面電極4間の電流経路が遮断されるとともに、発熱体5に対する電流経路も遮断される。
【0059】
[変形例1]
次に、上述で説明したヒューズ素子1の変形例について説明する。また、上述で説明したヒューズ素子1と略同等の部位については同じ符号を付して説明を省略し、差異について説明する。また、等価回路としては、
図4で説明したものと同じであるため説明を省略する。
【0060】
変形例1にかかるヒューズ素子20は、
図7に示すように、第1の表面電極3が絶縁基板2の第4の側面2fまで延長し、第1の側面導電部3bを設けず、第1の側面導電部3b
1を絶縁基板2の第4の側面2fに設け、第2の表面電極4が絶縁基板2の第3の側面2eまで延長し、第2の側面導電部4bを設けず、第2の側面導電部4b
1を絶縁基板2の第3の側面2eに設け、第1の側面導電部3b
1及び第2の側面導電部4b
1を絶縁基板2の対角位置に配置した構成としたものである。
【0061】
なお、図示を省略しているが、ヒューズ素子20は、絶縁基板2の裏面2b側において、第1の裏面電極3aが絶縁基板2の第4の側面2fまで延長されて第1の側面導電部3b
1と接続され、第2の裏面電極4aが絶縁基板2の第3の側面2eまで延長されて第2の側面導電部4b
1と接続されている。
【0062】
ヒューズ素子20では、第1の側面導電部3b
1及び第2の側面導電部4b
1が発熱体5から遠い位置に配置したため、発熱体5からの熱の拡散を防止する効果が高くなり、ヒューズエレメント7に熱を集中しやすくなる。
【0063】
[変形例2]
また、上述で説明したヒューズ素子1の変形例について説明する。また、上述で説明したヒューズ素子1と略同等の部位については同じ符号を付して説明を省略し、差異について説明する。また、等価回路としては、
図4で説明したものと同じであるため説明を省略する。
【0064】
変形例2にかかるヒューズ素子30は、
図8に示すように、第1の表面電極3が絶縁基板2の第4の側面2fまで延長され、第1の側面導電部3bを備えつつも第1の側面導電部3b
1を絶縁基板2の第4の側面2fに設け、第2の表面電極4が絶縁基板2の第3の側面2eまで延長され、第2の側面導電部4bを備えつつも第2の側面導電部4b
1を絶縁基板2の第3の側面2eに設け、第1の側面導電部3b及び第2の側面導電部4bを対向位置に、第1の側面導電部3b
1及び第2の側面導電部4b
1を絶縁基板2の対角位置に配置した構成としたものである。
【0065】
なお、図示を省略しているが、ヒューズ素子30は、絶縁基板2の裏面2b側において、第1の裏面電極3aが絶縁基板2の第4の側面2fまで延長されて第1の側面導電部3b
1と接続され、第2の裏面電極4aが絶縁基板2の第3の側面2eまで延長されて第2の側面導電部4b
1と接続されている。
【0066】
ヒューズ素子30では、第1の側面導電部3b及び第2の側面導電部4bに加え、第1の側面導電部3b
1及び第2の側面導電部4b
1を有するため、電流経路が複数個所となり、電流経路全体として電気抵抗値を低減することが可能となる。従ってヒューズ素子30は、電流経路の電気抵抗値の低減によって大電流に対応することが可能となる。
【0067】
[変形例3]
また、上述で説明したヒューズ素子1の変形例について説明する。また、上述で説明したヒューズ素子1と略同等の部位については同じ符号を付して説明を省略し、差異について説明する。また、等価回路としては、
図4で説明したものと同じであるため説明を省略する。
【0068】
変形例3にかかるヒューズ素子40は、
図9に示すように、絶縁基板2の第1の側面2cに第1の側面導電部3b
2と第1の側面導電部3b
3の2つの通電経路を設け、絶縁基板2の第2の側面2dに第2の側面導電部4b
2と第2の側面導電部4b
3の2つの電流経路を設け、第1の側面導電部3b
2及び第2の側面導電部4b
2を対向位置に、第1の側面導電部3b
3及び第2の側面導電部4b
3を対向位置にそれぞれ配置した構成としたものである。
【0069】
なお、図示を省略しているが、ヒューズ素子40は、絶縁基板2の裏面2b側において、第1の裏面電極3aが第1の側面導電部3b
2及び第1の側面導電部3b
3と接続され、第2の裏面電極4aが第2の側面導電部4b
2及び第2の側面導電部4b
3と接続されている。
【0070】
ヒューズ素子40では、第1の側面導電部3b及び第2の側面導電部4bを、それぞれ第1の側面導電部3b
2,第1の側面導電部3b
3及び第2の側面導電部4b
2,第2の側面導電部4b
3の複数構成としたため、電流経路が複数個所となり、電流経路全体として電気抵抗値を低減することが可能となる。従ってヒューズ素子40は、電流経路の電気抵抗値の低減によって大電流に対応することが可能となる。
【0071】
また、ヒューズ素子40では、第1の側面導電部3b
2,第1の側面導電部3b
3及び第2の側面導電部4b
2,第2の側面導電部4b
3をそれぞれ絶縁基板2の第1の側面2c及び第2の側面2d、即ち、それぞれ同一側面に設けている。マザー基板から絶縁基板を切り出す際の分断箇所が貫通孔として肉抜きされた場所であることから、貫通孔が複数並べられている部分における切断作業を簡単に行うことが可能となる
【0072】
[変形例4]
また、上述で説明したヒューズ素子1の変形例について説明する。また、上述で説明したヒューズ素子1と略同等の部位については同じ符号を付して説明を省略し、差異について説明する。また、等価回路としては、
図4で説明したものと同じであるため説明を省略する。
【0073】
変形例4にかかるヒューズ素子50は、
図10に示すように、第1の表面電極3が絶縁基板2の第3の側面2eまで延長され、第1の側面導電部3bを設けず、第1の側面導電部3b
4を絶縁基板2の第3の側面2eに設け、第2の表面電極4が絶縁基板2の第3の側面2eまで延長され、第2の側面導電部4bを設けず、第2の側面導電部4b
4を絶縁基板2の第3の側面2eに設け、第3の側面導電部10bを含め,第1の側面導電部3b
1及び第2の側面導電部4b
1が絶縁基板2の第3の側面2e、即ち同一側面に配置した構成としたものである。
【0074】
なお、図示を省略しているが、ヒューズ素子50は、絶縁基板2の裏面2b側において、第1の裏面電極3aが絶縁基板2の第3の側面2eまで延長されて第1の側面導電部3b
4と接続され、第2の裏面電極4aが絶縁基板2の第3の側面2eまで延長されて第2の側面導電部4b
4と接続されている。
【0075】
ヒューズ素子50では、第3の側面導電部10bを含め,第1の側面導電部3b
1及び第2の側面導電部4b
1が絶縁基板2の同一側面に配置することとしたため、マザー基板から絶縁基板を切り出す際の分断箇所が貫通孔として肉抜きされた場所であることから、切断作業を簡単に行うことが可能となる
【0076】
更には、ヒューズ素子50では、第3の側面導電部10bを含め,第1の側面導電部3b
1及び第2の側面導電部4b
1が絶縁基板2の同一側面に配置することとしたため、回路基板への実装時に、接続用のハンダが第3の側面導電部10b、第1の側面導電部3b
4及び第2の側面導電部4b
4に吸い上げられ電気的な接続が正常に行われているかを目視確認する作業が一側面を見るだけで終了するため、接続確認行程を簡略化することが可能となる。
【0077】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態にかかるヒューズ素子60について、
図11乃至
図15を用いて説明をする。また、上述で説明したヒューズ素子1と略同等の部位については同じ符号を付して説明を省略し、差異について説明する。また、等価回路としては、
図4で説明したものと同じであるため説明を省略する。
【0078】
この保護回路は、ヒューズ素子60の定格を超える大電流が流れると、ヒューズエレメント7が自己発熱(ジュール熱)によって溶断することにより電流経路を遮断する。また、この保護回路は、ヒューズ素子1が実装された回路基板等に設けられた電流制御素子によって所定のタイミングで発熱体5へ通電し、発熱体5の発熱によってヒューズエレメント7を溶断させることによって電流経路を遮断することができる。なお、
図11は、ヒューズ素子60を、ケースを省略して示す平面図であり、
図12は、このヒューズ素子60を裏面側から見た平面図であり、
図13は、このヒューズ素子60の断面図である。
【0079】
[ヒューズ素子]
ヒューズ素子60は、
図11乃至
図13に示すように、絶縁基板2と、絶縁基板2の表面2aに、互いに対向するように設けられた第1の表面電極3及び第2の表面電極4と、発熱体5と、発熱体5に電気的に接続された発熱体引出電極6と、第1の表面電極3、第2の表面電極4及び発熱体引出電極6にわたって接続され、発熱体5の加熱によって溶融し、第1の表面電極3及び第2の表面電極4の間の電流経路を遮断するヒューズエレメント7と、絶縁基板2の裏面2bに設けられた第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極4aと、絶縁基板2を貫通する孔として形成され、第1の表面電極3及び第2の表面電極4と、第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極4aとをそれぞれ接続し、絶縁基板2の表面2aと裏面2bの間での電流経路となる第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16とを備え、第1の表面電極3及び上記第2の表面電極4は、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16と接する領域に突出する第1の表面凸部3f及び第2の表面凸部4fをそれぞれ有している。
【0080】
また、ヒューズ素子60は、発熱体5を覆い発熱体5と発熱体引出電極6との接触を妨げる絶縁体9と、絶縁基板2上であって発熱体5の両端に設けられた第1の発熱体電極10及び第2の発熱体電極11とを備えている。発熱体引出電極6は、一端が第2の発熱体電極11と接続され、他方がヒューズエレメント7の中途部分に接続されている。
【0081】
また、ヒューズ素子60は、
図12に示すように、第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極4aは、上記第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16と接する領域に突出する第1の裏面凸部3g及び第2の裏面凸部4gとをそれぞれ有している。
【0082】
また、ヒューズ素子60は、絶縁基板2の側面に形成され、第1の表面電極3及び第2の表面電極4と第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極3bとをそれぞれ接続し、絶縁基板2の表面2aと裏面2bの間で、電流経路となる第1の側面導電部3b及び第2の側面導電部4bを有している。
【0083】
具体的に、ヒューズ素子60における第1の側面導電部3b、第2の側面導電部4b及び第3の側面導電部10bは、それぞれ絶縁基板2の第1の側面2c、第2の側面2d及び第3の側面2eに設けられている。
【0084】
ここで、第1の表面凸部3f及び第2の表面凸部4fは、第1の表面電極3、第2の表面電極4について、第1の実施例で説明したヒューズ素子1で説明した矩形状の一部のうち、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16に対応する領域以外の発熱体5に近い部分を切り欠いて形成した構造を表す。また、言い方を変えると、第1の表面電極3と第1の貫通導電部15を接続するために第1の表面電極3の主部から突き出した領域ともいえる。
【0085】
ヒューズ素子60は、絶縁基板2の第1の側面2c及び第2の側面2dに加え、絶縁基板2を貫通する電流経路を有しており、電流経路全体として電気抵抗値を低減させるため大電流に対応することが容易となる。
【0086】
また、ヒューズ素子60は、第1の表面電極3、第2の表面電極4のうち、発熱体5に近接する側において、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16に対応する領域にのみ第1の表面凸部3f及び第2の表面凸部4fを形成しているため、発熱体5から発せられる熱が第1の表面電極3及び第2の表面電極4に拡散することがなく、ヒューズエレメント7を集中して過熱することができるように構成したものである。
【0087】
また、ヒューズ素子60は、第1の裏面電極3a、第2の裏面電極4aのうち、発熱体5に近接する側において、第1の表面電極3及び第2の表面電極4と同様に、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16に対応する領域にのみ第1の裏面凸部3g及び第2の表面凸部4gを形成しているため、発熱体5から発せられる熱が第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極4aに拡散することがなく、ヒューズエレメント7を集中して過熱することができるように構成したものである。
【0088】
第2の実施の形態にかかるヒューズ素子60は、発熱体5が絶縁基板2の表面2aに配設されているため、第1の表面凸部3f及び第2の表面凸部4fによる熱拡散防止効果が特に大きい。
【0089】
従って、発熱体5が絶縁基板2の表面2aに設けられているヒューズ素子にあっては、少なくとも第1の表面電極3及び第2の表面電極4が第1の表面凸部3f及び第2の表面凸部4fを有していればよく、第1の裏面凸部3g及び第2の裏面凸部4gを設けずともよい。
【0090】
また、発熱体5が絶縁基板2の裏面2bに設けられているヒューズ素子にあっては、第1の裏面凸部3g及び第2の裏面凸部4gによる熱拡散防止効果が特に大きい。
【0091】
従って、発熱体5が絶縁基板2の裏面2bに設けられているヒューズ素子にあっては、少なくとも第1の裏面電極3a及び第2の裏面電極4aが第1の裏面凸部3g及び第2の裏面凸部4gを有していればよく、第1の表面凸部3f及び第2の表面凸部4fを設けずともよい。
【0092】
ここで、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16は、スルーホールであり、特に孔内部を導電材料で充填した穴埋めスルーホールとすることで、電流経路全体での電気抵抗値の低減効果を高めることが可能である。
【0093】
ここで、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16による電気抵抗値の低減効果が高い場合には、第1の側面導電部3b及び第2の側面導電部4bを設けずにヒューズ素子を構成してもよいが、回路基板等への実装状態を確実なものとするために接着用半田を吸い上げるハーフスルーホールとして残しておくことが好ましい。
【0094】
また、ヒューズ素子60は、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16は、それぞれ2つ設けている。従って、ヒューズ素子60は、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16に対応する第1の表面凸部3f及び第2の表面凸部4f及び第1の裏面凸部3g及び第2の裏面凸部4gも2つ設けるようにしている
【0095】
なお、第1の貫通導電部15及び第2の貫通導電部16を設ける数、貫通孔の形状及び径は、電流経路の電気抵抗値を調整するうえで適宜変更可能であり、本実施の形態の記載に限定されるものではない。
【0096】
[まとめ]
以上のように第1の実施の形態と各変形例及び第2の実施の形態として説明したヒューズ素子は、発熱体からヒューズエレメント以外への熱拡散を防止するとともに、導電経路全体として抵抗値を低減することが可能となり、大電流に対応しつつも素子の小型化を達成することができる。
【0097】
なお、第1の実施の形態におけるヒューズ素子の構造としては、上述した各変形例を適宜組み合わせた構造としてもよく、例えば、側面導電部の形状、個数、配置位置等は任意の組み合わせを用いてもよいことは言うまでもない。