(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作レバーは、前記ガイド溝を有する係合部と、該係合部と接続され前記ロック位置と前記ロック解除位置との間で回動操作される前記操作部とにより形成されることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド式作業機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、以下に説明する複数の発明を包含する発明群に属する発明であり、以下に、その発明群の実施の形態として、第1および第2の実施の形態について説明するが、そのうち、第1の実施の形態が、本出願人が特許請求の範囲に記載した発明に対応するものである。
以下、本発明に係るハイブリッド式作業機の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1ないし
図12は、本発明の第1の実施の形態を示している。
図1において、油圧ショベル1は、ハイブリッド式の油圧ショベルを示している。油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0013】
下部走行体2は、左,右のサイドフレーム2A(左側のみ図示)を有するトラックフレームと、各サイドフレーム2Aの前,後方向(長さ方向)の一側に設けられた駆動輪2Bと、前,後方向の他側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cとに巻回された履帯2Dとにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、左,右の走行油圧モータ2E,2F(
図6参照)によって駆動され、履帯2Dを周回駆動させることにより油圧ショベル1を走行させるものである。
【0014】
作業装置4は、後述する旋回フレーム5の前部側に俯仰動可能に取付けられたブーム4Aと、該ブーム4Aの先端側に回動可能に取付けられたアーム4Bと、該アーム4Bの先端側に回動可能に取付けられたバケット4Cと、これらを駆動する油圧シリンダからなるブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fとにより構成されている。
【0015】
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、該旋回フレーム5上に搭載された後述のキャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、油圧ポンプ9、アシスト発電モータ12、熱交換装置13、蓄電装置25、旋回モータ26、インバータユニット36等を含んで構成されている。
【0016】
ここで、
図5に示すように、旋回フレーム5は、平板状に形成され前,後方向に延びた底板5Aと、該底板5A上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板5Bおよび右縦板5Cと、左縦板5Bから左側方に張出して設けられた複数の左張出しビーム5Dと、右縦板5Cから右側方に張出して設けられた複数の右張出しビーム5Eと、各左張出しビーム5Dの先端側に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム5Fと、各右張出しビーム5Eの先端側に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム5Gとにより大略構成されている。
【0017】
旋回フレーム5の前部左側には、運転室を画成するキャブ6が設けられている。キャブ6内には、オペレータが着席する運転席が設けられ、運転席の周囲には走行用の操作レバー、作業用の操作レバー(いずれも図示せず)が設けられている。一方、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト7が設けられている。
【0018】
エンジン8は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5の後側に配設されている。エンジン8は、クランク軸(図示せず)の軸線が左,右方向に延在する横置き状態で旋回フレーム5上に搭載されている。エンジン8の左,右方向の一側となる右側には、後述の油圧ポンプ9とアシスト発電モータ12とが取付けられている。一方、エンジン8の左,右方向の他側となる左側(油圧ポンプ9とは反対側)には、吸込式の冷却ファン8Aが取付けられている。冷却ファン8Aは、エンジン8によって回転駆動されることにより外気を吸込み、この外気を冷却風Fとして後述の熱交換装置13等に供給するものである。
【0019】
油圧ポンプ9は、エンジン8の右側(出力側)に取付けられている。この油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された左,右の走行油圧モータ2E,2F、各シリンダ4D,4E,4F、後述する旋回油圧モータ27等の各種の油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。油圧ポンプ9の前側には作動油タンク10が設けられ、該作動油タンク10は、油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜している。そして、複数の方向制御弁の集合体からなるコントロールバルブ11(
図6参照)は、キャブ6内に配置された操作レバーの操作に応じて、油圧ポンプ9から各種の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向を制御する。
【0020】
アシスト発電モータ12は、油圧ポンプ9と共にエンジン8の右側に取付けられている。このアシスト発電モータ12は、エンジン8によって駆動されることにより電力を発電し、または後述する蓄電装置25から電力が供給されることによりエンジン8の駆動を補助(アシスト)するものである。即ち、アシスト発電モータ12は、エンジン8によって駆動されることにより発電する発電機としての機能と、後述の蓄電装置25から供給される電力によりエンジン8の駆動を補助する電動機としての機能とを有している。アシスト発電モータ12は、本発明の第1の電動機を構成している。
【0021】
熱交換装置13は、エンジン8の左側に位置して旋回フレーム5上に搭載されている。
図3に示すように、熱交換装置13は、インタクーラ14、エンジン用ラジエータ15、オイルクーラ16、エアコンコンデンサ17、燃料クーラ18、ハイブリッド機器用ラジエータ19等を含んで構成されている。
【0022】
熱交換装置13は、冷却ファン8Aによって吸込まれた外気(冷却風F)が、ハイブリッド機器用ラジエータ19、エアコンコンデンサ17、燃料クーラ18、インタクーラ14、エンジン用ラジエータ15、オイルクーラ16に供給されることにより、ハイブリッド機器用冷却水、エンジン吸気、エンジン冷却水、作動油、エアコン用の冷媒、燃料を冷却するものである。
【0023】
図2に矢印を付して示すように、ハイブリッド機器用ラジエータ19で冷却されたハイブリッド機器用冷却水は、ポンプ19Aにより蓄電装置25に供給され、第1,第2のインバータ50,59、旋回電動モータ28を介してハイブリッド機器用ラジエータ19に還流する。なお、アシスト発電モータ12は、エンジン冷却水により冷却される。
【0024】
建屋カバー20は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。この建屋カバー20は、エンジン8、油圧ポンプ9、アシスト発電モータ12、熱交換装置13等を覆うものである。ここで、建屋カバー20の上側は、上面板21とエンジンカバー22とによって構成されている。また、建屋カバー20の左側は、キャブ6の後側に配設された左前側ドア23と、該左前側ドア23とカウンタウエイト7との間に配設された左後側ドア24とを含んで構成されている。
【0025】
左前側ドア23は、後述の第1,第2のインバータ50,59のメンテナンス等を行うときに開閉するものである。左後側ドア24は、熱交換装置13のメンテナンス等を行うときに開閉するものである。一方、建屋カバー20の右側は、作動油タンク10とカウンタウエイト7との間に配設された右側ドア(図示せず)によって構成されている。
【0026】
蓄電装置25は、熱交換装置13に供給される冷却風Fの流れ方向において熱交換装置13よりも上流側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。この蓄電装置25は、例えばリチウムイオン電池を用いて構成され、アシスト発電モータ12が発電した電力と、上部旋回体3の旋回減速動作(回生動作)によって後述の旋回電動モータ28が発電した回生電力とを充電(蓄電)し、または充電された電力をアシスト発電モータ12や旋回電動モータ28に放電(給電)する。なお、蓄電装置25は、リチウムイオン電池以外にも、例えば電気二重層のキャパシタを用いることもできる。
【0027】
蓄電装置25には、第1のケーブル接続口25Aと第2のケーブル接続口25Bとが設けられている。第1のケーブル接続口25Aには、第1のインバータ50との間を接続する蓄電装置用ケーブル55が接続される。第2のケーブル接続口25Bには、第2のインバータ59との間を接続する蓄電装置用ケーブル64が接続される。また、蓄電装置25には、後述の制御装置82からの信号(指令信号)に基づいて蓄電装置25の充電、放電を制御する制御部25C等の電気回路が設けられている。
【0028】
旋回モータ26は、旋回フレーム5の中央部に設けられ、下部走行体2に対して上部旋回体3を旋回させるものである。ここで、
図6に示すように、旋回モータ26は、油圧ポンプ9から吐出する圧油によって駆動される旋回油圧モータ27と、該旋回油圧モータ27に付設された後述の旋回電動モータ28とにより構成されている。
【0029】
旋回電動モータ28は、旋回油圧モータ27と協働して下部走行体2上で上部旋回体3を旋回させるものである。この旋回電動モータ28は、本発明の第2の電動機を構成している。旋回電動モータ28の外殻をなすケーシングには、冷却水が流通するウォータジャケット(いずれも図示せず)が形成されている。ここで、旋回電動モータ28は、蓄電装置25に充電された電力が供給されることにより駆動され上部旋回体3を旋回させる。また、旋回電動モータ28は、上部旋回体3が旋回減速したときの回生動作によって回生電力を発電し、この回生電力を蓄電装置25に供給する。
【0030】
即ち、旋回電動モータ28は、後述の第2のケーブル71を介して蓄電装置25から電力が供給されることにより上部旋回体3を旋回させる電動機としての機能と、上部旋回体3の旋回減速時に上部旋回体3の運動エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能とを有している。旋回電動モータ28が発電した回生電力は、第2のケーブル71を介して蓄電装置25に供給され、蓄電装置25の充電が行われる。
【0031】
ユーティリティ室29は、キャブ6の後側に形成されている。このユーティリティ室29は、建屋カバー20を構成する上面板21、左前側ドア23、キャブ6の後側に位置して旋回フレーム上に設けられた前仕切板30、熱交換装置13の前側に配設された後仕切板31によって画成されている。また、ユーティリティ室29の下側には、後述の床板37が備えられ、該床板37上には、後述する第1,第2のインバータ50,59を含む後述のインバータユニット36が設けられている。
【0032】
前仕切板30には、ユーティリティ室29内に向けて突出する略L字状の前取付部材32が設けられている。一方、後仕切板31には、ユーティリティ室29内に向けて突出する略L字状の後取付部材33が設けられている。前取付部材32の上面と後取付部材33の上面には、後述のカバー部材34が取付けられる。
【0033】
カバー部材34は、ユーティリティ室29内に位置して、前取付部材32の上面と後取付部材33の上面にボルト35により取付けられている。このカバー部材34は、後述のインバータユニット36の上方を覆っている。即ち、カバー部材34は、第1,第2のインバータ50,59を保護し、安全性を向上している。
【0034】
図8に示すように、カバー部材34は、後述する第1のインバータ50に可及的に接近した位置に配設されている。即ち、カバー部材34は、後述の床板37からの高さ寸法L1を可及的に低く設定している。これにより、ユーティリティ室29内に第1,第2のインバータ50,59を配置しても、ユーティリティ室29内を広く活用することができる。
【0035】
次に、ユーティリティ室29内に配設されたインバータユニット36について説明する。
【0036】
図8、
図9に示すように、インバータユニット36は、後述の第1のインバータ50と第2のインバータ59とを一体的にユニット化したもので、後述の床板37に取付台38を介して取付けられている。
【0037】
床板37は、ユーティリティ室29の床板として構成され、インバータユニット36の取付ベースとなるものである。
図4、
図9に示すように、床板37は、左縦板5Bと左サイドフレーム5Fとの間に配設され全体として矩形なトレー状に形成されている。
【0038】
取付台38は、後述する第1,第2のインバータ50,59を取付けるためのもので、脚部39、防振部材40、下側取付部材41、上側取付部材46を含んで構成され、床板37上に設けられている。
【0039】
脚部39は、床板37の左,右方向に離間して2個配設され、床板37から上方に向けて立上っている。脚部39は、後述する第2のインバータ59の側方から立設されている。そして、各脚部39は、前,後方向に離間して床板37から立設する一対の縦板39Aと、該各縦板39Aの上端側を接続する上面板39Bとを含んで構成されている。
【0040】
防振部材40は、各脚部39の上面板(上端)39Bに前,後方向に間隔をもってそれぞれ2個設けられている。この防振部材40は、後述の下側取付部材41と上側取付部材46とを旋回フレーム5に対して弾性支持することにより、上部旋回体3の振動が直接的に第1,第2のインバータ50,59に伝わるのを抑えるものである。
【0041】
下側取付部材41は、防振部材40上に配設され、後述の第2のインバータ59が取付けられる。下側取付部材41は、床板37の左,右方向に間隔をもって設けられた脚部39間に位置し、長方形状の板材からなる平板41Aと、該平板41Aの左,右方向の両端から上方に向けて立上る左,右の立上り板41Bと、該左,右の立上り板41Bの上端から左,右方向の外側(平板41Aとは反対側)に向けて延びる左,右のフランジ板41Cとにより構成されている。
【0042】
平板41Aは、前,後方向の長さ寸法が脚部39の前,後方向の長さ寸法とほぼ同じ寸法に設定され、脚部39の上面板39Bよりも下側に位置している。平板41Aには、後述の第2のインバータ59を取付けるためのボルト60が螺合する4個のめねじ孔(図示せず)が、例えば裏ナット、裏ねじ座等を用いて設けられている。
【0043】
左,右の立上り板41Bは、左,右方向で対面し、その高さ寸法は、後述の第2のインバータ59の高さ寸法よりも大きく設定されている。また、右側に位置する立上り板41Bの前端側には、後述の接続管路58が固定される接続管路固定具42が設けられている。
【0044】
左側に位置するフランジ板41Cの前端側には、後述の蓄電装置用ケーブル64を固定する蓄電装置用ケーブル固定具43が設けられている。また、右側に位置するフランジ板41Cの前端側には、該フランジ板41Cから平板41Aに向けて斜め下向きに傾斜した板状に形成され、後述の第2のケーブル71を固定する第2のケーブル固定具44が設けられている。
【0045】
図8、
図9に示すように、下側取付部材41は、左,右のフランジ板41Cを防振部材40上に載置した状態でボルト45により防振部材40上に取付けられる。この場合、左,右の立上り板41Bの高さ寸法は、床板37から防振部材40の上面までの高さ寸法よりも若干小さく設定されている。これにより、下側取付部材41は、床板37に対して接触することなく、旋回フレーム5に対して防振部材40により弾性支持される構成となっている。
【0046】
上側取付部材46は、下側取付部材41上に配設され、後述する第2のインバータ59の上方を覆うと共に上面46A側に後述の第1のインバータ50を取付けるものである。この上側取付部材46は、略平板状に形成され、下側取付部材41の左,右のフランジ板41Cにボルト47により取付けられている。これにより、上側取付部材46は、下側取付部材41を介して防振部材40に弾性支持される。
【0047】
上側取付部材46の左端側には、後述の蓄電装置用ケーブル55を固定する蓄電装置用ケーブル固定具48が設けられている。また、上側取付部材46の右前端側には、後述の第1のケーブル67を固定する第1のケーブル固定具49が設けられている。
【0048】
次に、第1のインバータ50と第2のインバータ59とについて説明する。なお、第1のインバータ50と第2のインバータ59とは、同型式のインバータとして構成されている。即ち、第1のインバータ50は、通常、アシスト発電モータ12と第1のケーブル67を介して接続され、アシスト発電モータ12の動作を制御するものであるが、必要に応じて旋回電動モータ28と接続することにより、旋回電動モータ28の動作を制御することもできる。同様に、第2のインバータ59は、通常、旋回電動モータ28と第2のケーブル71を介して接続され、旋回電動モータ28の動作を制御するものであるが、必要に応じてアシスト発電モータ12と接続することにより、アシスト発電モータ12の動作を制御することもできる。
【0049】
第1のインバータ50は、取付台38を構成する上側取付部材46の上面46A側に取付けられている。この第1のインバータ50は、アシスト発電モータ12の動作を制御するものである。第1のインバータ50は、上側取付部材46の上面46Aにボルト51を螺合することにより取付けられている。
【0050】
第1のインバータ側コネクタ52は、第1のインバータ50の外殻をなすケーシングの前面50A側に設けられている。第1のインバータ側コネクタ52には、アシスト発電モータ12と第1のインバータ50との間を接続する後述の第1のケーブル67(三相交流ケーブル)が着脱可能に取付けられる。
【0051】
第1のインバータ側コネクタ52は、第1のインバータ50の前面50Aの上端側から前方(前仕切板30側)に向けて突出している。第1のインバータ側コネクタ52は、上面52A、下面52B、左面52C、右面52Dからなる凹状に形成されている。第1のインバータ側コネクタ52は、後述する第1のケーブル側コネクタ69よりも若干小さく形成されている。従って、第1のインバータ側コネクタ52は、第1のケーブル側コネクタ69の開口に嵌め込まれる構成となっている。また、第1のインバータ側コネクタ52には、必要に応じて第2のケーブル側コネクタ73を嵌め込むことができる構成となっている。
【0052】
第1のインバータ側コネクタ52の左面52Cと右面52Dとには、水平方向、かつ左,右方向に突出するガイドピン53が設けられている。これらガイドピン53は、後述の第1のロック部材75のガイド溝79に係合されるものである。各ガイドピン53は、ガイド溝79内に挿通された状態で第1のロック部材75の係合部78に対して相対移動する。そして、各ガイドピン53は、第1のロック部材75を係止することにより、後述の第1のケーブル側コネクタ69をロックする。
【0053】
蓄電装置用コネクタ54は、第1のインバータ側コネクタ52の左側に位置して前面50A側に設けられている。この蓄電装置用コネクタ54には、蓄電装置25と第1のインバータ50との間を接続する蓄電装置用ケーブル55(直流母線)が着脱可能に取付けられる。即ち、蓄電装置用ケーブル55は、一端側が蓄電装置25に設けられた第1のケーブル接続口25Aに取付けられ、他端側が第1のインバータ50の蓄電装置用コネクタ54に取付けられる。
【0054】
また、蓄電装置用ケーブル55の途中部位は、上側取付部材46に設けられた蓄電装置用ケーブル固定具48に固定されている。これにより、蓄電装置用ケーブル55は、第1のインバータ50と同じ振動系となり、蓄電装置用コネクタ54から抜け落ちるのを抑制される。
【0055】
そして、アシスト発電モータ12の発電時には、第1のインバータ50は、アシスト発電モータ12による発電電力を直流電力に変換し、蓄電装置用ケーブル55を通じて直流電力を蓄電装置25に供給する。一方、アシスト発電モータ12を電動機として駆動するときには、第1のインバータ50は、蓄電装置用ケーブル55を介して蓄電装置25から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、後述の第1のケーブル67を介して三相交流電力をアシスト発電モータ12に供給する。
【0056】
第1のインバータ50のケーシングの左面50B側には、冷却管路コネクタ56Aが設けられている。冷却管路コネクタ56Aには、蓄電装置25から流出したハイブリッド機器用冷却水を第1のインバータ50のケーシング内に流入させる流入管路57の下流端側が取付けられる。即ち、流入管路57は、蓄電装置25と第1のインバータ50との間を、ハイブリッド機器用冷却水の流通を可能に接続するもので、その上流端側は、蓄電装置25に接続されている。
【0057】
一方、第1のインバータ50のケーシングの右面50C側には、冷却管路コネクタ56Bが設けられている。冷却管路コネクタ56Bには、第1のインバータ50から流出したハイブリッド機器用冷却水を第2のインバータ59に向けて流通させる接続管路58の上流端側が取付けられる。また、接続管路58の途中部位は、下側取付部材41に設けられた接続管路固定具42に固定されている。接続管路58は、第1のインバータ50と第2のインバータ59との間を、ハイブリッド機器用冷却水の流通を可能に接続するものである。
【0058】
第1のインバータ50のケーシング内には、トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子が収容されている。各スイッチング素子のオン/オフは、制御部50Dによって制御されるものである。また、制御部50Dには、後述の制御装置82との間を接続する後述の信号線83Bが接続されている。また、第1のインバータ50のケーシング内には、ハイブリッド機器用冷却水が流通するウォータジャケット(図示せず)が形成されている。このウォータジャケットは、冷却管路コネクタ56Aを介して流入管路57と接続され、冷却管路コネクタ56Bを介して接続管路58と接続されている。
【0059】
第2のインバータ59は、取付台38を構成する下側取付部材41の平板41Aに取付けられている。この第2のインバータ59は、旋回電動モータ28の動作を制御するものである。第2のインバータ59は、下側取付部材41の平板41Aにボルト60を螺合することにより取付けられている。この場合、第2のインバータ59は、上側取付部材46を介して第1のインバータ50の直下側に位置している。
【0060】
ここで、第2のインバータ59は、第1のインバータ50と共通な部品で構成された同一形状(同一型式)のインバータである。この場合、同一形状とは、完全に同一な形状のみを意味するものではなく、基本的な形状が同一であるという意味を含んで用いている。即ち、第1のインバータ50の形状と第2のインバータ59の形状との相違点を比較して、その相違点が微差であるもの、例えば第1のインバータ50と第2のインバータ59とを共通部品として用いる上での妨げとならないものも同一形状に含まれるものである。
【0061】
第2のインバータ側コネクタ61は、第2のインバータ59の外殻をなすケーシングの前面59A側に設けられている。第2のインバータ側コネクタ61には、旋回電動モータ28と第2のインバータ59との間を接続する後述の第2のケーブル71(三相交流ケーブル)が着脱可能に取付けられる。
【0062】
第2のインバータ側コネクタ61は、第2のインバータ59の前面59Aの上端側から前方(前仕切板30側)に向けて突出している。この場合、第1のインバータ側コネクタ52と第2のインバータ側コネクタ61とは、同一形状のコネクタとして形成されている。第2のインバータ側コネクタ61は、後述の第2のケーブル側コネクタ73よりも若干小さく形成されている。従って、第2のインバータ側コネクタ61は、第2のケーブル側コネクタ73の開口に嵌め込まれる構成となっている。また、第2のインバータ側コネクタ61には、必要に応じて第1のケーブル側コネクタ69を嵌め込むことができる構成となっている。
【0063】
第2のインバータ側コネクタ61の左面と右面とには、水平方向、かつ左,右方向に突出するガイドピン62が設けられている。これらガイドピン62は、後述の第2のロック部材76のガイド溝79に係合されるものである。各ガイドピン62は、ガイド溝79に挿通された状態で第2のロック部材76の係合部78に対して相対移動する。そして、各ガイドピン62は、第2のロック部材76を係止することにより、後述の第2のケーブル側コネクタ73をロックする。
【0064】
蓄電装置用コネクタ63は、第2のインバータ側コネクタ61の左側に位置して前面59A側に設けられている。この蓄電装置用コネクタ63には、蓄電装置25と第2のインバータ59との間を接続する蓄電装置用ケーブル64(直流母線)が着脱可能に取付けられる。即ち、蓄電装置用ケーブル64は、一端側が蓄電装置25の第2のケーブル接続口25Bに取付けられ、他端側が第2のインバータ59の蓄電装置用コネクタ63に取付けられる。
【0065】
また、蓄電装置用ケーブル64の途中部位は、下側取付部材41に設けられた蓄電装置用ケーブル固定具43に固定されている。これにより、蓄電装置用ケーブル64は、第2のインバータ59と同じ振動系となり、蓄電装置用コネクタ63から抜け落ちるのを抑制される。
【0066】
そして、旋回電動モータ28の発電時には、第2のインバータ59は、旋回電動モータ28による発電電力(回生電力)を直流電力に変換し、蓄電装置用ケーブル64を通じて直流電力を蓄電装置25に供給する。一方、旋回電動モータ28を電動機として駆動するときには、第2のインバータ59は、蓄電装置用ケーブル64を介して蓄電装置25から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、後述の第2のケーブル71を介して三相交流電力を旋回電動モータ28に供給する。
【0067】
第2のインバータ59のケーシングの左面59B側には、冷却管路コネクタ65Aが設けられている。冷却管路コネクタ65Aには、第2のインバータ59から流出したハイブリッド機器用冷却水を旋回電動モータ28に向けて導く流出管路66の上流端側が取付けられる。一方、第2のインバータ59のケーシングの右面59C側には、冷却管路コネクタ65Bが設けられている。冷却管路コネクタ65Bには、第1のインバータ50から流出したハイブリッド機器用冷却水を第2のインバータ59に向けて流通させる接続管路58の下流端側が取付けられる。
【0068】
第2のインバータ59のケーシング内には、トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子が収容されている。各スイッチング素子のオン/オフは、制御部59Dによって制御されるものである。また、制御部59Dには、後述の制御装置82との間を接続する後述の信号線83Cが接続されている。また、第2のインバータ59のケーシング内には、ハイブリッド機器用冷却水が流通するウォータジャケット(図示せず)が形成されている。このウォータジャケットは、冷却管路コネクタ65Aを介して流出管路66と接続され、冷却管路コネクタ65Bを介して接続管路58と接続されている。
【0069】
次に、第1のケーブル67と第2のケーブル71とについて説明する。なお、第1のケーブル67と第2のケーブル71とは、同一の形状、構成となっているので、以下第1のケーブル67について詳しく説明し、第2のケーブル71についてはその説明を省略する。
【0070】
第1のケーブル67は、アシスト発電モータ12と第1のインバータ50とを接続するものである。この第1のケーブル67は、例えば三相交流ケーブルとして形成され、アシスト発電モータ12から延びる電気線68と、該電気線68の先端側に設けられた第1のケーブル側コネクタ69とを含んで構成されている。
【0071】
電気線68の途中部位は、上側取付部材46に設けられた第1のケーブル固定具49に固定されている。これにより、第1のケーブル67は、上側取付部材46と同じ振動系となり、該上側取付部材46に固定された第1のインバータ50と共に振動する。
【0072】
第1のケーブル側コネクタ69は、電気線68の先端側に設けられている。この第1のケーブル側コネクタ69は、第1のインバータ50の第1のインバータ側コネクタ52に接続されるものである。この第1のケーブル側コネクタ69は、上面69A、下面69B、左面69C、右面69D、および前面69Eからなる凹状に形成されている。
【0073】
そして、第1のケーブル側コネクタ69の左面69Cと右面69Dとには、後述の第1のロック部材75を回動可能に支持する支持ピン70が設けられている。また、第1のケーブル側コネクタ69の左面69Cと右面69Dとには、ガイドピン53に対応する位置に前,後方向に延びる溝部(
図10に左面69Cの溝部69C1のみ図示)がそれぞれ形成されている。また、第1のケーブル側コネクタ69の前面69Eには、電気線68が挿通されている。
【0074】
そして、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ50の第1のインバータ側コネクタ52に嵌め込むことにより、電気線68を第1のインバータ50の回路(図示せず)に接続させることができる。この場合、第1のケーブル側コネクタ69は、後述の第1のロック部材75により、第1のインバータ側コネクタ52にロックされる。
【0075】
一方、第2のケーブル71は、旋回電動モータ28と第2のインバータ59とを接続するものである。第2のケーブル71は、第1のケーブル67と同様に、電気線72と第2のケーブル側コネクタ73とを含んで構成されている。
【0076】
電気線72の途中部位は、下側取付部材41に設けられた第2のケーブル固定具44に固定されている。これにより、第2のケーブル71は、下側取付部材41と同じ振動系となり、該下側取付部材41に固定された第2のインバータ59と共に振動する。
【0077】
第2のケーブル側コネクタ73は、第2のインバータ59の第2のインバータ側コネクタ61に接続されるものである。第1のケーブル側コネクタ69と第2のケーブル側コネクタ73とは、同一形状のコネクタとして形成されている。
【0078】
そして、第2のケーブル側コネクタ73の左面と右面とには、後述の第2のロック部材76を回動可能に支持する支持ピン74が設けられている。また、第2のケーブル側コネクタ73の左面と右面とには、支持ピン74よりも後側でガイドピン62に対応する位置に前,後方向に延びる溝部がそれぞれ形成されている。また、第2のケーブル側コネクタ73の前面には、電気線72が挿通されている。
【0079】
そして、第2のケーブル側コネクタ73を第2のインバータ59の第2のインバータ側コネクタ61に嵌め込むことにより、電気線72を第2のインバータ59の回路(図示せず)に接続させることができる。この場合、第2のケーブル側コネクタ73は、後述の第2のロック部材76により、第2のインバータ側コネクタ61にロックされる。
【0080】
次に、第1のケーブル側コネクタ69に設けられた第1のロック部材75と、第2のケーブル側コネクタ73に設けられた第2のロック部材76とについて説明する。なお、第1のロック部材75と第2のロック部材76とは、同一の形状、構成となっているので、以下第1のロック部材75について詳しく説明し、第2のロック部材76についてはその説明を省略する。
【0081】
第1のロック部材75は、第1のケーブル側コネクタ69に設けられている。この第1のロック部材75は、水平位置(
図12の位置)と下側位置(
図11の位置)との間で動かすことにより、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52に対してロックし、またはロックを解除するものである。そして、第1のロック部材75は、第1のケーブル側コネクタ69の左面69Cと右面69Dとにそれぞれ当接する一対の操作レバー77と、第1のケーブル側コネクタ69の下側で操作レバー77間を接続する接続部81とを含んで構成されている。
【0082】
操作レバー77は、ガイドピン53と係合される後述のガイド溝79を有し、第1のケーブル側コネクタ69の左,右方向の両側に支持ピン70を介してロック位置とロック解除位置との間で回動可能にそれぞれ設けられている。この場合、
図11に示すように、操作レバー77は、下側位置にあるときにロック解除位置となる。また、
図12に示すように、操作レバー77は、水平位置にあるときにロック位置となる。そして、各操作レバー77は、係合部78と操作部80とを含んで構成されている。
【0083】
係合部78は、第1のケーブル側コネクタ69の左面69Cおよび右面69Dにそれぞれ当接する一対の板状に形成されている。この係合部78は、支持ピン70を支点として回動可能となっている。そして、
図10に示すように、係合部78には、ガイドピン53に対応する位置にガイド溝79が形成されている。
【0084】
ガイド溝79は、第1のインバータ側コネクタ52に設けられたガイドピン53が挿通するものである。このガイド溝79は、操作レバー77が下側位置(ロック解除位置)にある状態で、第1のケーブル側コネクタ69の溝部69C1に対応する位置に形成され、前,後方向に延びるピン挿入溝部79Aと、該ピン挿入溝部79Aの前端側(先端側)から上側に向けて湾曲する湾曲溝部79Bとにより形成されている。
【0085】
即ち、ピン挿入溝部79Aは、基端側(後端側)がガイドピン53を挿通させるために開口して前方に向けて延びている。湾曲溝部79Bは、ピン挿入溝部79Aの先端側(前端側)から上向きに凸円弧状に延びている。この場合、操作レバー77は、ガイドピン53がピン挿入溝部79A内にあるときにロック解除位置(下側位置)となり、係合部78を回動させてガイドピン53が湾曲溝部79Bの先端側に位置しているときにロック位置(水平位置)となる。
【0086】
操作部80は、係合部78から第1のケーブル側コネクタ69の下側に延びロック位置とロック解除位置との間で回動操作されるものである。即ち、
図10ないし
図12に示すように、操作部80は、第1のケーブル側コネクタ69の下側に位置して、支持ピン70を支点として略90度の範囲で回動させることができる。この場合、操作部80が下側位置(
図11の位置)にあるときには、ガイドピン53をガイド溝79のピン挿入溝部79Aから抜くことが可能となるロック解除位置となり、操作部80が水平位置(
図12の位置)にあるときには、ガイドピン53がガイド溝79の湾曲溝部79Bの先端側に係合するロック位置となる。
【0087】
即ち、操作部80は、第1のケーブル側コネクタ69よりも上側に位置することなく、ロック位置とロック解除位置とに切換える構成となっている。これにより、第1のロック部材75の操作部80がカバー部材34に接触(干渉)するのを抑制することができるので、カバー部材34を可及的に第1のインバータ50に近付けることができる。従って、
図8に示すように、インバータユニット36をユーティリティ室29内に配設した場合に、床板37からカバー部材34までの高さ寸法L1を小さく(低く)することができるので、ユーティリティ室29内のスペースを広く確保することができる。
【0088】
接続部81は、第1のケーブル側コネクタ69の左面69Cに対面ないし当接する操作レバー77の操作部80の下端側と、第1のケーブル側コネクタ69の右面69Dに対面ないし当接する操作レバー77の操作部80の下端側との間を接続するものである。即ち、接続部81は、第1のケーブル側コネクタ69の下面69Bよりも下方で左,右方向に延びている。接続部81は、第1のロック部材75を補強すると共に、左,右両側に設けられた一対の操作レバー77を一緒に回動させることができ、第1のロック部材75の操作性を向上することができる。
【0089】
第2のロック部材76は、第2のケーブル側コネクタ73に設けられている。この第2のロック部材76は、水平位置と下側位置との間で動かすことにより、第2のケーブル側コネクタ73を第2のインバータ側コネクタ61に対してロックし、またはロックを解除するものである。第2のロック部材76も第1のロック部材75と同様に、操作レバー77、係合部78、ガイド溝79、操作部80、接続部81を含んで構成されている。
【0090】
即ち、第2のロック部材76の操作部80は、第2のケーブル側コネクタ73よりも上側に位置することなく、ロック位置とロック解除位置とに切換える構成となっている。これにより、第2のロック部材76の操作部80が上側取付部材46に接触(干渉)するのを抑制することができるので、上側取付部材46を可及的に第2のインバータ59に近付けることができる。従って、
図8に示すように、インバータユニット36の高さ寸法L2を小さく抑えることができ、インバータユニット36をコンパクトに纏めることができる。その結果、インバータユニット36をユーティリティ室29内に配設した場合に、床板37からカバー部材34までの高さ寸法L1を小さく(低く)することができるので、ユーティリティ室29内のスペースを広く確保することができる。
【0091】
制御装置82は、蓄電装置25、アシスト発電モータ12、旋回電動モータ28等の動作を制御するものである。制御装置82と蓄電装置25の制御部25Cは、信号線83Aを介して接続されている。制御装置82と第1のインバータ50の制御部50Dは、信号線83Bを介して接続されている。制御装置82と第2のインバータ59の制御部59Dは、信号線83Cを介して接続されている。
【0092】
制御装置82は、蓄電装置25の制御部25Cに対して制御信号を出力することにより、蓄電装置25による充電または放電を制御する。これに加えて、制御装置82は、第1,第2のインバータ50,59の制御部50D,59Dに対して制御信号を出力することにより、アシスト発電モータ12,旋回電動モータ28の動作を制御する。
【0093】
本実施の形態によるハイブリッド式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0094】
キャブ6に搭乗したオペレータがエンジン8を作動させると、エンジン8によって油圧ポンプ9とアシスト発電モータ12が駆動される。これにより、油圧ポンプ9から吐出した圧油は、キャブ6内に設けられた操作レバー(図示せず)の操作に応じて、左,右の走行油圧モータ2E,2F、旋回油圧モータ27、作業装置4のブームシリンダ4D,アームシリンダ4E,バケットシリンダ4Fに向けて吐出する。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体3の旋回動作、作業装置4による掘削作業等を行う。
【0095】
ここで、油圧ショベル1の作動時にエンジン8の出力トルクが油圧ポンプ9の駆動トルクよりも大きいときには、余剰トルクによってアシスト発電モータ12が発電機として駆動される。これにより、アシスト発電モータ12は交流電力を発生し、この交流電力は、第1のインバータ50により直流電力に変換され、蓄電装置25に蓄えられる。一方、エンジン8の出力トルクが油圧ポンプ9の駆動トルクよりも小さいときには、アシスト発電モータ12は、蓄電装置25からの電力によって電動機として駆動され、エンジン8による油圧ポンプ9の駆動を補助(アシスト)する。
【0096】
旋回電動モータ28は、蓄電装置25に充電された電力が供給されることにより駆動され、旋回油圧モータ27と協働して下部走行体2上で上部旋回体3を旋回させる。また、旋回電動モータ28は、上部旋回体3が旋回減速したときの回生動作によって交流電力(回生電力)を発電し、この交流電力は第2のインバータ59により直流電力に変換され、蓄電装置25に蓄えられる。
【0097】
第1のインバータ50と第2のインバータ59とは、上,下方向に積層した状態で取付台38に取付けられている。そして、第1のケーブル67の第1のケーブル側コネクタ69は、第1のロック部材75により第1のインバータ50の第1のインバータ側コネクタ52にロックまたはロックを解除される。同様に、第2のケーブル71の第2のケーブル側コネクタ73は、第2のロック部材76により第2のインバータ59の第2のインバータ側コネクタ61にロックまたはロックを解除される。この場合、第1,第2のロック部材75,76は、各ケーブル側コネクタ69,73の下側で、水平位置と下側位置との間で動かすことにより各ケーブル側コネクタ69,73を各インバータ側コネクタ52,61に対してロックし、ロックを解除する構成としている。
【0098】
次に、インバータユニット36を車両に搭載する作業について説明する。
【0099】
まず、第1のインバータ50と第2のインバータ59とを取付台38に予め組付けたインバータユニット36をユーティリティ室29内の旋回フレーム5上にボルト等により取付ける。これにより、第1のインバータ50と第2のインバータ59とをユーティリティ室29内で旋回フレーム5上に組付けることができる。次に、一端側が蓄電装置25の第1のケーブル接続口25Aに接続された蓄電装置用ケーブル55の他端側を第1のインバータ50の蓄電装置用コネクタ54に接続する。また、蓄電装置用ケーブル55の途中部位を上側取付部材46の蓄電装置用ケーブル固定具48に固定する。これにより、第1のインバータ50と蓄電装置25とが接続される。
【0100】
同様に、一端側が蓄電装置25の第2のケーブル接続口25Bに接続された蓄電装置用ケーブル64の他端側を第2のインバータ59の蓄電装置用コネクタ63に接続する。また、蓄電装置用ケーブル64の途中部位を下側取付部材41の蓄電装置用ケーブル固定具43に固定する。これにより、第2のインバータ59と蓄電装置25とが接続される。
【0101】
次に、一端側がアシスト発電モータ12に接続された第1のケーブル67の他端側に設けられた第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52に接続する。具体的には、
図10に示すように、第1のケーブル側コネクタ69に支持ピン70を介して回動可能に取り付けられた第1のロック部材75を下側位置、即ち第1のロック部材75の操作部80を垂下させた状態で第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52に嵌め込む。この場合、第1のケーブル側コネクタ69の溝部69C1および第1のロック部材75の係合部78に形成されたガイド溝79のピン挿入溝部79Aに第1のインバータ側コネクタ52に設けられたガイドピン53が挿入される。
【0102】
そして、
図11に示すように、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52に差込んでいくと、ガイドピン53がピン挿入溝部79A内を移動してピン挿入溝部79Aの前端に位置する。そして、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52に差込みながら、第1のロック部材75の操作レバー77の操作部80を下側位置から水平位置に向けて
図11中の矢示方向に回動操作させると、係合部78が支持ピン70を支点として回動する。
【0103】
この場合、ガイドピン53は、ガイド溝79の湾曲溝部79B内を移動する。これにより、
図12に示すように、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52に接続させることができる。この場合、第1のケーブル側コネクタ69は、ガイドピン53がガイド溝79の湾曲溝部79Bに係合することにより、第1のインバータ側コネクタ52に対してロック(抜止め)される。
【0104】
また、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52から取外す場合には、第1のロック部材75の操作部80を水平位置(ロック位置)から下側位置(ロック解除位置)に向けて回動させる。これにより、
図11に示すように、ガイドピン53がガイド溝79のピン挿入溝部79Aの前端側に位置すると共に、第1のケーブル側コネクタ69は、第1のインバータ側コネクタ52から若干引抜かれる。そして、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52から引抜くと、ガイドピン53がピン挿入溝部79A内を移動して、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52から取外すことができる。
【0105】
第2のケーブル側コネクタ73を第2のインバータ59の第2のインバータ側コネクタ61に接続させる場合および取外す場合にも、上述した第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52に接続した場合および取外した場合と同様にして行うことができる。
【0106】
次に、第1のインバータ50が故障、異常等の不調状態になった場合について説明する。
【0107】
即ち、第1のインバータ50が不調状態になると、アシスト発電モータ12によるエンジン8の補助(アシスト)を行うことができなくなり、油圧ショベル1の作業が大きく制限される虞がある。一方、第2のインバータ59が不調状態になった場合は、旋回電動モータ28による旋回補助や回生発電を行うことができなくなるが、旋回動作は旋回油圧モータ27のみで行うことが可能であるため、油圧ショベル1の作業を継続することができる。
【0108】
そこで、本実施の形態では、第1のインバータ50と第2のインバータ59とは、共通な部品で構成された同一形状(同一型式)のインバータで構成している。これにより、優先度の高い第1のインバータ50が不調状態となった場合に、第2のインバータ59を第1のインバータ50の換わりとして用いることができるようにしている。
【0109】
即ち、第2のインバータ59の第2のインバータ側コネクタ61から第2のケーブル71を取外し、第1のケーブル67を第2のインバータ59の第2のインバータ側コネクタ61に取付ける。必要に応じて、図示しない信号線等も第1のインバータ50から第2のインバータ59に付け替える。そして、第2のインバータ59を暫定的(臨時的)に第1のインバータとして用いることにより、ハイブリッド機能を全停止することなく、油圧ショベル1の作業を行うことができる。
【0110】
この場合、例えば第1のインバータ50の第1のインバータ側コネクタ52から第1のケーブル67の第1のケーブル側コネクタ69を取外す場合には、第1のロック部材75をロック解除位置にする必要がある。第1のロック部材75は、第1のケーブル側コネクタ69よりも下方で水平位置と下側位置との間で回動させることによりロックし、またはロックを解除する構成となっている。
【0111】
ここで、仮に第1のロック部材75が第1のケーブル側コネクタ69よりも上側で水平位置と上側位置(第1のロック部材の操作部を水平位置から立上げた状態)との間で動かすことによりロックし、またはロックを解除する構成とした場合が考えられる。この場合には、第1のロック部材の操作部がカバー部材34に接触(干渉)してしまうので、カバー部材34を前取付部材32と後取付部材33とから取外さなければ、第1のケーブル側コネクタ69を第1のインバータ側コネクタ52に着脱することができないことになる。
【0112】
同様に、第2のロック部材76の場合には、第2のロック部材の操作部が取付台38の上側取付部材46に接触(干渉)してしまうので、上側取付部材46を下側取付部材41から取外さなければ、第2のケーブル側コネクタ73を第2のインバータ側コネクタ61に着脱することができないことになる。従って、各ケーブル67,71を各インバータ50,59に接続させる作業の作業性が低下する虞がある。
【0113】
そこで、第1のロック部材の操作部がカバー部材34に接触(干渉)するのを回避するために、第1のインバータ50とカバー部材34との間に操作部が入込むことができるスペースを確保することが考えられる。同様に、第2のロック部材の操作部が取付台38の上側取付部材46に接触(干渉)するのを回避するために、第2のインバータ59と上側取付部材46との間に操作部が入込むことができるスペースを確保することが考えられる。
【0114】
しかし、この場合には、操作部が入込むスペースを確保した分だけインバータユニット36の高さ寸法が大きく(高く)なり、インバータユニット36が大型化してしまう虞がある。また、インバータユニット36をユーティリティ室29内に配設したときに、カバー部材34の床板37からの高さ寸法が大きく(高く)なるので、ユーティリティ室29内にインバータユニット36を配設するための広いスペースを確保しなければならない。
【0115】
そこで、第1の実施の形態では、第1のロック部材75は、第1のケーブル側コネクタ69よりも下方で水平位置と下側位置との間で回動させることにより、ロックまたはロック解除する構成となっている。また、第2のロック部材76は、第2のケーブル側コネクタ73よりも下方で水平位置と下側位置との間で回動させることにより、ロックまたはロック解除する構成となっている。
【0116】
これにより、取付台38の上側取付部材46を可及的に第2のインバータ59に近付けることができるので、インバータユニット36の高さ寸法を小さくして、インバータユニット36をコンパクトにすることができる。また、インバータユニット36をユーティリティ室29内に配設したときに、カバー部材34を可及的に第1のインバータ50に近付けることができるので、取付台38の高さ寸法L1を小さく抑えることができる。従って、第1のインバータ50と第2のインバータ59とを車体上にコンパクトに搭載することができ、ユーティリティ室29内の他のスペースを広く確保することができる。
【0117】
また、カバー部材34および上側取付部材46を取外すことなく、各ロック部材75,76をロック位置とロック解除位置とに切替えることができる。これにより、各ケーブル側コネクタ69,73を各インバータ側コネクタ52,61に接続する作業および取外す作業の作業性を向上することができる。
【0118】
次に、
図13ないし
図15は、本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、各ロック部材の操作部が水平位置にあるときにロック解除位置となり、下側位置にあるときにロック位置としたことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0119】
第1のロック部材91は、第1のケーブル側コネクタ69に設けられている。一方、第2のロック部材92は、第2のケーブル側コネクタ73に設けられている。これら各ロック部材91,92は、水平位置(
図14の位置)と下側位置(
図15の位置)との間で動かすことにより、各ケーブル側コネクタ69,73を各インバータ側コネクタ52,61に対してロックし、またはロックを解除するものである。
【0120】
ここで、第1のロック部材91と第2のロック部材92とは、同一の形状、構成となっているので、以下第1のロック部材91について詳しく説明し、第2のロック部材92については第1のロック部材91と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0121】
第1のロック部材91は、第1のケーブル側コネクタ69の左面69Cと右面69Dとにそれぞれ当接する一対の操作レバー93と、第1のケーブル側コネクタ69の下側で操作レバー93間を接続する接続部97とを含んで構成されている。
【0122】
操作レバー93は、ガイドピン53と係合される後述のガイド溝95を有し、第1のケーブル側コネクタ69の左,右方向の両側に支持ピン70を介してロック位置とロック解除位置との間で回動可能にそれぞれ設けられている。この場合、
図14に示すように、操作レバー93は、水平位置にあるときにロック解除位置となる。また、
図15に示すように、操作レバー93は、下側位置にあるときにロック位置となる。そして、各操作レバー93は、係合部94と操作部96とを含んで構成されている。
【0123】
係合部94は、第1のケーブル側コネクタ69の左面69Cおよび右面69Dにそれぞれ当接する一対の板状に形成されている。この係合部94は、支持ピン70を支点として回動可能となっている。そして、
図13に示すように、係合部94には、ガイドピン53に対応する位置にガイド溝95が形成されている。
【0124】
ガイド溝95は、第1のインバータ側コネクタ52に設けられたガイドピン53が挿通するものである。このガイド溝95は、操作レバー93が水平位置(ロック解除位置)にある状態で、第1のケーブル側コネクタ69の溝部69C1に対応する位置に形成され、前,後方向に延びるピン挿入溝部95Aと、該ピン挿入溝部95Aの前端側(先端側)から下側に向けて湾曲する湾曲溝部95Bとにより形成されている。
【0125】
即ち、ピン挿入溝部95Aは、基端側(後端側)がガイドピン53を挿通させるために開口して前方に向けて延びている。湾曲溝部95Bは、ピン挿入溝部95Aの先端側(前端側)から下向きに凸円弧状に延びている。この場合、操作レバー93は、ガイドピン53がピン挿入溝部95A内にあるときにロック解除位置(水平位置)となり、係合部94を回動させてガイドピン53が湾曲溝部95Bの先端側に位置しているときにロック位置(下側位置)となる。
【0126】
操作部96は、係合部94から第1のケーブル側コネクタ69の下側に延びロック位置とロック解除位置との間で回動操作されるものである。即ち、
図13ないし
図15に示すように、操作部96は、第1のケーブル側コネクタ69の下側に位置して、支持ピン70を支点として略90度の範囲で回動させることができる。この場合、操作部96が水平位置(
図14の位置)にあるときには、ガイドピン53をガイド溝95のピン挿入溝部95Aから抜くことが可能となるロック解除位置となり、
図14中の矢示方向に操作レバー93を回動させて操作部96が下側位置(
図15の位置)にあるときには、ガイドピン53がガイド溝95の湾曲溝部95Bの先端側に係合するロック位置となる。
【0127】
即ち、操作部96は、第1のケーブル側コネクタ69よりも上側に位置することなく、ロック位置とロック解除位置とに切換える構成となっている。これにより、第1のロック部材91の操作部96がカバー部材34に接触(干渉)するのを抑制することができるので、カバー部材34を可及的に第1のインバータ50に近付けることができる。また、操作部96は、第2のケーブル側コネクタ73よりも上側に位置することなく、ロック位置とロック解除位置とに切換える構成となっている。これにより、第2のロック部材92の操作部96が上側取付部材46に接触(干渉)するのを抑制することができるので、上側取付部材46を可及的に第2のインバータ59に近付けることができる。
【0128】
接続部97は、第1のケーブル側コネクタ69の左面69Cに対面ないし当接する操作レバー93の操作部96の下端側と、第1のケーブル側コネクタ69の右面69Dに対面ないし当接する操作レバー93の操作部96の下端側との間を接続するものである。即ち、接続部97は、第1のケーブル側コネクタ69の下面69Bよりも下方で左,右方向に延びている。接続部97は、第1のロック部材91を補強すると共に、左,右両側に設けられた一対の操作レバー93を一緒に回動させることができ、第1のロック部材91の操作性を向上することができる。
【0129】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、操作部96が下側位置にあるときにロック位置としているので、ロック状態にあるときに操作部96および接続部97等の自重により操作レバー93が回動するのを抑制することができる。これにより、第1,第2ロック部材91,92のロック状態の安定性を向上することができる。
【0130】
なお、上述した第1の実施の形態では、上側取付部材46に第1のインバータ50を取付け、下側取付部材41に第2のインバータ59を取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上側取付部材46に第2のインバータ59を取付け、下側取付部材41に第1のインバータ50を取付けてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0131】
また、上述した第1の実施の形態では、各ロック部材75,76を一対の操作レバー77と各操作レバー77を接続する接続部81とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば接続部81を設けずに各ロック部材を操作レバー77のみで構成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0132】
また、上述した第1の実施の形態では、各ロック部材75,76の各操作レバー77を各ケーブル側コネクタ69,73の左,右方向の両側に設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば各操作レバー77をケーブル側コネクタ69,73の左,右方向のいずれか片側にのみ設けてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0133】
また、上述した第1の実施の形態では、第2の電動機を旋回電動モータ28とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第2の電動機を油圧アクチュエータからの戻り油で回生電力を発電する油圧回生用の電動モータとしてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0134】
また、上述した第1の実施の形態では、旋回モータ26を旋回油圧モータ27と旋回電動モータ28とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば旋回モータを旋回電動モータのみにより構成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0135】
また、上述した実施の形態では、ハイブリッド式作業機として、履帯2Dを備えたクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車輪を備えたホイール式油圧ショベル、ホイールローダ、フォークリフト、ダンプトラック等の種々の作業機に広く適用することができる。