(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
実装面に少なくとも1つの発熱部品を含む電子部品が実装された回路基板と、前記電子部品を覆うように前記実装面の側に設けられた絶縁性樹脂材からなる封止用の樹脂層と、前記樹脂層の表面を覆う導電ペースト材からなる導電層と、を備えた回路モジュールであって、
前記樹脂層の前記発熱部品と対応する位置には、前記樹脂層の表面から前記発熱部品側に凹となる凹部が設けられており、
前記凹部は、前記発熱部品と対向する底部と、前記底部の一方の側に設けられた傾斜角度の急峻な第1傾斜部と、前記底部の他方の側に設けられた傾斜角度の緩やかな第2傾斜部と、を有し、
前記凹部には、前記導電ペースト材が充填されており、
前記発熱部品の周囲であって前記第1傾斜部の側には、少なくとも1つの非発熱部品が配置されている、
ことを特徴とする回路モジュール。
実装面に少なくとも1つの発熱部品を含む電子部品が実装された回路基板と、前記電子部品を覆うように前記実装面の側に設けられた絶縁性樹脂材からなる封止用の樹脂層と、前記樹脂層の表面を覆う導電ペースト材からなる導電層と、を備えた回路モジュールの製造方法であって、
前記発熱部品の周囲には、少なくとも1つの非発熱部品が配置されており、
前記樹脂層の前記発熱部品と対応する位置に前記樹脂層の表面から前記発熱部品側に凹となる凹部を形成し、
前記凹部は、前記発熱部品と対向する底部と、前記非発熱部品に近い前記底部の一方の側に設けられた傾斜角度の急峻な第1傾斜部と、前記底部の他方の側に設けられた傾斜角度の緩やかな第2傾斜部と、を有するものとし、
前記凹部に前記導電ペースト材を充填する、
ことを特徴とする回路モジュールの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成の樹脂封止タイプの回路モジュール900では、電子部品群909のうちの少なくとも1つが発熱するような電子部品であった場合、当該電子部品から発生した熱を放射することができないため、電子部品の信頼性に影響を与えることになってしまう可能性があった。
【0008】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、放熱性を高めた、生産性及び信頼性の優れた樹脂封止タイプの回路モジュール及び回路モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の回路モジュールは、実装面に少なくとも1つの発熱部品を含む電子部品が実装された回路基板と、前記電子部品を覆うように前記実装面の側に設けられた絶縁性樹脂材からなる封止用の樹脂層と、前記樹脂層の表面を覆う導電ペースト材からなる導電層と、を備えた回路モジュールであって、前記樹脂層の前記発熱部品と対応する位置には、前記樹脂層の表面から前記発熱部品側に凹となる凹部が設けられており、
前記凹部は、前記発熱部品と対向する底部と、前記底部の一方の側に設けられた傾斜角度の急峻な第1傾斜部と、前記底部の他方の側に設けられた傾斜角度の緩やかな第2傾斜部と、を有し、 前記凹部には、前記導電ペースト材が充填されて
おり、前記発熱部品の周囲であって前記第1傾斜部の側には、少なくとも1つの非発熱部品が配置されている、という特徴を有する。
【0010】
このように構成された回路モジュールは、発熱部品と導電層との間の距離を近付けると共に、発熱部品付近で導電層の厚さを厚くすることができるため、発熱部品の放熱性を高めることができる。また、従来の生産工法を踏襲して樹脂層と導電層とを形成することができるので、生産性を維持した状態で信頼性の優れた樹脂封止タイプの回路モジュールを提供することが可能となる。
【0011】
また、上記課題を解決するために本発明の回路モジュールの製造方法は、実装面に少なくとも1つの発熱部品を含む電子部品が実装された回路基板と、前記電子部品を覆うように前記実装面の側に設けられた絶縁性樹脂材からなる封止用の樹脂層と、前記樹脂層の表面を覆う導電ペースト材からなる導電層と、を備えた回路モジュールの製造方法であって、
前記発熱部品の周囲には、少なくとも1つの非発熱部品が配置されており、前記樹脂層の前記発熱部品と対応する位置に前記樹脂層の表面から前記発熱部品側に凹となる凹部を形成し、
前記凹部は、前記発熱部品と対向する底部と、前記非発熱部品に近い前記底部の一方の側に設けられた傾斜角度の急峻な第1傾斜部と、前記底部の他方の側に設けられた傾斜角度の緩やかな第2傾斜部と、を有するものとし、前記凹部に前記導電ペースト材を充填する、という特徴を有する。
【0012】
このように構成された回路モジュールの製造方法は、発熱部品と導電層との間の距離を近付けると共に、発熱部品付近で導電層の厚さを厚くすることができるため、発熱部品の放熱性を高めることができる。また、従来の生産工法を踏襲して樹脂層と導電層とを形成することができるので、生産性を維持した状態で信頼性の優れた樹脂封止タイプの回路モジュールを提供することが可能となる。
【0013】
また、上記の構成において、前記導電ペースト材を前記凹部全体に充填すると共に、平面視で前記回路基板の中央部付近に対応する位置において前記導電層の表面を平坦に形成する、という特徴を有する。
【0014】
このように構成された回路モジュールの製造方法は、導電層の表面を平坦に形成するので、マウンタによる当該回路モジュールの電子機器への実装時に、吸着性を高めることができる。
【0015】
また、上記の構成において、前記発熱部品を前記回路基板の外周部を避けた位置に配置すると共に、前記凹部を平面視で前記回路基板の外周部を避けた位置に形成する、という特徴を有する。
【0016】
このように構成された回路モジュールの製造方法は、凹部を平面視で回路基板の外周部を避けた位置に形成するので、凹部の周囲を樹脂層で囲むことができ、導電ペースト材を充填する際の導電ペースト材の流出を防止することができる。
【0017】
また、上記の構成において、前記凹部の底部と前記発熱部品との間に所定の厚さを有する前記樹脂層を介在させる、という特徴を有する。
【0018】
このように構成された回路モジュールの製造方法は、凹部の底部と発熱部品との間に所定の厚さを有する樹脂層を介在させるので、凹部の底部から発熱部品側への水分の浸透や、凹部に充填された導電ペースト材と発熱部品との不所望な導通を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の回路モジュール及び回路モジュールの製造方法は、発熱部品と導電層との間の距離を近付けると共に、発熱部品付近で導電層の厚さを厚くすることができるため、発熱部品の放熱性を高めることができる。また、従来の生産工法を踏襲して樹脂層と導電層とを形成することができるので、生産性を維持した状態で信頼性の優れた樹脂封止タイプの回路モジュールを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の回路モジュール及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。本発明の回路モジュールは、例えば、無線LAN(Local Area Network)やブルートゥース(登録商標)等に使用される、高周波回路を有する小型の回路モジュールであり、スマートフォン等の電子機器に搭載されて用いられる。本発明の回路モジュールの用途については、以下説明する実施形態に限定されるものではなく適宜変更が可能である。尚、本明細書では、各図面に対する説明の中で、右側、左側、前側、後側、上側、下側と記載している場合、これらは、それぞれ各図面内で+X側、−X側、+Y側、−Y側、+Z側、−Z側を示すものである。
【0022】
[回路モジュールの実施形態]
最初に、
図1乃至
図3を参照して、本発明の実施形態に係る回路モジュール100の構造について説明する。
図1は、回路モジュール100の外観を示す斜視図であり、
図2は、回路モジュール100の平面図であり、
図3は、
図2におけるA−A線から見た回路モジュール100の断面図である。
【0023】
回路モジュール100は、
図1及び
図2に示すように、矩形形状をした回路基板30と、回路基板30の実装面31に実装された複数の電子部品41と、を備えている。回路基板30は複数の層から成り(
図3参照)、回路基板30の実装面31上及び回路基板30の内層には、配線パターン37が形成されている。これら配線パターン37と複数の電子部品41とによって電子回路40が形成されている。また、回路基板30の内層には、電子部品41と配線パターン37間等に複数のビアホール38が形成されている。
【0024】
複数の電子部品41は、少なくとも1つの発熱部品41aを含むと共に、非発熱部品41bを含んでおり、回路基板30上の電子部品41を覆うように実装面31の側に設けられた絶縁性樹脂材11からなる封止用の樹脂層10によって樹脂封止されている。絶縁性樹脂材11は、エポキシ樹脂を主成分にシリカ充填材等を加えた熱硬化性成形材料であり、回路基板30上の電子部品41を熱や湿度などの環境から保護することを目的として用いられる。
【0025】
複数の電子部品41は、
図3に示すように、回路基板30の実装面31に設けられている部品パッド35に実装される。部品パッド35は、上述した配線パターン37及びビアホール38に接続されている。また、複数の電子部品41のうち、発熱部品41aは、回路基板30の外周部33を避けた位置に配置されている。
【0026】
回路基板30の最下層には、
図3に示すように、通常動作に必要な複数のランド電極39が設けられている。複数のランド電極39は、例えば、上述した電子回路40に電源を供給する電源端子や電子回路40の入力端子や出力端子、及びグランド端子として用いられる。回路モジュール100では、これらのランド電極39のうち、電源端子や入力端子や出力端子は、回路基板30の最下層の面の周辺に沿って設けられており、グランド端子は、回路基板30の最下層の中央に設けられている。複数のランド電極39は、上述したビアホール38を介して配線パターン37に接続されている。
【0027】
回路基板30の最下層に設けられた複数のランド電極39は回路モジュール100が搭載されるスマートフォン等の電子機器に半田等によって取り付けられ、電子回路40が、電子機器内の回路に電気的に接続される。
【0028】
回路モジュール100では、上述した樹脂層10の表面を覆う導電ペースト材21からなる導電層20を備えている。
【0029】
導電層20は、高周波回路である電子回路40を外部に対してシールドする目的で形成される。導電層20は、樹脂層10の表面を覆うと共に、回路基板30の側面部も覆うように形成されている。
【0030】
導電層20を構成する導電ペースト材21は、銀や銅等の導電性を有する材料から成ると共に、樹脂層10や回路基板30に対する強い密着性を有している。
【0031】
導電層20は、銀や銅等の金属材料で構成されているため、導電性を有していると共に、高い熱伝導性も有している。従って、熱を発生させる発熱部品41aに接触又は近接させて設けることによって、発熱部品41aから発生する熱を伝導させ、外部に放射させることができる。
【0032】
図2及び
図3に示すように、樹脂層10の発熱部品41aと対応する位置に、樹脂層10の表面から当該発熱部品41a側に凹となる凹部13が設けられている。凹部13は、下側に底部13aが形成され、底部13aに連続して左右及び前後方向にそれぞれ傾斜部13bが形成されている。凹部13は、平面視で回路基板30の外周部33を避けた位置に形成されている。
【0033】
回路モジュール100では、凹部13は、
図2に示すように、平面視で正方形形状に形成されていると共に、
図2及び
図3に示すように、回路モジュール100の表面側よりも発熱部品41a側の底部13aが小さな正方形となるような角錐台状となっている。
【0034】
また、凹部13は、底部13aの正方形の中心点C1(
図2参照)が、平面視で発熱部品41aの上側表面の中心部に配置されるように形成されている。但し、発熱部品41aの形状が大きくて、発熱部品41a内の発熱箇所が発熱部品41aの中心部にない場合は、凹部13の位置をずらして、底部13aにおける正方形の中心点C1の位置が平面視で発熱部品41a内の発熱箇所の位置に来るように配置されていても良い。本発明において凹部13が発熱部品41aと対応する位置に配置されているとは、凹部13がこれらの位置に配置されていることを意味する。
【0035】
凹部13には、
図3に示すように、上述した導電ペースト材21が、凹部13の角錐台状の内部全体を満たすように充填されている。また、凹部13に充填された導電ペースト材21が、凹部13の上側の端部から外側に位置する樹脂層10の表面に拡がっていることにより、樹脂層10全体に導電層20が形成されていると共に、導電層20の表面が平坦に形成されている。
【0036】
また、凹部13の底部13aと発熱部品41aとの間には、所定の厚さを有する樹脂層10が介在している。凹部13の底部13aと発熱部品41aとの間に所定の厚さを有する樹脂層10が介在していることによって、発熱部品41aは、よりしっかりと固定される。
【0037】
[回路モジュールの製造方法の実施形態]
次に、
図2乃至
図4を参照して、回路モジュール100の製造方法の実施形態について説明する。回路モジュール100の製造方法では、第1工程から第3工程までを有している。
図4は、回路モジュール100の製造方法を示す工程図(断面図)であり、
図4(a)が第1工程を示し、
図4(b)が第2工程を示し、
図4(c)が第3工程を示す。尚、回路モジュール100は、一般的には、回路基板30が複数集合した集合回路基板(図示せず)の上に複数形成される製造方法によって製造されるが、説明を簡単にするため、1枚の回路基板30上に回路モジュール100が製造される製造方法として説明する。
【0038】
回路モジュール100の製造方法の第1工程では、
図4(a)に示すように、回路基板30を用意し、回路基板30の実装面31上に複数の電子部品41を実装する。電子部品41には、発熱部品41a及び非発熱部品41bを含む。発熱部品41aは、例えばLSI(Large-Scale Integration)等の集積回路であり、非発熱部品41bは、例えばキャパシタ等の受動素子である。
【0039】
第1工程では、回路基板30の外周部33を避けた位置に配置されるように、発熱部品41aを実装する。即ち、回路基板30上における発熱部品41aの外側端部と回路基板30の外側端部との間に所定の間隔を持つように発熱部品41aを配置して実装する。非発熱部品41bについては、実装位置が回路基板30の外周部33の近傍であっても良い。
【0040】
回路モジュール100の製造方法の第2工程は、
図4(b)に示すように、電子部品41が実装された回路基板30上に樹脂層10を形成させる工程である。
【0041】
樹脂層10は、所定の金型を使用し、当該金型内に熱硬化性の絶縁性樹脂材11を流し込むことによって形成される。樹脂層10は、電子部品41の周囲を絶縁性樹脂材11によって樹脂封止し、電子部品41を衝撃、温度、湿度等の外部要因から守るために形成される。
【0042】
本発明の回路モジュール100の製造方法では、樹脂層10を形成させる第2工程において、樹脂層10の発熱部品41aと対応する位置に樹脂層10の表面から発熱部品41a側に凹となる凹部13を形成させる。
【0043】
凹部13として、発熱部品41aと対応する下側に底部13aを形成し、底部13aに連続して左右及び前後方向にそれぞれ傾斜部13bを形成させる。凹部13は、
図2に示すように、平面視で正方形形状に形成されると共に、
図2乃至
図4(b)に示すように、回路モジュール100の表面側よりも発熱部品41a側の底部13aが小さな正方形となるような角錐台状となるように形成される。
【0044】
また、凹部13は平面視で回路基板30の外周部33を避けた位置に形成される。前述したように、回路基板30上における発熱部品41aの外側端部と回路基板30の外側端部との間に所定の間隔を持つように発熱部品41aを配置しているので、凹部13を平面視で回路基板30の外周部33を避けた位置に形成させることができる。その結果、凹部13の傾斜部13bを、回路基板30上の樹脂層10内に形成させることができる。
【0045】
回路モジュール100の製造方法の第3工程は、
図4(c)に示すように、回路基板30上に形成された樹脂層10に導電層20を形成させる工程である。
【0046】
第3工程において、樹脂層10の表面を覆うと共に、回路基板30の側面部も覆うように導電ペースト材21を塗布することによって、導電層20を形成させる。導電層20は、高周波回路である電子回路40(
図2参照)を外部に対してシールドする目的で形成される。
【0047】
導電層20を形成するために用いられる導電ペースト材21は、銀や銅等の導電性を有する材料によって構成されており、樹脂層10や回路基板30に対する強い密着性を有している。
【0048】
導電層20は、銀や銅等の金属材料で構成されているため、導電性を有していると共に、高い熱伝導性も有している。従って、熱を発生させる発熱部品41aに接触又は近接させて設けることによって、発熱部品41aから発生する熱を伝導させ、外部に放射させることができる。
【0049】
前述したように、樹脂層10を形成させる第2工程において、樹脂層10の発熱部品41aと対応する位置に樹脂層10の表面から発熱部品41a側に凹となる凹部13を形成し、平面視で正方形形状に形成すると共に、回路モジュール100の表面側よりも発熱部品41a側の底部13aが小さな正方形となるような角錐台状となるように形成している。
【0050】
第3工程においては、導電ペースト材21を、角錐台状となった凹部13の内部全体を満たすように充填する。また、導電ペースト材21が、凹部13の上側の端部から外側に位置する樹脂層10の表面に拡がるように導電層20を形成させる。
【0051】
発熱部品41a上の凹部13に充填する導電層20の厚さt1は、より厚いほうが望ましく、発熱部品41a上以外の導電層20の厚さt2の2倍以上とすることが望ましい。凹部13に充填する導電層20の厚さt1を発熱部品41a上以外の導電層20の厚さt2の2倍以上(t1≧t2)とすることによって、発熱部品41aの放熱性をより高めることができる。
【0052】
尚、凹部13の形状は、角錐台状ではなく、角柱状等の他の形状であっても良いが、角錐台状であることがより望ましい。特に、凹部13を平面視正方形状の角錐台状となるように形成することによって、導電ペースト材21を充填し易くすることができる。
【0053】
また、凹部13の底部13aと発熱部品41aとの間に、所定の厚さを有するように樹脂層10を介在させている。凹部13の底部13aと発熱部品41aとの間に所定の厚さを有する樹脂層10を介在させることによって、発熱部品41aに直接導電ペースト材21が接する場合に比べて、発熱部品41aをよりしっかりと固定させることができると共に、凹部13の底部13aから発熱部品41a側への水分の浸透や、凹部13に充填された導電ペースト材21と発熱部品41aとの不所望な導通を防止することができる。
【0054】
また、樹脂層10を形成させる第2工程において、凹部13を平面視で回路基板30の外周部33を避けた位置に形成させたことによって、凹部13の傾斜部13bを回路基板上の樹脂層10内に形成させたので、第3工程において、凹部13の周囲を樹脂層10で囲むことができ、導電ペースト材21を充填する際の導電ペースト材21の流出を防止することができる。
【0055】
更に、導電層20を形成させる第3工程において、導電ペースト材21を凹部13全体に充填すると共に、平面視で回路基板30の中央部付近に対応する位置において導電層20の表面が平坦になるように、導電層20を形成させた。
【0056】
平面視で回路基板30の中央部付近に対応する位置において導電層20の表面が平坦になるように導電層20を形成することによって、マウンタによる当該回路モジュール100の電子機器への実装時に、吸着性を高めることができる。尚、マウンタによる吸着面積が十分に確保されており、且つ、放熱性を高めるのに十分な同で導電層20の厚さが確保されている場合には、導電ペースト材21を凹部13全体に充填しなくても構わない。
【0057】
このように、樹脂層10の発熱部品41aと対応する位置に凹部13を形成し、凹部13に導電ペースト材21を充填するようにしたので、発熱部品41aと導電層20との間の距離を近付けると共に、発熱部品41a付近で導電層20の厚さを厚くすることができる。そのため、発熱部品41aの放熱性を高めることができる。また、このような放熱構造は、前述した第2工程において凹部13の形状に合わせて金型の形状を変更するだけで形成することができる。すなわち、従来の生産工法を踏襲して樹脂層10と導電層20とを形成することができる。
【0058】
[回路モジュールの第1変形例の実施形態]
次に、
図3及び
図5を参照して、本発明の実施形態に係る回路モジュールの第1変形例である回路モジュール110の構造について説明する。
図5は、回路モジュール110の平面図である。尚、回路モジュール110の断面図は、回路モジュール100の断面図と同一であるので、回路モジュール110の断面図として、
図3を用いる。
図3は、
図5におけるB−B線から見た回路モジュール100の断面図でもある。また、回路モジュール110の回路モジュール100との相違点は、回路モジュール110における凹部14の形状が回路モジュール100における凹部13の形状と異なるだけである。そのため、凹部14に関係する部分以外については、その説明を省略する。
【0059】
回路モジュール110は、
図5に示すように、矩形形状をした回路基板30と、回路基板30の実装面31に実装された複数の電子部品41と、を備えている。
【0060】
図3及び
図5に示すように、樹脂層10の発熱部品41aと対応する位置に、樹脂層10の表面から当該発熱部品41a側に凹となる凹部14が設けられている。凹部14は、下側に底部14aが形成され、底部14aの周囲から連続して傾斜部14bが形成されている。
【0061】
回路モジュール110では、凹部14は、
図5に示すように、平面視で円形状に形成されていると共に、
図3及び
図5に示すように、回路モジュール110の表面側よりも発熱部品41a側の底部14aが小さな円形となるような円錐台状となっている。また、凹部14は、底部14aの円形の中心点C2が、平面視で発熱部品41aの上側表面の中心部に配置されるように形成されている。
【0062】
凹部14には、上述した導電ペースト材21が、凹部14の円錐台状の内部全体を満たすように充填されている。また、凹部14に充填された導電ペースト材21は、凹部14の上側の端部から外側に位置する樹脂層10の表面に拡がって形成されている。凹部14の形状を円錐台状となるように形成していることによって、角錐台状に形成されている場合に比べて、導電層20の形成時に、導電ペースト材21をより充填し易くすることができる。
【0063】
[回路モジュールの第2変形例の実施形態]
次に、
図6及び
図7を参照して、本発明の実施形態に係る回路モジュールの第2変形例である回路モジュール120の構造について説明する。
図6は、回路モジュール120の平面図であり、
図7は、回路モジュール120の断面図である。
図7は、
図6におけるC−C線から見た回路モジュール120の断面図である。尚、回路モジュール120の回路モジュール100との相違点は、回路モジュール120における凹部15の形状が回路モジュール100における凹部13の形状と異なることと、発熱部品41a、非発熱部品41b、及び凹部15の位置が、回路モジュール100の場合と異なることだけである。そのため、凹部15に関係する部分及び発熱部品41aと非発熱部品41bとの関係以外については、その説明を省略する。
【0064】
回路モジュール120は、
図6に示すように、矩形形状をした回路基板30と、
図7に示すように、回路基板30の実装面31に実装された複数の電子部品41と、を備えている。
【0065】
複数の電子部品41は、1つの発熱部品41aを含むと共に、非発熱部品41bを含んでいる。非発熱部品41bは、回路基板30の外周部33の近傍に配置されており、発熱部品41aは、非発熱部品41bの近傍で非発熱部品41bよりも回路基板30の内側に配置されている。
【0066】
図6及び
図7に示すように、樹脂層10の発熱部品41aと対応する位置に、樹脂層10の表面から当該発熱部品41a側に凹となる凹部15が設けられている。凹部15は、下側に底部15aが形成され、発熱部品41a側に傾斜部15bが形成され、発熱部品41aとは反対側に傾斜部15cが形成されている。
【0067】
回路モジュール120においては、凹部15は、
図6に示すように、平面視で左右方向に長軸を有する楕円形状に形成されていると共に、
図6及び
図7に示すように、回路モジュール120の表面側よりも発熱部品41a側の底部15aが小さな楕円形となるような楕円錐台状となっている。また、凹部15は、底部15aの楕円形の左側にある1つの焦点C3が、発熱部品41aの上側表面の中心部に配置されるように形成されている。
【0068】
従って、発熱部品41aとは反対側の傾斜部15cの傾斜角度は、発熱部品41a側の傾斜部15bの傾斜角度よりも小さな角度となっている。一般的に、導電層20の厚さが厚い側の熱抵抗は、導電層20の厚さが薄い側の熱抵抗に比べて小さくなる。そのため、発熱部品41aから発生する熱を、傾斜部15c側(
図7における右側)に逃がすことが可能となる。
【0069】
そのため、例えば、
図7における左側に位置する非発熱部品41bが熱に対して弱い部品であった場合、回路モジュール120のように、凹部15を平面視で左右方向に長軸を有する楕円形状に形成させると共に、傾斜部15b側に非発熱部品41bを配置することによって、非発熱部品41bを発熱部品41aからの熱から守ることができる。
【0070】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0071】
回路モジュール100は、発熱部品41aと導電層20との間の距離を近付けると共に、発熱部品41a付近で導電層20の厚さを厚くすることができるため、発熱部品41aの放熱性を高めることができる。また、従来の生産工法を踏襲して樹脂層10と導電層20とを形成することができるので、生産性を維持した状態で信頼性の優れた樹脂封止タイプの回路モジュール100を提供することが可能となる。
【0072】
また、回路モジュール100の製造方法は、発熱部品41aと導電層20との間の距離を近付けると共に、発熱部品41a付近で導電層20の厚さを厚くすることができるため、発熱部品41aの放熱性を高めることができる。また、従来の生産工法を踏襲して樹脂層10と導電層20とを形成することができるので、生産性を維持した状態で信頼性の優れた樹脂封止タイプの回路モジュール100を提供することが可能となる。
【0073】
また、導電層20の表面を平坦に形成するので、マウンタによる当該回路モジュール100の電子機器への実装時に、吸着性を高めることができる。
【0074】
また、凹部13を平面視で回路基板30の外周部33を避けた位置に形成するので、凹部13の周囲を樹脂層10で囲むことができ、導電ペースト材21を充填する際の導電ペースト材21の流出を防止することができる。
【0075】
また、凹部13の底部13aと発熱部品41aとの間に所定の厚さを有する樹脂層10を介在させるので、凹部13の底部13aから発熱部品41a側への水分の浸透や、凹部13に充填された導電ペースト材21と発熱部品41aとの不所望な導通を防止することができる。
【0076】
以上説明したように、本発明の回路モジュール及び回路モジュールの製造方法は、発熱部品と導電層との間の距離を近付けると共に、発熱部品付近で導電層の厚さを厚くすることができるため、発熱部品の放熱性を高めることができる。また、従来の生産工法を踏襲して樹脂層と導電層とを形成することができるので、生産性を維持した状態で信頼性の優れた樹脂封止タイプの回路モジュールを提供することが可能となる。
【0077】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。