(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707437
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】放送マスターシステム、同システムにおける切替方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/24 20110101AFI20200601BHJP
H04H 20/22 20080101ALI20200601BHJP
H04H 20/12 20080101ALI20200601BHJP
H04H 60/11 20080101ALI20200601BHJP
【FI】
H04N21/24
H04H20/22
H04H20/12
H04H60/11
【請求項の数】30
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-222797(P2016-222797)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-82287(P2018-82287A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】金子 博
【審査官】
長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−108875(JP,A)
【文献】
特開2012−029204(JP,A)
【文献】
特開2009−188756(JP,A)
【文献】
特開2010−011317(JP,A)
【文献】
特開2012−147364(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/031156(WO,A1)
【文献】
特開2012−114533(JP,A)
【文献】
特開2013−074421(JP,A)
【文献】
特開2014−017607(JP,A)
【文献】
特開2009−188731(JP,A)
【文献】
特開平10−303840(JP,A)
【文献】
特開平10−200791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
H04N 17/00−17/06
H04H 20/00−60/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送マスターシステムにおいて、
前記放送マスターシステムから送出される、第1の放送データを生成する第1のシステム処理系と、
前記第1の放送データと同様の第2の放送データを生成する第2のシステム処理系と、
前記第1のシステム処理系で発生した異常を検出する検出手段と、
前記検出手段によって異常が検出された場合、前記第1の放送データの代わりに、前記第2の放送データが、前記放送マスターシステムから送出されるように、前記第1のシステム処理系から前記第2のシステム処理系へ切り替えるための方式を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された方式に応じて、前記第1のシステム処理系から前記第2のシステム処理系への切り替えを実施するための切替手段とを備え、
前記設定手段は、前記検出手段によって異常が検出された場合、予め定められた切替条件が満たされているのであれば、前記切り替えを自動的に開始するように前記切替手段を設定し、満たされていないのであれば、前記切り替えを開始するタイミングをオペレータが手動で前記切替手段に指示可能にするための半自動切替機能を備える、放送マスターシステム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記異常を検出した場合、前記異常を報知する、請求項1に記載された放送マスターシステム。
【請求項3】
前記設定手段はさらに、前記検出手段によって異常が検出された場合、前記切替条件に関わらず、前記切り替えを自動的に開始するように前記切替手段を設定するための自動切替機能と、前記検出手段によって異常が検出された場合、前記切替条件に関わらず、前記切り替えを開始するタイミングを前記オペレータが手動で前記切替手段に指示可能にするための手動切替機能とを備える、請求項1または2に記載された放送マスターシステム。
【請求項4】
前記検出手段はさらに、前記第2のシステム処理系に異常があるか否かを判定し、
前記切替手段は、前記検出手段によって前記第2のシステム処理系に異常があると判定された場合、前記切り替えを実施しない、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載された放送マスターシステム。
【請求項5】
前記切替条件は、CMの途中ではないことである、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載された放送マスターシステム。
【請求項6】
前記切替条件は、予め定められた重要番組の途中ではないことである、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載された放送マスターシステム。
【請求項7】
前記切替条件は、緊急時であることである、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載された放送マスターシステム。
【請求項8】
前記切替条件は、前記検出手段によって異常が検出された時から、所定の経過時間に達したことである、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載された放送マスターシステム。
【請求項9】
前記切替条件が満たされない場合、前記切り替えを開始するための推奨されるタイミングを通知する通知手段を備える、請求項1乃至8のうち何れか1項に記載された放送マスターシステム。
【請求項10】
前記推奨されるタイミングは、緊急時になる時、CMの終了時、および、予め定められた重要番組の終了時、のうちの少なくとも何れかである請求項9に記載された放送マスターシステム。
【請求項11】
放送マスターシステムから送出される放送データを生成するためのシステム処理系を切り替えるための切替方法であって、
前記放送マスターシステムから送出される、第1の放送データを第1のシステム処理系において生成し、
前記第1の放送データと同様の第2の放送データを第2のシステム処理系において生成し、
前記第1のシステム処理系で発生した異常を検出し、
前記異常が検出された場合、予め定められた切替条件が満たされているのであれば、前記第1の放送データの代わりに、前記第2の放送データが、前記放送マスターシステムから送出されるように、前記第1のシステム処理系から前記第2のシステム処理系への切り替えを自動的に開始する方式を設定し、前記予め定められた切替条件が満たされていないのであれば、前記第1のシステム処理系から前記第2のシステム処理系への切り替えを、オペレータからの指示に従って開始する方式を設定し、
前記設定された方式に応じて、前記第1のシステム処理系から前記第2のシステム処理系への切り替えを実施する、
切替方法。
【請求項12】
前記異常が検出された場合、前記異常を報知する、請求項11に記載された切替方法。
【請求項13】
前記異常が検出された場合、前記切替条件に関わらず、前記切り替えを自動的に開始する方式を設定するか、または、前記切り替えを、前記オペレータからの指示に従って開始する方式を設定する、請求項11または12に記載された切替方法。
【請求項14】
前記第2のシステム処理系に異常があるか否かを判定し、前記第2のシステム処理系に異常があると判定された場合、前記切り替えを実施しない、請求項11乃至13のうち何れか1項に記載された切替方法。
【請求項15】
前記切替条件は、CMの途中ではないことである、請求項11乃至14のうち何れか1項に記載された切替方法。
【請求項16】
前記切替条件は、予め定められた重要番組の途中ではないことである、請求項11乃至14のうち何れか1項に記載された切替方法。
【請求項17】
前記切替条件は、緊急時であることである、請求項11乃至14のうち何れか1項に記載された切替方法。
【請求項18】
前記切替条件は、前記異常が検出された時から、所定の経過時間に達したことである、請求項11乃至14のうち何れか1項に記載された切替方法。
【請求項19】
前記切替条件が満たされない場合、前記切り替えを開始するために推奨されるタイミングを通知する、請求項11乃至18のうち何れか1項に記載された切替方法。
【請求項20】
前記推奨されるタイミングは、緊急時になる時、CMの終了時、および、予め定められた重要番組の終了時、のうちの少なくとも何れかである請求項19に記載された切替方法。
【請求項21】
放送マスターシステムに適用されるプログラムであって、
前記放送マスターシステムから送出される、第1の放送データを第1のシステム処理系において生成する手順、
前記第1の放送データと同様の第2の放送データを第2のシステム処理系において生成する手順、
前記第1のシステム処理系で発生した異常を検出する手順、
前記異常が検出された場合、予め定められた切替条件が満たされているのであれば、前記第1の放送データの代わりに、前記第2の放送データが、前記放送マスターシステムから送出されるように、前記第1のシステム処理系から前記第2のシステム処理系への切り替えを自動的に開始する方式を設定し、前記予め定められた切替条件が満たされていないのであれば、前記第1のシステム処理系から前記第2のシステム処理系への切り替えを、オペレータからの指示に従って開始する方式を設定する手順、
前記設定された方式に応じて、前記第1のシステム処理系から前記第2のシステム処理系への切り替えを実施するための手順、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項22】
前記異常が検出された場合、前記異常を報知する手順、をさらにコンピュータに実行させる請求項21に記載されたプログラム。
【請求項23】
前記異常が検出された場合、前記切替条件に関わらず、前記切り替えを自動的に開始する方式を設定する手順、または、前記異常が検出された場合、前記切替条件に関わらず、前記切り替えを、前記オペレータからの指示に従って開始する方式を設定する手順、をさらにコンピュータに実行させる請求項21または22に記載されたプログラム。
【請求項24】
前記第2のシステム処理系に異常があるか否かを判定する手順、
前記第2のシステム処理系に異常があると判定された場合、前記切り替えを実施しない手順、
をさらにコンピュータに実行させる請求項21乃至23のうち何れか1項に記載されたプログラム。
【請求項25】
前記切替条件は、CMの途中ではないことである、請求項21乃至24のうち何れか1項に記載されたプログラム。
【請求項26】
前記切替条件は、予め定められた重要番組の途中ではないことである、請求項21乃至24のうち何れか1項に記載されたプログラム。
【請求項27】
前記切替条件は、緊急時であることである、請求項21乃至24のうち何れか1項に記載されたプログラム。
【請求項28】
前記切替条件は、前記異常が検出された時から、所定の経過時間に達したことである、請求項21乃至24のうち何れか1項に記載されたプログラム。
【請求項29】
前記切替条件が満たされない場合、前記切り替えを開始するために推奨されるタイミングを通知する通知手順、をさらにコンピュータに実行させる請求項21乃至28のうち何れか1項に記載されたプログラム。
【請求項30】
前記推奨されるタイミングは、緊急時になる時、CMの終了時、および、予め定められた重要番組の終了時、のうちの少なくとも何れかである請求項29に記載されたプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放送局で使用される放送マスターシステム、同システムにおける切替方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ局やラジオ局といった放送局において、その使命を果たすためにシステムの故障等で放送が中断することは極力避け無ければならない(総務省通達による)。
【0003】
そのため、多くの放送局の番組放送の放送マスターシステムでは、多重化による冗長構成とすることで、万が一の故障等でも可用性を高めている。多くの場合は、2重系のホットスタンバイ方式が採用されている。一般には、映像ソースやキーヤーと呼ばれる映像に合成する時間情報や、天気情報等や、緊急速報装置、映像や音声信号を圧縮するエンコーダ等からなる一連の放送ソースの信号処理系が複数系統構築されている。
【0004】
また、放送マスターシステムには、一般に、放送マスターシステム内の種々の機器の異常を検出する装置や、複数系統構築されている信号処理系の間の相違を発見する装置等により、各機器の異常を検出し通知する機能が備えられている。
【0005】
さらに、放送マスターシステムには、このような機能を用いて、予め登録された異常状態を検出すると、信号処理系を自動的に切り替える自動切替機能も備えられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】長石 敦、向山 豊彦、金田 昌之著、「地上デジタル放送マスタ送出システム」、東芝レビュー Vol.59 No.2(2004)、p7〜17
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、各信号処理系では、複数の番組サービス(例えば、地上波デジタル放送、BS放送、ワンセグ放送、ネット送り等)が同時に処理されている。BS放送では2つのサービスが可能であるのに加えて、地上波デジタル放送では3つのサービスも可能である。したがって、特に、地上波デジタル放送の採用後は、1つの信号処理系で同時に処理する番組サービスの数が増加しており、放送局によっては、最大10の番組サービスを1つの信号処理系で同時に処理できるようになっている。
【0008】
したがって、異常状態が検出された時に、信号処理系が自動的に切り替えられてしまうと、異常の発生していない番組サービスに対して悪影響を及ぼす可能性が出てきた。
【0009】
現状のように、各信号処理系において、多くの番組サービスを同時に処理している状況を鑑みると、切り替えは、複数の番組サービスの放映状況を考慮して決定された適切なタイミングでなされねばならない。しかしながら、従来の放送マスターシステムでは、異常を検出することはできるが、切り替えのための適切なタイミングを決定することはできない。
【0010】
このため、放送マスターシステムは、自動切替機能を有しているにも関わらず、その機能が使用されず、オペレータによる手動操作によって切替操作がなされている場合が多い。この場合、オペレータは、放送マスターシステムを常時監視する必要がある。そして、異常状態が検出されると、放送マスターシステムの構成や仕様、あるいはその時の複数の番組サービスの放映状況を考慮し、適切な切替タイミングを迅速に決定する必要がある。
【0011】
しかしながら、オペレータが、複数の番組サービスの放映状況等に応じて、最適な切替タイミングを、迅速に決定することは容易ではない。オペレータの熟練度にもよるが、最適な切り替えのタイミングを探っている間に、そのタイミングを逸してしまうこともある。
【0012】
このように、オペレータにはかなりの熟練度が要求される上、万が一、判断ミス等によって不適切な切り替えがなされてしまうと、放送の中断や映像の乱れ、キーヤーの合成ミス等をもたらすことから、タイミングの決定には、熟練と英断が必要とされる上、オペレータの精神的および物理的な負担もかなり大きいものであった。
【0013】
従って、異常が検出された場合に、複数の番組サービスの放映状況等に応じて、適切な切り替えを実施できるようにする技術が求められている。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、異常が検出された場合に、複数の番組サービスの放映状況等に応じて、適切な切り替えを実施することができる放送マスターシステム、同システムにおける切替方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実施形態の放送マスターシステムは、放送マスターシステムから送出される、第1の放送データを生成する第1の信号処理系と、第1の放送データと同様の第2の放送データを生成する第2の信号処理系と、第1の信号処理系で発生した異常を検出する検出手段と、検出手段によって異常が検出された場合、第1の放送データの代わりに、第2の放送データが、放送マスターシステムから送出されるように、第1の信号処理系から第2の信号処理系へ切り替えるための方式を設定する設定手段と、設定手段によって設定された方式に応じて、第1の信号処理系から第2の信号処理系への切り替えを実施するための切替手段とを備え、設定手段は、検出手段によって異常が検出された場合、予め定められた切替条件が満たされているのであれば、切り替えを自動的に開始するように切替手段を設定し、満たされていないのであれば、切り替えを開始するタイミングをオペレータが手動で切替手段に指示可能にするための半自動切替機能を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】地上波デジタル放送システムの一例を示す概念図である。
【
図2】本実施形態に係る放送マスターシステムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】監視系システムが内蔵された制御盤の一例を示す概観図である。
【
図4】切替条件を説明するための番組サービススケジュール図の一例である。
【
図5】自動切替方式における動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】手動切替方式における動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】半自動切替方式における動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、地上波デジタル放送システムの一例を示す概念図である。放送マスターシステム10は、放送局100に備えられ、トランスポートストリーム(TS)を生成する。TSは、専用線網等の通信ネットワーク200を経由して例えば電波塔300まで伝送される。電波塔300はTS信号をデジタル変調してマイクロ波帯で放射する。放射された電波は各家庭400の受像機で受信され、映像と音声が再生される。模式的に示すように、放送局100の例えば監視室に備えられる機器は大規模かつ多種多様であり、多数のモニタ画面や林立するラック(棚)を備える。
【0019】
図2は、本実施形態に係る放送マスターシステム10の一例を示す機能ブロック図である。放送マスターシステム10は、情報系15、システム処理系20、伝送系30、監視系システム40および時計ノード80を備える。これらはLAN(Local Area Network)等の局内ネットワーク50を介して相互接続される。
【0020】
局内ネットワーク50には、TCP/IP等の汎用プロトコルを用いる汎用ネットワークと、SECNET3等のリアルタイム型ネットワークとが含まれる。汎用ネットワークは主に画像/音声データの伝送に用いられ、リアルタイム型ネットワークは放送関連機器間で制御情報や各種電文を授受するために用いられる。
【0021】
情報系15は、放送情報スケジューラ16、およびデータベース17を備える。
【0022】
システム処理系20は、1系のシステム処理系20(#1)と、2系のシステム処理系20(#2)とからなる冗長構成をとり、各系が、スイッチャ(SW)21、エンコーダ(ENC)23、SI送出部24、VBR 25、多重化部(MUX)26、およびSCR 27を備え、さらに制御系60をも備える。
【0023】
スイッチャ21は、CMサーバ70からのCMコンテンツ、回線素材71やスタジオ72からの映像/音声信号、あるいは各種機材から発生された発生信号73を、伝送系30から取り込み、番組表に従って経路切換して次段のエンコーダ23に接続する。エンコーダ23はいわゆる符号化多重化部制御装置(EMC:Encoder & Multiplexer Controller)であり、入力された信号の符号化および多重化に関する制御を行う。
【0024】
エンコーダ23は所定の手順に従って映像信号/音声信号/データ信号を符号化し、次段の多重化部26に入力する。多重化部26は、エンコーダ23からの符号化信号、SI送出部24からのSI(Service Information)信号24a、ECM信号24b、およびVBR 25からのDATA信号24cを多重化し、多重化されたデータを、SCR 27を経由して、伝送系30のストリーム切り替え部31,32に送出する。
【0025】
ストリーム切り替え部31,32は互いに冗長化され、MPEG(Moving Picture Experts Group)符号化方式で圧縮された放送TS(Transport Stream)信号をシームレスに切り替え、現用系、予備系および検証系の各TS信号を生成する。これらのTS信号は交換部33を経由して通信ネットワーク200に送出される。
【0026】
制御系60は、機器制御スケジューラ61、リアルタイムコントローラ62、ノード(NODE)63、およびMSM 64を備える。機器制御スケジューラ61は、放送スケジュールの制御に係わる処理を実行する。
【0027】
リアルタイムコントローラ62は、実時間制御に係わる処理を実行する。すなわちリアルタイムコントローラ62は、放送プログラムに基づいて作成された制御シナリオに基づいて、各放送関連機器を制御する。
【0028】
ノード63は、例えば、局内ネットワーク50への接続インタフェースを持たない機材(アナログVTR等)に接続され、局内ネットワーク50へのインタフェース機能を提供する。これにより旧式の機材等も放送マスターシステム10の制御下に置くことができる。ノード63は、必要に応じて複数設けられても良い。MSM 64は、その他の各種制御に係わる処理を担う。
【0029】
監視系システム40は、SECLOGGER 41、OA表示端末42、マルチモニタ43、監視卓44、監視指示端末45、アラーム端末46、およびスピーカ47等の、複数の監視制御用機器を備える。
【0030】
時計ノード80は、上記の各放送関連機器に対してマスタ時刻を供給する。
【0031】
図3は、監視系システム40が内蔵された制御盤90の一例を示す概観図である。
【0032】
制御盤90は、マルチモニタ43、監視卓44、監視指示端末45、アラーム端末46、スピーカ47を備える。
【0033】
放送マスターシステム10では、システム処理系20(#1)とシステム処理系20(#2)との各々において、地上波デジタル放送における3つのチャンネルのための番組サービス、BS放送における2つのチャンネルのための番組サービス、ワンセグ放送における1つのチャンネルのための番組サービス、ネット送り用のチャンネルのための番組サービスというように、多くの番組サービスを取り扱う。したがって、
図3では、このような複数の番組サービスによって提供される各画像を表示できるように、マルチモニタ43を10面備えた例を示している。しかしながら、マルチモニタ43の面数は、これより多くても、あるいは少なくても良い。
【0034】
アラーム端末46には、放送マスターシステム10内で自動検出された異常事象がすべて収集され、表示される。したがって、オペレータは、アラーム端末46の表示を確認することによって、システム処理系20(#1)に異常がないか否かを確認することができる。また、アラーム端末46は、システム処理系20(#1)とシステム処理系20(#2)との間の映像の相違を検出し、表示することもできる。したがって、オペレータは、システム処理系20(#2)が正常であるか否かをも把握することもできる。アラーム端末46は、システム処理系20(#1)において異常が検出された場合や、システム処理系20(#2)において異常が検出された場合には、アラーム端末46上において点滅表示することによって、あるいは、スピーカ47から警報音や音声メッセージを発生させることによって、オペレータに異常を報知するようにしても良い。
【0035】
また、監視卓44は、切替方式設定スイッチ48および切替開始スイッチ49をも備えている。切替方式設定スイッチ48は、システム処理系20(#1)において異常が検出された場合、多重化されたデータを、システム処理系20(#1)から伝送系30へ送る代わりに、システム処理系20(#2)から伝送系30へと送るように切り替えるための方式を設定するためのスイッチである。
【0036】
なお、実際に切り替えが実施されるためには、システム処理系20(#2)が正常であることが前提となる。したがって、システム処理系20(#2)に異常があれば、前述したように、スピーカ47から警報音や音声メッセージが発生させたり、アラーム端末46上において点滅表示がなされるにとによって、異常がオペレータに報知されるとともに、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えも実行されない。
【0037】
本実施形態において、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)へ切り替える方式としては、自動切替方式と、手動切替方式と、半自動切替方式との3つがある。監視卓44は、これら3つの方式に合わせて、3つのスイッチ、すなわち、自動切替方式設定スイッチ48aと、手動切替方式設定スイッチ48bと、半自動切替方式設定スイッチ48cとを備える。
【0038】
自動切替方式設定スイッチ48aが押下されると、システム処理系20(#1)において異常が検出された場合、システム処理系20(#2)が正常であれば、監視系システム40は、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えを自動的に開始するように設定される。
【0039】
手動切替方式設定スイッチ48bが押下されると、システム処理系20(#1)において異常が検出された場合、システム処理系20(#2)が正常であれば、監視系システム40は、オペレータが切替開始スイッチ49を押下した場合に、前述したような切り替えを開始するように設定される。
【0040】
半自動切替方式設定スイッチ48cが押下されると、システム処理系20(#1)において異常が検出された場合、システム処理系20(#2)が正常であれば、予め定められた切替条件が満たされているのであれば、監視系システム40は、前述したような切り替えを自動的に開始するように設定され、予め定められた切替条件が満たされていなければ、監視系システム40は、オペレータが切替開始スイッチ49を押下した場合に、前述したような切り替えを開始するように設定される。
【0041】
なお、切替開始スイッチ49は、自動切替方式設定スイッチ48aが押下されている場合、物理的に押下されないようになっているか、あるいは、押下されても無視され、監視系システム40は反応しない。
【0042】
なお、
図3に示す例では、切替方式設定スイッチ48および切替開始スイッチ49は、例としてハードウェア的なスイッチを示している。しかしながら、これらスイッチは、ハードウェア的なものに限定されず、ソフトウェアによって構成されても良い。たとえば、アラーム端末46を構成するタッチパネル上に、切替方式設定スイッチ48および切替開始スイッチ49を示すアイコンを表示し、このアイコンを押圧することによって、切替方式設定スイッチ48および切替開始スイッチ49と同様に機能するように構成しても良い。
【0043】
次に、
図4を用いて切替条件について詳細に説明する。
【0044】
図4は、切替条件を説明するための番組サービススケジュール図の一例であり、縦軸は、番組サービス1、2、3、4・・・・を表し、横軸はスケジュールを表す。番組サービスは、前述したように、テレビのチャンネルに相当し、スケジュールは、時間に相当し、図中右方向が時間の進行方向である。
【0045】
前述したように、切替条件とは、半自動切替方式が採用されている状態(すなわち、半自動切替方式設定スイッチ48cが押下されている状態)で、信号処理系20(#1)において異常が検出された場合に、システム処理系20(#2)が正常であれば、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えを、直ちに自動的に開始するように監視系システム40を設定するための条件である。
【0046】
このような切替条件は、限定される訳ではないが、システム処理系20(#1)において異常が検出された時が、例えば、1)予め定められた重要番組の途中ではないこと、2)CMの途中ではないこと、3)緊急時(例えば、災害時、重大事象発生時等)であること等が挙げられる。これらは、任意に組み合わされることも可能である。
【0047】
切替条件が満たされない場合には、たとえシステム処理系20(#1)において異常が検出され、システム処理系20(#2)が正常であっても、監視系システム40は、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えを、直ちに自動的に開始することはしない。したがって、オペレータが、各番組サービスの放映状況を鑑みて、適切なタイミングで、切替開始スイッチ49を手動で押下することによって、切り替えを開始するタイミングを監視系システム40に指示する必要がある。
【0048】
例えば、
図4に示すように、時間t
1において★印で示すように、番組サービス3において番組Eを放映中に異常(トラブル)が発生したとする。この時、CMの放映中ではないものの、緊急時であり、かつ、時間t
1において放映されている番組C、番組E、番組Hのうちの何れも重要番組でないのであれば、切替条件が満たされているので、監視系システム40は、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えを、直ちに自動的に開始する。
【0049】
一方、時間t
1において緊急時ではなくても、放映中の番組Cが重要番組であれば、切替条件は満たされないので、監視系システム40は、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えを、直ちに自動的に開始することはできず、オペレータが、切替開始スイッチ49を押下するまで、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えはなされない。
【0050】
この場合、切り替えは、番組Cが終了する時間t
2においてなされるべきである。したがって、アラーム端末46が、放送情報スケジューラ16からの情報に基づいて番組Cが終了する時間t
2を表示することによって、オペレータに対して、切り替えを開始すべきタイミングを推奨しても良い。そして、これに従って、オペレータが、時間t
2において切替開始スイッチ49を押下することによって、監視系システム40は、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えを開始する。あるいは、アラーム端末46が推奨したタイミングである時間t
2になったら、切り替えを自動的に開始するように、監視系システム40を設定するようにしても良い。
【0051】
また、時間t
3において▲印で示すように、番組サービス4において番組Hを放映中に異常(トラブル)が発生したとする。この時、仮に緊急時ではなくても、番組サービス2においてCMbが放映中であり、CMの途中であるので、切替条件は満たされず、監視系システム40は、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えを、直ちに自動的に開始することはせず、オペレータが、切替開始スイッチ49を押下するまで、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えはなされない。これは、CMbの放映が中断されるのを避けるためである。この場合、切り替えは、CMbが終了する時間t
4においてなされるべきである。したがって、アラーム端末46が、放送情報スケジューラ16からの情報に基づいてCMbが終了する時間t
4を表示することによって、オペレータに対して、切り替えを開始すべきタイミングを推奨しても良い。そして、これに従って、オペレータが、時間t
4において切替開始スイッチ49を押下することによって、監視系システム40は、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えを開始する。あるいは、アラーム端末46が推奨したタイミングである時間t
4になったら、切り替えを自動的に開始するように、監視系システム40を設定するようにしても良い。
【0052】
なお、
図4は、CMと番組という大雑把な表示を用いて示しているが、一般には、
図4中の拡大図に示すように、CMといっても、複数のCM(例えば、CMfの時間帯の中には、第1のCMであるCMf1、第2のCMであるCMf2、および第3のCMであるCMf3)があり、番組Iも、本編I2の他に、お知らせI1や予告編I3等に細分類される。したがって、アラーム端末46は、このような細かい切れ目をも考慮すれば、切り替えによる影響が最も少なくなるような切替開始のタイミングを、より柔軟に推奨することも可能となる。
【0053】
また、半自動切替方式では、切替条件が満たされていなくても、異常が検出された時から、所定の経過時間に達すると、自動的に切り替えが行われる機能をも備えている。このような機能を実施するために、例えば、異常が検出された時点において、アラーム端末46から、自動切替までの時間をカウントダウン(たとえば、5秒から)するカウンタ46’を表示する。そして、カウントがゼロになると、切り替えを自動的に開始するように、監視系システム40を設定する。なお、カウントが終了する前に、オペレータが、手動切替方式設定スイッチ48bを押下し、手動切替方式に切り替えることも、あるいは、カウントが終了する前に切替開始スイッチ49を押下し、手動で切り替えを開始させることもできる。
【0054】
次に、以上のように構成した本実施形態に係る放送マスターシステム10の動作について説明する。
【0055】
放送マスターシステム10には、1系のシステム処理系20(#1)と、2系のシステム処理系20(#2)とが備えられている。システム処理系20(#1)とシステム処理系20(#2)とでは、同じデータが生成されるが、通常は、システム処理系20(#1)において多重化されたデータが、伝送系30へ送られ、そこでTS信号が生成され、通信ネットワーク200および電波塔300を介して放映される。
【0056】
一方、放送マスターシステム10内では、異常事象が自動検出され、アラーム端末46によって収集および表示される。したがって、仮に、システム処理系20(#1)において異常が発生した場合、その情報は、自動検出され、アラーム端末46から表示される。それに加えて、スピーカ47から警報音や音声メッセージが出力されたり、アラーム端末46上において点滅表示させることも可能であるので、異常発生がオペレータによって確実に認識される。
【0057】
このようにシステム処理系20(#1)において異常が発生した場合、適切なタイミングでシステム処理系20(#2)に切り替える必要がある。この切り替えのために、本実施形態に係る放送マスターシステム10は、3つの方式、すなわち、自動切替方式と、手動切替方式と、半自動切替方式とが採用されている。これに合わせて、監視卓44には、3つのスイッチ、すなわち、自動切替方式設定スイッチ48aと、手動切替方式設定スイッチ48bと、半自動切替方式設定スイッチ48cとが設けられており、オペレータは、事前に、これら3つのスイッチのうちの何れかを押下することによって、所望の方式で決定されたタイミングに従って切り替えを行うことができる。
【0058】
まず、自動切替方式における動作の流れを
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
オペレータは、自動切替方式を採用する場合には、自動切替方式設定スイッチ48aを押下する(S1)。この状態で、システム処理系20(#1)において異常が発生する(S2)と、その情報がアラーム端末46によって収集され、表示される。また、スピーカ47から警報音や音声メッセージが出力されたり、アラーム端末46上において点滅表示もなされ得る(S3)。これによって、システム処理系20(#1)における異常がオペレータによって確実に認識される。
【0060】
この時、システム処理系20(#2)に異常がなければ(S4:Yes)、監視系システム40によって、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えが自動的になされ(S5)、システム処理系20(#2)に異常があれば(S4:No)、システム処理系20(#2)への切り替えはなされず、オペレータによる適切な対応がなされる(S6)。
【0061】
次に、手動切替方式における動作の流れを
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0062】
オペレータは、手動切替方式を採用する場合には、手動切替方式設定スイッチ48bを押下する(S11)。この状態で、システム処理系20(#1)において異常が発生する(S12)と、その情報がアラーム端末46によって収集され、表示される。また、スピーカ47から警報音や音声メッセージが出力されたり、アラーム端末46上において点滅表示もなされ得る(S13)。これによって、システム処理系20(#1)における異常がオペレータによって確実に認識される。
【0063】
この時、システム処理系20(#2)に異常がなければ(S14:Yes)、オペレータが、適切なタイミングで切替開始スイッチ49を押下することによって、監視系システム40によって、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えがなされ(S15)、システム処理系20(#2)に異常があれば(S14:No)、システム処理系20(#2)への切り替えはなされず、オペレータによる適切な対応がなされる(S16)。
【0064】
次に、半自動切替方式における動作の流れを
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0065】
オペレータは、半自動切替方式を採用する場合には、半自動切替方式設定スイッチ48cを押下する(S21)。この状態で、システム処理系20(#1)において異常が発生する(S22)と、その情報がアラーム端末46によって収集され、表示される。また、スピーカ47から警報音や音声メッセージが出力されたり、アラーム端末46上において点滅表示もなされ得る(S23)。これによって、システム処理系20(#1)における異常がオペレータによって確実に認識される。
【0066】
この時、システム処理系20(#2)に異常がなく(S24:Yes)、切替条件が満たされているのであれば(S25:Yes)、監視系システム40によって、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えが自動的に行われる(S26)。
【0067】
切替条件は、限定される訳ではないが、システム処理系20(#1)において異常が検出された時が、例えば、1)予め定められた重要番組の途中ではないこと、2)CMの途中ではないこと、3)緊急時(例えば、災害時、重大事象発生時等)であること、4)異常が検出された時から、所定の経過時間に達したこと、等が挙げられる。これらは、任意に組み合わされることも可能である。
【0068】
なお、切替条件として、4)が単独で設定されている場合、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への自動切り替えは直ちに行われず、アラーム端末46から、所定の経過時間までの時間をカウントダウン(たとえば、5秒から)するカウンタ46’が表示される。そして、カウントがゼロになると、自動切り替えが開始される。なお、カウントが終了する前であれば、オペレータは、手動切替方式設定スイッチ48bを押下し、手動切替方式に切り替えることもできる。
【0069】
一方、ステップS25において、切替条件が満たされていなければ(S25:No)、オペレータが手動で切替開始スイッチ49を押下した場合に、監視系システム40によって、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えが行われるようになる。したがって、オペレータが、適切なタイミングで切替開始スイッチ49を手動で押下することによって、監視系システム40によって、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えがなされる(S27)。
【0070】
一方、ステップS24においてシステム処理系20(#2)に異常があれば(S24:No)、システム処理系20(#2)への切り替えはなされず、オペレータによる適切な対応がなされる(S28)。
【0071】
上述したように、本実施形態に係る放送マスターシステム10によれば、異常が発生したシステム処理系20(#1)をシステム処理系20(#2)へ切り替えるために、自動切替方式および手動切替方式に加えて、半自動切替方式で実施することも可能である。
【0072】
半自動切替方式は、自動切替方式と手動切替方式とを兼ね備えたような機能を有しており、システム処理系20(#1)の異常が検出された場合に、切替条件が満たされていれば、自動的に切り替えがなされ、満たされていなければ、手動で切り替えを行うことができる。
【0073】
一般に、システム処理系20(#1)の異常が検出された場合の状況に応じて、直ちに切り替える場合と、そうではない場合とが存在する。例えば、1)予め定められた重要番組の途中ではないこと、2)CMの途中ではないこと、3)緊急時(例えば、災害時、重大事象発生時等)であることは、直ちに切り替えを行うべき場合に相当する。したがって、これらを切替条件として予め設定することによって、これらの場合において異常が発生した場合には、自動的に切り替えがなされるので、システム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えが確実になされ、放送事故を回避することが可能となる。
【0074】
一方、切替条件が満たされない場合は、直ちに切り替えられることはなく、オペレータによって、手動でシステム処理系20(#1)からシステム処理系20(#2)への切り替えが開始されることになる。しかしながら、前述したように、手動の切り替えをどのタイミングで行うかの決定には、オペレータの熟練と英断とが必要とされるので、判断が遅れてしまい、放送事故になってしまう恐れがある。これを回避するために、本実施形態に係る放送マスターシステム10は、異常が検出された時には切替条件を満たしていなくても、アラーム端末46からカウンタ46’を表示させ、カウントがゼロになると、切り替えを自動的に開始するように、監視系システム40を設定することもできる。あるいは、オペレータに対して、切り替えを開始すべきタイミングを推奨することもできる。このようにして、異常が検出されているにも関わらず、オペレータの判断遅れが原因で放送事故になってしまうことを回避することが可能となる。
【0075】
このように、本実施形態に係る放送マスターシステム10によれば、システム処理系20(#1)に異常が発生した場合に、切替条件を満たす場合には、直ちに自動的にシステム処理系20(#2)への切替を実行し、切替条件を満たさない場合には、カウントが終了するまでは、オペレータによる手動切替の余地を残しつつも、カウントが終了すると自動的に切り替えを実行することによって、放送事故を確実に回避することが可能となる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
10 放送マスターシステム、15 情報系、16 放送情報スケジューラ、17 データベース、20(#1) 1系のシステム処理系、20(#2) 2系のシステム処理系、21 スイッチャ、23 エンコーダ、24 送出部、25 VBR、26 多重化部、27 SCR、30 伝送系、31 ストリーム切り替え部、32 ストリーム切り替え部、33 交換部、40 監視系システム、41 SECLOGGER、42 OA表示端末、43 マルチモニタ、44 監視卓、45 監視指示端末、46 アラーム端末、46’ カウンタ、47 スピーカ、48 切替方式設定スイッチ、48a 自動切替方式設定スイッチ、48b 手動切替方式設定スイッチ、48c 半自動切替方式設定スイッチ、49 切替開始スイッチ、50 局内ネットワーク、60 制御系、61 機器制御スケジューラ、62 リアルタイムコントローラ、63 ノード、64 MSM、70 CMサーバ、71 回線素材、72 スタジオ、73 発生信号、80 時計ノード、90 制御盤、100 放送局、200 通信ネットワーク、300 電波塔、400 家庭。