(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0016】
(第1実施形態)
以下に、第1実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、例えばドライバ回路DRCと、プリドライバ回路PDCと、アナログ回路ALCと、電源回路PWCと、ロジック回路LGCと、入出力回路IOCとを有している。第1実施形態に係る半導体装置は、例えばバイポーラトランジスタと、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、LDMOSトランジスタとが混載されている半導体装置である。
【0017】
図2に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、例えば入出力回路IOCにおいて、LDMOSトランジスタを有している。より具体的には、第1実施形態に係る半導体装置は、入出力回路IOCにおいて、半導体基板SUBと、絶縁分離構造ISOと、ゲート絶縁膜GOと、ゲート電極GEと、層間絶縁膜ILDと、コンタクトプラグCPと、配線WLとを有している。
【0018】
半導体基板SUBは、例えばシリコン(Si)の単結晶により形成されている。但し、半導体基板SUBを構成する材料はこれに限られない。半導体基板SUBには、例えば窒化ガリウム(GaN)等のワイドバンドギャップ半導体材料を用いることもできる。半導体基板SUBは、第1面FSと、第2面SSとを有している。第1面FSは、溝TRを有している。溝TRは、第2面SS側に向かって延びている。第2面SSは、第1面FSの反対面である。
【0019】
半導体基板SUBは、ソース領域SRと、ドレイン領域DRAと、逆導電型領域RCRとを有している。ソース領域SRは、半導体基板SUB中において、第1面FSに接して設けられている。ソース領域SRは、第1部分SR1と第2部分SR2とを有していてもよい。第1部分SR1は、第2部分SR2に隣接し、かつ後述するサイドウォールスペーサSWSの下に配置されている。第1部分SR1は、LDD(Lightly Doped Drain)構造である。ドレイン領域DRAは、半導体基板SUB中において、第1面FSに接して設けられている。逆導電型領域RCRは、半導体基板SUB中において、第1面FSに接して設けられている。
【0020】
半導体基板は、ボディコンタクト領域BCRをさらに有していてもよい。ボディコンタクト領域BCRは、半導体基板SUB中において、第1面FSに接して配置されている。
【0021】
半導体基板SUBは、ドリフト領域DRIと、ボディ領域BRとをさらに有している。ドリフト領域DRIは、ドレイン領域DRA及び逆導電型領域RCRを取り囲むように配置されている。ドリフト領域DRIは、第1面FSに接して配置されている。
【0022】
ボディ領域BRは、ソース領域SR及びボディコンタクト領域BCRを取り囲むように形成されている。ボディ領域BRは、第1面FSに接して配置されている。ボディ領域BRは、ドリフト領域DRIとソース領域SRとにより挟み込まれるように配置されている部分を有している。ドリフト領域DRIとソース領域SRとにより挟み込まれているボディ領域BRの部分は、チャネル領域となる。
【0023】
ボディ領域BRは、第1部分BR1と第2部分BR2とを有していてもよい。第2部分BR2は、ソース領域SRとボディコンタクト領域BCRとを取り囲むように配置されている。第2部分BR2は、第1面FSに接して配置されている。第1部分BR1は、第2部分BR2を取り囲むように配置されている。
【0024】
ソース領域SR、ドリフト領域DRI及びドレイン領域DRAは、第1導電型を有している。ボディ領域BR、逆導電型領域RCR及びボディコンタクト領域BCRは、第2導電型を有している。第2導電型は、第1導電型の反対の導電型である。第1導電型が例えばp型である場合、第2導電型はn型となる。第1導電型が例えばn型である場合、第2導電型はp型となる。
【0025】
ソース領域SRの不純物濃度及びドレイン領域DRAの不純物濃度は、ドリフト領域DRIの不純物濃度よりも高いことが好ましい。逆導電型領域RCRの不純物濃度は、ドリフト領域DRIの不純物濃度よりも高い。逆導電型領域RCRの不純物濃度は、ドリフト領域DRIの不純物濃度の10倍以上であることが好ましい。なお、第2部分SR2の不純物濃度は、第1部分SR1の不純物濃度よりも高いことが好ましい。
【0026】
絶縁分離構造ISOは、半導体基板SUBの第1面FS側に配置されている。絶縁分離構造ISOは、ドレイン領域DRAと逆導電型領域RCRの間に配置されている。絶縁分離構造ISOは、好ましくは、溝TRと、絶縁体ISとにより構成されている。このことを別の観点からいえば、絶縁分離構造ISOは、STI(Shallow Trench Isolation)であることが好ましい。但し、絶縁分離構造ISOは、STIに限られない。例えば、絶縁分離構造ISOは、LOCOSであってもよい。
【0027】
溝TRは、ドレイン領域DRAと逆導電型領域RCRとの間に配置されている。絶縁体ISは、溝TR内に充填されている。絶縁体ISには、例えば二酸化珪素(SiO
2)が用いられる。
【0028】
絶縁分離構造ISOは、第1の深さD1を有している。別の観点からいえば、溝TRは第1の深さD1を有している。逆導電型領域RCRは、第2の深さD2を有している。第1の深さD1及び第2の深さD2は、第1面FSから第2面SSに向かう方向における深さである。第1の深さD1は、第2の深さD2よりも大きい。第2の深さD2は、第1の深さD1の0.3倍以上0.7倍以下であることがさらに好ましい。
【0029】
ゲート絶縁膜GOは、第1面FS上に設けられている。ゲート絶縁膜GOは、ソース領域SRとドリフト領域DRIとに挟み込まれているボディ領域BRの部分(すなわち、チャネル領域)の上に配置されている。ゲート絶縁膜GOには、例えばSiO
2が用いられる。
【0030】
ゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GO上に形成されている。ゲート電極GEは、絶縁分離構造ISO上まで延在していてもよい。ゲート電極GEは、ソース領域SRとドリフト領域DRIとにより挟み込まれているボディ領域BRの部分(すなわち、チャネル領域)と絶縁されながら対向している。ゲート電極GEと、ソース領域SRとドリフト領域とにより挟み込まれているボディ領域BRの部分とは、ゲート絶縁膜GOにより絶縁されている。ゲート電極GEには、例えば不純物がドープされた多結晶のSiが用いられる。ゲート電極GEの両端には、サイドウォールスペーサSWSが設けられていてもよい。サイドウォールスペーサSWSには、例えばSiO
2が用いられる。
【0031】
層間絶縁膜ILDは、第1面FS上に配置されている。層間絶縁膜ILDには、例えばSiO
2が用いられる。層間絶縁膜ILDは、コンタクトホールCHを有している。コンタクトホールCHは、第1面FSに向かって、層間絶縁膜ILDを貫通している。コンタクトホールCHは、ソース領域SR、ドレイン領域DRA及びボディコンタクト領域BCR上に配置されている。すなわち、コンタクトホールCHを介して、層間絶縁膜ILDから、ソース領域SR、ドレイン領域DRA及びボディコンタクト領域BCRが露出している。なお、図示されていないが、コンタクトホールCHは、ゲート電極GE上にも配置されており、層間絶縁膜ILDからコンタクトホールCHを介してゲート電極GEが露出している。
【0032】
コンタクトプラグCPは、層間絶縁膜ILD中に配置されている。より具体的には、コンタクトプラグCPは、コンタクトホールCH中に配置されている。コンタクトプラグCPの一方端は、ソース領域SR、ドレイン領域DRA及びボディコンタクト領域BCRと電気的に接続されている。図示されていないが、コンタクトプラグCPの一方端は、ゲート電極GEに電気的に接続されている。コンタクトプラグCPには、例えばタングステン(W)が用いられる。
【0033】
配線WLは、層間絶縁膜ILD上に配置されている。配線WLは、コンタクトプラグCPの他方端と電気的に接続されている。その結果、配線WLは、ソース領域SR、ドレイン領域DRA、ボディコンタクト領域BCR及びゲート電極GEと電気的に接続されている。
【0034】
図3(
図3においては、簡単のため、ゲート絶縁膜GO、層間絶縁膜ILD、コンタクトプラグCP及び配線WLは図示していない)に示すように、ドレイン領域DRAは、平面視において(第1面FSに垂直な方向からみて)、絶縁分離構造ISOに取り囲まれている。逆導電型領域RCRは、平面視において、絶縁分離構造ISOを取り囲むように配置されている。
【0035】
ドリフト領域DRIは、平面視において、ドレイン領域DRA、絶縁分離構造ISO及び逆導電型領域RCRを取り囲むように配置されている。ボディ領域BRは、平面視において、ドリフト領域DRIを取り囲むように配置されている。ソース領域SR及びボディコンタクト領域BCRは、平面視において、ボディ領域BR内でドレイン領域DRA、絶縁分離構造ISO及び逆導電型領域RCRを取り囲むように配置されている。
【0036】
ゲート電極GEは、平面視において、絶縁分離構造ISO、逆導電型領域RCR及びボディ領域BRと重なるように配置されている。ゲート電極GEは、平面視において、ソース領域SR及びボディコンタクト領域BCRの内側に配置されている。
【0037】
図4(
図4においては、簡単のため、ゲート絶縁膜GO、層間絶縁膜ILD、コンタクトプラグCP及び配線WLは図示していない)に示すように、逆導電型領域RCRは、絶縁分離構造ISOを取り囲むように配置されていなくてもよい。逆導電型領域RCRは、平面視において、チャネル幅方向(
図4中において矢印により示されている)に沿って配置されていればよい。すなわち、逆導電型領域RCRは、平面視において、チャネル幅方向に直交する方向に沿って設けられていなくてもよい。
【0038】
図5(
図5においては、簡単のため、ゲート絶縁膜GO、層間絶縁膜ILD、コンタクトプラグCP及び配線WLは図示していない)に示すように、逆導電型領域RCRは、平面視において、ボディ領域BRに達するように、チャネルの延在方向に沿って延在していてもよい。これにより、逆導電型領域RCRは、ソース領域SR及びボディコンタクト領域BCRと同電位となっている。
【0039】
以下に、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図6に示すように、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法は、フロントエンド工程S1と、バックエンド工程S2とを有している。
【0040】
フロントエンド工程S1は、第1注入工程S11と、第2注入工程S12と、絶縁分離構造形成工程S13と、ゲート絶縁膜形成工程S14と、ゲート電極形成工程S15と、第3注入工程S16と、サイドウォールスペーサ形成工程S17と、第4注入工程S18とを有している。
【0041】
バックエンド工程S2は、層間絶縁膜形成工程S21と、コンタクトプラグ形成工程S22と、配線形成工程S23とを有している。
【0042】
図7に示すように、第1注入工程S11においては、ボディ領域BR及びドリフト領域DRIが形成される。より具体的には、第1注入工程S11においては、第2導電型を有する半導体基板SUBの第1面側から、ドリフト領域DRIとなる位置及び第2部分BR2となる位置にイオン注入を行うことにより、ドリフト領域DRI及び第2部分BR2が形成される。なお、イオン注入によりドリフト領域DRI及び第2部分BR2とならなかった部分は、第1部分BR1となる。
【0043】
図8に示すように、第2注入工程S12においては、逆導電型領域RCRの形成が行われる。逆導電型領域RCRの形成は、例えばフォトレジストをマスクとしたイオン注入を行うことにより行われる。
【0044】
図9に示すように、絶縁分離構造形成工程S13においては、絶縁分離構造ISOが形成される。絶縁分離構造形成工程S13は、例えば溝形成工程S131と、絶縁体充填工程S132とを有している。溝形成工程S131においては、半導体基板SUBの第1面FSに溝TRが形成される。溝TRの形成は、例えばRIE(Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングにより行われる。
【0045】
絶縁体充填工程S132は、溝形成工程S131の後に行われる。絶縁体充填工程S132においては、絶縁体ISの溝TR内への充填が行われる。絶縁体ISの溝TR内への充填は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)により行われる。絶縁体ISの溝TRへの充填に際し、溝TRからはみ出した絶縁体ISは、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等により除去される。
【0046】
図10に示すように、ゲート絶縁膜形成工程S14においては、ゲート絶縁膜GOが形成される。ゲート絶縁膜GOは、例えば半導体基板SUBの第1面FSを熱酸化することにより行われる。
【0047】
図11に示すように、ゲート電極形成工程S15においては、ゲート電極GEの形成が行われる。ゲート電極形成工程S15は、例えば、成膜工程S151と、パターンニング工程S152とを有している。成膜工程S151においては、多結晶のSi等のゲート電極GEを構成する材料がゲート絶縁膜GO上に成膜される。この成膜は、例えばCVDにより行われる。
【0048】
パターンニング工程S152は、成膜工程S151の後に行われる。パターンニング工程S152においては、ゲート絶縁膜GO上に成膜されたゲート電極GEを構成する材料に対するパターンニングが行われる。このパターンニングは、例えばフォトリソグラフィにより行われる。
【0049】
図12に示すように、第3注入工程S16においては、第1部分SR1の形成が行われる。第1部分SR1の形成は、イオン注入により行われる。このイオン注入は、ゲート電極GE及び絶縁分離構造ISOをマスクとして行われる。
【0050】
図13に示すように、サイドウォールスペーサ形成工程S17においては、サイドウォールスペーサSWSの形成が行われる。サイドウォールスペーサ形成工程S17は、例えば成膜工程S171と、エッチング工程S172を有している。成膜工程S171においては、サイドウォールスペーサSWSを構成する材料が、ゲート絶縁膜GO上に成膜される。
【0051】
エッチング工程S172は、成膜工程S171の後に行われる。エッチング工程S172においては、ゲート絶縁膜GO上に成膜されたサイドウォールスペーサSWSに対するエッチングが行われる。これにより、サイドウォールスペーサSWSがゲート電極GEの両端に形成される。
【0052】
図14に示すように、第4注入工程S18においては、ソース領域SR、ドレイン領域DRA及びボディコンタクト領域BCRの形成が行われる。ソース領域SR、ドレイン領域DRA及びボディコンタクト領域BCRの形成は、イオン注入により行われる。このイオン注入は、ゲート電極GE、サイドウォールスペーサSWS、フォトレジスト及び絶縁分離構造ISOをマスクとして行われる。以上により、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法が完了する。
【0053】
上記においては、逆導電型領域RCRは、ボディ領域BR及びドリフト領域DRIが形成された後に形成されているが、逆導電型領域RCRは、ボディ領域BR及びドリフト領域DRIの形成に先立って行われてもよい。上記においては、逆導電型領域RCRは、絶縁分離構造ISOが形成される前に形成されているが、逆導電型領域RCRは、絶縁分離構造ISOが形成された後に行われてもよい。
【0054】
図15に示すように、層間絶縁膜形成工程S21においては、層間絶縁膜ILDの形成が行われる。層間絶縁膜形成工程S21においては、まず、層間絶縁膜ILDの成膜が行われる。層間絶縁膜ILDの成膜は、例えばCVDにより行われる。次に、層間絶縁膜形成工程S21においては、コンタクトホールCHの形成が行われる。コンタクトホールCHの形成は、例えばRIE等の異方性エッチングにより行われる。
【0055】
図16に示すように、コンタクトプラグ形成工程S22においては、コンタクトプラグCPの形成が行われる。コンタクトプラグCPは、例えばCVDでコンタクトプラグCPを構成する材料をコンタクトホールCH内に充填することにより行われる。
【0056】
配線形成工程S23においては、配線WLの形成が行われる。配線形成工程S23においては、まず層間絶縁膜ILD上に、配線WLを構成する材料が成膜される。次に、配線形成工程S23においては、層間絶縁膜ILD上に成膜された配線WLを構成する材料に対するパターンニングが行われる。このパターンニングは、例えばフォトリソグラフィにより行われる。以上により、
図2に示される第1実施形態に係る半導体装置の構造が形成される。
【0057】
以下に、第1実施形態に係る半導体装置の効果について説明する。
上記のとおり、逆導電型領域RCRとドリフト領域DRIとの導電型は逆となっているため、逆導電型領域RCRとドリフト領域DRIとのpn接合により、空乏層が形成される。この空乏層により、ゲート絶縁膜GOの直下に位置する半導体基板SUB中での電界が緩和される。そのため、第1導電型がp型(第2導電型がn型)である場合、発生したホットキャリアがゲート絶縁膜GOに向かって加速されにくくなる。
【0058】
また、第1導電型がp型(第2導電型がn型)である場合は、発生したホットキャリアは、逆導電型領域RCR内に存在するキャリアによりクーロン散乱される。そのため、発生したホットキャリアがゲート絶縁膜GOに到達しがたくなる。このように、第1実施形態に係る半導体装置によると、ホットキャリア注入によるゲート絶縁膜GOの劣化を抑制し、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0059】
第1実施形態に係る半導体装置においては、ドレイン領域DRAとソース領域SRとの間に流れる電流は、絶縁分離構造ISOの直下を通過して、ソース領域SRに向かう。しかしながら、第1実施形態に係る半導体装置においては、第1の深さD1が、第2の深さD2よりも深くなっている。そのため、逆導電型領域RCRが、この電流の妨げとなりにくい。したがって、第1実施形態に係る半導体装置によると、半導体装置の信頼性を向上させつつ、電流量の低下を抑制することができる。
【0060】
図17に示すように、第2の深さD2が大きくなるにつれ、ゲート電流が減少する(すなわち、ホットキャリア注入が減少する)。しかしながら、第2の深さD2が第1の深さD1の0.7倍に達すると、第2の深さD2が大きくなっても、ゲート電流のさらなる減少(すなわち、ホットキャリア注入のさらなる減少)は生じにくい。また、第2の深さD2が第1の深さD1の0.7倍を超えると、逆導電型領域RCRとドリフト領域DRIとのpn接合により形成される空乏層が第2面SS側に深く延びることにより、オン抵抗が上昇してしまうおそれがある。第1実施形態に係る半導体装置において、第2の深さD2が第1の深さD1の0.3倍以上0.7倍以下である場合、オン抵抗を抑制しながら、半導体装置の信頼性をさらに向上させることができる。
【0061】
逆導電型領域RCRの不純物濃度がドリフト領域DRIの不純物濃度よりも大きくなるほど、空乏層がドリフト領域DRIに向かってより大きく延びる。また、逆導電型領域RCRの不純物濃度がドリフト領域DRIの不純物濃度よりも大きくなるほど、逆導電型領域RCRにおけるクーロン散乱がさらに起こりやすくなる。そのため、第1実施形態に係る半導体装置において、逆導電型領域RCRの不純物濃度が、ドリフト領域DRIの不純物濃度の10倍以上である場合、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。
【0062】
上記のとおり、逆導電型領域RCR内のキャリアは、ホットキャリアとの間でクーロン散乱を起こす。これにより、逆導電型領域RCR内のキャリアが散失し、クーロン散乱によるホットキャリア注入の抑止効果が弱まるおそれがある。第1実施形態に係る半導体装置において、逆導電型領域RCRがソース領域SR及びボディコンタクト領域BCRに電気的に接続されている場合、逆導電型領域RCRがソース領域SR及びボディコンタクト領域BCRと同電位にあるため、散失したキャリアが逆導電型領域中に補充される。そのため、この場合には、クーロン散乱によるホットキャリア注入の抑止効果が維持され、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。
【0063】
(第2実施形態)
以下に、第2実施形態に係る半導体装置の構成について説明する。なお、以下においては、第1実施形態に係る半導体装置と異なる点について主に説明し、重複する説明は繰り返さない。
【0064】
図18に示すように、第2実施形態に係る半導体装置は、半導体基板SUBと、絶縁分離構造ISOと、ゲート絶縁膜GOと、ゲート電極GEと、層間絶縁膜ILDと、コンタクトプラグCPと、配線WLとを有している。
【0065】
半導体基板SUBは、ソース領域SRと、ドレイン領域DRAと、逆導電型領域RCRとを有している。半導体基板SUBは、ボディコンタクト領域BCRをさらに有していてもよい。半導体基板SUBは、第1面FSと、第2面SSとを有している。これらの点において、第2実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態に係る半導体装置と共通している。
【0066】
第2実施形態に係る半導体装置においては、ゲート電極GEは、第1部分GE1と、第2部分GE2とを有している。第2実施形態に係る半導体装置においては、絶縁分離構造ISOは、STIである。これらの点において、第2実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態に係る半導体装置と異なっている。
【0067】
第1部分GE1は、ソース領域SRとドリフト領域DRIとにより挟み込まれているボディ領域BRの部分と、ゲート絶縁膜GOにより絶縁されながら対向するように配置されている。第2部分GE2は、絶縁分離構造ISO上に配置されている。第1部分GE1と第2部分GE2とは、離間して配置されている。すなわち、第1部分GE1と絶縁分離構造ISOのソース領域SR側の端との間には、間隔が設けられている。第1部分GE1と第2部分GE2との間には、逆導電型領域RCRが位置している。
【0068】
第2実施形態に係る半導体装置においては、絶縁分離構造ISOは、STIである。このことを別の観点からいえば、絶縁分離構造ISOは、溝TRと、絶縁体ISとを有している。溝TRは、第1面FSに形成されている。溝TRは、第2面SSに向かって延びている。溝TRの側壁は、テーパ角θを有している。テーパ角θは、溝TRの側壁と底面とがなす角度である。テーパ角θは、75°以上90°以下であることが好ましい。絶縁体ISは、溝TRに充填されている。
【0069】
以下に、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。なお、以下においては、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なる点について主に説明し、重複する説明は繰り返さない。
【0070】
図19に示すように、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、フロントエンド工程S1と、バックエンド工程S2とを有している。第2実施形態に係る半導体製造方法においては、フロントエンド工程S1は、第1注入工程S11と、第2注入工程S12と、絶縁分離構造形成工程S13と、ゲート絶縁膜形成工程S14と、ゲート電極形成工程S15と、第3注入工程S16と、サイドウォールスペーサ形成工程S17と、第4注入工程S18とを有している。
【0071】
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、バックエンド工程S2は、層間絶縁膜形成工程S21と、コンタクトプラグ形成工程S22と、配線形成工程S23とを有している。これらの点において、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0072】
第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、
図20に示すように、ゲート電極形成工程S15において、ゲート電極GEが第1部分GE1及び第2部分GE2を有するように形成される。第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、第2注入工程S12が、絶縁分離構造形成工程S13、ゲート絶縁膜形成工程S14及びゲート電極形成工程S15の後に行われる。これらの点において、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なっている。
【0073】
図21に示すように、第2注入工程S12においては、逆導電型領域RCRの形成が行われる。逆導電型領域RCRの形成は、イオン注入により行われる。このイオン注入は、第1部分GE1、絶縁分離構造ISO及びフォトレジストをマスクとして行われる。すなわち、逆導電型領域RCRの形成は、セルフアラインで行われる。
【0074】
なお、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、第2注入工程S12は、サイドウォールスペーサ形成工程S17の後に行ってもよく、サイドウォールスペーサ形成工程S17の前に行ってもよい。
【0075】
また、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、第2注入工程S12は、第3注入工程S16と同時に行ってもよく、別に行ってもよい。さらに、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、第2注入工程S12は、第4注入工程S18と同時に行ってもよく、第4注入工程S18より前に行ってもよく、第4注入工程S18より後に行ってもよい。第2注入工程S12は、第3注入工程S16及び第4注入工程S18の双方と同時に行ってもよい。
【0076】
以下に、第2実施形態に係る半導体装置の効果について、比較例と対比することにより説明する。
【0077】
図22に示すように、比較例に係る半導体装置は、半導体基板SUBと、絶縁分離構造ISOと、ゲート絶縁膜GOと、ゲート電極GEと、層間絶縁膜ILDと、コンタクトプラグCPと、配線WLとを有している。半導体基板SUBは、ソース領域SRと、ドレイン領域DRAと、逆導電型領域RCRと、ボディコンタクト領域BCRとを有している。半導体基板SUBは、第1面FSと、第2面SSとを有している。比較例に係る半導体装置においては、絶縁分離構造ISOは、LOCOSである。比較例に係る半導体装置においては、ゲート電極GEは、第1部分GE1と、第2部分GE2とを有している。すなわち、比較例に係る半導体装置は、絶縁分離構造ISOがLOCOSである点を除いて、第2実施形態に係る半導体装置と同様の構造を有している。
【0078】
LOCOSは、端部にバーズビーク(Bird’s Beak)が不可避的に形成される。バーズビークにおけるLOCOSの形状は、ばらつきが大きいことが知られている。このことを別の観点からいえば、比較例に係る半導体装置においては、端部における絶縁分離構造ISOの厚みが、中央部における絶縁分離構造ISOの厚みと比較して薄く、また端部における絶縁分離構造の厚みのばらつきが大きい。
【0079】
そのため、比較例に係る半導体装置において、逆導電型領域RCRを、第1部分GE1及び絶縁分離構造ISOをマスクとしてイオン注入により形成する場合、絶縁分離構造ISOの端部における厚みが小さいこと及びそのばらつきが大きいことに起因して、注入されるイオンが半導体基板SUBに達したり、達しなかったりする。その結果、逆導電型領域RCRの形状に、ばらつきが生じる。逆導電型領域RCRの形状にばらつきが存在すると、半導体装置の信頼性にばらつきが生じることになる。
【0080】
他方、第2実施形態に係る半導体装置においては、絶縁分離構造ISOが、STIにより形成されている。絶縁分離構造ISOがSTIにより形成されている場合、端部における厚みが小さくなりにくく、端部における厚さのばらつきも小さい。そのため、第2実施形態に係る半導体装置によると、逆導電型領域RCRをセルフアラインで精度よく形成することにより、半導体装置の信頼性のばらつきを抑制することができる。
【0081】
第2実施形態に係る半導体装置において、テーパ角θが75°以上90°以下である場合、逆導電型領域RCRの形状のばらつきをさらに抑制し、半導体装置の信頼性のばらつきをさらに抑制することができる。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。