【文献】
竹林賢治, 辻圭師,“粉体と液体の親和性(ぬれ性)評価装置”,産業機械,日本,日本産業機械工業会,2011年11月21日,No.734,pp.20-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体を貯留した容器の上方に、試料を保持した前記請求項1ないし6のいずれかに記載の試料保持具が質量測定装置に吊り下げ支持され、前記容器と試料保持具を相対昇降させて、試料保持具の下端部に容器の液面を接触させ、試料が液体の浸透に伴って質量変化するのを前記質量測定装置によって経時的に測定する浸透速度測定装置における測定方法であって、
前記試料を保持していない空の前記試料保持具を、前記質量測定装置に吊り下げ支持させて、前記容器と前記空の前記試料保持具を相対昇降させて、容器の液面に空の試料保持具を接触させるのに伴って質量が変化するのを前記質量測定装置で測定する第1測定ステップと、
前記試料を保持した前記試料保持具を、前記質量測定装置に吊り下げ支持させて、前記容器と前記料保持具を相対昇降させて、容器の液面に前記試料を接触させるのに伴って質量が変化するのを前記質量測定装置で測定する第2測定ステップと、
前記第2測定ステップで得られた質量または質量の二乗の変化を、前記第1測定ステップで得られた質量または質量の二乗の変化に基づいて補正する質量補正ステップと、
を含むことを特徴とする浸透速度測定装置における測定方法。
液体を貯留した容器の上方に、試料を保持した前記請求項1ないし6のいずれかに記載の試料保持具が質量測定装置に吊り下げ支持され、前記容器と試料保持具を相対昇降させて、試料保持具の下端部に容器の液面を接触させ、試料が液体の浸透に伴って質量変化するのを前記質量測定装置によって経時的に測定する浸透速度測定装置における測定方法であって、
前記試料を保持した前記試料保持具を、前記質量測定装置に吊り下げ支持させて、前記試料を容器の液面に接触させる前の質量を測定する吸液前測定ステップと、
試料保持具に保持した試料の液体の浸透に伴う質量の変化を測定した後、前記試料を前記液体から離間させた状態で質量を測定する吸液後測定ステップと、
前記吸液前測定ステップで測定した質量と前記吸液後測定ステップで測定した質量とに基づいて、前記試料に前記液体が浸透して吸収される量である吸液量を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする浸透速度測定装置における測定方法。
前記試料を保持していない空の前記試料保持具を、前記質量測定装置に吊り下げ支持させて、前記試料保持具を容器の液面に接触させる前の質量を測定する接触前測定ステップと、
前記容器の液面に接触させた前記試料保持具を前記液面から離間させた状態で質量を測定する接触後測定ステップと、
前記接触前測定ステップで測定した質量と前記接触後測定ステップで測定した質量とに基づいて、前記算出ステップで算出される前記吸液量を補正する吸液量補正ステップと、
を含む請求項10に記載の浸透速度測定装置における測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サイズの小さい成形体、例えば錠剤などの小型の試料を上記浸透速度測定装置によって測定する場合には、濾紙の上に試料を載置支持することになるが、試料のサイズに比べてセルやセル内に装填する多孔板や濾紙のサイズが大き過ぎ、濾紙の吸液やセル自体の液体に対する親和性の影響が大きくなる、等の理由によって試料への液体接触状況が変化しやすく、再現性よく測定することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、錠剤等のサイズの小さい試料であっても、再現性よく浸透速度を測定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0008】
(1)本発明の試料保持具は、試料が液体の浸透に伴って質量変化するのを質量測定装置で経時的に測定する浸透速度測定装置に用いる前記試料を保持する試料保持具であって、
前記試料より大きく形成されて前記試料が載置される試料載置部と、この試料載置部を前記質量測定装置に吊り下げ連結するための吊り部とを備え、前記試料載置部は周壁部を有し、前記試料載置部の底面には、前記液体が流入する複数の液体流入孔が形成されており、前記試料載置部と前記吊り部とは、一体に接合されており、前記吊り部が接合された前記試料載置部の上方の空間は、前記試料を、前記試料載置部に載置できるように開放露出されている。
【0009】
本発明によると、試料を載置収容した試料載置部と液面とを相対接近させ、試料載置部の下端を液体に適当量だけ浸漬させると、液体流入孔を通って試料載置部内に流入した液体が試料の下端全面に接触することになり、この状態を維持することで、液体が次第に試料に浸透してゆく。
【0010】
この際、試料載置部は周壁部を有するので、試料載置部が液体に浸漬された時に液体が周壁部を越えて流入して、試料の外周面に接触してしまうことがなく、試料下端部のみからの浸透を再現性よく行わせることができる。
【0011】
また、試料と周壁部との間隙を小さくすることで、この間隙に多量の液体が一気に流入して試料の外周面に接触するようなことはなく、試料の下端全面に接触する。また、試料と周壁部との間隙に入った液体の質量が計測に及ぼす影響も軽微なものとなる。
【0012】
また、試料によっては、液体の浸透に伴って膨潤して外径が大きくなることがあるが、試料載置部の周壁部と試料との間に必要な間隙を形成しておくことで、試料の膨潤が周壁部によって阻まれることがなく、試料への自然な浸透が円滑に進行することになる。
【0013】
また、試料を載置できるように、上方の空間が露出開放されている試料載置部は、試料を載置できる大きさであればよく、試料のサイズに応じて、小型にすることができ、サイズの小さい試料であっても、再現性よく浸透速度を測定することができる。
【0014】
また、試料載置部と吊り部とは、一体に接合されているので、試料を試料載置部に載置し、吊り部を質量測定装置に吊り下げ連結することで、測定を開始することができる。
【0015】
(2)本発明の一実施態様では、前記試料が単一の錠剤であり、前記試料載置部は前記錠剤より大径である。
【0016】
この実施態様によると、錠剤と、水や人工唾液等の液体との親和性(濡れ性)を評価することができ、また、錠剤が吸液して膨潤する過程等を、測定される質量変化に基づいて把握することができる。
【0017】
(3)本発明の他の実施態様では、前記試料載置部の外周に沿って形成された前記周壁部から上方に連結片が延出されており、この連結片の上端部に前記吊り部が接合されている。
【0018】
この実施態様によると、吊り部を周壁部に接合する際の加工歪が周壁部に及ぶことがなく、周壁部の形状精度の高い試料載置部を形成することができる。また、接合部が、周壁部により上方に位置するので、接合の際の加工歪によって凹凸が生じても、この凹凸を伝って液体が周壁部を越えて流入するのを防止することができる。
【0019】
(4)本発明の他の実施態様では、前記吊り部の下端部から一対の支持アームが下方に向けて延出されており、各支持アームの先端部が、前記試料載置部の前記連結片に接合されている。
【0020】
この実施態様によると、一対の支持アームの間には、試料載置部の上方を大きく空ける空間が形成されることになり、この大きい空間を介して試料載置部への試料の出し入れを容易に行うことができる。
【0021】
(5)本発明の好ましい実施態様では、前記試料載置部の中央部に、下方に突出する隆起部が形成されており、この隆起部にも前記液体流入孔が形成されている。
【0022】
この実施態様によると、液面が試料保持具の下端部に接近すると、最初に試料載置部の隆起部が液体に接触し、先ず、液体は隆起部の液体流入孔を通して試料載置部の中央に流入する。その後、試料載置部の下端全体が液体に浸漬されることで、全ての液体流入孔を通って試料載置部の内部に液体が流入し、試料の下端全面に液体が適正に接触する。
【0023】
(6)本発明の他の実施態様では、前記周壁部の高さが、前記試料載置部に載置される前記試料の高さより低い。
【0024】
この実施態様によると、試料載置部に試料を載置した状態において、試料が周壁部より露出することになり、指先やピンセットを用いての試料の装填が容易となる。
【0025】
(7)本発明の浸透速度測定装置は、上記(1)ないし(6)のいずれかの試料保持具を用いる浸透速度測定装置であって、
液体を貯留した容器の上方に、試料を保持して質量測定装置に吊り下げ支持された前記試料保持具が配置され、前記容器と前記試料保持具が相対昇降されて、前記試料保持具の下端部に容器の液面が接触され、前記試料の液体の浸透に伴う質量変化が、前記質量測定装置によって経時的に測定される。
【0026】
本発明によると、試料の下端全面からの液体の浸透を再現性よく行わせて浸透速度を測定することができる。
【0027】
(8)本発明の浸透速度測定装置における測定方法は、液体を貯留した容器の上方に、試料を保持した上記(1)ないし(6)のいずれかの試料保持具が質量測定装置に吊り下げ支持され、前記容器と試料保持具を相対昇降させて、試料保持具の下端部に容器の液面を接触させ、試料が液体の浸透に伴って質量変化するのを前記質量測定装置によって経時的に測定する浸透速度測定装置における測定方法であって、
前記試料を保持していない空の前記試料保持具を、前記質量測定装置に吊り下げ支持させて、前記容器と前記空の前記試料保持具を相対昇降させて、容器の液面に空の試料保持具を接触させるのに伴って質量が変化するのを前記質量測定装置で測定する第1測定ステップと、
前記試料を保持した前記試料保持具を、前記質量測定装置に吊り下げ支持させて、前記容器と前記料保持具を相対昇降させて、容器の液面に前記試料を接触させるのに伴って質量が変化するのを前記質量測定装置で測定する第2測定ステップと、
前記第2測定ステップで得られた質量または質量の二乗の変化を、前記第1測定ステップで得られた質量または質量の二乗の変化に基づいて補正する質量補正ステップとを含む。
【0028】
本発明によると、試料保持具に保持した試料を、容器の液面に接触させて質量変化を測定する第2測定ステップで得られた質量または質量の二乗を、試料を保持していない空の試料保持具を、容器の液面に接触させて質量変化を測定する第1測定ステップで得られた質量または質量の二乗に基づいて補正するので、試料保持具による質量変動の影響を除いて正確な質量または質量の二乗の変化を取得することができる。
【0029】
(9)本発明の他の実施態様では、前記第1測定ステップ及び前記第2測定ステップは、前記試料保持具の前記液面に接触する底面を、予め界面活性剤で濡らす工程を含む。
【0030】
この実施態様によると、試料保持具の底面を界面活性剤によって予め濡らすので、試料保持具の底面の液体流入孔のサイズが小さくても、液体流入孔から円滑に液体を流入させることが可能となる。
【0031】
(10)本発明の浸透速度測定装置における測定方法は、液体を貯留した容器の上方に、試料を保持した上記(1)ないし(6)のいずれかの試料保持具が質量測定装置に吊り下げ支持され、前記容器と試料保持具を相対昇降させて、試料保持具の下端部に容器の液面を接触させ、試料が液体の浸透に伴って質量変化するのを前記質量測定装置によって経時的に測定する浸透速度測定装置における測定方法であって、
前記試料を保持した前記試料保持具を、前記質量測定装置に吊り下げ支持させて、前記試料を容器の液面に接触させる前の質量を測定する吸液前測定ステップと、
試料保持具に保持した試料の液体の浸透に伴う質量の変化を測定した後、前記試料を前記液体から離間させた状態で質量を測定する吸液後測定ステップと、
前記吸液前測定ステップで測定した質量と前記吸液後測定ステップで測定した質量とに基づいて、前記試料に前記液体が浸透して吸収される量である吸液量を算出する算出ステップとを含む。
【0032】
本発明によると、試料に、液体が浸透して吸収される吸液量を算出するので、例えば、試料が口腔内崩壊錠、いわゆるOD(Oral Disintegration)錠である場合に、OD錠が吸水、膨潤して崩壊するまでの吸液量、すなわち、OD錠が吸水、膨潤して崩壊するまでに必要な唾液量を把握することができ、唾液の少ない人でも崩壊するOD錠の製剤設計に有用である。
【0033】
(11)本発明の他の実施態様では、前記試料を保持していない空の前記試料保持具を、前記質量測定装置に吊り下げ支持させて、前記試料保持具を容器の液面に接触させる前の質量を測定する接触前測定ステップと、前記容器の液面に接触させた前記試料保持具を前記液面から離間させた状態で質量を測定する接触後測定ステップと、前記接触前測定ステップで測定した質量と前記接触後測定ステップで測定した質量とに基づいて、前記算出ステップで算出される前記吸液量を補正する吸液量補正ステップとを含む。
【0034】
この実施態様によると、試料を保持していない空の試料保持具について、容器の液面に接触させる前後の質量変化を測定し、測定した空の試料保持具の質量変化に基づいて、試料を保持した試料保治具によって測定されて算出される吸液量を補正するので、試料保持具による質量変動の影響を除いて正確な吸液量を取得することができる。
【発明の効果】
【0035】
このように、本発明によれば、錠剤等のサイズの小さい試料であっても、再現性よく浸透速度を測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0038】
図1および
図2に、本発明の一実施形態に係る浸透速度測定装置の本体が示されている。この浸透速度測定装置の本体は、卓上に載置して使用されるように構成されており、高さ調節可能な脚1aを備えたベース1、その奥部に立設した駆動部2、駆動部2の上に設置された計測部3、ベース1と駆動部2と計測部3とで囲まれた処理空間4に配備された昇降台5、処理空間4を前方および左右から覆う開閉操作自在な透明カバー6、等が備えられている。
【0039】
この浸透速度測定装置の本体は、図示しないパーソナルコンピュータ等の制御装置に接続され、この制御装置によって、後述する昇降台5の駆動制御、計測部3から計測データの処理、処理結果のグラフ表示等が行なわれる。すなわち、この実施形態の浸透速度測定装置は、本体と制御装置とを備えている。
【0040】
前記計測部3には、電子天秤を利用した質量測定装置7が装備されており、質量計測用のフック8が計測部3の下面から処理空間4に垂下され、このフック8に、測定対象である試料wを収容した試料保持具9が吊り下げ支持される。
【0041】
前記昇降台5は、試料に浸透させる液体f、例えば水が収容された容器12を支持して昇降させるものであり、容器12を載置できるように側面形状がL形に形成されている。昇降台5は、駆動部2に内装された上下スライド案内手段10によって平行昇降可能に支持されるとともに、駆動部2に内装された駆動装置としてのステッピングモータ11によってねじ送り昇降されるように構成されている。
【0042】
この実施形態の試料保持具9は、外径が、例えば数mm〜10数mm程度に成形された単一の試料w、例えば錠剤等に好適であって、
図3および
図4に示すように、平面視円形の試料載置部13と、この試料載置部13の外周部2箇所に連結された吊り部14とを備えている。
【0043】
試料載置部13は、例えば、厚さ0.2mm程度のステンレス鋼板からなり、
図7に示す形状に打抜き加工した素材をプレス成型して、円形の底部の外周全長に亘って周壁部13aを備えて浅く形成されている。周壁部13aの対角部位には、前記吊り部14を連結する連結片13bが上方に向けて延出されている。
【0044】
周壁部13aの高さは、載置収容する試料wの厚さよりも十分低いものであり、試料wを指先やピンセットなどでつまんで試料載置部13に載置することが容易となっている。
【0045】
試料載置部13の外径は、測定対象である試料wの外径より少し大きく、例えば、試料wの外径に2mm程度を加えた外径以内に設定されている。試料載置部13の中央に試料wを載置収容した状態において、試料wの外周と周壁部13aとの間に若干(例えば、1mm程度以内)の間隙が形成されるようになっている。この実施形態では、試料wの外径が8mmに対して、試料載置部13の外径は、例えば、9mmである。
【0046】
また、試料載置部13の底面には、試料wに接触させる液体fが、試料載置部13内に流入する多数の液体流入孔としての小孔15が所定のピッチパターンで打抜き形成されている。この小孔15は、試料wの大きさに対して十分小径(例えば、0.3〜0.7mm程度)であり、試料wの大きさや後述の錠剤の崩壊特性、等に応じて任意に選択設定される。具体的には、液体の浸透によって崩壊した際に、崩壊片が小孔15から抜け落ちることのない大きさを選択設定することになる。
【0047】
また、試料載置部13の底面中央部には、
図6の拡大断面図にも示されるように、下方に突出する平面形状が円形の隆起部13cがプレス成形されている。隆起部13cの径は、いくつかの小孔15を含む大きさに設定されており、試料保持具9に対して、容器12が上昇されて液体fの液面が試料載置部13に接触する際、先ず、液面が隆起部13cに接触し、隆起部13cの小孔15を介して液体fが試料載置部13の中央部に流入するようになっている。
【0048】
前記吊り部14は、例えば、厚さ0.3mm程度のステンレス鋼板からなり、その上端部には、金属板材からなる前記フック8に引っ掛け連結される縦長の係止孔16が形成されるとともに、その下部には、試料載置部13を連結支持する一対の支持アーム14aが内向き湾曲状に連設されている。
【0049】
両支持アーム14aの下端部には、互いに内向きに対向された両支持アーム14aの内向き端部が、
図5の分解斜視図に示されるように、試料載置部13の周壁部13aから延出された連結片13bの上端連結孔17に位置決め係入され、外側から半田付けされて一体に接合されている。このように試料載置部13の周壁部13aよりも上方位置で半田接合されるので、接合部に凹凸が生じても、この凹凸を伝って液体fが周壁部13aを越えて流入するのを防止することができる。
【0050】
板状の吊り部14に試料載置部13を接合した状態において、両支持アーム14aの間には、
図3、
図4に示すように、試料載置部13の上方を大きく空ける部分円形の空間18が形成されている。このように試料載置部13の上方は、大きく開放露出しているので、試料載置部13への試料wの出し入れが、この大きい空間18から容易に行えるようになっている。
【0051】
また、吊り部14は、試料載置部13が容器12の液面に接触された際に、試料保持具9全体が浮力によってフック8から浮き上ってしまうことを防止する重錘としての機能を発揮するように、その質量が設定されている。例えば、外径が数mm〜10数mm程度の単一の錠剤を試料wとする場合、吊り部14の質量は0.8g以上あることが好ましく、この例では、吊り部14の質量が1gとなるように、その上下長さや横幅が設定されている。
【0052】
これによって、単一の試料wを載置する試料載置部13が、小型で軽量のものであっても、試料保持具9全体が、液体fに浸漬した際の浮力によって浮き上がることを防止して、質量測定装置7への質量の伝達を的確に行うことができる。
【0053】
以上のように本実施形態の試料保持具9では、周壁部13aを有する試料載置部13は、その上方の空間が試料wを載置できるように露出開放されているので、試料載置部13は、試料wを載置できる大きさであればよく、試料wのサイズに応じて、小型、軽量にすることができる一方、液面に接触した際に、試料保持具9が浮き上がることがないように、試料載置部13に一体に接合された吊り部14によって必要な質量を確保することができる。
【0054】
このように試料wが載置されて液体fに浸漬される試料載置部13は、試料wのサイズに応じた小型のものにすることができるので、上下が開口した筒状に形成されたセルの下端部内方に、多孔板と濾紙とを重ねて配備する上記特許文献1の従来の試料保持具のように、試料のサイズに比べてセルやセル内に装填する多孔板や濾紙のサイズが大き過ぎ、濾紙の吸液やセル自体の液体に対する親和性の影響が大きくなって、再現性よく測定できないといったことがない。
【0055】
また、質量測定装置7のフック8に引っ掛け連結される吊り部14は、試料載置部13に一体に接合されているので、特許文献1の従来の試料保持具のように、試料を収容するセルと、質量測定装置に吊り下げ支持されるホルダとを個別に備え、それらを着脱させる必要がない。
【0056】
次に、上記浸透速度測定装置及び試料保持具9を用いて試料wの浸透速度測定を行う手順について説明する。
【0057】
先ず、準備段階として、上記のように試料保持具9における試料載置部13の中央部位に試料wを載置収容して、試料保持具9の吊り部14を質量測定装置7のフック8に吊り下げ支持するとともに、浸透溶媒である液体fを所定レベルに貯留した透明の容器12を、吊り下げた試料保持具9の略直下に位置するよう下降待機位置にある昇降台5に載置する。
【0058】
測定開始指令(上昇指令)が出されると、ステッピングモータ11が正転起動されて昇降台5が上昇作動を開始する。この場合、容器12の液面が試料保持具9の下端近傍の予め設定した高さに到達するまでは予め設定された高速度で上昇駆動され、容器12は速やかに試料保持具9に接近上昇される。なお、昇降台5が設定高さに到達するまでの上昇は、ステッピングモータ11の駆動パルス数として設定することができる。
【0059】
容器12の液面が所定高さに到達した後は、上昇駆動速度が中速となるようにステッピングモータ11がパルス制御され、液面が波立つことのないように容器12が静かに上昇される。
【0060】
容器12の液面が試料保持具9の下端である隆起部13cに到達すると、上昇移動速度が低速となるようにステッピングモータ11がパルス制御され、液面が試料保持具9の下端から所定の高さだけ一層静かに容器12が上昇されて停止する。
【0061】
なお、容器12の液面が試料保持9の下端の隆起部13cに到達すると、質量測定装置7での測定値が変化することになり、この質量測定値が変化したことを検知することによって、容器12の液面が試料保持具9の下端に到達したことを認識することができる。
【0062】
液面が試料保持具9の下端部に接近すると、最初に試料載置部13の隆起部13cが液体に浸漬され、先ず、液体fは隆起部13cの小孔15を通して試料載置部13の中央に流入する。その後、試料載置部13の下端全体が液体f浸漬されることで、全ての小孔15を通って試料載置部13の内部に液体fが流入し、試料wの下端全面に液体fが接触する。この状態を設定時間に亘って維持することで、液体fが次第に試料wに浸透して試料wの質量が増加し、この質量変化を質量計測装置7で経時的に測定し、その測定データを所定の演算式に基づいて演算処理することで、試料wに対する液体の浸透速度を得ることができる。
【0063】
この場合、試料wと周壁部13aとの間隙が小さいので、この間隙に多量の液体fが一気に流入して試料wの外周面の高位置にまで接触するようなことはなく、試料wの下端全面に接触する。また、試料wと周壁部13aとの間隙に入った液体fの質量が計測に及ぼす影響も軽微なものとなる。
【0064】
また、試料wによっては、液体fの浸透に伴って膨潤して外径が大きくなることがあるが、試料載置部13の周壁部13aと試料wとの間に間隙が形成されているので、試料wの膨潤が周壁部13aによって阻まれることがなく、試料wへの自然な浸透が円滑に進行することになる。
【0065】
なお、周壁部13aと試料wとの間隙が大き過ぎると、この間隙に流入した多量の液体fの質量が計測に悪影響を及ぼすことになるので、周壁部13aと試料wとの間隙は、膨潤した試料wが周壁部13aに接触しない最小限度に設定しておくことが好ましい。
【0066】
測定処理が完了した後、容器下降指令が出されると、初期上昇速度と同じ高速、あるいは、これよりも更に速い速度で下降待機位置まで下降される。
【0067】
ここで、液体の浸透速度の算出について、簡単に説明する。
【0068】
試料と液体との親和性は、一般に下記のWashburnの式で示される。
【0069】
W
L2/t=(Sερ
L)
2・(rγ
Lcosθ/2η
L)
W
L:液体の浸透質量、 t:時間、 S:粉体層断面積、 ε:空間率
ρ
L:液体密度、 r:粉体層内の粒子が形成する毛細管半径
γ
L:液体表面張力、 η
L:液体粘度、 θ:液体と固体表面が成す接触角
液体と試料とを接触させて一定時間保持すると、毛細管現象により、試料は液体を吸い上げ質量が増加する。この際の測定時間と質量変化を計測し、横軸:時間、縦軸:質量のグラフとして表示させる。解析時には、グラフを、後述の
図8に示すように、横軸:時間、縦軸:質量の2乗のグラフへと変換し、接線の傾きを算出する。この接線の傾きは、上記Washburnの式の左辺に等しい、浸透速度係数(W
L2/t)と呼ばれ、この値が大きいほど浸透速度が大きく、試料と液体との親和性がよいとされる。また、算出した浸透速度係数(W
L2/t)を用いて、上記Washburnの式から液体と固体表面が成す接触角θを求めることもできる。
【0070】
次に、試料wを単一の錠剤、液体を水として浸透速度測定装置によって測定した場合の測定結果について説明する。なお、錠剤の測定においては、容器12の周囲にジャケットを設け、ジャケット内に熱媒を通流させることで、容器12内の水温を、体温に対応する37℃に制御した。
【0071】
図8は、上記試料保持具9を用いてそれぞれ測定した口腔内崩壊錠、いわゆるOD(Oral Disintegration)錠、及び、普通錠の測定結果を示す図であり、上記のように、横軸は測定時間、縦軸は質量の二乗を示している。
【0072】
各錠剤は、いずれも質量が180mg、直径が8mm、打錠圧が6kNである。また、試料保持具9は、小孔15の孔径が0.5mmのものを使用し、それぞれ3回測定し、その平均値を、
図8に示したものである。
【0073】
普通錠については、賦形剤がマンニトールと乳糖から成る2種類の錠剤を測定した。
【0074】
この
図8に示すように、唾液程度の少量の水で溶けるOD錠は、ラインL1で示すように、試料保持具9が水面に接触した測定時間「0」から、すなわち、吸水の開始からの立ち上がりの傾きが急であるのに対して、賦形剤がマンニトールの普通錠と、賦形剤が乳糖の普通錠は、ラインL2,L3にそれぞれ示すように、吸水の開始からの立ち上がりの傾きが緩やかである。
【0075】
上記のように立ち上がりにおける接線の傾きが、浸透速度に対応するので、浸透速度を求めることによって、OD錠と普通錠の試料のそれぞれの特性について、判別することができる。
【0076】
OD錠では、口に入れた錠剤が舌の上の限られた水分を速やかに吸水して、錠剤全体に行きわたらせることが、口腔内で崩壊させるのに必要な要件となる。例えば一般的に、OD錠は口腔内で約30秒以内で崩壊させることが必要とされる。
【0077】
浸透速度測定装置によって測定される質量の二乗の値は、OD錠が、吸水して膨潤して崩壊するのに応じて変化するので、測定される質量の二乗の値が、吸水の開始から立ち上がって、略一定の値となるまでの時間を、OD錠の口腔内崩壊時間の評価の指標とすることができる。
【0078】
普通錠については、消化管内で、吸水、膨潤して崩壊するまでの時間を、浸透速度測定装置によって測定される質量の二乗の値の、吸水の開始からの立ち上がりによって評価することが可能である。
【0079】
消化管内には、十分な水分があるが、普通錠に速やかに水が浸透しないと、普通剤に含まれる「崩壊剤」が膨潤せず、消化管内での素早い崩壊が得られないことが予想される。
【0080】
このため、浸透速度測定装置によって測定される吸水の開始からの立ち上がりによって、普通錠を評価することができる。
【0081】
浸透速度測定装置によって測定される質量の二乗の変化は、OD錠と普通錠との判別や口腔内崩壊時間以外に、例えば、錠剤の製造条件である打錠圧の違いを判別することも可能である。
【0082】
図9は、小孔15の孔径が0.5mmの試料保持具9を用いてそれぞれ測定した打錠圧が異なるOD錠の測定結果を示す図であり、横軸は測定時間、縦軸は質量の二乗である。
【0083】
OD錠の打錠圧は、4kN、6kN、8kNの3種類であり、いずれも質量が180mg、直径が8mmである。各OD錠について、それぞれ3回測定し、その平均値を、
図9に示したものであり、ラインL4は打錠圧8kN、ラインL5は打錠圧6kN、ラインL6は打錠圧4kNをそれぞれ示している。
【0084】
この
図9に示すように、吸水の開始から、例えば1秒〜7秒程度に亘る立ち上がりにおいて、打錠圧が高いOD錠ほど、質量の二乗の値は、大きくなっている。したがって、立ち上がりにおける質量の二乗の値に基づいて、製造条件である錠剤の打錠圧を評価することができる。
【0085】
この実施形態では、吸水の開始からの立ち上がりにおける傾斜に対応する浸透速度や質量の二乗の値だけでなく、質量の二乗の値が略一定の値に飽和する飽和値を測定し、更に、飽和値に達した試料を、水から引き上げた後に計測される質量から、水に接触させる前に計測した質量を差し引いた質量値の変化である、吸水量を測定するようにしている。
【0086】
このような飽和値及び吸水量を測定することによって、錠剤を評価することできる。
【0087】
先ず、飽和値の測定について説明する。
【0088】
質量の二乗の値が略一定となる飽和値には、試料wの吸水による質量の変化のみではなく、試料保持具9自体の質量変動の影響も含まれており、その影響を補正する必要がある。
【0089】
図10は、小孔15の孔径が0.5mmの試料保持具9単独、すなわち、錠剤を載置しない空の状態の試料保持具9を測定した結果、及び、その試料保持具9を用いて、OD錠、普通錠を測定した結果を示す図であり、横軸は測定時間、縦軸は質量の二乗である。この
図10では、
図8に比べて時間軸を拡大して測定初期における変化を示している。
【0090】
各錠剤は、上記
図8と同様に、いずれも質量が180mg、直径が8mm、打錠圧が6kNであり、普通錠は、賦形剤がマンニトールと乳糖から成る2種類の錠剤を測定した。いずれも3回測定し、その平均値を示したものである。
図10において、ラインL7はOD錠、ラインL8は賦形剤がマンニトールの普通錠、ラインL9は賦形剤が乳糖の普通錠、ラインL10は試料保持具9単独をそれぞれ示している。
【0091】
この
図10に示すように、錠剤が載置されていない空の試料保持具9の場合にも試料保持具9が水に接触すると、急激に立ち上がり、測定時間が0.3秒前後になると、略一定の値となっている。これは、
図11に示すように、試料保持具9の下端が水面に接触すると、水fの表面張力によって、試料保持具9に対して矢符Aで示すように下方へ引っ張る力が作用するためである。
【0092】
このように質量の変動を引き起こす試料保持具9に、各錠剤を載置して測定される測定結果には、試料保持具9による質量変動の影響が含まれている。すなわち、各錠剤を試料保持具9に載置して測定された結果である、質量の二乗の値には、試料保持具9単独の測定結果である、質量の二乗の値が加算されている。
【0093】
そこで、少なくとも質量の二乗の値が略一定の値に飽和する飽和値の測定においては、後述のように空の試料保持具9の質量変化を予め測定しておき、この空の試料保持具9の質量の二乗の値を減算して飽和値を求めるようにしている。この飽和値は、パーソナルコンピュータに表示される測定結果のグラフから目視によって求めてもよいし、例えば、所定時間内の質量の二乗の変化が、一定範囲に収まった時点の値を飽和値としてもよい。
【0094】
図12は、
図10に示される各錠剤の測定結果から空の試料保持具9の測定結果を減算した結果、すなわち、試料保持具9による質量変動の影響を補正した結果を示している。
【0095】
このように試料保持具9による質量変動の影響を補正した測定結果に基づいて、質量の二乗の値が略一定の値に飽和する飽和値を算出するので、正確な飽和値を求めることができる。
【0096】
この実施形態の測定方法では、試料保持具9による質量の変動の影響を補正するために、錠剤を保持していない空の試料保持具9を、フック8に吊り下げ支持させて、容器12を上昇させて水面に空の試料保持具9を接触させて質量が変化するのを測定し(第1測定ステップ)、その後、錠剤を保持した試料保持具9を、フック8に吊り下げ支持させて、容器12を上昇させて水面に錠剤を接触させ質量が変化するのを測定し(第2測定ステップ)、第2測定ステップで得られた質量の二乗の変化を、第1測定ステップで得られた質量の二乗の変化に基づいて補正する(質量補正ステップ)ようにしている。
【0097】
具体的には、第2測定ステップで得られた質量の二乗の値から、第1測定ステップで得られた質量の二乗の値を減算して補正するようにしている。
【0098】
なお、試料を載置しない空の試料保持具9では、水が浸透する錠剤が載置されていないために、浮力によって試料保持具9が浮いて、質量を測定できないので、試料保持具9の底面を、界面活性剤で濡らし拭き取るようにしている。これによって、試料保持具9の底部の濡れ性が高まり、小孔15からの吸水が可能となり、浮力で浮くことが抑制されて、空の試料保持具9の測定が可能となる。界面活性剤としては、洗浄剤等に汎用されている界面活性剤を用いることができる。
【0099】
また、試料保持具9に錠剤を載置して測定する際にも、同様に、試料保持具9の底面を界面活性剤で濡らして拭き取るようにしている。
【0100】
上記では、飽和値を、質量の二乗の値が略一定となる値としたが、質量の二乗の値ではなく、質量の値が略一定となる値としてもよい。
【0101】
この実施形態では、設定時間に亘る測定終了後に錠剤を水から引き上げた後の質量を測定し、この測定質量から錠剤を水に接触させる前の測定質量を減算することによって、錠剤の質量変化を、吸水量として算出している。
【0102】
すなわち、この実施形態の測定方法では、錠剤を保持した試料保持具9を、フック8に吊り下げ支持させて、錠剤を容器12の水面に接触させる前の質量を測定し(吸水前測定ステップ)、その後、容器12を上昇させて試料保持具9に保持した錠剤に接触させて水の浸透に伴う質量の変化を測定した後、容器12を下降させて試料保持具9の錠剤を水面から離間させた状態で質量を測定し(吸水後測定ステップ)、吸水前測定ステップで測定した質量と吸水後測定ステップで測定した質量とに基づいて、吸水量を算出する(算出ステップ)ようにしている。
【0103】
具体的には、吸水後測定ステップで測定した質量から、吸水前測定ステップで測定した質量を減算して吸水量を算出する。
【0104】
なお、この吸水量の測定においても、上記飽和値の測定と同様に、空の試料保持具9について、水に接触させる前の質量を測定し(接触前測定ステップ)、水に接触させた後、引き上げたときの質量を測定し(接触後測定ステップ)、得られた空の試料保持具9の質量変動分を、上記算出ステップで算出される吸水量から減算して補正してもよい(吸水量補正ステップ)。
【0105】
図13は、OD錠の吸水量の測定結果を示す図であり、同図(a)は小孔15の孔径が0.3mmの試料保持具9を用いて測定した打錠圧が4kN、6kN、8kNの各OD錠の吸水量を示し、同図(b)は小孔15の孔径が0.5mmの試料保持具9を用いて測定した打錠圧が4kN、6kN、8kNの各OD錠の吸水量を示し、同図(c)は小孔15の孔径が0.7mmの試料保持具9を用いて測定した打錠圧が4kN、6kN、8kNの各OD錠の吸水量を示している。この
図13では、エラーバーを併せて示している。各OD錠は、いずれも質量が180mg、直径が8mmである。
【0106】
この
図13に示すように、打錠圧が高くなる程、吸水量が増加する傾向を示している。したがって、吸水量に基づいて、製造条件である打錠圧の高低を判別することができる。
【0107】
上記のようにして浸透速度測定装置によって測定される吸水の開始からの立ち上がり、飽和値、及び、吸水量は、製剤設計に応用することができる。
【0108】
例えば、飽和値や吸水量は、OD錠が、吸水、膨潤して崩壊するまでに必要な唾液量の判定に利用することができる。すなわち、唾液の少ない人でも崩壊するOD錠の製剤設計に応用することができる。
【0109】
また、どのような崩壊剤を配合し、どのような製造条件で製造すると、素早い崩壊が得られるか、圧縮(打錠圧)をどの程度にすると、「崩壊剤」の機能を損なわないか等、製剤設計に関する様々な情報を、上記試料保持具9を用いた浸透速度測定装置による測定によって得ることができる。
【0110】
更に、この実施形態では、水の温度による特性の変化を評価することが可能である。
【0111】
図14は、水温が、体温に対応する37℃と、常温に対応する21℃との各場合における、OD錠、及び、賦形剤がマンニトールと乳糖から成る2種類の普通錠の測定結果を示す図であり、横軸は測定時間、縦軸は質量の二乗である。各錠剤は、いずれも質量が180mg、直径が8mm、打錠圧が6kNである。また、試料保持具9は、小孔15の孔径が0.5mmのものを使用し、それぞれ3回測定し、その平均値を、
図14に示したものである。
【0112】
太い線のラインL1、L2、L3が、水温が37℃である場合のOD錠、賦形剤がマンニトールの普通錠、賦形剤が乳糖の普通錠の測定結果をそれぞれ示し、細い線のラインL1´、L2´、L3´が、水温が21℃である場合のOD錠、賦形剤がマンニトールの普通錠、賦形剤が乳糖の普通錠の測定結果をそれぞれ示している。水温が37℃のラインL1、L2、L3は、縦軸の初期値を拡大して示している以外は、上記
図8と同様である。
【0113】
この
図14に示すように、いずれの錠剤についても、水温が高い場合(37℃)が、水温が低い場合(21℃)に比べて、質量の二乗の値が大きくなっている。したがって、浸透速度測定装置による測定結果を、液体の温度の判定に利用することもできる。
【0114】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0115】
(1)上記実施形態では、液体fを貯留した容器12を上昇させて、所定高さに吊り下げ保持した試料wに接触させる形態としているが、容器12を固定して、試料wを吊り下げ支持したフック8を下降させる形態で実施することも可能である。
【0116】
(2)試料載置部13の平面形状は、円形に限らず、試料wの外形に応じて、三角形やその他の形状としてもよい。
【0117】
また、試料載置部13に形成する隆起部13cの平面形状は、円形以外のいかなるものでもよく、三角形、四角形、十字形、等を任意に選択することができる。
【0118】
更に、試料載置部13に形成する小孔15は円形孔に限られるものではなく、三角孔、四角孔、十字孔、スリット、等を任意に選択することができる。
【0119】
(3)試料保持具9は必ずしも金属材である必要はなく、浮力に抗し得る錘を負荷できるようにすれば、樹脂材で形成することもできる。
【0120】
(4)上記実施形態では、試料wとして錠剤に適用して説明したが、試料wは、錠剤に限らず各種の材質の試料に適用できるのは勿論であり、例えば、セラミックチップ等に好適に適用できる。
【0121】
また、液体は、水に限らず、人工唾液、着色水等の各種の液体に適用できるのは勿論である。