特許第6707457号(P6707457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707457
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】容量センサシステムにおけるタッチ検出
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20200601BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20200601BHJP
   G06F 3/043 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   G06F3/041 512
   G06F3/044
   G06F3/043
【請求項の数】31
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-557072(P2016-557072)
(86)(22)【出願日】2015年4月15日
(65)【公表番号】特表2017-515196(P2017-515196A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】US2015025926
(87)【国際公開番号】WO2015160921
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2018年3月16日
(31)【優先権主張番号】61/981,140
(32)【優先日】2014年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/599,086
(32)【優先日】2015年1月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397050741
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROCHIP TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ホーフ, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ハイム, アクセル
【審査官】 佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−544352(JP,A)
【文献】 特表2013−536493(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0050180(US,A1)
【文献】 特表2013−519933(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/083737(WO,A1)
【文献】 特開2014−164755(JP,A)
【文献】 特開昭63−276085(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0279397(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/161716(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0310094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/043
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
アクティブ化および非アクティブ化されるように動作可能な容量または抵抗2次元(2D)タッチ検出システムと、
前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムと通信するように動作可能な3次元(3D)ジェスチャ検出システムと
を備え、
前記3Dジェスチャ検出システムは、方形波信号を使用して準静的交流電場を生成することが可能であり、
前記3Dジェスチャ検出システムは、前記準静的交流電場に進入する物体によって生じる前記準静的交流電場の減衰を決定することによって、タッチイベントが生じたかどうかまたはタッチイベントが生じようとしているかどうかの両方を決定することが可能であり、
前記3Dジェスチャ検出システムは、タッチイベントが生じた場合または生じようとしている場合、前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムをアクティブ化することが可能である、システム。
【請求項2】
前記3Dジェスチャ検出システムは、前記物体が前記準静的交流電場に進入するときに前記物体の実際の3D座標を計算することが可能であり、
前記3D座標は、前記3Dジェスチャ検出システムの複数の受信電極から受信された信号の三辺測量によって計算される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
タッチイベントの決定のために、前記3Dジェスチャ検出システムは、雑音抑制のために確率フィルタを使用する、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記確率フィルタは、アンセンテッドカルマンフィルタである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記確率フィルタは、正弦波雑音を抑制する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、タッチ検出電極とを備えている、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え、タッチ検出電極として前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有している、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記3Dジェスチャ検出システムと前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムとの間で前記少なくとも1つの電極を共有するように構成されているマルチプレクサスイッチをさらに備えている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、マルチプレクサとを備え、前記マルチプレクサは、前記3Dジェスチャ検出システムのための伝送電極として動作するように、前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するように構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記タッチ検出電極は、前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムによって使用されるエリアを覆っている、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記タッチ検出電極からの後続サンプルの差異信号が、経時的に生成され、評価される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記差異信号は、アンセンテッドカルマンフィルタにフィードされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記アンセンテッドカルマンフィルタの出力信号は、前記差異信号から減算され、閾値比較ユニットにフィードされ、前記閾値比較ユニットは、タッチイベント信号を出力するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、前記差異信号における特徴的な傾向が前記差異信号のゼロ線の交差点近傍に存在するかどうかを評価することによって、タッチが生じたかどうかを決定する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムは、容量タッチ検出システムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記容量タッチ検出システムは、投影型容量タッチコントローラを備えている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
入力デバイスを動作させる方法であって、前記方法は、
アクティブ化および非アクティブ化されるように動作可能な容量または抵抗2次元(2D)タッチ検出システムを提供することと、
前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムと通信するように動作可能な3次元(3D)ジェスチャ検出システムを提供することであって、前記3Dジェスチャ検出システムは、方形波信号を使用して準静的交流電場を生成することが可能であり、前記3Dジェスチャ検出システムは、タッチイベントが生じたかどうかまたはタッチイベントが生じようとしているかどうかの両方を決定することが可能である、ことと、
前記3Dジェスチャ検出システムをアクティブ化し、前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムを非アクティブ化することと、
前記3Dジェスチャ検出システムによって、前記準静的交流電場に進入する物体によって生じる前記準静的交流電場の減衰を決定することによって、タッチイベントが生じたかどうか、または生じようとしているかどうかを決定することと、
タッチイベントが生じた場合または生じようとしている場合、前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムをアクティブ化することと
を含む、方法。
【請求項18】
タッチイベントの決定のために、前記3Dジェスチャ検出システムは、雑音抑制のために確率フィルタを使用する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記確率フィルタは、アンセンテッドカルマンフィルタである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記確率フィルタは、正弦波雑音を抑制する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、タッチ検出電極とを備えている、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え、前記方法は、タッチ検出電極として前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
共有することは、前記3Dジェスチャ検出システムと前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムとの間で前記少なくとも1つの電極を共有するように構成されているマルチプレクサスイッチを制御することによって行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え、前記方法は、前記3Dジェスチャ検出システムのための伝送電極として動作するように、前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記タッチ検出電極は、前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムによって使用されるエリアを覆っている、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記タッチ検出電極からの後続サンプルの差異信号が、経時的に生成され、評価される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
アンセンテッドカルマンフィルタによって前記差異信号をフィルタ処理することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フィルタ処理された信号を前記差異信号から減算することと、前記減算された信号を閾値比較ユニットにフィードすることとを含み、前記閾値比較ユニットは、タッチイベント信号を出力する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記差異信号における特徴的な傾向が前記差異信号のゼロ線の交差点近傍に存在するかどうかを評価することによって、タッチが生じたかどうかを決定することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記容量または抵抗2Dタッチ検出システムは、容量タッチ検出システムである、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記容量タッチ検出システムは、投影型容量タッチコントローラを備えている、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮出願第61/981,140号(2014年4月17日出願)の利益を主張し、上記出願は、その全体が本明細書に引用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、容量センサシステムにおけるタッチ検出に関し、特に、ミッドレンジ容量センサシステムのタッチコントローラとのイベントベースの多重化のためのタッチ検出に関する。
【背景技術】
【0003】
入力デバイスのためのタッチ検出を行うために、種々の技術が、利用可能であり、特に、容量および抵抗システムが、ディスプレイまたはトラックパッド等の表面へのタッチを検出するために使用される。画定されたエリア内で行われる3次元非タッチジェスチャの検出を可能にする、他のシステムも開発されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
電子デバイスにおけるタッチ検出と非タッチ検出との改良された組み合わせの必要性がある。
【0005】
ある実施形態によると、システムは、アクティブ化および非アクティブ化されるように動作可能な2次元(2D)タッチ検出システムと、2Dタッチ検出システムと通信するように動作可能な追加のセンサとを備え、追加のセンサは、タッチイベントが生じたかどうか、または生じようとしているかどうかを決定し、タッチイベントが生じた場合または生じようとしている場合、2Dタッチ検出システムをアクティブ化することが可能である。
【0006】
さらなる実施形態によると、追加のセンサは、3次元(3D)ジェスチャ検出システムであることができる。さらなる実施形態によると、タッチイベントの決定のために、3Dジェスチャ検出システムは、雑音抑制のための確率フィルタを使用し得る。さらなる実施形態によると、確率フィルタは、アンセンテッドカルマンフィルタであることができる。さらなる実施形態によると、確率フィルタは、正弦波雑音を抑制し得る。さらなる実施形態によると、3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、タッチ検出電極とを備え得る。さらなる実施形態によると、3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え得、タッチ検出電極としてタッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有する。さらなる実施形態によると、本システムはさらに、3Dジェスチャ検出システムと2Dタッチ検出システムとの間で少なくとも1つの電極を共有するように構成されているマルチプレクサスイッチを備え得る。さらなる実施形態によると、3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、マルチプレクサとを備え得、マルチプレクサは、3Dジェスチャ検出システムのための伝送電極として動作する、タッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するように構成される。さらなる実施形態によると、タッチ検出電極は、2Dタッチ検出システムによって使用されるエリアを覆い得る。さらなる実施形態によると、タッチ検出電極からの後続サンプルの差異信号は、経時的に生成され、評価されることができる。さらなる実施形態によると、差異信号は、アンセンテッドカルマンフィルタにフィードされることができる。さらなる実施形態によると、アンセンテッドカルマンフィルタの出力信号は、差異信号から減算され、タッチイベント信号を出力するように構成される閾値比較ユニットにフィードされることができる。さらなる実施形態によると、本システムは、差異信号における特徴的な傾向が差異信号のゼロ線の交差点近傍に存在するかどうかを評価することによって、タッチが生じたかどうかを決定し得る。さらなる実施形態によると、2Dタッチ検出システムは、容量タッチ検出システムであることができる。さらなる実施形態によると、容量タッチ検出システムは、投影型容量タッチコントローラを備え得る。
【0007】
別の実施形態によると、入力デバイスを動作させる方法は、アクティブ化および非アクティブ化されるように動作可能な2次元(2D)タッチ検出システムを提供するステップと、2Dタッチ検出システムと通信するように動作可能な別のセンサシステムを提供するステップと、他のセンサシステムをアクティブ化し、2Dタッチ検出システムを非アクティブ化するステップと、他のセンサシステムによって、タッチイベントが生じたかどうか、または生じようとしているかどうかを決定するステップと、タッチイベントが生じた場合または生じようとしている場合、2Dタッチ検出システムをアクティブ化するステップとを含み得る。
【0008】
本方法のさらなる実施形態によると、他のセンサシステムは、3次元(3D)ジェスチャ検出システムであることができる。本方法のさらなる実施形態によると、タッチイベントの決定のために、3Dジェスチャ検出システムは、雑音抑制のための確率フィルタを使用し得る。本方法のさらなる実施形態によると、確率フィルタは、アンセンテッドカルマンフィルタであることができる。本方法のさらなる実施形態によると、確率フィルタは、正弦波雑音を抑制し得る。本方法のさらなる実施形態によると、3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、タッチ検出電極とを備え得る。本方法のさらなる実施形態によると、3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え得、本方法は、タッチ検出電極としてタッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するステップを含む。本方法のさらなる実施形態によると、共有することは、3Dジェスチャ検出システムと2Dタッチ検出システムとの間で少なくとも1つの電極を共有するように構成されているマルチプレクサスイッチを制御することによって行われることができる。本方法のさらなる実施形態によると、3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え得、本方法は、3Dジェスチャ検出システムのための伝送電極として動作する、タッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するステップを含む。本方法のさらなる実施形態によると、タッチ検出電極は、2Dタッチ検出システムによって使用されるエリアを覆い得る。本方法のさらなる実施形態によると、タッチ検出電極からの後続サンプルの差異信号は、経時的に生成され、評価されることができる。本方法のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、アンセンテッドカルマンフィルタによって差異信号をフィルタ処理することを含み得る。本方法のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、フィルタ処理された信号を差異信号から減算し、減算された信号をタッチイベント信号を出力する閾値比較ユニットにフィードすることを含み得る。本方法のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、差異信号における特徴的な傾向が差異信号のゼロ線の交差点近傍に存在するかどうかを評価することによって、タッチが生じたかどうかを決定することを含み得る。本方法のさらなる実施形態によると、2Dタッチ検出システムは、容量タッチ検出システムであることができる。本方法のさらなる実施形態によると、容量タッチ検出システムは、投影型容量タッチコントローラを備え得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
システムであって、
アクティブ化および非アクティブ化されるように動作可能な2次元(2D)タッチ検出システムと、
前記2Dタッチ検出システムと通信するように動作可能な追加のセンサと
を備え、
前記追加のセンサは、タッチイベントが生じたかどうか、または生じようとしているかどうかを決定し、タッチイベントが生じた場合または生じようとしている場合、前記2Dタッチ検出システムをアクティブ化することが可能である、システム。
(項目2)
前記追加のセンサは、3次元(3D)ジェスチャ検出システムである、項目1に記載のシステム。
(項目3)
タッチイベントの決定のために、前記3Dジェスチャ検出システムは、雑音抑制のために確率フィルタを使用する、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記確率フィルタは、アンセンテッドカルマンフィルタである、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記確率フィルタは、正弦波雑音を抑制する、項目3に記載のシステム。
(項目6)
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、タッチ検出電極とを備えている、項目2に記載のシステム。
(項目7)
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え、タッチ検出電極として前記タッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有している、項目2に記載のシステム。
(項目8)
前記3Dジェスチャ検出システムと前記2Dタッチ検出システムとの間で少なくとも1つの電極を共有するように構成されているマルチプレクサスイッチをさらに備えている、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、マルチプレクサとを備え、前記マルチプレクサは、前記3Dジェスチャ検出システムのための伝送電極として動作する、前記タッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するように構成されている、項目2に記載のシステム。
(項目10)
前記タッチ検出電極は、前記2Dタッチ検出システムによって使用されるエリアを覆っている、項目6に記載のシステム。
(項目11)
前記タッチ検出電極からの後続サンプルの差異信号が、経時的に生成され、評価される、項目10に記載のシステム。
(項目12)
前記差異信号は、アンセンテッドカルマンフィルタにフィードされる、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記アンセンテッドカルマンフィルタの出力信号は、前記差異信号から減算され、閾値比較ユニットにフィードされ、前記閾値比較ユニットは、タッチイベント信号を出力するように構成されている、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記システムは、前記差異信号における特徴的な傾向が前記差異信号のゼロ線の交差点近傍に存在するかどうかを評価することによって、タッチが生じたかどうかを決定する、項目11に記載のシステム。
(項目15)
前記2Dタッチ検出システムは、容量タッチ検出システムである、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記容量タッチ検出システムは、投影型容量タッチコントローラを備えている、項目15に記載のシステム。
(項目17)
入力デバイスを動作させる方法であって、
アクティブ化および非アクティブ化されるように動作可能な2次元(2D)タッチ検出システムを提供することと、
前記2Dタッチ検出システムと通信するように動作可能な別のセンサシステムを提供することと、
前記他のセンサシステムをアクティブ化し、前記2Dタッチ検出システムを非アクティブ化することと、
前記他のセンサシステムによって、タッチイベントが生じたかどうか、または生じようとしているかどうかを決定することと、
タッチイベントが生じた場合または生じようとしている場合、前記2Dタッチ検出システムをアクティブ化することと
を含む、方法。
(項目18)
前記他のセンサシステムは、3次元(3D)ジェスチャ検出システムである、項目17に記載の方法。
(項目19)
タッチイベントの決定のために、前記3Dジェスチャ検出システムは、雑音抑制のために確率フィルタを使用する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記確率フィルタは、アンセンテッドカルマンフィルタである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記確率フィルタは、正弦波雑音を抑制する、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極と、タッチ検出電極とを備えている、項目18に記載の方法。
(項目23)
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え、前記方法は、タッチ検出電極として前記タッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するステップを含む、項目18に記載の方法。
(項目24)
共有することは、前記3Dジェスチャ検出システムと前記2Dタッチ検出システムとの間で少なくとも1つの電極を共有するように構成されているマルチプレクサスイッチを制御することによって行われる、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記3Dジェスチャ検出システムは、ジェスチャを決定するように構成されている複数の受信電極を備え、前記方法は、前記3Dジェスチャ検出システムのための伝送電極として動作する、前記タッチ検出システムからの少なくとも1つの電極を共有するステップを含む、項目18に記載の方法。
(項目26)
前記タッチ検出電極は、前記2Dタッチ検出システムによって使用されるエリアを覆っている、項目22に記載の方法。
(項目27)
前記タッチ検出電極からの後続サンプルの差異信号が、経時的に生成され、評価される、項目26に記載の方法。
(項目28)
アンセンテッドカルマンフィルタによって前記差異信号をフィルタ処理することを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記フィルタ処理された信号を前記差異信号から減算し、前記減算された信号を閾値比較ユニットにフィードするステップを含み、前記閾値比較ユニットは、タッチイベント信号を出力する、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記差異信号における特徴的な傾向が前記差異信号のゼロ線の交差点近傍に存在するかどうかを評価することによって、タッチが生じたかどうかを決定することを含む、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記2Dタッチ検出システムは、容量タッチ検出システムである、項目17に記載の方法。
(項目32)
前記容量タッチ検出システムは、投影型容量タッチコントローラを備えている、項目31に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aおよび1Bは、組み合わせられた2D/3Dタッチ/ジェスチャ検出システムのブロック図を示す。
【0010】
図1B図1Aおよび1Bは、組み合わせられた2D/3Dタッチ/ジェスチャ検出システムのブロック図を示す。
【0011】
図2図2は、3Dシステムをより詳細に示す。
【0012】
図3図3−6および8は、受信された信号および時間に対するその一次導関数の種々のタイミング図を示す。
【0013】
図4図3−6および8は、受信された信号および時間に対するその一次導関数の種々のタイミング図を示す。
【0014】
図5図3−6および8は、受信された信号および時間に対するその一次導関数の種々のタイミング図を示す。
【0015】
図6図3−6および8は、受信された信号および時間に対するその一次導関数の種々のタイミング図を示す。
【0016】
図7図7は、アンセンテッドカルマンフィルタのブロック図を示す。
【0017】
図8図3−6および8は、受信された信号および時間に対するその一次導関数の種々のタイミング図を示す。
【0018】
図9図9は、短待ち時間タッチ検出アルゴリズムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
種々の実施形態によると、タッチ検出システムと非タッチ検出システムとが、電子デバイス内で組み合わせられ、複合入力システムを形成することができる。タッチコントローラは、概して、独立型入力デバイスとして使用され、例えば、種々の電子デバイス内に統合される。しかしながら、種々の実施形態によると、3次元(3D)感知システムが、そのようなタッチ感知システムと組み合わられ得るか、またはタッチ検出機能を提供するように修正されることができる。3Dジェスチャ検出システムは、準静的交流電場とともに働くように構成されることができる(例えば、そのような場を構築するために送信機電極にフィードされる100〜200kHz方形波信号を使用して)。複数の検出器電極が、次いで、場に進入した物体によって生じた減衰を決定するために使用される。例えば、本出願人によって製造されるGestIC(登録商標)としても知られる、集積回路MGC3130等の評価回路が、3D位置を決定するために使用されることができる。MGC3130は、単一ゾーン3D追跡およびジェスチャコントローラデバイスであり、例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、Microchip Technology Inc.から利用可能な「単一ゾーン3D追跡およびジェスチャコントローラデータシート」において説明されている。そのような検出デバイスは、例えば、種々の電極から受信された信号から導出される距離推定値とともに三辺測量を適用し、実際の3次元座標を計算し得る。しかしながら、他のセンサシステムも、当業者によって理解されるであろうように、タッチ感知システムと組み合わせられ得る。さらに、他の3Dジェスチャ検出システムは、種々の実施形態によるタッチ感知システムと組み合わせて使用され得る。
【0020】
タッチ検出システムは、概して、容量または抵抗測定システムであり、それらのシステムは、例えば画面またはトラックパッド等のそれぞれのタッチ表面に触れる、例えば指によって生じる静電容量または抵抗の変化を決定する。
【0021】
3D追跡およびジェスチャ検出デバイスまたは他のセンサシステムおよびタッチコントローラは、例えば、3Dジェスチャ追跡および精密な高分解能2Dタッチ情報を提供するために協働するように構成されることができる。しかしながら、タッチコントローラおよび他のセンサシステムの両システムは、概して、互に干渉するであろうため、同時に動作させられない。
【0022】
したがって、種々の実施形態によると、例えば、GestIC(登録商標)デバイス等の他のセンサシステム内のタッチ検出アルゴリズムは、それぞれの他のセンサシステムによって検出されるタッチイベントまたは起こりそうなタッチイベントに基づいて、タッチコントローラをアクティブ化するであろう。
【0023】
アクティブ化は、タッチコントローラが素早いタッチを逃さないように、非常に短い待ち時間で生じる必要がある。他のセンサ信号処理(タッチ検出を含む)に害を及ぼす雑音源は、例えば、50/60Hz送電網雑音である。従来、低域通過フィルタ処理を適用することによって対処されていたが、しかしながら、これは、回避されなければならないいくらかの待ち時間を導入する。
【0024】
一実施形態によると、例えば、GestIC(登録商標)デバイスに適用されることが可能な新しいアルゴリズムは、従来の低域通過フィルタの代わりに、雑音抑制のための確率フィルタを採用し、短待ち時間タッチ検出を達成する。そのような確率フィルタは、例えば、正弦波雑音を抑制する、確率フィルタであることができる。特に、そのような確率フィルタは、アンセンテッドカルマンフィルタ(Unscented Kalman Filter)であることができる。
【0025】
図1Aおよび1Bは、3Dジェスチャ認識のためのミッドレンジ容量センサシステム(CSS)110と、精密な高分解能2Dタッチ情報のためのタッチコントローラ(TC)180とから成るヒューマンマシンインターフェースを備えている入力システム100、200を示す。2Dタッチコントローラ180は、例えば、本願の譲受人によって製造されるMTCH6301投影型容量タッチ(PCAP)コントローラであることができる。詳細な説明は、Microchip Technology Inc.から利用可能なデータシート「MTCH6301」において利用可能であり、参照することによって本明細書に組み込まれる。他の容量または抵抗タッチコントローラも、他の実施形態に従って使用され得る。
【0026】
図1Aの示される実施形態では、CSSマイクロコントローラ110は、1つの伝送電極(Tx)170と、5つの受信電極(Rx0・・・4)120、130、140、150、および160とに接続される。タッチコントローラ(TC)180は、タッチパネル190を駆動/感知する。代替として、他の実施形態によると、例えば、図1Bに示されるように、CSSマイクロコントローラ110は、別個のタッチセンサ電極160の代わりに、タッチパネル190またはその電極のうちの1つ以上のものを使用する。次いで、マルチプレクサスイッチ195が、タッチパネル電極190と、タッチコントローラ180またはCSSマイクロコントローラ110のいずれかとにマルチプレクサスイッチ195を結合する接続ラインによって示されるように、CSSコントローラ110とタッチコントローラ180とを切り替えるために使用されることができる。別の実施形態では、タッチパネル160またはその電極のうちの1つ以上のものは、アクティブである間、CSSの追加の伝送電極として使用されることができる。
【0027】
両方のデバイス110および180は、それらのそれぞれの受信信号が他のデバイスの伝送信号によって干渉されるであろうため、同時に動作することができない。しかしながら、同時動作は、ユーザが、3Dジェスチャをタッチパネルの上方で行うか、またはタッチパネル190をタッチするかのいずれかであろうため、要求されない。
【0028】
ユーザがタッチパネルにタッチしていない間、CSS110は、アクティブであり(すなわち、その伝送(TX)信号は、オンにされ)、TC180は、オフにされる(すなわち、そのTX信号は、オフにされる)。ユーザがタッチパネル190にタッチするとすぐに、CSS110のTX信号は、オフに切り替えられ、TC180のTX信号は、アクティブ化される。タッチが解放されるとすぐに、CSS110は、再び、アクティブになり、TC180は、オフになる。本スキームを実現するために、CSS110は、図1の例示的設定では、タッチパネルエリアを覆う電極RX4の信号に基づいて稼働するであろうタッチ検出アルゴリズムを必要とする。4つの縁電極(Rx0・・・3)120、130、140、150が、ジェスチャ認識のために使用される。
【0029】
図2は、CSSの信号取得の原理を描写する。Tx電極170は、周波数fTX(例えば、100〜200kHz)の矩形パルス列によって駆動される。ユーザの相互作用に応じて、Rx電極120、130、140、150とユーザの指との間の静電容量Cは、変化する。Cにおける電圧が、CSSのADC210によって測定され、そのデジタル出力信号は、復調器220によって復調され、ダウンサンプラ230、240によってダウンサンプリングされ、例えば、200Hzサンプルレートで信号dを得る。この信号は、ジェスチャ認識およびタッチ検出を含む高度信号処理(ASP)250に入力される。
【0030】
ASP250における第1のステップは、例えば、50/60Hz送電網からの雑音を抑制するための低域通過フィルタ処理であり、信号LPd[k]をもたらす。図3は、それぞれ、タッチなし(左)およびあり(右)のセンサ電極に向かう指接近に対する差異信号LPdiff[k]=LPd[k]−LPd[k−1]を示す。両方の場合において、差異信号は、接近の時間の間、ゼロより大きく、除去の時間の間、ゼロより小さい。有意な差異は、タッチの場合、センサ電極(またはそのカバー)のその物理的タッチに応じた指の急減速によって生じさせられる、ゼロ線の交差点近傍の信号における特徴的な傾向が存在することである。したがって、タッチイベントから生じる信号と、例えば、フリックジェスチャのような他の移動を区別するために、信号は、この傾向に対してチェックされる。
【0031】
これは、図4に視覚化される。信号LPdiffisが、最初に、センサ電極に向かう方向における指の最小速度に対応する正閾値の交差点に対してチェックされる(1.)。LPdiffが、再び、減少し始めた後(2.)、線は、LPdiffの負の傾きに適合され、時間tにおいてゼロ線を交差する。この時間インスタンスは、タッチを伴わない指の移動に対して観察される信号のゼロ交差点に対応する。故に、LPdiffが、tにおいて依然として正である場合、ユーザの相互作用は、タッチであると見なされる(3.)。タッチ状態は、オフセット補償LPd信号(信号偏差SD)と閾値(指がデバイスに近いほど、SD信号が大きい)を比較することによって検証される。
【0032】
他の実施形態によると、本タッチ検出アルゴリズムは、独立型CSSにも使用されることができる。次いで、タッチイベントが評価されるだけではなく、加えて、タッチ状態もSD値に関して追跡されることができる。タッチ状態は、SD信号がある閾値を再び下回って降下するとすぐに、解放される。
【0033】
しかしながら、ASP250内の追加の低域通過フィルタは、ある程度の遅延を導入する。50msの典型的遅延の場合、ハンドオーバが生じるのが遅すぎるので、40msの素早いタッチは、TC180によって認識されないであろう。その結果、さらなるタッチ検出が、TC180への短待ち時間ハンドオーバを特徴とするために、信号dに対して作働く必要がある。
【0034】
図5は、4つのタッチを含む、例示的雑音の多い信号dのプロットである。タッチは、信頼性のある絶対参照が存在しないため、絶対値によって識別されることができない。しかし、急勾配信号の増加は、特徴としての役割を果たし得る。
【0035】
図6は、d(diff)、すなわち、diff[k]=d[k]−d[k−1]の差異信号を含む。タッチイベントは、他の環境および/またはシステムにおいてはさらに強くあり得る、50Hz雑音に起因して、あまり明白に現れない。この正弦波雑音を除去するために、アンセンテッドカルマンフィルタ(UKF)が、それを追跡および減算するために使用される。UKFが基づくモデルは、図7に提示される。システム状態xは、送電網正弦曲線の振幅、周波数、および位相([U;f;Φ])から成る。複雑性の理由から、状態[U;f]または[U;Φ]も選定され得る。システム状態xは、x=xk−1+qk−l(qは、あるプロセス雑音を示す)に従って、時間インスタンスk毎に変化すると仮定される。システム状態から、測定値yが、y=Usin(2πf+Φ)+r(rは、ある測定雑音を示す)によって計算される。
【0036】
カルマンフィルタ処理の概念は、予測されるシステム状態x’(および測定値y’)を最も低い誤差を伴う既知の測定値yから計算することである。カルマンフィルタ処理の核心は、カルマン利得Kであり、Kは、真の測定値y:x=x’−K(y−y’)に応じて、予測された状態を補正するために必要とされる。Kは、x’、y’、q、およびrの統計的特性に依存する。
【0037】
オリジナルカルマンフィルタが、線形システムに対して導出され、非線形システムに関しては、拡張カルマンフィルタ、粒子フィルタ、およびアンセンテッドカルマンフィルタ等のいくつかの派生物が公知である。
【0038】
アンセンテッドカルマンフィルタ処理の重要な点は、いわゆるシグマ点を用いて、x’およびy’の前述の統計的特性を導出することである。これは、行列二乗根を含む、複雑な算出を含意するが、正弦関数の線形化を回避し、正弦曲線の精密な推定をもたらす。
【0039】
送電網正弦曲線のパラメータが推定されると、図6に示される差異信号から減算され、したがって、図8にプロットされる、雑音が除去された差異信号をもたらすことができる。ここで、タッチイベントが、雑音から明らかにされる。それらは、雑音が除去された差異信号を、本実施例では、10の値を有する閾値800と比較することによって、容易かつ誤アラームを伴わずに検出されることができる。
【0040】
図9は、短待ち時間タッチ検出アルゴリズムを要約する。信号dから開始し、その差異信号が、記憶要素910および加算点920によって計算され、アンセンテッドカルマンフィルタ930にフィードされる。フィルタ930は、差異信号内の50/60Hz成分を推定する。推定された正弦曲線が、次いで、加算点点940において差異信号から減算される。最後に、そのように雑音が除去された差異信号が、出力タッチイベントを出力する閾値比較950に入力される。これらのタッチイベントに応じて、CSS110は、オフに切り替えられ、TC180は、アクティブになる。
【0041】
要約すると、種々の実施形態によると、タッチコントローラをアクティブ化する外部センサの概念が、提供される。さらに、ミッドレンジ容量センサシステムのためのタッチ検出アルゴリズムも、提供され、それは、a)指がセンサの表面上に停止するときの特徴的信号形状を利用し、b)予測、例えば、UKFによって、正弦波雑音を抑制し、したがって、従来のフィルタの遅延を回避することを可能にする。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9