(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、本明細書に開示される化合物、物品、および方法によって満たされる。
【0009】
第1の態様において、ある組成物が提供される。本組成物は、第1のポリマーおよび第2のポリマーを含む。第1のポリマーは、第1の官能基で官能化される。第2のポリマーは、第1の官能基と異なり、かつそれと相補的である第2の官能基で官能化される。第1のポリマーおよび第2のポリマーは、火炎への曝露時に架橋結合によって第3のポリマーを形成する。この第3のポリマーは、第1のポリマーまたは第2のポリマーのいずれかよりも高い分子量を有し得る。これらの第1および第2のポリマーは、織物を形成し得る。
【0010】
第1の官能基および第2の官能基は、アミンと酸、アミンとエポキシド、アミンと無水物、アミンとイソシアネート、アミンとアルデヒド、アミンとハロゲン化アルキル、アミンとスルホン酸アルキル、アミンとチオール、エポキシドと無水物、エポキシドとヒドロキシル、またはエポキシドと酸などの反応性対であり得る。一例において、第1の官能基はエポキシであり、第2の官能基はヒドロキシルまたはアミンである。
【0011】
第1の官能基または第2の官能基は、リン化合物などの難燃剤を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1のポリマーまたは第2のポリマーのうちの少なくとも一方は、水放出添加剤を含むポリオレフィンであり得る。
【0013】
ある特定の実施形態において、第1のポリマーまたは第2のポリマーのうちの少なくとも一方は、他方よりも低い融解点を有し得、エポキシ変性9,10−ジヒドロ−9−オキシ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)などの反応性架橋剤を含有する。
【0014】
第2の態様において、ある織物が提供される。本織物は、複数の第1の繊維および複数の第2の繊維を有する。第1の繊維は、第1の官能基で官能化された第1のポリマーを含む。第2の繊維は、第1の官能基と異なり、かつそれと相補的である第2の官能基で官能化された第2のポリマーを含む。第1のポリマーおよび第2のポリマーは、火炎への曝露時に架橋結合によって第3のポリマーを形成する。いくつかの実施形態において、この織物は織られ得る。
【0015】
第1および第2の繊維は、異なり得る。例えば、第1の繊維はポリエチレンテレフタレート(PET)であり得、第2の繊維はナイロンであり得る。第1および第2の繊維はまた、同じであり得る。例えば、第1および第2の繊維は、ナイロンであり得る。ナイロン−6およびナイロン−6,6は、広く使用されるナイロンであるが、他のナイロンが利用される場合もある。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1の官能基および第2の官能基は、アミンと酸、アミンとエポキシド、アミンと無水物、アミンとイソシアネート、アミンとアルデヒド、アミンとハロゲン化アルキル、アミンとスルホン酸アルキル、アミンとチオール、エポキシドと無水物、エポキシドとヒドロキシル、またはエポキシドと酸などの対であり得る。
【0017】
ある特定の実施形態において、第1の繊維は、第2の繊維に螺旋状に巻き付けられ得る。第1の繊維はまた、第2の繊維と同じ方向、またはそれに対して直交方向に織られ得る。他の実施形態において、第1および第2の繊維はまた、2成分繊維を形成することができる。
【0018】
本織物は、複数の第3の繊維を含み得る。例えば、第3の繊維は、綿、レーヨン、羊毛、毛、絹、およびアラミド(Kevlar(登録商標)など)のうちの少なくとも1つであり得る。これらの第3の繊維は、第1の繊維または第2の繊維のいずれかよりも高い融解温度を有し得る。
【0019】
本織物はまた、複数の金属繊維または複数の官能化ナノ粒子を含み得る。ある例において、第1の繊維は、ナイロンおよびヒドロキシル官能基で官能化されたシリカナノ粒子を含み、第2の繊維は、ナイロンおよびエポキシ官能基で官能化されたシリコンナノ粒子を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、第1の官能基または第2の官能基は、リン化合物などの難燃剤を含み得る。
【0021】
ある特定の実施形態において、第1のポリマーまたは第2のポリマーのうちの少なくとも一方は、水放出添加剤を含むポリオレフィンであり得る。
【0022】
更に他の実施形態において、第1のポリマーまたは第2のポリマーのうちの少なくとも一方は、他方よりも低い融解点を有し得、エポキシ変性9,10−ジヒドロ−9−オキシ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)などの反応性架橋剤を含有する。
【0023】
第1の繊維および第2の繊維は、組み合わされたときに発泡体を生成する化学対を含有し得る。発泡体は、火炎伝搬および溶融滴下を軽減する働きをし得る。
【0024】
第三の態様において、織る方法が提供される。第1の官能基で官能化された第1のポリマーの複数の第1の繊維と、第1の官能基と異なり、かつそれと相補的である第2の官能基で官能化された第2のポリマーの複数の第2の繊維とが提供される。第1のポリマーおよび第2のポリマーは、火炎への曝露時に架橋結合によって第3のポリマーを形成するように構成される。第1の繊維および第2の繊維は、織物を形成するために織られる。
【0025】
第1の繊維は、第2の繊維に螺旋状に巻き付けられ得る。第1の繊維はまた、第2の繊維と同じ方向、またはそれに対して直交方向に織られ得る。第1および第2の繊維はまた、2成分繊維を形成することができる。
【0026】
複数の第3の繊維は、織物に織り込まれ得る。例えば、第3の繊維は、綿、レーヨン、羊毛、毛、絹、およびアラミド(Kevlar(登録商標)など)のうちの少なくとも1つであり得る。これらの第3の繊維は、第1の繊維または第2の繊維のいずれかよりも高い融解温度を有し得る。
【0027】
複数の金属繊維が織物に織り込まれ得るか、または複数の官能化ナノ粒子が織物中に添加され得る。
【0028】
良性かつ非毒性の難燃剤が、第4の実施形態として提供される。難燃剤分子または粒子は、物品または最終生成物のポリマーマトリックスに固定され得、そこに安定かつ均一に分布される。難燃剤分子をポリマーマトリックスに固定することは、難燃剤分子が物品の表面まで浸出および発展する危険性を低減する。この難燃剤分子の連結または固定はまた、耐火性等級を達成するために難燃剤が過度に使用されるとき、最終ポリマー生成物の機械的特性の損失を埋め合わせるのに役立つ。アンカーを難燃剤分子に結合する利点は、難燃剤およびポリマーマトリックスの融解点が実質的に異なるときにさえ、固定された難燃剤がポリマーマトリックスと混合されることを可能にすることである。アンカー分子が、融解すること、混合すること、および混合中にポリマーマトリックスと統合することができる限り、難燃剤分子は、押し流され、マトリックス内に分布される。
【0029】
いくつかの実施形態において、アンカーは、ポリマーマトリックス内への添加前に、共有結合、静電、またはファンデルワールス相互作用のいずれかによって難燃剤分子に結合される。他の実施形態において、難燃剤は、難燃剤のポリマー物品への添加の処理中に、アンカーに反応され得るか、それと結合され得る。これらの実施形態において、アンカーおよび難燃剤の両方は、ポリマーの処理中に、最終物品内へ別々に添加され得る。
【0030】
アンカーは、ポリマー物品の化学環境に合わせられ得る。例えば、アンカーは、ポリマーマトリックスの化学構造と実質的に同様の化学構造を有し得、かつ/またはポリマーと相溶性があり得る。アンカーおよび難燃剤の混合共役体は、ポリマーとは別個の存在であり得、最終生成物が容易に再利用されることを可能にする。これはまた、再利用された生成物から生成される新たな生成物が、難燃剤を維持し、元々の物品の難燃剤特性を持つことを可能にする。
【0031】
第5の態様として、難燃剤物品が開示される。難燃剤物品は、共役体を形成するアンカー分子の反応性官能基に化学結合されたリン酸系難燃剤を含み得、この共役体は、ポリマーマトリックス中に分散される。
【0032】
リン酸系難燃剤は、赤リン、ポリリン酸アンモニウム、トリスクロロプロピルホスフェート(TCCP)、DOPO(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)、およびFyrol PMP(1,3,−フェニレンメチルホスホネート)のうちの少なくとも1つであり得る。アンカーは、エポキシ官能基、ヒドロキシル官能基、無水物官能基、カルボキシル官能基、スルフヒドリル官能基、エステル官能基、またはエーテル官能基などのうちの少なくとも1つを有するアミン変性または無水物変性ポリマーであり得る。あるいは、アンカーは、剥離グラファイト、グラフェン、およびグラフェンオキシドなどのナノ粒子であり得る。アンカーはまた、ナノ粒子の表面に化学結合された高分子を含み得る。
【0033】
第6の態様として、難燃剤物品を作製する方法が開示される。本方法は、リン酸系難燃剤を、変性難燃剤を形成するアンカー分子の反応性官能基と反応させること、および変性難燃剤をポリマーマトリックスと混合することを含み得る。該反応ステップは、リン酸系難燃剤を、アンカー分子のエポキシ官能基、ヒドロキシル官能基、無水物官能基、カルボキシル官能基、スルフヒドリル官能基、エステル官能基、またはエーテル官能基のうちの少なくとも1つと反応させることをさらに含み得る。該混合ステップは、変性難燃剤を連続相ポリマーに添加することをさらに含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、本方法は、リン酸系難燃剤を、変性難燃剤を形成するナノ粒子の反応性官能基と反応させること、および変性難燃剤をポリマーマトリックスと混合することを含み得る。該反応ステップは、リン酸系難燃剤を、剥離グラファイト、グラフェン、およびグラフェンオキシドナノ粒子のうちの少なくとも1つと反応させることを含み得る。該反応ステップは、ナノ粒子を高分子と反応させて変性難燃剤を生成することをさらに含み得る。該反応ステップは、変性難燃剤を疎水性ポリマーマトリックス中に分散させることをさらに含み得る。
【0035】
さらなる態様において、本発明は、リン酸系難燃剤とアンカー分子の反応性官能基との反応生成物を含む変性難燃剤に関係する。いくつかの実施形態において、アンカー分子はナノ粒子を含む。
【0036】
他の態様が、本開示から派生し得る。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、添付の図面および実施例に関連した以下の説明への参照によってより容易に理解され得、その全てが本開示の一部分を形成する。本発明は、本明細書で説明および/または示される特定の生成物、方法、条件、またはパラメータに限定されないこと、ならびに本明細書で使用される用語は、単に例として特定の実施形態を説明する目的のためであって、いかなる特許請求される発明も限定するようには意図されていないことが理解される。同様に、別途具体的に明記されない限り、可能な作用機序もしくは様式または改善の理由に関するいかなる説明も、例示的のみであることを意味し、本明細書における発明は、いかなるそのような提案された作用機序もしくは様式または改善の理由の正確さまたは不正確さによって制約されないものとする。本文全体にわたって、本説明は、組成物ならびに本組成物を作製および使用する方法に関するということが認識される。つまり、本開示が、システムもしくは装置またはシステムもしくは装置を作製もしくは使用する方法と関連した機能または実施形態を説明および/または特許請求する場合、そのような説明および/または特許請求は、これらの機能または実施形態をこれらの文脈のそれぞれ(すなわち、システム、装置、および使用方法)における実施形態に拡大するよう意図される。
【0039】
本開示において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数の言及を含み、特定の数値への言及は、文脈が別途明確に指示しない限り、少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「1つの材料(a material)」への言及は、そのような材料および当業者に周知のそれらの均等物などのうちの少なくとも1つへの言及である。
【0040】
値が、記述語「約(about)」の使用により近似として表現される場合、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されよう。一般に、用語「約(about)」の使用は、開示の主題によって得られることが目指される所望の特性によって変化し得る近似を指示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるものとする。当業者は、これを当然のこととして解釈できるものとする。いくつかの場合において、特定の値に使用される有効数字の数は、「約(about)」という言葉の程度を決定する1つの非限定的方法であり得る。他の場合において、一連の値に使用される段階は、各値に対する用語「約(about)」に利用できる意図された範囲を決定するために使用され得る。存在する場合、全ての範囲は、包含的および組み合わせ可能である。つまり、範囲において明記される値への言及は、その範囲内の全ての値を含む。
【0041】
一般に、範囲が存在する場合、その範囲の全ての組み合わせが開示される。例えば、1〜4は、1〜4だけでなく、1〜2、1〜3、2〜3、2〜4、および3〜4も含む。
【0042】
明確性のために別個の実施形態の文脈において本明細書で説明される本発明のある特定の機能もまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解されよう。つまり、明らかに矛盾するか、具体的に除外されることがない限り、個々の実施形態それぞれは、任意の他の実施形態(複数可)と組み合わせ可能であると見なされ、そのような組み合わせは、別の実施形態であると考えられる。反対に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な機能は、別々に、または任意の部分的組み合わせで提供され得る。最後に、実施形態は、一連のステップの一部、またはより一般的な構造の一部として説明され得るが、該ステップそれぞれはまた、他のものと組み合わせ可能な、それ自体において独立した実施形態であり得る。
【0043】
リストが提示される場合、別途明記されない限り、そのリストの個々の要素それぞれ、およびそのリストの全ての組み合わせは、別個の実施形態である。例えば、「A、B、またはC」と提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「AまたはB」、「AまたはC」、「BまたはC」、または「A、B、またはC」を含むと解釈されるものとする。
【0044】
火炎に曝露されたときの織物などの物品の溶融滴下および引火性は、問題となり得る。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびナイロンで作製された織物は、燃えると溶融滴下し、それらを着用している人に重大な傷害を引き起こし得る。難燃剤系はPETおよびナイロンに使用されるが、それらのどちらも溶融滴下を低減または阻止することに成功できていない。ここで説明されるのは、PETおよびナイロンならびに他のポリマー材料で作製された織物または物品が火炎に接触したときに、溶融滴下を低減または除去するために使用され得る実施形態である。
【0045】
一実施形態において、繊維紡糸溶融体に添加される反応性成分の架橋結合は、ナイロンマトリックスと相互貫入網目構造を形成することを促される。架橋結合は、燃えると材料の粘度を高め、溶融滴下を低減する可能性がある。
【0046】
一実施形態において、DuPontのElvamide(登録商標)ナイロンマルチポリマーが、添加剤として繊維紡糸中にナイロンメルトに添加される。ポリエチレンオキシドのジグリシジルエーテルなどのエポキシ架橋剤は、Elvamide(登録商標)分子を架橋結合するために使用される。別の実施形態において、Struktolのエポキシ変性DOPO難燃剤分子が、アミンの一部を修飾し、それにより難燃性およびチャー形成のための能力をさらに付与するために使用され得る。DOPOは、アンカーと共に使用される表面修飾添加剤であり得る。この実施形態は、ナイロンに限定されず、適切な反応性分子を選択することによってPETなどの他のサーモプラスチック繊維にも適用され得る。Elvamide(登録商標)(DuPontにより販売されるナイロン樹脂)、またはCOOHおよびNH
2官能性を含有する同様のナイロンポリマーと共に、エポキシ、無水物、アミン、イソシアネート、またはヒドロキシルを含有し得る多官能性架橋剤(少なくとも2つの官能基を含有し得る)が、架橋結合網目構造を作成するために使用され得る。他の基または種もまた、架橋剤中に含有され得、本架橋剤は、本明細書におけるそれらの例のみに限定されない。
【0047】
別の実施形態において、架橋結合は、2成分繊維で見られるものなどの溶け合わさっているメルトフロント間でもたらされ得る。これらの繊維は、紡糸口金ヘッド内で2つの異種材料を混合して、多くの異なる形状で一緒に結合される2つの異なる材料で繊維を作成することによって作製される。この技術は、架橋結合繊維を作成するために活用され得る。一例において、一方はElvamide(登録商標)ナイロン樹脂を含有し、および他方はPEGのジグリシジルエーテルなど二官能性架橋剤を含有するナイロンポリマーメルトの2つの流れは、2成分繊維に統合され、どちらもPETで作製される。メルトフロントが出会うと、反応性分子は互いに反応して、メルトフロントが出会う場所に架橋結合を形成し、火災が起きた場合の溶融滴下に対する強化された耐性をもたらす。
【0048】
ここで論じられる技術および実施形態は、メルトだけでなく、「ドープ」(ポリマー溶液)からの繊維紡糸などの溶媒相プロセス、ポリマー沈殿物からの膜および中空繊維生成、または他のプロセスにも適用可能である。
【0049】
本発明者らは、織物などの物品における溶融滴下が、火炎への曝露中に架橋結合機序により高分子量ポリマーを作成することによって低減または除去され得ることを発見した。この高分子量ポリマー構造は、低い溶融粘度を有し、それ故に、火炎に曝露されたときのポリマーの溶融滴の滴下の可能性は低くなる。本繊維および織物は、火炎に曝露されたときに自己消炎性作用を示すように、難燃剤でさらに修飾され得る。
【0050】
非官能化ポリマーは、約2,000〜約200,000の分子量を有し得、それらの間の全ての値および範囲が含まれる。火炎への曝露時、高分子量ポリマー構造の分子量は、約50,000〜約2,000,000であり得、それらの間の全ての値および範囲が含まれる。しかしながら、架橋結合系は、有限分子量ではなく無限分子量を有すると考えられ得る。
【0051】
ある例において、高分子量ポリマー構造は、約50cps〜約20,000cpsの溶融粘度を有し、それらの間の全ての値および範囲が含まれる。粘度は、分子量と共に増大する。全てのポリマー鎖が架橋結合によって結合される場合、材料は、溶融することができるサーモプラスチックでなくなる。代わりに、材料は、火炎への曝露時に、溶融するのではなく炭になる熱硬化性へと変わる。
【0052】
本明細書に開示される実施形態は、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル(生物分解性および非生物分解性の両方)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、またはスチレン系ポリマー(ポリスチレンおよびそのコポリマーなど)などの合成繊維に適用することができる。本明細書に開示される実施形態はまた、天然または合成ゴム由来のものなどのエラストマー繊維に適用することができる。本明細書に開示される実施形態はまた、絹、羊毛繊維、または獣毛などの動物由来のものなどの天然繊維に適用することができる。本明細書に開示される実施形態はまた、芳香族繊維(E.I.du Pont de Nemours and Companyより市販されるKevlar(登録商標)アラミドおよびNomex(登録商標)アラミドなど)、またはポリウレタン繊維(Invistaより市販されるLycra(登録商標)スパンデックスなど)に適用することができる。本明細書に開示される実施形態はまた、PLA(ポリ乳酸)などの生物分解性繊維、タンパク質由来の繊維、麻、ジュート、レーヨン、綿繊維などの植物起源である繊維、または綿および合成繊維の混紡に適用することができる。当然ながら、本明細書に開示される実施形態は、具体的に列挙されない他の繊維に適用することができる。
【0053】
架橋結合は、互いに反応することができる相補的官能基を含有する2つのポリマーを混合することによって繊維生成中にもたらされ得る。架橋結合は、生成されたポリマー物品/織物が火炎に曝露されたときに発生する。架橋結合は、ポリオレフィンを伴う場合は約120℃の低さ、高温度ポリマーを伴う場合は最大およそ約350℃〜約400℃の温度で開始され得る。架橋結合を開始する温度範囲は、約110℃〜約450℃、または約150℃〜約350℃であり得、それらの間の全ての値および範囲が含まれる。
【0054】
相補的官能基間の反応を加速させるために、触媒が使用され得る。1つのそのような例において、繊維は、Imicure(Air Products and Chemicals,Inc.により製造される)などの促進剤と共に、一方の繊維中に過度の無水物基、他方の繊維中にエポキシ基を含有し得る。
【0055】
相補的官能基は、アミンと酸、アミンとエポキシド、アミンと無水物、アミンとイソシアネート、アミンとアルデヒド、アミンとハロゲン化アルキル、アミンとスルホン酸アルキル、アミンとチオール、エポキシドと無水物、エポキシドとヒドロキシル、エポキシドと酸、または溶融滴下に影響を与える他の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0056】
ある実施形態において、織物は、2つの異なる繊維の交互パターンを使用して作成される。表面上(グラフトまたは局所処理によって)、またはバルクで(溶融混紡および加工中に添加される)、一方は、官能基A(エポキシ基など)を有するポリマー添加剤を有し、他方は、官能基B(ヒドロキシルなど)を有するポリマー添加剤を有する。そのような織物または他の物品が火炎に曝露されると、官能基AおよびBは、繊維中のポリマー網目構造の分子量を直ちに高める熱の中、互いに反応する。この増大した分子量は、次に、粘度を増大し、それにより溶融滴下を低減する。
【0057】
官能基の一部は、繊維の表面に存在して、メルトフロントの界面で溶融粘度を高めることが予期される。火炎事象は温度の急上昇をもたらすため、繊維は、ほぼ瞬間的に溶融状態にあることが予期される。これが、個々の繊維中の官能基間の簡易反応をもたらし、かつ溶融粘度の増大を導く、異なるポリマー繊維の溶融および混合をもたらす。したがって、官能基が繊維中に位置する深さは、溶融滴下特性に影響を与えることができる。この深さは、溶融滴下特性に影響を与えるように調節され得る。
【0058】
完全な架橋結合系では、官能基AとBとの比率は、約1:1であり得る。しかしながら、この比率は、A基の約10%超がB基と反応して、分子量の増大をもたらすことができるように選択され得る。ある例において、A基の約20%〜約80%が、対応するB基と反応して、溶融粘度の増大をもたらした。
【0059】
別の実施形態において、同じ材料または異なる材料の繊維は、共に織られて難燃剤繊維を生成することができる。ある例において、多官能エポキシ化合物などの添加剤を担持するポリエチレンテレフタレート(PET)繊維は、好適な触媒と共に多官能アミン添加剤(ポリアミンなど)またはポリヒドロキシ化合物のいずれかを担持するナイロン繊維と共に織られ、ナイロン繊維内に溶融混紡され得る。そのような繊維が一体となって、火炎/熱に曝露されると、それらは、溶融および融合し、相補的官能基が反応して、相互貫入網目構造を作成し、それにより組み合わされた繊維質量の溶融粘度を増大し、織物の滴下特性を軽減する。
【0060】
別の実施形態において、
相補的官能基を含有する繊維のうちの一方は、第1の繊維と反応することができる相補的官能基を含有する別の繊維の上に螺旋状に巻き付けられる。したがって、火炎に曝露されたとき、両方の繊維は共に融合して、溶融粘度を減少させることができる界面架橋結合を生成する。
【0061】
別の実施形態において、2つの繊維は、異なる官能基を有する同じ材料である。例えば、多アミンポリマーなどの添加剤を有するナイロン繊維は、ポリエポキシ化合物またはポリ無水物化合物を含有する別のナイロン繊維と共に織られ得る。
【0062】
別の実施形態において、織られた繊維は、同じ方向(縦糸)または直交方向(横糸)にあり得る。これは、繊維が、それらの長さ(縦糸)に沿って、またはそれらが互いに対して直交に織られる(横糸)場合には接合点で、融合することを可能にする。
【0063】
別の実施形態において、溶融しない第3の中性繊維(綿またはレーヨンなど)は、織る工程中に織物の少数構成要素として添加され得る。第3の繊維は、その周辺で官能化繊維が溶融し、火炎面に対して高粘度面を形成することができる足場材料としての機能を果たすことができる。第3の繊維は、第1または第2の繊維のいずれかよりも高い融解温度を有する。この第3の繊維の他の例としては、羊毛、毛、絹、またはアラミド(Kevlar(登録商標)、またはNomex(登録商標)など)が挙げられる。
【0064】
別の実施形態において、金属繊維は、火炎領域からの熱が官能性繊維の溶融融合が発生し得る離れた場所に運ばれ得るように、織り交ぜられてヒートシンクとしての機能を果たし、故に、火炎面のさらなる伝搬を防ぐ。これらの金属繊維は、銅、鉄鋼材料(スチール羊毛など)、金、銀、ニッケル、マンガン、アルミニウム、またはヒートシンクとしての機能を果たすことができる他の金属もしくは合金であり得る。
【0065】
別の実施形態において、多官能性添加剤は、火炎に曝露された表面上に炭を形成する手助けをするリン酸またはホスホネート(例えば、エポキシ含有リン化合物)などの難燃剤要素をそれ自体が含有し、故に、燃焼する物品の自己消炎を助ける。
【0066】
別の実施形態において、組み合わされたときに発泡体を生成する化学対は、溶融および融合時に、ガス形成または発泡体形成成分が一緒になって、マトリックスの溶融繊維内に発泡体を形成して、それらに火炎面伝搬および滴下を遮断および防護させるように、隣接繊維に添加され得る。ある例において、重炭酸ナトリウムは、一方の繊維中に含浸され、酸(クエン酸など)は、第2の繊維中に含浸される。この繊維が一体となったとき、反応は、CO
2の発生を導く。別の例において、イソシアネートは、一方の繊維中に含浸され、水放出難燃剤(水酸化アルミニウム(ATH)など)は、第2の繊維中に含浸される。水和の水が放出されると、イソシアネートは水と反応してCO
2を放出し得る。他の化学対もまた、組み合わされたときに発泡体を生成し得、これらは単に例にすぎない。
【0067】
別の実施形態において、2つの
相補的繊維または3つの相補的繊維/不活性繊維の組み合わせ(1つ以上の不活性繊維と共に2つの
相補的繊維)は、織る技術または編む技術を使用して織物に転換されることができる。ある例において、3つの繊維を組み合わせた織物は、官能化ポリエステル、官能化ナイロン、および金属繊維、または官能化ポリエステル、官能化ナイロン、およびポリプロピレン繊維を使用することによって作製される。
【0068】
相補的繊維は、反応して繊維を結合することができる反応性基を有するものである。不活性繊維は、そのような反応性基を実質的に持っていない。
【0069】
別の実施形態において、水放出添加剤(ATHなど)は、ポリオレフィンで作製された繊維に添加され得る。ATH分解温度は、ナイロンまたはPETの加工温度よりも低いため、ポリオレフィンなどの低溶融ポリマーでのみ使用され得る。そのようなATH含有繊維(例えば、ポリオレフィン)は、ナイロンまたはPETのいずれかと共に織られ、ATH含有繊維は、火炎伝搬中に水源を提供し、それにより火災を抑制し、熱を軽減する。ホウ酸塩および酸化亜鉛系難燃剤、水酸化マグネシウム、硫酸水酸化マグネシウム水和物、炭酸マグネシウム部分水和物、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム脱水物、ならびにリン酸マグネシウム八水和物もまた、火炎伝搬中に水源を提供することができる材料の例である。用途および使用される他の難燃剤によって、水放出添加剤の添加される範囲は、1PHR〜75PHRであり得、それらの間の全ての値および範囲が含まれる。PHRは、百分率を意味する。
【0070】
別の実施形態において、メラミンなどの窒素含有協力剤が一方の繊維内に、エポキシ基を含有する分子が他方の繊維内に溶融混紡され得る。この窒素含有協力剤は、窒素を含有する繊維内の添加剤である。これら2つの繊維が火炎存在下で溶融および融合すると、反応がメラミンとエポキシとの間で開始され、それにより熱硬化性のように作用する架橋結合網目構造を作成する。メラミンの融解温度は350℃であるため、ナイロンまたはPET繊維を生成するために使用される伝統的な加工温度(300℃未満)中に、メラミンで発生する反応は予期されない。この網目構造は、溶融滴下を軽減し、火炎を自己消炎する手助けをすることとなる。別の実施形態において、メラミン添加剤は、窒素含有分子がリン酸含有分子の難燃剤特性を相乗的に助力するため、リン酸を含有する添加剤と併用して使用され得る。架橋結合網目構造は、低い溶融粘度を有する高分子量ポリマーである。架橋結合中に形成される鎖間の追加結合は、熱分解中に発生する鎖の逐次分解前に破壊されなければならない。架橋結合はまた、燃焼帯内の溶融ポリマーの溶融粘度を増大させ、それにより可燃性の熱分解生成物(引火性ガス)の火炎への移動の比率を低くする。メラミンが論じられているが、尿素、炭酸グアニジン、メラミンシアヌレート、メラミンホルムアルデヒド、リン酸メラミン、メラミンポリ、または他の材料もまた使用され得る。
【0071】
別の実施形態において、架橋結合は、2成分繊維で見られるものなどの溶け合わさっているメルトフロント間でもたらされ得る。これらの繊維は、紡糸口金ヘッド内で2つの異種の材料を混合し、異なる形状で一緒に結合される2つの異なる材料で繊維を作成することによって作製される。両方の繊維は、相補的である官能基で官能化される。この技術は、架橋結合繊維を作成するために活用され得る。一例において、一方は商標名ELVAMIDE(登録商標)(DuPontによって製造される)の下で販売されるナイロン樹脂を含有し、他方はポリエチレングリコール(PEG)のジグリシジルエーテルなどの二官能性架橋剤を含有するPETポリマー溶融の2つの流れが統合される。メルトフロントが出会うと、反応性分子は互いに反応して、メルトフロントが出会う場所に架橋結合を形成し、火災が起きた場合の溶融滴下に対する強化された耐性をもたらす。2成分繊維はまた、2つの異なる溶融流で作製され得る。例えば、一方はナイロンであり得、他方はPETであり得る。PET部分は、ポリ無水物または二官能性架橋剤、例えば、PEGのジグリシジルエーテルを含有し得る一方、ナイロン部分は、添加物または低分子量ナイロン類似体、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(HMTA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、またはペンタエチレンヘキサミン(PEHA)を含有し得ない。PETおよびナイロンメルトが統合されると、架橋結合がアミンと無水物(またはエポキシ)との間で発生し、溶融滴下を阻害する相互貫入網目構造を作成する。
【0072】
別の実施形態において、2もしくは多層織物または2/多繊維織物が使用される。層のうちの一方は、より低い温度で溶融する繊維であり、この溶融体は、第2の繊維(ポリアミド)および/または織物全体を覆う。低融解点繊維は、繊維の生成中に溶融混紡されたエポキシ変性9,10−ジヒドロ−9−オキシ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)などの反応性架橋剤を有する。より低い融解点の繊維が火炎/火災事象中に溶融し、他の繊維/織物を覆うと、次いで反応性難燃剤は、ナイロン繊維(同じ火炎/火災に曝露される)のメルトフロントを架橋結合する。次いで、この架橋剤は、2つの繊維の架橋結合を推進する。
【0073】
別の実施形態において、
相補的官能基を持つ粒子が、溶融加工中に繊維に添加され得る。例えば、表面修飾されたシリカまたはシリコンナノ粒子が、繊維紡糸中に添加され得る。第1のナイロン繊維は、ヒドロキシル官能基で修飾されたシリカナノ粒子を含有し得、第2のナイロン繊維は、エポキシ官能基で表面修飾されたシリコンナノ粒子を含有し得る。次いで、これら2つの繊維は、当該技術分野において既知の様々な形状因子およびパターンで一緒に織られる。そのような織物が火炎に曝露されると、溶融相内の反応が、シリコンナノ粒子の表面上に存在する相補的官能基間で開始され、それにより溶融粘度を高め、滴下を軽減することとなる粒子の架橋結合網目構造を作成する。
【0074】
シリカまたはシリコン以外に、これらの粒子はまた、TiO
2、沈降炭酸カルシウム(PCC)、重質炭酸カルシウム(GCC)、繊維充填剤、例えば炭素繊維、ガラス繊維、グラフェン、カーボンブラック、粘土、鉱物充填剤、金属粒子、例えばアルミニウム、鉄粒子、または相補的官能基を有する他の材料であり得る。粒子充填量は、グラフェンおよび粘土などの高アスペクト比充填剤の場合の約1%未満から、シリカ、ガラス繊維、およびカーボンブラックなどの充填剤の場合の約40%〜約50%充填量までの範囲であり得る。
【0075】
本明細書に開示される官能性添加剤を有する粒子は、織物または繊維のおよそ1重量%〜50重量%で添加され得、それらの間の全ての値および範囲が含まれる。本明細書に開示される反応性分子は、ポリマーまたは繊維のおよそ1重量%〜10重量%で添加され得、それらの間の全ての値および範囲が含まれる。
【0076】
改善された溶融滴下特性を有する織物を生成することができる織る技術または編む技術が使用され得る。
【0077】
本発明はまた、難燃剤分子または粒子が、物品または最終生成物のポリマーマトリックスに固定され、そこに安定かつ均一に分布される良性および非毒性難燃剤に関連した組成物、物品、および方法に関係する。ある態様において、リン酸含有化学物質は、効果的な難燃剤であり、臭素化化合物に関連付けられる環境的な懸念に起因して臭素化化合物と置き換えるために使用される。
【0078】
本組成物は、その中に含有される、例えば、エポキシ官能基、ヒドロキシル官能基、無水物官能基、カルボキシル官能基、スルフヒドリル官能基、エステル官能基、エーテル官能基、および他の種類の官能基、またはその組み合わせなどの反応性官能基を有するオリゴマーまたはポリマー鎖などの、1つ以上のアンカーと反応されて変性難燃剤または共役体を形成する1つ以上のリン系難燃剤分子を含み得る。変性難燃剤は、結合または物理的エンタングルメントによってポリマーマトリックス内に組み込まれ得、難燃剤特性を顔料、布地、塗料、および他の物品などの最終生成物に付与するために使用され得る。
【0079】
難燃剤分子をポリマーマトリックスに固定する方法は、
図1を参照して説明される。例証されるように、リン系難燃剤は、ブロック102に例証されるように、難燃剤に対して反応を示す官能基を含有するアンカー、例えば、オリゴマーまたはポリマー鎖と反応される。この反応は、ブロック104に例証されるように、ポリマー鎖またはアンカーで修飾される難燃剤をもたらす。変性難燃剤は、次いで、ブロック106に例証されるように、サーモプラスチック、布地、および/または塗料などの物品のポリマーマトリックスと混合されて、ブロック108に例証されるように、難燃剤特性を有する最終生成物を提供し得る。アンカーは、物品のポリマーマトリックス中で難燃剤の増大した分散を可能にさせ、かつアンカーまたはテイルの物品のポリマーマトリックスとの結合または物理的エンタングルメントに起因して、物品の機械的特性に悪影響を及ぼすことなく、例えば最大約40%の高装填量も可能にする。
【0080】
例えば、リン難燃剤、DOPO(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド)は、触媒としてアミンを使用して、エポキシ官能基を含有するアンカーと反応され得る。エポキシ官能基で修飾されたDOPOなどのリン難燃剤は、アミン基または無水物基を含有する分子と反応され得る。DOPOなどのリン難燃剤は、加水分解を経て、イソシアネート官能基とさらに反応され得るヒドロキシル官能価を提供することができる。同様に、リン難燃剤、FYROL PMP(ICL−IP America,Inc.により流通される1,3−フェニレンメチルホスホネート)は、イソシアネート基と反応され、ウレタンポリマーで作製された発泡体に効果的に組み込まれ得る。
【0081】
使用され得るリン系難燃剤の一部の例としては、例えば、赤リン(
図2に例証される)、ポリリン酸アンモニウム(
図3に例証される)、トリスクロロプロピルホスフェート(TCCP)(
図4に例証される)、DOPO(
図5に例証される)、およびFyrol PMP(
図6に例証される)、他のリン系難燃剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
アンカーまたはアンカー分子は、概して、共有結合、静電、またはファンデルワールス相互作用によってリン酸系難燃剤に結合され得るオリゴマーまたはポリマーである。典型的には、アンカー分子は、物品のポリマーマトリックスと実質的に同様の、および/または物品のポリマーマトリックスと相溶性のある分子で作製されるように選択される。アンカーとして使用される市販の分子は多く存在する。例えば、無水物変性またはアミン変性分子は、エポキシ官能化難燃剤と反応され得る。アミノ化シリコンまたはアミン変性ポリプロピレングリコールなどのアミン変性ポリマーは、アンカーとして使用され得る。他のアンカーは、カルボキシル変性アンカーを含み、DOPO中のP−H反応性基はそれをエポキシ官能基と反応性にし、それによりエポキシ変性アンカー分子がアンカーとして使用されることを可能にする。アンカーはまた、多官能性であり得、難燃剤との反応を可能にし、他の要素と反応するために他の官能基を利用可能にさせる。
【0083】
好適なアンカーを有する脂肪族難燃剤は、例えば、ポリエチレン、ポピプロピレン、アクリル酸、エラストマー、脂肪族ポリエステルとポリウレタン、アセタール(ポリオキシメチレン)、ポリアミド、およびそれらの組み合わせなどの脂肪族ポリマー、ならびに本明細書に開示される他のポリマーを含むが、これらに限定されないポリマーマトリックスと共に使用され得る。同様に、好適なアンカーを有する芳香族難燃剤は、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ABS、スチレンブタジエンゴムなどのスチレンポリマー、およびそれらの組み合わせ、ならびに本明細書に開示される他のポリマーを含むが、これらに限定されないポリマーマトリックスと共に使用され得る。
【0084】
難燃剤を、エポキシ官能基を含有するアンカーと反応させる方法は、
図7を参照して説明される。例証されるように、DOPOなどのリン難燃剤は、ブロック702に例証されるように、触媒としてアミンを使用して、エポキシ官能基を含有するアンカーと反応されて、ブロック704に例証されるように、官能化リン難燃剤を生成する。例えば、14.3重量%のリン酸を含有する反応性分子、DOPO(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド))は、触媒としてアミンを使用して、エポキシ変性ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルと反応され得る。DOPOのエポキシ官能基との代表的な反応は、
図8に例証される。典型的な反応は、化学量論比のDOPOをポリプロピレングリコールジグリシジルと高温度で乾式ブレンドすること、またはそれらを高沸点溶媒中で、高温度で反応させることを含む。次いで、官能化DOPO−ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの官能化リン難燃剤は、ブロック706に例証されるように、連続相ポリマーに添加され得、ブロック708に例証されるように、典型的な生成物および物品を形成するために使用され得る。
【0085】
タイ分子もアンカーとして使用され得る。難燃剤をタイ分子と反応させる方法は、
図9を参照して説明される。例証されるように、DuPont Fusabond(登録商標)材料(変性エチレンアクリレート一酸化炭素ターポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、およびポリプロピレンを含む)などのタイ分子は、ブロック902に例証されるように、リン酸難燃剤とブレンドされる。タイ分子は、マスターバッチで、高温度の押出機内で、リン酸難燃剤と、任意に触媒とブレンドされて、ブロック904に例証されるように、共有結合した共役体を作成し得る。次いで、共役されたリン酸分子は、ブロック906に例証されるように、伝統的なポリマー加工設備内へマスターバッチで計量供給され得、ペレットは、ブロック908に例証されるように、リン酸−ポリマー共役体を少量のポリマーマトリックスと混合することによって押し出されて、高濃度固定された難燃剤を産出し得る。
【0086】
ある実施形態において、ナノ粒子は、リン酸含有材料と組み合わされて難燃剤材料を生成する。例えば、グラフェンナノ粒子は、大きな表面積を有し、リン化合物と組み合わされてリン変性グラフェンを生成し得る。他のナノ粒子はまた、同様の様式で修飾または官能化され得、グラファイト、グラフェン、グラフェンオキシド、および他のナノ粒子を含むが、これらに限定されない。
【0087】
本組成物は、その中に含有される、エポキシ官能基、ヒドロキシル官能基、またはそれらの組み合わせなどの反応性官能基を有するグラフェンなどの、1つ以上のナノ粒子と反応されて官能化ナノ粒子を形成する1つ以上のリン系難燃剤分子を含み得る。官能化ナノ粒子は、ポリマーマトリックス内に組み込まれ得、難燃剤特性を顔料、布地、塗料、および他の物品などの最終生成物に付与するために使用され得る。
【0088】
伝統的に、リン酸系難燃剤は、ポリマーの約20〜約60重量%の範囲でポリマーに添加される。しかしながら、この量は、機械的強度、ガラス転移温度(Tg)、および吸水性などのポリマーの固有の特性との干渉を引き起こし得る。
【0089】
この問題に対処するため、官能化または非官能化グラフェンを使用して、耐火炎成型物品を生成する。これは、ポリマー物品の特性を維持し、かつそれを強化することさえできる低装填量、例えば約1%の低さで使用され得る効果的な難燃剤を生成する。グラフェン粒子は、高強度および表面積を有し、かつグラフェン粒子のより小さい大きさに起因して、より低い装填用量でパーコレーション閾値を達成することができる。
【0090】
ある例において、エポキシおよびヒドロキシル(OH)官能基を含有し、リン酸含有材料で官能化された、非還元グラフェンは、固有の物理的特性を保持する複合材料、難燃剤内の封入相として使用され得る。エポキシ基の存在は、アミン、無水物、およびフェノール(ヒドロキシル)との反応を可能にさせて、これらの基を含有する、難燃剤分子などの様々な分子を共有結合的に固定する。例示的な反応の概略は、
図10に例証される。
【0091】
ナノ粒子の官能化の方法は、
図11を参照して説明される。一般に、ナノ粒子は、ブロック1102に例証されるように、リン酸含有分子に曝露される。ナノ粒子およびリン酸含有分子は、ブロック1104に例証されるように、例えば、高温度で反応され、官能化ナノ粒子を形成する。次いで、官能化ナノ粒子は、ブロック1106に例証されるように、ポリマーマトリックスに添加され得、ブロック1108に例証されるように、難燃剤特性を有する最終生成物を生成するために使用され得る。
【0092】
ある例において、リン酸官能化は、ナノ粒子、例えば、グラフェンまたはグラフェンオキシドを、非酸化性高温環境下で、リン酸またはメチルホスホン酸(または2−カルボキシルエチルフェニルホスホン酸)に曝露することによって実施される。典型的には、水中の溶液下のリン酸またはメチルホスホン酸(または2−カルボキシルエチルフェニルホスホン酸)は、約0.1〜約10重量%、より具体的には約1重量%で粒子と混合され、約110℃のオーブン内で水を除去するために乾燥される。この混合物を、約800℃の炉内に置いて、グラフェンとリン酸またはホスホネート官能性との間の反応を促進する。典型的には、非結合のリン酸またはホスホネート部分は、高温度(例えば、約700℃超)でグラフェン表面から除去されるが、炭素結合したリン酸は安定した状態を保つ。
【0093】
ある例において、非還元グラフェン(グラフェンオキシド)粒子は、結合剤であるポリマーメルトの存在下で、2−カルボキシルエチル(フェニル)ホスフィン酸と反応され得る。グラフェンオキシド粒子上のエポキシまたはヒドロキシル間の反応は、有機リン分子内のカルボキシ官能基と反応し得る。ポリマー結合剤は、2−カルボキシルエチル(フェニル)ホスフィン酸に対して反応性である場合(ポリアミド、ポリエステルなど)、または反応性でない場合(ポリオレフィン、ビニルポリマー)がある。
【0094】
一例において、リン酸官能化グラファイト積層粒子が開示される。この例では、リン酸官能化グラファイト積層粒子は、10%ポリリン酸をグラフェン粒子に約1重量%で添加することによって生成される。本混合物は、ガラス容器に入れられ、密閉されて、約500℃の炉内に置かれる。炉内の雰囲気は、アルゴンを使用することによって非酸化性であるように制御され得る。約4時間後、粒子スラリーを、今後の使用のために、水中で洗浄して未反応リン酸を除去し、水中に再懸濁するか、または乾燥させる。
【0095】
別の例において、DOPOで官能化されたグラフェン(グラフェンオキシド)が開示される。この例では、約14.3重量%のリン酸を含有する反応性分子、DOPO(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド))は、グラフェンに難燃剤特性を付与する官能化剤として使用される。DOPOのエポキシ官能基との代表的な反応は、
図12に例証される。
【0096】
典型的な反応は、化学量論比のDOPOをグラフェン(グラフェンオキシド)と高温度で乾式ブレンドすること、またはそれらを高沸点溶媒中で、高温度で反応させることのいずれかを含む。官能化DOPO−グラフェンは、連続相ポリマーに添加され、典型的な生成物を形成するために使用され得る。
【0097】
別の例において、AMPAで官能化されたグラフェンが開示される。この例では、アミノメチルホスホン酸(AMPA)は、ホスホネート官能性を有する非還元グラフェン上でエポキシ基を官能化する別の方法を提供する。アミン−エポキシ反応(
図10に例証される例)は、周知であり、乾燥形態で、または昇温状態の非プロトン溶媒条件で実施される。
【0098】
別の例において、メチルホスホン酸で官能化されたグラフェンが開示される。典型的には、水中のメチルホスホン酸溶液は、約0.1〜10重量%、より具体的には約1重量%で、粒子と密接に混合され、約110℃のオーブン内で水を除去するために乾燥される。この混合物を、約800℃の炉内に置いて、グラフェンとリン酸またはホスホネート官能性との間の反応を促進する。非結合のリン酸またはホスホネート部分は、高温度で(例えば、約700℃超)グラフェン表面から除去されるが、炭素結合したリン酸は安定した状態を保つ。
【0099】
別の例において、Fyrol PMPポリマーで官能化されたグラフェンが開示される。Fyrol PMP(1,3,フェニレンメチルホスホネート)は、ホスホネート官能性をエポキシ骨格架橋結合構造に付与する、エポキシ化合物を硬化するために使用される二官能性架橋結合剤である。ある実施形態において、アミン官能化グラフェンは、MEKまたはアセトン中のFyrol PMPの約1%溶液と混合され、約15分間超音波処理される。PEG−ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、および/またはビスフェノールAなど、少量のジエポキシ架橋剤は、グラフェンの約1重量%で添加される。本反応は、2−メチルイミダゾールなど、塩基触媒の存在下で進行することが可能である。本反応は、アミンがエポキシ架橋剤で官能化されること、および架橋剤の他端がPMPのホスホネート基と反応されること、のうちの1つ以上をもたらす。未反応PMPおよびエポキシ架橋剤は、MEKおよびアセトンで洗い落とされ、グラフェンは回収されて乾燥される。アミン−エポキシおよびホスホネートエポキシ反応は、グラフェンに結合しているFyrol PMPをもたらす。
【0100】
別の例において、VPAおよびVPADMEで官能化されたグラフェンが開示される。ビニルホスホン酸(VPA)またはそのジメチルエステル(VPADME)は、グラフェンとポリマーマトリックスとの相溶化剤として使用され得る。この例では、グラフェンは、ポリビニルアミンおよび/またはキトサンなど、アミンポリマーで官能化されて、1つ以上の一級アミン官能基を含む。リン酸官能性とアミン基との間には強い親和性が存在する。アミン変性グラフェンは、アミン−グラフェンをVPAまたはVPADME溶液中に懸濁することによって、VPAまたは/およびVPADMEのリン基でさらに修飾される。VPAおよびVPADMEは、非常に高いリン酸含有量(例えば、VPAは約29重量%のリン酸を含み、VPADMEは約23重量%のリン酸を含む)により、それらを含有するポリマーに難燃剤特性を付与する。
【0101】
更に別の例において、エポキシ官能化ホスホネートで官能化されたグラフェンが開示される。エポキシジメチルホスホネートなど、エポキシ官能化ホスホネート含有化合物は、アミン官能化グラフェンを官能化するために使用され得る。キトサン変性および/またはポリビニルアミン変性グラフェンは、昇温状態の非プロトン溶媒中でエポキシジメチルホスホネートの1%溶液と反応されて、ホスホネート官能化グラフェンを生成し得る。
【0102】
ある実施形態において、高分子またはアンカー分子は、剥離グラファイト、グラフェン、および/またはグラフェンオキシドなど、ナノ粒子の表面上に付着されて、ナノ粒子が著しく凝集することなく好適なポリマーマトリックス中に混合されることを可能にする。これは、粒子が等質的な方式でポリマーマトリックス内に組み込まれることを可能にする。
【0103】
一般に、ポリマー複合体は、超高濃度の添加剤を少量のポリマーと混合して、ポリマー加工中に添加されたときにポリマーマトリックスと容易に混和できる粒子を作成するというマスターバッチの概念を使用する。しかしながら、ナノ粒子間の分子間力の高い粘着性の性質は、そのような粒子の積層を防ぐことを困難にする。ナノ粒子の表面上への高分子の付着は、積層の懸念を回避しながら、ナノ粒子がポリマーマトリックス内に組み込まれることを可能にする。
【0104】
ある実施形態において、グラフェンおよび高分子の共役体および生体共役体は、ナノ粒子の表面上に付着され得る。結果として生じる共役されたナノ粒子は、好適なポリマーマトリックスに組み込まれると最小限の凝集をもたらす疎水性特性を有する。他の実施形態において、共役体を使用した表面官能化は、陽イオン基、親水性基、および/または特定の金属をキレートしてポリマー/金属複合体系内でそれらを混和性にする基を提供するために実施され得る。高分子−グラフェン共役体は、連続相ポリマー中に分散され得る。これらの多成分複合体構造は、個々の相単独と比較したとき、伝導性、強度、靱性、および弾性の増大を含むがこれらに限定されない、優れた特性をもたらす。
【0105】
所与の溶媒中で可変の溶解度を有する高分子を使用したナノ粒子の修飾の方法は、
図13を参照して説明される。高分子は、ブロック1302に例証されるように、許容条件下で、溶媒(水など)中に溶解される。溶解度を決定する条件は、温度、pHなどを含むが、これらに限定されない。ナノ粒子は、ブロック1304に例証されるように、溶媒中に均一に分散される。次いで、本条件は、ブロック1306に例証されるように、高分子の溶解度を下げるために修正され、ブロック1308に例証されるように、表面修飾されたナノ粒子をもたらす。
【0106】
高分子修飾されたナノ粒子は、ブロック1310に例証されるように、疎水性マトリックス中に容易に分散され得る。当該技術分野で既知の技術を使用して、修飾されたナノ粒子は、疎水性溶媒中に分散されたときに封入相として使用され得る。ナノ粒子は、それらに複合体構造を付与する、それらの優れた物理的および化学的特性を保持する。そのような特性は、強化された物理的および電気的特性を含む。
【0107】
ある例において、分散された親水性ナノ粒子は、溶液中のpH変化を使用してスチレンマレイミド(SMAI)の単層を用いて水中で表面修飾され得る。SMAIポリマーは、高pHで水溶性であり、かつその等電点未満で不溶性であるため、pH変化を使用して、水分散性ナノ粒子上にSMAIを付着することができる。付着時、個々のSMAIコーティングを有する粒子は、凝集し、溶液から濾過され得る。そのような凝集は、SMAI層がスペーサーとして機能するため、積層したナノシートに戻らない。そのような疎水的に修飾された粒子が、ポリマーマトリックスに添加されると、分散性は容易になり、SMAIの疎水性スチレン部分は、疎水性マトリックスとの(特に、ポリスチレン、アクロニトリルブタジエンスチレン、スチレンブタジエンなどのスチレンポリマーを含有するマトリックスとの)良好な界面強度を可能にする。
【0108】
別の例において、ダイズからの疎水性非可食性タンパク質、ゼインが、親水性ナノ粒子の表面を修飾するために使用され得る。ゼインは、高pHで可溶性である一方、その等電点未満で不溶性である。ゼインは、疎水性層をナノ粒子の表面上に残し、疎水性マトリックス中の容易な分散性を導く。カゼインなど、溶解度に基づいて等電点を呈する他のタンパク質もまた使用され得る。
【0109】
別の例において、海洋動物の殻に見られる天然起源ポリマー、キトサンが、ナノ粒子の表面を修飾するために使用され得る。キトサンは、酸性水溶液中に溶解され得、アルカリ性水溶液中に沈殿する。次いで、キトサン中に分散されたナノ粒子は、単に溶液のpHをアルカリ性のものに変更することによって、キトサンの薄い沈殿層で被覆され得る。
【0110】
別の例において、エポキシ化反応性側鎖を使用してポリビニルアミンを誘導体化することによって開発された一連のポリマーが、ナノ粒子の表面を修飾するために使用され得る。骨格ポリマーは水中に可溶性であるが、溶解度は、骨格に沿って一級アミン基を修飾することによって変更され得る。変更された溶解度は、pH変化または温度によって調節され得る。疎水性側鎖をグラフトすることによって、溶解限度は、温度感受性溶解度を有する側鎖を添加しながら(LCSTポリマーなど、例えば、PEO、PPO、およびそれらのコポリマー)、pHの関数として調整され得る。これらのポリマーの溶解度を変化させることによって、ポリマーは、水中でグラフェンオキシド粒子上に沈殿され得、それにより異なる表面官能性を付与する。反応性側鎖は、変性グラフェンオキシド粒子が添加されるポリマーマトリックスと相溶性があるように選択され得る。
【0111】
他の例としては、リン酸またはポリリン酸との反応によってリン酸基で官能化するためにアミン変性グラフェンまたはグラフェンオキシドを使用することを含み得る。グラフェンオキシドの表面上に存在する固有のエポキシ基もまた、Struktol(登録商標)から入手可能なものなどのエポキシ−反応性リン酸含有分子と反応させるために使用され得る。
【0112】
本発明は、限定することを全く意図しない以下の実験実施例によるものである。
【0113】
実験実施例1−グラフェンオキシド粒子のキトサン表面修飾:約1重量%のグラフェンオキシド粒子を、キトサンを約pH4未満の酸性水中に撹拌下で一晩溶解することによって作製したキトサンCG110の0.01%溶液中に懸濁する。懸濁液のpHを、撹拌下で希釈NaOH溶液を使用して約pH7.5超まで上昇させて、キトサンをグラフェンオキシド粒子上に沈殿させる。この懸濁液を濾過および/または遠心分離して、修飾された粒子を回収する。次いで、粒子を使用前に乾燥させる。
【0114】
実験実施例2−イミド化SMA樹脂を使用したグラフェンオキシド粒子の表面修飾:約1重量%のグラフェンオキシド粒子を、イミド化スチレンマレイン無水物樹脂を約pH4未満の酸性水中に撹拌下で一晩溶解することによって作製したSMA3000I(Sartomer、Exton PA)の0.01%溶液中に懸濁する。懸濁液のpHを、撹拌下で希釈NaOHを使用して約pH8まで緩徐に増加させて、イミド化スチレンマレイン無水物をグラフェンオキシド粒子上に沈殿させた。この懸濁液を濾過および/または遠心分離するかのいずれかを行って、修飾された粒子を回収する。次いで、粒子を使用前に乾燥させる。
【0115】
実験実施例3−エポキシ化疎水性側鎖を使用したポリビニルアミンの誘導体化:CVCケミカル製のC
8−C
10のグリシジルエーテルなどの脂肪族モノグリシジルエーテルを、アセトン(Lupamin、BASF)中のポリビニルアミンの5%溶液と約1:10の化学量論比で、ロータリーエバポレータ内で混合する。エポキシとアミンとの反応を一晩進行させる。次いで、誘導体化されたポリビニルアミンを、使用のために水中で再懸濁する。
【0116】
実験実施例4−エポキシ化ポリビニルアミンを用いたグラフェンの官能化:実施例4の変性ポリビニルアミンを、適切なpHで水中に溶解する。この溶液を、グラフェンまたはグラフェンオキシド粒子懸濁液に粒子の約1重量%で添加する。pHを適切に調節して、ポリビニルアミンが確実にグラフェン粒子表面上に沈殿するようにする。今後の使用のために、懸濁液を濾過し、水中に再沈殿させるか、または乾燥させる。
【0117】
実験実施例5−リン酸変性グラフェン粒子:10%ポリリン酸を、1重量%グラフェン粒子に添加し、ガラス容器に入れて、密閉し、約500℃の炉内に置く。炉内の雰囲気を、アルゴン流を使用することによって非酸化性であるように制御する。約4時間後、粒子スラリーを、今後の使用のために、水中で洗浄して未反応リン酸を除去し、水中に再懸濁するか、または乾燥させる。
【0118】
実験実施例6−ポリアミン中間層を使用したリン酸変性グラフェン粒子:実施例1または4のアミン(キトサンまたはポリビニルアミン)を用いた変性グラフェン(還元またはグラフェンオキシド)を、pH4のポリリン酸と、水が蒸発するまで約60℃で2時間反応させた。この反応混合物を水で洗浄し、水中に再懸濁した。
【0119】
実験実施例7−静電集合によるグラフェンと金属ナノ粒子との混合物。一実施形態において、金属ナノ粒子の流れを陽イオンポリマーで処理し、グラフェンナノ粒子の流れを陰イオンポリマーで処理する。両方の流れを、高撹拌下で混合して、静電的に集合した金属/グラフェン複合体を生成する。そのような複合体スラリーは、インクを作製するために使用され得るか、または伝導性および表面積の改善のために添加剤として他の材料内に添加され得る。
【0120】
実験実施例8−グラフェンオキシドナノ粒子のリン酸変性:約6gのグラフェンオキシド粒子(表面上にOH基を有する)を、約60mLの乾燥ピリジン中に懸濁し、約5分間超音波処理する。30mLの塩化メチレン中の約6mLのPOCl
3をこの懸濁液に添加する。懸濁液を約120℃で3時間還流させる。今後の使用のために、反応混合物を水で洗浄し、遠心分離し、水中に再懸濁するか、または約100℃で乾燥させる。
【0121】
実験実施例9−ポリアミドのリン酸変性:エポキシ変性9,10−ジヒドロ−9−オキシ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)などのエポキシ変性リン酸系分子を、ポリアミドペレット(ナイロン−6またはナイロン−6,6)と乾燥ブレンドし、二軸押出機のホッパーに添加する。溶融反応は、DOPO分子をポリアミド分子に固定し、溶融体中のポリアミド分子を架橋結合する。DOPO対ポリアミドの比率を適切に制御することによって、架橋密度および滴下作用を制御することができる。まさにDOPO変性ナイロン6の酸素の極限は、約24であり、未変性ナイロンのものは21である。変性ナイロン6を、溶融紡糸を使用して紡いで繊維にし、編んで靴下(細いリボン)にした。DOPO変性ナイロン6は、垂直燃焼試験(ASTM D 6413)において織物として試験したとき、4インチ〜4.3インチの範囲にわたる炭化長で、無滴下であることが示される。未変性ナイロン6の炭化長は、約5.7インチ〜6.2インチである。
【0122】
実験実施例10−ポリエステルのリン酸変性:エポキシ変性9,10−ジヒドロ−9−オキシ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOPO)などのエポキシ変性リン酸系分子を、ポリエステル(PET)ペレットと乾燥ブレンドし、二軸押出機のホッパーに添加する。溶融反応は、エポキシ−酸およびエポキシ−ヒドロキシル反応によってDOPO分子をポリエステル分子に固定し、溶融体中のポリエステル分子を架橋結合する。DOPO対ポリエステルの比率を適切に制御することによって、架橋密度および滴下作用を制御することができる。
【0123】
ある実施形態において、難燃剤分子を吸収した多孔性ナノ粒子を作製する組成物および方法が開示される。高装填量での難燃剤のポリマーマトリックス中または塗料中への組み込みの問題は周知である。小分子難燃剤(特に、リン酸難燃剤)の可塑化効果に起因する剛性などの機械的特性の損失は、機械的完全性および難燃剤特性が高く望まれることの多い工学用途では、それらを魅力のないものにする。ガラス繊維、シリカ粒子、粘土などの充填剤が、ポリマー物品を強化するために添加されることもまた、周知である。これらの充填剤は、シランおよび他のそのような分子を用いた粒子表面の表面修飾によって、ポリマーマトリックスと統合されることが多い。
【0124】
これらの問題に対処するため、多孔性ナノ粒子またはミクロ粒子が、難燃剤の溶液を吸収し得、次いで溶媒が回収され、それにより難燃剤が装填されたナノ粒子を生成する。次いで、これらのナノ粒子またはミクロ粒子は、ポリマーマトリックスもしくは塗料製剤中に現状のまま添加され得るか、シランもしくは同様の分子で表面修飾され得る。これらの多孔性粒子は、添加される充填剤の全体、または充填剤のわずかな部分であり得る。
【0125】
ある実施形態において、難燃剤分子は、ポリマーマトリックスも可溶化する共通溶媒内で溶媒和され得る。一例において、トリフェニルホスフィンなどの難燃剤は、アセトン中に溶解される。次いで、この溶液は、多孔性シリカ粒子と混合され、次いで真空乾燥されて難燃剤注入された粒子を生成する。
【0126】
別の例において、少量のポリスチレンは、アセトン中にトリフェニルホスフィンと共溶解される。次いで、この溶液は、多孔性シリカ粒子と混合される。より小さい分子難燃剤は、粒子の隙間内に拡散する一方、より大きな膨張したポリスチレン鎖は、乾燥するとポリスチレン鎖で被覆される粒子の外側を占有する。この表面修飾は、加工中にポリスチレンマトリックス樹脂に添加されたとき、粒子の相溶性を向上する。
【0127】
ある実施形態において、難燃剤ラテックス粒子を作製する組成物および方法が開示される。ラテックス粒子は、顔料、結合剤、補強添加剤、および衝撃改質添加剤(例えば、セメント中)に使用される。ラテックス粒子は、コロイド状の性質であり、界面活性剤を使用した水媒質中で乳化された疎水性モノマー(水連続相乳化中の油)の乳化重合によって調製される。一実施形態において、モノマー相(油)中に可溶性である分子が添加され得、それはミセル中の重合化ラテックスビーズの内側に捕捉される。難燃剤特性を有する有機リン酸含有分子は、そのような添加剤の1つである。有機リン添加剤は、難燃剤が注入されたラテックス粒子を得るために、様々な装填量レベルでモノマー相と組み合わされ得る。
【0128】
別の例において、粒子は、開始剤が油溶性またはモノマー溶性である場合、懸濁液重合によって作製され得る。更に別の例において、ビニルホスホネートなどのリン酸を含有する反応性モノマーは、作製されてラテックス生成中に共重合され得、それによりリン酸含有モノマーを、ラテックス粒子を構成するポリマーの化学構造内に組み込む。
【0129】
組成物、物品、および方法が、ある特定の実施形態に関連して説明および例証されているが、多くの変形および修正は、当業者にとっては明白であり、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得る。したがって、本開示は、上記の方法論または解釈の正確な詳細に限定されることなく、そのようなものとして変形および修正が、本開示の範囲内に含まれるよう意図される。