(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料ガス中のメタンの濃度が予め定められた濃度以上であり、かつ、前記試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであるか、又は、前記試料ガスが都市ガス及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるかを特定可能な濃度範囲として予め定められた第1濃度範囲内に、前記試料ガス中の特定可燃性ガスであって、エタン、プロパン、及びブタンのうちの少なくとも前記エタン及び前記プロパンである特定可燃性ガスの濃度が収まった場合に、前記試料ガス中の前記エタンの濃度及び前記プロパンの濃度に応じて、前記試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであることを示す発酵ガス信号と、前記試料ガスが都市ガス及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示す都市・発酵ガス信号とを選択的に出力する出力手段
を含むガス種特定装置。
前記出力手段は、前記メタンの濃度が前記予め定められた濃度以上であり、前記特定可燃性ガスの濃度が前記第1濃度範囲内に収まり、前記プロパンの濃度が第1閾値未満の場合に、前記発酵ガス信号を出力し、前記メタンの濃度が前記予め定められた濃度以上であり、前記特定可燃性ガスの濃度が前記第1濃度範囲内に収まり、前記プロパンの濃度が前記第1閾値以上であり、前記試料ガス中の前記エタンの濃度が第2閾値未満の場合に、前記発酵ガス信号を出力し、前記メタンの濃度が前記予め定められた濃度以上であり、前記特定可燃性ガスの濃度が前記第1濃度範囲内に収まり、前記プロパンの濃度が前記第1閾値以上であり、前記エタンの濃度が前記第2閾値以上の場合に、前記都市・発酵ガス信号を出力する請求項1に記載のガス種特定装置。
前記出力手段は、前記メタンの濃度が前記予め定められた濃度以上であり、かつ、前記特定可燃性ガスの濃度が前記第1濃度範囲外の場合に、前記エタンの濃度及び前記試料ガス中の炭酸ガスの濃度に応じて、前記都市・発酵ガス信号と、前記試料ガスが前記都市ガス単独に由来するガスであることを示す都市ガス信号と、前記試料ガスがLPG及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示すLPG・発酵ガス信号と、前記試料ガスが前記都市ガス、前記LPG、及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示す都市・LPG・発酵ガス信号と、前記試料ガスが前記LPG及び前記都市ガスの混合ガスに由来するガスであることを示すLPG・都市ガス信号と、を選択的に出力する請求項1又は請求項2に記載のガス種特定装置。
前記出力手段は、前記試料ガスが前記都市ガス、LPG、及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるか、前記試料ガスが前記LPG及び前記都市ガスの混合ガスに由来するガスであるか、又は、前記試料ガスが前記LPG及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるかを特定可能な濃度範囲として予め定められた第2濃度範囲内に前記特定可燃性ガスの濃度が収まった場合に、前記エタンの濃度及び前記試料ガス中の炭酸ガスの濃度に応じて、前記試料ガスが前記都市ガス、前記LPG、及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示す都市・LPG・発酵ガス信号と、前記試料ガスが前記LPG及び前記都市ガスの混合ガスに由来するガスであることを示すLPG・都市ガス信号と、前記試料ガスがLPG及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示すLPG・発酵ガス信号と、を選択的に出力する請求項1から請求項3の何れか1項に記載のガス種特定装置。
前記出力手段は、前記試料ガスが前記都市ガス及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるか、前記試料ガスが前記都市ガス単独に由来するガスであるか、又は、前記試料ガスがLPG及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるかを特定可能な濃度範囲として予め定められた第3濃度範囲内に前記特定可燃性ガスの濃度が収まった場合に、前記エタンの濃度及び前記試料ガス中の炭酸ガスの濃度に応じて、前記都市・発酵ガス信号と、前記試料ガスが前記都市ガス単独に由来するガスであることを示す都市ガス信号と、前記試料ガスが前記LPG及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示すLPG・発酵ガス信号と、を選択的に出力する請求項1から請求項4の何れか1項に記載のガス種特定装置。
前記出力手段は、前記メタンの濃度が前記予め定められた濃度未満の場合に、前記プロパンの濃度に応じて、前記試料ガスが大気ガス単独に由来するガスであることを示す大気ガス信号と、前記試料ガスがLPG単独に由来するガスであることを示すLPG信号と、を選択的に出力する請求項1から請求項5の何れか1項に記載のガス種特定装置。
試料ガス中のメタンの濃度が予め定められた濃度以上であり、かつ、前記試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであるか、又は、前記試料ガスが都市ガス及び前記発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるかを特定可能な濃度範囲として予め定められた第1濃度範囲内に、前記試料ガス中の特定可燃性ガスであって、エタン、プロパン、及びブタンのうちの少なくとも前記エタン及び前記プロパンである特定可燃性ガスの濃度が収まった場合に、前記試料ガス中の前記エタンの濃度及び前記プロパンの濃度に応じて、前記試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであるか、又は、前記試料ガスが都市ガス及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるかを特定することを含むガス種特定方法。
前記メタンの濃度が前記予め定められた濃度以上であり、前記特定可燃性ガスの濃度が前記第1濃度範囲内に収まり、前記プロパンの濃度が第1閾値未満の場合に、前記試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであると特定し、
前記メタンの濃度が前記予め定められた濃度以上であり、前記特定可燃性ガスの濃度が前記第1濃度範囲内に収まり、前記プロパンの濃度が前記第1閾値以上であり、前記試料ガス中の前記エタンの濃度が第2閾値未満の場合に、前記試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであると特定し、
前記メタンの濃度が前記予め定められた濃度以上であり、前記特定可燃性ガスの濃度が前記第1濃度範囲内に収まり、前記プロパンの濃度が前記第1閾値以上であり、前記エタンの濃度が前記第2閾値以上の場合に、前記試料ガスが都市ガス及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであると特定することを含む請求項7に記載のガス種特定方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0013】
一例として
図1に示すように、ガス種特定装置10は、サンプリングノズル12、濃度検出部14、ポンプ16、駆動回路18、制御装置20、受付I/F22、受付デバイス24、表示制御部26、ディスプレイ28、外部I/F30、及びバスライン32を含む。なお、本実施形態において、「I/F」とは、インタフェース(Interface)の略称を指す。
【0014】
制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)34、一次記憶部36、及び二次記憶部38を含み、CPU34、一次記憶部36、及び二次記憶部38は、バスライン32に接続されている。
【0015】
CPU34は、ガス種特定装置10の全体を制御する。一次記憶部36は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリであり、一次記憶部36の一例としては、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。また、二次記憶部38は、ガス種特定装置10の基本的な動作を制御するプログラムや各種パラメータ等を記憶する不揮発性のメモリである。二次記憶部38の一例としては、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等が挙げられる
【0016】
二次記憶部38は、ガス種特定プログラム40を記憶している。CPU34は、二次記憶部38からガス種特定プログラム40を読み出して一次記憶部36に展開し、ガス種特定プログラム40を実行することで、本発明に係る出力手段として動作する。
【0017】
受付I/F22、表示制御部26、及び外部I/F30の各々は、バスライン32に接続されている。主制御部34は、受付I/F22及び表示制御部26の各々との間で各種情報の授受を行う。
【0018】
受付デバイス24は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等を有しており、ユーザによる各種指示を受け付ける。受付デバイス24は、受付I/F22に接続されており、受け付けた指示の内容を示す指示内容信号を受付I/F24に出力する。CPU34は、受付I/F22から入力された指示内容信号に応じた処理を実行する。
【0019】
ディスプレイ28は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又はOELD(Organic Electroluminescence Display)等である。ディスプレイ28は、表示制御部26に接続されている。表示制御部26は、CPU34の指示に従って、ディスプレイ28を制御することにより、メニュー画面等の各種画面を表示する。
【0020】
外部I/F30は、ガス種特定装置10の特定の電気系と接続されており、CPU34の制御下で動作し、CPU34と特定の電気系との間での各種情報の送受信を司る。なお、本実施形態では、特定の電気系の一例として、濃度検出部14及び駆動回路18が採用されている。
【0021】
駆動回路18は、ポンプ16に接続されており、CPU34からの指示に従って、吸引用のポンプ16を制御する。
【0022】
サンプリングノズル12はガス管42を介して濃度検出部14に接続されており、濃度検出部14は、ガス管44を介してポンプ16に接続されている。従って、ポンプ16が作動することで、外部からサンプリングノズル12に、由来不明ガスが引き込まれ、サンプリングノズル12から濃度検出部14に、試料ガスが引き込まれる。ここで、由来不明ガスとは、土壌等を経由して地中又は地表への漏出する由来が不明のガスを指す。また、試料ガスとは、由来不明ガスがフィルタリングされることによって由来不明ガスからダストや水分等が除去されて得られたガスを指す。
【0023】
サンプリングノズル12は、例えば、地中又は地表において、ガスを採取する箇所として予め定められた箇所で用いられる。サンプリングノズル12が予め定められた箇所に設置された状態でポンプ16が作動すると、ポンプ16の吸引力により、サンプリングノズル12は由来不明ガスを採取する。
【0024】
サンプリングノズル12には、フィルタ(図示省略)が充填されており、ポンプ16の吸引力により、由来不明ガスがフィルタを透過し、これにより、ダストや水分等が除去され、試料ガスが得られる。
【0025】
濃度検出部14は、ポンプ16の吸引力により、サンプリングノズル12からガス管42を介して試料ガスを取り込み、取り込んだ試料ガスに含まれるメタン、エタン、プロパン、及び炭酸ガス等の各種ガスを個々に検出する。そして、濃度検出部14は、検出したガス毎の濃度を検出し、検出した濃度を示す濃度信号を外部I/F30に出力する。CPU34は、外部I/F30を介して濃度検出部14から濃度信号を取得する。
【0026】
次に、ガス種特定装置10の本発明に係る部分の作用として、CPU34がガス種特定プログラム40に従うことで、CPU34によって実行されるガス種特定処理について
図2〜
図4を参照して説明する。
【0027】
なお、
図2〜
図4に示すガス種特定処理は、下記の表1に示す組成例に基づいて設計された処理である。なお、表1は、都市ガス及びLPGの一般的な組成例である。
【0029】
図2に示すガス種特定処理では、ステップ100で、CPU34は、濃度検出部14から濃度情報を取得し、その後、ステップ102へ移行する。
【0030】
ステップ102で、CPU34は、ステップ100で取得した濃度情報を参照して、試料ガス中のメタンの濃度が30ppm(parts per million)以上であるか否かを判定する。なお、ここで言う「30ppm」は、本発明に係る「予め定められた濃度」の一例である。
【0031】
ステップ102において、試料ガス中のメタンの濃度が30ppm未満の場合は、判定が否定されて、
図3に示すステップ104へ移行する。ステップ102において、試料ガス中のメタンの濃度が30ppm以上の場合は、判定が肯定されて、ステップ110へ移行する。
【0032】
図3に示すステップ104で、CPU34は、ステップ100で取得した濃度情報を参照して、試料ガス中のプロパンの濃度が10ppm以上であるか否かを判定する。なお、本ステップ104で用いられる“10ppm”はあくまでも一例であり、他の濃度が採用されてもよい。
【0033】
ステップ104において、試料ガス中のプロパンの濃度が10ppm以上の場合は、ステップ106へ移行する。ステップ104において、試料ガス中のプロパンの濃度が10ppm未満の場合は、ステップ108へ移行する。
【0034】
ステップ106で、CPU34は、試料ガスがLPG(液化石油ガス:Liquid Petroleum Gas)単独に由来するガスであることを示すLPG信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0035】
表示制御部26は、LPG信号が入力されると、ディスプレイ28に対して、試料ガスがLPG単独に由来するガスであることを示すメッセージや画像等を表示させる。二次記憶部38は、入力されたLPG信号と現在時刻とを対応付けて記憶する。
【0036】
ステップ108で、CPU34は、試料ガスが大気ガスに由来するガスであることを示す大気ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0037】
表示制御部26は、大気ガス信号が入力されると、ディスプレイ28に対して、試料ガスが大気ガス単独に由来するガスであることを示すメッセージや画像等を表示させる。二次記憶部38は、入力された大気ガス信号と現在時刻とを対応付けて記憶する。
【0038】
図2に示すステップ110で、CPU34は、ステップ100で取得した濃度情報により示されるメタンの濃度を下記の式(1)に代入することでY値を算出し、その後、ステップ112へ移行する。
【0039】
(Y値)=100/(メタンの濃度)・・・・(1)
【0040】
ステップ112で、CPU34は、特定可燃性ガスの濃度比率を算出し、算出した濃度比率が1未満であるか、1以上100未満であるか、100以上であるかを判定する。
【0041】
なお、ここで言う「特定可燃性ガス」とは、エタン及びプロパンを指す。また、ここで言う「特定可燃性ガスの濃度比率」とは、ステップ100で取得された濃度情報により示されるエタンの濃度とプロパンの濃度との和に対して、ステップ110で算出されたY値を乗じて得た値を指す。
【0042】
また、ステップ112において、特定可燃性ガスの濃度比率が1未満の範囲は、本発明に係る「第1濃度範囲」に相当する物理量の一例である。また、ステップ112において、特定可燃性ガスの濃度比率が100以上の範囲は、本発明に係る「第2濃度範囲」に相当する物理量の一例である。更に、ステップ112において、特定可燃性ガスの濃度比率が1以上100未満の範囲は、本発明に係る「第3濃度範囲」に相当する物理量の一例である。
【0043】
ステップ112において、特定可燃性ガスの濃度比率が100以上の場合は、
図4に示すステップ114へ移行する。ステップ112において、特定可燃性ガスの濃度比率が1以上100未満の場合は、ステップ124へ移行する。ステップ112において、特定可燃性ガスの濃度比率が1未満の場合は、ステップ134へ移行する。
【0044】
図4に示すステップ114で、CPU34は、エタンの濃度比率を算出し、算出した濃度比率が0.5以上であるか否かを判定する。ここで言う「エタンの濃度比率」とは、ステップ100で取得された濃度情報により示されるエタンの濃度に対して、ステップ110で算出されたY値を乗じて得た値を指す。なお、本ステップ114で用いられる“0.5”はあくまでも一例であり、他の値が採用されてもよい。
【0045】
ステップ114において、エタンの濃度比率が0.5未満の場合は、ステップ116へ移行する。ステップ114において、エタンの濃度比率が0.5以上の場合は、ステップ118へ移行する。
【0046】
ステップ116で、CPU34は、試料ガスがLPG及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示すLPG・発酵ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0047】
表示制御部26は、LPG・発酵ガス信号が入力されると、ディスプレイ28に対して、試料ガスがLPG及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることメッセージや画像等を表示させる。二次記憶部38は、入力されたLPG・発酵ガス信号と現在時刻とを対応付けて記憶する。
【0048】
ステップ118で、CPU34は、ステップ100で取得された濃度情報を参照して、試料ガス中の炭酸ガスの濃度が500ppm以上であるか否かを判定する。なお、本ステップ118で用いられる“500ppm”はあくまでも一例であり、他の濃度が採用されてもよい。
【0049】
ステップ118において、試料ガス中の炭酸ガスの濃度が500ppm未満の場合は、ステップ120へ移行する。ステップ118において、試料ガス中の炭酸ガスの濃度が500ppm以上の場合は、ステップ122へ移行する。
【0050】
ステップ120で、CPU34は、試料ガスがLPG及び都市ガスの混合ガスに由来するガスであることを示すLPG・都市ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0051】
表示制御部26は、LPG・都市ガス信号が入力されると、ディスプレイ28に対して、試料ガスがLPG及び都市ガスの混合ガスに由来するガスであることメッセージや画像等を表示させる。二次記憶部38は、入力されたLPG・都市ガス信号と現在時刻とを対応付けて記憶する。
【0052】
ステップ122で、CPU34は、試料ガスが都市ガス、LPG、及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示す都市・LPG・発酵ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0053】
表示制御部26は、都市・LPG・発酵ガス信号が入力されると、ディスプレイ28に対して、試料ガスが都市ガス、LPG、及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることメッセージや画像等を表示させる。二次記憶部38は、入力された都市・LPG・発酵ガス信号と現在時刻とを対応付けて記憶する。
【0054】
図2に示すステップ124で、CPU34は、エタンの濃度比率を算出し、算出した濃度比率が0.5以上であるか否かを判定する。なお、本ステップ124で用いられる“0.5”はあくまでも一例であり、他の値が採用されてもよい。
【0055】
ステップ124において、エタンの濃度比率が0.5未満の場合は、ステップ126へ移行する。ステップ124において、エタンの濃度比率が0.5以上の場合は、ステップ128へ移行する。
【0056】
ステップ126で、CPU34は、LPG・発酵ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0057】
ステップ128で、CPU34は、ステップ100で取得された濃度情報を参照して、試料ガス中の炭酸ガスの濃度が500ppm以上であるか否かを判定する。なお、本ステップ128で用いられる“500ppm”はあくまでも一例であり、他の濃度が採用されてもよい。
【0058】
ステップ128において、試料ガス中の炭酸ガスの濃度が500ppm未満の場合は、ステップ130へ移行する。ステップ128において、試料ガス中の炭酸ガスの濃度が500ppm以上の場合は、ステップ132へ移行する。
【0059】
ステップ130で、CPU34は、試料ガスが都市ガス単独に由来するガスであることを示す都市ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0060】
表示制御部26は、都市ガス信号が入力されると、ディスプレイ28に対して、試料ガスが都市ガス単独に由来するガスであることを示すメッセージや画像等を表示させる。二次記憶部38は、入力された都市ガス信号と現在時刻とを対応付けて記憶する。
【0061】
ステップ132で、CPU34は、試料ガスが都市ガス及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることを示す都市・発酵ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0062】
表示制御部26は、都市・発酵ガス信号が入力されると、ディスプレイ28に対して、試料ガスが都市ガス及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであることメッセージや画像等を表示させる。二次記憶部38は、入力された都市・発酵ガス信号と現在時刻とを対応付けて記憶する。
【0063】
ステップ134で、CPU34は、ステップ100で取得された濃度情報を参照して、試料ガス中のプロパンの濃度が1ppm以上であるか否かを判定する。なお、ここで言う「1ppm」は、本発明に係る第1閾値の一例である。本ステップ134で用いられる“1ppm”はあくまでも一例であり、他の濃度が採用されてもよい。
【0064】
ステップ134において、試料ガス中のプロパンの濃度が1ppm以上の場合は、ステップ136へ移行する。ステップ134において、試料ガス中のプロパンの濃度が1ppm未満の場合は、ステップ138へ移行する。
【0065】
ステップ136で、CPU34は、エタンの濃度比率を算出し、算出した濃度比率が1以上であるか否かを判定する。なお、ここで言う「1ppm」は、本発明に係る第2閾値の一例である。本ステップ136で用いられる“1ppm”はあくまでも一例であり、他の濃度が採用されてもよい。
【0066】
ステップ136において、エタンの濃度比率が1以上の場合は、ステップ132へ移行する。ステップ136において、エタンの濃度比率が1未満の場合は、ステップ138へ移行する。
【0067】
ステップ138で、CPU34は、試料ガスが発酵ガス単独にガスであることを示す発酵ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力し、その後、本ガス種特定処理を終了する。
【0068】
表示制御部26は、発酵ガス信号が入力されると、ディスプレイ28に対して、試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであることを示すメッセージや画像等を表示させる。二次記憶部38は、入力された発酵ガス信号と現在時刻とを対応付けて記憶する。
【0069】
なお、以下では、説明の便宜上、発酵ガス信号、都市・発酵ガス信号、都市ガス信号、LPG・発酵ガス信号、都市・LPG・発酵ガス信号、LPG・都市ガス信号、LPG信号、及び大気ガス信号を区別して説明する必要がない場合、「ガス信号」と称する。
【0070】
以上説明したように、ガス種特定装置10では、メタンの濃度が30ppm以上であり、特定可燃性ガスの濃度比率が1未満の場合に、エタンの濃度及プロパンの濃度に応じて、発酵ガス信号と都市・発酵ガス信号とが選択的に出力される。従って、ガス種特定装置10によれば、メタンの濃度が30ppm以上であり、かつ、試料ガス中の特定可燃性ガスの濃度比率が1未満の場合に試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであると常に特定される場合に比べ、試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであるか、都市ガス及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるかを精度良く特定することができる。
【0071】
また、ガス種特定装置10では、メタンの濃度が30ppm以上であり、特定可燃性ガスの濃度比率が1未満であり、プロパンの濃度が1ppm未満の場合に、発酵ガス信号が出力される。また、ガス種特定装置10では、メタンの濃度が30ppm以上であり、特定可燃性ガスの濃度比率が1未満であり、プロパンの濃度が第1ppm以上であり、エタンの濃度が1ppm未満の場合に、発酵ガス信号が出力される。更に、ガス種特定装置10では、メタンの濃度が30ppm以上であり、特定可燃性ガスの濃度比率が1未満であり、プロパンの濃度が1ppm以上であり、エタンの濃度が1ppm以上の場合に、都市・発酵ガス信号が出力される。従って、ガス種特定装置10によれば、メタンの濃度が30ppm以上であり、かつ、試料ガス中の特定可燃性ガスの濃度比率が1未満の場合に試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであると常に特定される場合に比べ、試料ガスが発酵ガス単独に由来するガスであるか、都市ガス及び発酵ガスの混合ガスに由来するガスであるかを精度良く特定することができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、ガス信号を表示制御部26及び二次記憶部38に出力する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ガス種特定装置10は、ガス種特定装置10と通信可能なパーソナル・コンピュータ、スマートデバイス、及びサーバ装置等のうちの少なくとも1つの外部装置(図示省略)にガス信号を送信するようにしてもよい。
【0073】
この場合、外部装置は、ガス信号を受信し、受信したガス信号に応じた処理を実行すればよい。外部装置でのガス信号に応じた処理の一例としては、ディスプレイによる可視表示、音声再生装置により音声が出力されることによる可聴表示、及びプリンタを用いて用紙に記録する永久可視表示のうちの少なくとも1つの表示が挙げられる。また、外部装置でのガス信号に応じた処理の他例としては、特定のメモリにガス信号を記憶する処理が挙げられる。
【0074】
また、上記実施形態では、特定可燃性ガスとしてエタン及びプロパンを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特定可燃性ガスはエタン、プロパン、及びブタンであってもよい。なお、この場合、ステップ112で算出される「特定可燃性ガスの濃度比率」とは、ステップ100で取得された濃度情報により示されるエタンの濃度とプロパンの濃度とブタンの濃度の和に対して、ステップ110で算出されたY値を乗じて得た値を指す。
【0075】
また、上記実施形態では、特定可燃性ガスの濃度比率を用いて複数種類のガス信号が選択的に出力される場合について説明したが、特定可燃性ガスの濃度そのものを用いて複数種類のガス信号が選択的に出力されるようにしてもよい。
【0076】
また上記実施形態では、エタンの濃度比率を用いて複数種類のガス信号が選択的に出力される場合について説明したが、エタンの濃度そのものを用いて複数種類のガス信号が選択的に出力されるようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ガス種特定プログラム40を二次記憶部38から読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部38に記憶させておく必要はない。例えば、
図5に示すように、SSD、USBメモリ、又はCD−ROM等の任意の可搬型の記憶媒体300に先ずはガス種特定プログラム40を記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体300のガス種特定プログラム40がガス種特定装置10にインストールされ、インストールされたガス種特定プログラム40がCPU34によって実行される。
【0078】
また、通信網(図示省略)を介してガス種特定装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部にガス種特定プログラム40を記憶させておき、ガス種特定プログラム40がガス種特定装置10の要求に応じてダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされたガス種特定プログラム40がCPU34によって実行される。
【0079】
また、上記実施形態で説明したガス種特定処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0080】
また、上記実施形態では、コンピュータを利用したソフトウェア構成によりガス種特定処理が実現される場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、Field−Programmable Gate Array(FPGA)又はApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等のハードウェア構成のみによってガス種特定処理が実行されるようにしてもよい。また、ガス種特定処理は、ソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせで実行されるようにしてもよい。
【0081】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。