(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707492
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】管継手部材および管継手装置
(51)【国際特許分類】
F16L 37/23 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
F16L37/23
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-80856(P2017-80856)
(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2018-179177(P2018-179177A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2018年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政樹
(72)【発明者】
【氏名】真田 秀幸
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−109279(JP,A)
【文献】
特開2006−307991(JP,A)
【文献】
実開昭57−059294(JP,U)
【文献】
特開平09−119579(JP,A)
【文献】
特開2016−070284(JP,A)
【文献】
特開2007−092887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/00−39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応管継手部材を着脱可能に連結する管継手部材であって、
前端から後端にまで延びる流体通路を有し、対応管継手部材を該前端から該流体通路内に受け入れるようにされた筒状本体と、
該筒状本体に保持され、該流体通路内に受け入れた該対応管継手部材を該筒状本体に固定連結するための施錠部材であって、該対応管継手部材を固定連結する施錠位置と、該固定連結を解除する解錠位置との間で変位可能とされた施錠部材と、
該筒状本体の周囲に配置され、該施錠部材を該施錠位置に保持する連結位置と、該施錠部材が該解錠位置となることを許容する連結解除位置との間で、該筒状本体の長手軸線の方向で該筒状本体に対して変位可能とされた施錠操作部材と、を備え、
該施錠操作部材が、該筒状本体の周方向での一部の位置から該長手軸線の方向で該筒状本体の該前端よりも前方に突出した操作部を有し、該操作部を操作することによって該施錠操作部材を該連結解除位置に変位させることができるようにされた、管継手部材。
【請求項2】
該施錠操作部材が、
該筒状本体の周囲に配置され、該筒状本体の外周面上を該長手軸線の方向で摺動可能とされたスリーブと、
該操作部を有し、該スリーブの外周面上に固定されたスリーブ操作部材と、
を有する、請求項1に記載の管継手部材。
【請求項3】
該スリーブ操作部材が、該スリーブに固定され該スリーブに対して径方向外側に延びる板状の固定部材と、該固定部材から前方に延びるように該固定部材に固定されて該操作部を構成する棒状の操作部材と、を有する、請求項2に記載の管継手部材。
【請求項4】
該スリーブを前方に付勢して該施錠操作部材を該連結位置に向かって付勢するスプリングを更に備え、該操作部を該スプリングの付勢力に抗して後方に押し込むことにより該施錠操作部材が該連結解除位置となるようにされた、請求項2又は3に記載の管継手部材。
【請求項5】
該筒状本体、該施錠部材、及び該スリーブにより構成される管継手本体を複数備え、
該スリーブ操作部材が、各管継手本体の筒状本体が相互に平行となるように各管継手本体のスリーブを保持するようにされた、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の管継手部材。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の管継手部材と、
該管継手部材の該筒状本体に着脱可能に連結される対応管継手本体、及び該対応管継手本体の外周面上に固定され該対応管継手本体に対して径方向外側に延びる固定部材を有する対応管継手部材と、を備え、
該対応管継手部材の該固定部材が、該管継手部材と該対応管継手部材とが連結されるときに該管継手部材の該操作部を通す受入貫通孔を有する、管継手装置。
【請求項7】
請求項5に記載の管継手部材と、
板状の固定部材、及び該固定部材によって保持され、該管継手部材の各筒状本体にそれぞれ着脱可能に連結されるように相互に平行に配置された複数の対応管継手本体を有する対応管継手部材と、
を備える、管継手装置。
【請求項8】
該対応管継手部材の該固定部材が、該管継手部材と該対応管継手部材とが連結されるときに該管継手部材の該操作部を通す受入貫通孔を有する、請求項7に記載の管継手装置。
【請求項9】
該管継手部材が該管継手本体を2つ備え、該対応管継手部材が該対応管継手本体を2つ備えており、
該操作部が、該管継手部材の該2つの管継手本体の中心を結ぶ線分の中点からずれた位置に設けられ、
該受入貫通孔が、該操作部の位置に対応するように該対応管継手部材の該2つの対応管継手部材の中心を結ぶ線分の中点からずれた位置に設けられている、請求項7又は8に記載の管継手装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する管継手部材を着脱可能に連結する管継手部材、及び管継手部材とそれに着脱可能に連結される対応管継手部材とからなる管継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雌型管継手部材とそれに着脱可能に連結される雄型管継手部材とからなる管継手装置が広く知られている。例えば特許文献1に示されている管継手装置においては、雌型管継手部材が、雄型管継手部材が挿入される流体通路を有する筒状本体と、筒状本体に保持された施錠部材と、筒状本体の外周面上で長手軸線方向に摺動可能に配置されたスリーブとを有し、スリーブを操作することにより、施錠部材を流体通路内に挿入された雄型管継手部材を固定連結する施錠位置と該固定連結を解除する解錠位置との間で変位させるようになっている。このような管継手装置において雌型管継手部材と雄型管継手部材とを連結する際には、雄型管継手部材を雌型管継手部材の流体通路内に挿入する。これにより、施錠部材が雄型管継手部材の外周面に形成された環状係合溝に係合して雄型管継手部材を保持し、またスリーブがスプリングに押圧されて前方に変位して施錠部材を施錠位置に保持する位置となり、連結が完了する。連結を解除する際には、スリーブをスプリングの付勢力に抗して後方に変位させて施錠部材の保持を解除し、雄型管継手部材を雌型管継手部材から引き抜くようにする。スリーブは通常、薄い筒状の部材であり、雌型管継手部材の筒状本体の前端と後端との間の範囲内で変位するように取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−12692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような管継手装置は様々な場所で使用されており、例えば雌型管継手部材が壁の凹部内や他の機器などに隣接した狭い場所に配置されたり、同様な雌型管継手部材に隣接して配置されたりすることがある。そのような場所に配置された場合には、スリーブに手が届きにくくなってスリーブを十分に把持することができず、スリーブの操作性が低下する虞がある。特に頻繁に連結と離脱とを行なう必要がある用途で使用されている場合には、このようなスリーブの操作性の低下により連結解除作業は繁雑なものとなる。
【0005】
そこで本発明は、上述の従来技術の問題に鑑みて、比較的に狭い場所に配置された場合であっても連結解除操作の操作性が低下しないようにすることができる管継手部材、および該管継手部材とそれに対応する管継手部材とからなる管継手装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
対応管継手部材を着脱可能に連結する管継手部材であって、
前端から後端にまで延びる流体通路を有し、対応管継手部材を該前端から該流体通路内に受け入れるようにされた筒状本体と、
該筒状本体に保持され、該流体通路内に受け入れた該対応管継手部材を該筒状本体に固定連結するための施錠部材であって、該対応管継手部材を固定連結する施錠位置と、該固定連結を解除する解錠位置との間で変位可能とされた施錠部材と、
該筒状本体の周囲に配置され、該施錠部材を該施錠位置に保持する連結位置と、該施錠部材が該解錠位置となることを許容する連結解除位置との間で、該筒状本体の長手軸線の方向で該筒状本体に対して変位可能とされた施錠操作部材と、を備え、
該施錠操作部材が、該筒状本体の周方向での一部の位置から該長手軸線の方向で該筒状本体の該前端よりも前方に突出した操作部を有するようにされた、管継手部材を提供する。
【0007】
当該管継手部材においては、施錠操作部材に筒状本体の前端よりも前方に突出した操作部が設けられているため、当該管継手部材が狭い場所に配置された場合であっても前方に突出した操作部を手が届きやすい位置とすることができ、そのような操作部を操作することによって容易に連結を解除することが可能となる。
【0008】
具体的には、
該施錠操作部材が、
該筒状本体の周囲に配置され、該筒状本体の外周面上を該長手軸線の方向で摺動可能とされたスリーブと、
該操作部を有し、該スリーブの外周面上に固定されたスリーブ操作部材と、
を有するようにすることができる。
【0009】
さらに具体的には、該スリーブ操作部材が、該スリーブに固定され該スリーブに対して径方向外側に延びる板状の固定部材と、該固定部材から前方に延びるように該固定部材に固定されて該操作部を構成する棒状の操作部材と、を有するようにすることができる。
【0010】
また、該スリーブを前方に付勢して該施錠操作部材を該連結位置に向かって付勢するスプリングを更に備え、該操作部を該スプリングの付勢力に抗して後方に押し込むことにより該施錠操作部材が該連結解除位置となるようにすることができる。
【0011】
操作部を後方に押し込むことにより連結が解除されるようになっているため、狭い場所での連結解除操作をさらに容易に行なうことが可能となる。
【0012】
さらには、
該筒状本体、該施錠部材、及び該スリーブにより構成される管継手本体を複数備え、
該スリーブ操作部材が、各管継手本体の筒状本体が相互に平行となるように各管継手本体のスリーブを保持するようにすることができる。
【0013】
このような構成により、複数の管継手本体を同時に連結解除することが可能となる。
【0014】
また本発明は、
上述のいずれかの管継手部材と、
該管継手部材の該筒状本体に着脱可能に連結される対応管継手本体、及び該対応管継手本体の外周面上に固定され該対応管継手本体に対して径方向外側に延びる固定部材を有する対応管継手部材と、を備え、
該対応管継手部材の該固定部材が、該管継手部材と該対応管継手部材とが連結されるときに該管継手部材の該操作部を通す受入貫通孔を有する、管継手装置を提供する。
【0015】
さらに本発明は、
上述の複数の管継手本体を備える管継手部材と、
板状の固定部材、及び該固定部材によって保持され、該管継手部材の各筒状本体にそれぞれ着脱可能に連結されるように相互に平行に配置された複数の対応管継手本体を有する対応管継手部材と、
を備える、管継手装置を提供する。
【0016】
好ましくは、該対応管継手部材の該固定部材が、該管継手部材と該対応管継手部材とが連結されるときに該管継手部材の該操作部を通す受入貫通孔を有するようにすることができる。
【0017】
その場合にはさらに、
該管継手部材が該管継手本体を2つ備え、該対応管継手部材が該対応管継手本体を2つ備えており、
該操作部が、該管継手部材の該2つの管継手本体の中心を結ぶ線分の中点からずれた位置に設けられ、
該受入貫通孔が、該操作部の位置に対応するように該対応管継手部材の該2つの対応管継手部材の中心を結ぶ線分の中点からずれた位置に設けられているようにすることができる。
【0018】
このような構成とすることにより、2つの管継手本体同士を逆に連結しようとしたときに操作部と受入貫通孔の位置が一致しなくなり操作部が受入貫通孔に挿入されなくなる。これにより、誤接続をしようとしていることを作業者に認識させることができ、よって誤接続を防止することが可能となる。
【0019】
以下、本発明に係る管継手装置の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の管継手装置の非連結状態における平面図である。
【
図2】
図1の管継手装置の連結状態における平面図である。
【
図3】
図1の管継手装置における雌型管継手部材の正面図である。
【
図4】
図1の管継手装置における雄型管継手部材の正面図である。
【
図6】
図1の管継手装置の連結操作及び連結解除操作を示す第1の図である。
【
図7】
図1の管継手装置の連結操作及び連結解除操作を示す第2の図である。
【
図8】
図1の管継手装置の連結操作及び連結解除操作を示す第3の図である。
【
図9】
図1の管継手装置の連結操作及び連結解除操作を示す第4の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る管継手装置1は、
図1及び
図2に示すように、相互に着脱可能に連結される雌型管継手部材(管継手部材)10と雄型管継手部材(対応管継手部材)70とからなる。
【0022】
雌型管継手部材10は、相互に平行に配置された2つの雌型管継手本体(管継手本体)12と、それらを固定する板状の固定部材14と、固定部材14に固定されて固定部材14から前方(
図1及び
図2で見て下方)に突出する棒状の操作部材16とからなる。
図3に示すように、2つの雌型管継手本体12は水平方向に並べて配置され、操作部材16は2つの雌型管継手本体12よりも上方の位置に配置されている。また雄型管継手部材70は、相互に平行に配置された2つの雄型管継手本体(対応管継手本体)72と、それらを連結して固定する板状の固定部材74とからなる。
図4に示すように、2つの雄型管継手本体72は、雌型管継手本体12と対応するように水平方向に並べて配置され、固定部材74には操作部材16と対応する位置に受入貫通孔76が形成されている。
図2のように雌型管継手部材10と雄型管継手部材70とを連結すると、雌型管継手部材10の操作部材16は雄型管継手部材70の受入貫通孔76内を通る。
【0023】
雌型管継手本体12は、
図5に示すように、前部筒状本体18と後部筒状本体20とからなる筒状本体22と、筒状本体22に形成された施錠部材保持孔24内で径方向に変位可能に保持された球状の施錠部材26と、筒状本体22の外周面22a上で筒状本体22の長手軸線Lの方向で摺動可能に配置されたスリーブ28とを有する。筒状本体22は、後述するように雄型管継手本体72を受け入れる前端30から、チューブ(図示しない)が接続されるチューブ接続部32が設けられた後端34にまで延びる流体通路36を有する。流体通路36内には長手軸線Lの方向で変位可能とされたスライド弁38が配置されている。スライド弁38は、スプリング40によって前方(
図5で見て右方)に付勢されており、雌型管継手部材10と雄型管継手部材70とが連結されていない非連結状態においては、弁シール部材42に密封係合して流体通路36を前端30と後端34との間で閉止している。流体通路36内にはさらに、スライド弁38の前方に配置され施錠部材26を径方向内側から保持するスライド保持部材44が配置されている。このスライド保持部材44は施錠部材26を径方向外側に変位した解錠位置に保持している。また、流体通路36内には、スライド弁38とスライド保持部材44との間に、Oリング46が配置されている。筒状本体22とスリーブ28との間にはスプリング48が配置され、このスプリング48によってスリーブ28は前方に向かって付勢されている。
図5の非連結状態においては、スリーブ28は、前方に面した係止前方面28aが解錠位置に保持された施錠部材26に係合して、図示の連結解除位置に保持されている。
【0024】
雌型管継手部材10の固定部材14は、長手軸線Lの方向に貫通するスリーブ取付孔50を有し、スリーブ取付孔50の内周面50aでスリーブ28の外周面28bを嵌合することにより、スリーブ28の外周面28b上に固定されている。スリーブ取付孔50の内周面50aには後方(
図5で見て左方)に面した段部50bが形成されており、この段部50bがスリーブ28の前端面28cに当接することにより、固定部材14がスリーブ28に対して位置決めされると共にそれ以上後方には変位しないようにしている。固定部材14は、スリーブ28に固定された状態においてスリーブ28に対して径方向外側に延びる板状の部材である。操作部材16は小径部16aと大径部16bとを有する段付の棒であり、小径部16aが固定部材14の操作部材取付孔52内に挿入されるとともに、小径部16aに形成された溝16cに止め輪54を取り付けることによって、固定部材14に固定されている。操作部材16の大径部16bは筒状本体22の前端30よりも前方の位置にまで固定部材14から突出して操作部56を構成している。固定部材14と操作部材16とによりスリーブ28を操作するためのスリーブ操作部材58を構成しており、スリーブ操作部材58の操作部56を操作することによりスリーブ28を長手軸線Lの方向で変位させるようになっている。固定部材14と操作部材16とからなるスリーブ操作部材58は、一体の部材として形成されていてもよい。また、スリーブ操作部材58とスリーブ28とは一体的に長手軸線Lの方向で変位し、施錠部材26を操作するための施錠操作部材60を構成しているが、この施錠操作部材60も、一体の部材として形成されていてもよい。すなわち、固定部材14と、操作部材16と、スリーブ28は、それぞれを別体として作製してもよいし、そのうちの2つ又は全部を一体の部材として作製してもよい。
【0025】
雌型管継手部材10は、筒状本体22の外周面22a上に螺合されているナット62により、壁面や装置などに固定できるようになっている。
図6に示す例示的な使用態様においては、雌型管継手部材10は装置64の凹部66内に配置されていて、ナット62により装置64に固定されている。
【0026】
図6の非連結状態において雄型管継手本体72を雌型管継手本体12の流体通路36内に挿入すると、
図7に示すように、スライド弁38とスライド保持部材44とが雄型管継手本体72に押されて後方に変位する。スライド保持部材44が後退することにより施錠部材26は径方向内側に変位可能な状態となり、雄型管継手本体72の環状係合溝78が長手軸線Lの方向で施錠部材26と整合した位置となると、施錠部材26はスリーブ28に押されて径方向内側に変位して環状係合溝78に係合する施錠位置に変位する。スリーブ28は、係止前方面28aによる施錠部材26との係合が解除され、スプリング48の付勢力により前方に変位して施錠部材26を施錠位置に保持する連結位置となる。雌型管継手本体12の筒状本体22の内周面22bと雄型管継手本体72の外周面72aとはOリング46を介して密封係合され、またスライド弁38が後退することにより雌型管継手部材10の流体通路36は開放される。これにより雌型管継手部材10の流体通路36と雄型管継手部材70の流体通路80とが連通した連結状態となる。雌型管継手部材10と雄型管継手部材70とをこのようにして連結する過程において、操作部材16は、雄型管継手部材70の受入貫通孔76内に受け入れられ、
図7の連結状態においては受入貫通孔76を通って雄型管継手部材70の固定部材74からさらに前方にまで突出した状態となる。
【0027】
図7の連結状態から連結解除を行なう際には、操作部材16の操作部56を後方に押し込むようにする。そうすると、操作部材16と固定部材14とスリーブ28とからなる施錠操作部材60が
図8の連結解除位置となり、施錠部材26が径方向外側に向かって解錠位置にまで変位可能な状態となる。この状態で雄型管継手本体72を前方に引っ張ることにより、
図9に示すように雄型管継手部材70が雌型管継手部材10から引き抜かれて連結が解除される。なお、当該実施形態においては、雄型管継手本体72はスライド弁38を介してスプリング40によって前方に付勢されるため、スリーブ28を連結解除位置(
図8)とすると雄型管継手部材70はスプリング40の付勢力により自動的に前方に押し出されて連結が解除される(
図9)。
【0028】
当該管継手装置1においては、雌型管継手部材10が凹部66のような狭い場所に配置された場合においても、雌型管継手部材10が筒状本体22の前端30よりも前方に突出した操作部56を有しているため、凹部66の外側で操作部56を操作することができるようになり、連結解除操作を容易に行うことが可能となる。また、
図3に示すように、操作部材16は筒状本体22の周方向での一部の位置から前方に延びるように配置されており、その位置は、操作部材16が2つの雌型管継手本体12の中心を結ぶ線分M1の中点C1からずれた位置となっている。また
図4に示すように受入貫通孔76も同様に2つの雄型管継手本体72の中心を結ぶ線分M2の中点C2からずれた位置に配置されている。これにより、雄型管継手部材70を180°反転させて連結しようとしたときに操作部材16が雄型管継手部材70の固定部材74に干渉して連結ができないようになり、誤った向きで連結されることを防止することが可能となる。なお、操作部材16と受入貫通孔76は、
図3及び
図4の位置から上下左右にずらした他の任意の位置とすることができるが、上述のように中点C1、C2からずれた位置とすれば誤った向きでの連結を防止することができる。また、操作部材16の横断面形状とそれに対応する受入貫通孔76の横断面形状は、円形以外の他の形状としても良い。特にそれら断面形状を他の管継手装置とは異なる特有の形状としておけば、当該管継手装置1の雌型管継手部材10に他の管継手装置の雄型管継手部材が誤って連結されてしまうことや、当該管継手装置1の雄型管継手部材70が他の管継手装置の雌型管継手部材に誤って連結されてしまうことを防止することも可能となる。このような構成による誤接続防止機能は、一つの装置に多くの管継手装置が取り付けられている場合に特に有効である。
【0029】
本発明の一実施形態について説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。例えば、雌型管継手本体10と雄型管継手本体72の数は任意に変更可能で有り、それぞれを1つだけ備えるようにしても良いし3つ以上備えるようにしてもよい。また、操作部56を前方に引くことにより施錠操作部材60が連結解除位置となって連結が解除されるようにしてもよい。この場合には操作部56を把持し易いように操作部56をさらに前方に延ばしたり、指を引っ掛けるための突起部又は凹部を設けたりするなどしてもよい。さらには、上記実施形態においては当該管継手部材を雌型の管継手部材とし対応管継手部材を雄型の管継手部材としたが、当該管継手部材を雄型の管継手部とし対応管継手部材を雌型の管継手部材として構成してもよい。
【符号の説明】
【0030】
管継手装置1;雌型管継手部材10;雌型管継手本体12;固定部材14;操作部材16;小径部16a;大径部16b;溝16c;前部筒状部材18;後部筒状部材20;筒状本体22;外周面22a;内周面22b;施錠部材保持孔24;施錠部材26;スリーブ28;係止前方面28a;外周面28b;前端面28c;前端30;チューブ接続部32;後端34;流体通路36;スライド弁38;スプリング40;弁シール部材42;スライド保持部材44;Oリング46;スプリング48;スリーブ取付孔50;内周面50a;段部50b;操作部材取付孔52;止め輪54;操作部56;スリーブ操作部材58;施錠操作部材60;ナット62;装置64;凹部66;
雄型管継手部材70;雄型管継手本体72;外周面72a;固定部材74;受入貫通孔76;環状係合溝78;流体通路80;
長手軸線L;線分M1、M2:中点C1、C2;