(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707508
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】患者に人工呼吸を施すシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20200601BHJP
A61M 16/20 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
A61M16/00 380
A61M16/20 B
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-220646(P2017-220646)
(22)【出願日】2017年11月16日
(65)【公開番号】特開2018-79325(P2018-79325A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】10 2016 013 740.1
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】308011030
【氏名又は名称】ドレーゲルヴェルク アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Draegerwerk AG & Co.KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ウルリヒ ハンスマン
(72)【発明者】
【氏名】マインハート ブレーデル
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ヒルタヴスキ
【審査官】
北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−512716(JP,A)
【文献】
特開2004−298554(JP,A)
【文献】
特開2007−296359(JP,A)
【文献】
特開2014−180304(JP,A)
【文献】
特開2000−014784(JP,A)
【文献】
特開平02−065872(JP,A)
【文献】
特開昭58−054963(JP,A)
【文献】
特表2015−534496(JP,A)
【文献】
特表2015−520648(JP,A)
【文献】
国際公開第00/045883(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に人工呼吸を施すシステム(1)であって、
第1の圧縮ガス源(12)に接続する第1の入口開口(6)と、該第1の入口開口(6)の下流側において前記第1の入口開口(6)と流体連通接続された出口開口(9)と、前記第1の入口開口(6)と前記出口開口(9)との間に配置された第1の制御可能な圧力変更要素(5)と、を有する、ガス通過ユニット(2)と、
前記出口開口(9)の下流側に位置するインタフェース入口開口(10)を有する、人工呼吸を施す患者インタフェースユニット(3)と、
前記出口開口(9)を前記インタフェース入口開口(10)と流体連通接続するガス管路要素(4)と、
前記出口開口(9)の下流側において前記ガス管路要素(4)に配置されており、ベンチュリノズルとして構成されている、室内空気を吸い込むための第2の入口開口(8)と、
前記第1の制御可能な圧力変更要素(5)及び前記第2の入口開口(8)を制御する制御ユニット(7)と、を備え、
流量センサ(19)が、前記第1の制御可能な圧力変更要素(5)と前記出口開口(9)との間に配置されており、
前記第1の入口開口(6)は、前記第1の圧縮ガス源(12)としての酸素圧源と接続されており、前記第2の入口開口(8)は、室内空気源と接続されており、
前記患者インタフェースユニット(3)は、マスク(14)として構成されていて、前記マスク(14)に、2方向で通流可能であって制御可能な圧電ポンプである1つの駆動部(24)を有する呼気弁(15)が配置されており、該呼気弁(15)は前記制御ユニット(7)によって制御可能である、患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【請求項2】
患者に人工呼吸を施すシステム(1)であって、
第1の圧縮ガス源(12)に接続する第1の入口開口(6)と、第2の圧縮ガス源(13)に接続する第2の入口開口(8)と、前記第1の入口開口(6)及び前記第2の入口開口(8)の下流側において前記第1の入口開口(6)及び前記第2の入口開口(8)と流体連通接続された出口開口(9)と、前記第1の入口開口(6)と前記出口開口(9)との間に配置されている第1の制御可能な圧力変更要素(5)と、前記第2の入口開口(8)と前記出口開口(9)との間に配置されている第2の制御可能な圧力変更要素(11)と、を有する、ガス通過ユニット(2)と、
前記出口開口(9)の下流側に位置するインタフェース入口開口(10)を有する、人工呼吸を施す患者インタフェースユニット(3)と、
前記出口開口(9)を前記インタフェース入口開口(10)と流体連通接続するガス管路要素(4)と、
前記第1の制御可能な圧力変更要素(5)及び前記第2の制御可能な圧力変更要素(11)を制御する制御ユニット(7)と、
を備え、
前記第1の入口開口(6)は、前記第1の圧縮ガス源(12)としての酸素圧源と接続されており、前記第2の入口開口(8)は、前記第2の圧縮ガス源(13)としての空気圧源と接続されており、
前記患者インタフェースユニット(3)は、マスク(14)として構成されていて、前記マスク(14)に、2方向で通流可能であって制御可能な圧電ポンプである1つの駆動部(24)を有する呼気弁(15)が配置されており、該呼気弁(15)は前記制御ユニット(7)によって制御可能である、患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【請求項3】
前記圧力変更要素(5)は、微量調整弁である、請求項1または2記載の患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【請求項4】
加湿装置(21)が、前記出口開口(9)と前記インタフェース入口開口(10)との間の前記ガス管路要素(4)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【請求項5】
前記出口開口(9)と前記インタフェース入口開口(10)との間の前記ガス管路要素(4)に、酸素用のガス濃度センサ(18)が配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【請求項6】
前記制御ユニット(7)を操作するユーザインタフェース(16)が、信号コネクション(22)を介して、前記制御ユニット(7)と接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【請求項7】
前記ユーザインタフェース(16)は、スマートフォン、タブレットまたは携帯可能なコンピュータユニットとして構成されており、該スマートフォン、タブレットまたは携帯可能なコンピュータユニットにおいて制御プログラムが、当該システムの、調整するべき値のための入力マスクを提供する、請求項6記載の患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【請求項8】
圧力センサ(23)が、前記患者インタフェースユニット(3)に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【請求項9】
前記ガス管路要素(4)は、5mm〜15mmの直径を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の患者に人工呼吸を施すシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタフェース入口開口を有する、人工呼吸を施す患者インタフェースユニットと、インタフェース入口開口と流体連通接続されたガス管路要素と、制御ユニットと、を備える、患者に人工呼吸を施すシステムに関する。
【0002】
患者の人工呼吸は、病院では、据置式または移動式の機器により実施される。この場合、どの程度良好に患者自身が呼吸できるか否かに応じて、据置式の機器または移動式の機器が使用される。この場合、据置式の機器は、自分ではもはや呼吸することができない、または極端な困難を伴ってしか呼吸することができない患者に使用される。呼吸のために僅かなサポートしか必要としない患者には、移動式の機器が使用される。さらに、移動式の人工呼吸器は、これまで据置式で人工呼吸が施された患者に据置式の人工呼吸器の使用を止めさせるために使用される。
【0003】
据置式の人工呼吸器は、ガス混合器と、圧力/体積制御装置と、セーフティ装置と、エネルギ供給装置と、全体制御装置と、モニタリング装置と、操作装置とを備える。これらは、重量があり、また構造が複雑であって、患者が持ち運びするのに適していない。この場合、人工呼吸は、約18mmの直径を有する使い捨てチューブとマスクとを介して行われる。場合により病原菌が混入した呼気と接触させられた呼気弁が、浄化処理されるかまたは使い捨て品として構成される。パフォーマンスが高い一方で、これらの機器は、大きくて高価である。
【0004】
さらに、連続的な圧力を提供するCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法;continuous positive airway pressure)装置が知られている。さらに、ブレンダ/ガス混合器と、加湿器と、カニューレとを備えるハイフローシステムが知られている。両タイプのこれらの装置は、自分で呼吸することができ、極めて小さな人工呼吸サポートしか必要としない患者に使用される。これらのタイプの装置の欠点は、補助的なサポートと強制的な人工呼吸モードとを許容しないことである。
【0005】
したがって、本発明の課題は、高いパフォーマンスで十分な人工呼吸を提供し、その際、装置技術的な手間が最小限に抑えられるべきである装置またはシステムを提供することである。
【0006】
この課題は、独立請求項の特徴により解決される。好適な改良態様は、従属請求項の対象である。
【0007】
本発明によれば、患者に人工呼吸を施すシステムであって、圧縮ガス源に接続する第1の入口開口と、第1の入口開口と流体連通接続された出口開口とを有する、ガス通過ユニットと、インタフェース入口開口を有する、人工呼吸を施す患者インタフェースユニットと、出口開口をインタフェース入口開口と流体連通接続するガス管路要素と、第1の入口開口とインタフェース入口開口との間の第1の制御可能な圧力変更要素と、ガス管路要素と流体連通接続された第2の入口開口と、制御可能な圧力変更要素を制御する制御ユニットと、を備える、患者に人工呼吸を施すシステムが設けられている。
【0008】
第1の入口開口を有するガス通過ユニットとインタフェース入口開口を有する患者インタフェースユニットとの間の制御可能な圧力変更要素により、ガス通過ユニットと患者インタフェースユニットとの間に圧力差が形成される。このようにすると、ガス通過ユニットに高い圧力を加えることが可能であり、この場合、患者インタフェースユニットに低い圧力が加えられている。この場合、たとえば酸素ガス瓶または酸素圧供給部が、第1の入口開口と接続されてよい。この場合、ガス通過ユニットに、初めは患者による吸入に適していない高い圧力が作用する。制御可能な圧力変更要素を用いて、このような高い圧力は、患者インタフェースユニットの側で、患者インタフェースユニットにより呼吸する患者に快適に人工呼吸を施すことができるまで低下させられる。ガス通過ユニットの側における圧力変動は、制御可能な圧力変更要素を用いて調整されるので、患者インタフェースユニットにそれぞれ生理学的に有意義な圧力が作用する。したがって、ガス通過ユニットと患者インタフェースユニットとの間に圧力変更要素を使用することにより、任意の圧力源を、患者の人工呼吸のために使用することができる。これにより、たとえば病院全体に圧縮空気または圧力下にある酸素を提供する壁付け供給ユニットを、患者の人工呼吸のために使用することができる。この場合、補助的なまたは強制的な人工呼吸を行うことができる。呼吸に際して大きなサポートを必要とする患者でさえも、本発明により、高いパフォーマンスで確実に人工呼吸を施すことができる。
【0009】
さらに本発明は、患者にこの高いパフォーマンスで移動式に人工呼吸を施すことができることを可能にする。というのも、圧縮空気瓶を使用する場合、患者用ベッドとともに圧縮空気瓶だけを持ち運べばよいからである。背景技術とは異なり、これからはもはや、重量があり、継続的な給電も必要とする人工呼吸器全体を移動させる必要がない。CPAP装置またはハイフロー機器とは異なり、これからは、呼吸に際して大きなサポートが必要である患者や、強制的に人工呼吸を施さなければならない患者でさえも移動可能である。
【0010】
それゆえ、本発明により、高い十分な人工呼吸パフォーマンスで、装置技術的な手間が最小限に維持される。これにより、従来慣用のガス源を、人工呼吸器に依存せずに使用することができる。しかも、パフォーマンスは、従来慣用の人工呼吸器と同様であるが、本発明に係るシステムは、より小さく、より軽量であり、より低コストであり、かつより簡単に操作することができる。
【0011】
好適には、圧力変更要素は、微量調整弁である。この場合、微量調整弁において、ガス通過ユニットと患者インタフェースユニットとの間の圧力が低下する。ガス流量が存在しない場合には、微量調整弁において圧力低下が生じないので、マスクに通じる管路に、つまり微量調整弁と第1の入口開口との間に、高い圧力が生じる。再びガスがマスクの方向へ流れることができると、直ちに高い圧力が素早く解消される。これにより、単純な故障時の患者に対する危険性を排除することができる。択一的に、制御可能な圧力変更要素は、高速の減圧器として構成されてよい。
【0012】
好適には、患者インタフェースユニットは、インタフェース出口開口を有し、インタフェース出口開口は、制御可能なガス出口弁を有し、かつインタフェース入口開口と流体連通接続されている。
【0013】
好適には、第2の入口開口は、ガス管路要素に配置されている。この場合、第2の入口開口は、ベンチュリノズルとして構成されてよい。
【0014】
好適には、第2の入口開口は、択一的に、ガス通過ユニットに配置されてよい。これにより、第2の高圧源が、ガス通過ユニットに接続されてよい。第1の入口開口および第2の入口開口に異なるガスまたはガス混合物が導入されるとき、両方のガスまたはガス混合物を、ガス通過ユニット内で、出口開口への経路中に互いに混合することができる。これにより、生理学的に有意義なガス混合物を患者に提供することができる。
【0015】
好適には、第2の制御可能な圧力変更要素が、第2の入口開口とインタフェース入口開口との間に配置されていて、かつ流体連通接続されている。
【0016】
加湿装置が出口開口とインタフェース入口開口との間に配置されていると、さらに好適であり得る。出口開口とインタフェース入口開口との間でガス経路内に加湿装置を配置することにより、ガス瓶または壁付け供給ユニットからの乾燥した空気を加湿することができる。さらに、患者に、生理学的に有意義に用意された呼吸空気を供給することができる。加湿装置は、好適には、ガス管路要素と接続されている。
【0017】
好適には、出口開口とインタフェース入口開口との間に、好適には酸素用のガス濃度センサが配置されてよい。ガス濃度センサにより、特定のガス、たとえば酸素に対して濃度を測定することが可能で、次いで、制御ユニットと制御可能な圧力変更要素とにより、患者に供給されるべき濃度に調節することができる。
【0018】
流量センサを出口開口とインタフェース入口開口との間に配置すると、さらに好適であり得る。流量センサにより、出口開口とインタフェース入口開口との間のガス流量を測定することができる。
【0019】
好適には、第1の入口開口は、酸素圧源と接続されている。さらに好適には、第2の入口開口は、室内空気圧源または室内空気源と接続されている。このようにすると、室内空気に圧力下で酸素を添加して、患者に供給することができる。
【0020】
患者インタフェースユニットをマスクとして、好適には鼻マスクとして構成すると好適である。このようにすると、患者は快適に呼吸することができる。
【0021】
さらに好適には、制御ユニットを操作するユーザインタフェースが設けられており、ユーザインタフェースは、信号コネクションを介して、制御ユニットと接続されてよい。この場合、信号コネクションは、有線または無線により確立することができる。
【0022】
好適には、ユーザインタフェースは、スマートフォンとして構成されており、スマートフォンにおいて制御プログラムが、システムの、調整するべき値のための入力マスクを提供する。このようにすると、看護スタッフによって、または患者自身によっても指導の下で操作することができる入力マスクを簡単に提供することができ、入力マスクは、看護スタッフによって、または患者自身によっても指導の下で操作することができる。スマートフォンの代わりに、タブレットまたは他の携帯可能なコンピュータユニットがユーザインタフェースとして使用されてよい。同様に、簡単なタッチスクリーンがユーザインタフェースとして使用されてよい。
【0023】
好適には、圧力センサが、患者インタフェース要素に配置されている。この場合、制御可能な圧力変更要素を、制御ユニットにより、圧力センサの信号に基づいて調整することができる。このようにすると、人工呼吸を施すシステムは、入口開口における入口圧力に依存せずに動作することができる。
【0024】
さらに好適には、ガス管路要素は、5mm〜15mm、好適には10mmの自由直径を有してよい。圧力変更要素による圧力の調整により、出口開口とインタフェース入口開口との間のガス管路要素の直径によりもたらされる圧力低下を、出口開口における相応のより高い圧力により調整することができる。したがって、ガス管路要素の直径は、柔軟であり、特に背景技術における直径よりも小さく選択することができる。これにより、背景技術で使用されるガス管路要素よりも薄いガス管路要素を使用することができる。ガス管路要素は、柔軟でありかつ軽量である。患者にとって、より柔軟でより薄くひいてはより軽量のガス管路により移動が容易になる。
【0025】
以下、本発明を、添付の図面につき、好適な実施の態様を用いて詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】2つの壁付け供給源に接続された、人工呼吸を施すシステムの概略図を示す。
【
図2】壁付け接続部とベンチュリノズルとを有する、人工呼吸を施すシステムの概略図を示す。
【0027】
以下、人工呼吸を施すシステムは、その全体に参照符号1を用いて示されている。
【0028】
システム1は、ガス通過ユニット2と、患者インタフェースユニット3と、ガス管路要素4とを備える。このシステム1では、ガス管路要素4は、ガス通過ユニット2の出口開口9を、患者インタフェースユニット3のインタフェース入口開口10と流体連通接続している。
【0029】
さらに、ガス通過ユニット2は、第1の入口開口6と第2の入口開口8とを有する。第1の入口開口6および第2の入口開口8は、出口開口9と流体連通接続されている。この場合、第1の入口開口6と出口開口9との間に、第1の制御可能な圧力変更要素5が配置されている。制御可能な圧力変更要素5は、高速の減圧器として、または高速の微量調整弁として構成されてよい。第1の制御可能な圧力変更要素5は、第1の入口開口6における高い圧力を、出口開口9における、第1の入口開口6における圧力よりも低い圧力へ変更する。
【0030】
さらに、第2の入口開口8と出口開口9との間に、第2の制御可能な圧力変更要素11が配置されている。第2の制御可能な圧力変更要素11は、第2の入口開口8における高い圧力を、出口開口9における、第2の入口開口8における圧力よりも低い圧力へ変更する。
【0031】
したがって、第1の入口開口6および第2の入口開口8に、それぞれ1つの高圧ガス源12,13が接続されてよい。その高圧ガス源は、
図1では、酸素圧源12として第1の入口開口6と接続されていて、また空気圧源13として、第2の入口開口8と接続されている。
【0032】
制御可能な圧力変更要素5,11により、第1の入口開口6および第2の入口開口8における高い圧力が、生理学的に有意義な圧力へ変更される。次いで、この生理学的に有意義な圧力は、出口開口9とガス管路要素4とを介して、患者インタフェースユニット3に加えられる。圧力変動または圧力の低下は、制御可能な圧力変更要素5,11により補整されるので、出口開口9に、常時、同一の圧力が加えられるか、または常時、生理学的に有意義な圧力が加えられ、次いで、この圧力は、患者インタフェースユニット3へ移送される。このようにすると、簡単な手段を用いて、十分な人工呼吸を保証することができる。
【0033】
さらに、制御可能な圧力変更要素5,11により、出口開口9における、つまり患者インタフェースユニット3における圧力を変更することができる。このようにすると、吸気段階における高い圧力と、呼気段階における低い圧力とを患者に使用することができる。入口開口6,8に最低圧力が存在する間は、制御可能な圧力変更要素5,11により、患者に人工呼吸を施すことができる。
【0034】
患者に対するインタフェースは、患者インタフェースユニット3を介して形成される。患者インタフェースユニット3は、マスク14を有し、マスク14は、患者の顔に当てられ、患者の少なくとも鼻を囲う。択一的に、マスク14は、患者の少なくとも口を囲ってよい。
【0035】
さらに、患者インタフェースユニット3は、制御可能な呼気弁15を有する。この場合、呼気弁15は、マスク14に配置されている。
【0036】
図3によれば、呼気弁15は、駆動部24を有し、駆動部24は、制御圧チャンバ30に作用し、その際、制御圧チャンバ30の1つの壁が、呼気弁15の弁開口32に作用する。
【0037】
呼気弁15の駆動部24は、圧電ポンプであり、圧電ポンプは、2方向で通流可能である。圧電ポンプは、ポンプ開口27を有するポンプチャンバ26を備える。ポンプチャンバ26の1つの壁は、ダイヤフラム25として構成されており、ダイヤフラムに、振動する圧電素子が作用する。振動は、制御可能な交流により生じさせることができる。本態様では、交流は、約25kHzの周波数を有する。
【0038】
ポンプ開口27は、2つの終端開口28,29を有するポンプ管路31に配置されている。第1の終端開口28は、制御圧チャンバ30に配置されている。第2の終端開口29は、周辺部と流体連通接続されている。駆動部24がスイッチオンされると、圧電素子の振動が、ダイヤフラム25の振動を引き起こす。これにより、ポンプチャンバ26の容積が、振動により増減される。ポンプチャンバ26の縮小時、ポンプ開口27から流体が真っ直ぐな流れで吐出される。この場合、ポンプ開口27から流出する流体は、ポンプ管路31内に、制御圧チャンバ30へ向けて方向付けられた流れを生じさせる。駆動部24がスイッチオフされていると、ポンプ管路31内に方向付けられた流れが存在しないので、制御圧チャンバ30は、ポンプ管路31を介して、周辺部と接続されていて、制御圧チャンバ30と周囲との間の圧力補整を行うことができる。
【0039】
システム1は、さらに、制御ユニット7を有し、制御ユニット7は、信号コネクション又は線路22を介して、制御可能な圧力変更要素5,11と呼気弁15とに接続されている。信号線路22を介して、制御ユニット7は、制御可能な圧力変更要素5,11と呼気弁15とを制御する。
【0040】
ユーザインタフェース16を用いて制御ユニット7を操作することができる。ユーザインタフェース16を介して、ユーザは、パラメータを制御ユニット7へ伝送することができる。パラメータは、たとえば人工呼吸に関連する特性量の目標値または境界値であってよい。この場合、ユーザインタフェース16は、スマートフォンまたはタブレットとして構成されてよい。別の択一的な態様では、ユーザインタフェース16は、タッチスクリーンまたは別の適切な機器として構成されてよい。
【0041】
スマートフォンまたはタブレットとして構成されたユーザインタフェース16を、看護スタッフは持ち運ぶことができる。この場合、スマートフォンまたはタブレットにおけるコンピュータプログラムが、制御ユニット7との通信を担う。これにより、コンピュータプログラムが一義的に特定のシステム1に対応付けられた通信信号をそれぞれのシステム1と交換することで、看護スタッフは、ユーザインタフェース16を用いて、人工呼吸を施す複数のシステム1を制御することもできる。さらに、スマートフォンまたはタブレットとして構成されたユーザインタフェース16を用いて、システム1を遠隔制御することもできる。さらに、患者が呼吸に際してシステム1による多少のサポートを必要とするとき、患者は、ユーザインタフェース16を用いて微調整を行うことができる。
【0042】
さらに、ガス管路要素4は、加湿モジュール21を有し、加湿モジュール21は、患者インタフェースユニット3へ案内される呼吸空気を加湿する。その理由は、壁付け供給部またはガス瓶から取り出された空気は、通常は極めて乾燥していて、したがって患者には適していないことにある。したがって、生理学的に有意義な湿気を、患者へ導かれる呼吸空気に与えるのに、加湿が必要である。
【0043】
さらに、ガス管路要素4は、ガス濃度センサ18を有する。ガス濃度センサ18は、本態様では、酸素を検出するように構成されている。これにより、患者インタフェースユニット3に供給される呼吸空気内の酸素濃度を測定することができる。ガスセンサ18は、測定データを制御ユニット7へ伝送し、制御ユニット7は、これに基づき、測定された酸素濃度が所望の酸素濃度に一致するか検査する。差異が存在する場合、制御ユニット7は、所望のガス濃度を得るために、制御可能な圧力変更要素5,11をどのように調整しなければならないのかを求める。これは、択一的には、調整回路を介して行われてよい。次いで、信号線路22を介して、制御可能な圧力変更要素5,11は、適当な形で制御ユニット7により制御される。
【0044】
ガス管路要素4は、10mmの直径を有するチューブとして構成されている。このような直径を有するチューブは、18mmの直径を有する従来慣用のチューブよりも軽量でありかつ柔軟である。チューブ直径に起因する圧力低下を、ガス通過ユニット2の出口開口9における相応のより高い圧力によって補う、制御可能な圧力変更要素5,11により、より小さな直径が可能になる。
【0045】
この場合、さらに、圧力センサ23が、患者インタフェースユニット3に配置されており、圧力センサ23は、インタフェース入口開口10における圧力を測定する。圧力センサ23は、信号コネクション22を介して、制御ユニット7と接続されていて、制御ユニット7へ、求められた圧力信号を伝送する。圧力信号を用いて、制御ユニット23は、制御可能な圧力変更要素5,11を相応に制御することにより、ガス管路要素4内の圧力低下を補整することができる。
【0046】
制御ユニット7は、さらに、蓄電池として構成されてよいエネルギ源要素17を有する。これにより、制御ユニットは、給電網に依存せずに動作することができる。ユーザは、ユーザインタフェース16を介して、制御ユニット7を、特定のパラメータへ調整することができる。
【0047】
図2には、システム1の択一的な実施の態様が示されている。
図2によれば、人工呼吸を施すシステム1は、第1の入口開口6を有するガス通過ユニット2を備える。第1の入口開口6は、酸素圧源12と流体連通接続されている。さらに、ガス通過ユニット2は、出口開口9を有する。出口開口9は、第1の入口開口6と流体連通接続されている。第1の入口開口6と出口開口9との間に、第1の制御可能な圧力変更要素5が配置されている。
【0048】
出口開口9に、ガス管路要素4が接続されており、ガス管路要素4は、ガス通過ユニット2を患者インタフェースユニット3と流体連通接続している。この場合、ガス管路要素4は、患者インタフェースユニット3において、インタフェース入口開口10に流体連通接続されている。
【0049】
ガス管路要素4は、さらに、ベンチュリノズルの態様の第2の入口開口8を有する。ガス管路要素4とベンチュリノズルとを通流するガス流により、第2の入口開口8を通って室内空気がガス管路要素4に吸い込まれる。これにより、酸素と室内空気との混合物が生成される。
【0050】
図2による患者インタフェースユニット3は、
図1による患者インタフェースユニット3に相応して構成されている。
【0051】
さらに、ガス通過ユニット2は、流量センサ19を有し、流量センサ19は、第1の制御可能な圧力変更要素5と出口開口9との間のガス流量を検出する。ガス流量の値は、表示要素20へ伝送される。表示要素20は、ガス流量を表示する。
【0052】
さらに、流量センサ19の信号は、制御ユニット7へ伝送される。この信号を用いて、制御ユニット7は、第1の制御可能な圧力変更要素5を制御する。さらに、制御ユニット7は、ベンチュリノズルと第2の入口開口8とを監視し、場合により第2の入口開口8の大きさを制御する。呼気弁15も、制御ユニット7により制御することができる。
【0053】
このようにすると、低コストの高圧源を用いて、人工呼吸を施すべき患者に対して高いパフォーマンスで十分な人工呼吸を行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 システム
2 ガス通過ユニット
3 患者インタフェースユニット
4 ガス管路要素
5 第1の制御可能な圧力変更要素
6 第1の入口開口
7 制御ユニット
8 第2の入口開口
9 出口開口
10 インタフェース入口開口
11 第2の制御可能な圧力変更要素
12 酸素圧源
13 空気圧源
14 マスク
15 呼気弁
16 ユーザインタフェース
17 エネルギ源要素
18 ガス濃度センサ
19 流量センサ
20 表示要素
21 加湿モジュール
22 信号コネクション
23 圧力センサ
24 駆動部
25 ダイヤフラム
26 ポンプチャンバ
27 ポンプ開口
28 第1の終端開口
29 第2の終端開口
30 制御圧チャンバ
31 ポンプ管路
32 弁開口