特許第6707527号(P6707527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707527
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】タイダル腹膜透析治療を実行する装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   A61M1/28 130
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-512386(P2017-512386)
(86)(22)【出願日】2015年9月3日
(65)【公表番号】特表2017-526453(P2017-526453A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】EP2015001783
(87)【国際公開番号】WO2016034287
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】102014013229.3
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ クラウス
(72)【発明者】
【氏名】グリースマン エーリク
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−537087(JP,A)
【文献】 特表2007−508101(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0165847(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にタイダル腹膜透析治療を実行する装置であって、前記透析治療は、それぞれが充填期間、滞留期間、及び排液期間を有する一連のサイクルを含み、前記装置は、前記充填期間において、特定のインフロー容積の新鮮な透析液を、特定の患者容積に到達するまで前記患者の腹腔に充填し、前記排液期間において、特定のタイダルアウトフローターゲットに到達するまで、使用された透析液を前記患者の腹腔から排液するのに適する少なくとも1つのサイクラーを有し、前記装置は、少なくとも1つの動作モードにおいて、タイダルアウトフローターゲットに到達する前に排液期間を終了させることによって、許容される残留容積が前記腹腔内に残り、それから充填期間にスイッチオーバーがなされるよう、前記サイクラーを制御する少なくとも1つのプロセッサをさらに有し、前記充填期間の完了時には、患者の充填容積が、前記特定の患者容積より大きい、許容される患者容積に存在するよう、前記充填期間が実行され
前記排液期間が終了する時のスイッチオーバー値は、タイダルアウトフローターゲットの、又は特定のインフロー容積の特定のパーセンテージになり、前記パーセンテージは、前記タイダルアウトフローターゲットの、又は前記特定のインフロー容積の0より大きく60%以下の範囲にあるように前記プロセッサが構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記範囲が10から50%の範囲である
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記許容される残留容積及び/又は前記許容される患者容積が調節できることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記許容される残留容積及び前記許容される患者容積は、互いに独立して調節できることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記動作モードの選択がタイダルアウトフローターゲットに到達したかに依存するよう構成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
排液期間が終了する時刻が少なくとも1つのパラメータに依存し、前記パラメータは、貯留された容積、排液期間中のフローレート、及び患者の腹腔内の圧力のうちの少なくとも1つであるように前記プロセッサが構成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
許容される患者容積又は充填期間の過程内で追加され容積、特定の患者容積の、又は特定のインフロー容積の、100から150%の範囲にあるように前記プロセッサが構成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
許容される患者容積又は充填期間の過程内で追加される容積が、特定の患者容積の、又は特定のインフロー容積の、100から130%の範囲にあるように前記プロセッサが構成されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
許容される患者容積又は充填期間の過程内で追加される容積が、特定の患者容積の、又は特定のインフロー容積の、100から120%の範囲にあるように前記プロセッサが構成されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイダル腹膜透析治療を患者に対して実行する装置に関し、前記透析治療は、それぞれが充填期間、滞留期間、及び廃液期間を有する一連のサイクルを含み、前記装置は、前記充填期間において、特定の(bestimmten)インフロー容積の新鮮な透析液を、特定の患者の容積に到達するまで前記患者の腹腔に充填し、前記廃液期間において、特定のタイダルアウトフローのターゲットに到達するまで、使用された透析液を前記患者の腹腔から廃液するのに適する少なくとも1つのサイクラーを有する。
【背景技術】
【0002】
腹膜透析の過程では、充填期間において治療されるべき患者の腹腔内へ透析液が導入される。この透析液は、滞留期間の間そこに留まり、その期間に患者の血液と物質移動が起こり、血液が浄化される。滞留期間が終わると、透析液は、廃液期間の間に再び廃液される。
【0003】
この手順は、順次続くサイクルの複数回にわたって繰り返される。いわゆるサイクラーは、この目的を果たす。すなわちサイクラーは、透析液を腹腔に充填し、腹腔から廃液する連続するステップを実行する1つ以上のポンプを備える。
【0004】
腹膜透析法は、先行技術で知られており、それは廃液期間の間に透析液が完全に廃液される。いわゆるタイダル腹膜透析治療も知られており、これは、初期充填容積が導入され、しかしそれぞれの場合において、この充填容積の一部だけが廃液期間の間に廃液される。すなわち、一定量の透析液は、完全に処置が終わるまで常に患者の中にある。よってサイクラーは、特定のタイダルアウトフローターゲットに到達するまで廃液期間が行われるように、すなわち腹腔から特定の容積の透析液が除去されるまでの間に運用される。使用された透析液のこの特定の除去された容積は、本発明の枠組みの中でタイダルアウトフローターゲットと呼ばれる。
【0005】
図4は、公知のタイダル腹膜透析治療のステップのタイムシーケンスを示す。縦軸は患者内の透析液の容積を示し、横軸は時間を示す。
【0006】
開始時においてステップ1では、腹腔をある容積の透析液で充填することが行われる。特定の滞留期間Vの後、使用された透析液は、廃液期間Aの間、特定のタイダルアウトフローターゲットに到達するまで腹腔から廃液される。図4からわかるように、ここで示された例では、廃液期間Aの過程で約1600ml(2700ml−1100ml)が廃液される。よってこの例では、タイダルアウトフローターゲットは、1600mlである。腹腔に特定のインフロー容積(ここでは同様に1600ml)でさらに充填することが、廃液期間Aに続いて充填期間Fの間に、腹腔内で特定の患者の容積、すなわち透析液の特定容積に達するまで行われる。示される例では、この容積は2700mlになる。
【0007】
透析液は、サイクルを何回か実行した後に腹腔から完全に抜かれる(ステップ2)。
【0008】
タイダルの処方においては、交換量、すなわち廃液期間の過程で患者から取り除かれる透析液の量は、プリセットされる(量制御されたアウトフロー)。固定されて予め定められた量が、このようにしてドレインへと廃液される。図4からさらにわかるように、この量は、ベースサイクル(ステップ1及び2)で交換される量と比較して低減されている。これは、通常は夜間になされるAPD治療(APD=自動腹膜透析)の間のアラーム最小化又はアラーム回避の理由のために、多くの応用例で用いられる。
【0009】
個々のタイダルサイクルの交換量を低減することは、透析液の交換量の低減をもたらす。それにもかかわらず特定の治療時間の間に所定量の透析液を供給できるようにするために、個々の滞留期間Vは短く維持され、サイクルの回数はそれに応じて多くなるように選択される。よって公知のタイダル腹膜透析治療においては、短い滞留時間、低いアウトフロー量、及び供給された透析液の間に妥協がある。この妥協は、透析の効率に直接的な影響を及ぼす。
【0010】
腹膜透析治療は、EP 1 691 863 B1によって知られており、ここでは廃液レートを表す廃液期間の間にパラメータが検出される。廃液期間は、このパラメータの値の実質的な変化の検出と共に終了され、充填期間へのスイッチオーバーがなされる。記載された処置は、新鮮な透析液の残留量が、治療の最後においてもまだ残っているという結果をもたらし得る。すなわち治療時間の終わりにおいて、この液を利用できるようにするためにはさらなるサイクルが治療に追加されなければならないということになる。さらにこの処置は、原則として、腹腔内の透析液の滞留時間の短縮につながる。
【0011】
もしタイダルアウトフローターゲットに到達できなければ、後続のサイクルのインフロー量は、患者内の容積の累積を避けるために、それに応じて低減される。インフロー量の低減は、予め定められた治療時間を持つ透析液の完全な利用にはつながらない、すなわち所与の透析液の総量を供給することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の根底にある目的は、大量の交換量、すなわち患者に供給される大量の透析液が治療の過程において注液される初期に命名された種類の装置をさらに開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、図1の特徴を有する装置によって達成される。
【0014】
したがって以下のものが提供される。すなわち、腹膜透析装置として構成される装置は、少なくとも1つの動作モードにおいてサイクラーを制御することによって、廃液期間がタイダルアウトフローターゲットに到達する前に終了され、それから充填期間へと切替がなされることによって、許容される残留容積が前記腹腔内に残り、充填期間が実行されることによって患者の充填容積が、充填期間の完了時に、特定の患者容積より大きい、許容される患者容積に留まるようにする、少なくとも1つのプロセッサをさらに有する。
【0015】
タイダルアウトフローターゲット及び/又は特定のインフロー容積及び/又は特定の患者容積は、固定して予め規定された値であるか、又は使用者側で変化され得る値である。これらは、ユニットの1つ以上のメモリに好ましくは記憶される。
【0016】
よって本発明による容積管理においては、廃液期間は、アウトフロー容積の制限又はアウトフロー容積の範囲に到達した時に終了される。この制限/範囲は、タイダルアウトフローターゲットよりも大きい。よって廃液は、装置の少なくとも1つの動作モードにおいて、サイクルの処方されたタイダルアウトフローターゲットに到達するまで行われないが、廃液期間は、むしろ既に以前に中止され、新しい注液期間に切替がなされる。
【0017】
さらにこれに続く充填期間においては、特定の患者容積に対して増加された最大患者容積、すなわち患者内の透析液の増大された最大容積が容認される。よって許容される患者容積は、慣例的になされるタイダル腹膜透析治療の特定の患者容積よりも大きい。最初に命名された例については、例えば、特定の患者容積は2700mlであり、許容される患者容積は3000mlである。
【0018】
このようにして、高い交換容積(タイダルアウトフロー容積)と、アラーム回避又はアラームの低頻度の目的との両方が達成され得る。
【0019】
好ましくは、許容される残留容積及び/又は許容される患者容積が調節され得る。本発明によれば、廃液期間は、少なくとも1つの動作モードにおいて、タイダルアウトフローターゲットに到達する前に中止されるので、腹腔内に残留する透析液の容積がより多くなり、本発明の枠組みの中で、この容積は残留容積と呼ばれる。
【0020】
もしこの許容される残留容積及び許容される患者容積が互いに独立して設定され得るなら、特に優位性を有する。これらの値を独立して個別に調節できることは、患者への治療を理想的に適応させることができる。
【0021】
好ましくは、本発明による廃液期間の中止、及び本発明による許容される患者容積までの後続する充填、すなわち容積管理は、必要に応じてのみ使用される。これは、もしタイダルアウトフローターゲットに到達しないか、又は廃液期間の開始からある特定の時間期間内に到達しないことがわかった場合であり得る。
【0022】
よってプロセッサは、動作モードの選択がタイダルアウトフローターゲットの到達に依存してなされるよう構成されることが考えられる。もしタイダルアウトフローターゲットに到達しないか、又は特定の時間期間内に到達しないかがわかったなら、本発明による動作モードが選択され、そこでは、廃液期間はタイダルアウトフローターゲットの到達の前に中止され、充填期間において、特定の患者容積より大きい、許容される患者容積になるまで充填がなされる。しかしもしタイダルアウトフロー時間に到達したことがわかったなら、装置は、これらの対応なしで、すなわち図4に示されるように従来のように、実行され得る。この場合、廃液期間から充填期間への切替は、タイダルアウトフロー容積の到達の前にはなされず、むしろその到達とともになされ、充填期間における充填は、特定の患者容積より上ではなされず、それに達してからなされる。
【0023】
本発明の実施形態において、プロセッサは、廃液期間が終了される時刻が少なくとも1つのパラメータに依存するよう構成される。少なくとも1つのセンサが設けられて測定されるこのパラメータは、到達された廃液容積及び/又は廃液期間の透析液のフローレート及び患者の腹腔内の圧力であり得る。
【0024】
プロセッサは、廃液期間が終了するスイッチオーバー値がタイダルアウトフローターゲットの、すなわち処方による廃液期間中に除去されるべき特定のインフロー容積の、特定のパーセンテージになるように構成され得て、好ましくは、このパーセンテージは、タイダルアウトフローターゲットの、つまり特定のインフロー容積の、0から60%の範囲にあり、好ましくは10から50%の範囲にある。もし10%の値が想定され、かつもしタイダルアウトフローターゲットが1lになるなら、この制限値は、100mlの値を採用することになる。これは、900ml(1l−100ml)のアウトフロー容積では、すなわちタイダルアウトフローターゲットの到達の前100mlにおいて、スイッチオーバーがなされることを意味する。
【0025】
最大インフロー容積の0から60%の範囲、好ましくは10から50%の範囲において、例えば、廃液期間が中止される下側スイッチオーバーポイントが提供され得る。したがって1lのインフロー容積、又はタイダルアウトフローターゲットでは、スイッチオーバーポイントは、所与の廃液容積のうちの100から500mlの範囲にある。よって、500mlから900mlの使用された透析液が廃液期間中に除去されたら、スイッチオーバーがなされ得て、すなわち廃液期間が終了され得る。
【0026】
さらにプロセッサは、許容される患者容積、つまり充填期間の過程内で増された容積が、特定の患者容積の、又は特定のインフロー容積の、100から150%の範囲にあり、好ましくは100から120%の範囲にあり、特に好ましくは100から130%の範囲にあるように構成される。100%(100%=いかなる追加の患者容積も容認されない)から150%までの最大に許容される容積が、上側範囲として、すなわち上側スイッチオーバーポイントとして容認される。すなわち1lの処方されたインフロー容積の場合、最大1.5lの累積インフロー容積まで、さらなる透析液が本発明のこの実施形態では追加され得る。
【0027】
さらに本発明は、患者にタイダル腹膜透析治療を実行する方法に関し、この治療は、それぞれが充填期間、滞留期間、及び廃液期間を有する一連のサイクルを含み、前記方法は、通常動作における前記充填期間において、特定のインフロー容積の新鮮な透析液を、特定の患者容積に到達するまで前記患者の腹腔に充填し、前記廃液期間において、特定のタイダルアウトフローターゲットに到達するまで、使用された透析液を前記患者の腹腔から廃液する方法であって、前記廃液期間は、通常動作とは異なる少なくとも1つの動作モードにおいて、タイダルアウトフローターゲットに到達する前に終了させられることによって、許容される残留容積が前記腹腔内に残り、それから充填期間にスイッチオーバーがなされ、前記充填期間は、前記充填期間の完了時には、患者の充填容積が、前記特定の患者容積より大きい、許容される患者容積に存在するよう、実行される。
【0028】
好ましくは、許容される残留容積及び/又は許容される患者容積が調節され得る。もし許容される残留容積及び許容される患者容積が互いに独立して設定され得るなら優位性を有する。したがってこれは、スイッチオーバーポイント(廃液期間から充填期間への下側スイッチオーバーポイント及び/又は充填期間から滞留期間への上側スイッチオーバーポイント)のうちの1つ又はそれらの両方に当てはまる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態においては、動作モードの選択は、タイダルアウトフローターゲットの到達に依存してなされる。もしタイダルアウトフローターゲットに到達するか、又はもし特定の時間期間内に到達するなら、廃液期間の中止がなされ、特定の患者容積を超えて患者に注液される容積が増加される。しかしもしそうでないなら、本発明による方法が使用されることになる。
【0030】
廃液期間が終了される時刻は、少なくとも1つのパラメータに依存し、このパラメータは、以下の値のうちの1つ以上であり得る。すなわち、到達された廃液容積、廃液期間中のフローレート、及び患者の腹腔内の圧力である。
【0031】
廃液期間が終了する時のスイッチオーバー値は、タイダルアウトフローターゲットの、又は特定のインフロー容積の特定のパーセンテージになり、好ましくは、このパーセンテージは、タイダルアウトフローターゲットの、又は特定のインフロー容積の好ましくは0から60%の範囲にあり、好ましくは10から50%の範囲にある。
【0032】
さらに、許容される患者容積又は充填期間の過程内で追加された容積は、特定の患者容積の、又は特定のインフロー容積の、100から150%の範囲にあり、好ましくは100から120%の範囲にあり、特に好ましくは100から130%の範囲にある。
【0033】
本発明のさらなる詳細及び優位性は、図面に示される実施形態を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】下側スイッチオーバーポイントを持つタイダル腹膜透析治療のタイムスケジュールである。
図2】上側及び下側のスイッチオーバーポイントを持つタイダル腹膜透析治療のタイムスケジュールである。
図3】アウトフロー及びインフロー中の増大された容積容認における、重ね合わせられたスイッチオーバーポイントの印を持つ、下側スイッチオーバーポイントを持つタイダル腹膜透析治療のタイムスケジュールである。
図4】先行技術によるタイダル腹膜透析治療のタイムスケジュールである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、直線Uのかたちで重ね合わせられたより低い量の管理制限を持つ、図4に従うタイダル腹膜透析治療の時間展開を示す。この直線は、スイッチオーバーポイント(Umschaltpunkt)、つまり本発明による動作モードに従って廃液期間中に、この値よりも下になれば、次の充填期間へのスイッチオーバーが起こる、容積値を表す。図1からわかるように、この直線は、先行技術による処置でのスイッチオーバーポイントよりも上である。ここで示される実施形態では、後者は、容積1100mlにある。直線Uつまり本発明によるスイッチオーバーポイントは、容積1400mlにあるか、又は容積1100mlから1400mlの範囲にある。与えられた容積値は、患者の腹腔内の透析液の容積である。直線Uでの患者内の透析液容積は、本発明の枠組みでは許容残留容積と呼ばれる。
【0036】
図2は、直線Oのかたちでの重ね合わせられたより高い量の管理制限を持つ、図1に従うタイダル腹膜透析治療の時間展開を示す。この直線は、スイッチオーバーポイント、つまりこの値に到達するか、又は充填期間の終了を超えると、滞留期間が起こる、容積値を表す。図2からわかるように、この直線Oは、先行技術に従う処置での上側スイッチオーバーポイント(滞留期間へのスイッチオーバー)より上である。ここで示される実施形態では、後者は、容積2700mlにある。直線O、つまり本発明によるスイッチオーバーポイントは、容積2900mlにあるか、又は容積2700mlから2900mlの範囲にある。与えられた容積値は、患者の腹腔内の透析液の容積である。直線Oでの患者内の透析液容積は、本発明の枠組みでは許容患者容積と呼ばれる。よって図2は、インフローにおける、すなわち充填期間の間のさらなる容積寛容度を示す。
【0037】
図3は、線の傾きが緩やかなことからわかるように、アウトフロー速度が比較的小さいので、第2サイクル中のタイダルアウトフローターゲット(容積1100ml)に到達していないか、又は特定の時間期間内に少なくとも到達していないかのいずれかを示す。
【0038】
これは、タイダルアウトフローターゲットに到達する前である、a)によって示された時刻において廃液が中止され、新しい充填期間へのスイッチオーバーがなされるという結果を生む。
【0039】
よって増加された残留容積は許容される。それにもかかわらず十分な容積の透析液を供給できるようにするためには、後続の充填期間において特定の患者容積が2700mlの量を超えることが許容され、この充填期間は、患者容積、すなわち患者内の透析液の容積が2900mlになるまで延長される。
【0040】
もし充填がこの充填期間において特定の患者容積の2700mlの量までしかなされないなら、より少ない透析液しか所定の処置時間内では結局のところ供給され得ず、つまり、所定の処置時間を超えて、1つ以上のさらなるサイクルが必要となるはずである。
【0041】
本発明による容積管理では、処方中のより高いアウトフロー容積を実現でき、よって透析液のより効率的な使用が可能である。
【0042】
1つ以上のさらなるサイクルを実行する必要性は、本発明の手続によって省略され得る。さらに滞留時間の短縮を避けることができ、それにもかかわらず患者は所与の時間で処置を終えることができる。
図1
図2
図3
図4