(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付された図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
本明細書で実施形態を説明するにおいて、本発明の属する技術分野でよく知られており、本発明と直接的に関連のない技術内容については説明を省略する。これは不要な説明を省略することによって本発明の要旨をより明確に伝達するためである。
【0012】
添付図面において、一部の構成要素は誇張または省略され、概略的に表されている。また、各構成要素のサイズは実際のサイズをそのまま反映したものではない。各図面において、同一または対応する構成要素は同一の参照番号で表している。
【0013】
本発明の利点、特徴、及びこれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に記述されている実施形態を参照すれば明確に理解することができる。しかし、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で具現することができる。但し、本実施形態は、本発明の開示を完全なものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に対して、発明の範囲を明確に知らせるために提供されるものであり、本発明は特許請求の範囲によって定義される。明細書全体において、同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0014】
このとき、処理フローチャートの各ブロックとフローチャート図面の組み合わせは、一つまたはそれ以上のコンピュータプログラムインストラクションによって実行されることを理解するべきである。これらのコンピュータプログラムインストラクションは、汎用コンピュータ、特殊用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータプロセッシング装備のプロセッサで実行することができ、これらのコンピュータプログラムインストラクションはコンピュータ、プログラム可能なデータプロセッシング装備、または不揮発性コンピュータ読取可能メディアに保存することもできる。前記コンピュータプログラムインストラクションは物品を製造するために利用することができる。
【0015】
また、本明細書に記載されたフローチャートの各ブロックは、特定された論理的機能を実行するための一つ以上の実行可能なインストラクションを含むモジュール、セグメント、またはコードの一部を表すことができる。また、いくつかの代替実行例においては、ブロックに記載された機能が順番に関係なく発生することもあることに注目するべきである。例えば、順番に示されている二つのブロックは、場合によって、同時に実行されることもでき、または逆順に実行されることもできる。
【0016】
本実施形態で使用されている「〜部」という用語は、ソフトウェア、Field Programmable Gate Array(FPGA)、またはan Application−Specific Integrated Circuit(ASIC)のようなハードウェアの構成要素を意味し、「〜部」はある役割を実行する。しかし、「〜部」はソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「〜部」はアドレッシングできる保存メディアにあるように構成することもでき、一つまたはそれ以上のプロセッサを再生するように構成することもできる。例えば、「〜部」はソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素、及びタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、及び変数を含む。構成要素と「〜部」で提供される機能は、より少ない数の構成要素及び「〜部」に結合されることもでき、またはより多くの構成要素と「〜部」にさらに分離されることもできる。さらに、構成要素及び「〜部」は、デバイスまたはセキュリティマルチメディアカード内の一つまたはそれ以上のCPUを再生するように具現されることもできる。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る消費電力を管理するシステムの全体構成図である。
【0018】
前記消費電力を管理するシステムは、空調機110、消費電力管理装置120、外部サーバ130、及び管理者サーバ140を含むことができる。
【0019】
前記空調機110、すなわち、HVAC(Heating、Ventilation、Air Conditioning)は本発明の技術分野における通常の空調機110に該当する。前記空調機110は暖房、換気、空気調和を制御する設備である。前記空調機110は温熱源装備と冷熱源装備を含むことができる。前記温熱源装備としてはボイラーが使用され、ボイラーで作られた温水と蒸気を前記空調機110内の加熱コイルに供給して温風を作ることができる。前記空調機110の冷熱源装備としては冷凍機が使用され、冷凍機で冷却された冷水を冷却コイルに供給して冷風を作ることができる。前記空調機110は、前記温熱源装備と冷熱源装備の付属設備として冷却塔、冷却水ポンプ、ボイラー給水ポンプ、付属配管等を含むことができる。
【0020】
前記空調機110は、前記消費電力管理装置120と連結され、空調機110の現在の運転状態情報を前記消費電力管理装置120に送信する。前記現在の運転状態情報は、前記消費電力管理装置120によって空調機110の消費電力を予測して決定するのに利用される情報である。前記空調機の現在の運転状態情報は空調サイクル及び/または空調機の設定温度情報を含むことができる。
【0021】
前記消費電力管理装置120は、消費電力を管理することによって究極的に空調機110を管理するため、空調機110管理装置を含むことができる。
【0022】
前記消費電力管理装置120は、建物内の設備、例えば、照明及びディスプレイ装置の消費電力を管理することができる。照明に関しては、蛍光灯、白熱灯、LED(Light Emitting Diode)の統合空間別時間帯の電力モニタリングが可能であり、特に、可視光通信が可能なLED照明の場合、通信基盤LED照明別の状態認識が可能であり、特定の照明に問題が発生しても簡単に発生地点を把握することができる。ディスプレイの場合、LFD(Large Format display)のような大型モニターにおいて、特定の画面の電源がon/offされたり、もしくはシンクが合わない場合、電力波形モニタリング(例えば、数値及び電力ピーク地点の遅延)に基づいて正常であるかどうかを判別することができる。
【0023】
前記消費電力管理装置120は、空調機110、外部サーバ130、管理者サーバ140と必要な情報を送受信する通信を行い、前記空調機110の消費電力を管理することができる。前記消費電力管理装置120は、前記外部サーバ130から受信した「消費電力要素」及び「消費電力要素に基づく消費電力量パターン」に基づいて前記空調機110の時間に応じた消費電力量の限界値を導出することができる。前記消費電力関連要素は、前記空調機110が電力を消費するのに影響を及ぼす要素である。前記消費電力要素は、特定の空調機に関連する単位ではなく、空調機110が設置された空間によって決定される。
【0024】
例えば、前記消費電力関連要素は、電力データ、建物空間物性情報、建物空間変数情報、気候データ等を含むことができる。前記電力データは電力に関する情報であり、ビルまたは住宅(以下、「ビル」という)において、空間別消費電力量、ビルに配置された空調機器別消費電力量を含むことができる。また、前記電力データは外部サーバ130に予め保存されていた過去の実測データから提供される。
【0025】
前記建物空間物性情報は建物の特性に関する値であり、前記外部サーバ130に予め保存することができる。前記建物空間物性情報には、例えば、空間の広さ及び位置、空調機器の種類や個数、並びに空調機器の初期性能などが含まれる。
【0026】
前記建物空間変数情報は、建物空間内において、時間に応じて変わり得る情報であって、以前に獲得したデータを蓄積して生成された統計的情報を含むことができる。前記建物空間変数情報は、例えば、在室者パターン、設定温度スケジュール、室内の平均温度及び湿度、室内の平均的な空気の質に関する情報を含むことができる。
【0027】
前記気候データは前記建物における外部環境に関する気候情報である。前記気候データは前記外部サーバ130から受信することができ、前記外部サーバ130は、例えば、気象庁サーバを含むことができる。前記気候データは、過去の気候データを含むことができ、現在の消費電力を管理しようとする時点における気候データを含むことができる。また、前記消費電力管理装置120は、消費電力要素の情報が多くなるほど、前記消費電力要素の情報に基づいて消費電力量の限界値を導出することができる。したがって、現在の外部サーバ130に前記消費電力要素の1ヶ月分が保存されている場合、前記空調機110の消費電力の管理の正確度を高めるために、1年周期の情報をモデリングすることができる。前記モデリングはBIM(Business Information Modeling)を利用して行うことができる。
【0028】
また、前記消費電力管理装置120は、外部サーバ130から受信した各消費電力要素に基づいた消費電力量パターンを利用して空調機110の消費電力量を予測したり決定することができる。これは前記消費電力要素に係る電力データに基づいて生成された情報である。前記消費電力パターンは、前記空調機110の消費電力と消費電力要素の関係に基づく。前記「消費電力要素に基づいた消費電力量パターン」をより詳細に説明するために、前記消費電力関連要素を建物空間変数情報と気候データに制限して例を挙げて説明する。前記消費電力要素に基づいた消費電力量パターンは時間に応じた消費電力情報を含むことができ、前記消費電力は一週間中の特定の日、四季中の一つの季節、例えば、夏、建物の内部温度が21度または室外温度が18度、及び建物の特定の空間に位置している、例えば8人の在室者に関するものである。したがって、前記消費電力管理装置120は、1年間の複数の前記消費電力要素に基づいた消費電力量パターンにおいて、空調機110を制御する時点における空調機110の各消費電力要素の条件に合致する一日間の消費電力量パターンを抽出することができる。前記抽出された各消費電力要素の条件に合致する一日間の消費電力量パターンに基づいて、空調機110を制御する時点における一日間の消費電力量パターンを予測することができる。この場合、前記各消費電力要素の消費電力量に及ぼす影響度を分析し、影響度の大きい消費電力関連要素に加重値をかけることができる。
【0029】
また、前記消費電力管理装置120は、前記予測した消費電力量パターンの時間に応じた限界値に基づいて前記空調機110の消費電力を管理することができる。前記消費電力管理装置120は、前記空調機110の空調機を制御する時点となった現在時点における消費電力量が、前記予測した消費電力量パターンの時間に応じた限界値の範囲内にあるかどうかを決定する方法で、空調機を制御する間に、空調機の消費電力を管理することができる。前記消費電力管理装置120は、前記消費電力管理の結果として、現在、空調機の消費電力が前記導出した予測された消費電力量パターンの時間に応じた限界値の範囲内に含まれなければ、通知信号を生成して前記管理者サーバ140に送信することができる。
【0030】
また、前記消費電力管理装置120は、前記外部サーバ130から料金制情報を受信し、建物内の空調機別の点検が必ず必要な時点を導出することができる。前記消費電力管理装置120は、前記空調機110から受信した空調機110の現在の運転状態に関する情報を考慮することができる。前記消費電力管理装置120が、空調機110別の点検が必要であると判断した場合、通知信号を生成して前記管理者サーバ140に送信することができる。
【0031】
前記管理者サーバ140は、消費電力管理システムのユーザのデバイスのコンポーネント(例えば、スマートフォン、ラップトップ、個人用デジタル補助装置(PDA)等を含むが、これに限定されないコンピューティングデバイス)であり、前記消費電力管理装置の動作結果を受信することができる。ユーザは、前記管理者サーバ140に送信された通知信号によって空調機を管理することができる。
【0032】
図2は本発明の実施形態に係る消費電力管理方法を表すフローチャートである。
【0033】
前記消費電力管理装置120は、S210段階で、消費電力要素を獲得し、獲得された情報に基づいて空調機110の空調機を制御する時点における一日間の消費電力量パターンを予測し、前記予測した消費電力量パターンの時間に応じた限界値を導出することができる。前記消費電力管理装置120は、前記消費電力要素を前記外部サーバ130から受信することができる。前記消費電力要素は、前述したように、空調機110の消費電力量に影響を及ぼす要素である。前記外部サーバ130は、前記消費電力要素を保存しておくことができ、別途のサーバに連結されて前記情報を受信し、前記受信された情報を前記消費電力管理装置120に送信することができる。仮に、十分な量の消費電力要素が前記外部サーバ130に保存されている場合(例えば、1年分以上の情報が前記外部サーバ130に保存されている場合)、前記消費電力管理装置120は前記消費電力要素を受信することができる。
【0034】
代案として、前記消費電力関連要素を受信する代わりに、前記消費電力管理装置120が直接前記消費電力要素を生成することができる。前記消費電力管理装置120は、前記消費電力要素が十分ではない場合、例えば、1年分未満の情報が前記外部サーバ130に保存されている場合、前記消費電力要素を生成できることが
図3に具体的に説明されている。
【0035】
前記消費電力管理装置120は、前記獲得した十分な、例えば、1年分の消費電力要素を有し、空調機110の消費電力関連要素に基づいた空調機110の消費電力量パターンを予測したり決定することができる。前記消費電力管理装置120は、前記獲得した消費電力要素に含まれた一つ以上の要素と消費電力情報との関係に関する情報を利用して前記空調機110の消費電力量を予測することができる。
【0036】
前記消費電力管理装置120は、外部サーバから受信した前記消費電力要素に係る少なくとも一つの消費電力量パターンを利用して空調機110を制御する時点の空調機110の一日間の消費電力量パターンを予測することができる。前記消費電力量パターンは、前記複数個の消費電力要素の条件における時間に応じた消費電力量情報を意味する。前記消費電力管理装置120は、前記外部サーバ130から受信した各消費電力要素に係る消費電力量パターンから、空調機110を制御する時点の消費電力要素の条件に該当する消費電力量パターンを抽出して、空調機110を制御する時点の一日間の消費電力量パターンを予測することができる。
【0037】
また、前記消費電力管理装置120は、前記抽出した少なくとも一つの空調機110の消費電力量パターンに基づいて、空調機110の予測消費電力量パターンの時間に応じた限界値を計算することができる。前記空調機110の消費電力量パターンの時間に応じた限界値は予測消費電力量の最大値及び最小値を含むことができる。前記消費電力管理装置120は、前記抽出した空調機110の電力消費パターンの時間に応じた空調機の消費電力量の分布情報、例えば、標準偏差等を利用することができる。また、前記消費電力管理装置120は、前記抽出した空調機110の消費電力量パターンに基づいて、前記各消費電力関連要素の消費電力量に対する影響度を考慮することによって、空調機110の予測消費電力量パターンの時間に応じた限界値を計算する場合、加重値をかけることができる。
【0038】
前記消費電力管理装置120は、S220段階で、空調機110を制御する時点となった現在時点における消費電力モニタリングの結果を決定することができる。前記消費電力管理装置120は、前記消費電力要素に基づいて予測した消費電力限界値を、ビルにおける前記個別空調機の運転状態情報によって補正することができる。前記消費電力管理装置120は、建物単位で空調機の消費電力を予測したり、決定することに加えて、ビルにおける各空調機別に消費電力を予測したり、決定することで、より正確な空調機の消費電力管理が可能になる。
【0039】
前記消費電力管理装置120は、前記計算した時間に応じた予測消費電力量パターンの時間に応じた消費電力量の限界値に基づいて、現在、空調機110の消費電力量が、予測した電力量の範囲内にあるかどうかを決定することができる。すなわち、現在、空調機110の消費電力量と前記時間に応じた消費電力量の限界値に基づいて、現在、空調機110が正常条件(あるいは、状態)で作動しているかどうかを決定することができる。現在、空調機110の消費電力量が前記予測した消費電力量の範囲内にあれば、空調機110は正常に作動していると決定することができる。前記予測した消費電力量の範囲の最大値より現在の消費電力量が多く消費される場合や、前記予測した消費電力量の範囲の最小値より電力が少なく消費される場合、または同じぐらい消費される場合、前記空調機110が異常作動、すなわち非正常的に作動していると決定することができる。また、
図4に詳しく記載されているように、前記消費電力管理装置120は、前記空調機110が位置した空間の実際の空気の質(indoor Air Quality;IAQ)をモニタリングすることができ、前記空調機110に対して換気制御システムが及ぼす影響をモニタリングすることができる。
【0040】
上記のように、空調機110の予測消費電力量の限界値を予測することにおいて、前記消費電力管理装置120は、前記消費電力に影響を及ぼす消費電力要素の時間に応じた分布情報に基づいて消費電力の限界値を計算し、これは、固定的な限界値、または、具体的な限界値(例えば、予測された消費電力量の±10%)を利用することとは異なり、前記消費電力管理装置120が、空調機110の状態(例えば、正常/異常)についてより正確な決定をするようにすることができる。また、様々な建物の物性要素を反映することができ、時間に応じて変化する建物の変数要素を反映することもできるため、個別の空間別または時間別に異なる限界値を設定することができる。これによって、前記消費電力管理装置120が、空調機110消費電力の正常/異常を判断するにおいて、前記消費電力管理装置120の信頼度を高めることができる。
【0041】
S220段階で、前記消費電力管理装置120が、空調機110の消費電力が異常であることを感知した場合、電力管理装置120は、S230段階で、管理者サーバに空調機110の消費電力異常信号を送信することができる。すなわち、前述したように、現在、空調機110の消費電力が、前記予測した時間に応じた空調機110の消費電力量の限界値の範囲内に存在しない場合、異常信号を送信することができる。
【0042】
前記異常状態信号を獲得することの結果として、管理者サーバ140は、予め決定されたアルゴリズムにしたがって、前記空調機に提供された電力を減少させたり、または遮断したり、または前記空調機110に提供された電力を増加させる命令信号を空調機110に送信することができる。前記管理者サーバ140は異常状態信号を受信することができ、現在、空調機110の消費電力量の異常程度を測定することができる。例えば、前記異常程度は、前記空調機が危険レベルで作動していることを表すことができる。例えば、現在、空調機110の消費電力量が現在時点における最大値を超過した場合、前記空調機110の消費電力量と前記予測消費電力量の最大値との差異値を導出する。その後、前記導出した差異値と前記限界値の範囲、すなわち、最大値と最小値との差異値の比率に応じて前記異常程度の測定が可能である。例えば、(より分かりやすく説明するために、電力量の単位を省略し、数値を簡略化して説明する。)仮に、前記現在時間帯の空調機の予測消費電力量の最大値が15、最小値が9であるとし、現在空調機の消費電力が18であるとすれば、現在、空調機110の消費電力が、前記予測消費電力量の最大値との差異値が3であり、最大値と最小値の差異値が6であるため、3/6×100=50%に該当する。したがって、前記異常程度を50%と数値化することができる。また、前記パーセント(%)に数値化したものを区間別に分けて異常程度を管理することができる。例えば、70%を超過する前記パーセント数値化は危険区間と定義される。
【0043】
前記測定した異常程度が、予め決めておいた臨界区間以下であれば、管理者サーバ140は、前記空調機110の管理者(または、ユーザ)に空調機110の消費電力の異常を知らせる信号または通知を出力して、管理者がその対応(すなわち、前記空調機110への電力を増加または減少させる)を取るようにすることができる。前記信号または通知は警告音または警告メッセージを出力することを含むことができる。また、前記測定した異常程度が予め決めておいた臨界値以上であれば、管理者サーバ140は、管理者が直ちに空調機110を制御するように管理者に通知を出力することができる。すなわち、現在の消費電力が前記予測した消費電力量の最大値以上であり、前記測定した異常程度が予め決めておいた臨界区間を超えていれば、空調機110に提供された電力を遮断して空調機設備を保護することができる。
【0044】
前記消費電力管理装置120は、S240段階で、空調機110の点検が必要であるかどうかを決定することができる。前記消費電力管理装置120は、過去予め決められた基準時点と現在時点とのエネルギー損失費用を比較し、現在、空調機110の点検が必要であるかどうかを決定することができる。前記過去予め決められた基準時点は、前記空調機110が設置された時点を含むことができる。また、現在時点のエネルギー損失費用は、前記基準時点における料金と現在時点における料金とを比較して計算することができる。
【0045】
前記空調機110の点検が必要であるかどうかを決定するために、前記消費電力管理装置120は、前記外部サーバ130から料金制情報(例えば、電力の費用または予め決められた過去基準時点における電力が計算された料金)を抽出することができる。前記料金制情報が現在時点の料金制情報と異なっていれば、現在時点の料金制情報を基準にして料金を再計算することができる。
【0046】
前記消費電力管理装置120は、前記基準時点の消費電力関連要素と現在時点の消費電力関連要素との類似度を測定することができる。測定された類似度が予め決められた値を超えるかどうか、また、テスト時点が過去の基準時点と類似する条件にあるかどうかが決定される。すなわち、現在の時点において過去の基準時点と類似する条件であるにも関わらず、前記テスト時点と基準時点のエネルギー損失費用(すなわち、料金)間に大きな差があれば、前記消費電力管理装置120は、現在の時点で空調機110の点検が必要であると決定することができる。前記料金が相異するかどうかを判断するにおいては、現在の時点と過去の基準時点の料金の差と点検費用を比較して決定することができる。すなわち、前記料金の差が点検費用より大きくない場合は、点検を行わないほうがより効率的であるため、前記消費電力管理装置120は上記のような決定方法を利用することができる。
【0047】
一方、従来は点検が、例えば、6ヵ月または1年に1回のように定期的に点検が行われていた。したがって、空調機の性能低下によるエネルギー費用、点検費用などを考慮せずに、空調機の製造会社が提供する空調機110の情報のみに基づいて定期的に点検していたため、空調機110の管理において点検費用を最適化することができなかった。前述のように、前記消費電力管理装置120は、過去の基準時点と現在の時点の料金の差と点検費用を比較して前記空調機110の点検を実施することにより、建物の類型別、空間別、空調機別のエネルギーパターンが相異することを反映して個別的に点検を実施するようになった。
【0048】
さらに、前記消費電力管理装置120は、建物の用途変更に関する情報を提供することによって、前記空調機110の点検が必要であるかどうか、または料金制が変更されたかどうかを決定することができる。また、
図8に、より具体的に示されているように、時間帯別の料金制が導入される場合、同一の空間で、同一性能の機器で、同一量の電力を消費する場合でも、測定される料金が異なる場合が生じるので、機器の点検期間もそれぞれ異なるように設定され得る。
【0049】
前記消費電力管理装置120は、S240段階で、空調機点検が必要であると判断された場合、S250段階で、管理者サーバに空調機の点検要請信号を送信することができる。前記要請信号の送信により、管理者サーバ140では、前記空調機110の管理者またはユーザに空調機110の点検が必要であることを知らせる通知を出力することができる。前記通知は通知音または通知メッセージを出力することを含むことができる。前記管理者サーバ140の通知出力により、前記空調機110の管理者またはユーザは製造会社のサーバに管理点検を要請する等の措置をとることができる。また、前記管理者サーバ140は、前記管理者に通知を出力せず、直接製造会社のサーバに点検を要請する信号を送信することができる。それに加えて、前記消費電力管理装置120は、S250段階で、空調機の性能低下に応じて、前記空調機110の管理者に持続的に現在の機器状態に関する情報を提供することができる。また、前記消費電力管理装置120は、前述のように、点検が必要であると決定されることに関する周期情報を保存し、建物内の空調機器別の費用が最適化された点検周期を予測して前記予測周期を管理者サーバに送信することもできる。
【0050】
前記消費電力管理装置120は、S260段階で、前記予測された消費電力量パターン及び時間に応じた消費電力量の限界値をアップデートする基準で、前記消費電力関連要素の変化があるかどうかを決定することができる。前記消費電力管理装置120は、前記空調機110から運転状態情報を持続的に受信することができる。また、前記消費電力管理装置120は、外部サーバ130から現在時点の前記消費電力要素を持続的に受信することができる。前記消費電力管理装置120は、現在の空調機の消費電力関連情報が、前記直前に空調機の消費電力をモニタリングするときの予測消費電力を生成する際に使用された消費電力関連情報と相異する場合、前記消費電力関連要素の変化があるかどうかを決定することができる。
【0051】
前記消費電力管理装置120は、S260段階で、前記消費電力要素の変化があると決定した場合、S270段階で、前記モニタリングするのに基盤となる前記空調機の予測された消費電力量パターンと時間に応じた消費電力量の限界値をアップデートすることができる。前記空調機110の消費電力量は、前記空調機110の変化された消費電力関連要素に基づいて予測され、前記予測消費電力量の限界値を生成する過程を繰り返してアップデートすることができる。
【0052】
前記消費電力管理装置120は、前記予測消費電力の限界値をアップデートするにおいて、前記消費電力関連要素間の加重値を考慮することができる。前記加重値は、本発明の技術的分野において、一般的な技術である敏感度テスト(Sensitivity Test)を利用して導出することができる。前記敏感度テスト(Sensitivity Test)は、前記消費電力関連要素と消費電力量との相関度を分析することであり、個別要素または組み合わせた要素の敏感度を時間帯別に分析して消費電力に影響度の大きな要素に大きい加重値をかける技術である。前記敏感度テスト(Sensitivity Test)は、例えば、PCA(Principal Component Analysis)、ANOVA(Analysis of Variance)、SOM(Self−Organizing Map)等を活用して結果を導出することができる。また、上記のような消費電力要素の変化には、前記導出した加重値に基づいて、予め決められた個数の空間別消費電力の主要要素情報を抽出して考慮することを含むことができる。
【0053】
また、上記のような消費電力要素の変化には、前記言及した室内空気の質(IAQ)のモニタリング及びモニタリングに応じた換気制御の結果が反映され得る。前記消費電力管理装置120は、前記換気制御による消費電力要素の変化、例えば、換気による温度や湿度の変化有無を決定し、上記のように予測した消費電力量及び消費電力量の限界値をアップデートすることができる。また、前記消費電力管理装置120は、上記のように、アップデートする過程で考慮される加重値も次のモニタリング周期でアップデートされ得る。これはモニタリングを繰り返して時間が流れることによって、消費電力に影響を及ぼす消費電力関連要素の加重値も変化されるためである。
【0054】
前記空調機110に関する消費電力の限界値を計算する既知の方法を使用するにおいて、前記空調機110の消費電力は特定の値に限界値を固定することによって管理されており、これは前記空調機110の消費電力の様々な要素を考慮する際、正常条件下または異常条件下で前記空調機が作動するかどうかを決定するにおいて不正確な結果を導出した。本発明によると、上記のように、消費電力要素を考慮して時間帯別に空調機110の消費電力の限界値を求めて空調機110の異常作動有無を判断し、建物の空間別の消費電力関連要素の変化によって時間に応じた消費電力及び限界値を変更することができ、前記空調機110の正常/異常に関する判断の正確度が向上することができる。
【0055】
図3は、本発明の実施形態に係る消費電力管理装置が、S210段階で消費電力を管理する過程を具体化したフローチャートである。
【0056】
前記消費電力管理装置120は、S310段階で、過去1年分の消費電力要素の存在有無を決定することができる。前記消費電力管理装置120は、前記外部サーバ130から受信できる消費電力要素の量を判断することができ、前記空調機110の正確な消費電力を予測するための最小量で予め決められた過去1年分の情報があるかどうかを決定することができる。
【0057】
前記消費電力管理装置120は、過去1年分の消費電力要素が存在しないと決定すれば、S320段階で、前記外部サーバ130から過去1ヶ月分の前記消費電力要素を受信することができる。前記受信した過去一ヶ月分の消費電力要素は、消費電力を予測するための前記1年分の消費電力要素の情報を生成するのに基盤となる情報である。
【0058】
前記消費電力管理装置120は、S330段階で、建物情報モデリング(Building Information Modeling;BIM)最適化により、空調機110の当該建物の過去1年分の消費電力要素を生成することができる。BIMは、建物を構成している全ての要素の情報を保存し、建物を構成しているオブジェクト管理データを有機的に連動することのできる建物情報モデリング技術である。すなわち、前記BIMは、建物に関する数量、工程及び様々な分析などの情報を統合的に活用する技術である。前記消費電力管理装置120は、前記少なくとも1ヵ月分の情報が予め保存されている前記建物を構成している全ての要素情報を利用してモデリングすることにより、当該建物の過去1年分の情報を生成することができる。
【0059】
前記消費電力管理装置120は、S340段階で、前記生成された消費電力要素に基づいて前記空調機110の消費電力関連要素別の消費電力量を予測し、前記消費電力量の初期限界値を導出することができる。前記消費電力管理装置120は、外部装置、例えば、サーバから少なくとも一つの消費電力要素に基づいた消費電力量パターンを獲得することができる。前記消費電力管理装置120は、前記獲得した消費電力要素に基づいた消費電力量パターンから空調機を制御する時点の消費電力要素に合致する消費電力量パターンを抽出することができる。前記抽出の後、前記空調機110の消費電力に対する消費電力要素の影響は、空調機を制御する時点の消費電力要素に基づいて考慮される。
【0060】
前記獲得した過去1年分の消費電力量パターンから空調機を制御する時点の各消費電力要素に合致する消費電力量パターンを抽出する場合を想定して説明する。例えば、まず、消費電力関連要素に影響を及ぼす程度が最も大きい建物空間物性情報に合致する時間に応じた消費電力情報を抽出した後、気候データ及びこれに関する要素に基づいて時間に応じた消費電力を抽出する。
【0061】
例えば、前記気候及び日付データに関しては、範囲の広い手順に抽出することになるが、空調機110を制御する時点が平日であり夏の天気であれば、前記抽出された消費電力情報から夏の平日に該当する消費電力量パターンを抽出した後、具体的に温度、湿度などの天気情報に合致する消費電力量パターンを抽出する。その後、在室者要素パターンまたは設定温度スケジュールパターンに合致する消費電力量パターンを少なくとも一つ以上抽出することになる。
【0062】
上記のように抽出した後、前記抽出された順番に加重値を考慮して抽出された消費電力量パターンを組み合わせて、空調機110を制御する時点に合致する空調機110の消費電力を予測することができる。
【0063】
その後、前記消費電力管理装置120は、前記空調機を制御する時点に合致する少なくとも一つ以上の消費電力量パターンの時間に応じた分布情報を計算して、前記空調機110の予測した消費電力量パターンの時間に応じた限界値を求めることができる。前記分布情報は、例えば、標準偏差を含むことができる。また、前記消費電力管理装置120は、前記抽出した少なくとも一つの空調機110の消費電力量パターンに基づいて、空調機の予測消費電力量パターンの時間に応じた限界値を計算する場合、前記各消費電力関連要素の消費電力量に対する影響度を考慮して加重値をかけた分布情報を求めることができる。
【0064】
すなわち、前記消費電力管理装置120は、前記抽出した少なくとも一つ以上の消費電力量パターンに基づいて、各消費電力関連要素別の加重値を考慮して空調機110を制御する時点の消費電力量パターンを計算することができ、前記消費電力量パターンの時間に応じた消費電力量値に、前記計算した時間に応じた分布情報を足して最大値を計算することができ、標準偏差を引いて最小値を計算することができる。
【0065】
図4は、本発明の実施形態に係る消費電力管理装置が、S220段階で、消費電力を管理する過程を具体化したフローチャートである。
【0066】
前記消費電力管理装置120は、S410段階で、建物において、当該空調機別の運転状態情報を利用して前記予測した消費電力量パターンと前記導出した消費電力量パターンの時間に応じた限界値を補正することができる。前記消費電力管理装置120は、前記空調機110から空調機の運転状態情報を受信することができる。上記のような空調機の運転状態情報を受信することにより、前記消費電力要素は建物単位の情報であるため、これを建物の各個別の空調機の特性を考慮して修正することができる。
【0067】
前記消費電力管理装置120は、前記空調機の運転状態情報に基づいて、前記外部サーバ130から運転状態情報に係る消費電力量パターンを抽出することができる。前記消費電力管理装置120は、前記抽出した空調機110の運転状態情報に係る消費電力量パターンに基づいて前記予測消費電力の限界値を補正することができる。例えば、前記空調機110の運転状態情報に基づいて抽出した消費電力量パターンが、前記予測した消費電力量パターンの時間に応じた限界値から外れた場合、前記限界値と前記空調機110の運転状態情報に基づいて抽出した消費電力量パターンの平均値を計算して、前記消費電力量パターンの時間に応じた限界値を補正することができる。
【0068】
また、前記消費電力管理装置120は、前記予測した消費電力量パターンの時間に応じた限界値の範囲を考慮し、前記空調機110の運転状態情報の反映比率を予め決定して前記限界値を補正することができる。前記限界値の範囲とは、限界値に含まれる最大値と最小値との差異値を意味する。仮に、前記予測した消費電力量パターンの限界値が前記最大値より大きい、または同一である場合、前記空調機110の運転状態情報が前記空調機110の消費電力に及ぼす影響が大きくないと判断され得る。一方、前記予測した消費電力量の限界値の範囲が前記最小値より小さい場合、前記空調機の運転状態情報が前記空調機110の消費電力に及ぼす影響がより大きくなり得ると判断されるからである。
【0069】
上記のように、ビル全体の消費電力関連要素のみならず建物の個別空調機110の運転状態情報を利用して、前記空調機が正常消費電力量の範囲内で作動するかどうかを決定するにおいて正確度を高めることができる。
【0070】
前記消費電力管理装置120は、S420段階で、建物の前記当該空調機の運転状態情報に含まれた現在の消費電力量を受信することができる。
図5に、より詳しく記載されているように、前記消費電力管理装置120は、S430段階で、前記受信した現在の消費電力量が、前記補正された時間に応じた限界値の範囲内に含まれているかどうかを決定することができる。前記消費電力管理装置120は、前記受信した空調機110の現在の消費電力量が前記予測電力量の限界値の範囲内に含まれていないと決定すれば、
図2のS230に復帰して、管理者サーバ140に空調機110の消費電力異常を知らせる信号を送信することになる。また、前記消費電力管理装置120は、前記受信した空調機110の現在の消費電力量が前記予測電力量の限界値の範囲内に含まれていると決定すれば、
図2のS240に復帰して、空調機110の点検が必要であるかどうかを決定することができる。
【0071】
前記消費電力管理装置120は、S430段階で、前記受信した空調機110の現在の消費電力量が前記補正された時間に応じた限界値の範囲内に含まれているかどうかを決定するときに、空調機110がある空間に対する室内空気の質(IAQ)のモニタリング及びモニタリング結果による換気制御の影響を考慮することができる。例えば、夏に前記室内空気の質のモニタリングを通じて換気が必要であると判断され、室内換気を行った場合であれば、室内温度が上がって冷房のための空調機110の消費電力量が増加しても正常運転していると判断される。しかし、このような換気の影響を除いて、前記空調機110の消費電力を予測すれば、前記空調機110の消費電力量が前記予測した消費電力の限界範囲内に含まれないようになるため、時間に応じた前記限界値内に空調機があるかどうかを決定するときに問題が発生し得る。このような問題を解決するために、前記消費電力管理装置120は、前記換気の影響を考慮して正常または異常の決定結果を補正することができる。
【0072】
図5は、本発明の実施形態に係る消費電力管理装置による消費電力管理方法に関する時間に応じた電気電力のグラフである。
【0073】
より具体的には、
図5は、予測された1日間の消費電力量パターン510とそれに係る限界値520,530を示した。これは、前記消費電力管理装置120の
図2のS210段階での動作の結果として生成されたものである。すなわち、前記消費電力要素に基づいて、空調機110を制御する時点の消費電力要素に合致する前記外部サーバ130から少なくとも一つ以上の消費電力量パターンが抽出される(図面では時間に応じて点で情報を表示)。1日間の消費電力量パターン510は、前記抽出された時間及び前記抽出された時間に応じた消費電力量の分布情報、すなわち、標準偏差を計算することによって獲得され、限界値520,530は前記平均値に足したり、引いたりして獲得される。また、前記消費電力管理装置120は、前記消費電力量パターン510及び限界値520を計算するにおいて、前記各消費電力関連要素の消費電力量に対する影響度を考慮して加重値をかけることができる。
【0074】
前記消費電力管理装置120は、現在の時間帯の空調機110の消費電力が、前記予測した時間に応じた消費電力の限界値の範囲内に含まれるかどうかを決定する。すなわち、
図6A及び
図6Bに、より具体的に記載されているように、現在時間の空調機の消費電力値が前記図面の520及び530のグラフの間に位置するかどうかによって決定される。
【0075】
図6A及び
図6Bは、本発明の実施形態に係る消費電力管理装置による消費電力管理方法に関する時間に応じた電気電力のグラフである。
【0076】
より具体的には、
図6は、前記
図2のS230で、前記消費電力管理装置120が空調機110の消費電力をモニタリングする過程を表した例示図である。
図6において、前記予測した消費電力量パターンと限界値610,615、従来の方式で決めた固定臨界値620,625,660,665、及び現在の空調機110の消費電力量630,670を表した。すなわち、
図6では、本発明における限界値を基準にして、前記空調機110の消費電力をモニタリングすることと、従来の方式で決めた固定臨界値を基準にして、前記空調機110の消費電力をモニタリングすることを比較して説明する。
【0077】
これに先立ち、前記空調機の消費電力が異常であるとモニタリングされてアラームをする場合において、二つの例示が存在する。最初の例示は、
図6Aに示されているように、前記空調機110の実際の状態は正常であるが、前記空調機が異常状態であると表すFalseアラームまたはFalse表示が含まれる。すなわち、現在、空調機の消費電力量630は、従来の方式で決めた固定臨界値の最大値620以上になって異常であると決定されるが、現在の消費電力関連要素を総合的に考慮して予測した限界範囲、すなわち610と615で表示された範囲内であるため正常に作動している。例えば、在室者が多く、空調機110の消費電力量が上昇したにもかかわらず、この状態を反映しなかったため、空調機110の運転を異常状態であると決定する場合である。このとき、前記消費電力管理装置120は、前記異常程度を数値化し、一定の臨界値以上であれば空調機110で電力を遮断する命令信号を送信する。したがって、建物内の在室者は、前記空調機110の電力減少による不便を経験することになり、快適な温度になるまでの前記空調機110の電力を増加させるための時間、費用、及び努力などが必要にため、問題が発生することになる。
【0078】
他の例を挙げれば、空調機110の性能低下によるパターンの変化に対応できず、正常動作であるにもかかわらず、異常であると判断される問題も発生し得る。
【0079】
二番目の例示は、例えば、非検出されたアラームが含まれる場合である。これは、
図6A及び
図6Bに示されているように、実際には異常であるが、前記空調機110が正常であると決定したことを表す。すなわち、前記消費電力決定装置120は、現在、空調機の消費電力量670は、従来の方式で決めた固定臨界値の最大値660以内になって前記空調機110の運転を正常であると決定することになる。例えば、前記消費電力要素に基づいて前記消費電力を予測するとき、特定の時間帯に限界値の範囲が狭い結果を導出した場合を想定する。この場合、前記特定の時間帯に窓が開くことによってエネルギーの漏れが発生し、前記現在の消費電力要素の条件において、空調機110の消費電力量670が610を超過し、空調機110が異常運転をする場合であっても、前記予め固定された臨界値の最大値660以内であるため、前記空調機110の運転を正常であると決定することになる。この場合、異常決定を逃すことになり、持続的なエネルギーの漏れが発生する可能性が高く、消費電力過剰による料金の浪費及び火災などの問題が発生するおそれがある。
【0080】
したがって、本発明のように、消費電力に影響を及ぼす消費電力要素による消費電力を予測することによって、様々な要素の情報を反映することができ、空調機の正常、異常運転を決定するにおいて正確度及び信頼度が向上するようになる。
【0081】
図7は、発明の実施形態に係る消費電力管理装置が、S240段階で、空調機110の点検が必要であるかどうかを決定する過程を具体化したフローチャートである。
【0082】
前記消費電力管理装置120は、S710段階で、外部サーバ130から過去予め決められた基準時点における消費電力要素及び料金制情報を抽出することができる。前記予め決められた基準時点は、例えば、前記空調機110が設置されるときの時点を含むことができる。前記空調機が設置されるときの時点は、前記空調機110の初期性能を前記空調機110の現在性能と比較して、どれぐらい変化したかを計算するための時点として利用される。
【0083】
前記消費電力管理装置120は、S720段階で、前記基準時点における料金制と現在時点の料金制が同一であるかどうかを決定することができる。仮に、前記消費電力管理装置120は、前記基準時点の料金制と現在時点の料金制が相異する場合、前記消費電力管理装置120は、S730段階で、前記基準時点のエネルギー費用を再計算し、前記再計算に基づいてテスト時点の料金制情報を修正することができる。
【0084】
前記消費電力管理装置120は、前記S720段階で、前記基準時点の料金制と現在の料金制が同一であるか、もしくは、前記S730段階で、前記再計算に基づいて料金制が変更されれば、S740段階で、前記基準時点の消費電力要素と現在時点の消費電力要素との類似度を計算することができる。前記類似度を計算するための一例として、より具体的に類似度を計算するために、前記基準時点と現在時点間の消費電力要素の距離を計算することができる。前記計算は下記の数学式1のように行う。
【0086】
(1)前記数学式1において、x
1、x
2、x
3、...は前記基準時点における各消費電力要素であり、y
1、y
2、y
3、…は前記現在時点における各消費電力要素である。前記消費電力関連要素の差異値を具体的に数値化するために、前記距離値を計算する方式を導入した。
【0087】
前記消費電力管理装置120は、上記のように計算した距離値を利用して類似度を計算するために数学式2を利用することができる。
【0089】
(1)前記数学式1において、dは上記で計算した距離値に該当する。例えば、上記のような数学式1によって導出された距離値が3と19の時点があると想定する。前記数学式2を利用して類似度を求めるとそれぞれ0.25と0.05になる。したがって、距離値が3の時点が、前記基準時点と消費電力関連要素がより類似すると判断され得る。上記のように、類似度を利用する理由は、距離値の範囲は一定でない反面、前記類似度の場合、0≦S≦1の範囲を満足するため、画一的に数値化することができ、より容易に類似度を判断することができるからである。但し、前記言及した類似度を計算するための方法は単なる例示であり、上記のような方法以外にも類似度を判断できる様々な方法がある。
【0090】
前記消費電力管理装置120は、S750段階で、前記計算した類似度が予め決められた臨界値以上であるかどうかを決定することができる。前記消費電力管理装置120は、前記類似度が一定の臨界値以上であるかどうかに基づいて、空調機110の点検が必要であるかどうかを決定することができる。前記提示した例示において、類似度の範囲は0≦S≦1であるため、0ないし1中のいずれかの数値を臨界値にし、前記臨界値以上であれば、消費電力関連要素が過去の基準時点と比較して類似するものであり、過去の基準時点と比較して消費電力関連要素が大きく変わっていないので、過去の基準時点に係る費用と現在時点に係る費用を比較して、現在時点における空間別のエネルギー損失費用を計算することができる。したがって、下記のように、点検が必要であるかどうかに基づいて費用を計算する段階へ進行することができる。また、前記計算した類似度が予め決められた臨界値以上でない場合、前記消費電力管理装置120は、
図2のS260段階に進行し、予測電力消費量パターン及び限界値をアップデートするかどうかを決定するために、前記消費電力関連要素の変化があるかどうかを決定することができる。
【0091】
前記S750段階で計算した類似度が予め決められた臨界値以上である場合、前記消費電力管理装置120は、S760段階で、空間別「エネルギー損失費用」が「空間別機器点検費用」より多いかどうかを決定することができる。前記消費電力管理装置120は、「空間別機器点検費用」に関する情報を前記外部サーバ130から受信することができる。前記「空間別機器点検費用」は予め決められた値である。前記空間別機器点検費用は機器性能低下指数を利用して計算することができる。前記機器性能低下指数は、時間が流れるにつれて機器性能が低下し、機器点検後にも最初の状態には戻れないことを反映した指数であり、機器性能低下指数が高くなるほど点検費用が高く策定されるようになる。前記消費電力管理装置120は、前記「エネルギー損失費用」を計算することができる。これは数学式3を利用して計算することができる。
【0093】
Cはエネルギー損失費用、TCは時間帯別の料金、TPは時間帯別の電力使用量、Rは基準時点(Reference Day)、Tは機器点検を行おうとする現在時点(Test Day)である。
【0094】
前記数学式3を利用して計算した「エネルギー損失費用」が予め決められた「空間別の機器点検費用」より多い場合、機器点検の実施を決定することになる。この場合、前記消費電力管理装置120は、S250段階に復帰し、管理者サーバに空調機点検要請信号を送信することになる。しかし、前記S750段階で、機器点検の実施を決定しなかった場合、S260段階に復帰し、予測電力消費量パターン及び限界値をアップデートするかどうかを決定するために、前記消費電力関連要素の変化があるかどうかを決定することになる。
【0095】
従来は、機器点検を定期的に実施し、機器の状態や消費電力に応じた料金賦課に関係なく機器点検を行っていたため、点検費用が必要以上に増加し、また、機器点検を逃したことでエネルギーの浪費が発生していた。したがって、上記のような方法で、前記消費電力管理装置120は、機器別に点検が必ず必要な時点を導出することができ、最低限の費用で点検することができる。また、料金制に基づいた決定により、不要または過度な点検を避けることができる。機器の性能低下によって、同一性能を維持するための消費電力が増加して料金が増加するとしても、その増加した料金の差が点検費用より多くなければ機器点検を行わないほうがより経済的であるからである。上記のように、料金制に基づいた決定について
図8で具体的な例を挙げて説明する。
【0096】
図8A及び
図8Bは、本発明の実施形態によって、S210で、消費電力管理装置によって消費電力を管理する方法に関する時間に応じた電気電力のグラフである。
【0097】
より具体的には、
図8A及び
図8Bは、変動料金制に基づいた機器点検の要否を決定する方法に関する説明である。前記
図8Aと
図8Bにおいて、時間に応じた空調機110の消費電力量を表し、従来の消費電力量820,850と、性能が低下するにつれて空調機が元の出力を維持するためにより高まった消費電力量810,840を表した。したがって、前記
図8Aと
図8Bのグラフの下の面積は同一であり、全体の使用電力は同一であると想定する。また、前記
図8Aと
図8Bの状況において、建物空間物性情報、空調機の機器情報、空調機110の性能低下速度、及び空調機の現在性能は同一であると想定する。前記料金制を考慮した空調機110の使用料金を考慮しなければ、前記二つの場合、空調機110の点検要否を同一に決定することになるという問題点がある。しかし、
図7のS760段階で、時間帯別の料金が相異する変動料金制に基づいてエネルギー損失費用を計算する場合、前記二つの場合、空調機の点検要否に関する結果は相異するようになり、結果的に空調機の点検周期が相異になる。上記のような方法によって、前記消費電力管理装置120は、他の全ての条件が同一であっても、変動料金制下において時間帯別の電力使用量が変われば、エネルギー損失費用の差が生じるため、機器性能低下指数を考慮した点検費用との比較によって点検を実施するかどうかに関する経済的要素を考慮することができる。
【0098】
図9は、本発明の実施形態に係る消費電力管理装置の内部構造を表す図面である。
【0099】
図9のように、消費電力管理装置120は通信部910、保存部920、制御部930を含む。
【0100】
前記通信部910は、前記空調機110、前記外部サーバ130、前記管理者サーバ140と連結され、消費電力を管理するのに必要な情報を送信及び/または受信することができる。前記通信部910は、前記外部サーバ130から「消費電力関連要素」の情報を受信することができる。また、前記通信部910は、前記外部サーバ130から料金制情報、及び機器点検費用に関する情報を受信することができる。また、前記通信部910は、前記空調機110から空調機の運転状態情報を受信することができる。また、前記通信部910は、前記空調機110から空調機の性能低下程度に関する情報を受信することができる。
【0101】
前記通信部910は、空調機110の消費電力が予測した消費電力量パターンの時間に応じた限界値の最大値を一定の程度または予め決められた量以上を超過した場合、直ちに空調機110に電力遮断命令を送信することができる。また、前記通信部910は、前記空調機110の消費電力が予測した消費電力量パターンの限界値の範囲内に含まれない場合、前記管理者サーバ140に空調機の消費電力が異常であることを知らせる信号を送信することができる。前記通信部910は、前記制御部930を通じて前記受信した情報を前記保存部920に送信することができる。
【0102】
前記保存部920は、前記消費電力を管理するのに必要な情報を保存することができる。前記保存部920は、前記外部サーバから送信した「消費電力関連要素」の情報、前記料金制情報、及び機器点検費用の情報などを保存することができる。また、前記保存部920は、前記空調機110から受信した空調機の運転状態情報及び空調機の性能低下程度に関する情報を保存することができる。前記保存部920は、前記保存した情報を前記制御部930を通じて前記通信部910から受信することができる。
【0103】
前記制御部930は、前記通信部910から受信して前記保存部920に保存された情報を利用して消費電力管理に必要な動作をすることができる。より具体的には、前記制御部930は、少なくとも一つ以上の消費電力要素に基づいて、前記空調機の消費電力量パターンを予測したり、決定することができる。また、前記制御部930は、前記予測した前記空調機110の消費電力量パターンに関する消費電力量の時間に応じた限界値を導出することができる。
【0104】
また、前記制御部930は、現在、空調機の消費電力量が、前記導出した消費電力量の時間に応じた限界値の範囲内に含まれるかどうかを決定することができる。また、現在、消費電力量が前記導出した消費電力量の時間に応じた限界値の範囲から外れた場合、通知信号を生成して管理者サーバに送信することを制御することができる。
【0105】
また、前記制御部930は、前記少なくとも一つ以上の消費電力要素が変化されたことを感知することができる。また、前記制御部930は、前記少なくとも一つ以上の消費電力要素が変化された場合、前記消費電力関連要素の加重値を考慮して前記導出した空調機110の消費電力量の限界値を変更することを制御することができる。
【0106】
また、前記制御部930は、過去予め決められた基準時点において、前記少なくとも一つ以上の消費電力要素と現在の消費電力要素の料金制が同一であるかどうかを決定することができる。また、前記制御部930は、前記料金制が同一であれば、前記基準時点における前記消費電力要素と現在の消費電力要素の類似度を計算することができる。また、前記制御部930は、前記類似度が予め決められた臨界値より大きい場合、予め保存された時間帯別の料金制情報と時間帯別の消費電力に基づいて導出したエネルギー損失費用を基準にして、機器点検が必要であるかどうかを決定することを制御することができる。また、前記制御部930は、前記機器点検が必要であると決定された場合、通知信号を生成して管理者サーバに送信することを制御することができる。
【0107】
一方、本明細書及び図面には本発明の好ましい実施形態について開示しており、特定の用語を使用しているが、これは、本発明の技術内容を分かりやすく説明し、理解しやすくするために一般的な意味で使われたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。ここに開示された実施形態以外にも、本発明の技術的思想に基づく他の変形例が実施可能であることは、発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって自明なことである。