特許第6707546号(P6707546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6707546半導体基板からフォトレジストを除去するための剥離組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707546
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】半導体基板からフォトレジストを除去するための剥離組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20200601BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   G03F7/42
   H01L21/304 647A
【請求項の数】49
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-535384(P2017-535384)
(86)(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公表番号】特表2018-503127(P2018-503127A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】US2015067592
(87)【国際公開番号】WO2016109387
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2018年10月26日
(31)【優先権主張番号】62/097,747
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ト、 ビン
(72)【発明者】
【氏名】ドリー、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ボイッツァカ、 ウィリアム エー.
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−049752(JP,A)
【文献】 特開2006−276885(JP,A)
【文献】 特開2010−147476(JP,A)
【文献】 特表2008−527447(JP,A)
【文献】 特表2006−515933(JP,A)
【文献】 特開2009−069505(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0056410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)30%〜90%の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒と、
2)少なくとも1種のアルコール溶媒と、
3)少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと、
4)水と、
5)6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と、
6)所望により、少なくとも1種の脱泡界面活性剤と、
を含むフォトレジスト剥離用の組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムが、式[NROHの化合物を含み、式中、R、R、R、およびRの各々が、独立して、ヒドロキシによって場合により置換されている線状、分岐状、もしくは環状アルキル基、置換もしくは非置換のフェニル基、または置換もしくは非置換のベンジル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
、R、R、およびRの各々が、独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基、またはベンジル基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
.1%〜10%の前記少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤が、6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンを含み、6位の置換基は、線状もしくは分岐状の置換もしくは非置換のC〜C12アルキル基、置換もしくは非置換のC〜C12シクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、−SCH100、−N(R100101)、またはイミジルであり、ここで、R100およびR101の各々が、独立して、アルキル鎖中に窒素または酸素原子を含有してもよい線状もしくは分岐状の置換もしくは非置換のC〜C12アルキル基、シクロアルキル環中に窒素または酸素原子を含有してもよい置換もしくは非置換のC〜C12シクロアルキル基、もしくは置換もしくは非置換のアリール基であるか、またはR100およびR101はそれらが結合する原子と共に環を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤が、6−フェニル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンまたは6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
.1%〜10%の前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルスルホン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ガンマ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
1に記載の組成物。
【請求項9】
0%〜90%の前記少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種のアルコール溶媒が、アルカンジオール、グリコール、アルコキシアルコール、飽和脂肪族一価アルコール、不飽和非芳香族一価アルコール、環構造を含有するアルコール、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
〜60%の前記少なくとも1種のアルコール溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
.5%〜25%の水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
.01%〜3%の前記少なくとも1種の脱泡界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤が、リン酸類およびリン酸類の塩からなる群から選択される化合物を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤が、一リン酸、ポリリン酸、無水リン酸、またはその塩を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤が、第1および第2成分を含み、第1成分が、II族金属カチオンを含み、第2成分が、前記II族金属カチオンを可溶化することが可能である剤を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
前記第1成分が、Ca2+、Mg2+、Sr2+、またはBa2+を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記剤が、塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,3−トリアゾールカルボン酸化合物、および塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,4−トリアゾールカルボン酸化合物からなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
前記電子供与基が、カルボキシル、メルカプト、ヒドロキシフェニル、アミノ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記剤が、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
.1%〜10%の前記少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項23】
3以上のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を含有する半導体基板を、請求項1〜請求項23のいずれかに記載の組成物と接触させて、前記フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を除去すること、を含む方法。
【請求項25】
前記接触ステップの後、前記半導体基板をリンス溶媒でリンスすることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記リンスステップの後、前記半導体基板を乾燥することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記半導体基板中のCuまたはAlを実質的に除去しない、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
1)少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒と、
2)少なくとも1種のアルコール溶媒と、
3)少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと、
4)水と、
5)6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と、
6)少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤と、及び
7)所望により、少なくとも1種の脱泡界面活性剤と、
を含むフォトレジスト剥離用の組成物であって、
前記少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤が、第1および第2成分を含み、第1成分が、II族金属カチオンを含み、第2成分が、前記II族金属カチオンを可溶化することが可能である剤を含む、組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムが、式[NROHの化合物を含み、式中、R、R、R、およびRの各々が、独立して、ヒドロキシによって場合により置換されている線状、分岐状、もしくは環状アルキル基、置換もしくは非置換のフェニル基、または置換もしくは非置換のベンジル基である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
、R、R、およびRの各々が、独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基、またはベンジル基である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
0.1%〜10%の前記少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤が、6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンを含み、6位の置換基は、線状もしくは分岐状の置換もしくは非置換のC〜C12アルキル基、置換もしくは非置換のC〜C12シクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、−SCH100、−N(R100101)、またはイミジルであり、ここで、R100およびR101の各々が、独立して、アルキル鎖中に窒素または酸素原子を含有してもよい線状もしくは分岐状の置換もしくは非置換のC〜C12アルキル基、シクロアルキル環中に窒素または酸素原子を含有してもよい置換もしくは非置換のC〜C12シクロアルキル基、もしくは置換もしくは非置換のアリール基であるか、またはR100およびR101はそれらが結合する原子と共に環を形成する、請求項28に記載の組成物。
【請求項33】
前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤が、6−フェニル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンまたは6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項34】
0.1%〜10%の前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項35】
前記少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルスルホン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ガンマ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、またはこれらの混合物を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項36】
30%〜90%の前記少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項37】
前記少なくとも1種のアルコール溶媒が、アルカンジオール、グリコール、アルコキシアルコール、飽和脂肪族一価アルコール、不飽和非芳香族一価アルコール、環構造を含有するアルコール、またはこれらの混合物を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項38】
5%〜60%の前記少なくとも1種のアルコール溶媒を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項39】
2.5%〜25%の水を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項40】
0.01%〜3%の前記少なくとも1種の脱泡界面活性剤を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項41】
少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤をさらに含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項42】
前記少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤が、リン酸類およびリン酸類の塩からなる群から選択される化合物を含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤が、一リン酸、ポリリン酸、無水リン酸、またはその塩を含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記第1成分が、Ca2+、Mg2+、Sr2+、またはBa2+を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項45】
前記剤が、塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,3−トリアゾールカルボン酸化合物、および塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,4−トリアゾールカルボン酸化合物からなる群から選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項46】
前記電子供与基が、カルボキシル、メルカプト、ヒドロキシフェニル、アミノ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノである、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記剤が、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸である、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
0.1%〜10%の前記少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤を含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項49】
13以上のpHを有する、請求項28に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年12月30日に提出された米国仮特許出願第62/097,747号への優先権を主張する。
【0002】
本開示は、半導体基板からのフォトレジスト(例えば、ポジもしくはネガフォトレジスト)またはフォトレジスト残渣の除去のための新規の剥離組成物に一般に関する。具体的には、本開示は、エッチングまたはプラズマ灰化プロセスの後にフォトレジストまたはフォトレジスト残渣を除去するのに有用なアルカリ組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路の製造において、チップパッド上に堆積されたはんだバンプによって半導体デバイス、例えば、ICチップおよび微小電気機械システム(MEMS)を外付け回路に相互接続するための制御崩壊チップ接続(C4)プロセスとして知られているフリップチッププロセスは、現在では、かなり確立されている。厚膜ネガ型フォトレジストは、フリップチップまたはC4プロセスの際に一般的に適用され、厚膜ネガ型レジスト用の市販のレジスト剥離配合物は、主にDMSO(ジメチルスルホキシド)またはNMP(N−メチルピロリドン)およびTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)系の配合物である。しかし、厚膜ネガ型レジスト用のこれらの市販のレジスト剥離配合物は、不十分なレジスト剥離性、短い浴寿命、または金属基板およびバンプ組成との低い適合性という問題を示す場合がある。また、溶解されたフォトレジスト、または溶解されたフォトレジスト中の界面活性剤によって生じる発泡問題が起こる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この開示は、バンプおよびメタライゼーション材料(例えば、SnAg、CuNiSn、CuCoCu、CoSn、Ni、Cu、Al、W、Sn、Coなど)を含有するデバイス用に調整されたレジスト剥離組成物の開発を記載する。本発明者らは、厚膜ポジまたはネガ型レジストを効果的に剥離し、バンプおよび下層のメタライゼーション材料(例えば、SnAg、CuNiSn、CuCoCu、CoSn、Ni、Cu、Al、W、Sn、Coなど)に非腐食性であるという能力が、本開示の組成物を使用することによって達成され得ることを予想外にも見出した。また、本開示の組成物は、広い材料適合性を示し、かつ剥離プロセスの際の発泡問題を効果的に制御することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態において、この開示は、a)少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒と;b)少なくとも1種のアルコール溶媒と;c)少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;d)水と;e)6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と;f)場合により、少なくとも1種の脱泡界面活性剤とを含むフォトレジスト剥離組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、フォトレジスト剥離組成物は、少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤をさらに含むことができる。
【0006】
いくつかの実施形態において、本開示は、
a)約30%〜約90%の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒と;
b)約5%〜約60%の少なくとも1種のアルコール溶媒と;
c)約0.1%〜約10%の少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;
d)約2.5%〜約25%の水と;
e)約0.1%〜約10%の6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と;
f)場合により、リン酸類、リン酸類の塩、塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,3−トリアゾールカルボン酸化合物、および塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,4−トリアゾールカルボン酸化合物からなる群から選択される約0.1%〜約10%の少なくとも1種のAl腐食抑制剤、ただし、トリアゾールカルボン酸化合物が、1,2,3−または1,2,4−トリアゾール環において1つのNH部位を含有することとする、上記Al腐食抑制剤と;
g)場合により、約0.01%〜約3%の少なくとも1種の脱泡界面活性剤と
を含有するアルカリフォトレジスト剥離組成物に関する。
【0007】
いくつかの実施形態において、この開示は、
a)約30%〜約90%の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒と;
b)約5%〜約60%の少なくとも1種のアルコール溶媒と;
c)約0.1%〜約10%の少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;
d)約2.5%〜約25%の水と;
e)約0.1%〜約10%の6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と;場合により
f)約0.01%〜約3%の少なくとも1種の脱泡界面活性剤と
を含有するアルカリフォトレジスト剥離組成物に関する。
【0008】
いくつかの実施形態において、この開示は、フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を含有する半導体基板を、この開示のフォトレジスト剥離組成物と接触させて、フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を除去することを含むフォトレジスト剥離方法に関する。いくつかの実施形態において、剥離方法は、上記の方法によって得られる半導体基板から半導体デバイス(例えば、集積回路デバイス、例えば、半導体チップ)を形成することをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記のフォトレジスト剥離組成物は、少なくとも約13のpHを有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書において使用されているとき、別途記述されていない限り、表示されている全ての百分率は、剥離組成物の合計重量に対する重量百分率であると理解されるべきである。別途記述されていない限り、周囲温度は、約16および約27セ氏温度(℃)の間であると定義される。
【0011】
本明細書において使用されているとき、「水溶性」物質(例えば、水溶性アルコール、ケトン、エステル、エーテルなど)は、25℃で水に少なくとも5重量%の溶解度を有する物質を称する。
【0012】
本明細書において使用されているとき、用語「極性非プロトン性溶媒」は、酸性プロトンを欠失し、比較的高い双極子モーメント(例えば、少なくとも2.7)を有する溶媒を称する。
【0013】
本明細書において使用されているとき、「II族金属カチオン」は、周期表のII族における金属のカチオンを称する。
【0014】
互変異性化は、単および隣接する二重結合の切り替えに伴う水素原子またはプロトンのホルマール移動として本明細書において定義される。トリアゾール化合物の言及、記載または特許請求の範囲もまた、トリアゾール環系における互変異性化のための低い活性化エネルギーに起因したトリアゾール化合物の互変異性体も含む。
【0015】
本明細書において使用されているとき、用語「トリアゾール」は、縮環トリアゾール類、例えばベンゾトリアゾールもしくはナフトトリアゾールまたはこれらの誘導体を含まない。この開示のトリアゾール類は環状置換基を有していてよいが、置換基は、唯一の炭素において環に結合している。
【0016】
いくつかの実施形態において、この開示は
a)約30%〜約90%の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒と;
b)約5%〜約60%の少なくとも1種のアルコール溶媒と;
c)約0.1%〜約10%の少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;
d)約2.5%〜約25%の水と;
e)約0.1%〜約10%の6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と;場合により、
f)約0.01%〜約3%の少なくとも1種の脱泡界面活性剤と
を含有するアルカリフォトレジスト剥離組成物に関する。
【0017】
本開示の剥離組成物は、少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性溶媒を含有する。水溶性極性非プロトン性溶媒は、1種の水溶性溶媒、または、いずれの比での水溶性溶媒の混合物であってもよい。本開示での使用に好適なかかる溶媒の例として、限定されないが、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルスルホン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ガンマ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、およびこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、水溶性極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ガンマ−ブチロラクトン、またはN−メチルピロリドンである。
【0018】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、少なくとも約30重量%(例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%もしくは少なくとも約60重量%)および/または最大で約90重量%(例えば、最大で約85重量%、最大で約80重量%もしくは最大で約75重量%)の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性溶媒を含有する。
【0019】
本開示の剥離組成物は、少なくとも1種のアルコール溶媒、例えば、水溶性アルコール溶媒を含有する。水溶性アルコール溶媒の分類として、限定されないが、アルカンジオール類(限定されないが、アルキレングリコール類を含む)、グリコール類、アルコキシアルコール類(限定されないがグリコールモノエーテル類を含む)、飽和脂肪族一価アルコール類、不飽和非芳香族一価アルコール類、環構造を含有するアルコール類(例えば、低分子量アルコール類)、およびこれらの混合物が挙げられる。剥離組成物は、1種のアルコール溶媒、またはいずれの比でのアルコール溶媒の混合物を含んでいてもよい。
【0020】
水溶性アルカンジオール類の例として、限定されないが、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ピナコール、およびアルキレングリコールが挙げられる。
【0021】
水溶性アルキレングリコール類の例として、限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールが挙げられる。
【0022】
水溶性アルコキシアルコール類の例として、限定されないが、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、および水溶性グリコールモノエーテル類が挙げられる。
【0023】
水溶性グリコールモノエーテル類の例として、限定されないが、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ−1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−エトキシ−1−プロパノール、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、およびジエチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられる。
【0024】
水溶性飽和脂肪族一価アルコール類の例として、限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−ペンタノール、t−ペンチルアルコール、および1−ヘキサノールが挙げられる。
【0025】
水溶性不飽和非芳香族一価アルコール類の例として、限定されないが、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、2−ブテニルアルコール、3−ブテニルアルコール、および4−ペンテン−2−オールが挙げられる。
【0026】
環構造を含有する水溶性の低分子量アルコール類の例として、限定されないが、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、および1,3−シクロペンタンジオールが挙げられる。
【0027】
いくつかの実施形態において、水溶性アルコール溶媒は、アルコキシアルコール類、テトラヒドロフルフリルアルコール、および水溶性アルカンジオール類である。いくつかの実施形態において、水溶性アルコール溶媒は、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、水溶性グリコールモノエーテル類、水溶性アルキレングリコール類、およびテトラヒドロフルフリルアルコールである。いくつかの実施形態において、水溶性アルコール溶媒は、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、およびテトラヒドロフルフリルアルコールである。
【0028】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されているフォトレジスト剥離方法が、加熱した剥離剤を用いるとき、水溶性アルコール類は、安全を考慮して110℃超の沸点を有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%もしくは少なくとも約12重量%)および/または最大で約60重量%(例えば、最大で約45重量%、最大で約35重量%もしくは最大で約25重量%)の少なくとも1種のアルコール溶媒を含有する。
【0030】
本開示の剥離組成物は、少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムを含有する。いくつかの実施形態において、好ましい水酸化第4級アンモニウムは、一般式[NROHによって表される化合物であり、式中、R、R、R、およびRは、独立して、ヒドロキシによって場合により置換されている線状、分岐状または環状アルキル基、置換もしくは非置換のフェニル基、または置換もしくは非置換のベンジル基(例えば、フェニル基において置換されているまたは置換されていないベンジル基)である。フェニル基上の、およびベンジル基のフェニル基上の置換基として、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアルキルを挙げることができる。いくつかの実施形態において、水酸化第4級アンモニウムは、水酸化テトラアルキルアンモニウムである。いくつかの実施形態において、水酸化第4級アンモニウムは、水酸化テトラアルカノールアンモニウムである。いくつかの実施形態において、水酸化第4級アンモニウムは、いずれかの比での2種以上の水酸化第4級アンモニウムの混合物である。
【0031】
いくつかの実施形態において、好ましい水酸化第4級アンモニウムは、一般式[NROHの化合物であり、式中、R、R、R、およびRは、独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基、またはベンジル基である。
【0032】
好適な水酸化第4級アンモニウム化合物の例として、限定されないが、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化メチルトリプロピルアンモニウム、水酸化ブチルトリメチルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、水酸化ペンチルトリメチルアンモニウム、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム(コリン)、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム、水酸化(3−ヒドロキシプロピル)トリエチルアンモニウム、水酸化トリス−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸化テトラエタノールアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
いくつかの実施形態において、水酸化第4級アンモニウムは、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム(コリン)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、または水酸化テトラエタノールアンモニウムである。
【0034】
いくつかの実施形態において、水酸化第4級アンモニウムは、TMAH、TEAH、TBAH、コリン、または水酸化テトラエタノールアンモニウムである。
【0035】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約3重量%)の少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムを含有する。
【0036】
本開示の剥離組成物は、水を一般に含有する。いくつかの実施形態において、上記水は、脱イオン化されていて超高純度であり、有機汚染物質を含有せず、約4〜約17メガオームの最小抵抗率を有する。いくつかの実施形態において、上記水の抵抗率は、少なくとも17メガオームである。
【0037】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約2.5重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%もしくは少なくとも約10重量%)および/または最大で約25重量%(例えば、最大で約20重量%、最大で約15重量%もしくは最大で約12.5重量%)の水を含有する。
【0038】
本開示の剥離組成物は、6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンである少なくとも1種の銅腐食抑制剤をさらに含むことができる。2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンにおける置換基は、線状もしくは分岐状の置換もしくは非置換のC〜C12アルキル基(例えば、メチル、ヘキシル、−CH−アリール、CHOR100、−CHSR100、−CH(NR100101))、置換もしくは非置換のC〜C12シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、もしくはヒドロキシシクロヘキシル)、置換もしくは非置換のアリール基(例えば、フェニル、メトキシフェニル、もしくはナフチル)、−SCH100、−N(R100101)、またはイミジルであってよく、ここで、R100およびR101の各々が、独立して、アルキル鎖において窒素または酸素原子を場合により含有する線状もしくは分岐状の置換もしくは非置換のC〜C12アルキル基、シクロアルキル環において窒素または酸素原子を場合により含有する置換もしくは非置換のC〜C12シクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または結合する原子と一緒になって環を形成するR100およびR101である。アルキルおよびシクロアルキル基における置換基として、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシル、および置換または非置換のアリールをさらに挙げることができる。いくつかの実施形態において、アリール基における置換基は、電子吸引性(例えば、ハロゲン)よりもむしろ電子供与性(例えば、アルコキシ)である。
【0039】
好適な6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類の例として、6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン;6−フェニル−2,4−ジアミノ−1,3,5−ジメチルトリアジン;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[2−(2−フラニル)エチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[(ヘキサヒドロ−1−メチルピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[[(3−アミノブチル)チオ]メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[(3−クロロフェニル)メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[(フェニルチオ)メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル]−;2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−フルオロ−フェノール;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−(1−エチルシクロペンチル)−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]メチル]−;9−アクリジンカルボン酸,1,2,3,4−テトラヒドロ−4−[(4−メトキシフェニル)メチレン]−,(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)メチルエステル;1H−ベンズ[de]イソキノリン−1,3(2H)−ジオン,2−[[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]メチル]−;9−アクリジンカルボン酸,2−(1,1−ジメチルプロピル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−,(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)メチルエステル;1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン,N2−[2−[(7−クロロ−4−キノリニル)アミノ]エチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[[4−(1−メチルエチル)フェノキシ]メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[[3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル]チオ]−;N−シクロヘキシル−2−[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)チオ]−プロパンアミド;3−クロロ−4−[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)メトキシ]−5−メトキシ−ベンゾニトリル;ベンゼン酢酸,3−メトキシ−,(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)メチルエステル;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[3−(1−ピロリジニル)フェニル]−;1,3,5−トリアジン−2−オクタンニトリル,4,6−ジアミノ−;s−トリアジン−2−ブチロニトリル,4,6−ジアミノ−;1,3,5−トリアジン−2−プロパン酸,4,6−ジアミノ−;1,3,5−トリアジン−2−メタンチオール、4,6−ジアミノ−;ベンズアミド,N−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ヒドロキシ−;および1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン,6−[(メチルチオ)メチル]−が挙げられる。
【0040】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の少なくとも1種の銅腐食抑制剤を含有する。
【0041】
本開示の剥離組成物は、脱泡界面活性剤を場合により含む。好適な脱泡界面活性剤の例として、ポリシロキサン類(例えば、ポリジメチルシロキサン)、ポリエチレングリコールメチルエーテルポリマー、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドコポリマー、テトラメチルデシンジオール、およびグリシジルエーテルでキャップされたアセチレン性ジオールエトキシレート類(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6717019号に記載されている)が挙げられる。市販の脱泡界面活性剤の例として、Surfynol 440、Surfynol 104、Surfynol MD−20、Troysol S366、Coastal 1017F、Aldo LF、Dow DB−100、およびDow DSPが挙げられる。いくつかの実施形態において、脱泡界面活性剤は、Surfynol MD−20、Surfynol 104、およびTroysol S366である。
【0042】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%もしくは少なくとも約0.1重量%)および/または最大で約3重量%(例えば、最大で約2重量%、最大で約1重量%もしくは最大で約0.5重量%)の少なくとも1種の脱泡界面活性剤を含有する。
【0043】
また、いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、添加剤、例えば、さらなるpH調整剤(例えば、有機酸、無機酸、および有機塩基)、さらなる腐食抑制剤、キレート剤、界面活性剤、さらなる有機溶媒(例えば、グリコールジエーテル類)、ならびに殺生物剤を、場合による成分として含有していてよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、以下の成分の1以上を、1を超える場合にはいずれかの組み合わせで、具体的に除いてよい。かかる成分は、脱酸素剤、アミドキシム、酸化剤(例えば、過酸化物、オキソアンモニウム化合物、無機酸化剤、および過酸)、研磨剤、フッ化物含有化合物、アルカリ金属およびアルカリ土類塩基(例えば、NaOH、KOH、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよびLiOH)、ハロゲン化金属化合物、カルボン酸類、ホスフィン酸類、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリコール類、フラニルアルコール、グリセリン、糖アルコール類、単糖類、アリールエーテル類、N−ヒドロキシホルムアミド、アルカノールアミン類、N−アルキルアルカノールアミン類、スルホン酸化ポリマー、金属スルホネート類、ヒドロキシルアミン、2−アミノベンゾチアゾール、チオベンゾトリアゾール、スルホン酸化ポリエステル類、尿素化合物、シリケート塩基、シラン類、シリコン化合物、脱泡界面活性剤以外の界面活性剤、ピロリドン、立体ヒンダードアミド溶媒、例えば、1,3−ジメチル−2−ピペリドンおよび1,5−ジメチル−2−ピペリドン、DMSOもしくはジメチルスルホンまたは硫黄含有置換基を含有するトリアゾール化合物以外の硫黄化合物、テトラゾリウム塩、ホウ酸およびホウ酸の誘導体、ベンズイミダゾール類、非トリアゾール含有フェノール性化合物、キレート剤、ならびにこの開示に記載されているCuまたはAl腐食抑制剤以外の腐食抑制剤からなる群から選択される。
【0045】
この開示のいくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、少なくとも1種のAl腐食抑制剤を場合によりさらに含む。これらの実施形態において、アルカリフォトレジスト剥離組成物は
a)約30%〜約90%の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶媒と;
b)約5%〜約60%の少なくとも1種のアルコール溶媒と;
c)約0.1%〜約10%の少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;
d)約2.5%〜約25%の水と;
e)約0.1%〜約10%の6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と;
f)リン酸類、リン酸類の塩、塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,3−トリアゾールカルボン酸化合物、および塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,4−トリアゾールカルボン酸化合物から選択される約0.1%〜約10%の少なくとも1種のAl腐食抑制剤、ただし、トリアゾールカルボン酸化合物が、1,2,3−または1,2,4−トリアゾール環において1つのNH部位を含有することとする、上記Al腐食抑制剤と、場合により、
g)約0.01%〜約3%の少なくとも1種の脱泡界面活性剤と
を含有する。
【0046】
本開示のこれらの実施形態の要素a〜eおよびgは、上に記載されている。
【0047】
この開示のいくつかの実施形態は、リン酸類、リン酸類の塩、塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,3−トリアゾールカルボン酸化合物、および塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,4−トリアゾールカルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも1種のAl腐食抑制剤を含有し、ただし、トリアゾールカルボン酸化合物が、1,2,3−または1,2,4−トリアゾール環において1つのNH部位を含有することとする。
【0048】
この開示において企図されているリン酸類として、一リン酸、ポリリン酸類、および無水リン酸が挙げられる。ポリリン酸類の例として、限定されないが、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、およびトリメタリン酸が挙げられる。ポリリン酸類および無水リン酸は、一リン酸に加水分解することが知られており、そのため、一リン酸のソースとなる。
【0049】
いくつかの実施形態において、リン酸類の塩は、水の存在下での、リン酸類と、水酸化アンモニウム、有機塩基(例えば、一般式[NROH:式中、R、R、R、およびRは上記で定義されている;の水酸化第4級アンモニウム類)、アミジン塩基(例えば、グアニジン、アセトアミジン、ホルムアミジン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)およびジアザビシクロノネン(DBN))、ならびにアミン類(例えば、第1級、第2級、および第3級モノアミン類;第1級、第2級、および第3級ジアミン類;ならびに第1級、第2級、および第3級アルカノールアミン類)との反応生成物から選択される。上記塩は、剥離組成物の配合の前に、または剥離組成物の配合の際にインサイチュで調製されてよい。
【0050】
リン酸塩を形成するのに使用され得る好適な水酸化第4級アンモニウム化合物の例として、限定されないが、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化メチルトリプロピルアンモニウム、水酸化ブチルトリメチルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、水酸化ペンチルトリメチルアンモニウム、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム(コリン)、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム、水酸化(3−ヒドロキシプロピル)トリエチルアンモニウム、水酸化トリス−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、水酸化テトラエタノールアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
リン酸塩を形成するのに使用され得る好適な第1級、第2級、または第3級モノアミン類として、限定されないが、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびトリブチルアミンが挙げられる。
【0052】
リン酸塩を形成するのに使用され得る好適な第1級、第2級、または第3級ジアミン類として、限定されないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’トリメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’,−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N−メチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルブチレンジアミン、およびN,N’−ジメチルブチレンジアミンが挙げられる。
【0053】
リン酸塩を形成するのに使用され得る好適な第1級、第2級、または第3級アルカノールアミン類として、限定されないが、ヒドロキシエチルアミン、ヒドロキシプロピルアミン、ヒドロキシブチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)メチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ジメチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)メチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)エチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ジエチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)エチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)プロピルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ジプロピルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)プロピルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ブチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ジブチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)ブチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ペンチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ジペンチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)ペンチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ヘキシルアミン、(N−ヒドロキシエチル)ジヘキシルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)ヘキシルアミン、N−ヒドロキシエチルヘプチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)ヘプチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)オクチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)オクチルアミン、N−ヒドロキシエチルメチルエチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)メチルプロピルアミン、(N−ヒドロキシエチルメチル)ブチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)エチルプロピルアミン、(N−ヒドロキシエチル)エチルブチルアミン、ビス(N,N−ヒドロキシエチル)アミン、トリス(N,N,N−ヒドロキシエチル)アミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)メチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)プロピルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)ブチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)アミノエトキシエタノール、脂肪族アルカノールポリアミン類、例えば、(N−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)エチレンジアミン、(N,N’−ジヒドロキシエチル)エチレンジアミン、(N−ヒドロキシエチル)ブチレンジアミン、(N−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、(N,N’−ジヒドロキシエチル)ブチレンジアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)ブチレンジアミン、(N,N,N’−トリヒドロキシエチル)ブチレンジアミン、(N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチル)ブチレンジアミン、(N,N’−ジヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(N,N,N’−トリヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、(N,N,N’−トリヒドロキシエチル)エチレンジアミン、(N,N,N’,N’−テトラヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジヒドロキシエチル−N−メチルエチレンジアミン、N,N’,N’−トリヒドロキシエチル−N−メチルエチレンジアミン、N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジヒドロキシエチル−N’,N’−ジメチルエチレンジアミン、N−ヒドロキシエチル−N,N’,N’−トリメチルエチレンジアミン、N−ヒドロキシエチル−N−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジヒドロキシエチル−N−エチルエチレンジアミン、N,N’,N’−トリヒドロキシエチル−N−メチルエチレンジアミン、N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジヒドロキシエチル−N’,N’−ジエチルエチレンジアミン、N−ヒドロキシエチル−N,N’,N’−トリエチルエチレンジアミン、ならびに脂肪族アルカノールエーテルアミン類、例えば、(N−ヒドロキシエチル)メトキシエチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)メトキシエチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)メトキシプロピルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)メトキシプロピルアミン、(N−ヒドロキシエチル)エトキシエチルアミン、(N,N−ジヒドロキシエチル)エトキシエチルアミン、(N−ヒドロキシエチル)エトキシプロピルアミン、および(N,N−ジヒドロキシエチル)エトキシプロピルアミンが挙げられる。
【0054】
本明細書において記載されている剥離組成物のいくつかの実施形態は、少なくとも1種のAl腐食抑制剤を含有することができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のAl腐食抑制剤は、リン酸類およびリン酸類の塩からなる群から選択される化合物を含むことができる。かかるAl腐食抑制剤の例として、一リン酸、ポリリン酸類、無水リン酸類、およびこれらの塩が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のAl腐食抑制剤は、第1および第2成分を含むことができる。第1成分は、II族金属カチオンを含むことができる。好適なII族金属カチオンの例として、Ca2+、Mg2+、Sr2+、およびBa2+が挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書において記載されている剥離組成物は、少なくとも約5ppm(例えば、少なくとも約7ppm、少なくとも約8ppm、もしくは少なくとも約10ppm)および/または最大で約30ppm(例えば、最大で約25ppm、最大で約20ppm、もしくは最大で約15ppm)の第1成分を含むことができる。理論によって拘束されることを望まないが、比較的高量の可溶化されたII族金属カチオン(例えば、カルシウムカチオン)を含有する剥離組成物は、剥離組成物のAlエッチングレートを有意に低減させることにより、剥離組成物が使用の際にAlエッチングを抑制することを可能にするとされている。さらに、理論によって拘束されることを望まないが、II族金属化合物が本明細書において記載されている剥離組成物に概してあまり可溶性でないため、(例えば、II族金属カチオンとの錯体を形成することによって)II族金属カチオンを可溶化することができる剤を添加することで、剥離組成物中の可溶化されたII族金属カチオンの量を有意に増加させ、これにより、これらのAlエッチング抑制能力を改良することができるとされている。
【0056】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のAl腐食抑制剤における第2成分は、(例えば、II族金属カチオンとの錯体を形成することによって)II族金属カチオンを可溶化することが可能である剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、上記剤は、塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,3−トリアゾールカルボン酸化合物、および塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,4−トリアゾールカルボン酸化合物から選択され得、ただし、場合により、トリアゾールカルボン酸類が、1,2,3−または1,2,4−トリアゾール環において1つのNH部位を含有することとする。
【0057】
塩基性条件下で電子供与基である好適な基の例として、限定されないが、カルボキシル、メルカプト、ヒドロキシフェニル、アミノ、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノが挙げられる。理論によって拘束されることを望まないが、トリアゾールカルボン酸化合物におけるカルボキシル基は、基板におけるアルミニウムと錯体を形成することができるとされている。また、塩基性条件下で電子供与基である基は、基板におけるアルミニウムと錯体を形成してもよく、または、トリアゾール環系を通してカルボキシル基に電子的に接続しているおかげで、アルミニウムとの結合定数に良好な影響を与える。
【0058】
互変異性化は、単および隣接する二重結合の切り替えに伴う水素原子またはプロトンのホルマール移動として本明細書において定義される。NH結合を有するトリアゾール類は、互変異性化のための低い活性化エネルギーを一般に有する。そのため、環におけるNHおよび二重結合の1つの位置は、温度または溶媒極性に応じて変動することがある。そのため、トリアゾール化合物の言及、記載または特許請求の範囲もまた、トリアゾール化合物の互変異性体も含む。
【0059】
好適なトリアゾールカルボン酸類の例として、限定されないが、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸;5−アミノ−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸;5−アミノ−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸;4−アミノ−1H−1,2,3−トリアゾール−5−カルボン酸;2H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸;1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジカルボン酸;1H−1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸;2,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸;5−メルカプト−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸;4−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−5−カルボン酸;4−(2−ヒドロキシフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−5−カルボン酸;3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸;3−(2−ヒドロキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸;5−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸;および5−(2−ヒドロキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸が挙げられる。
【0060】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤を含有する。
【0061】
また、いくつかの実施形態において、本開示の、アルミニウム腐食抑制剤を含む剥離組成物は、添加剤、例えば、さらなるpH調整剤、さらなる腐食抑制剤、界面活性剤、さらなる有機溶媒(例えば、グリコールジエーテル類)、および殺生物剤を、場合による成分として含有していてよい。
【0062】
Al腐食抑制剤を含有する実施形態において、本開示の剥離組成物は、以下の成分の1以上を、1を超える場合にはいずれかの組み合わせで、具体的に除いてよい。かかる成分は、脱酸素剤、アミドキシム、酸化剤(例えば、過酸化物、オキソアンモニウム化合物、無機酸化剤、および過酸)、研磨剤、フッ化物含有化合物、アルカリ金属およびアルカリ土類塩基(例えば、NaOH、KOH、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよびLiOH)、ハロゲン化金属化合物、カルボン酸類、ホスフィン酸類、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリコール類、フラニルアルコール、グリセリン、糖アルコール類、単糖類、アリールエーテル類、N−ヒドロキシホルムアミド、アルカノールアミン類、N−アルキルアルカノールアミン類、スルホン酸化ポリマー、金属スルホネート類、ヒドロキシルアミン、2−アミノベンゾチアゾール、チオベンゾトリアゾール、スルホン酸化ポリエステル類、尿素化合物、シリケート塩基、シラン類、シリコン化合物、脱泡界面活性剤以外の界面活性剤、ピロリドン、立体ヒンダードアミド溶媒、例えば、1,3−ジメチル−2−ピペリドンおよび1,5−ジメチル−2−ピペリドン、DMSOもしくはジメチルスルホンまたは硫黄含有置換基を含有するトリアゾール化合物以外の硫黄化合物、テトラゾリウム塩、ホウ酸およびホウ酸の誘導体、ベンズイミダゾール類、非トリアゾール含有フェノール性化合物、ならびにこの開示に記載されているCuまたはAl腐食抑制剤以外の腐食抑制剤からなる群から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約30重量%(例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%もしくは少なくとも約60重量%)および/または最大で約90重量%(例えば、最大で約85重量%、最大で約80重量%もしくは最大で約75重量%)の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性溶媒と;少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%もしくは少なくとも約12重量%)および/または最大で約60重量%(例えば、最大で約45重量%、最大で約35重量%もしくは最大で約25重量%)の少なくとも1種のアルコール溶媒と;少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約3重量%)の少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;少なくとも約2.5重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%もしくは少なくとも約10重量%)および/または最大で約25重量%(例えば、最大で約20重量%、最大で約15重量%もしくは最大で約12.5重量%)の水と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の、6−置換2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と;場合により、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%もしくは少なくとも約0.1重量%)および/または最大で約3重量%(例えば、最大で約2重量%、最大で約1重量%もしくは最大で約0.5重量%)の少なくとも1種の脱泡界面活性剤とを含有するか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。
【0064】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約30重量%(例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%もしくは少なくとも約60重量%)および/または最大で約90重量%(例えば、最大で約85重量%、最大で約80重量%もしくは最大で約75重量%)の、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ガンマ−ブチロラクトン、およびN−メチルピロリドンから選択される少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性溶媒と;少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%もしくは少なくとも約12重量%)および/または最大で約60重量%(例えば、最大で約45重量%、最大で約35重量%もしくは最大で約25重量%)の、グリコール類、アルコキシアルコール類、およびテトラヒドロフルフリルアルコールから選択される少なくとも1種の水溶性アルコール溶媒と;少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約3重量%)の、一般式[NROH:式中、R、R、R、およびRは、独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基、またはベンジル基である;の水酸化第4級アンモニウム化合物から選択される少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;少なくとも約2.5重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%もしくは少なくとも約10重量%)および/または最大で約25重量%(例えば、最大で約20重量%、最大で約15重量%もしくは最大で約12.5重量%)の水と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の、6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤において、6−置換基が、C〜Cアルキル基および置換または非置換のアリール基から選択される、上記銅腐食抑制剤と;場合により、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%もしくは少なくとも約0.1重量%)および/または最大で約3重量%(例えば、最大で約2重量%、最大で約1重量%もしくは最大で約0.5重量%)の少なくとも1種の脱泡界面活性剤とを含有するか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。
【0065】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約30重量%(例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%もしくは少なくとも約60重量%)および/または最大で約90重量%(例えば、最大で約85重量%、最大で約80重量%もしくは最大で約75重量%)の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性溶媒と;少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%もしくは少なくとも約12重量%)および/または最大で約60重量%(例えば、最大で約45重量%、最大で約35重量%もしくは最大で約25重量%)の少なくとも1種のアルコール溶媒と;少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約3重量%)の少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;少なくとも約2.5重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%もしくは少なくとも約10重量%)および/または最大で約25重量%(例えば、最大で約20重量%、最大で約15重量%もしくは最大で約12.5重量%)の水と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の、6−置換−2,4−ジアミン−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の、リン酸類、リン酸類の塩、塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,3−トリアゾールカルボン酸化合物、および塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,4−トリアゾールカルボン酸化合物から選択される少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤、ただし、トリアゾールカルボン酸類が、1,2,3−または1,2,4−トリアゾール環において1つのNH部位を含有することとする、上記アルミニウム腐食抑制剤と、場合により、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%もしくは少なくとも約0.1重量%)および/または最大で約3重量%(例えば、最大で約2重量%、最大で約1重量%もしくは最大で約0.5重量%)の少なくとも1種の脱泡界面活性剤とを含有するか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。
【0066】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約30重量%(例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%もしくは少なくとも約60重量%)および/または最大で約90重量%(例えば、最大で約85重量%、最大で約80重量%もしくは最大で約75重量%)の、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ガンマ−ブチロラクトン、およびN−メチルピロリドンから選択される少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性溶媒と;少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%もしくは少なくとも約12重量%)および/または最大で約60重量%(例えば、最大で約45重量%、最大で約35重量%もしくは最大で約25重量%)の、グリコール類、アルコキシアルコール類、およびテトラヒドロフルフリルアルコールから選択される少なくとも1種の水溶性アルコール溶媒と;少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約3重量%)の、一般式[NROH:式中、R、R、R、およびRは、独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基、またはベンジル基である;の水酸化第4級アンモニウム化合物から選択される少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;少なくとも約2.5重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%もしくは少なくとも約10重量%)および/または最大で約25重量%(例えば、最大で約20重量%、最大で約15重量%もしくは最大で約12.5重量%)の水と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の、6−置換2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤において、6−置換基が、C〜Cアルキル基および置換または非置換のアリール基から選択される、上記銅腐食抑制剤と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の、リン酸類およびリン酸類の塩から選択される少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%もしくは少なくとも約0.1重量%)および/または最大で約3重量%(例えば、最大で約2重量%、最大で約1重量%もしくは最大で約0.5重量%)の少なくとも1種の脱泡界面活性剤とを含有するか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。
【0067】
いくつかの実施形態において、この開示の剥離組成物は、少なくとも約30重量%(例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%もしくは少なくとも約60重量%)および/または最大で約90重量%(例えば、最大で約85重量%、最大で約80重量%もしくは最大で約75重量%)の、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ガンマ−ブチロラクトン、およびN−メチルピロリドンから選択される少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性溶媒と;少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%もしくは少なくとも約12重量%)および/または最大で約60重量%(例えば、最大で約45重量%、最大で約35重量%もしくは最大で約25重量%)の、グリコール類、アルコキシアルコール類、およびテトラヒドロフルフリルアルコールから選択される少なくとも1種の水溶性アルコール溶媒と;少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約3重量%)の、一般式[NROH:式中、R、R、R、およびRは、独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基、またはベンジル基である;の水酸化第4級アンモニウム化合物から選択される少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムと;少なくとも約2.5重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%もしくは少なくとも約10重量%)および/または最大で約25重量%(例えば、最大で約20重量%、最大で約15重量%もしくは最大で約12.5重量%)の水と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の、6−置換−2,4−ジアミノトリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤において、6−置換基がC〜Cアルキル基および置換または非置換のアリール基から選択される、上記銅腐食抑制剤と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の、塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,3−トリアゾールカルボン酸化合物、および塩基性条件下で電子供与基である基によって置換されている1,2,4−トリアゾールカルボン酸化合物から選択される少なくとも1種のアルミニウム腐食抑制剤、ただし、トリアゾールカルボン酸類が、1,2,3−または1,2,4−トリアゾール環において1つのNH部位を含有することとする、上記アルミニウム腐食抑制剤と、場合により、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%もしくは少なくとも約0.1重量%)および/または最大で約3重量%(例えば、最大で約2重量%、最大で約1重量%もしくは最大で約0.5重量%)の少なくとも1種の脱泡界面活性剤とを含有するか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。
【0068】
本開示の剥離組成物は、概して、性質がアルカリである。いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、少なくとも約13のpH(例えば、少なくとも約13.5または少なくとも約14)を有する。理論によって拘束されることを望まないが、剥離組成物のアルカリ性質が、半導体基板におけるフォトレジストの除去を容易にすることができるとされている。
【0069】
本開示の一実施形態は、半導体基板からフォトレジストを剥離する方法であって、フォトレジストを含有する半導体基板を、本明細書において記載されている剥離組成物と、基板表面からフォトレジストを除去するのに十分な時間および温度で接触させることを含む、上記方法である。上記方法は、接触ステップの後に半導体基板をリンス溶媒によってリンスすること、および/またはリンスステップの後に半導体基板を乾燥させることをさらに含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、フォトレジスト剥離方法は:
(A)フォトレジストコーティングを有する半導体基板を付与するステップと;
(B)上記フォトレジストコーティングを有する半導体基板を、本明細書において記載されている剥離組成物と接触させて、フォトレジストを除去するステップと;
(C)上記半導体基板を好適なリンス溶媒によってリンスするステップと;
(D)場合により、上記リンス溶媒を除去しかつ上記半導体基板の完全性を損なわないいずれかの手段で上記半導体基板を乾燥するステップとを含む。いくつかの実施形態において、剥離方法は、上記の方法によって得られる半導体基板から半導体デバイス(例えば、集積回路デバイス、例えば、半導体チップ)を形成することをさらに含む。
【0071】
この方法において剥離される半導体基板は、除去する必要がある少なくとも1種のフォトレジスト(例えば、ポジまたはネガフォトレジスト)を有する。半導体基板は、シリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsのようなIII族−V化合物、またはこれらのいずれかの組み合わせから典型的には構成される。半導体基板は、露出した集積回路構造、例えば、金属線のような相互接続特徴部、および誘電体材料をさらに含有していてよい。相互接続特徴部に使用される金属および金属合金として、限定されないが、アルミニウム、銅によって合金化されたアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、ニッケル、シリコン、ポリシリコン、チタン窒化物、タンタル窒化物、錫、タングステン、SnAg、SnAg/Ni、CuNiSn、CuCoCu、およびCoSnが挙げられる。上記半導体基板は、層間絶縁体、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、チタン酸化物、および炭素ドープシリコン酸化物の層を含有していてもよい。
【0072】
半導体基板は、いずれの好適な方法、例えば、剥離組成物を槽内に入れ、半導体基板を剥離組成物中に浸漬させかつまたは漬けること、剥離組成物を半導体基板上に噴霧すること、剥離組成物を半導体基板上に流すこと、またはこれらのいずれかの組み合わせによって剥離組成物と接触され得る。いくつかの実施形態において、半導体基板は、剥離組成物中に浸漬される。
【0073】
本開示の剥離組成物は、最高で約90℃の温度まで効果的に使用され得る。いくつかの実施形態において、剥離組成物は、約25℃〜約80℃で使用され得る。いくつかの実施形態において、剥離組成物は、約30℃〜約60℃の温度範囲で用いられ得る。いくつかの実施形態において、剥離組成物は、約40℃〜約60℃の温度範囲で用いられ得る。最終的には安全の理由で、最高温度は、使用される溶媒の引火点よりも有意に低く保たれる。
【0074】
同様に、剥離時間は、用いられる特定の剥離方法、温度および剥離組成物に応じて広範囲にわたって変動し得る。浸漬バッチ型プロセスにおいて剥離されるとき、好適な時間範囲は、例えば、最大で約60分である。いくつかの実施形態において、バッチ型プロセスに好適な時間範囲は、約1分〜約60分である。いくつかの実施形態において、バッチ型プロセスに好適な時間範囲は、約3分〜約20分である。いくつかの実施形態において、バッチ型剥離プロセスに好適な時間範囲は、約4分〜約15分である。
【0075】
枚葉プロセスの剥離時間は、約10秒〜約5分の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、枚葉プロセスの剥離時間は、約15秒〜約4分の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、枚葉プロセスの剥離時間は、約15秒〜約3分の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、枚葉プロセスの剥離時間は、約20秒〜約2分の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、剥離組成物の1以上の適用が行われてよい。枚葉プロセスにおいて用いられる剥離組成物の体積は、基板を完全に被覆するのに典型的には十分であり、基板サイズおよび剥離組成物の表面張力に依る。
【0076】
本開示の剥離組成物の剥離可能性をさらに促進するために、機械的かき混ぜ手段が用いられてよい。好適なかき混ぜ手段の例として、基板の上での剥離組成物の循環、基板の上に剥離組成物を流すまたは噴霧すること、および剥離プロセスの際の超音波またはメガソニックかき混ぜが挙げられる。グランドに対する半導体基板の配向は、いずれの角度であってもよい。いくつかの実施形態において、水平または垂直配向が好適である。
【0077】
本開示の剥離組成物は、当業者に公知の従来の剥離ツールにおいて使用され得る。本開示の剥離組成物の有意な利点は、全体および一部において、比較的非毒性、非腐食性、および非反応性の成分を含み、これにより、上記組成物が、広い温度およびプロセス時間範囲で安定であることである。本開示の剥離組成物は、バッチおよび枚葉剥離のための既存の提案されている半導体ウェハ剥離プロセスツールを構築するのに使用される実用的な全ての材料と概して化学的に適合可能である。
【0078】
剥離の後、半導体基板は、かき混ぜ手段を用いてまたは用いずに約5秒〜最大で約5分間、好適なリンス溶媒によってリンスされる。好適なリンス溶媒の例として、限定されないが、脱イオン(DI)水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリジノン、ガンマ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。いくつかの実施形態において、リンス溶媒の例として、限定されないが、DI水、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールが挙げられる。いくつかの実施形態において、リンス溶媒は、DI水およびイソプロピルアルコールである。いくつかの実施形態において、リンス溶媒は、DI水である。溶媒は、本明細書において記載されている剥離組成物を適用するときに使用されるものと同様の手段を使用して適用されてよい。剥離組成物は、リンスステップの開始の前に半導体基板から除去されていてよく、またはリンスステップの開始時に半導体基板と依然として接触していてよい。いくつかの実施形態において、リンスステップにおいて用いられる温度は、16℃と27℃との間である。
【0079】
場合により、半導体基板は、リンスステップ後に乾燥される。当該分野において公知のいずれの好適な乾燥手段が用いられてもよい。好適な乾燥手段の例として、乾燥手段として、スピン乾燥、半導体基板を横断しての乾燥ガスの流通、加熱手段、例えば、ホットプレートまたは赤外線ランプによる半導体基板の加熱、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、IPA乾燥またはこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。乾燥時間は、用いられる具体的な方法に依るが、典型的には、およそ30秒〜最大で数分である。
【0080】
いくつかの実施形態において、半導体基板は、その後に加工されて、基板に1以上のさらなる回路を形成することができ、または、加工されて、例えば、アセンブリング(例えば、ダイシングおよびボンディング)ならびにパッケージング(例えば、チップシーリング)によって半導体チップが形成され得る。
【実施例】
【0081】
本開示を以下の実施例を参照してより詳細に示すが、これらの実施例は例示目的であり、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
一般手順1(剥離剤配合物)
【0082】
剥離組成物を、有機溶媒、および超高純度の脱イオン水(DIW)を撹拌しながら混合することによって調製した。水性(25%)TMAHを撹拌しながらゆっくり添加し、続いてCu抑制剤を添加した。均一な溶液を得た後、場合による添加剤を、使用する場合、添加した。使用した全ての成分は市販されており、高純度を有した。
【0083】
全ての成分を完全に溶解した後、所望によりpH測定を周囲温度(17〜25℃)で行った。これらのpH測定には、Beckman Coulter Φ400 Series Handheldメータを使用することができる。大部分のサンプルのpH測定は>13であったが、典型的には低濃度の水が、これらの測定の信頼性をなくす。
一般手順2(剥離試験)
【0084】
剥離試験を、カスタマー供給の200mmまたは300mmのフルウェハを使用して行った。厚膜ポジまたはネガ型レジストを有するカスタマー供給ウェハを、剥離試験のための一体のダイを含む小さなクーポンにダイシングした。サンプルを、およそ200mLの本開示の剥離組成物を含む600mLの容積のガラスビーカーに入れた。サンプルを剥離組成物に浸漬する前に、剥離組成物を、制御された溶液かき混ぜ用におよそ250rpmに設定されたホットプレートにおいて試験条件温度(典型的には50℃〜80℃)まで前加熱した。次いで、デバイス側が撹拌棒に「対向して」、前加熱した剥離組成物にサンプルを入れ、試験条件時間(典型的には0.5〜10分)にわたって一定のかき混ぜで溶液にサンプルを放置することにより、剥離試験を実施した。一旦、サンプルを試験条件の持続時間にわたって溶液中で暴露したら、サンプルを、1対のプラスチックの「固定」ピンセットを用いて試験溶液から迅速に除去し、周囲温度(約17℃)において、およそ500mLの超高純度の脱イオン水を充填した600mLのプラスチックビーカーに入れた。サンプルを脱イオン水のビーカーにおいておよそ10〜20秒間、穏やかにかき混ぜしながら放置し、次いで、除去して、さらに40〜50秒間、周囲温度で超高純度の脱イオン水流(流量約2L/分)下に置き、次いで除去した。除去の際、サンプルを、サンプル表面上のいずれの液滴もサンプルから吹き飛ばし、さらに、サンプルデバイス表面および裏側を完全に乾燥させるハンドヘルド窒素吹き付けガンからの窒素ガスに、ただちに暴露した。この最終窒素乾燥ステップの後、サンプルをプラスチックピンセットホルダーから除去し、被覆されたプラスチックキャリア内にデバイス側を上にして入れ、約2時間以下の短い期間保存した。次いで、走査電子顕微鏡(SEM)画像を、剥離試験サンプルデバイス表面における主要な特徴部(すなわち、SnAg/Niバンプ)について採取した。
一般手順3(エッチングレート測定)
【0085】
種々の基板材料のエッチングレートを測定し、試験した剥離組成物の腐食性を求めた。試験されるフォトレジスト材料のコーティングを有するウェハからのクーポン(Cu、Al、W、Ni、Sn、Co、シリコン窒化物、またはポリ−Si)を、試験条件温度に前加熱されたある特定の体積の試験剥離組成物に浸漬した。試験条件時間の持続時間にわたって試験剥離組成物に浸漬した後、クーポンを1対のプラスチック「固定」ピンセットによって試験組成物から迅速に除去し、脱イオン水によってリンスし、Nガス流によって吹き付け乾燥した。
【0086】
試験組成物におけるディッピングの前後でのクーポン上の誘電体膜の厚さを、エリプソメータまたはFilmetrics膜厚測定デバイスのいずれかによって測定した。エッチング時間によって除算される膜厚の差を使用してエッチングレートを算出した。
【0087】
試験組成物におけるディッピングの前後でのクーポン上の金属膜のシート抵抗を、Resmap4探針装置によって測定した。Snを除く金属において、膜厚とシート抵抗との間の相関関係を用いて膜厚を求めた。エッチングレートを、膜厚変化を組成物への浸漬時間によって除算することにより求めた。
一般手順4(消泡試験)
【0088】
消泡試験を100mLのメスシリンダにおいて行った。30mLの試験溶液液体を100mLのメスシリンダに投入し、シリンダの頂部をPARAFILM(登録商標)Mによってきっちりと蓋をした。メスシリンダを30秒間振とうした。液体および泡体の合計体積を0秒、10秒、30秒、1分の時間で記録し、いくつかの場合においてはこれより長い時間(例えば、5分)で記録した。
実施例1〜2および比較例CE−1〜CE−13
Cu腐食抑制剤のスクリーニング
【0089】
添加剤を含む18の実験剥離組成物を、一般手順1にしたがって配合し、フォトレジスト剥離の際に起こり得る銅エッチングの抑制についてスクリーニングした。銅エッチングレート試験を、一般手順3にしたがって、試験溶液においてブランケット銅ウェハクーポンで70℃において10分間実施した。配合物およびエッチング結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
結果は、FE−1およびFE2における2つのジアミノ−1,3,5−トリアジン(すなわち、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン)および6−メチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミンが、上記実施例において試験したCu腐食抑制剤の間で有意に最も有効であったことを実証している。
実施例3〜6
抑制された水酸化第4級アンモニウム/極性溶媒系剥離剤におけるCuエッチングレートに対する水濃度の影響
【0092】
7.5%〜22.5%の範囲の量の水を含有する剥離剤配合物を一般手順1にしたがって調製した。2つの異なるソースからのCu膜を剥離配合物によって一般手順3にしたがって70℃で10分間処理し、得られるエッチングレートを測定した。剥離配合物およびエッチング結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
結果は、試験した含水量の範囲内で、Cuエッチングレートが、試験した剥離組成物における水の量の増加によって有意に変化しなかったことを示している。
実施例7〜15
【0095】
実施例7〜15において、代替のアルコール性溶媒を複数の濃度で含有する、一般手順1にしたがって調製した剥離組成物を用いて、Cu膜を、一般手順3にしたがって70℃において10分間処理した。Cuエッチングレートに対しての、水酸化第4級アンモニウム/極性溶媒系剥離剤におけるアルコール性溶媒およびその濃度の変化の影響を表3に示す。
【0096】
【表3】

ジ(エチレングリコール)エチルエーテルはまた、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびエチルジグリコールとしても知られている。
【0097】
結果は、試験したアルコール性溶媒およびそれらの濃度の変化が、有意な濃度範囲(すなわち、12%〜60%)にわたってさえも腐食の抑制に有意に影響しなかったことを示している。
実施例16〜17
Cuエッチングレートに対する界面活性剤の影響
【0098】
実施例16〜17において、脱泡界面活性剤を含有する、一般手順1にしがたって調製した剥離組成物を用いて、Cu膜を、一般手順3にしたがって70℃において10分間処理した。Cuエッチングレートに対しての、この開示の剥離組成物における脱泡界面活性剤の影響を表4に示す。
【0099】
【表4】
【0100】
表4における結果は、Cuエッチングレートに対しての界面活性剤添加の影響が最小であることを示しており、実験誤差の範囲内と考えられた。
実施例18〜34
厚膜レジスト剥離試験
【0101】
実施例18〜34において、一般手順1にしたがって調製した、表5に示す剥離組成物を用いて、シリコン基板におけるSnAg/Niバンプ上にコーティングされたフォトレジストを、一般手順2にしたがって、70℃において5、15、および30分間剥離した。剥離剤組成物における、含水量、DMSO含量または具体的なアルコール性溶媒の変動の影響をこの実施例において研究した。
【0102】
【表5】

表5において、3M3MBuは3−メトキシ−3−メチルブタノールを、DEGEEはジ(エチレングリコール)エチルエーテルを表わす。
【0103】
SEM像の分析は、表5に列挙した剥離剤の全てが、SnAg/Niバンプを有するシリコン基板からフォトレジストを満足のいくように除去したことを示した。この分析は、剥離剤における水濃度が10.5%未満であることがSnAg/Niバンプのエッチングを回避するのに好ましいことを示唆した。
実施例35〜43
さらなる厚膜レジスト剥離試験
【0104】
実施例35〜43において、一般手順1にしたがって調製した、表6に示す剥離組成物を用いて、シリコン基板におけるSnAg/Niバンプ上にコーティングされたフォトレジストを、一般手順2にしたがって、70℃において5、15、および30分間剥離して、2種のアルコール性溶媒(すなわち、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルおよびヘキシレングリコール)についてアルコール性溶媒の濃度の変動の影響を調査した。
【0105】
【表6】
【0106】
基準としてFE−3を使用したSEM像の分析は、剥離組成物における2種の他のアルコール性溶媒(すなわち、ジ(エチレングリコール)エチルエーテルおよびヘキシレングリコール)ならびにこれらの濃度の性能影響を示す。この分析は、これら2種のアルコール性溶媒の濃度を増加させるにつれ、フォトレジストの剥離レートが減少したことを示した。より低いフォトレジスト剥離レートに調整するには、より長い剥離時間が用いられる可能性がある。グリコールは、3−メトキシ−3−メチルブタノールおよびジ(エチレングリコール)エチルエーテルと比較して、より遅いフォトレジスト剥離レートを有した。この分析は、12〜25%の範囲のアルコール性溶媒の濃度が、好ましい結果を付与したが、この範囲は、正確なアルコール溶媒を使用することに依ることを示唆している。
実施例44〜49
さらなる厚膜レジスト剥離試験
【0107】
実施例44〜49において、一般手順1にしたがって調製した、表7に示す剥離組成物を用いて、シリコン基板におけるSnAg/Niバンプ上にコーティングされたフォトレジストを、一般手順2にしたがって、70℃において、5、15、30、および60分間剥離して、フォトレジスト剥離に対しての界面活性剤の影響を調査した。
【0108】
【表7】
【0109】
SEM像の分析は、種々の配合物における界面活性剤の存在が、フォトレジスト剥離またはSnAg/Niバンプのエッチングに負の影響を与えなかったことを示した。
実施例50〜52
発泡抑制
【0110】
表8に記載した3種の剥離組成物を、一般手順1にしたがって配合した。300mmウェハを、70ミクロン厚の膜によってコーティングした。ウェハにおける45%のレジストコーティングを、実施例50において用いた100mLの剥離組成物に溶解した。このことを、実施例51および52において用いた組成物の各々において45%のウェハコーティングを使用して繰り返した。剥離組成物の30mL部分を一般手順4にしたがって発泡形成について試験した。各剥離組成物のさらなるアリコートをある量のSurfynol MD−20界面活性剤と混ぜ、一般手順4にもしたがって発泡抑制について試験した。界面活性剤の量および発泡抑制データを表9において報告する。
【0111】
【表8】
【0112】
【表9】
【0113】
表9において分かるように、脱泡界面活性剤を含まない剥離組成物は、メスシリンダの振とうの際に有意に発泡した。脱泡界面活性剤を含まない3種の剥離組成物の5分後の発泡レベルは、それぞれ、35mL、54mL、および54mLであった(表9に示さず)。脱泡界面活性剤MD−20を含有する剥離組成物は、振とう後、ほとんど発泡しなかった。
実施例53〜64および84ならびに比較例CEx14〜CEx38およびCEx40〜CEx55
アルミニウムエッチングの抑制に関する添加剤のスクリーニング
【0114】
アルミニウムエッチングの抑制に関してスクリーニングするための添加剤を含むフォトレジスト剥離組成物を、一般手順1にしたがって配合し、Al含有基板またはデバイス上のフォトレジスト剥離の際に起こり得るアルミニウムエッチングの抑制に関してスクリーニングした。アルミニウムエッチングレート試験を、試験溶液においてブランケットアルミニウムウェハクーポンで70℃において6分間、Alを使用した一般手順3にしたがって実施した。ブランケットアルミニウム膜は、500nm厚であった。全ての可能性のあるアルミニウム抑制剤を、ブランケット膜を使用してスクリーニングした。ダミーのアルミニウムボンディングパッドを使用して、選択された配合物を使用して、パターニングされたクーポンにおいて、エッチングレートが低いことを確認した。ダミーのアルミニウムボンディングパッドを、選択された配合物において1、2、および5分間試験した。ボンディングパッドの走査電子顕微鏡写真を撮り、表面粗さを、測定したエッチングレートと定量的に相関させた。
【0115】
配合物およびエッチング結果を表10および11に示す。FE−3を、スクリーニングする組成物の各バッチにおける基礎組成物として用いて、アルミニウムエッチングレートに対する影響をチェックした。
【0116】
【表10-1】
【0117】
【表10-2】
【0118】
【表11-1】
【0119】
【表11-2】

【0120】
表10および11における結果は、種々の添加剤が、剥離組成物においてアルミニウムエッチングレートに(正または負に)影響することができたが、およそ1%のレベルの添加剤では、リン酸、いくつかのリン酸塩、ポリリン酸、ならびに3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸およびカルシウムカチオンの組み合わせのみが、Alエッチングレートを有意に低下させることができた(例えば、およそ100Å/分以下まで)ことを示した。3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸添加剤は、1Å/分未満のAlエッチングレートを驚くべきことに付与した。
実施例66〜77
Al抑制剤の濃度研究
【0121】
添加剤を含む剥離組成物を一般手順1にしたがって配合し、フォトレジスト剥離の際に起こり得るアルミニウムエッチングの抑制に対しての添加剤の濃度の影響を研究した。アルミニウムエッチングレート試験を、一般手順3にしたがって、試験溶液においてブランケットアルミニウムウェハクーポンで70℃において6分間実施した。配合物は、種々の濃度のリン酸または3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸およびカルシウムカチオンの組み合わせを含有した。配合物およびエッチング結果を表12(リン酸)ならびに表13(3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸およびカルシウムカチオンの組み合わせ)に示す。
【0122】
【表12】
【0123】
【表13】
【0124】
両方のAlエッチング抑制剤添加剤が、添加剤のある特定の濃度までAlエッチングレートにおいて比較的鋭い降下を生じた。
実施例79、80、85、および86、ならびに比較例CEx56〜CEx67
アルミニウムエッチング抑制に関する他のトリアゾール類のスクリーニング
【0125】
さらなるトリアゾール類を、この開示の剥離組成物においてアルミニウムエッチングを抑制する能力についてスクリーニングした。剥離組成物を一般手順1にしたがって配合した。アルミニウムエッチングレート試験を、一般手順3にしたがって、試験溶液においてブランケットアルミニウムウェハクーポンで70℃において6分間実施した。結果を表14に報告する。
【0126】
【表14】
【0127】
驚くべきことに、CFE−56〜CFE−61の組成物のいずれもが、FE−41(3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸)およびカルシウムカチオンの組み合わせを含有した)の組成物によって示されるAlエッチングレートの抑制の程度付近を示さなかった。3−アミノ−1,2,4−トリアゾールおよび1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸は、Alエッチングレートが緩やかに低減しただけであり、このことは、2つの官能基の必要性を示唆した。3−アミノ−1,2,4−トリアゾールおよび添加した酸(すなわち、クエン酸またはリン酸)を含有する配合物は、Al抑制に対する酸の影響を示唆する抑制を生じた。このこともまた、より低いAlエッチングレートを達成するには2つの官能基が同じ分子上にあることが好ましいことを示唆している。しかし、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−チオールからの結果は、カルボン酸置換基が置換基の1つとして好ましいことを示唆している。
【0128】
可溶化されたカルシウムの影響を、この開示の剥離組成物においてアルミニウムエッチングを抑制する能力に関して評価した。剥離組成物を一般手順1にしたがって配合した。アルミニウムエッチングレート試験を、試験溶液においてブランケットアルミニウムウェハクーポンで70℃において6分間、一般手順3にしたがって実施した。結果を表15に報告する。表15において、最初の4行は、さらなるカルシウムを添加しなかった汚染物質としての微量の可溶化されたカルシウムを含有する4つの組成物からの結果を含む。最後の4行は、0.0074%のシュウ酸カルシウム一水和物を添加した4つの組成物からの結果を含む。「溶解したカルシウム」の下の欄は、元素分析によって測定した可溶化されたカルシウムの量を含む。表15に示すように、添加したシュウ酸カルシウム一水和物の一部のみが、試験した組成物に溶解した。
【0129】
【表15】
【0130】
表15は、比較的高量の可溶化されたカルシウムカチオン(例えば、7600ppb)が、Alエッチングレートを効果的に低減させ、これにより、Alエッチングを抑制したが、一方で、比較的低量の可溶化されたカルシウムカチオン(例えば、195ppb)は、Alエッチングレートを有意に低減させなかったことを示す。また、表15は、低量の可溶化されたカルシウムを含む3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸を含有する組成物がAlエッチングを効果的に抑制しなかったことを示す。理論によって拘束されることを望まないが、比較的高量の可溶化されたカルシウムカチオンは、使用したトリアゾール類に関わらず、Alエッチングを効果的に抑制することができたとされる。さらに、理論によって拘束されることを望まないが、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸は、カルシウムカチオンを効果的に可溶化することができるため、本明細書において記載されている剥離組成物における可溶化されたカルシウムの量を効果的に増加することができるとされる。このように、好適な錯化剤(例えば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸)およびカルシウム塩(例えば、シュウ酸カルシウム)の組み合わせは、本明細書において記載されている剥離組成物のAlエッチング抑制を有意に改良することができる。
実施例81〜83
他の金属のエッチングレートに対するアルミニウム抑制剤の影響
【0131】
剥離手順の際に暴露した他の一般的な材料のエッチングレートに対しての場合によるAl抑制剤の包含の影響を実験した。用いた配合物を表16に記載する。Cu、Co、WおよびNi膜(10分)、Sn膜(30分)およびAlブランケット膜(6分)を一般手順2にしたがって70℃でエッチングした。表16に記載されている剥離組成物によって処理したときの種々の材料のエッチングレートを表17に報告する。
【0132】
【表16】
【0133】
【表17】
【0134】
表17に示すように、水溶性極性非プロトン性有機溶媒、水溶性アルコール性溶媒、水酸化第4級アンモニウム、水、および銅腐食抑制剤を含む、本開示の剥離組成物は、Alを除いて、試験した基板材料と良好な適合性を示した。そのため、暴露されたAl特徴部を含まない適用に好適である。表17もまた、本明細書において記載されているアルミニウム腐食抑制剤の添加が、大部分の他の基板材料のエッチングレートを低下させるさらなる利益を有して、Alエッチングレートを驚くべきことに抑制したことも示した。
配合例51〜72
【0135】
この開示の組成物に対してさらに調査するために、さらなる剥離配合物を表18に記載する。
【0136】
【表18-1】
【0137】
【表18-2】
【0138】
【表18-3】