(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707582
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】カシメ構造およびカシメ止め方法
(51)【国際特許分類】
B21D 39/04 20060101AFI20200601BHJP
B21D 53/36 20060101ALI20200601BHJP
F16B 4/00 20060101ALI20200601BHJP
F16B 7/20 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
B21D39/04 F
B21D53/36 Z
F16B4/00 J
F16B4/00 N
F16B7/20 A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-125921(P2018-125921)
(22)【出願日】2018年7月2日
(62)【分割の表示】特願2014-143252(P2014-143252)の分割
【原出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2018-202488(P2018-202488A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年7月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】中島 久志
(72)【発明者】
【氏名】中野 秀則
(72)【発明者】
【氏名】陣内 雄士
【審査官】
藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−156017(JP,A)
【文献】
特開平10−252721(JP,A)
【文献】
特開2001−269740(JP,A)
【文献】
実開昭53−154979(JP,U)
【文献】
特表2013−525696(JP,A)
【文献】
特開昭54−040953(JP,A)
【文献】
特開2002−113539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/04
B21D 53/36
F16B 4/00
F16B 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形の第1取付部を備えた第1部材と、第2取付部を備えた第2部材とをカシメ止めするカシメ構造であって、
前記第2取付部は、
前記第2取付部の先端側に形成されて円周面を有する第1嵌合部と、
前記第2取付部の基端側に形成されて円周面を有する第2嵌合部と、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間に設けられ、周方向への回動を抑止する回動抑止部と、
前記第1嵌合部と前記回動抑止部との間に設けられ、全周に渡って形成された周溝から成る第1溝部と、
前記第2嵌合部と前記回動抑止部との間に設けられ、全周に渡って形成された周溝から成る第2溝部と
を備え、
前記第1溝部と前記第2溝部とはそれぞれ軸方向に一定幅の部分であり、
前記回動抑止部は軸方向へ連続した複数条の凸部と凹部から成り、前記凹部の両端は前記第1溝部と前記第2溝部に連結しており、
前記回動抑止部の外径は、前記各嵌合部の外径以下に形成され、
前記第1取付部に対して前記第2取付部を嵌合させた状態にて、前記第1取付部の外周面を塑性変形させ凹ませることで、前記第1取付部の形成材料を、前記回動抑止部および前記各溝部の両方の表面に沿うように変形させ、もって、該形成材料により、前記回動抑止部および前記各溝部に対する一体的なカシメ部を形成し、
前記カシメ部は、前記第1取付部の周方向に複数個配置され、
前記各取付部の軸方向の引張力または圧縮力に対しては、前記各溝部に充填された前記カシメ部を形成する前記形成材料が、前記引張力または前記圧縮力に抗して前記各取付部を相対移動不能に接続固定し、
前記各取付部を周方向に回動させる力に対しては、前記回動抑止部に充填された前記カシメ部を形成する前記形成材料が、前記回動させる力に抗して前記各取付部を相対回動不能に接続固定し、
前記第1部材と前記第2部材とが接続一体化されるカシメ構造。
【請求項2】
前記回動抑止部の凸部と凹部の外径が前記各嵌合部の外径以下に形成された、
請求項1に記載のカシメ構造。
【請求項3】
前記凸部および凹部が、前記第2部材の軸方向と平行に伸びる、
請求項2に記載のカシメ構造。
【請求項4】
前記回動抑止部の軸方向に延びる部分の長さは、前記第1嵌合部より短い、
請求項1〜3の何れか一項に記載のカシメ構造。
【請求項5】
略円筒形の第1取付部を備えた第1部材と、第2取付部を備えた第2部材とをカシメ止めする方法であって、
前記第2取付部は、
前記第2取付部の先端側に形成されて円周面を有する第1嵌合部と、
前記第2取付部の基端側に形成されて円周面を有する第2嵌合部と、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間に設けられ、周方向への回動を抑止する回動抑止部と、
前記第1嵌合部と前記回動抑止部との間に設けられ、全周に渡って形成された周溝から成る第1溝部と、
前記第2嵌合部と前記回動抑止部との間に設けられ、全周に渡って形成された周溝から成る第2溝部と
を備え、
前記第1溝部と前記第2溝部とはそれぞれ軸方向に一定幅の部分であり、
前記回動抑止部は軸方向へ連続した複数条の凸部と凹部から成り、前記凹部の両端は前記第1溝部と前記第2溝部に連結しており、
前記回動抑止部の凸部と凹部の外径が前記各嵌合部の外径以下に形成されており、
前記第1取付部に対して前記第2取付部を嵌合させた状態にて、前記第1取付部の外周面に周方向に均等な押圧力を同時に印加し、前記第1取付部の外周面を塑性変形させ凹ませることで、前記第1取付部の形成材料を、前記回動抑止部および前記各溝部の両方の表面に沿うように変形させ、もって、該形成材料により、前記回動抑止部および前記各溝部に対する一体的なカシメ部を、前記第1取付部の周方向に複数個形成し、
前記各取付部の軸方向の引張力または圧縮力に対しては、前記各溝部に充填された前記カシメ部を形成する前記形成材料が、前記引張力または前記圧縮力に抗して前記各取付部を相対移動不能に接続固定し、
前記各取付部を周方向に回動させる力に対しては、前記回動抑止部に充填された前記カシメ部を形成する前記形成材料が、前記回動させる力に抗して前記各取付部を相対回動不能に接続固定し、
前記第1部材と前記第2部材とを接続一体化するカシメ止め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカシメ構造に関し、より詳しくは、略円筒形の第1取付部を備えた第1部材と、第2取付部を備えた第2部材とをカシメ止めするカシメ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、円筒形の中空シャフトと、中空シャフトの端部に嵌合される円柱形の端部材とを備え、中空シャフトの外側からのカシメで中空シャフト、端部材が固定されたシャフト部材において、中空シャフト、端部材はほぼ同一の硬度の材質とされ、端部材は中空シャフトの内径よりもわずかに外径が大きく一部に微細な凹部、凸部が形成され中空シャフトの内周面と線接触する凹凸加工部が設けられると共に、該凹凸加工部の軸方向の前後に中空シャフトの内径とほぼ同一の径で中空シャフトの内周面と面接触する嵌合主体部が設けられ、中空シャフトのカシメが端部材の凹凸加工部に向けて周方向に同一の角度を介した複数箇所で均等な圧力によりなされているOA機器等用シャフト部材が開示されている。
【0003】
特許文献2には、アルミニューム合金製の棒状アーム部材の端部に、アルミニューム合金製のエンド部材を結合してなる自動車用懸架部材を製造するに当たって、アーム部材及びエンド部材の一方と他方に、互いに嵌合し得る嵌合筒部と嵌合軸部をそれぞれ形成すると共に、その嵌合軸部の外周面に複数の凹部を形成し、これら嵌合筒部及び嵌合軸部の嵌合状態で、嵌合筒部の凹部に対応する部分を外周から加圧して、嵌合筒部の内周面に凹部に充填される突起を形成する自動車用アルミニューム合金製懸架部材の製造方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、金属軸の表面に凹凸部とロー材からなる接合層とを軸方向に部位を異にして設け、金属軸を金属スリーブへ嵌合し、金属スリーブを型の内部に装入するとともに外部から加熱して接合層を金属スリーブに密着させ、金属スリーブの一端面に押圧治具により押圧力を加えて金属スリーブの肉部を金属軸の凹凸部へ流動させる、金属軸と金属スリーブとの結合方法が開示されている。
【0005】
特許文献4には、第1端部および第2端部を有し、第1端部および第2端部の間にピニオンを形成したピニオン形成体、並びに、ピニオン形成体の第1端部が圧入された中空材を含むピニオンシャフトと、中空材を回転可能に且つ軸方向移動不能に支持する軸受とを備え、ピニオン形成体の第1端部はセレーションおよび周溝を含み、中空材は周溝にかしめ付けられた環状のかしめ部を含み、軸受は、外輪軌道を有する外輪と、かしめ部に形成された内輪軌道と、外輪軌道および内輪軌道の間に介在する複数の玉とを含むピニオンシャフトアセンブリが開示されている。
【0006】
特許文献5には、プロペラシャフトのパイプとヨーク又はスプラインシャフト等を結合してプロペラシャフトを製造する方法において、ヨーク又はスプラインシャフト等の結合側端部の外周面にセレーション部とカシメ溝を設け、プロペラシャフトのパイプの結合側端部をシボリ加工でヨーク又はスプラインシャフト等の結合側端部の外周面の外径よりも小さく、後の圧入ステップによる拡開を受けても残留圧縮応力が残る程度の内径になるまでパイプ直径を収縮して収縮部を形成し、ヨーク又はスプラインシャフト等の結合側端部をプロペラシャフトの結合側端部に圧入し、パイプの先端部を前記カシメ溝にのみカシメを行うと共に、プロペラシャフトのパイプ内面と前記セレーション部とを互いにかみ合わせて相対回転を防止する強い摩擦力を生じさせ、プロペラシャフトのパイプとヨーク又はスプラインシャフト等とを一体に固定する技術が開示されている。
【0007】
特許文献6には、中空シャフトの端部にその中空シャフトの内径と等しい外径の端部材を挿入しその挿入部分の中空シャフトを外側から複数箇所カシメて中空シャフトと端部材を固定するOA機器用中空シャフト部材への端部材の装着方法において、端部材の中空シャフトへの挿入部分に適間隔をおいて2条以上のローレット加工を施し、端部材を中空シャフトへ圧入した後に、端部材のローレット加工部の前後位置の中空シャフト内側に形成された条痕部分の外側から中空シャフトを複数箇所カシメる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5329750号公報
【特許文献2】特開2000−355207号公報
【特許文献3】特公平5−13743号公報
【特許文献4】特開2012−171407号公報
【特許文献5】特許第3115740号公報
【特許文献6】特許第4493910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、中空シャフトと端部材との接続固定が、中空シャフトと端部材の凹凸加工部とのカシメ止めだけで行われるため、中空シャフトおよび端部材の軸方向の接続強度(引張り強さ)を高くできないという問題がある。
また、特許文献1の技術では、中空シャフトの内径よりも端部材の凹凸加工部の外径が僅かに大きいため、中空シャフトに端部材の凹凸加工部を挿入するのが容易でなく、製造に手間がかかるため、製造コストが増大するという問題がある。
【0010】
特許文献2の技術では、嵌合筒部と嵌合軸部との接続固定が、嵌合筒部と嵌合軸部の外周面の複数の凹部とのカシメ止めだけで行われるため、嵌合筒部および嵌合軸部の軸方向の接続強度を高くできないという問題がある。
また、特許文献2の技術では、複数の凹部が円形の穴から成るため、凹部の製造に手間がかかり、製造コストが増大するという問題がある。
【0011】
特許文献3の技術では、金属スリーブと金属軸との接続固定が、金属スリーブと金属軸の凹凸部とのカシメ止めと、ロー付けとを併用して行われるが、金属スリーブおよび金属軸の軸方向の接続強度を十分には高くできないという問題がある。また、ロー付けの工程分だけ製造に手間がかかるため、製造コストが増大するという問題がある。
【0012】
特許文献4の技術では、中空材とピニオン形成体との接続固定が、中空材の全周に渡って形成された環状のかしめ部と、ピニオン形成体の全周に渡って形成された断面形状が円弧状の周溝とのカシメ止めにより行われるため、中空材およびピニオン形成体の軸方向の接続強度を高くすることができる。
しかし、かしめ部と周溝とは両者の全体が密着するようにカシメ止めされており、かしめ部に内輪軌道を形成するために、かしめ部および周溝は断面寸法が大きく形成されている。そのため、かしめ部を形成するのに非常な手間がかかり、製造コストが増大するという問題がある。
【0013】
特許文献5の技術では、ヨーク又はスプラインシャフト等の結合側端部の外周面にセレーション部とカシメ溝を設け、セレーション部をプロペラシャフトのパイプに圧入して互いにかみ合わせることと、カシメ溝をプロペラシャフトのパイプにカシメ止めすることとを併用している。
しかし、セレーション部の圧入によるかみ合わせと、カシメ溝によるカシメ止めとが一体化するわけではないため、ヨーク又はスプラインシャフト等とプロペラシャフトのパイプとの接続強度を十分に高くできないという問題がある。
また、特許文献5の技術では、ヨーク又はスプラインシャフトをプロペラシャフトに圧入するのが容易ではなく、製造に手間がかかるため、製造コストが増大するという問題がある。
【0014】
特許文献6の技術では、端部材のローレット加工部を中空シャフトに圧入して互いにかみ合わせることと、端部材のローレット加工部の前後位置の中空シャフト内側に形成された条痕部分を中空シャフトにカシメ止めすることとを併用している。
しかし、ローレット加工部の圧入によるかみ合わせと、ローレット加工部の前後位置によるカシメ止めとが一体化するわけではないため、端部材と中空シャフトとの接続強度を十分に高くできないという問題がある。
また、特許文献6の技術では、端部材を中空部材に圧入するのが容易ではなく、製造に手間がかかるため、製造コストが増大するという問題がある。
【0015】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、軸方向および周方向の両方向の接続強度を向上させ得るカシメ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0017】
<第1の局面>
第1の局面は、略円筒形の第1取付部を備えた第1部材と、第2取付部を備えた第2部材とをカシメ止めするカシメ構造であって、
前記第2取付部は、
前記第2取付部の先端側に形成されて円周面を有する第1嵌合部と、
前記第2取付部の基端側に形成されて円周面を有する第2嵌合部と、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間に設けられ、周方向への回動を抑止する回動抑止部と、
前記第1嵌合部と前記回動抑止部との間に設けられ、前記締結部の全周に渡って形成された周溝から成る第1溝部と、
前記第2嵌合部と前記回動抑止部との間に設けられ、前記締結部の全周に渡って形成された周溝から成る第2溝部と
を備え、
前記回動抑止部の外径は、前記各嵌合部の外径以下に形成され、
前記第1取付部に対して前記第2取付部を嵌合させた状態にて、前記第1取付部の外周面を塑性変形させ凹ませることで、前記第1取付部の形成材料を、前記回動抑止部および前記各溝部の両方の表面に沿うように変形させ、もって、該形成材料により、前記回動抑止部および前記各溝部に対する一体的なカシメ部を形成し、
前記カシメ部は、前記第1取付部の周方向に複数個配置され、
前記各取付部の軸方向の引張力または圧縮力に対しては、前記各溝部に充填された前記カシメ部を形成する前記形成材料が、前記引張力または前記圧縮力に抗して前記各取付部を相対移動不能に接続固定し、
前記各取付部を周方向に回動させる力に対しては、前記回動抑止部に充填された前記カシメ部を形成する前記形成材料が、前記回動させる力に抗して前記各取付部を相対回動不能に接続固定し、
前記第1部材と前記第2部材とが接続一体化されるカシメ構造である。
【0018】
第1の局面では、各部材における各取付部の軸方向の引張力(引張応力)または圧縮力(圧縮応力)に対しては、第2取付部の各溝部に充填されたカシメ部の形成材料が、前記引張力または前記圧縮力に抗して各取付部を相対移動不能に接続固定する。すなわち、第1部材のカシメ部と、第2取付部の各溝部との密着・結合によって、第1部材および第2部材の軸方向の高い接続強度(引張り強さ:引張荷重に対する強度、および、圧縮強さ:圧縮荷重に対する強度)がもたらされる。よって、各部材の少なくともいずれか一方を軸方向に移動させる力(引張荷重または圧縮荷重)が印加された場合、各部材の軸方向への相対移動を好適に抑止できる。
【0019】
また、第1の局面では、各部材における各取付部を周方向に回動させる力に対しては、第2取付部の回動抑止部に充填されたカシメ部の形成材料が、前記回動させる力に抗して各取付部を相対回動不能に接続固定する。すなわち、第1部材のカシメ部と、第2取付部の回動抑止部との密着・結合によって、第1部材および第2部材の周方向(回転方向)の高い接続強度(回転方向への応力負荷に対する強度)がもたらされる。よって、各部材の少なくともいずれか一方を回動させる力が印加された場合、各部材の相対回動を好適に抑止できる。
【0020】
また、回動抑止部の外径寸法が各嵌合部の外径寸法以下に形成されているため、回動抑止部に対して第1取付部の形成材料が流れ込み易くなり、回動抑止部および各溝部に対する一体的なカシメ部を容易に形成することができる。
ここで、第2部材が金属製の場合には、第2部材の転造によって第2取付部の各部分を容易に形成することが可能であるため、製造コストを低くできる。
従って、第1の局面によれば、軸方向および周方向の両方向の接続強度を向上させ得るカシメ構造を低いコストで提供することができる。
【0021】
<第2〜第10の局面>
第2の局面は、第1の局面において、前記回動抑止部は、径方向の寸法が、周方向において変化する。
第3の局面は、第2の局面において、前記回動抑止部は断面多角形状である。
第4の局面は、第3の局面において、前記断面多角形状は、前記回動抑止部の軸方向において、外周面が一定の形状、または、外周面が捻れた形状である。
第5の局面は、第2の局面において、前記回動抑止部は表面に凹凸が形成された形状である。
第6の局面は、第5の局面において、前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向と平行に伸びる。
第7の局面は、第5の局面において、前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向において、捩れるように伸びる。
第8の局面は、第1の局面において、前記回動抑止部は表面に凹凸が形成された形状であり、前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向と直交する仮想平面と平行に伸びる。
第9の局面は、第5の局面において、前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向において、螺旋状に伸びる。
第10の局面は、第9の局面において、前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向において、螺旋状に伸びる向きが途中で反転する。
【0022】
第2〜第10の局面によれば、第1の局面の前記作用・効果を確実に得ることが可能な回動抑止部の形状を容易に実現できる。
【0023】
<第11の局面>
第11の局面は、第1〜第10の局面において、前記各嵌合部の軸方向の長さに比べて、前記回動抑止部の軸方向の長さが短い。
それに対して、特許文献1では、「嵌合主体部」(嵌合部に該当)の軸方向の長さに比べて、「凹凸加工部」(回動抑止部に該当)の軸方向の長さが長く形成されている。
【0024】
<第12の局面>
第12の局面は、第1〜第10の局面において、前記第2取付部の先端周縁角部には面取部が形成される。
第12の局面では、面取部が形成されているため、第1部材の第1取付部に対して、第2部材の第2取付部が塑性変形・弾性変形を伴うことなくスムーズに挿入されることから、第1取付部に対する第2取付部の嵌合が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1(A)は、本発明を具体化した第1実施形態のカシメ構造を有する締結具10の側面図であり、
図1(B)は、
図1(A)中の一点鎖線で示す締結具10の断面を矢印X1の向きに見た場合の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1(B)中の一点鎖線で示す締結具10の断面を矢印X2の方向に見た場合の縦断面図である。
【
図3】
図3は、締結具10が備える第2部材30の側面図である。
【
図4】
図4は、第2部材30の製造方法を説明するための縦断面図である。
【
図5】
図5は、第2部材30の第1変更例の側面図である。
【
図6】
図6は、第2部材30の第2変更例の側面図である。
【
図7】
図7は、第2部材30の第3変更例の側面図である。
【
図8】
図8は、第2部材30の第4変更例の側面図である。
【
図9】
図9は、第2部材30の第5変更例の側面図である。
【
図10】
図10(A)は、第2部材30の第6変更例の側面図であり、
図10(B)は、
図10(A)中の一点鎖線で示す第2部材30の第6変更例の断面を矢印X3の方向に見た場合の断面図である。
【
図11】
図11(A)は、第2部材30の第7変更例の側面図であり、
図11(B)は、
図11(A)中の一点鎖線で示す第2部材30の第7変更例の断面を矢印X4の方向に見た場合の断面図である。
【
図12】
図12(A)は、第2部材30の第8変更例の側面図であり、
図12(B)は、
図12(A)中の一点鎖線で示す第2部材30の第8変更例の断面を矢印X5の方向に見た場合の断面図である。
【
図13】
図13は、第2部材30の第9変更例の側面図である。
【
図14】
図14は、本発明を具体化した第2実施形態のカシメ構造を有する構造体50の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した各実施形態および各変更例について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態および各変更例において、同一の、または、相当する構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、重複説明を省略する。
【0027】
<第1実施形態>
ハイブリッド車等に搭載されるバッテリ・パック内には、複数個のバッテリ・モジュールが収容されている。個々のバッテリ・モジュールは、複数個のバッテリ・セルが積層されて構成されている。第1実施形態のカシメ構造を有する締結具10は、積層されたバッテリ・セル(図示略)に貫通形成された取付孔に挿通され、各バッテリ・セルを締結固定するために用いられる。
【0028】
図1および
図2に示すように、締結具(クランプ)10は、略円筒形の第1部材(中空部材)20と、略円柱形の第2部材(棒状部材)30とを備え、第1部材20の一端側に形成された略円筒形の第1取付部21に第2部材30が嵌合された状態で、第1部材20の外周面側から各カシメ部22により第2部材30がカシメ止めされることにより接続固定・一体化されている。第1部材20は、十分な強度を有し、各カシメ部22によるカシメ止めのために塑性変形可能な金属(例えば、軟鉄、ステンレス合金、アルミニウム合金など)製のパイプ材である。
【0029】
図3に示すように、第2部材30の一端側には第2取付部31が形成されている。第2取付部31は、第1嵌合部32(面取部32a)、第2嵌合部33、回動抑止部34(凸部34a、凹部34b)、第1溝部35、第2溝部36を備える。第2部材30は、十分な強度を有し、各部32〜36を形成するために転造可能な金属(例えば、軟鉄、鋼鉄、ステンレス合金、アルミニウム合金など)製の棒材である、
【0030】
第1嵌合部(カシメ一般部)32は第2取付部31の先端側に形成され、第1嵌合部32の先端周縁角部分にはテーパ状に加工された面取部32aが形成され、第1嵌合部32における面取部32a以外の部分は円柱形を成している。第2嵌合部(カシメ一般部)33は、第2取付部31の基端側(先端側の反対側)に形成され、第1嵌合部32と同一外径寸法の円柱形を成している。各嵌合部32、33の外径寸法は、第2部材30の更に基端側の部分の外径寸法よりも僅かに小さく形成されている。
【0031】
回動抑止部34は、第1、第2嵌合部32、33の間に設けられており、第2部材30の軸方向と平行に伸びる複数の凸部(山部)34aと凹部(谷部)34bにより構成される。凸部34aと凹部34bは周方向にそれぞれ複数個ずつ均等に形成され、各凸部34aの横断面形状(すなわち、第2部材30の軸方向と直行する断面の形状)は略三角形状である。回動抑止部34の外径寸法は、各嵌合部32、33の外径寸法以下に形成されている。
【0032】
第1溝部35は、第1嵌合部32と回動抑止部34との間に形成され、第2取付部31の全周に渡って設けられる周溝である。第1溝部35の縦断面形状(すなわち、第2部材30の軸方向と平行な断面の形状)は、一例として、逆台形状に形成される。第2溝部36は、第2嵌合部33と回動抑止部34との間に形成され、第2取付部31の全周に渡って設けられる周溝である。例えば、第2溝部36は第1溝部35と同一の寸法および形状を有するものとしても良い。
【0033】
図1および
図2に示すように、締結具10を組み立てるには、まず、第1部材20の第1取付部21に第2部材30の第2取付部31を嵌合させる。ここで、第1部材20の第1取付部21の内径寸法は、第2取付部31の各嵌合部32、33の外径寸法と同一か又は僅かに大きく形成されている。また、第2取付部31の嵌合部32には面取部32aが形成されているため、第1部材20の第1取付部21に対して、第2取付部31が塑性変形・弾性変形を伴うことなくスムーズに挿入されることから、嵌合が容易である。
【0034】
そして、第1部材20の第1取付部21の内周面と、第2取付部31の各嵌合部32、33の外周面とが面接触することにより、第1部材20に対する第2取付部31の嵌合姿勢の精度が確保され、第1部材20の軸心と第2部材30の軸心とが合致して同芯性(同軸度)についても確保される。尚、前記嵌合姿勢および同芯性の確保については、第2取付部31の各嵌合部32、33の軸方向の長さを大きくするほど確実に得られるが、各嵌合部32、33の軸方向の長さは実験的に最適値を見つけて設定すればよい。また、前記嵌合姿勢および同芯性の確保については、各嵌合部32、33の軸方向の長さだけでなく、回動抑止部34および溝部35、36の軸方向の長さをも加えた第2取付部31の軸方向の長さが機能する。ここで、各嵌合部32、33の軸方向の長さに比べて、回動抑止部34の軸方向の長さが短く形成されている。
【0035】
続いて、第1部材20の第1取付部21の外周面側から、第2取付部31の回動抑止部34および各溝部35、36をカシメ止めする。すなわち、第1部材20の第1取付部21に対して、第2部材30の第2取付部31を嵌合させた状態にて、第1取付部21の外周面を塑性変形させ凹ませることで、第1取付部21の形成材料を、第2取付部31の回動抑止部34および各溝部35、36の両方の表面に沿うように変形させ、もって、該形成材料により、回動抑止部34および各溝部35、36に対する一体的なカシメ部22を複数個(図示例では4個)形成する。
【0036】
このとき、第1取付部21の内周面と、第2取付部31の回動抑止部34および各溝部35、36により画定された閉空間内に対して、第1取付部21の形成材料が塑性流動して流れ込んで充填され、その閉空間内に充填された第1取付部21の形成材料により、回動抑止部34および各溝部35、36に対する一体的なカシメ部22が形成される。
【0037】
ここで、第1取付部21の外周面を塑性変形させ凹ませるには、カシメ止め装置のポンチ(図示略)を第1取付部21の外周面に押し当て、ポンチから第1取付部21の外周面に押圧力を印加すればよい。また、各カシメ部22は、第1部材20の周方向に均等配置されており、各カシメ部22を同時に均等な圧力でカシメ止めすることにより、各カシメ部22の変形量が略同一にされている。そして、各カシメ部22は、平面視形状が矩形状であり、各カシメ部22における第1部材20の軸方向の長さは、回動抑止部34および溝部35、36の軸方向の長さよりも僅かに大きく形成されている。
【0038】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態のカシメ構造を有する締結具10によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0039】
[1]各部材20、30における各取付部21、31の軸方向の引張力(引張応力)または圧縮力(圧縮応力)に対しては、第2取付部31の各溝部35、36に充填された各カシメ部22の形成材料が、前記引張力または前記圧縮力に抗して各取付部21、31を相対移動不能に接続固定する。
【0040】
すなわち、第1部材20のカシメ部22と、第2取付部31の各溝部35、36との密着・結合によって、第1部材20および第2部材30の軸方向の高い接続強度をもたらすことができる。よって、各部材20、30の少なくともいずれか一方を軸方向に移動させる力が印加された場合、各部材20、30の軸方向への相対移動を好適に抑止できる。なお、軸方向の接続強度については、各溝部35、36の断面寸法を大きくするほど確実に得られるが、各溝部35、36の断面寸法は実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
【0041】
[2]第1部材20のカシメ部22と、第2取付部31の回動抑止部34との密着・結合によって、第1部材20および第2部材30の周方向の高い接続強度をもたらすことができる。これにより、第1、第2部材20、30における各取付部21、31のいずれかを周方向に回動させる力が働いたとしても、第2取付部31の回動抑止部34に充填されたカシメ部22の形成材料が、前記回動させる力に抗して各取付部21、31を相対回動不能に接続固定する。
【0042】
なお、周方向の接続強度については、回動抑止部34の凸部34aの高さを大きくする(凹部34bの深さを大きくする)ほど確実に得られるが、回動抑止部34の凸部34aの高さ(凹部34bの深さ)は実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
【0043】
[3]回動抑止部34の外径寸法が各嵌合部32、33の外径寸法以下に形成されているため、回動抑止部34に対して第1取付部21の形成材料が流れ込み易くなり、回動抑止部34および各溝部35、36に対する一体的なカシメ部22を容易に形成することができる。
【0044】
[4]第2取付部31(嵌合部32、33、面取部32a、回動抑止部34、溝部35、36)は、第2部材30の転造によって容易に形成することが可能であるため、製造コストを低くできる。第2取付部31の製造方法としては、例えば、
図4(A)に示すように、第2部材30の転造第1段階にて、各嵌合部32、33および面取部32aを形成すると共に、回動抑止部34および溝部35、36となる凹部Hを形成する。そして、
図4(B)に示すように、第2部材30の転造第2段階にて、凹部Hに回動抑止部34および溝部35、36を形成する。
【0045】
[5]第2部材30の第2取付部31において、各嵌合部32、33の軸方向の長さに比べて、回動抑止部34の軸方向の長さが短く形成されている。
それに対して、特許文献1では、「嵌合主体部」(嵌合部32、33に該当)の軸方向の長さに比べて、「凹凸加工部」(回動抑止部34に該当)の軸方向の長さが長く形成されている。
【0046】
[6]前記[1]〜[5]により、軸方向および周方向の両方向の接続強度を向上させ得るカシメ構造を有する締結具10を提供することができる。
第1実施形態のカシメ構造は、溶接による接合方法との対比において、熱歪みが無い、軽量化が可能である、製造コストを低減できるという優れた特長がある。
【0047】
[第2部材30の変更例]
図5〜
図13に示す第2部材30の第1〜第9変更例においては、
図3に示す第2部材30と、第2取付部31の回動抑止部34または各溝部35、36の形状が異なる。
第1〜第9変更例においても、前記[1]〜[6]の作用・効果を確実に得られる回動抑止部34または各溝部35、36の形状を容易に実現できる。
【0048】
図3に示す第2部材30において、回動抑止部34は、凸部34aおよび凹部34bは回動抑止部34の軸方向と平行に伸びる。これに対し、
図5に示す第2部材30の第1変更例において、回動抑止部34は、複数個均等に形成された凸部34aおよび凹部34bが、第2部材30の軸線に対して捩れるように伸びる。なお、各凸部24aの横断面形状は略三角形状である。
【0049】
このような第1変更例では、第1部材20および第2部材30の軸方向の接続強度が、第1部材20のカシメ部22と、第2取付部31の各溝部35、36との密着・結合に加えて、カシメ部22と回動抑止部34との密着・結合によっても得られるため、軸方向の接続強度を更に高くすることができる。凸部34aとカシメ部の形成材料とが軸方向に互いに噛み合うためである。
【0050】
図6に示す第2部材30の第2変更例において、回動抑止部34は、第2部材30の軸方向に沿って伸び、複数個均等に形成される凸部34aおよび凹部34bからなる。各凸部34aは横断面形状が略三角形状であり、その高さが、第2部材20の先端側から基端側に向かって、徐々に低くなるように形成されている。このような構成により、回動抑止部34は、軸方向の引張に対する強度を更に高める効果を奏する。
【0051】
図7に示す第2部材30の第3変更例において、回動抑止部34は、第2部材30の軸方向と直交する方向に伸びる凸部34aおよび凹部34bが複数個均等に形成され、全体として蛇腹状を成している。各凸部34aの縦断面形状は略三角形状である。また、回動抑止部34を形成する凹部34bのうち、嵌合部32に隣接する凹部34bにより溝部35が形成され、嵌合部33に隣接する凹部34bにより溝部36が形成されている。
【0052】
図8に示す第2部材30の第4変更例において、回動抑止部34は、第2部材30の軸方向に対して螺旋状に伸びる凸部34aおよび凹部34bによって形成され、全体として雄ネジ状を成している。凸部34aの断面形状は略三角形状である。この変更例において、回動抑止部34を形成する凹部34bのうち、嵌合部32に隣接する凹部34bの一部分により溝部35が形成され、嵌合部33に隣接する凹部34bの別の部分により溝部36が形成されている。
【0053】
図9に示す第2部材30の第5変更例において、回動抑止部34は、第2部材30の軸方向に対して螺旋状に伸びる凸部34aおよび凹部34bによって形成され、軸方向の途中において螺旋状に伸びる向きが反転する。これにより、全体として、右雄ネジおよび左雄ネジとが軸方向に接続された形状となっている。凸部34aの断面形状は略三角形状である。この変更例において、回動抑止部34を形成する凹部34bのうち、嵌合部32に隣接する凹部34bにより溝部35が形成され、嵌合部33に隣接する凹部34bにより溝部36が形成されている。
【0054】
図10に示す第2部材30の第6変更例において、回動抑止部34は、横断面が正方形状であり、軸方向において外周面形状が一定である。
図11に示す第2部材30の第7変更例において、回動抑止部34は、断面が正六角形状であり、軸方向において外周面形状が一定である。
図12に示す第2部材30の第8変更例において、回動抑止部34は、仮想円柱の周面に沿う4個の凸部34aと、各凸部34aを繋ぐ、横断面が略台形状の4個の凹部34bとから成り、凸部34aおよび凹部34bは第2部材30の軸方向と平行に伸びている。
図13に示す第2部材30の第9変更例において、回動抑止部34は、横断面形状が六角形状であり、第2部材30の軸方向に対して外周面が捻れた形状である。
【0055】
第2〜第9変更例でも、第1変更例と同様に、軸方向および回動方向の高い接続強度を発揮することができる。なお、
図7の変更例に比べ、他の例のように凸部34aとカシメ部の形成材料とが周方向に重なる部分を有する構成の方が、周方向の接続強度という点において優位性があると考えられる。凸部34aとカシメ部の形成材料とが周方向に互いに噛み合うためである。
なお、断面が多角形の回動抑止部34は、断面正方形状(
図10に示す第6変更例)、断面六角形状(
図11に示す第7変更例)に限らず、断面三角形状または断面五角形や断面七角形以上の断面多角形状にしてもよい。
また、回動抑止部34は、
図13に示す第9変更例のように、適宜な断面多角形状にした上で、軸方向に対して外周面が捻れた形状にしてもよい。
【0056】
<第2実施形態>
図14に示すように、第2実施形態のカシメ構造を有する構造体50は、第1部材20(第1取付部21、カシメ部22)および第2部材60を備える。
構造体50においては、第2部材60の第2取付部61が略円筒状である。
【0057】
第2部材60の第2取付部61は、第1実施形態の第2部材30の第2取付部31と同様に、第1嵌合部32(面取部32a)、第2嵌合部33、回動抑止部34(凸部34a、凹部34b)、第1溝部35、第2溝部36を備える。
第2部材60は、十分な強度を有し、各部32〜36を形成するために転造可能な金属製である、
【0058】
第2部材60に対して第1部材20を接続固定するには、第1実施形態と同様に、第1部材20の第1取付部21に対して、第2部材60の第2取付部61を嵌合させた状態にて、第1取付部21の外周面を塑性変形させ凹ませることで、第1取付部21の形成材料を、第2取付部61の回動抑止部34および各溝部35、36の両方の表面に沿うように変形させ、もって、該形成材料により、回動抑止部34および各溝部35、36に対する一体的な各カシメ部22を形成する。
ここで、第2取付部61には、各カシメ部22を形成する際の押圧力に抗して、各部32〜36を正常な寸法形状に形成するのに十分な肉厚が必要である。
このように構成された第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0059】
<別の実施形態>
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0060】
[A]前記各実施形態では、回動抑止部34の外径寸法が各嵌合部32、33の外径寸法よりも僅かに小さく形成されているが、回動抑止部34を各嵌合部32、33と同一外径寸法に形成してもよい。
【0061】
[B]前記各実施形態では、各溝部35、36の断面形状の例として略台形状のものを示したが、これに限らず、どのような断面形状(例えば、略U字状、円弧状、略V字状、略コ字状など)にしてもよい。
[C]前記各実施形態では、各溝部35、36が同一寸法形状のものを例示したが、各溝部35、36を異なる寸法形状にしてもよい。
【0062】
[D]第2部材30の第2取付部31の回動抑止部34の形状は、
図3、
図5〜
図13に示した第1実施形態の各例の形状に限らず、前記作用・効果が得られるならば、どのような形状(例えば、第1実施形態の各例を適宜組み合わせた形状、特許文献2の技術のような複数個の円形の穴から成る凹部など)にしてもよい。凸部34aの断面形状も、略三角形状に限らず、台形状、矩形状等、任意である。
【0063】
[E]前記各実施形態では、第1部材20に平面視形状が矩形状のカシメ部22を4個形成したが、カシメ部22の平面視形状および個数は、回動抑止部34および各溝部35、36の寸法や形状に合わせて適宜設定すればよい。
【0064】
[F]前記各実施形態では、第1部材20が均一な外径寸法および内径寸法の円筒形であるが、第1取付部21以外の部分については、どのような形状(例えば、角筒形、円柱形、角柱形など)にしてもよい。
また、前記各実施形態では、第2部材30における第2取付部31以外の部分が円柱形であるが、これに限らず、どのような形状(例えば、角柱形、円筒形、角筒形など)にしてもよい。
【0065】
[G]前記各実施形態では、第1部材20および第2部材30、60が金属製であるが、第1部材20は十分な強度を有する塑性変形可能な材料であればどのような材料(例えば、合成樹脂材料、繊維強化樹脂材料など)によって形成してもよく、第2部材30、60についても十分な強度を有する材料であればどのような材料によって形成してもよい。
【0066】
[H]第1実施形態の締結具10は、ハイブリッド車に搭載されたバッテリ・セルを締結固定するためのバッテリ・クランプとして用いられるが、本発明はこれに限らず、どのような締結対象物を締結するために用いてもよい。
[I]本発明は、引張力または圧縮力への耐力が要求される各種リンク部材やコントロール・ロッドなど、あるいは、高トルク耐力が要求されるカムシャフト等の回転軸部材など、どのような使途にも任意に適用できる。
【0067】
本発明は、前記各局面、前記各実施形態、および前記各変更例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0068】
10…締結具
20…第1部材
21…第1取付部
22…カシメ部
30、60…第2部材
31、61…第2取付部
32…第1嵌合部
32a…第1嵌合部32の面取部
33…第2嵌合部
34…回動抑止部
34a…凸部
34b…凹部
35…第1溝部
36…第2溝部
50…構造体
【0069】
以下の事項を開示する。
(1)
略円筒形の第1取付部を備えた第1部材と、第2取付部を備えた第2部材とをカシメ止めするカシメ構造であって、
前記第2取付部は、
前記第2取付部の先端側に形成されて円周面を有する第1嵌合部と、
前記第2取付部の基端側に形成されて円周面を有する第2嵌合部と、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間に設けられ、周方向への回動を抑止する回動抑止部と、
前記第1嵌合部と前記回動抑止部との間に設けられ、全周に渡って形成された周溝から成る第1溝部と、
前記第2嵌合部と前記回動抑止部との間に設けられ、全周に渡って形成された周溝から成る第2溝部と
を備え、前記回動抑止部は前記第1溝部と前記第2溝部との間に、前記第2取付部の軸方向に延びる部分を有し、
前記回動抑止部の外径は、前記各嵌合部の外径以下に形成され、
前記第1取付部に対して前記第2取付部を嵌合させた状態にて、前記第1取付部の外周面を塑性変形させ凹ませることで、前記第1取付部の形成材料を、前記回動抑止部および前記各溝部の両方の表面に沿うように変形させ、もって、該形成材料により、前記回動抑止部および前記各溝部に対する一体的なカシメ部を形成し、
前記カシメ部は、前記第1取付部の周方向に複数個配置され、
前記各取付部の軸方向の引張力または圧縮力に対しては、前記各溝部に充填された前記カシメ部を形成する前記形成材料が、前記引張力または前記圧縮力に抗して前記各取付部を相対移動不能に接続固定し、
前記各取付部を周方向に回動させる力に対しては、前記回動抑止部に充填された前記カシメ部を形成する前記形成材料が、前記回動させる力に抗して前記各取付部を相対回動不能に接続固定し、
前記第1部材と前記第2部材とが接続一体化されるカシメ構造。
(2)
前記回動抑止部は、径方向の寸法が、周方向において変化する、(1)に記載のカシメ構造。
(3)
前記回動抑止部は断面多角形状である、(2)に記載のカシメ構造。
(4)
前記断面多角形状は、前記回動抑止部の軸方向において、外周面が一定の形状、または、外周面が捻れた形状である、(3)に記載のカシメ構造。
(5)
前記回動抑止部は表面に凹凸が形成された形状である、(2)に記載のカシメ構造。
(6)
前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向と平行に伸びる、(5)に記載のカシメ構造。
(7)
前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向において、捩れるように伸びる、(5)に記載のカシメ構造。
(8)
前記回動抑止部は表面に凹凸が形成された形状であり、前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向と直交する仮想平面と平行に伸びる、(1)に記載のカシメ構造。
(9)
前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向において、螺旋状に伸びる、(5)に記載のカシメ構造。
(10)
前記凹凸は、前記回動抑止部の軸方向において、螺旋状に伸びる向きが途中で反転する、(9)に記載のカシメ構造。
(11)
前記各嵌合部の軸方向の長さに比べて、前記回動抑止部の軸方向の長さが短い、(1)〜(10)のいずれか一つに記載のカシメ構造。
(12)
前記第2取付部の先端周縁角部には面取部が形成される、(1)〜(11)のいずれか一つに記載のカシメ構造。