(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態にかかる車載用照明装置を説明する。本発明の一実施の形態にかかる車載用照明装置は、車室内に設置された照明と、前記照明を制御する制御部と、タッチパネルを含み、該タッチパネルの複数の位置で検知対象を検知することによって、前記検知対象の位置又は動きを検出する検知部と、を備え、該検知部によって、前記検知対象の位置又は動きが検知されると、当該検知結果に応じて、前記制御部が前記照明を制御する。
【0009】
これにより、複数の位置での検知対象の検知によって、検知対象の位置又は動きを検知して、照明を制御するから、例えば、車室内でスポット光を運転者又は乗員が望む位置に放射しようとする際や、その放射角度を変える際に、運転者又は乗員が、車両の天井等に設けられた室内照明灯のスイッチを操作せずとも、検知対象を動かすだけの簡単な操作で、照明を操作することができる。さらに、検知対象を動かす直感的な操作で、照明を操作することができる。よって、利便性の向上を図ることができる。
【0010】
また、複数の位置での検知対象の検知により、検知対象の位置又は動きを検知するため、誤動作を避けることができる。また、前記検知部が、タッチパネルを含んで構成されているので、特に持ち運びが可能な小型のタッチパネルを検知部に組み込めば、後部座席の乗員も照明を所望の状態にすることができる。
【0011】
また、前記検知部が、複数の位置でそれぞれ異なる時刻に前記検知対象を検知することによって、前記検知対象の動きを検知するようにしてもよい。これにより、より確実に誤動作を避けることができる。
【0012】
また、前記検知対象が、人の指であってもよい。これにより、指を動かすだけの簡単な操作で、照明を制御できる。
【0013】
また、前記照明の放射角度が、前記制御部によって調整可能であってもよい。これにより、照明の放射角度を、直観的かつ簡潔な操作で調整することができる。
【0014】
また、前記人の指の動きが、前記タッチパネルに前記人の指2本を接触させた状態で、当該指2本を接近させるピンチイン動作、又は、当該指2本を離隔させるピンチアウト動作であってもよい。これにより、2本の指によりピンチイン動作又はピンチアウト動作するだけの簡単な操作で、照明の放射角度、即ち照射範囲を調整することができる。
【0015】
また、前記ピンチイン動作において、前記照明の放射角度が小さくなり、前記ピンチアウト動作において、前記照明の放射角度が大きくなるようにしてもよい。これにより、人間が感覚的に、指を動かす方向と照明の放射角度、即ち照射範囲の大きさとの対応関係を把握し易いから、より一層、直感的な操作で、照明を操作することができる。
【0016】
また、前記照明の光度が、前記制御部によって調整可能であってもよい。これにより、照明の光度を、直観的かつ簡潔な操作で調整することができる。
【0017】
また、前記人の指の動きが、前記タッチパネルに前記人の指2本を接触させた状態でスクロールする2本指スクロール動作であってもよい。これにより、2本の指でスクロール動作するだけの簡単な操作で、照明の光度を調整することができる。
【0018】
また、前記照明の光度が、前記2本指スクロール動作において、前記タッチパネルの上方に向かってスクロールした際に大きくなり、前記タッチパネルの下方に向かってスクロールした際に小さくなっていてもよい。これにより、人間が感覚的に、指を動かす方向と照明の光度の大きさとの対応関係を把握し易いから、より一層、直観的かつ簡潔な操作で、照明を操作することができる。
【0019】
また、前記タッチパネルには、前記人の指の上方又は下方への動きをガイドするガイド部が設けられていてもよい。これにより、タッチパネルの位置を目視できない状況にあっても、簡単にタッチパネルの位置を把握しつつ、光源を制御することができる。
【0020】
また、前記照明の放射方向が、前記制御部によって変位可能であってもよい。これにより、照明の放射方向を、直観的かつ簡潔な操作で変位させることができる。
【0021】
また、前記人の指の動きが、前記タッチパネルに前記人の指を接触させた状態でなぞるスワイプ動作、又は、フリック動作であってもよい。これにより、指をスワイプ動作、フリック動作させるだけの簡単な操作で、照明の放射方向、即ち照射位置を変位させることができる。
【0022】
また、前記スワイプ動作又は前記フリック動作により、前記人の指が動く方向と同じ方向に前記照明の放射方向が変位されてもよい。これにより、人間が感覚的に、指を動かす方向と照明の放射方向、即ち照射位置との対応関係を把握し易いから、より一層、直観的かつ簡潔な操作で、照明を操作することができる。
【0023】
また、前記照明が放射する光の色度が、前記制御部によって調整可能であってもよい。これにより、照明が放射する光の色度を、直観的かつ簡潔な操作で調整することができる。
【0024】
また、前記人の指の動きが、前記タッチパネルに前記人の指2本を接触させた状態でスクロールする2本指スクロール動作であってもよい。これにより、2本指スクロール動作させるだけの簡単な操作で、照明の色度を調整することができる。
【0025】
また、前記制御部は、前記照明が所定範囲を照射しないように制御してもよい。特に、光度が大きい場合には、予め定められた特定の範囲に照射範囲が及ばないようにするか、又は、消灯するように、制御部で制御してもよい。これにより、例えば、運転者や、後ろを走る車両の運転者の顔及びその付近に照射範囲が及ばないから、安全性の向上を図ることができる。
【0026】
また、前記所定範囲が、運転者の顔及び後部ガラスのうち何れか一方、又は、運転者の顔及び後部ガラスの双方を含んでいてもよい。これにより、運転者の顔付近やリアウインド(後部ガラス)等を照射しないようにすることができる。こうして、例えば、運転者や、後ろを走る車両の運転者の顔及びその付近に照射範囲が及ばないから、より一層、安全性の向上を図ることができる。
【0027】
(実施例)
以下、本発明の一実施形態にかかる車載用照明装置について
図1〜
図7を参照して以下説明する。この車載用照明装置1は、
図1、
図4に示すように、1つの照明装置2と、この照明装置2を制御する端末3と、を備えている。照明装置2は、
図1〜
図3に示すように、光源5(照明)と、光源5を支持する筐体6と、光源5の放射角度を変更する放射角度変更機構8と、光源5の放射方向を変更する放射方向変更機構9と、を備えて構成されている。端末3は、
図5に示すように、検知対象としての人の指Fの動きを検出するタッチパネル31と、タッチパネル31による検知結果に応じて、放射角度変更機構8及び放射方向変更機構9等を制御するCPU32(制御部、
図6に示す)と、タッチパネル31の周縁を保護するための合成樹脂製の枠部36(ガイド部)と、を備えている。
【0028】
照明装置2は、
図4に示すように、例えば車両の天井Rに取り付けられているとともに、光源5が運転者や乗員側、即ち下方側を照射するように設置されている。
【0029】
光源5は、
図2、
図3に示すように、筐体6に変位自在に支持される後述の回動体7に固定されている。光源5として、本実施例では、色彩可変LEDが用いられている。色彩可変LEDは、タッチパネル31による検知結果に応じて、予め設定された3原色から成る色味に変更されるものである。さらに、色彩可変LEDは、タッチパネル31による検知結果に応じて、予め設定された光度に変更されるものである。なお、光源5としては、色彩可変LEDを用いずとも、タッチパネル31による検知結果に応じて、予め設定された3原色から成る色味に変更され、かつ、タッチパネル31による検知結果に応じて、予め設定された光度に変更される色彩可変LED以外のLEDや有機EL、その他各種のランプであってもよい。
【0030】
筐体6は、
図3に示すように、開口(図示しない)を有して箱型に設けられて、車両の天井Rに取り付けられる筐体本体61と、この筐体本体61の開口を覆う板状のカバー62と、を備えている。カバー62には、その内側に回動体7を配置する露出孔6aが設けられている。筐体6は、回動体7を介して光源5を支持している。
【0031】
回動体7は、
図3に示すように、光源5を支持する円盤状の光源支持部71と、ドーム状に形成されて放射角度変更機構8を支持するレンズ支持部72と、を備えている。光源支持部71は、初期状態において、光源5が下方を向くように、光源5を支持している。ここで、初期状態とは、光源5が、その放射角度を変更されていない初期化状態であり、例えば、本実施例では、放射方向が鉛直方向の下方を向くように光源5が支持された状態のことである。
【0032】
レンズ支持部72は、下方に向かうに従って径が小さくなる逆円錐状、即ち略ドーム状に形成されている。このレンズ支持部72には、光源5からの光が放射される位置に放射角度変更機構8としての電気式焦点可変レンズが固定されている。光源5と放射角度変更機構8とは、直線上に並ぶ位置に配置されている。
【0033】
このような回動体7には、光源5(色彩可変LED)と放射角度変更機構8(電気式焦点可変レンズ)とが、直線上に並ぶ位置になるように固定されている。また、回動体7は、放射方向変更機構9により、360度変位自在に支持されている。こうして、回動体7が変位されることにより、色彩可変LEDと電気式焦点可変レンズとが同じ方向(同じ向き)に、360度変位されることとなる。
【0034】
放射角度変更機構8としては、
図3に示すように、電気式焦点可変レンズ(株式会社オプトサイエンス社製、EL−10−30シリーズ)を用いればよい。この電気式焦点可変レンズは、タッチパネル31による検知結果に応じて、レンズの曲率を変更して、焦点距離を動かしている。こうして、電気式焦点可変レンズは、光源5からの光の焦点距離を動かすこと、即ち、放射角度を変更することで、光源5からの光を集光又は放射する。なお、放射角度変更機構8としては、電気式焦点可変レンズを用いずとも、光源5からの光の焦点距離を動かすことによって、集光及び放射を行うことができるレンズやフィルターを用いてもよい。
【0035】
放射方向変更機構9は、
図3に示すように、筐体6に支持される固定台(図示しない)と、回動体7を矢印Y方向に傾ける第1駆動機構91と、回動体7を矢印X方向に傾けるとともに回動体7が固定される第2駆動機構92と、を備えている。第1駆動機構91は、固定台に支持されている。第2駆動機構92は、第1駆動機構91を介して固定台に支持されている。こうして、第2駆動機構92は、第1駆動機構91の矢印Y方向への動きに連動して、矢印Y方向に変位される。なお、本実施例において、矢印Y方向は、車両の進行方向を示し、矢印X方向は、進行方向に直交する車両の幅方向を示している。
【0036】
第1駆動機構91は、第1モータM1と、第1モータM1の回転軸に取り付けられた第1磁石93と、この第1磁石93の磁性変化を検出する第1ホール素子94と、第1モータM1の駆動に伴って矢印Y方向に傾けられる第1可動台(図示しない)と、を備えている。第1モータM1は、固定台に支持されて、その回転軸が矢印Y方向に延在して設けられている。第1可動台は、円盤状に形成されて、その中心部が軸部を介して固定台に軸支されている。
【0037】
第2駆動機構92は、第2モータM2と、第2モータM2の回転軸に取り付けられた第2磁石95と、この第2磁石95の磁性変化を検出する第2ホール素子96と、第2モータM2の駆動に伴って矢印X方向に傾けられるとともに、光源5が取り付けられた第2可動台(図示しない)と、を備えている。第2モータM2は、その回転軸が矢印X方向に延在して設けられている。第2可動台は、円盤状に形成されている。そして、第1可動台、第2可動台、回動体7の順に、上下に同軸になるように配置されている。また、第2可動台は、その中心部が第1可動台に軸支されている。
【0038】
このような放射方向変更機構9は、タッチパネル31による検知結果に応じて、第1モータM1と第2モータM2とをそれぞれ駆動することで、第1可動台及び第2可動台とを変位させ、これらの可動台に支持された回動体7、即ち光源5である色彩可変LED及び放射角度変更機構8である電気式焦点可変レンズを360度変位させる。ここで、回動体7の変位量(傾き)は、第1、第2ホール素子94、96の出力から求めることができる。こうして、放射方向変更機構9は、ユーザが所望する向きに、回動体7を傾けて光源5からの光の放射方向を、ユーザが所望する向きに変更している。
【0039】
本明細書において「光源5の放射方向を変更すること」は、光源の光軸を変更すること、光の放射口の向きを変更することを含む。また、光源5が、当該光源5を覆うカバー62を備えている場合には、カバー62が有する放射面の向きを変更することを含む。
【0040】
なお、上述した放射方向変更機構9は、光源5や放射角度変更機構8(電気式焦点可変レンズ)とともに回動体7の向きを360度変位させる構成の一例であるが、回動体7、即ち光源5の放射方向を変更できれば他の構成であってもよい。また、本実施例では、放射方向変更機構9として直交座標方式が用いられていたが、光源5の放射方向を変更できれば球座標方式又は円柱座標方式であってもよい。
【0041】
このような照明装置2は、
図4に示すように、自動車の天井Rに取り付けられている。また、同図に示すように、タッチパネル31は、その上面が水平方向に沿う格好で、運転席側後部座席S3側のドアに固定されている。本実施例では、照明装置2が、運転席S1、助手席S2、運転席側後部座席S3、助手席側後部座席S4の中央の天井Rに配置された一例について説明する。光源5が消灯した状態で、タッチパネル31における、助手席側後部座席S4における対応位置近傍に、ユーザが1本指で接触すると、光源5からの光の放射方向が助手席側後頭部座席側S4側を向く。また、光源5が点灯した状態で、ユーザが2本指でスワイプ動作、又は、フリック動作をすると、人の指Fが動く方向と同じ方向に、放射方向が変更される。例えば、
図5に示すように、タッチパネル31の指Fの接触位置から、右方に人の指が動いた場合には、光源5からの光の放射方向が、助手席側後頭部座席側S4から運転席側後部座席S3に変更される。
【0042】
タッチパネル31は、
図5に示すように、パネル状に形成された長方形状に形成されている。このタッチパネル31は、複数のセンサ(図示しない)が縦横に格子状に規則正しく並んで構成されている。このタッチパネル31は、その上面が水平方向に沿うとともに、その長手方向が車幅方向(矢印X方向)に沿い、幅方向が車両進行方向(矢印Y方向)に沿う格好で配置されている。
【0043】
また、タッチパネル31は、光の光度を制御するための検知部である第1センサ部33と、光の色度を制御するための検知部である第2センサ部34と、光の放射角度や放射方向を制御するための検知部である第3センサ部35と、を備えている。本実施例では、第1センサ部33は、ユーザから見て右方側端部に設けられ、第2センサ部34は、第1センサ部33よりも左方側端部に設けられ、第3センサ部35は、第1センサ部33と第2センサ部34との間に設けられている。
【0044】
枠部36は、タッチパネル31の表面よりも突出して設けられて、タッチパネル31と枠部36との段差において、ユーザの指Fの上方又は下方への動きをガイドする。
【0045】
なお、本実施例では、各座席S3、S4に向かって、光源5の放射方向が変更される一例を説明したが、光源5の放射方向は各座席に向かっていなくともよい。例えば、光源5の放射方向は、車両の外側(例えば、ドアを開けた際の足元)に向かって放射するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施例では、照明装置2が1つの一例を説明したが、照明装置2は2つ以上設けられていてもよい。その場合、照明装置2は、座席S1、S2、S3、S4の近傍に、それぞれ設けられていてもよく、車両内において、何れの位置に設けられていてもよい。また、本実施例では、端末3は、1つの照明装置に対して1つ設けられているが、複数の照明装置に対して1つ設けられていてもよく、複数の照明装置のそれぞれを制御するように同じ数だけ設けられていてもよい。
【0047】
また、本実施例では、タッチパネル31、即ち端末3は、運転席側後部座席S3側のドアに固定されているが、本発明はこれに限定されるものではない。端末3は、車両内の任意の位置に固定されていてもよく、車両内の任意の位置に係脱自在に設けられていてもよい。また、端末3は、持ち運びが可能なものであってもよい。
【0048】
また、本実施例では、タッチパネル31は、第1センサ部33(第1部分)と、第2センサ部34(第2部分)と、第3センサ部35(第3部分)と、を備え、これらの第1、第2、第3センサ部33、34、35それぞれが、左右に並んで設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。第1、第2、第3センサ部33、34、35が、上下に並んで設けられていてもよく、任意の位置にそれぞれ設けられていてもよい。また、第1センサ部33が光の光度を制御するための検知部であり、第2センサ部34が光の色度を制御するための検知部であり、第3センサ部35が光の放射角度や放射方向を制御するための検知部であるが、本発明はこれに限定されるものではない。光源5を制御するものであれば、何れの位置に設けられたセンサ部33、34、35が、如何なる制御を行っていてもよい。
【0049】
また、本実施例では、ガイド部として枠部36が用いられているが、本発明はこれに限定されるものではない。ガイド部として、タッチパネル31上に設けられた上下に延在する突条部であってもよく、例えば等間隔をあけて上下に直線状に設けられた突起であってもよい。この突条部や突起は、タッチパネル31の一部であってもよく、例えば合成樹脂から構成されているタッチパネル31とは別部材であってもよい。突条部や突起が、タッチパネル31の一部であった場合には、例えば、突条部や突起をその延在方向になぞることにより光源5が制御されてもよい。
【0050】
次に、上述した構成の車載用照明装置1の電気構成について、
図6を参照して説明する。CPU32は、
図6に示すように、例えばマイクロコンピュータから構成され、タッチパネル31からの出力に応じて2つモータM1、M2の駆動(光の放射方向)、光源5の光度の大きさ、光源5の色味、光源5の放射角度(レンズの曲率)を制御している。
【0051】
ここで、CPU32は、タッチパネル31内の複数の位置でかつ異なる時刻に、ユーザの指Fの位置を検知することで、指Fの動きを検出する。詳細には、タッチパネル31に指Fが接触した状態で、指Fが移動した際に、指の動きを検知する。こうして、CPU32は、誤動作を避けつつ、正確に指Fの動きを検知することができる。
【0052】
本実施例において、CPU32は、ユーザによる指1本によるアクション(接触)を検知すると、光源5を点灯させる。この際、CPU32は、ユーザが接触したタッチパネル31の絶対座標位置に対応する車両の位置に向かって、回動体7を傾ける。ここで、CPU32は、ユーザがタッチパネル31において指Fが接触した絶対座標位置を検出すると、その絶対座標位置に対応するように、モータM1、M2それぞれを制御して、回動体7を傾ける。こうして、光源5の放射方向をタッチパネル31における絶対座標位置に対応する車両の領域に向ける。また、CPU32は、光源5が点灯中に、ユーザがタッチパネル31に指1本を接触させた状態で一定時間を経過したことを検知すると、光源5を消灯させる。
【0053】
また、光源5が点灯中に、ユーザの指1本によるアクション(スワイプ動作、又は、付リック動作)を検知する。即ち、タッチパネル31は、ユーザの指Fが、タッチパネル31における移動元座標位置から、移動先座標位置まで移動したかを検知する。さらに、CPU32は、指Fがタッチパネル31において移動した相対座標(移動元座標位置と移動先座標位置との相対的な位置を表す座標のこと。)を検出すると、その相対座標に対応するように、モータM1、M2それぞれを制御して、回動体7を傾ける。こうして、光源5の放射方向を相対座標に対応する車両の領域に向ける。なお、スワイプ動作とは、ユーザの指がゆっくりタッチパネル31表面をなぞる操作であり、フリック動作とは、ユーザの指がタッチパネル31の表面をはじくようになぞる操作である。
【0054】
さらに、CPU32は、光源5の照射範囲が、車両における所定範囲に及ばないように制御している。つまり、CPU32は、光源5からの光が、所定範囲に向けて放射されないように制御している。これにより、車載用照明装置1は、運転者の顔付近やリアウインド(後部ガラス)に、光源5からの光を照射しないようにすることができる。こうして、例えば、運転者や、後ろを走る車両の運転者の顔付近に、光源5からの光が放射されないから、安全性の向上を図ることができる。また、CPU32は、予め定められた光度よりも大きい場合に、所定範囲に照射範囲が及ばないようにするか、又は、消灯するように制御してもよい。これにより、例えば、運転者や、後ろを走る車両の運転者の顔付近に放射されないから、安全性の向上を図ることができる。
【0055】
また、CPU32は、タッチパネル31の第1センサ部33に、指2本を接触させた状態で、上方にスクロールしたことを検知すると、指2本が上方に移動した移動量に対応した値だけ光の光度が大きくなるように制御する。また、CPU32は、タッチパネル31の第1センサ部33に、指2本を接触させた状態で、下方にスクロールしたことを検知すると、指2本が下方に移動した移動量に対応した値だけ光の光度が小さくなるように制御する。
【0056】
また、CPU32は、タッチパネル31の第2センサ部34に、指2本を接触させた状態で、上方にスクロールしたことを検知すると、光源5が放射する光の色度を、指2本が上方に移動した移動量に対応した段階に、波長が徐々に長くなる青、緑、赤と色味が変わるように制御する。また、CPU32は、タッチパネル31の第2センサ部34に、指2本を接触させた状態で、下方にスクロールしたことを検知すると、光源5が放射する光の色度を、指2本が下方に移動した移動量に対応した段階に、波長が徐々に短くなる赤、緑、青と色味が変わるように制御する。
【0057】
または、CPU32は、例えばCIE(国際照明委員会)で規定された色度図(CIE1931)を用いて、所定のX座標に対するY座標に応じた値(即ち、X座標は任意の固定値、Y座標は検知に応じた変動値)となるように色味を制御してもよい。
【0058】
または、CPU32が、CIEの座標に基づいた色味となるように、第2センサ部34に、指2本を接触させた状態で、上下方向、左右方向にスクロールしたことを検知して、この指2本の移動量に応じた座標の色となるように、光源5の色味を制御してもよい。この場合には、CIE1931において横軸(X)、縦軸(Y)は色度を示しており、X=0.33、Y=0.33が無彩色(白)を示しているから、光源5が放射する光の色度が制御される前の状態では、当該色度は、X=0.33、Y=0.33、即ち無彩色(白)になるように設定されていてもよい。つまり、光源5が放射する光の色度は、その初期値が、X=0.33、Y=0.33となるように設定されていてもよい。こうして、X=0.33、Y=0.33を出発点として、ユーザの指2本が、左上方に移動した場合には、色味は緑色に制御され、左下方に移動した場合には、色味は青色に制御され、右下方に移動した場合には、色味は赤色に制御されてもよい。
【0059】
また、CPU32は、タッチパネル31の第3センサ部35において、ピンチイン(指2本をタッチパネル31に接触させた状態で、指2本を接近させる動作)したことを検知すると、指2本が接近した移動量に対応した値だけ、光源5の放射角度が小さくなるように制御する。
【0060】
また、CPU32は、タッチパネル31の第3センサ部35において、ピンチアウト(指2本をタッチパネル31に接触させた状態で、指2本を離隔させる動作)したことを検知すると、指2本が離隔した移動量に対応した値だけ、光源5の放射角度が大きくなるように制御する。
【0061】
次に、上述した構成の車載用照明装置1の詳細な動作について
図7を参照して説明する。
図7は、
図6に示すCPU32の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、CPU32は、例えば、自動車のイグニッションオンに応じて動作を開始する。まず、CPU32は、光源5が点灯しているか否かを判定する(ステップS1)。点灯中であれば(ステップS1でY)、ステップS2に進む。
【0062】
これに対して、点灯中でない場合(ステップS1でN)、CPU32は、1本指によるアクションがあったか否かを判定する(ステップS2)。このステップS2におけるアクションとは、タップのことである。ここで、タップとは、タッチパネル31の表面を軽く叩くようにして、一瞬だけ表面に触れる操作のことである。
【0063】
1本指によるアクションがあった場合には(ステップS2でY)、タッチパネル31の第3センサ部35における絶対座標位置に対応する車両の位置に、光源5からの光を放射する(ステップS3)。つまり、光源5の放射方向を変更しつつ点灯を開始する。1本指でのアクションがない場合(ステップS2でN)には、ステップS1に戻る。
【0064】
一方、点灯中で(ステップS1でY)、かつ、1本指でのタッチパネル31へのアクションが検知され(ステップS4でY)、かつ、指がタッチパネルに接触した状態で一定時間経過していれば(ステップS5でY)、CPU32は、光源5を消灯して(ステップS6)、ステップS1に戻る。これに対し、1本指でのアクションが検知され(ステップS4でY)、かつ、一定時間経過していなければ(ステップS5でN)、CPU32は、アクションに対応する位置に放射方向を変更して(ステップS7)、ステップS1に戻る。このステップS7におけるアクションとは、スワイプ動作又はフリック動作である。ここで、CPU32は、タッチパネル31における複数の位置で、それぞれ異なる時刻に指Fによる接触を検知すると、スワイプ動作又はフリック動作が行われたと判断する。このように、タッチパネル31が、複数の位置でそれぞれ異なる時刻に指Fを検知することによって、指Fの動きを検知する。これにより、確実に誤動作を避けることができる。なお、スワイプ動作とは、ユーザの指がゆっくりタッチパネル31表面をなぞる操作のことであり、フリック動作とは、ユーザの指がタッチパネル31の表面をはじくようになぞる操作のことである。
【0065】
1本指でのタッチパネル31へのアクションが検知されず(ステップS4でN)、2本指でのアクションが検知された(ステップS8でY)場合には、CPU32は、タッチパネル31における第1センサ部33において、アクションが検知されたか否かを判定する(ステップS9)。第1センサ部33において、アクションが検知された場合には(ステップS9でY)、CPU32は、指動作に対応する値になるように、光源5の光度を変更して(ステップS10)、ステップS1に戻る。このステップS9におけるアクションとは、タッチパネル31にユーザの指2本を接触させた状態で上方又は下方にスクロールする2本指スクロール動作のことである。この際、ユーザの指Fは、枠部36とタッチパネル31との段差により上方又は下方への動きがガイドされることとなる。これにより、タッチパネル31の位置を目視できない状況にあっても、簡単にタッチパネル31の位置を把握しつつ、光源5を制御することができる。
【0066】
光源5の光度が、2本指スクロール動作において、タッチパネル31の上方に向かってスクロールした際に大きくなり、タッチパネル31の下方に向かってスクロールした際に小さくなるように、CPU32により制御されている。これにより、人間が感覚的に、指Fを動かす方向と光源5(照明)の光度の大きさとの対応関係を把握し易いから、直観的かつ簡潔な操作で、照明を操作することができる。
【0067】
第1センサ部33において、アクションが検知されなかった場合には(ステップS9でN)、CPU32は、第2センサ部34において、アクションが検知されたか否かを判定する(ステップS11)。第2センサ部34において、アクションが検知された場合には(ステップS11でY)、CPU32は、指動作に対応する値になるように、光源5の色味を変更して(ステップS12)、ステップS1に戻る。このステップS12におけるアクションとは、タッチパネル31にユーザの指2本を接触させた状態で上方又は下方にスクロールする2本指スクロール動作のことである。この際、ユーザの指Fは、枠部36により上方又は下方への動きがガイドされることとなる。これにより、タッチパネル31の位置を目視できない状況にあっても、簡単にタッチパネル31の位置を把握しつつ、光源5を制御することができる。
【0068】
光源5の色味が、2本指スクロール動作において、タッチパネル31の上方に向かってスクロールした際に波長が徐々に長くなる青、緑、赤と色味が変わるように、タッチパネル31の下方に向かってスクロールした際に波長が徐々に短くなる赤、緑、青と色味が変わるように、CPU32により制御されている。これにより、人間が感覚的に、指Fを動かす方向と光源5(照明)の色味の大きさとの対応関係を把握し易いから、直観的かつ簡潔な操作で、照明を操作することができる。
【0069】
第2センサ部34において、アクションが検知されなかった場合には(ステップS11でN)、CPU32は、第3センサ部35において、ピンチイン動作が検知されたか否かを判定する(ステップS13)。第3センサ部35において、ピンチイン動作が検知された場合には(ステップS13でY)、CPU32は、指動作に対応する値になるように、放射角度を小さくするように変更して(ステップS14)、ステップS1に戻る。また、第3センサ部35において、ピンチアウト動作が検知された場合には(ステップS13でY)、CPU32は、指動作に対応する値になるように、放射角度を大きくするように変更して(ステップS15)、ステップS1に戻る。ここで、ピンチイン動作とは、ユーザの指Fの動きが、タッチパネル31にユーザの指2本を接触させた状態で、当該指2本を接近させる動作のことであり、ピンチイン動作とは、ユーザの指Fの動きが、タッチパネル31にユーザの指2本を接触させた状態で、当該指2本を離隔させる動作のことである。このように、2本の指Fによりピンチイン動作又はピンチアウト動作するだけの簡単な操作で、光源5(照明)の放射角度、即ち照射範囲を調整することができる。また、人間が感覚的に、指を動かす方向と照明の放射角度、即ち照射範囲の大きさとの対応関係を把握し易いから、より一層、直感的な操作で、照明を操作することができる。
【0070】
上述した実施例によれば、車室内に設置された光源5(照明)と、光源5を制御するCPU32(制御部)と、複数の位置でユーザの指F(検知対象)を検知することによって、指Fの位置又は動きを検出するタッチパネル31(検知部)と、を備え、該タッチパネル31によって、指Fの位置又は動きが検知されると、当該検知結果に応じて、タッチパネル31が光源5を制御する。
【0071】
これにより、複数の位置での指Fの検知によって、指Fの位置又は動きを検知して、光源5を制御するから、例えば、車室内でスポット光を運転者又は乗員が望む位置に放射しようとする際や、その放射角度を変える際に、運転者又は乗員が、車両の天井等に設けられた照明装置2のスイッチを操作せずとも、指Fを動かすだけの簡単な操作で、光源5を操作することができる。さらに、指Fを動かす直感的な操作で、光源5を操作することができる。よって、利便性の向上を図ることができる。
【0072】
また、複数の位置での指Fの検知により、指Fの位置又は動きを検知するため、誤動作を避けることができる。
【0073】
また、タッチパネル31が、複数の位置でそれぞれ異なる時刻に指Fを検知することによって、指Fの動きを検知する。これにより、より確実に誤動作を避けることができる。
【0074】
また、指Fが、人の指である。これにより、指を動かすだけの簡単な操作で、光源5を制御できる。
【0075】
また、本実施例では、検知部が、タッチパネルを含んで構成されている。しかしながら、検知部として、照明装置2専用のタッチパネルでなくともよい。検知部としては、タッチパネルを含んで構成されていればよく、スマートフォンや、ラップトップコンピュータ、又は、ゲーム機のタッチパネルであってもよい。
【0076】
また、本実施例では、照明の光度の変更、色度の変更、放射角度の変更、放射方向の変更を照明の制御の一例として、説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。照明の制御であれば、如何なる制御であってもよく、照明を制御する検知対象としての人の指の位置や動きは、検知部が複数の位置で検知可能であれば、如何なる位置や動きであってもよい。
【0077】
また、本実施例では、制御部としてのCPU32が「複数の位置でそれぞれ異なる時刻に人の指(検知対象)を検知する」ための操作について、ピンチイン動作、ピンチアウト動作、2本指スクロール動作、スワイプ動作、フリック動作等を一例として説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。制御部が、「複数の位置で同じ時刻に人の指(検知対象)を検知」してもよい。即ち、指2本を同時にタッチパネル31に接触させることで、制御部が照明を制御してもよい。
【0078】
また、本実施例では、検知対象が人の指である例を一例として説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。タッチパネル31に感知されるタッチペンなどの感知部材であってもよい。
【0079】
当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々改変して実施することができる。かかる改変によってもなお本発明の車載用照明装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。