(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の例示的な実施形態の説明は、添付の図面と関連して理解するように意図しており、これは明細書全体の一部として見なされるべきである。本発明において、「下方」、「上方」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「上に」、「下に」、「上部」および「下部」のような相対語だけでなく、その派生語(例えば、「水平に」、「下方に」、「上方に」など)は、後述するようなまたは論議中の図面に示されているような方向を示すものと解釈すべきである。これらの相対語は、説明の便宜のためのものであり、装置が特定の方向に構成または作動することを要求するものではない。「連結された」および「相互連結された」などの取り付け、結合などに関する用語は、特に記載しない限り、移動可能なまたは堅固な取り付けまたは関係だけでなく、介在する構造体を介して構造体が直接的または間接的に他の1つに固定または取付けられる関係を指す。
【0011】
本発明は、最小侵襲手術に適した軟骨除去ツールの実施形態を提供する。各種の実施形態は、手動で、または往復運動若しくは回転運動のための動力駆動装置に軟骨除去ツールを取付けることで作動可能である。
【0012】
以下に記載の任意の実施形態は、例えば、ステンレス鋼またはチタンを含み得る。
図1A〜1Cは、軟骨除去に用いられる器具100を示す。
図1Aは、上記器具100の等角図である。上記器具100は、第1の端部103と、縦軸Aを有する細長い本体102と、を含む。上記器具100は、上記第1の端部103に上記細長い本体102と連結された軟骨除去部104を有する。上記軟骨除去部104は、複数の鋸歯状の円形刃110a〜110iを含む。
図1Aは、9個の刃110a〜110iを示しているが、他の実施形態は、任意の個数の刃を有し得る。各々の鋸歯状の円形刃110a〜110iの重心が縦軸Aに沿って位置している。
【0013】
各々の上記鋸歯状の円形刃110a〜110iは、各々の上記刃の外周に沿って配置された複数の歯112を有する。上記鋸歯状の円形刃110a〜110iは、上記縦軸と実質的に垂直(即ち、60°〜120°の角度)をなし、縦軸の長手方向に作動しながら物質を除去するのに適している。
図1Bは、上記円形刃のうちの1つ110aの断面図である。
図1Cは、上記歯112のうちの1つの正面図である。一部の実施形態において、各々の上記鋸歯状の円形刃110a〜110iは、同じ個数の歯112を有する。
図1Aにおいて、上記鋸歯状の円形刃のうちの一番目110aの各々の歯112は、上記縦軸Aと平行な各々の線分(例えば、105および107)に沿って位置するように、上記鋸歯状の円形刃110a〜110iが整列している。各々の線分105,107は、上記鋸歯状の円形刃のうちの二番目110bの各々の歯112を通過する。上記器具100は、軸Aを中心に回転対称である。他の実施形態(図示せず)において、所定の円形刃は、その片側または両側上に隣接した円形刃から回転偏位してもよい。
【0014】
一部の実施形態において、各々の歯112は、第1の面117aと第2の面117bとを有し、上記第1の面または第2の面の少なくとも1つの縁上に各々の斜面113,115を備えている。一部の実施形態において、
図1Bに示すように、各々の上記歯112は、第1の面と第2の面とを有し、上記第1の面と第2の面の両方の各々の縁上に各々の斜面113,115を備えている。一部の実施形態において、各々の複数の歯112は、歯の外側半径の縁に実質的に扁平な先端114を有する。
図1Cに示すように、各々の鋸歯状の円形刃110a〜110iは、各々の隣接した歯112の対の間に湾曲した凹部116を含み得る。他の実施形態(図示せず)において、各々の凹部は、2つの扁平な平面縁を有し得る。
【0015】
図1Dは、第2の刃122の歯124と第1の刃112の湾曲した凹部116とが整列するように、鋸歯状の円形刃114および124が回転して千鳥状である
図1Cの実施形態の変形を示す。上記切れ刃114および124を千鳥状に配列することは、非対称な関節上の軟骨を除去するのに役立つ。
【0016】
一部の実施形態において、
図1Aに示すように、上記器具100の遠位端109は、回転楕円面、楕円面または放物面の一部などの湾曲した形状を有する。上記湾曲した遠位端は、上記遠位端109が接触する組織の損傷を防止するのに役立つ。
【0017】
図1Bは、第1の鋸歯状の円形刃110aと隣接した鋸歯状の円形刃110bとの間の境界に破線を示している。一部の実施形態において、上記器具100は、(例えば、付加的な製造工程または焼成または旋削/転削により)単一の材料からなり、上記破線117a,117bは、同一の単一器具100の2つの部分110a,110bの間の仮想境界に相応する。他の実施形態において、各々の鋸歯状の円形刃110a〜110iは、個別に形成され、面117a,117bを有する。各々の刃110a〜110iは、例えば、接着剤、半田により結合されるか、または各々の鋸歯状の円形刃110a〜110iにおけるねじ付き中央孔(図示せず)を介して締結具(例えば、細長い部材102のねじ付き端部)を用いて共に結合される。
【0018】
一部の実施形態において、上記器具100を使用する方法は、中足趾節(MTP)関節(足の中足骨と足指の近位骨、趾骨との間の関節)上に小さな切開部を作ることを含む。外科医は、軟骨除去器具100が関節空間(中足骨頭部と趾骨頭部との間)に位置するのに十分な空間を確保するために、伸延装置(distractor)を用いて、上記関節空間を拡張させる。外科医は、カニューレを介して患者の皮膚の切開部に上記器具100を挿入し、上記軟骨除去部104を関節付近に挿入して、1つ以上の歯112を軟骨に接触させる。上記器具100は、上記軟骨を切断または粉砕するために、軟骨に接触しながら往復運動により作動することができる。上記器具100は、上記軟骨を切断または粉砕するために、上記軟骨に接触しながら往復運動および回転運動により同時に作動することができる。上記器具100は、手動で操作するか、または上記器具は、(往復動鋸などの)往復動工具により駆動することができる。次に、外科医は、伸延装置を用いて関節を圧迫し始め、手術/癒合を続ける。
【0019】
一部の実施形態において、上記器具100は、
図1Aに示すように、カニューレ150を有する。ユーザーが、上記カニューレ150と、潅注源(図示せず)、光源(図示せず)および/または伝達媒体(例えば、光繊維またはケーブル)と結合した光センサーを連結することで、外科医は、全ての軟骨が上記関節空間から除去され、洗い流されるようにすることが可能になる。他の実施形態(図示せず)において、上記カニューレ150は、省略できる。
【0020】
図1Aは、円筒状の細長い部材102を有する器具100を示すが、ドリルシャンクが、上記細長い部材102の一部または全部を代替し得るので、上記器具は、任意のドリルチャックまたは往復動チャックを共に使用するのに適している。
【0021】
図1Aにおいて、上記刃110a〜110iは、いずれも互いに同じサイズを有し、器具100の軟骨除去部104を略円筒状の形態として提供する。他の実施形態(図示せず)において、上記軟骨除去部104は、関節面にさらに好ましく符合するように、卵形状部または砂時計形状部などの他の形状を有してもよい。即ち、上記鋸歯状の円形刃は、卵状のエンベロープ(envelope)または砂時計状のエンベロープ内に合うように多様なサイズを有し得る。
【0022】
図2〜5は、回転運動して使用されるように構成された軟骨除去器具200,300,400,500の実施形態を示す。
【0023】
図2は、シャンク210と軟骨除去部204とを有する軟骨除去器具200を示す。一部の実施形態において、上記シャンク210は、平面214を有するドリルシャンクである。一部の実施形態において、上記シャンク210は、相応するクイックリリースソケット(図示せず)を有するツール(図示せず)に収容するのに適したクイックリリースコネクタ212(例えば、AO式のクイックコネクトシャフト)を有する。
【0024】
上記軟骨除去部204は、上記軟骨除去部204の第1の端部231に第1のハブ216を、上記軟骨除去部204の第2の端部232に第2のハブ240を有する。中央部材220は、上記第1のハブ216から上記第2のハブ240に延びる。上記第1のハブ216および上記第2のハブ240は、上記細長い部材220に固定されて、縦軸Bを中心に共に回転する。
図2の実施形態において、上記シャンク210、第1のハブ216、第2のハブ240および中央部材220は、いずれも同一の縦軸Bを共有する。
【0025】
上記軟骨除去部204は、上記縦軸Bから半径方向外側に配置された1つ以上の細長い部材230を含む。上記1つ以上の細長い部材230は、上記第1の端部231から上記第2の段部232に縦軸Bと平行に延びる。一部の実施形態において、上記細長い部材230は、円形の断面を有する。他の実施形態において、上記細長い部材230は、上記器具200の半径方向e
rに長方形断面の短い寸法(および接線方向e
θに長方形の長い寸法)が配向されている扁平な長方形の断面を有する。一部の実施形態において、上記細長い部材230は、上記接線方向e
θに少なくとも1つの尖った縁が配向されている扁平な断面を有し、上記器具200が上記軸Bを中心に回転する時、スライス動作を向上させる。一部の実施形態において、せん断により軟骨を除去するために、(半径方向e
rに表面法線を有する)細長い部材230の外周面230sは粗いまたはざらついている。例えば、上記表面230sは、粗いダイヤモンドコーティングを有し得る。
【0026】
図2において、上記器具200は、扁平なまたは調整された表面214を備えるシャンク210を有し、動力を備えたツール(図示せず)のクイックコネクトソケットにより把持するのに適したマウント212を有する。他の実施形態において、各種シャフトまたはシャンクは、上記シャンク210を代替することができる。
【0027】
一部の実施形態において、上記器具100を使用する方法は、上記MTP関節上に小さな切開部を作ることを含む。外科医は、軟骨除去器具200が関節空間(中足骨頭部と趾骨頭部との間)に位置するのに十分な空間を確保するために、伸延装置を用いて、上記関節空間を拡張させる。外科医は、カニューレを介して患者の皮膚の切開部に上記器具200を挿入し、上記軟骨除去部204を関節付近に挿入する。上記シャンク210は、例えば、手動でまたは上記シャンク210が接続されたソケットを有する手術用ドリルを用いて回転する。上記ドリルは、上記中央部材220と細長い部材230が、上記縦軸Bを中心に回転させて、上記1つ以上の細長い部材230が軟骨を切断または研磨する。次に、外科医は、伸延装置を用いて関節を圧迫し始め、手術/癒合を続ける。
【0028】
一部の実施形態において、上記器具200は、
図2に示すように、カニューレ250を有する。ユーザーが、上記カニューレ250と、潅注源(図示せず)、光源(図示せず)および/または伝達媒体(例えば、光繊維またはケーブル)と結合した光センサーを連結することで、外科医は、全ての軟骨が上記関節空間から除去され、洗い流されるようにすることが可能になる。他の実施形態(図示せず)において、上記カニューレ250は、省略できる。
【0029】
一部の実施形態において、上記細長い部材の外周面230sが粗いまたはざらついており、上記器具200を回転または往復運動させることで、上記軟骨が研磨または粉砕され得る。
【0030】
図3は、
図2の器具200の変形である軟骨除去器具300を示す。シャンク310、クイックコネクト312、平面314、第1のハブ316、中央部材320、第1の端部331、第2の端部332および第2のハブ340は、各々上述のシャンク210、クイックコネクト212、平面214、第1のハブ216、中央部材220、第1の端部231、第2の端部232および第2のハブ240と同様である。簡略のために、これらの共通要素に関する説明は繰り返さない。また、上記軟骨除去器具300を使用する方法は、上述の軟骨除去器具200を使用する方法と同様であり、単に簡略のために、使用説明は繰り返さない。
【0031】
一部の実施形態において、上記軟骨除去器具300は、2本の細長い部材330a,330bを有する。一部の実施形態において、上記細長い部材は、縦軸Cに沿って上記細長い部材330a,330bの質量の分布がさらに釣り合うように、上記中央部材320の両側に180°の間隔で離隔している。上記器具300が回転する際、上記バランスのとれた質量が揺れおよび/または振動を減少させるか防ぎ、軟骨除去を円滑に行うことができる。
【0032】
一部の実施形態において、上記器具300は、
図3に示すように、カニューレ350を有し、これは
図1Aのカニューレ150について上述した通り使用できる。他の実施形態(図示せず)において、上記カニューレ350は、省略できる。
【0033】
図4は、
図2の器具200の変形である軟骨除去器具400を示す。シャンク410、クイックコネクト412、平面414、第1のハブ416、第1の端部421は、各々上述のシャンク210、クイックコネクト212、平面214、第1のハブ216、第1の端部231と同様である。簡略のために、これらの共通要素に関する説明は繰り返さない。また、上記軟骨除去器具400を使用する方法は、上述の軟骨除去器具200を使用する方法と同様であり、単に簡略のために、使用説明は繰り返さない。
【0034】
一部の実施形態において、上記軟骨除去器具400は、4本の細長い部材、即ち、細長い部材430,431,432および90°の間隔で均等に離隔している第4の細長い部材(図示せず)を有し、上記縦軸Dに沿って上記細長い部材430,431,432,・・・の質量の分布がさらに釣り合うようにする(上記第4の部材は、細長い部材431と180°の間隔で離隔して位置する)。上記器具400が回転する際、上記バランスのとれた質量が揺れおよび/または振動を減少させるか防ぎ、軟骨除去をさらに円滑に行うことができる。
【0035】
上記軟骨除去器具400は、上記第2の端部422での第2のハブを省略することができる。一部の実施形態において、各々の細長い部材(例えば、430,432)は、上記縦軸Dを中心から各々の細長い部材430,432,・・・の端部に延びる各々の放射状の部分(例えば、430e,432e)を有する。上記放射状の部分430e,432e,・・・は、縦軸Dに沿って交差点で互いに(例えば、溶接または半田により)取り付けられ得る。一部の実施形態(図示せず)において、器具は、4本の細長い部材430,431,・・・が取り付けられた第2の端部422に第2のハブを有する。一部の実施形態において、上記放射状の部分430e,432eの外側端面が粗いまたはざらついており、シャンクまたはシャフト410を回転させながら、軟骨に当てて物質を除去することができる。
【0036】
図5A〜5Bは、
図4の器具400の変形である軟骨除去器具500を示す。
図5Aは、上記軟骨除去器具500の側面図であり、
図5Bは正面図である。シャンク510、クイックコネクト512、平面514および第1のハブ516は、各々上述のシャンク410、クイックコネクト412、平面414および第1のハブ416と同様である。簡略のために、これらの共通要素に関する説明は繰り返さない。また、上記軟骨除去器具500を使用する方法は、上述の軟骨除去器具200を使用する方法と同様であり、単に簡略のために、使用説明は繰り返さない。
【0037】
一部の実施形態において、上記軟骨除去器具500は、45°の間隔で均等に離隔している8本の細長い部材530,531,532,・・・を有し、上記縦軸Eに沿って上記細長い部材530,531,532,・・・の質量の分布がさらに釣り合うようにする。上記器具500が回転する際、上記バランスのとれた質量が揺れおよび/または振動を減少させるか防ぎ、軟骨除去をさらに円滑に行うことができる。他の実施形態において、上記8本の細長い部材530,531,532,・・・は、いずれも第1のハブ516内に内蔵された複数の湾曲部(図示せず)を有する単一の連続ワイヤに含まれ得る。
【0038】
上記軟骨除去器具500は、上記第2の端部522での第2のハブを省略することができる。一部の実施形態において、上記細長い部材(例えば、530,532,・・・)は対をなして配置され、各々の対内の細長い部材は、上記器具500の第2の端部522で垂直部材により互いに連結される。
図5Bは、3時の位置の第1の細長い部材から反時計方向に見たとき、(部材541により連結されている)第1の細長い部材と第5の細長い部材、(部材542により連結されている)第2の細長い部材と第8の細長い部材、(部材543により連結されている)第3の細長い部材と第7の細長い部材、および(部材544により連結されている)第4の細長い部材と第6の細長い部材がそれぞれ対をなす配置を示す。上記端部541,542,・・・は、上記軟骨除去器具500の第2の端部522でそれらの各々の細長い部材に(例えば、溶接または半田により)取り付けられ得る。また、上記端部541,542,・・・は、それらの各々の細長い部材と同一のワイヤで形成され得る。他の実施形態(図示せず)において、上記器具は、上記8本の細長い部材530,531,・・・が取り付けられた上記第2の端部522に第2のハブを有する。
【0039】
上記軟骨除去器具200,300,400および500は、該当領域の骨を損傷させず、軟骨を削り取ることができる。
【0040】
図6は、
図2の器具200の変形である軟骨除去器具700を示す。シャンク710、クイックコネクト712、平面714、第1のハブ716、中央部材720、第1の端部721、第2の端部722および第2のハブ740は、各々上述のシャンク210、クイックコネクト212、平面214、第1のハブ216、中央部材220、第1の端部231、第2の端部232および第2のハブ240と同様である。簡略のために、これらの共通要素に関する説明は繰り返さない。また、上記軟骨除去器具700を使用する方法は、上述の軟骨除去器具200を使用する方法と同様であり、単に簡略のために、使用説明は繰り返さない。
【0041】
一部の実施形態において、上記軟骨除去器具700は、環状空間725により縦軸Gから半径方向に離れている2本の細長い螺旋状ストリップ730,731を有する。上記環状空間725により、上記螺旋状ストリップ730,731は、半径方向と直交する方向e
cに向けて連続的な螺旋状切れ刃を有する。一部の実施形態において、上記細長いストリップ730,731は、上記縦軸Gに沿って上記螺旋状ストリップ730,731の質量の分布がさらに釣り合うように、中央部材720の両側に180°の間隔で離隔し、上記環状空間725は、上記中央部材720と上記螺旋状ストリップ730,731との間に半径方向に位置する。上記器具700が回転する際、各々の螺旋状ストリップ730,731の先端縁が、上記軟骨に接触して、上記軟骨を切断または研磨する。
【0042】
一部の実施形態において、各々の細長い螺旋状ストリップ730,731は、上記器具200の半径方向e
rに長方形断面の短い寸法(および接線方向e
δに長方形の長い寸法)が配向されている扁平な長方形断面を有する。一部の実施形態において、上記細長い螺旋状ストリップ730,731は、上記接線方向e
δに少なくとも1つの尖った縁が配向されている扁平な断面を有し、上記器具700が上記軸Gを中心に回転する際、スライス動作を向上させる。一部の実施形態において、せん断により軟骨を除去するために、(半径方向e
rに表面法線を有する)細長い螺旋状ストリップ730,731の外周面730s,731sは粗いまたはざらついている。
【0043】
上記螺旋状ストリップ730,731は、上記軟骨を削り取るために使用することができる。各々の螺旋状ストリップの傾斜切れ刃は、軟骨が除去されると、軟骨がその部位から離れることを助け、上記器具700の目詰まりを防止する。上記螺旋状ストリップ730,731は、(軟骨のみを除去するために)鈍くても若しくは内側に湾曲していてもよく、または(癒合を円滑するために適量の健康な出血する骨を露出させるよう、極めて少量の骨の除去を助けるために)鋭くてもよい。
【0044】
一部の実施形態において、上記器具700は、
図6に示すように、カニューレ750を有し、これは
図1Aにおけるカニューレ150について上述の通り使用することができる。他の実施形態(図示せず)において、上記カニューレ750は、省略できる。
【0045】
図7は、研削動作または研磨動作に適した研削器600の形態の軟骨除去装置の実施形態の側面図である。上記研削器600は、シャンク610と上記シャンク610に取り付けられた軟骨除去部604とを有する。上記軟骨除去部604は、第1の面622と、上記第1の面622に対向する第2の面624と、を有するプレート620を含む。
【0046】
上記プレート620は、上記第1の面622から第2の面624に上記プレート620を貫通して延びる1つ以上の孔630を規定する。
図7に示すように、孔630の列は千鳥状に配置でき、各々の列は、列内に隣接した孔間の半ピッチ程先行および/または後行する列とずれる。他の実施形態(図示せず)において、孔630の列と行は、同一の行内の隣接した孔間で任意のずれなく長方形格子で整列する。
【0047】
各々の孔630は、上記プレートの各々の切れ刃により規定される。一部の実施形態において、上記プレート620は、孔の配列において、各々の孔630と隣接した各々のホタテガイ形状のスクープ(scoop)631を有する。縦軸Fの方向にプレートが移動または往復運動する場合、上記孔630を囲む刃および上記ホタテガイ形状のスクープ631は、軟骨を切断または研磨させ、上記ホタテガイ形状のスクープは、切断または研磨された軟骨をそれらの各々の孔内に偏向させる。上記ホタテガイ形状のスクープ631は、(軟骨のみを除去するために)鈍くてもよく、または(癒合を円滑するために適量の健康な出血する骨を露出させるよう、少量の骨の除去を助けるために)鋭くてもよい。
【0048】
一部の実施形態において、上記プレートは、各孔630に隣接した凹状刻み目632を含み、上記孔630が各々の凹状刻み目632とホタテガイ形状のスクープ631との間に存在する。上記凹状刻み目632は、上記軟骨を上記プレート620の表面622の下方に延びるようにして(即ち、
図7において)、上記孔630およびホタテガイ形状のスクープ631は上記軟骨をさらに深くスライスまたは研磨する。
【0049】
手術の際、上記器具600は、カニューレ(図示せず)を介して患者の皮膚の切開部に挿入され、軟骨除去部604が関節付近に挿入されることで、上記器具600が用いられる。上記器具600は、上記軟骨除去部604が患者の軟骨に接触するように位置する。上記シャンク610は、例えば、シャンク610のクイックコネクト612が連結されたソケットを有する往復動工具を用いて往復運動する。上記往復動工具は、上記軟骨除去部604を縦軸Fと平行な方向の前後に移動させて、1つ以上の孔630を規定する切れ刃および各々のホタテガイ形状のスクープ631が上記軟骨をスライスまたは研磨するようにする。上記方法の他の実施形態において、外科医は、動力付きツールを使用せずに、上記ツール600を手動で往復運動させることができる。
【0050】
一部の実施形態において、
図7に示すように、上記ツール600は、カニューレ650を有し、これは
図1Aのカニューレ150について上述した通り使用できる。他の実施形態(図示せず)において、上記カニューレ650は、省略できる。
【0051】
図8〜10は、
図7の器具600の変形である器具900を示す。
図8は、器具900の等角図である。
図9は、
図8の軟骨除去部904を拡大した詳細図である。
図10は、上記器具900の分解図である。上記器具900は、シャンク910と研削器904とを有する。上記研削器904は、上記シャンク910に取り付けられている。上記研削器904は、第1の面920aと、上記第1の面920aに対向する第2の面920bと、を有するプレート920を有する。上記プレート920は、上記第1の面920aから上記第2の面920bを貫通して延びる1つ以上の孔930を規定する。各々の孔930は、上記孔930を囲むプレート920の各々の切れ刃により規定される。
【0052】
上記プレート920は、少なくとも第1の刃932と、第2の刃934と、を含む。上記第1の刃および第2の刃932,934は、上記シャンク910の縦軸Hと実質的に垂直をなし(即ち、60°〜120°の角度)、上記縦軸の長手方向に作動しながら物質を除去するのに適している。上記1つ以上の孔930の少なくとも1つは、上記第1の刃932の中心に位置し、上記第1の刃932を2つの刃の部分に分離する。上記第2の刃934は、上記第1の刃932と平行であり、上記少なくとも1つの孔930と隣接する。上記第2の刃934は、往復運動する間、少なくとも1つの孔930へ軟骨が偏向するように形成されている。例えば、
図9に示すように、上記第2の刃934は、上記孔930に向けて傾斜している。上記器具900が軟骨に接触し、軸H方向に移動して、上記刃934が所定の部位に到達する前に、上記孔930が上記軟骨上の同じ所定の部位に到達すると、刃934は軟骨を削り取って、上記孔930に向けて上記軟骨を偏向させる。同様の方法で、各々の上記孔930は、各々の孔930に向けて軟骨を偏向させ得る各々の刃に隣接している。
【0053】
上記器具900を使用する方法は、患者の軟骨に上記研削器904を接触させるステップを含む。上記研削器904は、上記プレート920に取り付けられたシャンク910を有する。上記プレート920は、第1の面920aと、上記第1の面920aに対向する第2の面920bと、を有する。上記プレート920は、上記第1の面920aから上記第2の面920bを貫通して延びる1つ以上の孔930を規定し、各々の孔930は、上記プレート920の各々の切れ刃により規定される。一部の実施形態において、1つ以上の上記孔930を規定する各々の切れ刃934が、上記軟骨を切断または研磨するように、往復動工具が上記プレート920を往復運動させるのに用いられる。
【0054】
上記器具900は、往復動工具と連結し得る一種のシャンク910を含む。上記器具900のシャンク910は、ハウジング916内の円形開口914を介して途中で延びるボール912を有する。取付部940は、上記ハウジング916の嵌合スロット918に収容されるのに適した十字状の端部942を有する。上記取付部940は、2つの直交方向に上記シャンク910の角回転αとβ(
図8に図示する)を可能としながら、上記ハウジング内に上記ボール912を備える。上記ボールマウントは、往復動工具を上記シャンク910の縦軸Hに対して所定の角度で配向して到達し難い関節に接近できるようにする。
【0055】
図10は、器具900の分解図である。上記シャンク910は、上記取付部940に対向する端部に実装プレート922を有する。上記プレート920は、上記実装プレート922の孔923を介して挿入したねじ924、リベットなどにより上記実装プレート922に取り付けられ得る。一部の実施形態において、上記プレート920は、1つの外科手術に用いられ、除去され、新規なプレート920に置き換えられる。上記取付部940は、固定ねじ925またはその他の締結具により上記ハウジング916に固定することができる。
【0056】
図11は、軟骨除去ツール800の他の実施形態を示す。上記ツール800は、縦軸Fと遠位端とを有するハンドルまたはシャンク810を有する。上記軟骨除去部820は、上記ハンドルまたはシャンク810の遠位端に取り付けられている。上記軟骨除去部820は、湾曲プレート821を有する。一部の実施形態において、上記軟骨除去部820のプレート821は、2つの垂直な方向に湾曲を有する。第1の方向における湾曲は、縦軸Fを含む面内の湾曲角度θで表される。第2の方向における湾曲は、縦軸Fと直交する面内の湾曲角度φで表される。上記湾曲プレート821は、凸面821aと凹面821bとを有する。一部の実施形態において、上記凸面はθとφの両方の方向に凸状であり、上記凹面821bはθとφの両方の方向に凹状である。他の実施形態(図示せず)において、上記プレート821は、角度θの面内で湾曲するが、角度φは0である。他の実施形態(図示せず)において、上記プレート821は、角度φの面内で湾曲するが、角度θは0である。
【0057】
上記湾曲プレート821上には、複数の鋸歯状の刃822a〜822g,823a〜823gを有する。各々の鋸歯状の刃822a〜822g,823a〜823gは、複数の歯824を有する。各々の歯824は、上記歯824の遠位端から上記歯824の近位端まで高さHが増加する傾斜面を有する。各々の刃822a〜822g,823a〜823g内に、各々の隣接した歯824の対は、隣接した歯824の対の間に凹面825を有する。
【0058】
各々の鋸歯状の刃822a〜822g,823a〜823gは、上記ハンドルまたはシャンク810の縦軸Fと実質的に垂直をなす。例えば、
図11において、各々の刃822a〜822gは、上記凸面821aと実質的に垂直をなし(例えば、60°〜120°)、各々の刃823a〜823gは、上記凹面821bと実質的に垂直をなす。
図11において、上記プレート821は、角度φの面内で湾曲しており、上記表面821aが角度φの面内で凸状であるため、各々の刃822a〜822gは角度φの面内で湾曲を有する。例えば、
図11において、θの例示的な範囲は0°〜45°の範囲であり、一部の実施形態において、10°〜35°の範囲であり、一部の実施形態において、20°〜30°の範囲であり得る。また、
図11において、φの例示的な範囲は0°〜30°の範囲であり、一部の実施形態において、5°〜20°の範囲であり、一部の実施形態において、10°〜15°の範囲であり得る。各々の刃822a〜822g,823a〜823gは、切れ刃および基部は、相応する凸面821aと凹面821bと同一の角度ほど上記角度φの面内で湾曲している。
【0059】
一部の実施形態において、上記鋸歯状の刃822a〜822g,823a〜823gは、複数の異なる高さを有する。一部の実施形態において、上記凸面821a上の鋸歯状の刃822a〜822gの高さHは、上記軟骨除去部820の近位端若しくは遠位端で、またはその近位端若しくは遠位端の近傍で第1の高さ値を有することができ、上記軟骨除去部820の近位端と遠位端との間で少なくとも1つの第2の高さ値を有することができ、上記第2の高さは、上記第1の高さよりも高い。一部の実施形態において、上記凹面821b上の鋸歯状の刃823a〜823gは、上記軟骨除去部の近位端若しくは遠位端で、またはその近位端若しくは遠位端の近傍で第3の高さ値を有し、上記軟骨除去部の近位端と遠位端との間で少なくとも1つの第4の高さ値を有し、上記第4の高さは、上記第3の高さ未満である。
【0060】
例えば、
図11において、高さは、刃822aから刃822dに増加し、その後刃822dから刃822gに減少し、そして、高さは、刃823aから刃823dに減少し、刃823dから刃823gに増加する。従って、上記刃822a〜822gの切れ刃は、凸状エンベロープに沿って位置し、これは楕円面、放物面、または卵形などであり得る。同様に、上記刃823a〜823gの切れ刃は、凹状エンベロープに沿って位置し、これは楕円面、放物面、または卵形などであり得る。上記凸面821aまたは凹面821b上の刃は、上記凸面821aまたは凹面821bの方向に上記器具800が各々作動する際に物質を除去するのに適している。上記構成において、上記プレート821の凸面821aに相応する軟骨除去面は、凹面からの軟骨除去に適し、上記プレート821の凹面821bに相応する軟骨除去面は、凸面からの軟骨除去に適している。
【0061】
手術の際、上記器具800は、手動でまたは往復動工具に取り付けることによって振動することができる。湾曲した凹面と凸面との組み合わせにより、軟骨を除去することができ、癒合を円滑にするために、適量の健康な出血する骨を露出するよう、薄層の骨の除去を助けることができる。上記器具800の湾曲した凹状/凸状は、関節癒合のためのカップ/コーン関節準備(cup/cone joint prep)に用いられることができる。
【0062】
図12および
図13は、軟骨除去の他の方法に用いられるツール1000を示す。上記ツール1000は、縦軸Jを有するハンドルまたはシャンク1010と、上記ハンドルまたはシャンク1010の端部に実質的に等脚台形状の管1030と、を含む。上記台形状の管1030は、貫通する開口1025を規定する内壁1031を有する。上記開口1025は、上記ハンドルまたはシャンク1010の縦軸Jと実質的に平行な軸Kを有する。上記台形状の管1030は、少なくとも1つの切れ刃1021,1023を有する。例えば、上記管1030は、近位切れ刃1021と遠位切れ刃1023とを有する。一部の実施形態において、上記等脚台形状の管1030の側面1027および1028は、更なる切れ刃を有する。一部の実施形態において、外面1029は、薄層の残存軟骨の除去および微細な研磨のために粗いまたはざらついている。
【0063】
手術の際、外科医は、ツール1000を軟骨に接触させる。外科医は、上記ツール1000を関節から引き抜きながら、上記軟骨を手動で切断するために、切れ刃1021を用いることができる。また、外科医は、上記ツール1000を手動で往復運動させて、上記切れ刃1021および1023のいずれも用いて軟骨を切断することができる。微調整のために、外科医は、軟骨を外面1029と接触させ、上記ツール1000を手動で往復運動させて、薄層の軟骨を除去することができる。
【0064】
本発明は、例示的な実施形態に関して記載しているが、これらに限定されるものではない。より正確に述べれば、添付の請求範囲は当業者によって行なわれ得る他の変形および実施形態を含むように広く解釈されるべきである。