【実施例】
【0022】
本発明の
図1〜14に示すトンネル地面巾8m程で、高さ9mのトンネル工事での実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例の中間クラッシャー投入作業車は、2.4m巾のクローラを用い、固定デッキの左右張り出しを考慮した車巾は約5.1m程であり、車体に51°程傾斜した傾斜コンベヤを水平に突出させた車体の前部に90°左に旋回可能に装置し、又車体の後部にクラッシャー装置を設けていて、その投入口はトンネル路面から約2.5m高さにあり、又破砕後の破砕石等の吐出口及び小さな石・土砂のシュート排出口はその下部にある。その吐出口・シュート排出口から排出する土砂破砕石はその下方に配置された前後に長い破砕石搬送コンベヤの水平な後部に落下して移載される。同破砕石搬送コンベヤの前部は車体の前部で20°程の角度で立上って傾斜して、その先端部の高い位置にあるリターン部(ヘッド部)から破砕石を上方の投入シュートを介して傾斜コンベヤの低位置に落下させている。同リターン部から落下する土砂破砕石は前記傾斜コンベヤの基端部の水平部で受け止めて51°程の傾斜した傾斜コンベヤの傾斜部で3.4m程上方に持ち上げて、その上端のリターン部(落下排出部)より下方のコンクリート壁に支持されたトンネル路面から2.5m高さにあるベルトコンベヤへ落下させて移載し、後は同ベルトコンベヤによって搬送させる例である。
【0023】
(実施例の符号の説明)
図1〜14に示す実施例の符号を説明する。
Gは実施例のトンネル工事における破砕石土砂の搬出設備、Tはトンネル地面T4から高さ9m程のトンネル、T1は切羽、T2は坑口、T3はトンネル中心線、T4は8m程の巾のトンネル地面、TWはトンネルTのコンクリート壁である。BCは実施例のトンネルT内のベルトコンベヤ、BC1は同ベルトコンベヤBCのベルト、BC2は余分のベルトを格納して繰り出し・格納できるベルト格納部であり、周知であるので構造は省略している。BC3はベルトコンベヤBCの坑口側にあるコンベヤ駆動部、BC4はベルトコンベヤBCのトンネル外(坑外)に設けたズリの坑外排出部、BC5はベルトコンベヤBCのベルトBC1のベルト洗滌部、CRは切羽T1近くに配置される公知のクラッシャー作業車、CR1は同クラッシャー作業車CRの岩石・破砕石等のクラッシャー装置への投入口、CR2は小さく破砕された破砕石・石片・礫等を排出する後方へ傾斜した排出コンベヤ、TPはテールピース台車、TP1は同テールピース台車のクローラ車体、TP2はベルトコンベヤBCの先端のリターン部近くに設けたズリ等の投入部、TP3はテールピース台車TPの中央上部に設けた支持部材SBの取付作業用の高所作業台、TP4はテールピース台車TPの前端部に設けたベルトコンベヤBCの始端のリターン部であり、テールピース台車TP内にベルトコンベヤBCが張架されている。SBはトンネルTのコンクリート壁TWに沿って約3m程の間隔で2.5m程の高さで水平に保持される支持部材、SB1は同支持部材を吊って支持する吊りワイヤ、SB2は同吊りワイヤの上端をコンクリート壁TWに固着させる上位コンクリートアンカー、SB3は支持部材SBの基端をコンクリート壁TWに固定するための下位コンクリートアンカー、BRは前後する複数の支持部材SBの上に取付けられ、U字状に複数のローラを配置し、コンベヤベルトBCのベルトBC1をその上方に載置して支持するベルト受けローラである。
【0024】
BCKはトンネルTのコンクリート壁TWが構築されてベルトコンベヤBCのベルトBC1が支持部材SBの上のベルト受けローラBR上に載置されているベルトコンベヤBCのコンベヤ区間である(
図3参照)。
MCは実施例の中間クラッシャー投入作業車、MC1は同中間クラッシャー投入作業車のクローラMC11を用いて移動できる車体、MC2は同中間クラッシャー投入作業車の車体MC1の後部に装置したクラッシャー装置、MC21は同クラッシャー装置の破砕石・岩・石・礫等の投入口、MC22はジョークラッシャーを用いたクラッシャー部、MC23は同クラッシャー部の吐出口、MC3は前後に長い破砕石搬送コンベヤ、MC24はクラッシャー装置MC2のグリズリフィーダ、MC25は同グリズリフィーダを介して落下する小さな破砕石・小石・土砂のシュート、MC26は同シュートのシュート排出口である。MC31は同破砕石搬送コンベヤMC3のコンベヤベルト、MC32は同破砕石搬送コンベヤの水平な後部、MC33は同破砕石搬送コンベヤの20°程で前方を高く傾斜させた前部の立上り部、MC34は同立上り部の上端に設けたコンベヤベルトMC31のリターン部(ヘッド部)である(
図5〜14参照)。
【0025】
図5〜12に示すMC4は中間クラッシャー投入作業車MCの前部に設けた傾斜コンベヤ、MC40は破砕石搬送コンベヤMC3の立上り部MC33のリターン部MC34から落下する破砕石・土砂を受け入れて、傾斜コンベヤMC4の水平な基部MC42へ移載するための投入シュート、MC41は同傾斜コンベヤのコンベヤベルト、MC42は同傾斜コンベヤMC4の水平な基部(水平部)である。MC43は傾斜コンベヤMC4の51°程に急傾斜した傾斜部、MC44は前記傾斜部MC43を支持するコンベヤ保持フレーム、MC46は同コンベヤ保持フレームの旋回中心軸、MC47はコンベヤベルトMC41のリターン部で、破砕石土砂等の落下排出部であり、MC48はコンベヤ保持フレームMC44を180°旋回させる油圧を用いた旋回装置である(
図12参照)。
【0026】
図15で示す垂直リフトコンベヤMC6は実施例の傾斜コンベヤMC4に代えてベルトコンベヤBCへの破砕石等を移載する垂直リフトコンベヤMC6の例であり、MC61は破砕石搬送コンベヤMC3から移載される破砕石等を収容して持ち上げる垂直リフトコンベヤMC6のバケット、MC62は垂直リフトコンベヤMC6の上方排出部、MC63は同上方排出部で排出される破砕石等を下方のベルトコンベヤBCのベルト上面に誘導する落下積載のための破砕石土砂落下ガイドシュートで、垂直リフトコンベヤMC6の上方排出部に基端部がコンクリート壁方向に湾曲するように且つ左右に旋回できるように設けられている。
【0027】
(実施例の作動説明)
図1〜4に示すように、切羽T1での発破作業・掘削作業が進んで破砕石・破砕礫・割岩・小石・土砂が散乱している切羽T1の近くに、クラッシャー作業車CRを移動させる。次に、テールピース台車TPをクローラでもって切羽近くのクラッシャー作業車CRに近い位置まで移動させる。テールピース台車TPはベルトBC1の先端のリターン部TP5を設けているので、ベルト格納部BC2に格納されたベルトBC1を繰り出しながら切羽T1の方へ近づく。その近づく前の位置においてテールピース台車TPの後方の掘削されたトンネルTの壁面に新たなコンクリート壁TWが構築され、支持部材SBはテールピース台車TPの高所作業台TP3を使って新しいコンクリート壁TWの高い位置に上位コンクリートアンカーSB2を、その低い位置に下位コンクリートアンカーSB3を打設して取付ける。そして、
図5に示すように支持部材SBの突出した先端を上位コンクリートアンカーSB2にその一端を固着した吊りワイヤSB1で保持する。一方、支持部材SBの基端は下位コンクリートアンカーSB3に連結して、支持部材SBをトンネルTの方向に沿って一定間隔で水平に保持する。そして、トンネルのコンクリート壁TWに取付けられた前記支持部材SB上にベルト受けローラBRを固着する。このように、新しいベルト受けローラBRをコンクリート壁TWに沿って取付けると、テールピース台車TPまで延びたベルトコンベヤBCのベルトBC1を載せて、ベルトコンベヤBCを新しいコンクリート壁TWに沿って配装する(
図4,5,9参照)。
【0028】
その後、切羽T1の近く及びその後方に散乱している破砕石・岩石・礫・石・土砂等をショベル作業車(図示せず)を用いて大きいものはクラッシャー作業車CRの投入口CR1に投入して小さく破砕して、その後方の排出コンベヤCR2から移送してテールピース台車TPのリターン部TP5の近くの投入部TP2へ移載する。土砂・小石等はショベル作業車(図示せず)で直接テールピース台車TPの投入部TP2へ投入してもよい。
このように、切羽T1で発生している破砕石・礫・小石・土砂等はテールピース台車TPのベルトBC1の投入部TP2から投入されて、ベルトコンベヤBCの作動とともにテールピース台車TPからコンクリート壁TWのベルト受けローラBRに沿って坑口の方向に搬送される。
【0029】
切羽近く及びテールピース台車TPの付近の破砕石・土砂等はテールピース台車TPの投入部TP2に投入されて搬送される。
そして、ベルトコンベヤBCのコンベヤベルトBC1はトンネル壁がコンクリート壁TWとなっているコンベヤ区間BCKでは支持部材SBが上位コンクリートアンカーSB2と下位コンクリートアンカーSB3と吊りワイヤSB1によって水平に保持され、これにベルト受けローラBRが取付けられる。このベルト受けローラBRの上にコンベヤベルトBC1が置かれ、ベルトコンベヤBCはコンクリート壁TWに支持されて作動する(
図5参照)
【0030】
一方、トンネルTの道路は切羽からコンベヤ区間BCKの切羽に近い領域までは地山を掘削した地面が前記した重機及びトラック・シャベル作業車等に耐えるように砂利・礫・栗石を投入して道路の強度が高い路面としている。切羽の掘削位置が前進すると地面の道路のトンネル地面を所定深さ掘削して小石・礫・砂利を掘り出してその凹所にコンクリートを流し込んで恒久的な道路としてのコンクリート道路にする(インバート工事INKという)。これは、切羽から300m程後方位置でなされる(
図15参照)。
【0031】
本発明ではこのトンネルTのインバート工事INKの工事現場から更に後方に1台の中間クラッシャー投入作業車MCをインバート工事INKの開始前に配置する。そのクラッシャー装置MC2の投入口MC21がインバート工事INKと対向するように配置する(
図1,2,3,4参照)。
インバート工事INKの開始で地面の掘削によって岩石・破砕石・礫・土砂が大量に発生する。このインバート工事INKから発生する大きな岩石・破砕石・礫・土砂等をショベル作業車(図示せず)を用いて集めて、中間クラッシャー投入作業車MCの後部のグリズリフィーダMC24とジョークラッシャーを用いたクラッシャー装置MC2の投入口MC21へ投入し、クラッシャー部MC22で小さく破砕した後その下方の吐出口MC23から下方へ排出する。小さな石・土砂はシュートMC25のシュート排出口MC26から落下する。排出された破砕石等は破砕石搬送コンベヤMC3の切羽側となる後部MC32の水平なコンベヤベルトMC31部分で受け止められ、坑口方向へ送られた後20°程で傾斜した前部の立上り部MC33によって持ち上げられ、その前方(坑口側)のリターン部(ヘッド部)MC34から投入シュートMC40へ落下排出される。落下排出された破砕石等は投入シュートMC40から下方の傾斜コンベヤMC4の水平な基部MC42で受け止められて、51°程の急傾斜で傾斜部MC43によって持ち上げられ、その上端のリターン部(落下排出部)MC47から落下排出される。落下排出された破砕石等は下方のベルトコンベヤBCのベルトBC1上に受け止められて、落下した破砕石等は以後ベルトコンベヤBCによって搬送される(
図13,6,7,8参照)。尚、中間クラッシャー投入作業車MCの向きはクラッシャー装置MC2が坑口側となるように配置することも可能である。
【0032】
尚、傾斜コンベヤMC4からの落下排出するタイミングは、切羽から搬送されてくるベルトコンベヤBCのベルトBC1上の破砕石・小石等の積載量を観察しながら、多量であれば落下排出をさせず(傾斜コンベヤの作動を一時停止して)、積載量が低い時点で傾斜コンベヤMC4を作動して移載するようにする。
【0033】
このように、大きな岩石・破砕石・礫はベルトコンベヤBCに載せて搬送するにはある程度以下の大きさにしないとベルトで搬送することができない。このクラッシャー作業及びベルトコンベヤBCへの投入作業は切羽でのクラッシャー作業車CRと、その切羽から離れたコンベヤ区間の1台又は複数台の中間クラッシャー投入作業車MCとによって2個所で並行的に行えることで、クラッシャー能力及び投入作業が大巾に向上し、ダンプ車・トラック車で積載してトンネル中を運行して処理必要がなくなり、ダンプ車・トラック車の運行量を大巾に減らし、トンネルでの車との接触事故・人身事故を大巾に減らし、排気ガスの排出もなく、しかも搬出能力が高くできるという利点がある。
【0034】
又、走行させる場合又は休止させる場合は中間クラッシャー投入作業車MCの傾斜コンベヤMC4を旋回中心軸MC46まわりに90°旋回の
図10,45°旋回の
図11及び車体MC1の前後方向近くまで旋回させ、傾斜コンベヤMC4を前後に近くなるようにする。これによって、傾斜コンベヤMC4は車体MC1の車巾以内の範囲に収まり、左右に張り出さないようにできる。これによって、中間クラッシャー投入作業車MCは走行しても、他の機材・車両に接触すること少なく走行できる。又、作業休止時においてダンプ車両・トラック車両又は他の作業車がトンネル走行しても中間クラッシャー投入作業車MCとの接触がないようにできる。
【0035】
実施例の傾斜コンベヤMC4に代えて
図15に示す垂直リフトコンベヤMC6を使用することで、中間クラッシャー投入作業車MCのクラッシャー装置MC2から吐出した破砕石等を破砕石搬送コンベヤMC3で前方へ送り、その立上り部MC33のリターン部MC34から落下させ、それをバケットコンベヤを用いた垂直リフトコンベヤMC6の基端部のバケットMC61で収容して上昇させて上方排出部MC62から吐出させる。吐出された破砕石等は破砕石土砂落下ガイドシュートMC63で受けて下方へ誘導され、コンクリート壁TWで支持されているベルトコンベヤBCのベルトBC1上に落下し、その後は同ベルトコンベヤBCによって坑口の方向に搬送されるものである。この垂直リフトコンベヤMC6を用いた中間クラッシャー投入作業車MCを走行させる場合は、破砕石土砂落下ガイドシュートMC63を旋回させて車体MC1の前後方向とすることで、垂直リフトコンベヤMC6も車体MC1の車内に収めるようにできる。本発明は、実施例の傾斜コンベヤMC4又は垂直リフトコンベヤMC6と旋回できる破砕石土砂落下ガイドシュートの構造のものいずれも含むものである。