(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸体の外周に設けられている環状溝に装着されることで、前記軸体とハウジングとの間の隙間を封止すると共に、一方の合口端部と他方の合口端部の間に合口隙間を有する樹脂製のシールリングであって、
前記一方の合口端部と前記他方の合口端部には、これらが互いに当接した状態で前記樹脂製のシールリングが縮径された状態を一時的に保持する一時保持部が設けられている、
ことを特徴とする樹脂製のシールリング。
軸孔を有するハウジングと、前記軸孔に挿入される軸体と、一方の合口端部と他方の合口端部の間に合口隙間を有する樹脂製のシールリングとを備え、前記軸体の外周に設けられている環状溝に前記樹脂製のシールリングが配置されている密封装置の組み立て方法であって、
前記樹脂製のシールリングは一時保持部を備えていて、この一時保持部は、前記一方の合口端部と前記他方の合口端部とが互いに当接した状態で前記樹脂製のシールリングが縮径された状態を一時的に保持するものであり、
前記環状溝に対し、拡径された状態の前記樹脂製のシールリングを装着するシールリング装着工程と、
前記シールリング装着工程後に、前記一時保持部で前記樹脂製のシールリングの縮径状態を一時保持させる一時保持工程と、
前記一時保持工程後に、前記樹脂製のシールリングの縮径状態のまま前記軸孔に前記軸体を挿入する挿入工程と、
を備えることを特徴とする密封装置の組み立て方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係る、樹脂製のシールリング10および密封装置100の組み立て方法について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、樹脂製のシールリング10の軸方向をZ方向とする。また、樹脂製のシールリング10のうち、
図1における上側をZ1側とし、それとは逆の下側をZ2側とする。
【0025】
[1.樹脂製のシールリング10の全体的な構成について]
図1は、樹脂製のシールリング10の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明では、樹脂製のシールリング10は、単にシールリング10と称呼する場合もある。
図1に示すシールリング10は、たとえば所定の樹脂を射出成形することによって製作する。かかる射出成形を行うことで、シールリング10を構成する樹脂としては、たとえば、ポリアミド(PA)、フッ素樹脂およびそのアロイ材や、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)に代表されるスーパーエンジニアリングプラスチックが使用できるが、さらに耐熱性の高いポリベンゾイミダゾール(PBI)も好ましく使用できる。
【0026】
図1に示すシールリング10は、環状のリング状部20を備えていて、そのリング状部20の周方向における一方の端部側には、第1合口端部30が設けられている。また、リング状部20の周方向における他方の端部側には、第2合口端部40が設けられている。なお、第1合口端部30は一方の合口端部に対応し、第2合口端部40は他方の合口端部に対応する。しかしながら、第1合口端部30が他方の合口端部に対応し、第2合口端部40が一方の合口端部に対応するものとしても良い。
【0027】
なお、第1合口端部30と第2合口端部40の間には、隙間である合口隙間50が設けられている。すなわち、合口隙間50は、リング状部20の周方向における一方の端部側である第1合口端部30と、リング状部20の周方向における他方の端部側である第2合口端部40の間に存在している。しかしながら、後述する凹部と凸部が接触することで、合口隙間50がほとんど存在しない状態であっても良い。
【0028】
図2は、
図1に示すシールリング10の合口隙間50付近の構成を拡大して示す部分的な斜視図である。
図3は、
図1に示すシールリング10の第1合口端部30付近の構成を示す部分的な斜視図である。
図4は、
図1に示すシールリング10の第2合口端部40付近の構成を示す部分的な斜視図である。
【0029】
図1から
図3に示すように、第1合口端部30は、リング状部20の一方の端部側に位置する部分であり、リング状部20よりも径方向の肉厚が薄い薄肉部31を有する部分である。また、
図1、
図2および
図4に示すように、第2合口端部40は、リング状部20の他方の端部側に位置する部分であり、リング状部20よりも径方向の肉厚が薄い薄肉部41を有する部分である。なお、
図2に示すように、薄肉部31は、薄肉部41よりも内径側に位置している。
【0030】
また、第1合口端部30には、凸部32が設けられている。凸部32は、薄肉部31から外径側に突出している部分であり、その凸部32の突出の端面は、リング状部20の外周面と面一となるように設けられている。この凸部32は、リング状部20の他の部分よりも軸方向の厚み方向における肉厚が薄く設けられている。すなわち、リング状部20の周方向における一方の端部側であって、薄肉部31よりも外径側には、切り欠いたように窪んだ形状の切欠部33,34が設けられていて、これら一対の切欠部33,34に挟まれた部位が凸部32となっている。
【0031】
なお、切欠部33は、薄肉部31の外径側で隣接する部位であると共に、厚み方向(Z方向)の一方側(Z1側)から他方側(Z2側)に向かうように凹んでいる部分である。また、切欠部34は、薄肉部31の外径側で隣接する部位であると共に、厚み方向(Z方向)の他方側(Z2側)から一方側(Z1側)に向かうように凹んでいる部分である。
【0032】
また、
図2に示すように、第2合口端部40にも、薄肉部41が設けられている。この薄肉部41は、薄肉部31よりも外径側に設けられている。なお、薄肉部31と薄肉部41とを合計した径方向の肉厚は、概ねリング状部20と等しくなっている。
【0033】
薄肉部41には、凹部42が設けられている。凹部42は、薄肉部41を径方向に貫くように切り欠いた部分である。したがって、薄肉部41には、凹部42を挟み込むように、一対の挟持片部43,44が設けられている。これらのうち、挟持片部43は、凹部42よりも厚み方向(Z方向)における一方側(Z1側)に位置する部分である。また、挟持片部44は、凹部42よりも厚み方向(Z方向)における他方側(Z2側)に位置する部分である。なお、挟持片部43は第1挟持片部に対応し、挟持片部44は第2挟持片部に対応する。
【0034】
このように、第2合口端部40の薄肉部41には、凹部42と、挟持片部43と、挟持片部44とが設けられているので、第2合口端部40の外観は、先割れのフォーク形状に設けられている。
【0035】
ここで、第1合口端部30と、第2合口端部40とは、互いに嵌合する部分である。具体的には、凹部42には、凸部32が挿入され、また薄肉部31の外周面と薄肉部41の内周面とは互いに突き合わされることで、第1合口端部30と第2合口端部40とが嵌合した嵌合状態となる。この嵌合状態では、合口隙間50の隙間は大幅に低減される。しかしながら、後述する軸体の環状溝に、シールリング10を装着する場合には、合口隙間50が広がるようにシールリング10が拡径される。
【0036】
なお、第2合口端部40のうち、薄肉部41の内径側には、切り欠いたように窪んだ形状の切欠部45が設けられている。切欠部45は、薄肉部41の内径側で該薄肉部41に隣接している。
【0037】
[2.シールリング10の具体的構成について]
(1)シールリング10の第1構成例について
以下、シールリング10の具体的構成について説明する。まず、第1構成例に係るシールリング10について説明する。
図5は、第1構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、間隔絞り部61に凸部32が挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図6は、
図5に示す状態から間隔絞り部61に凸部32の先端側が挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0038】
なお、
図5および
図6は、密封装置のハウジングの軸孔に挿入される、軸体100の環状溝110に、樹脂製のシールリング10が装着された状態を示している(以下、
図7〜
図26においても同様)。
【0039】
図5および
図6に示すように、樹脂製のシールリング10の凸部32および凹部42には、一時保持部60が設けられている。一時保持部60は、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持する部分である。具体的には、凹部42の開口42aから最も離間する凹部42の奥側には、凹部42の他の部分よりも厚み方向(Z方向)の寸法が小さい間隔絞り部61が設けられている。
【0040】
ここで、凸部32の厚み方向(Z方向)の寸法をL1、間隔絞り部61以外の凹部42の厚み方向(Z方向)の寸法(挟持片部43と挟持片部44の対向間隔)をL2、間隔絞り部61の厚み方向(Z方向)の寸法(凹部42の奥側の挟持片部43と挟持片部44の対向間隔)をL3とすると、以下の式1が成り立つ。
L2≧L1>L3 …(式1)
【0041】
ただし、凸部32の厚み方向(Z方向)の寸法であるL1は、間隔絞り部61の厚み方向(Z方向)の寸法であるL3よりも、若干大きい程度である。具体的には、
図6に示すように、間隔絞り部61に、凸部32の先端側を差し込み、その状態で樹脂製のシールリング10の縮径状態を一時保持する。しかしながら、密封装置の運転状態では、
図5に示すように、作動油の作用によって、間隔絞り部61が凸部32の先端側が外れるように、上記の寸法L1と寸法L3とが設定されている。
【0042】
なお、凸部32の外面には、樹脂製のシールリング10の周方向に平行な平面部32aが設けられている。また、間隔絞り部61にも、樹脂製のシールリング10の周方向に平行な平面部61aが設けられている。したがって、平面部32aと平面部61aとが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0043】
ここで、上述の式1の関係が成り立つことと、挟持片部43および挟持片部44が有する弾性により、間隔絞り部61に凸部32の先端側を挿入した場合には、
図6に示す状態となる。すなわち、間隔絞り部61以外の凹部42の厚み方向(Z方向)の寸法L2が、凹部42の奥側から開口42a側に向かうにつれて大きくなるように、挟持片部43と挟持片部44の間隔が押し広げられる。このため、凸部32の先端側は、間隔絞り部61に比較的容易に挿入することが可能となっている一方、密封装置の作動状態では、作動油の油圧が作用することで、樹脂製のシールリング10が拡径され、それによって凸部32の先端側は、間隔絞り部61から容易に外れる。
【0044】
(2)シールリング10の第2構成例について
次に、シールリング10の第2構成例について説明する。
図7は、第2構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、間隔絞り部61に凸部32が挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図8は、
図7に示す状態から間隔絞り部に凸部の先端側が挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0045】
第2構成例に係る樹脂製のシールリング10も、第1構成に係る樹脂製のシールリング10の構成と同様に、間隔絞り部61を備えている。しかしながら、第2構成例に係る樹脂製のシールリング10では、間隔絞り部61の入口部分に、テーパガイド面61bが設けられている。テーパガイド面61bは、凸部32の先端側が間隔絞り部61に挿入されるのをガイドする面であり、厚み方向(Z方向)に対して傾斜した面となっている。なお、凸部32の間隔絞り部61の挿入が良好にガイドされる(挿入が突っかからない)のであれば、テーパガイド面61bは、平面状であっても良く、曲面状であっても良い。
【0046】
このため、
図7に示すような凸部32を間隔絞り部61に挿入する前の状態から、
図8に示すような間隔絞り部61に凸部32を挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、凸部32の平面部32aと、間隔絞り部61の平面部61aとが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0047】
なお、第2構成例に係る樹脂製のシールリング10では、テーパガイド面61b以外の構成は、上述した第1構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0048】
(3)シールリング10の第3構成例について
次に、シールリング10の第3構成例について説明する。
図9は、第3構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、間隔絞り部61に凸部32が挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図10は、
図9に示す状態から間隔絞り部61に凸部32の先端側が挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0049】
第3構成例に係る樹脂製のシールリング10も、第1構成例に係る樹脂製のシールリング10の構成と同様に、間隔絞り部61を備えている。しかしながら、第3構成例に係る樹脂製のシールリング10では、凸部32の先端側に、テーパガイド面32bが設けられている。テーパガイド面32bは、凸部32の先端側が間隔絞り部61に挿入されるのをガイドする面であり、厚み方向(Z方向)に対して傾斜した面となっている。なお、凸部32の間隔絞り部61の挿入が良好にガイドされる(挿入が突っかからない)のであれば、テーパガイド面32bは、平面状であっても良く、曲面状であっても良い。
【0050】
このため、
図9に示すような凸部32を間隔絞り部61に挿入する前の状態から、
図10に示すような間隔絞り部61に凸部32を挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、凸部32の平面部32aと、間隔絞り部61の平面部61aとが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0051】
なお、第3構成例に係る樹脂製のシールリング10では、テーパガイド面32b以外の構成は、上述した第1構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0052】
(4)シールリング10の第4構成例について
次に、シールリング10の第4構成例について説明する。
図11は、第4構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、間隔絞り部61に凸部32が挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図12は、
図11に示す状態から間隔絞り部61に凸部32の先端側が挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0053】
第4構成例に係る樹脂製のシールリング10では、間隔絞り部61の形状が、上述した第1〜第3構成例に係る間隔絞り部61とは異なっている。具体的には、間隔絞り部61には、平面部61aに代えて、突起部61cが設けられている。突起部61cは、凹部42の内壁面42bから突出した部分である。
図11および
図12に示す構成では、凹部42の厚み方向(Z方向)の一方側(Z1側)の内壁面42bから突出する突起部61cと、厚み方向(Z方向)の他方側(Z2側)の内壁面42bから突出する突起部61cとは、対向するように設けられている。したがって、間隔絞り部61は、一方の突起部61cと他方の突起部61cとが対向することで、間隔絞り部61の厚み方向(Z方向)の寸法L3が、凸部32の厚み方向(Z方向)の寸法L1よりも小さく設けられている。なお、内壁面42bの周方向において、突起部61cは、次のような位置に設けられている。すなわち、樹脂製のシールリング10の縮径状態では、間隔絞り部61に凸部32の先端側が位置し、突起部61cと平面部32aとが接触している。しかしながら、密封装置の作動状態では、作動油の油圧によって樹脂製のシールリング10が縮径状態から拡径されることで、突起部61cが平面部32aと接触しないような位置に、突起部61cが設けられている。
【0054】
上記のような構成により、
図11に示すような凸部32を間隔絞り部61(一対の突起部61cの間)に挿入する前の状態から、
図12に示すような間隔絞り部61(一対の突起部61cの間)に凸部32を挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、凸部32の平面部32aと、突起部61cとが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0055】
なお、第4構成例に係る樹脂製のシールリング10では、平面部61aに代えて、突起部61cが設けられている点で、第1構成例に係る樹脂製のシールリング10とは異なっているが、それ以外の構成は、上述した第1構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0056】
(5)シールリング10の第5構成例について
次に、シールリング10の第5構成例について説明する。
図13は、第5構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、間隔絞り部61に凸部32が挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図14は、
図13に示す状態から間隔絞り部61に凸部32の先端側が挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0057】
第5構成例に係る樹脂製のシールリング10の間隔絞り部61には、上述した第4構成に係る間隔絞り部61と同様に、内壁面42bから突出する突起部61cが設けられている。
図13および
図14に示す構成では、凹部42のうち、厚み方向(Z方向)の一方側(Z1側)の内壁面42bから突出するように、突起部61cが設けられている。しかしながら、厚み方向(Z方向)の他方側(Z2側)の内壁面42bには、突起部61cは設けられていない。いわば、対向する一対の内壁面42bのうち、一方の(1つの)内壁面42bのみから突出するように、突起部61cが設けられている。
【0058】
ここで、間隔絞り部61と対向する内壁面42bは、平面部となっている。そして、第5構成例においては、間隔絞り部61は、突起部61cと、平面部である内壁面42bとが対向する部分となっていて、その間隔絞り部61の厚み方向(Z方向)の寸法L3が、凸部32の厚み方向(Z方向)の寸法L1よりも小さく設けられている。なお、第5構成例の間隔絞り部61の寸法L3は、第4構成例の間隔絞り部61の寸法L3と同等とすることが好ましい。そのため、
図13および
図14に示すように、突起部61cの突出寸法は、第4構成例における一対の突起部61cの突出寸法を合計したものと等しいことが好ましい。
【0059】
このような構成により、
図13に示すような凸部32を間隔絞り部61(突起部61cと内壁面42b(平面部)の間)に挿入する前の状態から、
図14に示すような間隔絞り部61(突起部61cと内壁面42b(平面部)の間)に凸部32を挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、凸部32の平面部32aと、突起部61cとが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0060】
なお、第5構成例に係る樹脂製のシールリング10では、平面部61aに代えて、突起部61cが設けられている点で、第1構成例に係る樹脂製のシールリング10とは異なっているが、それ以外の構成は、上述した第1構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0061】
(6)シールリング10の第6構成例について
次に、シールリング10の第6構成例について説明する。
図15は、第6構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、寸法拡大部35が凹部42に挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図16は、
図15に示す状態から寸法拡大部35が凹部42に挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0062】
第6構成例に係る樹脂製のシールリング10においては、第1〜第5構成例に係る樹脂製のシールリング10とは異なり、間隔絞り部61が設けられていない。しかしながら、第6構成例に係る樹脂製のシールリング10においては、凸部32の付け根側(
図15および
図16で右側)に、寸法拡大部35が設けられている。寸法拡大部35は、凸部32の他の部分よりも厚み方向(Z方向)の寸法が大きく設けられている部分である。
【0063】
上記の寸法拡大部35の外面には、樹脂製のシールリング10の周方向に平行な平面部35aが設けられている。この平面部35aは、寸法拡大部35が凹部42に挿入された際に、凹部42の内壁面42b(平面部)に接触する部分である。また、樹脂製のシールリング10の周方向に沿う凸部32の中心線(図示省略)に対して、平面部35aは、平面部32aよりも離れる位置に設けられている。
【0064】
ここで、寸法拡大部35の厚み方向(Z方向)の寸法をL4とすると、上述した凸部32の厚み方向(Z方向)の寸法L1、および凹部42の厚み方向(Z方向)の寸法L2との間には、以下の式2が成り立つ。
L4>L2≧L1 …(式2)
【0065】
ただし、寸法拡大部35の厚み方向(Z方向)の寸法L4は、凹部42の厚み方向(Z方向)の寸法L2よりも、若干大きい程度である。具体的には、
図16に示すように、凹部42に寸法拡大部35を差し込むことで、樹脂製のシールリング10の縮径状態を一時保持する。しかしながら、密封装置の運転状態では、
図15に示すように、作動油の作用によって、寸法拡大部35が凹部42から抜けるように、上記の寸法L2と寸法L4とが設定されている。
【0066】
このため、
図15に示すような寸法拡大部35を凹部42に挿入する前の状態から、
図16に示すように、凹部42に寸法拡大部35を挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、寸法拡大部35の平面部35aと、内壁面42b(平面部)とが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0067】
なお、第6構成例に係る樹脂製のシールリング10では、間隔絞り部61に代えて、寸法拡大部35が設けられている点で、第1構成例に係る樹脂製のシールリング10とは異なっているが、それ以外の構成は、上述した第1構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0068】
(7)シールリング10の第7構成例について
次に、シールリング10の第7構成例について説明する。
図17は、第7構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、寸法拡大部35が凹部42に挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図18は、
図17に示す状態から寸法拡大部35が凹部42に挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0069】
第7構成例に係る樹脂製のシールリング10も、第6構成に係る樹脂製のシールリング10の構成と同様に、凸部32に寸法拡大部35が設けられている。しかしながら、第7構成例に係る樹脂製のシールリング10では、寸法拡大部35の先端側(寸法拡大部35の付け根とは反対側)には、テーパガイド面32dが設けられている。テーパガイド面32dは、寸法拡大部35が凹部42に挿入されるのをガイドする面であり、厚み方向(Z方向)に対して傾斜した面となっている。なお、寸法拡大部35の凹部42への挿入が良好にガイドされる(挿入が突っかからない)のであれば、テーパガイド面32dは、平面状であっても良く、曲面状であっても良い。
【0070】
このため、
図17に示すような寸法拡大部35を凹部42に挿入する前の状態から、
図18に示すように凹部42に寸法拡大部35を挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、寸法拡大部35の平面部35aと、内壁面42b(平面部)とが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0071】
なお、第7構成例に係る樹脂製のシールリング10では、テーパガイド面32d以外の構成は、上述した第6構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0072】
(8)シールリング10の第8構成例について
次に、シールリング10の第8構成例について説明する。
図19は、第8構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、寸法拡大部35が凹部42に挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図20は、
図19に示す状態から寸法拡大部35が凹部42に挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0073】
第8構成例に係る樹脂製のシールリング10においては、上述の第3構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様に、凸部32の先端側に、テーパガイド面32bが設けられている。このテーパガイド面32bの構成は、上述した第3構成例に係るテーパガイド面32bと同様であるので、その詳細についての説明は省略する。かかるテーパガイド面32bの存在により、凸部32の先端側が凹部42に挿入されるのが良好にガイドされる。
【0074】
そのため、
図19に示すような凸部32を凹部42に挿入する前の状態から、
図20に示すような凹部42に凸部32を挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、寸法拡大部35の平面部35aと、内壁面42b(平面部)とが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0075】
なお、第8構成例に係る樹脂製のシールリング10では、テーパガイド面32b以外の構成は、上述した第6構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。なお、テーパガイド面32bに加えて、テーパガイド面32dを更に設ける構成を採用しても良い。
【0076】
(9)シールリング10の第9構成例について
次に、シールリング10の第9構成例について説明する。
図21は、第9構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、寸法拡大部35が凹部42に挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図22は、
図21に示す状態から寸法拡大部35が凹部42に挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0077】
第9構成例に係る樹脂製のシールリング10においては、上述の第7構成例および第8構成に係る樹脂製のシールリング10が備える寸法拡大部35とは異なる形状の寸法拡大部35を有している。具体的には、寸法拡大部35には、平面部35aに代えて、突起部35bが設けられている。突起部35bは、凸部32の付け根寄りの部位において、平面部32aから突出した部分である。
【0078】
図21および
図22に示す構成では、凸部32の厚み方向(Z方向)の一方側(Z1側)の平面部32aから突出する突起部35bと、凸部32の厚み方向(Z方向)の他方側(Z2側)の平面部32aから突出する突起部35bとを有していて、これら一対の突起部35bが厚み方向(Z方向)の同一直線上に配置されている。このように、寸法拡大部35は、一対の突起部35bの厚み方向(Z方向)の同一直線上に配置されることで、寸法拡大部35の厚み方向(Z方向)の寸法L4は、凹部42の厚み方向(Z方向)の寸法L2よりも大きく設けられている。
【0079】
なお、第6構成例に係る寸法拡大部35と対比すると、第9構成例に係る突起部35bは、第6構成例に係る寸法拡大部35の平面部35aのうち、凹部42の入り込む先端側に概ね対応する部分に設けられている。すなわち、突起部35bは、凸部32の最も付け根側の部位ではなく、凸部32の長手方向の中央よりも付け根寄りではあるが、最も付け根側の部位から若干離れた部位に設けられている。ここで、凸部32における突起部35bの位置は、樹脂製のシールリング10の縮径状態では、突起部35bが凹部42の内壁面42bと接触する位置である。加えて、凸部32における突起部35bの位置は、密封装置の作動状態では、作動油の油圧によって樹脂製のシールリング10が縮径状態から拡径されることで、突起部35bが内壁面42bと接触しないような位置となっている。
【0080】
上記のような構成により、
図21に示すような寸法拡大部35を凹部42に挿入する前の状態から、
図22に示すような寸法拡大部35を凹部42に挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、突起部35bと内壁面42b(平面部)とが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0081】
なお、第9構成例に係る樹脂製のシールリング10では、平面部35aに代えて、突起部35bが設けられている点で、第6構成例に係る樹脂製のシールリング10とは異なっているが、それ以外の構成は、上述した第6構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0082】
(10)シールリング10の第10構成例について
次に、シールリング10の第10構成例について説明する。
図23は、第10構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、寸法拡大部35が凹部42に挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図24は、
図23に示す状態から寸法拡大部35が凹部42に挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0083】
第10構成例に係る樹脂製のシールリング10の寸法拡大部35には、上述した第9構成に係る寸法拡大部35と同様に、凸部32の平面部32aから突出する突起部35bが設けられている。
図23および
図24に示す構成では、凸部32のうち、厚み方向(Z方向)の一方側(Z1側)の平面部32aから突出するように、突起部35bが設けられている。しかしながら、凸部32のうち、厚み方向(Z方向)の他方側(Z2側)の平面部32a側には、突起部35bは設けられていない。いわば、対向する一対の平面部32aのうち、一方の(1つの)平面部32aのみから突出するように、突起部35bが設けられている。
【0084】
ここで、寸法拡大部35(突起部35b)と対向する内壁面42bは、平面部となっている。そして、第10構成例においては、寸法拡大部35は、突起部35bと、厚み方向(Z方向)の他方側(Z2側)の平面部32aとが対向する部分となっていて、その寸法拡大部35の厚み方向(Z方向)の寸法L4は、凹部42の厚み方向(Z方向)の寸法L2よりも大きく設けられている。なお、第10構成例の寸法拡大部35の寸法L4は、第9構成例の寸法拡大部35の寸法L4と同等とすることが好ましい。そのため、
図23および
図24に示すように、突起部35bの突出寸法は、第9構成例における一対の突起部35bの突出寸法を合計したものと等しいことが好ましい。
【0085】
このような構成により、
図23に示すような寸法拡大部35を凹部42に挿入する前の状態から、
図24に示すような寸法拡大部35を凹部42に挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。なお、一時保持状態では、突起部35bと内壁面42b(平面部)とが摩擦接触することで、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している。
【0086】
なお、第10構成例に係る樹脂製のシールリング10では、平面部35aに代えて、突起部35bが設けられている点で、第6構成例に係る樹脂製のシールリング10とは異なっているが、それ以外の構成は、上述した第6構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0087】
(11)シールリング10の第11構成例について
次に、シールリング10の第11構成例について説明する。
図25は、第11構成例に係るシールリング10の凸部32および凹部42付近を周方向に沿って切断した状態を示す断面図であり、間隔絞り部61に凸部32が挿入される前の状態または樹脂製のシールリング10の縮径された状態が解除された状態(運転状態)を示す図である。
図26は、
図25に示す状態から間隔絞り部61に凸部32の先端側が挿入されて、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持している状態を示す図である。
【0088】
第11構成例に係る樹脂製のシールリング10も、第1構成に係る樹脂製のシールリング10の構成と同様に、間隔絞り部61を備えている。しかしながら、第11構成例に係る樹脂製のシールリング10では、間隔絞り部61よりも開口42a側の凹部42の内壁面は、傾斜した傾斜内壁面42cとなっている。この傾斜内壁面42cは、凸部32が間隔絞り部61に挿入されるのをガイドする面であり、厚み方向(Z方向)に対して傾斜した面となっている。具体的には、対向する傾斜内壁面42cの間の寸法は、開口42aに向かうにつれて徐々に拡大するように、傾斜内壁面42cが形成されている。なお、傾斜内壁面42cは、直線状に傾斜する内壁面であるが、若干、曲面状に設けられていても良い。
【0089】
また、凸部32には、上述した傾斜内壁面42cに対応するテーパ拡大部36が設けられている。テーパ拡大部36は、上述した傾斜内壁面42cと当接するテーパ壁面36aを有している。したがって、テーパ壁面36aは、上述した傾斜内壁面42cと同程度に傾斜している。
【0090】
このため、
図25に示すような凸部32を間隔絞り部61に挿入する前の状態から、
図26に示すような間隔絞り部61に凸部32を挿入して、樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時保持する一時保持状態を、容易に実現することができる。また、傾斜内壁面42cとテーパ壁面36aとが当接することで、第1合口端部30および第2合口端部40とが、軸方向(Z方向)に互いに位置ずれするのを防止することができる。
【0091】
なお、第11構成例に係る樹脂製のシールリング10では、テーパ壁面36a、テーパ拡大部36および傾斜内壁面42c以外の構成は、上述した第1構成例に係る樹脂製のシールリング10と同様であるので、その説明は省略する。
【0092】
[3.密封装置の組み立て方法について]
次に、上述した樹脂製のシールリング10を軸体100に装着して、図示を省略する密封装置を組み立てる密封装置の組み立て方法について、如何に説明する。密封装置を組み立てる場合、軸体100の環状溝110に対し、拡径された状態の樹脂製のシールリング10を装着する(シールリング装着工程)。
【0093】
その装着後に、凸部32を凹部42の内部に押し込むようにし、樹脂製のシールリング10の一時保持部60で、樹脂製のシールリング10のシールリングを一時保持させる(一時保持工程)。すると、樹脂製のシールリング10が縮径されて、環状溝110から樹脂製のシールリング10が飛び出さない状態となる。その縮径後に、樹脂製のシールリング10が縮径状態となったまま、軸体100をハウジングの軸孔に挿入する(挿入工程)。
【0094】
なお、上述の各工程およびその後の種々の工程を経て、密封装置を運転させると、密封装置の作動油の油圧により、すなわち、凸部32が凹部42の抜け方向に移動することで、樹脂製のシールリング10の縮径状態は解除される。それにより、樹脂製のシールリング10は、所望のシール性を発揮することができる。
【0095】
[4.効果について]
以上のような樹脂製のシールリング10は、軸体100の外周に設けられている環状溝110に装着されることで、軸体100とハウジング(図示省略)との間の隙間を封止すると共に、第1合口端部30(一方の合口端部)と第2合口端部40(他方の合口端部)の間に合口隙間50を有する。この樹脂製のシールリング10においては、第1合口端部30(一方の合口端部)と第2合口端部40(他方の合口端部)には、これらが互いに当接した状態で樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持する一時保持部60が設けられている。
【0096】
ここで、樹脂製のシールリング10を環状溝110に装着する際には、樹脂製のシールリング10を拡径するが、その際に、樹脂製のシールリング10の一部に塑性変形する部位が形成される場合がある。そのような組成変形が生じた場合には、樹脂製のシールリング10の自由状態の外径(組み付け後に樹脂製のシールリング10に外力が加えられていない状態の外径)は、樹脂製のシールリング10の使用状態の外径よりも大きくなってしまう虞がある。
【0097】
しかしながら、本実施の形態では、樹脂製のシールリング10には、一時保持部60が設けられているので、樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持できる。このため、樹脂製のシールリング10が、環状溝110から飛び出すように大きくなるのを防ぐことができる。それにより、ハウジングの軸孔に、樹脂製のシールリング10が環状溝110に装着された軸体100を挿入する際に、樹脂製のシールリング10が軸孔の開口端部と干渉する等して、樹脂製のシールリング10の折損や傷等の損傷が生じるのを防止可能となる。このように、樹脂製のシールリング10に損傷が生じるのを防止できるので、樹脂製のシールリング10のシール性能低下等による密封装置の機能不全を引き起こすのを防止可能となる。
【0098】
また、本実施の形態の樹脂製のシールリング10においては、第1合口端部30(一方の合口端部)には、樹脂製のシールリング10の周方向の一方側に突出する凸部32が設けられている。また、第2合口端部40(他方の合口端部)には、凸部32が挿入される凹部42が設けられている。そして、凸部32と凹部42とは、凸部32への凹部42の挿入状態において、凸部32の外面の少なくとも一部が凹部42の内面と接触することで樹脂製のシールリング10の縮径を一時的に保持するように構成されている。
【0099】
このように構成する場合、凸部32と凹部42との嵌合状態を実現し、その嵌合状態における凸部32と凹部42との接触における摩擦を利用して、一時保持部60が設けられているので、樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持することができる。
【0100】
また、本実施の形態では、第2合口端部40(他方の合口端部)には、樹脂製のシールリング10の厚み方向(Z方向)の一方側(Z1側)に存在する挟持片部43(第1挟持片部)と、厚み方向(Z方向)の他方側(Z2側)に存在する挟持片部44(第2挟持片部)とが設けられていて、凹部42は、挟持片部43(第1挟持片部)と挟持片部44(第2挟持片部)の間に設けられている。
【0101】
このように構成する場合には、挟持片部43(第1挟持片部)と挟持片部44(第2挟持片部)の間の、凹部42に凸部32を挿入することができる。そのため、挟持片部43(第1挟持片部)と挟持片部44(第2挟持片部)の弾性を利用して、凸部32が凹部42に挿入された樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持することができる。
【0102】
また、本実施の形態では、凸部32と凹部42のうち少なくとも一方には、樹脂製のシールリング10の周方向に平行な平面部(平面部32a、平面部35a、内壁面42b、平面部61a)が設けられている。そして、平面部(平面部32a、平面部35a、内壁面42b、平面部61a)は、凸部32と凹部42の接触の相手方に対して、摩擦接触している。このため、凹部42と凸部32との間の引っ掛かりがない状態で、凹部42から凸部32がスムーズに抜ける構成とすることができる。
【0103】
また、本実施の形態では、
図5から
図14に示すように、凹部42には間隔絞り部61を設けることができ、その間隔絞り部61は、凸部32の他の部位よりも間隔L3が狭く設けられている部分である。さらに、間隔絞り部61は、凸部32を挟み込む状態で凸部32に摩擦接触している。
【0104】
このように構成する場合には、間隔絞り部61で凸部32を挟み込むことができる。そのため、間隔絞り部61と凸部32の外面との間の摩擦接触を利用して、凸部32が凹部42に挿入された樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、
図5から
図10に示すように、間隔絞り部61には、樹脂製のシールリング10の周方向に平行な平面部61aを設けることができる。このように構成する場合には、平面部61aが凸部32を押圧する。そのため、平面部61aと凸部32の外面との間の摩擦接触を利用して、凸部32が凹部42に挿入された樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持することができる。また、平面部61aと凸部32との間では、引っ掛かりがない状態とすることができるので、凹部42から凸部32がスムーズに抜ける構成とすることができる。
【0106】
また、本実施の形態では、
図11から
図14に示すように、間隔絞り部61には、凹部42の内壁面42bから突出する突起部61cを設ける構成とすることができる。このように構成する場合には、突起部61cが凸部32を押圧する。そのため、突起部61cと凸部32の外面との間の摩擦接触を利用して、凸部32が凹部42に挿入された樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、
図15から
図24に示すように、凸部32には寸法拡大部35を設けることができ、寸法拡大部35は、凸部32の他の部位よりも凹部42の内壁面に向かう方向の寸法L4が大きく設けられている部分であり、この寸法拡大部35は、凹部42の内壁面42bに摩擦接触している。このように構成する場合には、寸法拡大部35が凹部42に挿入されると、凹部42の内壁面42bが寸法拡大部35を押圧する。そのため、寸法拡大部35と内壁面42bの間の摩擦接触を利用して、凸部32が凹部42に挿入された樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持することができる。
【0108】
また、本実施の形態では、
図15から
図20に示すように、寸法拡大部35には、樹脂製のシールリング10の周方向に平行な平面部35aを設けることができる。このように構成する場合には、平面部35aは凹部42の内壁面42bによって押圧される。そのため、平面部35aと内壁面42bの間の摩擦接触を利用して、凸部32が凹部42に挿入された樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持することができる。また、平面部35aと内壁面42bとの間では、引っ掛かりがない状態とすることができるので、凹部42から凸部32がスムーズに抜ける構成とすることができる。
【0109】
また、本実施の形態では、
図21から
図24に示すように、寸法拡大部35には、凸部32の外面から突出する突起部35bを設ける構成とすることができる。このように構成する場合には、突起部35bが凹部42の内壁面42bによって押圧される。そのため、突起部35bと内壁面42bの外面との間の摩擦接触を利用して、凸部32が凹部42に挿入された樹脂製のシールリング10の縮径状態を維持することができる。
【0110】
また、本実施の形態では、軸孔を有するハウジングと、環状溝110を備える軸体100と、第1合口端部30(一方の合口端部)と第2合口端部40(他方の合口端部)の間に合口隙間50を有する樹脂製のシールリング10とを備え、軸体100の外周に設けられている環状溝110に樹脂製のシールリング10が配置されている密封装置の組み立て方法を実現することができる。
【0111】
具体的には、樹脂製のシールリング10は一時保持部60を備えていて、この一時保持部60は、第1合口端部30(一方の合口端部)と第2合口端部40(他方の合口端部)とが互いに当接した状態で樹脂製のシールリング10が縮径された状態を一時的に保持するものである。上記の密封装置の組み立て方法は、環状溝110に対し、拡径された状態の樹脂製のシールリング10を装着するシールリング装着工程と、このシールリング装着工程後に、一時保持部60で樹脂製のシールリング10の縮径状態を一時保持させる一時保持工程と、この一時保持工程後に、樹脂製のシールリング10の縮径状態のまま軸孔に軸体100を挿入する挿入工程と、を備える。
【0112】
このような密封装置の組み立て方法によると、樹脂製のシールリング10の一時保持部60で、樹脂製のシールリング10のシールリングを一時保持させることで、環状溝110から樹脂製のシールリング10が飛び出さない状態となる。その縮径後に、樹脂製のシールリング10が縮径状態となったまま、軸体100をハウジングの軸孔に挿入することで、軸孔の開口端部と干渉する等して、樹脂製のシールリング10の折損や傷等の損傷が生じるのを防止可能となる。このように、樹脂製のシールリング10に損傷が生じるのを防止できるので、樹脂製のシールリング10のシール性能低下等による密封装置の機能不全を引き起こすのを防止可能となる。
【0113】
[5.変形例]
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0114】
上述の実施の形態では、第2合口端部40(他方の合口端部)には、樹脂製のシールリング10の厚み方向(Z方向)の一方側(Z1側)に存在する挟持片部43(第1挟持片部)と、厚み方向(Z方向)の他方側(Z2側)に存在する挟持片部44(第2挟持片部)とが設けられた構成について説明している。また、上述の実施の形態では、第1合口端部30(一方の合口端部)には、薄肉部31の厚み方向(Z方向)の中途の部位に凸部32が設けられた構成について説明している。しかしながら、本発明は、このような形態には限られない。たとえば、樹脂製のシールリング10の厚み方向(Z方向)ではなく、樹脂製のシールリング10の径方向の一方側に第1合口端部(一方の挟持片部)を設け、また径方向の他方側に第2合口端部(他方の挟持片部)を設けるようにしても良い。このとき、凸部は、径方向において対向している第1合口端部(一方の挟持片部)と第2合口端部(他方の挟持片部)の間に位置するようにしても良い。すなわち、
図1および
図2に示す第1合口端部30および第2合口端部40を90度回転させて、凸部と凹部とが樹脂製のシールリングの上面側(Z1側)に位置する構成を採用しても良く、それとは逆に凸部と凹部とが樹脂製のシールリングの下面側(Z2側)に位置する構成を採用しても良い。
【0115】
このように構成しても、樹脂製のシールリングの縮径状態を、第1合口端部(一方の挟持片部)と第2合口端部(他方の挟持片部)の間に、上述の実施の形態において説明したのと同様の一時保持部を設けることにより、樹脂製のシールリング10の縮径状態を一時的に保持することが可能となる。
【0116】
また、上述の実施の形態では、第5構成例に係る樹脂製のシールリング10および第10構成例に係る樹脂製のシールリング10を除いて(すなわち、第1〜第4構成例、第6〜第9構成例および第1構成例)、樹脂製のシールリング10は、厚み方向(Z方向)に直交する周方向を挟んで、対称となる形状に設けられている。しかしながら、第1〜第4構成例、第6〜第9構成例および第1構成例に係る樹脂製のシールリング10は、周方向を挟んで、対称に設けられなくても良い。
【0117】
たとえば、第1〜第3構成例、第2構成例では、平面部61aの周方向における長さが上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良く、凹部42の内壁面42bからの平面部61aの突出高さが上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良い。また、第4構成例では、突起部61cの周方向における位置が上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良く、凹部42の内壁面42bからの突起部61cの突出高さが上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良い。また、第6〜第8構成では、平面部35aの周方向における長さが上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良く、平面部32aからの平面部35aの突出高さが上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良い。
【0118】
また、第9構成例では、突起部35bの周方向における位置が上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良く、凸部32の平面部32aからの突起部35bの突出高さが上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良い。また、第11構成例では、傾斜内壁面42cおよびテーパ壁面36aの傾斜角度が、上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良い。また、第11構成例では、平面部61aと傾斜内壁面42cの境界位置および平面部32aとテーパ壁面36aの境界位置が、上面側(Z1側)と下面側(Z2側)とで異なっていても良い。なお、第11構成例においては、傾斜内壁面42cおよびテーパ壁面36aが、上面側(Z1側)と下面側(Z2側)のいずれかのみに存在する構成を採用しても良い。