(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下部カバー部の前下端縁が側面視で前上がりの傾斜形状に形成され、かつ、前記境界部の前部が側面視で前下がりの傾斜形状に形成されることにより、前記下部カバー部の前端部が側面視で先細る形状に形成され、
前記下部カバー部の前下縁部における横壁部と前壁部とが連なる箇所の内側部分に、補強部材が設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の収穫機。
前記下凹入部は、前記下部カバー部の前端縁の下端部から後部側に向けて連なり、上端縁が後上がり姿勢となる状態で後部側ほど幅広に設けられている請求項5に記載の収穫機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、左右方向外方側の表面が前後方向に沿って滑らかに連なり、且つ、外方側への出っ張りが生じない状態で位置保持させるために、複数のカバー体毎に、複雑な構成のロック機構を備えなければならず、支持構造が複雑でコスト高を招く不利があった。
【0005】
そこで、サイドカバーの外方側箇所において未刈作物が引っ掛かって損傷を与えることを回避しながら、サイドカバーの支持構造を簡素にして低コスト化を図ることができるようにすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る収穫機の特徴構成は、
機体前部に位置する刈取部と、前記刈取部にて刈り取られた穀稈を搬送するフィーダとが備えられ、前記フィーダによって搬送された刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、脱穀処理により得られた穀粒を貯留する穀粒貯留装置とが、左右方向に並ぶ状態で備えられ、前記脱穀装置の左右方向外方側の横側部を覆うサイドカバーが備えられ、前記サイドカバーは、上側に位置
し、前記横側部に着脱可能に支持される上部カバー部と、下側に位置する下部カバー部とに分割形成され、且つ、前記上部カバー部と前記下部カバー部との間の境界部において、前記上部カバー部の下端部及び前記下部カバー部の上端部のいずれか一方又は両方に、前記サイドカバーの前端部と後端部とに亘って前記境界部に沿って線状に凹入する線状凹部が形成され、前記線状凹部に、前記サイドカバーを前記横側部に取り付け固定するための固定具が収納され、前記線状凹部における前記固定具が装着される箇所に、前記線状凹部の凹入側底部から左右方向内方側に向けて凹入する凹入部が形成され
、前記上部カバー部の前部が、側面視で前記フィーダの搬送終端部の下方側箇所まで延びて、前記搬送終端部の横側を覆っており、前記上部カバー部の下部は、側面視で前下がりに傾斜した状態で前記搬送終端部の下面よりも下側の高さ位置に位置するように下方まで延ばされ、前記上部カバー部の下部の前記横側部の側の内面に、前側に位置する前係止部及び後側に位置する後係止部が備えられ、かつ、前記上部カバー部が前記横側部に支持されたときに、前記前係止部及び前記後係止部は、前記横側部側の部材に係止され、前記前係止部と前記後係止部とが前記横側部に対して同じ高さ位置となるように、前記上部カバー部の下部に対する前記前係止部の鉛直方向での離間距離は、前記上部カバー部の下部に対する前記後係止部の鉛直方向での離間距離よりも大きく設定され、前記上部カバー部に、前記横側部を覆う横壁部と、前記横壁部の前端部から前記横側部側に延出された前壁部と、前記横壁部の後端部から前記横側部側に延出された後壁部と、が備えられ、前記前係止部は、前記上部カバー部のうちの前記前壁部と前記横壁部とによる前角部の内面から延ばされ、かつ、前記後係止部は、前記上部カバー部のうちの前記後壁部と前記横壁部とによる後角部の内面から延ばされている点にある。
【0007】
本発明によれば、サイドカバーのうち、上下に分割された上部カバー部と下部カバー部との間の境界部において、前後に亘って線状凹部が形成され、この線状凹部に固定具が収納される。その結果、固定具として、例えば、ノブボルト等のように、容易に装着作業や取り外し作業が容易に行えるものでありながら簡素な構成で安価の固定具を用いるようにしても、サイドカバーの外表面から固定具が出っ張ることはなく、未刈作物が引っ掛かるおそれは少ない。
【0008】
従って、サイドカバーの外方側箇所において未刈作物が引っ掛かって損傷を与えることを回避しながら、サイドカバーの支持構造を簡素にして低コスト化を図ることができるようにすることが可能となった。
また、本構成によれば、上部カバー部の前部を取り外すと、フィーダの搬送終端部が開放された状態となり、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0009】
本発明においては、前記線状凹部の凹入側底部における前側の前記固定具と後側の前記固定具との間に位置する部分に、左右方向外方側に向けて突出する突出部が形成され、前記突出部の左右方向内方側に凹入空間が形成され、前記サイドカバーの左右方向内方側に、前記凹入空間に入り込む状態で動力伝達用の伝動機構が備えられていると好適である。
【0010】
本構成によれば、線状凹部の前後途中部に凹入側底部から外方側に突出する突出部が形成されている。そして、この突出部の左右方向内方側に形成された凹入空間を有効に利用して、動力伝達用の伝動機構が入り込む状態で備えられる。
【0011】
その結果、サイドカバーと伝動機構との干渉のおそれを回避させるようにしながら、サイドカバーをできるだけ脱穀装置内方側に寄せて機体全体のコンパクトを図ることができる。
【0012】
本発明においては、前記上部カバー部の外側面と前記下部カバー部の外側面とは、前記横側部からの左右方向での離間距離が略同じであると好適である。
【0013】
本構成によれば、上部カバー部の外表面と下部カバー部の外表面とが左右方向に略同じ位置になるので、例えば、背高の未刈作物がサイドカバーにて摺接案内される場合であっても、茎稈が折れ曲がったりすることなく、真っすぐな立姿勢のまま良好に案内することができる。
【0014】
本発明においては、前記下部カバー部の前下端縁が側面視で前上がりの傾斜形状に形成され、かつ、前記境界部の前部が側面視で前下がりの傾斜形状に形成されることにより、前記下部カバー部の前端部が側面視で先細る形状に形成され、前記下部カバー部の前下縁部における横壁部と前壁部とが連なる箇所の内側部分に、補強部材が設けられていると好適である。
【0015】
本構成によれば、植立している未刈作物が下部カバー部に接触した場合、未刈作物が下部カバー部にて摺動しながら後方に向けて案内される。このとき、下部カバー部の前下端縁が湾曲状に形成されているので、未刈作物を損傷させることなく円滑に摺動案内することができる。
【0016】
本発明においては、前記下部カバー部の後部下部側箇所に左右方向内方側に向けて凹入する下凹入部が形成されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、未刈作物が、下部カバー部により左右方向外方側に向けて倒された状態で案内されることがあっても、下部カバー部の後部側にまで案内されると、未刈作物が下凹入部に沿って左右方向内方側に向けて案内され、立姿勢に戻すことができる。
【0018】
本発明においては、前記下凹入部は、前記下部カバー部の前端縁の下端部から後部側に向けて連なり、上端縁が後上がり姿勢となる状態で後部側ほど幅広に設けられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、未刈作物は後上がり姿勢の下凹入部によって、滑らかに徐々に立姿勢に戻すように摺接案内することができる。
【0020】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態をコンバインの一例としての普通型コンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0024】
〔全体構成〕
図1,2,3に示すように、普通型コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部右側に運転部3が備えられ、刈り取られた作物を脱穀処理する脱穀装置4と、脱穀処理により得られた穀粒を貯留する穀粒貯留装置としての穀粒貯留部5とが備えられている。穀粒貯留部5は運転部3の後側に位置する状態で備えられ、穀粒貯留部5が機体右側に位置し、脱穀装置4が機体左側に位置する状態で、穀粒貯留部5と脱穀装置4とが機体横幅方向に沿って並んで機体フレーム6に載置支持されている。運転部3の下方にエンジン7が備えられている。運転部3には、運転座席8の上方を覆うキャノピー9が備えられている。
【0025】
この実施形態では、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、
図1及び
図2に符号(F)で示す方向が機体前側、
図1及び
図2に符号(B)で示す方向が機体後側である。
図2に符号(L)で示す方向が機体左側、
図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。
【0026】
脱穀装置4の前部に横向き軸芯X周りに上下揺動自在に刈取穀稈を後方に搬送するフィーダ10が連結され、このフィーダ10の前端に略機体横幅に相当する刈幅を有する刈取部11が連結されている。刈取部11は、植立穀稈を後方に向けて掻き込む回転リール12、植立穀稈の株元を切断して刈り取るバリカン型の刈刃13、刈取穀稈を機体横幅方向中間側へ横送りするオーガ14等を備えており、刈刃13により刈り取った穀稈をオーガ14によって横送りしてフィーダ10に供給する。
【0027】
〔刈取部への伝動構造〕
図1に示すように、運転部3の下方に備えられたエンジン7の動力がカウンター軸15を通して機体左側端部に伝達される。そして、カウンター軸15に備えられたプーリ15aから動力伝達用の伝動機構としての伝動ベルト16を介して、扱胴中継軸17に備えられたプーリ17aに伝達される。扱胴中継軸17から別の伝動ベルト18を介して揺動軸芯X上に位置する刈取入力軸19に備えられたプーリ19aに伝達される。さらに、フィーダ10に備えられた無端回動チェーン20と従動軸21を介して刈取部11の右側に備えられた刈取伝動部に伝達される。図示はしていないが、刈取伝動部は、動力を、回転リール12、刈刃13、オーガ14の夫々に伝達する。
【0028】
図3に示すように、刈取伝動部のうち回転リール12への伝動機構の右側外方を覆う上側伝動部カバー23と、オーガ14と刈刃13への伝動機構を覆う下側伝動部カバー24とが備えられている。上側伝動部カバー23及び下側伝動部カバー24は、夫々、合成樹脂材にて構成されている。上側伝動部カバー23は、上縁部の複数箇所を図示しない係止部に係止させた状態で、側面を2か所をボルト連結して固定されている。又、下側伝動部カバー24も同様に、側面を2か所をボルト連結して固定されている。
【0029】
図1,14に示すように、上側伝動部カバー23のボルト装着箇所には、ボルトBoの外周側を覆うように円形状に凹入する凹入部25が形成されている。又、側面の下部側には、前部下側箇所から後端部にわたって延びる大型の凹入部60が形成されている。すなわち、側面のうちの鉛直方向に平坦な上部面23Aから斜め方向に徐々に左右方向内方側に入り込む傾斜面23Bが形成され、傾斜面23Bの下側に鉛直方向に平坦な底面23Cが形成されている。傾斜面23Bと底面23Cとによって大型の凹入部60が形成されている。この凹入部60は、側面の前部下側箇所から斜め後上がり状態で延びたのち、それに連なる状態で略水平方向に側面の後端部にまで延びている。上述したように、ボルト装着箇所に凹入部25が形成されているので、ボルトBoの頭部が横外方側に突出することを回避し、未刈作物が引っ掛かるおそれが少ない。
【0030】
図3に示すように、下側伝動部カバー24の側面における中央部に、前後方向に沿って延び且つ上下方向に幅狭の凹入溝24aが形成されている。このように前後方向に細長の凹入溝24aが形成されることにより、強度補強を図っている。
【0031】
〔脱穀装置〕
脱穀装置4は、図示はしないが、内部に扱胴と受網とを有し、フィーダ10より搬送されてくる刈取穀稈の扱き処理を行う扱室が形成されている。又、扱室の下部に、受網から漏下する扱き処理物を、穀粒、枝付き籾等の二番物、及び、排ワラ屑等に選別する選別処理部が備えられている。
【0032】
選別処理部にて選別された穀粒は、図示しない一番物回収スクリューにより脱穀装置4の穀粒貯留部5側の横側外方に排出される。脱穀装置4における穀粒貯留部5側の側壁の横外側方にスクリューコンベアからなる揚穀装置26が備えられている。脱穀装置4の穀粒貯留部5側の横側外方に排出された穀粒は、揚穀装置26により上方に搬送され、穀粒貯留部5内に貯留される。選別処理部にて得られた二番物は脱穀装置4の前側部分に還元され、排ワラ屑等は、脱穀装置4の機体後部側から外方に排出される。
【0033】
穀粒貯留部5は、脱穀処理された穀粒を貯留する貯留空間を有するとともにその貯留空間の下方に穀粒を排出可能な貯留用ホッパー27を備えており、貯留用ホッパー27の下部には穀粒を回収袋により回収するための回収部(図示せず)が備えられている。
【0034】
〔サイドカバー〕
走行機体2の左側には、脱穀装置4の左側の横側部としての左側壁部4Aを覆うサイドカバー30が備えられている。
図1,4に示すように、サイドカバー30は、上側に位置する上部カバー部31と、下側に位置する下部カバー部32とに上下に分割形成されている。更に、上部カバー31は、前部側上部カバー体33(以下、第1カバー体という)と、後部側上部カバー体34(以下、第2カバー体という)とに分割されている。第1カバー体33は、上部カバー部31の前部に対応しており、合成樹脂材にて構成されている。一方、第2カバー体34は、上部カバー部31の後部に対応しており、板金材にて構成されている。
【0035】
下部カバー部32は、前部側下部カバー体35(以下、第3カバー体という)と、後部側下部カバー体36(以下、第4カバー体という)に、前後に分割されている。第3カバー体35及び第4カバー体36は夫々、合成樹脂材にて構成されている。
【0036】
図5に示すように、上部カバー部31の外側面と下部カバー部32の外側面とは、脱穀装置4の左側壁部4Aからの左右方向での離間距離が略同じである。従って、上部カバー部31の外表面と下部カバー部32の外表面とが左右方向に略同じ位置になるので、サイドカバー30の外表面が上下方向に沿って滑らかに連なる縦向き面を形成している。これにより、未刈作物を、茎稈が折れ曲がることなく立姿勢のまま無理なく案内することができる。
【0037】
上部カバー部31と下部カバー部32との間の境界部Kにおいて、前端部から後端部に至るまでの前後にわたって、境界部Kに沿って左右方向内方側に向けて線状に凹入する線状凹部Qが形成されている。
【0038】
上部カバー部31と下部カバー部32との間の境界部Kのうち前部、すなわち、第1カバー体33と第3カバー体35の間の境界部Kが側面視で前下がり傾斜姿勢に形成されている。そして、第1カバー体33が、側面視でフィーダ10の搬送終端部の下方側箇所まで延びる状態で、フィーダ10の搬送終端部の横側を覆っている。第2カバー体34は、脱穀装置4の扱室の横側外方側を覆っている。
【0039】
上部カバー部31と下部カバー部32との間の境界部Kにおいて、下部カバー部32の上端部に、前後に亘って境界部Kに沿って線状に凹入する線状凹部Qが形成されている。そして、その線状凹部Qに、サイドカバー30を脱穀装置4の左側壁部4Aに取り付け固定するための固定具としてのノブボルト37が収納されている。
【0040】
以下、各カバー体33,34,35,36の構成について説明する。
【0041】
〔第1カバー体〕
図1,4,6,7に示すように、第1カバー体33は、フィーダ10の搬送終端部の左側外方側を覆う横壁部33Aと、横壁部33Aに連なる状態で横向き姿勢にて延び、脱穀装置4の左側壁部4Aの上側前方を覆う前壁部33Bと
、後壁部33Eとを備えている。横壁部33Aと前壁部33Bとが連なる箇所の内側には複数の補強リブ33Cが備えられている。第1カバー体33は、横壁部33Aの下端縁は、前端部が最も下方に位置し且つ後方側へ向かうほど上方に位置する後上がり傾斜姿勢に形成されている。
【0042】
第1カバー体33は、内側下部の前後両側箇所に係止部33Dが備えられ、前後両側の係止部33Dを脱穀フレーム38に支持される固定側係止具39に上方側から入り込み係合して支持されている。又、第1カバー体33の上部後側箇所が、ノブボルト40によって脱穀フレーム38に支持される固定側ブラケット41に固定されている。ノブボルト40を取り外して、係止部33Dと固定側係止具39との係合を解除することで容易に取り外すことができる。又、その逆の手順で容易に装着することもできる。第1カバー体33のノブボルト40が装着される箇所は、機体内方側に向けて凹入する凹入部42が形成され、ノブボルト40が横側外方に大きく出っ張ることがないようにしている。
【0043】
〔第2カバー体〕
図1,4,12,13に示すように、第2カバー体34の外側面は、正面視で上部から下端まで真っすぐに伸びる平坦面に形成されている。第2カバー体34は、扱室の内部の点検や清掃等のメンテナンス作業を行うために、上部側の前後向き軸芯周りで揺動開閉可能に脱穀フレーム38に支持されている。第2カバー体34には、閉じ位置に向けて移動させるに伴って自動的に脱穀装置本体側に設けられた被係止部材に係合する周知構造の弾性係合式のロック機構43が備えられている。
【0044】
ロック機構43は、第2カバー体34の外側面から外方側へ出っ張ることがなく、しかも、外方側から手動操作によってロックを解除することができる。ロックを解除すると、そのまま第2カバー体34を揺動開放させることができる。
【0045】
〔第3カバー体〕
図1,4に示すように、第3カバー体35は選別処理部の前部側箇所及び脱穀装置4の前部側の空間の一部の横側外方側を覆っている。第3カバー体35は、第1カバー体33の下方側並びに第2カバー体34の前部側の下方側に沿って延びる状態で備えられている。
図6,7に示すように、第3カバー体35は、脱穀装置4の左側壁部4Aのうちの前側下部の左側外方側を覆う横壁部61と、横壁部61に連なる状態で横向き姿勢にて延び、脱穀装置4の左側壁部4Aの下側前方を覆う前壁部62とを備えている。横壁部61と前壁部62とが連なる箇所の内側には複数の補強70が備えられている。
【0046】
第3カバー体35の横壁部61の上端縁は、前端部が最も下方に位置し且つ後方側へ向かうほど上方に位置する後上がり傾斜姿勢に形成されている。そして、上部カバー部31と下部カバー部32との間の境界部Kに対応する横壁部61の上端部には、前端部から後端部にわたって、境界部Kに沿って左右方向内方側に向けて線状に凹入する前部側の線状凹部Q1が形成されている。
【0047】
図9に示すように、第3カバー体35は、内側下部の後側箇所に係止部35Dが備えられ、係止部71を脱穀装置4側に備えられる固定側係止具44に上方側から入り込み係合して支持されている。又、第3カバー体35の上部の前後に離間した2箇所が、ノブボルト37によって脱穀装置4側に備えられる固定側ブラケット45に固定されている。ノブボルト37を取り外して、係止部71と固定側係止具44との係合を解除することで容易に取り外すことができる。又、その逆の手順で容易に装着することもできる。
【0048】
第3カバー体35のノブボルト37が装着される箇所は、機体内方側に向けて凹入する線状凹部Q1が形成されている箇所である。さらに、ノブボルト37が装着される箇所には、線状凹部Q1の底面部から階段状に内方側に向けて円形状の凹入する凹入部46が形成されている。このようにして、ノブボルト37が第3カバー体35の外表面から横側外方に出っ張ることがないようにしている。
【0049】
図8に示すように、第3カバー体35に形成される線状凹部Q1の凹入側底部における前後途中部に、左右方向外方側に向けて突出する突出部47が形成されている。この突出部47の左右方向内方側に凹入空間48が形成されている。第3カバー体35の左右方向内方側に、凹入空間48に入り込む状態で、カウンター軸15から刈取入力軸19に動力を伝達する伝動ベルト16が備えられている。
【0050】
このように構成することで、第3カバー体35をできるだけ脱穀装置4に近づけた状態で配備させるようにしながら、伝動ベルト16との干渉を回避させることができる。
【0051】
第3カバー体35の前下端縁35Eが側面視で湾曲状に形成されている。この箇所は、植立している未刈作物がサイドカバー30のうちで最初に接触する場所であり、前下端縁35Eが湾曲状に形成されることにより、引っ掛かることなく円滑に案内することができる。
【0052】
〔第4カバー体〕
図1,4に示すように、第4カバー体36は、選別処理部の後部側箇所の横側外方側を覆っている。第4カバー体36は、第3カバー体35の後方側並びに第2カバー体34の後部側の下方側に沿って延びる状態で備えられている。
図10,11に示すように、第4カバー体36は、脱穀装置4の左側壁部4Aのうちの後側下部の左側外方側を覆う横壁部63と、横壁部63に連なる状態で横向き姿勢にて延び、脱穀装置4の左側壁部4Aの下側後方を覆う後壁部64とを備えている。横壁部63と後壁部64とが連なる箇所の内側には複数の補強リブ72が備えられている。
【0053】
第4カバー体36の横壁部63の上端縁は、前後に亘って略直線状に延び、且つ、後方側へ向かうほど少しずつ上方に位置する緩やかな後上がり傾斜姿勢に形成されている。そして、上部カバー部31と下部カバー部32との間の境界部Kに対応する横壁部63の上端部には、前端部から後端部にわたって、境界部Kに沿って左右方向内方側に向けて線状に凹入する後部側の線状凹部Q2が形成されている。前部側の線状凹部Q1と後部側の線状凹部Q2とにより、前後にわたる線状凹部Qが形成されている。
【0054】
図11に示すように、第4カバー体36は、内側下部の前後両側に係止部73が備えられ、係止部73を脱穀装置4側に備えられる固定側係止具49に上方側から入り込み係合して支持されている。又、第4カバー体36の上部の前後に離間した2箇所が、ノブボルト37によって脱穀フレーム38に備えられる固定側ブラケット50に固定されている。ノブボルト37を取り外して、係止部73と固定側係止具49との係合を解除することで容易に取り外すことができる。又、その逆の手順で容易に装着することもできる。
【0055】
第4カバー体36のノブボルト37が装着される箇所は、機体内方側に向けて凹入する線状凹部Q2が形成されている箇所である。さらに、ノブボルト37が装着される箇所には、線状凹部Q1の底面部から階段状に左右方向内方側に向けて凹入する円形状の凹入部51が形成されている。このようにして、ノブボルト37が第3カバー体35の外表面から横側外方に出っ張ることがないようにしている。
【0056】
図1,4,8,10に示すように、第3カバー体35と第4カバー体36には、前後方向に沿って一連に連なる状態で、左右方向内方側に向けて凹入する凹入部52が形成されている。凹入部52は、第3カバー体35の後部下部側箇所に形成された第1凹入部52Aと、それに連なる状態で第4カバー体36に下部側に形成された第2凹入部52Bとからなる。
【0057】
説明を加えると、第3カバー体35には、上側伝動部カバー23と同様に、横壁部61のうちの鉛直方向に平坦な上部面35Aから斜め方向に徐々に左右方向内方側に入り込む傾斜面35Bが形成され、傾斜面35Bの下側に鉛直方向に平坦な底面35Cが形成されている。傾斜面35Bと底面35Cとによって第1凹入部52Aが形成されている。
【0058】
又、第4カバー体36には、横壁部63のうちの鉛直方向に平坦な上部面36Aから斜め方向に徐々に左右方向内方側に入り込む傾斜面36Bが形成され、傾斜面36Bの下側に鉛直方向に平坦な底面36Cが形成されている。傾斜面36Bと底面36Cとによって第2凹入部52Bが形成されている。
【0059】
凹入部52は、第3カバー体35の前端縁の下端部から第4カバー体36の後端部に向けて連なり、上端縁が後上がり姿勢となる状態で後部側ほど幅広に設けられている。凹入部52は後上がり傾斜姿勢で形成されており、植立している未刈作物が無理なく立姿勢に戻るように円滑に案内することができる。
【0060】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、下部カバー部32の上端部に線状凹部Qが形成される構成としたが、このような構成に代えて、上部カバー部31の下端部に線状凹部Qが形成される構成としてもよく、又、下部カバー部32の上端部及び上部カバー部31の下端部の夫々に線状凹部Qが形成される構成としてもよい。
【0061】
(2)上記実施形態では、サイドカバー30において、線状凹部Qの前後途中部に突出部47が形成され、突出部47の内方側に形成された凹入空間48に伝動ベルト16が備えられる構成としたが、この構成に代えて、伝動機構として伝動ベルト16に代えて、伝動チェーンや伝動軸を備える構成としてもよく、又、このような凹入空間48を形成せずに、伝動機構を回避させる状態で配設してもよい。
【0062】
(3)上記実施形態では、上部カバー部31の外側面と下部カバー部32の外側面とが、脱穀装置4の左側壁部4Aからの左右方向での離間距離が略同じである構成としたが、この構成に代えて、上部カバー部31の外側面と下部カバー部32の外側面との左側壁部4Aからの左右方向での離間距離が互いに異なる構成としてもよい。
【0063】
(4)上記実施形態では、下部カバー部32に凹入部52が形成され、その凹入部52が、下部カバー部32の前端縁の下端部から後部側に向けて連なり、上端縁が後上がり姿勢となる状態で後部側ほど幅広に設けられる構成としたが、この構成に代えて、凹入部52が、前後方向に略同じ高さで形成されるものでもよく、このような凹入部52を形成しない構成としてもよい。
【0064】
(5)上記実施形態では、境界部Kの前部が側面視で前下がり傾斜姿勢に形成される構成としたが、このような構成に代えて、境界部Kが前後方向の全域に亘って直線状に延びる構成としてもよい。
【0065】
(6)上記実施形態では、下部カバー部32の前下端縁、すなわち、第3カバー体35の前下端縁35Eが、側面視で湾曲状に形成される構成としたが、このような構成に代えて、下部カバー部32の前下端縁が直線状に延びる構成でもよい。
【課題】サイドカバーの外方側箇所において未刈作物が引っ掛かって損傷を与えることを回避しながら、サイドカバーの支持構造を簡素にして低コスト化を図ることができるようにすることが望まれていた。
【解決手段】脱穀装置4と穀粒貯留装置5とが左右方向に並ぶ状態で備えられ、脱穀装置4の左右方向外方側の横側部を覆うサイドカバー30が備えられ、サイドカバー30は、上側に位置する上部カバー部31と、下側に位置する下部カバー部32とに分割形成され、且つ、上部カバー部31と下部カバー部32との間の境界部Kにおいて、下部カバー部32の上端部に、前後に亘って境界部に沿って線状に凹入する線状凹部Qが形成され、線状凹部Qに、サイドカバー30を横側部に取り付け固定するための固定具37が収納されている。